JPH09285902A - 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents
耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具Info
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- JPH09285902A JPH09285902A JP9994296A JP9994296A JPH09285902A JP H09285902 A JPH09285902 A JP H09285902A JP 9994296 A JP9994296 A JP 9994296A JP 9994296 A JP9994296 A JP 9994296A JP H09285902 A JPH09285902 A JP H09285902A
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- cutting
- cutting tool
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削
工具を提供する。 【解決手段】 WC基超硬合金基体の表面に、Al2 O
3 を主成分とするAl2O3 系化合物層を含む硬質被覆
層を3〜20μmの平均層厚で化学蒸着および/または
物理蒸着してなる表面被覆超硬合金製切削工具にして、
前記Al2 O3 系化合物層が、重量%で、Zrおよび/
またはHf:0.5〜10%、Cl:0.005〜0.
1%、およびN:0.001〜0.1%を含有する。
工具を提供する。 【解決手段】 WC基超硬合金基体の表面に、Al2 O
3 を主成分とするAl2O3 系化合物層を含む硬質被覆
層を3〜20μmの平均層厚で化学蒸着および/または
物理蒸着してなる表面被覆超硬合金製切削工具にして、
前記Al2 O3 系化合物層が、重量%で、Zrおよび/
またはHf:0.5〜10%、Cl:0.005〜0.
1%、およびN:0.001〜0.1%を含有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、硬質被覆層を構
成する酸化アルミニウム(以下、Al2 O3 で示す)を
主成分とするAl2 O3 系化合物層が、これを厚膜化し
てもその層厚が均一化し、かつすぐれた層間密着性を有
し、したがって例えば鋼や鋳鉄などの連続切削は勿論の
こと、特に断続切削に用いた場合にも切刃に欠けやチッ
ピング(微小欠け)などの欠損の発生なく、長期に亘っ
てすぐれた切削性能を発揮する表面被覆超硬合金製切削
工具(以下、被覆超硬工具という)に関するものであ
る。
成する酸化アルミニウム(以下、Al2 O3 で示す)を
主成分とするAl2 O3 系化合物層が、これを厚膜化し
てもその層厚が均一化し、かつすぐれた層間密着性を有
し、したがって例えば鋼や鋳鉄などの連続切削は勿論の
こと、特に断続切削に用いた場合にも切刃に欠けやチッ
ピング(微小欠け)などの欠損の発生なく、長期に亘っ
てすぐれた切削性能を発揮する表面被覆超硬合金製切削
工具(以下、被覆超硬工具という)に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、炭化タングステン基超硬合金基体
(以下、超硬基体という)の表面に、Al2 O3 層を含
む硬質被覆層、例えば、Tiの炭化物(以下、TiCで
示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭
窒化物(以下、TiCNで示す)層、酸化物(以下、T
iO2 で示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)
層、窒酸化物(以下、TiNOで示す)層、および炭窒
酸化物(以下、TiCNOで示し、かつこれらを総称し
てTi炭・窒・酸化物という)層のうちの1種または2
種以上と、Al2 O3 層とからなる硬質被覆層を3〜2
0μmの平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着し
てなる被覆超硬工具が知られている。また、特に上記被
覆超硬工具の硬質被覆層を構成するAl2 O3 層が、反
応ガスとして、容量%で 三塩化アルミニウム(以下、AlCl3 で示す):1〜
20%、 二酸化炭素(以下、CO2 で示す):0.5〜30%、
[必要に応じて一酸化炭素(CO)または塩化水素(H
Cl):1〜30%]、 水素:残り、からなる組成を有する水素系反応ガスを用
い、 反応温度:950〜1100℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で形成されることも知られている。
(以下、超硬基体という)の表面に、Al2 O3 層を含
