JPH09289341A - 薄膜形成方法および超電導素子形成方法 - Google Patents

薄膜形成方法および超電導素子形成方法

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JPH09289341A
JPH09289341A JP8155031A JP15503196A JPH09289341A JP H09289341 A JPH09289341 A JP H09289341A JP 8155031 A JP8155031 A JP 8155031A JP 15503196 A JP15503196 A JP 15503196A JP H09289341 A JPH09289341 A JP H09289341A
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JP
Japan
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thin film
brbo
bbo
bao
buffer layer
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JP8155031A
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English (en)
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Takehiko Makita
毅彦 槙田
Hitoshi Abe
仁志 阿部
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MBE法を用いて、STO 基板11の(10
0)面に優れた電気特性を示す超電導素子32を形成す
る。 【解決手段】 STO 基板11の(100)面上に、分子
線エピタキシー法によりBaO 薄膜12を形成し、この薄
膜12を緩衝層として、その上に分子線エピタキシー法
によりBBO 薄膜13を形成する。BaO 薄膜12およびBB
0 薄膜13にこれら両薄膜を貫通しSTO 基板11に達す
る開口28を形成した後、BBO 薄膜13を緩衝層とし
て、分子線エピタキシー法により、BRBO薄膜14を形成
することにより、BRBO薄膜14とSTO 基板11との間に
ショットキー接合を形成する。さらに、BRBO薄膜14に
金属材料部分によりコレクタ電極30を形成し、このコ
レクタ電極30とBRBO薄膜14との間にMIM接合を形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、BaBiO3のような酸
化物薄膜あるいはBaxRb1-xBiO3のような超電導薄膜を形
成する薄膜形成方法およびこれらの薄膜を利用した超電
導素子形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導体の特性を利用した電子デバイス
の1つに超電導三端子素子がある。超電導体として、Ba
xRb1-xBiO3(0≦x<1、以下、BRBOと称する。)を利
用した超電導三端子では、BRBO薄膜を成長させるための
基板として、SrTiO3基板(以下、STO 基板と称する。)
を用いることがある。このSTO 基板上に、分子線エピタ
キシー(MBE)法により、BRBO薄膜を成長させること
により、BRBO薄膜とSTO 基板との間には、ショットキー
接合が形成される。また、BRBO膜上にInを蒸着すること
により、このInとBRBO膜との間には、MIM(金属/絶
縁体/金属)接合が形成される。これら両接合により、
BRBO薄膜を利用した超電導三端子素子が構成される。こ
のBRBO薄膜を利用した超電導三端子素子では、BRBO薄膜
と、STO 基板との間に絶縁膜を部分的に介在させること
により、エミッタとして機能するSTO 基板からベースと
して機能するBRBO薄膜への漏れ電流の低減を図ることが
できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この絶縁膜
として、BaBiO3(以下、BBO と称する。)薄膜を用いる
