JPH09287887A - 複式熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数個の熱交換器間の媒体通路を簡潔で、省
スペース的に接続する。 【解決手段】 空気通風方向Ａにおいて前後に並べて配
置した複数個の熱交換器１１、１２を備え、この熱交換
器の隣接するヘッダタンク１９、２０の軸方向の両端１
９ａ、２０ａ間に、この両端間の媒体通路を接続する接
続ブロック体２５、２６を配置し、この接続ブロック体
は、第１、および第２の２つの連通穴部を有し、第１の
連通穴部は、隣接するヘッダタンクの一方１９の軸方向
端部１９ａの開口部１９ｂに、また第２の連通穴部は、
隣接するヘッダタンクの他方２０の軸方向端部２０ａの
開口部２０ｂにそれぞれ直接ろう付けする。これによ
り、複数の熱交換器の隣接するヘッダタンク１９、２０
間の媒体通路を、偏平な接続ブロック体２５、２６にて
極めて小型簡潔に接続することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数個の熱交換器
を、空気通風方向において前後に並べて配置した複式熱
交換器に関するもので、特に複数個の熱交換器間の媒体
通路の接続部を小型、簡潔にするための改良構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の複式熱交換器として特開
平３−８４３９５号公報に記載されたものがあり、この
公報記載のものでは、空気通風方向において前後に並べ
て配置された複数個の熱交換器間の媒体通路を接続する
ために、複数個の熱交換器の隣接するヘッダタンクの一
方に、雄型接続ブロック体を接合し、他方のヘッダタン
クに雌型接続ブロック体を接合している。

【０００３】そして、この雄型接続ブロック体に設けた
嵌合突起を、雌型接続ブロック体に設けた嵌合穴に嵌合
することにより、複数個の熱交換器の隣接するヘッダタ
ンク間の媒体通路（例えば、冷凍サイクルの冷媒通路）
を接続するようにしている。また、上記両接続ブロック
体間の機械的結合は、ボルトによるねじ止めにて行って
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来構造では、上記両接続ブロック体間を機械的に結合す
るための、ボルトによるねじ止め構造、嵌合突起と嵌合
穴との嵌合部をＯリング等のシール部材によりシールす
る構造等が必要となり、複数個の熱交換器間の媒体通路
の接続構造が複雑となり、製造コストが高くなるという
問題がある。

【０００５】本発明は上記点に鑑みてなされたもので、
複数個の熱交換器間の媒体通路の接続構造が簡潔で、省
スペースですむ複式熱交換器を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、以下の技術的手段を採用する。請求項１〜４
記載の発明では、空気通風方向（Ａ）において前後に複
数個の熱交換器（１１、１２）を並べて配置した複式熱
交換器において、複数個の熱交換器（１１、１２）の隣
接するヘッダタンク（１９、２０）の軸方向の両端（１
９ａ、２０ａ）間に、この両端間の媒体通路を接続する
接続ブロック体（２５、２６）を配置し、この接続ブロ
ック体（２５、２６）は、第１、および第２の２つの連
通穴部（２５ｄ、２５ｅ、２６ｄ、２６ｅ）を有し、前
記第１の連通穴部（２５ｄ、２６ｄ）は、前記隣接する
ヘッダタンクの一方（１９）の軸方向端部（１９ａ）の
開口部（１９ｂ）に、また前記第２の連通穴部（２５
ｅ、２６ｅ）は、前記隣接するヘッダタンクの他方（２
０）の軸方向端部（２０ａ）の開口部（２０ｂ）にそれ
ぞれ直接接合されていることを特徴としている。

【０００７】これにより、複数の熱交換器の隣接するヘ
ッダタンク間の媒体通路を、ヘッダタンクの軸方向の両
端間に配置した接続ブロック体にて接続することがで
き、しかも、この接続ブロック体は両ヘッダタンクの軸
方向端部の開口部に直接ろう付け等で接合する構造であ
るから、従来構造のようなボルトを用いたねじ止め構造
やシール材を用いたシール構造を必要とせず、媒体通路
接続部を極めて小型簡潔にまとめることができる。

【０００８】また、ねじ止め作業の廃止により熱交換器
組付の生産性も向上できる。また、熱交換器の既存のヘ
ッダタンク構造の基本形状を変えなくてもよいため、通
路接続部の小型簡潔化および組付生産性の向上とも相ま
って、製造コストを大幅に低く押えることが可能とな
る。さらに、隣接するヘッダタンク間の通路接続部を出
っ張りなどのない極めて省スペースな外形状にまとめる
ことができるため、複数の熱交換器全体としても省スペ
ースな外形状にまとめることができ、狭いスペース内へ
の熱交換器設置が容易となる。