む硬質被覆層、例えば、Tiの炭化物(以下、TiCで
示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭
窒化物(以下、TiCNで示す)層、酸化物(以下、T
iO2 で示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)
層、窒酸化物(以下、TiNOで示す)層、および炭窒
酸化物(以下、TiCNOで示し、かつこれらを総称し
てTi炭・窒・酸化物という)層のうちの1種または2
種以上と、Al2 O3 層とからなる硬質被覆層を3〜2
0μmの平均層厚で化学蒸着および/または物理蒸着し
てなる被覆超硬工具が知られている。また、特に上記被
覆超硬工具の硬質被覆層を構成するAl2 O3 層が、反
応ガスとして、容量%で 三塩化アルミニウム(以下、AlCl3 で示す):1〜
20%、 二酸化炭素(以下、CO2 で示す):0.5〜30%、
[必要に応じて一酸化炭素(CO)または塩化水素(H
Cl):1〜30%]、 水素:残り、からなる組成を有する水素系反応ガスを用
い、 反応温度:950〜1100℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で形成されることも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の切削加工
のFA化はめざましく、かつ省力化に対する要求も強
く、これに伴い、被覆超硬工具には使用寿命のさらなる
延命化が求められ、これに対応する手段として、これを
構成する硬質被覆層のうち、特に耐酸化性と熱的安定性
にすぐれ、さらに高硬度を有するAl2 O3 層の厚膜化
が広く検討されているが、前記Al2 O3 層は、これを
厚くすると、上記の従来Al2 O3 層形成手段では層厚
が局部的に不均一になり、切刃の逃げ面、すくい面、お
よび前記逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の間には層
厚に著しいバラツキが発生するようになり、さらに硬質
被覆層を構成する他の層、例えばTi炭・窒・酸化物層
との層間密着性が十分でないことと相まって、これを、
例えば鋼や鋳鉄などの断続切削に用いた場合に切刃に欠
けやチッピングなどの欠損が発生し易く、これが原因で
比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
のFA化はめざましく、かつ省力化に対する要求も強
く、これに伴い、被覆超硬工具には使用寿命のさらなる
延命化が求められ、これに対応する手段として、これを
構成する硬質被覆層のうち、特に耐酸化性と熱的安定性
にすぐれ、さらに高硬度を有するAl2 O3 層の厚膜化
が広く検討されているが、前記Al2 O3 層は、これを
厚くすると、上記の従来Al2 O3 層形成手段では層厚
が局部的に不均一になり、切刃の逃げ面、すくい面、お
よび前記逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の間には層
厚に著しいバラツキが発生するようになり、さらに硬質
被覆層を構成する他の層、例えばTi炭・窒・酸化物層
との層間密着性が十分でないことと相まって、これを、
例えば鋼や鋳鉄などの断続切削に用いた場合に切刃に欠
けやチッピングなどの欠損が発生し易く、これが原因で
比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、被覆超硬工具の硬質被覆層を構
成するAl2 O3 層に着目し、厚膜化した場合の層厚の
局部的バラツキの減少と、他の構成層に対する層間密着
性の向上を図るべく研究を行った結果、化学蒸着法およ
び/または物理蒸着法にて、反応ガスとして、上記の従
来水素系反応ガスに代って、容量%で、基本的に、 AlCl3 :1〜10%、 水素(以下、H2 で示す):1〜5%、 窒素酸化物(以下、NOで示す):16〜30%、 四塩化ジルコニウム(以下、ZrCl4 で示す)および
/またはHf(以下、HfCl4 で示す):0.1〜
0.6%、 例えばArやHeなどの不活性ガス:残り、からなる組
成を有する不活性ガス系反応ガスを用い、反応温度およ
び雰囲気圧力は以下の条件、すなわち、 反応温度:850〜1100℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で層形成を行うと、形成された層中に、Zrおよ
び/またはHfと、Clと、Nが含有するようになり、
このZrおよび/またはHfとClの含有割合を、主に
上記不活性ガス系反応ガスの組成および反応雰囲気を調
整することにより、重量%で、Zrおよび/またはH
f:0.5〜10%,Cl:0.005〜0.1%とな