場合、MBE法により、STO 基板の(100)面上にBB
O 薄膜を成長させると、成長されたBBO 薄膜は、(10
0)および(110)の両面に配向性を示す。そのた
め、BBO 薄膜には、(100)面および(110)面の
両配向が混在することから、その結晶性が低下する。こ
のような結晶性の低いBBO 薄膜は、その上に形成される
BRBO薄膜の緩衝層としては機能し得ず、BRBO薄膜の結晶
性の低下を招く結果となり、エミッタからベースへの漏
れ電流の低減による電気特性の改善が見られるどころ
か、逆に、BRBO薄膜の結晶性を低下させることにより、
電気特性の低下を招く結果となった。
【0004】STO 基板として、(110)面を利用すれ
ば、BBO 薄膜の配向性の乱れを抑制することができる。
しかし、MBE法での分子線源の制御の容易さの点か
ら、STO 基板の(100)面を利用することが有利であ
る。そのため、MBE法を用いて、STO 基板の(10
0)面に優れた結晶性を有する薄膜を形成する技術の開
発および優れた電気特性を示す超電導素子を形成する技
術の開発が待望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の点を解
決するために、次の構成を採用する。 〈構成〉本発明に係る薄膜形成方法は、STO 基板の(1
00)面上に、MBE法により緩衝層を形成した後、該
緩衝層上に分子線エピタキシー法により、BBO 薄膜また
はBRBO(0≦x<1)薄膜を形成することを特徴とす
る。
【0006】BBO 薄膜をSTO 基板上に形成させる際に使
用される緩衝層は、BaO 薄膜であり、このBaO 薄膜がM
BE法により、STO 基板(100)面上に形成される。
BBO薄膜を成長させるに先立ち、STO 基板(100)面
に形成されたBaO 薄膜は、このBaO 薄膜上に形成される
BBO 薄膜に、(100)面への強い配向性を与える。こ
れにより、BBO 薄膜は、主として(100)面で成長す
ることから、従来に比較して高い結晶性を示す。緩衝作
用を果たすBaO 薄膜は、電気的には絶縁膜として機能す
る。
【0007】BRBO薄膜をMBE法により形成する際は、
BBO 薄膜が緩衝層として用いられる。このBBO 薄膜は、
(100)面に強い配向性を示すことにより、BBO 薄膜
上に形成されるBRBO薄膜に高い結晶性を与える共に、M
BE法によりBRBO薄膜が形成される際に、その成長開始
初期に見られるBaが過剰ないわゆるBaリッチ層の形成を
抑制する。Baリッチ層は、BRBO薄膜本来の超電導機能を
発揮することはなく、BRBO薄膜の不要な厚さ寸法の増大
を招くが、このBaリッチ層の形成が抑制されることか
ら、従来に比較して結晶性に優れかつ厚さ寸法の小さな
BRBO薄膜を成長させることが可能となる。このBBO 薄膜
は、BaO 薄膜と同様に、電気的には絶縁膜として機能す
る。
【0008】本発明に係る超電導素子形成方法は、STO
基板の(100)面上に、分子線エピタキシー法により
BaO 薄膜を形成し、このBaO 薄膜を緩衝層として、その
上に分子線エピタキシー法によりBBO 薄膜を形成し、Ba
O 薄膜およびBB0 薄膜にこれら両薄膜を貫通しSTO 基板
に達する開口を形成した後、STO 基板の開口に露出する
領域を含むBBO 薄膜上に、このBBO 薄膜を緩衝層とし
て、分子線エピタキシー法によりBRBO薄膜を形成するこ
とにより、このBRBO薄膜とSTO 基板との間にショットキ
ー接合を形成し、BRBO薄膜上の開口に対向する位置に、
金属材料部分を形成することにより、この金属材料部分
とBRBO薄膜との間にMIM接合を形成することを特徴と
する。
【0009】本発明に係る超電導素子形成方法では、Ba
O 薄膜を緩衝層として結晶性の高いBBO 薄膜が形成さ
れ、BaO 薄膜およびBBO 薄膜を貫通してSTO 基板に開放
する開口の形成後、STO 基板の開口に露出する領域を含
むBBO 薄膜上に、このBBO 薄膜を緩衝層として、結晶性
が高く、しかもBaリッチ層を含むことない適正な組成比
のBRBO薄膜が形成される。STO 基板と、BRBO薄膜との間
に挿入されたBaO 薄膜およびBBO 薄膜は、STO 基板で構