【０００９】上記に加えて、請求項２記載の発明では、
接続ブロック体（２５、２６）に、断面略長方形状の偏
平な管状部（２５ａ、２６ａ）を備え、この管状部（２
５ａ、２６ａ）の一方の平面部に、前記第１および第２
の連通穴部（２５ｄ、２５ｅ、２６ｄ、２６ｅ）を開口
させた構造としているから、接続ブロック体の偏平化に
より省スペース効果を一層高めることができる。

【００１０】また、請求項３記載の発明では、接続ブロ
ック体（２５、２６）を、複数個の熱交換器（１１、１
２）のろう付けと同時に、隣接するヘッダタンク（１
９、２０）の軸方向端部（１９ａ、２０ａ）の開口部
（１９ｂ、２０ｂ）にろう付けしているから、組付生産
性を一層向上できる。また、請求項４記載の発明では、
接続ブロック体（２５、２６）と、隣接するヘッダタン
ク（１９、２０）の軸方向端部（１９ａ、２０ａ）の開
口部（１９ｂ、２０ｂ）との間に接合リング（２５ｈ、
２６ｈ）を介在させているから、この別部品である接合
リングを用いて、接続ブロック体ろう付け部の接合面積
を十分確保して、接合強度を向上できる。

【００１１】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すもの
である。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図に基
づいて説明する。 （第１実施形態）図１、２は第１実施形態を示すもの
で、本発明を電気自動車用ヒートポンプ式空調装置の室
内熱交換器に適用した例を示す。この室内熱交換器は、
空調装置の通風ケーシング（図示せず）内に設置され、
冬季暖房時には冷媒凝縮器として作用して送風空気を加
熱するものである。

【００１３】本例の複式熱交換器１０は、空調空気の通
風方向Ａにおいて、前後に並べて配置された２つの熱交
換器１１、１２を有している。ここで、２つの熱交換器
１１、１２のうち、通風方向Ａの上流側に位置する熱交
換器１１は、冷媒出口パイプ１３を有する冷媒出口側の
熱交換器であり、通風方向Ａの下流側に位置する熱交換
器１２は、冷媒入口パイプ１４を有する冷媒入口側の熱
交換器である。

【００１４】上記両熱交換器１１、１２は同一構造であ
り、以下その具体的構造について述べる。上記両熱交換
器１１、１２は、空気と冷媒との熱交換を行うコア１
５、１６、このコア１５、１６の水平方向の一端側に配
された第１ヘッダタンク１７、１８およびコア１５、１
６の水平方向の他端側に配された第２ヘッダタンク１
９、２０等から構成され、これらの構成部品はすべてア
ルミニウムで形成され、炉中にて一体ろう付けして製造
される。

【００１５】コア１５、１６は、水平方向に延びて並列
状に配置された複数のチューブ２１およびこのチューブ
２１間に配置されたコルゲートフィン２２よりなり、こ
れらはろう付け（接合手段）により接合されている。複
数のチューブ２１はアルミニウムまたはアルミニウム合
金材により断面形状が偏平な形状に形成され、その内部
に冷媒流路を形成している。

【００１６】第１ヘッダタンク１７、１８は、略円筒形
状を呈するものであって、前記複数のチューブ２１の一
端部が連通している。そして、空気上流側の熱交換器１
１の第１ヘッダタンク１７には、このヘッダタンク１７
内の冷媒を外部へ流出させる冷媒出口パイプ１３が接続
されている。また、空気下流側の熱交換器１２の第１ヘ
ッダタンク１８には、このヘッダタンク１８内へ冷媒を
流入させる冷媒入口パイプ１４が接続されている。

【００１７】第２ヘッダタンク１９、２０も略円筒形状
を呈するものであって、前記複数のチューブ２１の他端
部が連通している。次に、本発明の要部をなす接続ブロ
ック体２５、２６について詳述する。この接続ブロック
体２５、２６は２つの熱交換器１１、１２の隣接する第
２ヘッダタンク１９、２０間の冷媒通路を接続するもの
であって、この接続ブロック体２５、２６は他の熱交換
器部品と同様にアルミニウムまたはアルミニウム合金材
により形成されるもので、押し出し成形、ダイキャスト
等の方法で形成される。