るようにすると、この結果のAl2 O3 を主成分とし、
かつZrおよび/またはHfと、Clを含有するAl2
O3 系化合物層は、これを厚膜化しても、その層厚に局
部的バラツキが著しく少なくなり、切刃の逃げ面、すく
い面、および前記逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の
層厚が相互に均一化するようになり、加えてNの含有割
合を同じく0.001〜0.1%となるように調整する
と、Zrおよび/またはHfとの共存で硬質被覆層を構
成する他の層、例えばTi炭・窒・酸化物層との層間密
着性が著しく向上し、したがって、このAl2 O 3 系化
合物層を含む硬質被覆層を形成した被覆超硬工具は、前
記Al2 O3 系化合物層がAl2 O3 を主成分とするの
で、すぐれた耐酸化性と熱的安定性、および高硬度を具
備することと相まって、例えば鋼や鋳鉄などの連続切削
は勿論のこと、断続切削に用いた場合にも切刃に欠けや
チッピングなどの欠損の発生なく、長期に亘ってすぐれ
た切削性能を示すという研究結果を得たのである。
上述のような観点から、被覆超硬工具の硬質被覆層を構
成するAl2 O3 層に着目し、厚膜化した場合の層厚の
局部的バラツキの減少と、他の構成層に対する層間密着
性の向上を図るべく研究を行った結果、化学蒸着法およ
び/または物理蒸着法にて、反応ガスとして、上記の従
来水素系反応ガスに代って、容量%で、基本的に、 AlCl3 :1〜10%、 水素(以下、H2 で示す):1〜5%、 窒素酸化物(以下、NOで示す):16〜30%、 四塩化ジルコニウム(以下、ZrCl4 で示す)および
/またはHf(以下、HfCl4 で示す):0.1〜
0.6%、 例えばArやHeなどの不活性ガス:残り、からなる組
成を有する不活性ガス系反応ガスを用い、反応温度およ
び雰囲気圧力は以下の条件、すなわち、 反応温度:850〜1100℃、 雰囲気圧力:20〜200torr、 の条件で層形成を行うと、形成された層中に、Zrおよ
び/またはHfと、Clと、Nが含有するようになり、
このZrおよび/またはHfとClの含有割合を、主に
上記不活性ガス系反応ガスの組成および反応雰囲気を調
整することにより、重量%で、Zrおよび/またはH
f:0.5〜10%,Cl:0.005〜0.1%とな
るようにすると、この結果のAl2 O3 を主成分とし、
かつZrおよび/またはHfと、Clを含有するAl2
O3 系化合物層は、これを厚膜化しても、その層厚に局
部的バラツキが著しく少なくなり、切刃の逃げ面、すく
い面、および前記逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の
層厚が相互に均一化するようになり、加えてNの含有割
合を同じく0.001〜0.1%となるように調整する
と、Zrおよび/またはHfとの共存で硬質被覆層を構
成する他の層、例えばTi炭・窒・酸化物層との層間密
着性が著しく向上し、したがって、このAl2 O 3 系化
合物層を含む硬質被覆層を形成した被覆超硬工具は、前
記Al2 O3 系化合物層がAl2 O3 を主成分とするの
で、すぐれた耐酸化性と熱的安定性、および高硬度を具
備することと相まって、例えば鋼や鋳鉄などの連続切削
は勿論のこと、断続切削に用いた場合にも切刃に欠けや
チッピングなどの欠損の発生なく、長期に亘ってすぐれ
た切削性能を示すという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、超硬基体の表面に、Al2 O3 を
主成分とするAl2 O3 系化合物層を含む硬質被覆層、
例えば、TiC層、TiN層、TiCN層、TiO2
層、TiCO層、TiNO層、およびTiCNO層から
なるTi炭・窒・酸化物層のうちの1種または2種以上
と、前記Al2 O3 系化合物層とからなる硬質被覆層を
3〜20μmの平均層厚で形成してなる被覆超硬工具に
して、前記Al2 O3 系化合物層が、重量%で、Zrお
よび/またはHf:0.5〜10%、Cl:0.005
〜0.1%、 N:0.001〜0.1%、を含
有することにより、特に厚膜化した場合の層厚の均一化
および層間密着性向上をはかり、これによって切刃の耐
欠損性を向上せしめた被覆超硬工具に特徴を有するもの
である。
されたものであって、超硬基体の表面に、Al2 O3 を
主成分とするAl2 O3 系化合物層を含む硬質被覆層、
例えば、TiC層、TiN層、TiCN層、TiO2
層、TiCO層、TiNO層、およびTiCNO層から
なるTi炭・窒・酸化物層のうちの1種または2種以上
と、前記Al2 O3 系化合物層とからなる硬質被覆層を
3〜20μmの平均層厚で形成してなる被覆超硬工具に
して、前記Al2 O3 系化合物層が、重量%で、Zrお
よび/またはHf:0.5〜10%、Cl:0.005
〜0.1%、 N:0.001〜0.1%、を含