成されるエミッタから、BRBO薄膜で構成されるベースへ
向けて流れる漏洩電流を低減するための絶縁層として機
能し、またこれらBaO 薄膜およびBBO 薄膜の緩衝層とし
ての機能により、BRBO薄膜の結晶性が高められしかもBR
BO薄膜のBaリッチ層の形成が抑制されることから、電気
特性が改善されまたBRBO薄膜の実質的な厚さ寸法の低減
を図ることが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
について詳細に説明する。 〈具体例〉図1は、本発明の薄膜形成方法により形成さ
れた薄膜積層体の具体例を示す構造図である。本発明に
係る薄膜形成方法によって形成された薄膜積層体10
は、図1に示す例では、(100)面に配向されたSTO
基板11と、このSTO 基板11上に形成されるBaO 薄膜
12と、さらにその上に積層されるBBO 薄膜13と、こ
のBBO 薄膜13上に形成されるBRBO薄膜14とを備え
る。STO 基板11上のBaO 薄膜12、BBO 薄膜13およ
びBRBO薄膜14は、従来よく知られた分子線エピタキシ
ー法により、STO 基板11上に、順次、形成される。
【0011】図2は、分子線エピタキシー法に用いられ
る薄膜形成装置を概略的に示す模式図である。薄膜形成
装置15は、従来よく知られているように、ハウジング
16により規定された成膜室17を備え、成膜室17は
真空ポンプ18の作動により、例えば10-10 Torrの真
空度に維持されている。成膜室17には、加熱源19を
組み込んだ試料台20が配置されている。試料台20に
は、STO 基板11が(100)面を表にして保持されて
おり、STO 基板11は加熱源19により所定温度に維持
される。
【0012】薄膜形成装置15には、STO 基板11へ向
けてソース源であるBi(ビスマス)、Ba(バリゥム)お
よびRb2O(酸化ルビジゥム)分子をそれぞれ蒸発させる
ための3つのKセル21(21a、21bおよび21
c)が設けられている。各Kセル21には、それぞれの
ソース源を収容するためのるつぼ22が配置され、この
るつぼ22を取り巻く加熱線23の加熱により、各ソー
ス源の分子がSTO 基板11へ向けて放出される。各Kセ
ル21には、図示しないが各ソース源分子のSTO基板1
1への放出を断続するのためのシャッターが設けられて
いる。また、STO 基板11には、各ソース源からのソー
ス源分子に加えて、ノズル24から活性酸素ガスとして
オゾンが供給される。
【0013】STO 基板11上に形成される薄膜の成長を
観察するための電子銃25およびRHEEDスクリーン
26、さらには成膜室17の分子線強度あるいは残留ガ
スを計測するための従来よく知られたQMS(質量分析
計)27が薄膜形成装置15に組み込まれている。
【0014】STO 基板11上にBaO 薄膜12を成長させ
るために、Baを収容するKセル21bの前記シャッター
が開放されると、Kセル21bから供給されるBa分子と
ノズル24から供給されるオゾンとにより、STO 基板1
1の(100)面上に、BaO薄膜12が成長し始める。
このときのBaの分子線強度は、例えば5.4×10-8To
rrであり、オゾン供給量は、例えば5×1015個/cm
2 ・秒である。また、STO 基板11の温度は、加熱源1
9により、ほぼ550℃に維持される。BaO 薄膜12
は、約10A゜の厚さ寸法に形成され、STO 基板11の
(100)面上に形成されたBaO 薄膜12は、(10
0)面配向を呈する。
【0015】BaO 薄膜12の形成後、このBaO 薄膜12
を緩衝層として、その上にBBO 薄膜13を成長させるた
めに、Kセル21bからのBa分子およびノズル24から
のオゾンに加えて、Kセル21aからBi分子がBaO 薄膜
12上へ供給される。このBiの分子線強度は、例えば
1.8×10-8Torrであり、BBO 薄膜13の成長速度
は、例えば10A゜/分である。BBO 薄膜13は、BaO
薄膜12を緩衝層として、例えば600A゜の厚さ寸法
に成長される。このBaO 薄膜12上に形成されたBBO 薄
膜13は、BaO 薄膜12から強い配向性を与えられるこ
とから、主として、(100)面で成長し、高い結晶性