【００１８】また、接続ブロック体２５、２６は後述す
るように、第２ヘッダタンク１９、２０にろう付けされ
るため、第２ヘッダタンク１９、２０側にろう材が設け
られていない場合は、接続ブロック体２５、２６の表面
に適宜の手段にてろう材を設ける。この接続ブロック体
２５と２６は同一形状であるので、図２により接続ブロ
ック体２５を具体的に説明する。この接続ブロック体２
５は、略長方形の断面を有する偏平な管状部２５ａと、
この管状部２５ａの両端の開口部２５ｆ、２５ｇを閉塞
するための蓋部材２５ｂ、２５ｃとから構成されてい
る。ここで、蓋部材２５ｂ、２５ｃもアルミニュウム材
からなり、蓋部材２５ｂ、２５ｃにろう材を設ける必要
がある場合は、ろう材をクラッドしたアルミニュウムク
ラッド材をプレス成形する等の方法にて形成する。

【００１９】また、偏平な管状部２５ａの一方の平面部
には第２ヘッダタンク１９、２０の軸方向（長手方向）
端部１９ａ、２０ａが嵌入され接合されるように第１、
第２の２つの連通穴部２５ｄ、２５ｅが開けてある。こ
こで、両ヘッダタンク１９、２０の軸方向端部１９ａ、
２０ａは閉塞されることなく、開口部１９ｂ、２０ｂを
形成している。

【００２０】従って、これらの管状部２５ａ、蓋部材２
５ｂ、２５ｃと第２ヘッダタンク１９、２０をろう付に
より気密状態に接合すると、接続ブロック体２５を介し
て第２ヘッダタンク２０から第２ヘッダタンク１９への
冷媒流路を形成できる。同様に、図２の下端部において
も、接続ブロック体２６により第２ヘッダタンク２０か
ら第２ヘッダタンク１９への冷媒流路を形成できる。

【００２１】また、第１ヘッダタンク１７、１８では、
この両ヘッダタンク１７、１８相互の外周面を直接当接
させて、この当接部分をろう付により接合する。これに
より、２つの熱交換器１１、１２が一体構造となる。こ
こで、上記した接続ブロック体２５、２６部分のろう付
け、および第１ヘッダタンク１７、１８間のろう付け
は、熱交換器１１、１２を組付けるための本来のろう付
け（チューブ２１、フィン２２、ヘッダタンク１７、１
８、１９、２０等相互間のろう付け）と同時に、炉中に
て一体に行うことができる。

【００２２】上述した構成を有しているから、入口パイ
プ１４から空気下流側の熱交換器１２の第１ヘッダタン
ク１８へ流入した冷媒は、まず、空気下流側の熱交換器
１２の多数のチューブ２１に分配され、このチューブ２
１を通って、第２ヘッダタンク２０に流入する。次い
で、冷媒は、このヘッダタンク２０の軸方向両端部２０
ａの開口部２０ｂから接続ブロック体２５、２６を通っ
て、空気上流側の熱交換器１１の第２ヘッダタンク１９
に流入し、この熱交換器１１のチューブ２１を通って第
１ヘッダタンク１７へ流入する。この後、冷媒は出口パ
イプ１３を通って外部へ流出する。

【００２３】冷媒は２つの熱交換器１１、１２のチュー
ブ２１を通過する間に、空調空気と熱交換して、空調空
気を加熱（暖房時）または冷却（冷房時）する。そし
て、上記した接続ブロック体２５、２６を用いることに
より、２つの熱交換器１１、１２の隣接する第２ヘッダ
タンク１９、２０間の冷媒通路をきわめて簡単に、か
つ、出っ張りなどのない極めて省スペースな外形状にま
とめることができる。このように、２つの熱交換器１
１、１２を省スペースな外形状にまとめることにより、
車両用ヒートポンプ式空調装置の室内熱交換器に使用す
る場合、２つの熱交換器１１、１２を、従来のヒータコ
アと同様に簡単に室内ユニット内に収納することができ
る。

【００２４】また、接続ブロック体２５、２６と第２ヘ
ッダタンク１９、２０との接続はろう付けにより、熱交
換器のろう付けと同時に行なうことができるので、従来
構造のようなボルトを用いたねじ止め構造やシール材を
用いたシール構造を必要とせず、熱交換器組付の生産性
を向上できる。 （第２実施形態）次に、第２実施形態を図３、４にて説
明する。第１実施形態との違いは、第２ヘッダタンク１
９、２０と接続ブロック体２５、２６の管状部２５ａ、
２６ａとの接合強度を上げるために、接合リング２５
ｈ、２６ｈを追加したことにある。

【００２５】この接合リング２５ｈ、２６ｈは、その軸
方向の中央部の外形を大きくして張り出し部２５ｉ、２
６ｉを形成し、両端部は中間部より若干小径に形成して
あり、そして、この小径の両端部は、第２ヘッダタンク
１９、２０の軸方向端部１９ａ、２０ａの開口部１９
ｂ、２０ｂの内側と管状部２５ａ、２６ａの連通穴部２
５ｄ、２５ｅ、２６ｄ、２６ｅの内側にそれぞれ嵌入さ
れ一体にろう付けされて気密に連通路が形成される。