有することにより、特に厚膜化した場合の層厚の均一化
および層間密着性向上をはかり、これによって切刃の耐
欠損性を向上せしめた被覆超硬工具に特徴を有するもの
である。
【0006】なお、この発明の被覆超硬工具の硬質被覆
層を構成するAl2 O3 系化合物層におけるZrおよび
/またはHfとClは、上記の通り、これらの成分が共
存して層厚の均一化に作用するものであり、したがっ
て、これらの成分のうちのZrおよび/またはHfの含
有量が0.5%未満でも、またClの含有量が0.00
5%未満でも前記作用に所望の効果が得られず、一方こ
れらの成分のうちのZrおよび/またはHfの含有量が
10%を越えても、またClの含有量が0.1%を越え
ても、Al2 O3 系化合物層のもつ特性が損なわれるよ
うになるものであり、これらの結果から、その含有量
を、それぞれZrおよび/またはHf:0.5〜10
%、Cl:0.005〜0.1%と定めた。また、同じ
くN成分には、上記の通りAl2 O3 系化合物層の他の
構成層、例えば上記Ti炭・窒・酸化物層に対する層間
密着性をZrおよび/またはHfとの共存下で向上させ
る作用があり、したがってその含有量が0.001%未
満では、所望の層間密着性向上効果が得られず、一方そ
の含有量が0.1%を越えるとAl2 O3 系化合物層の
もつ特性が損なわれるようになることから、その含有量
を0.001〜0.1%と定めた。さらに、硬質被覆層
の平均層厚を3〜20μmとしたのは、その層厚が3μ
mでは所望のすぐれた耐摩耗性を確保することができ
ず、一方その層厚が20μmを越えると、耐欠損性が低
下するようになるという理由からである。
層を構成するAl2 O3 系化合物層におけるZrおよび
/またはHfとClは、上記の通り、これらの成分が共
存して層厚の均一化に作用するものであり、したがっ
て、これらの成分のうちのZrおよび/またはHfの含
有量が0.5%未満でも、またClの含有量が0.00
5%未満でも前記作用に所望の効果が得られず、一方こ
れらの成分のうちのZrおよび/またはHfの含有量が
10%を越えても、またClの含有量が0.1%を越え
ても、Al2 O3 系化合物層のもつ特性が損なわれるよ
うになるものであり、これらの結果から、その含有量
を、それぞれZrおよび/またはHf:0.5〜10
%、Cl:0.005〜0.1%と定めた。また、同じ
くN成分には、上記の通りAl2 O3 系化合物層の他の
構成層、例えば上記Ti炭・窒・酸化物層に対する層間
密着性をZrおよび/またはHfとの共存下で向上させ
る作用があり、したがってその含有量が0.001%未
満では、所望の層間密着性向上効果が得られず、一方そ
の含有量が0.1%を越えるとAl2 O3 系化合物層の
もつ特性が損なわれるようになることから、その含有量
を0.001〜0.1%と定めた。さらに、硬質被覆層
の平均層厚を3〜20μmとしたのは、その層厚が3μ
mでは所望のすぐれた耐摩耗性を確保することができ
ず、一方その層厚が20μmを越えると、耐欠損性が低
下するようになるという理由からである。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の被覆超硬工具
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、平
均粒径:2.8μmを有する中粒WC粉末、同4.9μ
mの粗粒WC粉末、同1.5μmの(Ti,W)C(重
量比で、以下同じ、TiC/WC=30/70)粉末、
同1.2μmの(Ti,W)CN(TiC/TiN/W
C=24/20/56)粉末、同1.2μmの(Ta,
Nb)C(TaC/NbC=90/10)粉末、および
同1.1μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末を表
1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間
湿式混合し、乾燥した後、ISO・CNMG12040
8(超硬基体A〜D用)および同SEEN42AFTN
1(超硬基体E用)に定める形状の圧粉体にプレス成形
し、この圧粉体を同じく表1に示される条件で真空焼結
することにより超硬基体A〜Eをそれぞれ製造した。さ
らに、上記超硬基体Bに対して、100torrのCH
4 ガス雰囲気中、温度:1400℃に1時間保持後、徐
冷の滲炭処理を施し、処理後、超硬基体表面に付着する
カーボンとCoを酸およびバレル研磨で除去することに
より、表面から11μmの位置で最大Co含有量:1
5.9重量%、深さ:42μmのCo富化帯域を基体表
面部に形成した。また、上記超硬基体AおよびDには、
焼結したままで、表面部に表面から17μmの位置で最
大Co含有量:9.1重量%、深さ:23μmのCo富
化帯域が形成されており、残りの超硬基体CおよびEに