を示す。
【0016】図3は、本発明に係る薄膜形成法により得
られた、すなわちBaO 薄膜12を緩衝層として、その上
に成長されたBBO 薄膜13からのX線回折強度と、従来
法により得られた、すなわちSTO 基板11上に、BaO 薄
膜12を介在させることなく直接に成長されたBBO 薄膜
からのX線回折強度とを比較するグラフである。横軸
は、回折角(deg)を示し、縦軸はX線回折強度( a
rb. unit)をそれぞれ示す。横軸を基準値にこれから立
ち上がる特性線Aは、本発明に係るBBO 薄膜13からの
X線回折強度を表し、その上方に基準値を持ちこれから
立ち上がる特性線Bは、従来法によるBBO 薄膜からのX
線回折強度を表す。
【0017】図3の各特性線AおよびBには、それぞれ
BBO 薄膜(100)面からのピーク波形a、その高次面
である(200)面からのピーク波形b、BBO 薄膜(1
10)面からのピーク波形c、STO 基板11(100)
面からのピーク波形d、その高次面である(200)面
からのピーク波形eがそれぞれ表されている。BBO 薄膜
の(100)面および(110)面の各面からのX線強
度は、同一面での比較では、その面の大きさにほぼ比例
する。しかしながら、(110)面からのX線回折強度
は、(100)面からのX線回折強度の約5倍を示す。
【0018】従って、特性線BにおけるBBO 薄膜(10
0)面からのピーク波形aと、(110)面からのピー
ク波形cとを比較すると、(100)面と(110)面
との配向割合は、ピーク波形aの波高値h1 と、ピーク
波形cの波高値h2 の約5分の1の値との比(5・h1/
2 )で示される。このことから、緩衝層としてBaO 薄
膜12を用いない従来方法のBBO 薄膜では、特性線Bの
ピーク波形aの波高値h1 と、ピーク波形cの波高値h
2 の約5分の1との比(5・h1/h2 )で、BBO 薄膜
(100)配向と(110)配向が混在していることを
読み取ることができる。しかも、ピーク波形aの波高値
1 よりも極めて大きな値のピーク波形cの波高値h2
の値を示す図3のグラフから明らかなように、(11
0)配向が大きく優越していることを読み取ることがで
きる。
【0019】これに対し、本発明に係る方法によって得
られたBBO 薄膜13では、特性線Aにおけるピーク波形
aの波高値h1 と、ピーク波形cの波高値h2 の約5分
の1の値との比(5・h1/h2 )で示される配向割合
で、BBO 薄膜(100)配向と(110)配向が混在す
る。しかしながら、(110)配向を表すピーク波形c
の波高値h2 は、特性線Bにおける関係とは逆に、ピー
ク波形aの波高値h1 よりも小さく、しかも(100)
配向との比(5・h1/h2 )では、ピーク波形cの波高
値の約5分の1という極めて小さな値を示すに過ぎな
い。このことから、本発明のBBO 薄膜13では、緩衝層
であるBaO 薄膜12の強い配向性を受けて、主として、
(100)面で成長していると考えられ、多くの(11
0)配向を含む従来法によるBBO 薄膜に比較して、BBO
薄膜13は極めて高い結晶性を示す。
【0020】図4は、従来法によるBBO 薄膜の原子力間
顕微鏡写真(AFM)である。この写真では、平面部分
から多数の塊状の突起が成長している様子が見られる。
写真の平面部分が(100)配向の面であり、塊状の突
起が(110)配向の面であることが確認された。従っ
て、本発明の方法により得られたBaO 薄膜12では、こ
れら塊状の突起の数が図4に比較して、より少なく、し
かも平面部分の多い平面状態が得られていると考えられ
る。
【0021】再び、図2を参照するに、高い結晶性を示
すBBO 薄膜13上に、このBBO 薄膜13を緩衝層とし
て、BRBO薄膜14が成長する。このBRBO薄膜14の成長
のために、Kセル21aからのBi分子、Kセル21bか
らのBa分子およびノズル24からのオゾンに加えて、K
セル21cからのRb2O分子がBBO 薄膜13上へ供給され
る。このときのBa、BiおよびRb2Oの各分子線強度をそれ
ぞれ、例えば、1.2×10-7Torr、0.6×10-7To
rrおよび0.6×10-7Torrとすることができる。この
ときのBRBO薄膜14の成長速度は、40A゜/分であっ