【００２６】接合リング２５ｈ、２６ｈを第２ヘッダタ
ンク１９、２０と接続ブロック体２５、２６の管状部２
５ａ、２６ａとの間に介在させて、別部品である接合リ
ング２５ｈ、２６ｈにて十分な接合面積を確保すること
により、接合強度を高めることができる。また、接合リ
ング２５ｈ、２６ｈの中央部の張り出し部２５ｉ、２６
ｉは、ろう付け時のリング位置決めを行って、作業性を
改善する。他の点は第１実施形態と同様である。 （他の実施形態）なお、上述の実施形態では、接続ブロ
ック体２５、２６として断面が略長方形の偏平な成形材
を用いたが、接続ブロック体２５、２６を成形材でな
く、全て切削加工して製造してもよく、また、ダイキャ
スト、冷間鍛造等で型成形した後に一部切削加工して製
造してもよい。また、接続ブロック体２５、２６の外形
形状も前記実施形態の如く断面長方形でなくても連通機
能を果たすたとができる形状であれば、他の形状でもよ
い。

【００２７】また、本発明による複式熱交換器は、上述
したヒートポンプ式空調装置の室内熱交換器に限定され
ことなく、種々な用途の熱交換器に広く適用可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明の第１実施形態を示す上面図、
（ｂ）はその正面図である。

【図２】図１の接続ブロック体２５部分の分解斜視図で
ある。

【図３】（ａ）は本発明の第２実施形態を示す上面図、
（ｂ）はその正面図である。

【図４】図３の接続ブロック体２５部分の分解斜視図で
ある。

【符号の説明】

１０…複式熱交換器、１１、１２…熱交換器、１７、１
８…第１ヘッダタンク、１９、２０…第２ヘッダタン
ク、２１…チューブ、２２…フィン、２５、２６…接続
ブロック体、２５ｄ、２５ｅ、２６ｄ、２６ｅ…連通穴
部。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 並列状に配置された複数のチューブ（２
   １）と、 この複数のチューブ（２１）間に配置されたフィン（２
   ２）と、 前記複数のチューブ（２１）の一端部および他端部をそ
   れぞれ相互に連通する一対のヘッダタンク（１７、１
   ９）（１８、２０）とからなる熱交換器（１１、１２）
   が、空気通風方向（Ａ）において複数個、前後に並べて
   配置された複式熱交換器において、 前記複数個の熱交換器（１１、１２）の隣接するヘッダ
   タンク（１９、２０）の軸方向の両端（１９ａ、２０
   ａ）間に、この両端間の媒体通路を接続する接続ブロッ
   ク体（２５、２６）を配置し、 この接続ブロック体（２５、２６）は、第１、および第
   ２の２つの連通穴部（２５ｄ、２５ｅ、２６ｄ、２６
   ｅ）を有し、 前記第１の連通穴部（２５ｄ、２６ｄ）は、前記隣接す
   るヘッダタンクの一方（１９）の軸方向端部（１９ａ）
   の開口部（１９ｂ）に、また前記第２の連通穴部（２５
   ｅ、２６ｅ）は、前記隣接するヘッダタンクの他方（２
   ０）の軸方向端部（２０ａ）の開口部（２０ｂ）にそれ
   ぞれ直接接合されていることを特徴とする複式熱交換
   器。
2. 【請求項２】 前記接続ブロック体（２５、２６）は、
   断面略長方形状の偏平な管状部（２５ａ、２６ａ）を有
   し、この管状部（２５ａ、２６ａ）の一方の平面部に、
   前記第１および第２の連通穴部（２５ｄ、２５ｅ、２６
   ｄ、２６ｅ）が開口していることを特徴とする請求項１
   に記載の複式熱交換器。
3. 【請求項３】 前記接続ブロック体（２５、２６）は、
   前記複数個の熱交換器（１１、１２）のろう付けと同時
   に、前記隣接するヘッダタンク（１９、２０）の軸方向
   端部（１９ａ、２０ａ）の開口部（１９ｂ、２０ｂ）に
   ろう付けされるようにしたことを特徴とする請求項１ま
   たは２に記載の複式熱交換器。
4. 【請求項４】 前記接続ブロック体（２５、２６）と、
   前記隣接するヘッダタンク（１９、２０）の軸方向端部
   （１９ａ、２０ａ）の開口部（１９ｂ、２０ｂ）との間
   に接合リング（２５ｈ、２６ｈ）を介在させたことを特
   徴とする請求項１ないし３のいずれか１つに記載の複式
   熱交換器。