は、前記Co富化帯域の形成がなく、全体的に均質な組
織をもつものであった。なお、表1には、上記超硬基体
A〜Eの内部硬さ(ロックウエル硬さAスケール)をそ
れぞれ示した。
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、平
均粒径:2.8μmを有する中粒WC粉末、同4.9μ
mの粗粒WC粉末、同1.5μmの(Ti,W)C(重
量比で、以下同じ、TiC/WC=30/70)粉末、
同1.2μmの(Ti,W)CN(TiC/TiN/W
C=24/20/56)粉末、同1.2μmの(Ta,
Nb)C(TaC/NbC=90/10)粉末、および
同1.1μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末を表
1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間
湿式混合し、乾燥した後、ISO・CNMG12040
8(超硬基体A〜D用)および同SEEN42AFTN
1(超硬基体E用)に定める形状の圧粉体にプレス成形
し、この圧粉体を同じく表1に示される条件で真空焼結
することにより超硬基体A〜Eをそれぞれ製造した。さ
らに、上記超硬基体Bに対して、100torrのCH
4 ガス雰囲気中、温度:1400℃に1時間保持後、徐
冷の滲炭処理を施し、処理後、超硬基体表面に付着する
カーボンとCoを酸およびバレル研磨で除去することに
より、表面から11μmの位置で最大Co含有量:1
5.9重量%、深さ:42μmのCo富化帯域を基体表
面部に形成した。また、上記超硬基体AおよびDには、
焼結したままで、表面部に表面から17μmの位置で最
大Co含有量:9.1重量%、深さ:23μmのCo富
化帯域が形成されており、残りの超硬基体CおよびEに
は、前記Co富化帯域の形成がなく、全体的に均質な組
織をもつものであった。なお、表1には、上記超硬基体
A〜Eの内部硬さ(ロックウエル硬さAスケール)をそ
れぞれ示した。
【0008】ついで、これらの超硬基体A〜Eの表面
に、ホーニングを施した状態で、通常の化学蒸着装置を
用い、表2(表中のl−TiCNは特開平6−8010
号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつものであ
り、また同p−TiCNは通常の粒状結晶組織をもつも
のである)および表3[表中のAl2 O3 (a)〜
(k)はAl2 O3 系化合物層を示し、Al2 O
3 (l)はAl2 O3 層を示す。これは表4、5におい
ても同じ]に示される条件にて、表4、5に示される組
成および目標層厚(切刃の逃げ面での層厚)の硬質被覆
層を形成することにより本発明被覆超硬工具1〜13お
よび従来被覆超硬工具1〜10をそれぞれ製造した。こ
の結果得られた各種の被覆超硬工具の硬質被覆層を構成
するAl2 O3 系化合物層およびAl2 O3 層(なお、
表6、7には、これらを総称してAl2 O3層で示す)
について、切刃の逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の
最大層厚を測定し、さらに前記エッジ部からそれぞれ1
mm内側の箇所の逃げ面とすくい面における層厚を測定し
た。この測定結果を表6、7に示した。なお、硬質被覆
層を構成するAl2 O3 系化合物層およびAl2 O3 層
以外のその他の層の層厚には、いずれも局部的バラツキ
がほとんどなく、目標層厚とほぼ同じ値を示すものであ
った。
に、ホーニングを施した状態で、通常の化学蒸着装置を
用い、表2(表中のl−TiCNは特開平6−8010
号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつものであ
り、また同p−TiCNは通常の粒状結晶組織をもつも
のである)および表3[表中のAl2 O3 (a)〜
(k)はAl2 O3 系化合物層を示し、Al2 O
3 (l)はAl2 O3 層を示す。これは表4、5におい
ても同じ]に示される条件にて、表4、5に示される組
成および目標層厚(切刃の逃げ面での層厚)の硬質被覆
層を形成することにより本発明被覆超硬工具1〜13お
よび従来被覆超硬工具1〜10をそれぞれ製造した。こ
の結果得られた各種の被覆超硬工具の硬質被覆層を構成
するAl2 O3 系化合物層およびAl2 O3 層(なお、
表6、7には、これらを総称してAl2 O3層で示す)
について、切刃の逃げ面とすくい面の交わるエッジ部の
最大層厚を測定し、さらに前記エッジ部からそれぞれ1
mm内側の箇所の逃げ面とすくい面における層厚を測定し
た。この測定結果を表6、7に示した。なお、硬質被覆
層を構成するAl2 O3 系化合物層およびAl2 O3 層
以外のその他の層の層厚には、いずれも局部的バラツキ