た。BBO 薄膜13を緩衝層として、このBBO 薄膜13上
に形成されたBRBO薄膜14には、BBO 薄膜13の存在に
より高い結晶性を与えることができると共に、BRBO薄膜
14の成長開始初期に見られるBaリッチ層の出現を抑制
することができた。
【0022】図5は、予め形成されたBBO 薄膜13を緩
衝層として、その上に形成されるBRBO薄膜14の成長に
伴うBRBO薄膜14の厚さ寸法と、そのときの各組成成分
の割合を示す本発明の方法に係るX線光電子分光強度
(XPS)のグラフである。横軸は、BRBO薄膜14の厚
さ寸法(A゜)を示し、縦軸は各組成成分からの分光強
度( arb. unit)を示す。図5に示すグラフの丸印を結
ぶ線Aは、Bi分子の量に比例したBi分子からの分光強度
を示し、同グラフの三角印を結ぶ線Bは、Ba分子の量に
比例したBa分子からの分光強度を示す。両線AおよびB
の比較から明らかなように、Ba分子の量を表す線Bは、
BRBO薄膜14の成長開始当初からBi分子の量を表す線A
の下方にあり、BRBO薄膜14の成長に伴う膜厚増大によ
っても、線Aに交差することなく、ほぼ線Aの下方でこ
れに並行して伸びる。従って、BRBO薄膜14には、成長
開始当初においてもBaリッチ層が形成されておらず、適
正な組成比でBRBO薄膜14が形成されていると考えられ
る。
【0023】図6は、MBE法により、STO 基板上に直
接BRBO薄膜を成長させた従来法により得られた図5と同
様なグラフである。四角印を結ぶ線Aは、Bi分子からの
分光強度を示し、丸印を結ぶ線Bは、Ba分子からの分子
線強度を示す。これによれば、BRBO薄膜の厚さ寸法が約
100A゜に達するまで、Bi分子の量がBa分子の量を越
えることはなく、少なくとも100A゜以下の層ではBa
リッチであることを読み取ることができる。
【0024】従って、図5および図6のグラフの比較か
ら、本発明の方法により得られたBRBO薄膜14では、成
長開始当初から適正な組成比で成長しており、Baリッチ
層の成長が強く抑制されていることが分かる。この傾向
は、図7および図8に示すX線回折強度の測定結果から
も読み取ることができる。
【0025】図7は、予め形成されたBBO 薄膜13を緩
衝層として、その上に形成されるBRBO薄膜14の成長に
伴うBRBO薄膜14の厚さ寸法と、そのときの(110)
面のX線回折強度との関係を示すグラフである。横軸
は、BRBO薄膜14の厚さ寸法(A゜)を示し、縦軸は
(110)面からのX線回折強度( arb. unit)を示
す。図7に示されたBRBO薄膜14の成長による厚さ寸法
と、そのときのX線回折強度との関係を示す各点を結ぶ
特性線から明らかなように、BRBO薄膜14の成長開始直
後に成長層の厚さ寸法の増大に比例した、X線回折強度
が得られており、適正な組成比のBRBO薄膜14が適正に
成長していることを読み取ることができる。
【0026】他方、図8は、図6に示したと同様な従来
法によるBRBO薄膜から得られた図7と同様なX線回折強
度グラフである。図8に示すグラフでは、BRBO薄膜が1
00A゜に達する迄、その膜厚の増大に比例した(11
0)面からのX線回折強度を得ることはできない。これ
は、100A゜以下では、適正なBRBO薄膜結晶が成長し
ていないことを意味している。
【0027】本発明に係る薄膜形成方法により得られた
BRBO薄膜14についての図5および図7に示されたグラ
フと、従来法により得られたBRBO薄膜についての図6お
よび図8に示されたグラフとの前記した比較から明らか
なように、本発明の薄膜形成方法によれば、BRBO薄膜1
4の成長開始当初におけるBaリッチ層の成長を抑制し
て、優れた結晶性のBRBO薄膜14を得ることができる。
【0028】図9は、本発明の薄膜形成方法を超電導三
端子素子の製造に適用した例を示す工程図である。図9
(A)に示されているように、基板として、ニオブ(N
b)が添加された(100)配向のn型STO 基板11が
用いられた。このSTO 基板11の(100)面上には、
図9(B)に示されているように、BaO 薄膜12が図1
に沿って説明したと同様なMBE法により、形成され