がほとんどなく、目標層厚とほぼ同じ値を示すものであ
った。
【0009】さらに、いずれも切刃の耐欠損性を評価す
る目的で、上記本発明被覆超硬工具1〜4および従来被
覆超硬工具1,2については、 被削材:JIS・SCM440の丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1.5mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での合金鋼の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での合金鋼の乾式断続切削試験
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測
定した。
る目的で、上記本発明被覆超硬工具1〜4および従来被
覆超硬工具1,2については、 被削材:JIS・SCM440の丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1.5mm、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での合金鋼の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での合金鋼の乾式断続切削試験
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測
定した。
【0010】また、同じく本発明被覆超硬工具5、6お
よび従来被覆超硬工具3、4については、 被削材:J
IS・SCr420の丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1.5mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での合金鋼の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・SCr420の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での合金鋼の乾式断続切削試験
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測
定した。
よび従来被覆超硬工具3、4については、 被削材:J
IS・SCr420の丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1.5mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での合金鋼の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・SCr420の長さ方向等間隔4本縦
溝入り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での合金鋼の乾式断続切削試験
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測
定した。
【0011】同じく本発明被覆超硬工具7、8および従
来被覆超硬工具5、6については、 被削材:JIS・S45Cの丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1.5mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での炭素鋼の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・S45Cの長さ方向等間隔4本縦溝入
り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での炭素鋼の乾式断続切削試験
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測
定した。
来被覆超硬工具5、6については、 被削材:JIS・S45Cの丸棒、 切削速度:350m/min.、 切込み:1.5mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での炭素鋼の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・S45Cの長さ方向等間隔4本縦溝入
り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での炭素鋼の乾式断続切削試験
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測
定した。
【0012】同じく本発明被覆超硬工具9〜11および