る。このBaO 薄膜12を緩衝層として、BaO 薄膜12上
に、図1に沿って説明したと同様に、BBO 薄膜13が形
成される(図9(C))。
【0029】図9(D)に示されているように、両薄膜
12および13の形成後、例えばフォトリソグラフィお
よびエッチング技術により、両薄膜12および13を貫
通する開口28が形成される。この開口28の形成によ
り、STO 基板11の開口28に対応する領域11aが開
口28内に露出される。
【0030】開口28の形成後、BBO 薄膜13を緩衝層
として、BBO 薄膜13上に、図1に沿って説明したと同
様に、BRBO薄膜14が形成される。このBRBO薄膜14の
形成に先立ち、STO 基板11の領域11aが開口28内
に露出されていることから、図9(E)に示すとおり、
領域11a上にもBRBO薄膜14が堆積する。そのため、
BBO 薄膜13の表面に加えて、開口28に露出する領域
11aもBRBO薄膜14に覆われ、しかもBRBO薄膜14の
上面が平坦に形成される。BBO 薄膜13を緩衝層とし
て、その上に形成されたBRBO薄膜14は、STO 基板11
の開口28に露出する領域11aとの間に、金属と半導
体との接合であるショットキー接合を形成する。
【0031】図9(F)に示されているように、BRBO薄
膜14上には、Au(金)のような金属材料から成るベー
ス電極29が、例えば蒸着法により形成される。また、
BRBO薄膜14上の開口28に対応する位置に、例えば蒸
着法により、In(インジゥム)のような金属材料からな
るコレクタ電極30が形成される。このコレクタ電極3
0の形成により、コレクタ電極30と、BRBO薄膜14と
の間には、コレクタ電極30の酸化膜層の介在により、
MIM(金属/絶縁体/金属)接合が形成される。
【0032】ベース電極29およびコレクタ電極30の
形成後、エミッタ電極の形成のために、例えばフォトリ
ソグラフィおよびドライエッチング技術により、図9
(G)に示されているように、BaO 薄膜12、BBO 薄膜
13およびBRBO薄膜14の一部が除去され、符号11b
で示されたSTO 基板11の(100)面が部分的に露出
される。この露出面11bに、例えば蒸着法により、図
9(H)に示されているように、Al(アルミニゥム)の
ような金属材料から成るエミッタ電極31が形成され、
これにより、BRBO薄膜14を超電導体とする超電導三端
子素子32が形成される。
【0033】本発明に係る製造方法により形成された超
電導三端子素子32では、STO 基板11上に形成された
BaO 薄膜12が緩衝膜として作用し、このBaO 薄膜12
上に形成されるBBO 薄膜13に強い(100)面配向を
与える。従って、このBBO 薄膜13の結晶性が高められ
る。また、結晶性を高められたBBO 薄膜13を緩衝膜と
して、その上に形成されたBRBO薄膜14は、このBRBO薄
膜成長開始初期に見られるBaリッチ層の成長が抑制され
ることから、優れた結晶性を示し、不要なBaリッチ層に
よる厚さ寸法の増大を招くこと無く、これにより超電導
三端子素子32のコンパクト化が可能となる。また、ST
O 基板11とBRBO薄膜14との間に介在するBaO 薄膜1
2およびBBO薄膜13は、優れた結晶性により、高い電
気絶縁性を示すことから、エミッタ電極31からベース
電極29への漏洩電流を効果的に遮断し、この漏洩電流
の低減により、超電導三端子素子32の電流特性を大き
く改善することができる。
【0034】先に述べたところでは、本発明を超電導三
端子素子の製造に適用した例について説明したが、本発
明の薄膜形成方法および超電導素子形成方法は、BRBO薄
膜を利用したその他の種々の超電導電子デバイスの製造
に適用することができる。また、BaO 薄膜、BBO 薄膜お
よびBRBO薄膜の成膜工程で示した各条件および寸法は、
それぞれ一例を示したに過ぎず、これらの値は、適宜選
択することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明の薄膜形成方法によれば、前記し
たように、緩衝層がこの緩衝層上に形成される薄膜に、
ある特定の強い配向性を与え、あるいは緩衝層上に形成
される薄膜の組成比の乱れを抑制することにより、これ