従来被覆超硬工具7,8については、 被削材:JIS・FC200の丸棒、 切削速度:450m/min.、 切込み:1.5mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での鋳鉄の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・FC200の長さ方向等間隔4本縦溝
入り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での鋳鉄の乾式断続切削試験を
行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定
した。
従来被覆超硬工具7,8については、 被削材:JIS・FC200の丸棒、 切削速度:450m/min.、 切込み:1.5mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:10分、の条件での鋳鉄の乾式連続切削試
験、並びに、 被削材:JIS・FC200の長さ方向等間隔4本縦溝
入り丸棒、 切削速度:150m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.3mm/rev.、 切削時間:5分、の条件での鋳鉄の乾式断続切削試験を
行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定
した。
【0013】さらに同じく本発明被覆超硬工具12,1
3および従来被覆超硬工具9,10については、 被削材:幅100mm×長さ500mmの寸法をもった
JIS・SCM440の角材、 使用条件:直径125mmのカッターに単刃取り付け、 回転数:510r.p.m.、 切削速度:200m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.2mm/刃、 切削時間:3パス(1パスの切削時間:5.3分)、の
条件で合金鋼の乾式フライス切削(断続切削)試験を行
い、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これらの測定結果
を表6、7に示した。
3および従来被覆超硬工具9,10については、 被削材:幅100mm×長さ500mmの寸法をもった
JIS・SCM440の角材、 使用条件:直径125mmのカッターに単刃取り付け、 回転数:510r.p.m.、 切削速度:200m/min.、 切込み:2mm.、 送り:0.2mm/刃、 切削時間:3パス(1パスの切削時間:5.3分)、の
条件で合金鋼の乾式フライス切削(断続切削)試験を行
い、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。これらの測定結果
を表6、7に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】
【表5】
【0019】
【表6】
【0020】
【表7】
【0021】
【発明の効果】表6、7に示される結果から、いずれも
不活性ガス系反応ガスを用いて、積極的にZrおよび/
またはHfと、Clと、Nを含有させたAl2 O3 系化
合物層を含む硬質被覆層を形成してなる本発明被覆超硬
工具1〜13は、前記Al2 O 3 系化合物層の層厚に、
これを厚膜化しても局部的バラツキがきわめて少なく、
切刃の逃げ面、すくい面、および逃げ面とすくい面の交
わるエッジ部の層厚が均一化しているのに対して、前記
Al2 O3 層の形成に水素系反応ガスを用いて製造され
た従来被覆超硬工具1〜10においては、逃げ面、すく
い面、およびエッジ部における層厚のバラツキが著し
く、この結果として本発明被覆超硬工具1〜13は、前
記Al2 O3 系化合物層が硬質被覆層を構成するTi炭
・窒・酸化物層に対してすぐれた密着性を示すと共に、
Al2 O3 層と同等のすぐれた耐酸化性と熱的安定性、
および高硬度を有することと相まって、鋼および鋳鉄の
連続切削ですぐれた耐摩耗性を示すほか、特に断続切削
で、従来被覆超硬工具1〜10に比して一段とすぐれた
耐欠損性を示すことが明らかである。上述のように、こ
の発明の被覆超硬工具は、これの硬質被覆層を構成する
Al 2 O3 系化合物層に、これを厚膜化しても、局部的
バラツキがきわめて少なく、かつ他の構成層に対する層
間密着性にもすぐれていることから、例えば鋼や鋳鉄な
どの連続切削は勿論のこと、特に断続切削においてすぐ
れた耐欠損性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を
発揮するので、切削加工のFA化および省力化に満足に
対応することができるものである。
不活性ガス系反応ガスを用いて、積極的にZrおよび/
またはHfと、Clと、Nを含有させたAl2 O3 系化
合物層を含む硬質被覆層を形成してなる本発明被覆超硬
工具1〜13は、前記Al2 O 3 系化合物層の層厚に、
これを厚膜化しても局部的バラツキがきわめて少なく、
切刃の逃げ面、すくい面、および逃げ面とすくい面の交
わるエッジ部の層厚が均一化しているのに対して、前記
Al2 O3 層の形成に水素系反応ガスを用いて製造され
た従来被覆超硬工具1〜10においては、逃げ面、すく
い面、およびエッジ部における層厚のバラツキが著し
く、この結果として本発明被覆超硬工具1〜13は、前
記Al2 O3 系化合物層が硬質被覆層を構成するTi炭
・窒・酸化物層に対してすぐれた密着性を示すと共に、
Al2 O3 層と同等のすぐれた耐酸化性と熱的安定性、
および高硬度を有することと相まって、鋼および鋳鉄の
連続切削ですぐれた耐摩耗性を示すほか、特に断続切削
で、従来被覆超硬工具1〜10に比して一段とすぐれた
耐欠損性を示すことが明らかである。上述のように、こ
の発明の被覆超硬工具は、これの硬質被覆層を構成する
Al 2 O3 系化合物層に、これを厚膜化しても、局部的
バラツキがきわめて少なく、かつ他の構成層に対する層
間密着性にもすぐれていることから、例えば鋼や鋳鉄な
どの連続切削は勿論のこと、特に断続切削においてすぐ
れた耐欠損性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を
発揮するので、切削加工のFA化および省力化に満足に
対応することができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大鹿 高歳 埼玉県大宮市北袋町1−297 三菱マテリ アル株式会社総合研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 炭化タングステン基超硬合金基体の表面
に、酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム
系化合物層を含む硬質被覆層を3〜20μmの平均層厚
で化学蒸着および/または物理蒸着してなる表面被覆超
硬合金製切削工具にして、前記酸化アルミニウム系化合
物層が、重量%で、 Zrおよび/またはHf:0.5〜10%、 Cl:0.005〜0.1%、 N:0.001
〜0.1%、を含有することを特徴とする耐欠損性のす
ぐれた表面被覆超硬合金製切削工具。 - 【請求項2】 炭化タングステン基超硬合金基体の表面
に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、酸化物
層、炭酸化物層、窒酸化物層、および炭窒酸化物層のう
ちの1種または2種以上と、酸化アルミニウムを主成分
とする酸化アルミニウム系化合物層とからなる硬質被覆
層を3〜20μmの平均層厚で化学蒸着および/または
物理蒸着してなる表面被覆超硬合金製切削工具にして、
前記酸化アルミニウム系化合物層が、重量%で、 Zrおよび/またはHf:0.5〜10%、 Cl:0.005〜0.1%、 N:0.001
〜0.1%、を含有することを特徴とする耐欠損性のす
ぐれた表面被覆超硬合金製切削工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09994296A JP3240919B2 (ja) | 1996-04-22 | 1996-04-22 | 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09994296A JP3240919B2 (ja) | 1996-04-22 | 1996-04-22 | 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09285902A true JPH09285902A (ja) | 1997-11-04 |
JP3240919B2 JP3240919B2 (ja) | 2001-12-25 |
Family
ID=14260774
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09994296A Expired - Fee Related JP3240919B2 (ja) | 1996-04-22 | 1996-04-22 | 耐欠損性のすぐれた表面被覆超硬合金製切削工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3240919B2 (ja) |
-
1996
- 1996-04-22 JP JP09994296A patent/JP3240919B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3240919B2 (ja) | 2001-12-25 |
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