ら緩衝層上に形成される薄膜の結晶性を高めることがで
き、これにより、MBE法を用いて、STO 基板(10
0)面上に、結晶性に優れた薄膜を比較的容易に形成す
ることができる。
【0036】また、本発明の超電導形成方法によれば、
本発明の薄膜形成方法を適用することにより、STO 基板
上に緩衝層を絶縁膜として介在させることができること
から、組成比に乱れを生じることなく結晶性に優れたBR
BO薄膜を形成することができ、これにより、薄型の電気
特性に優れた超電導素子を比較的容易に形成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成方法によって形成された
薄膜積層体の構造図である。
【図2】本発明に係る薄膜形成方法を実施するための薄
膜形成装置を概略的に示す模式図である。
【図3】本発明に係る薄膜形成方法によって得られたBB
O 薄膜と従来方法によって得られたBBO 薄膜とのX線回
折強度の比較を示すグラフである。
【図4】従来方法によって得られたBBO 薄膜の原子間力
顕微鏡写真である。
【図5】本発明の薄膜形成方法によって得られたBRBO薄
膜のX線光電子分光強度を表すグラフである。
【図6】従来法によって得られたBRBO薄膜のX線光電子
分光強度を表すグラフである。
【図7】本発明に係る方法によって得られたBRBO薄膜の
X線回折強度を表すグラフである。
【図8】従来法によって得られたBRBO薄膜のX線回折強
度を表すグラフである。
【図9】本発明に係る超電導三端子素子の製造工程を示
す工程図である。
【符号の説明】
10 薄膜積層体 11 STO 基板 11a 露出領域 12 BaO 薄膜 13 BBO 薄膜 14 BRBO薄膜 28 開口 29 ベース電極 30 コレクタ電極(金属材料部分) 31 エミッタ電極 32 超電導三端子素子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SrTiO3基板の(100)面上に、分子線
    エピタキシー法により緩衝層を形成した後、該緩衝層上
    に分子線エピタキシー法により、BaBiO3薄膜またはBaxR
    b1-xBiO3(0≦x<1)薄膜を形成することを特徴とす
    る薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記緩衝層はBaO 薄膜であり、該BaO 薄
    膜上にBaBiO3薄膜が形成されることを特徴とする請求項
    1記載の薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記緩衝層はBaBiO3薄膜であり、該BaBi
    O3上にBaxRb1-xBiO3(0≦x<1)薄膜が形成されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 SrTiO3基板の(100)面上に、分子線
    エピタキシー法によりBaO 薄膜を形成すること、 該BaO 薄膜を緩衝層として、該緩衝層上に分子線エピタ
    キシー法によりBaBiO3薄膜を形成すること、 前記BaO 薄膜およびBaBiO3薄膜に該両薄膜を貫通し前記
    基板に達する開口を形成すること、 前記基板の前記開口に露出する領域を含む前記BaBiO3
    膜上に、該BaBiO3薄膜を緩衝層として、分子線エピタキ
    シー法により、BaxRb1-xBiO3(0≦x<1)薄膜を形成
    することにより、該薄膜と前記基板との間にショットキ
    ー接合を形成すること、 前記BaxRb1-xBiO3薄膜上の前記開口に対向する位置に金
    属材料部分を形成することにより、該金属材料部分と前
    記BaxRb1-xBiO3薄膜との間にMIM接合を形成するこ
    と、を含む超電導素子形成方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100365740C (zh) * 2006-04-27 2008-01-30 西南交通大学 一种高温超导涂层导体的缓冲层

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