JPH0928369A - ビール濾過方法 - Google Patents

ビール濾過方法

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JPH0928369A
JPH0928369A JP7207799A JP20779995A JPH0928369A JP H0928369 A JPH0928369 A JP H0928369A JP 7207799 A JP7207799 A JP 7207799A JP 20779995 A JP20779995 A JP 20779995A JP H0928369 A JPH0928369 A JP H0928369A
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勝弘 野口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜の厚さ方向の孔径に異方性を有する精密濾
過膜を用いる周期逆洗技術において、ビール発酵終了液
の濾過に使用した膜を洗浄して再度使用する場合の、再
生膜の目詰まりを防止することで濾過量を向上させる技
術を開発して、実用的なビール濾過技術を提供すること
にある。 【構成】 膜の厚さ方向の孔径に異方性を有する精密濾
過膜を用い、周期的逆洗を伴って濾過原液を濾過するビ
ール濾過方法であって、前記濾過の対象となる濾過原液
が、麦汁製造のための仕込工程でβ−グルカナーゼ処理
をおこなって得られた麦汁を用いて製造されたビール発
酵終了液であるように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビール発酵液の濾
過技術つまり、後発酵を経て熟成したビール発酵終了液
中の酵母、タンパク質等の不溶物を除去して清澄な製品
ビールを製造する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般的に、ビール発酵液の濾過に際
しては、珪藻土を濾過助剤として用いる濾過方法が用い
られている。この方法は珪藻土によって濾過層を形成し
つつ、これによって生じた隙間で不溶物を濾過する方法
である。
【0003】しかしながら、この方法では濾過助剤の珪
藻土を再使用することができず廃棄されてしまうので、
資源の有効活用という面でも問題がある上に、使用済み
珪藻土の処理費用が大きいという点でも問題がある。
【0004】このような問題に対処するために、特開昭
62−3782号公報および特開昭62−213817
号公報には、多孔質フィルターを用いたいわゆるクロス
フロー濾過方法が提案されている。しかしながら、クロ
スフロー濾過では、珪藻土などの濾過助剤を用いる濾過
に比べて膜透過流束が非常に小さくなるという欠点を有
しており、大量の発酵液を処理することを目的としたビ
ール濾過工程においては実用上問題があった。また、こ
の方法では、定速に濾過を行うための制御が難しいと
か、ビールを循環することによって生じる沈澱によって
目詰まりが生じるといった基本的な技術課題も依然とし
て残されている。
【0005】最近になって、特殊な精密濾過膜を用いて
周期的に逆洗を行う濾過方法が提案されている(例え
ば、特開平4−317723号公報等)。この方法は、
膜厚さ方向の孔径に異方性を有する精密濾過膜を使用す
ることに特徴がある。そして、この膜を用いると目詰ま
りが著しく改善されること、さらには周期的に逆洗する
ことによって全く未濾過のビール発酵終了液でも実用的
に濾過が達成できるとされており、本技術は、従来の濾
過技術の問題点を解決できる極めて優秀な技術である。
しかしながら、本発明者らが、実際のビール発酵終了液
を濾過処理する実験をしたところ、新品の膜の状態では
目詰まりするまでの総濾過量が充分得られるものの、使
用した膜を洗浄して再生した膜を使用する場合には総濾
過量が非常に少なくなり、このままの技術ではコストに
見合うだけの濾過処理が行えないことが明らかになっ
た。
【0006】周期逆洗濾過技術における目詰まりを防止
するためには、逆洗液にタンパク質分解酵素あるいはセ
ルロース分解酵素を添加する方法も提案されている(特
開平4−267933号公報等)。しかしながら、ビー
ル発酵終了液を濾過の対象とする場合、洗浄して再生し
た膜に対する目詰り防止効果というものはそれほど期待
できるものではなかった。
【0007】一方、従来行われている珪藻土を濾過助剤
として用いるビール発酵終了液の濾過方法においてもし
ばしば濾過困難の問題が生じるので、その対策が多く考
えられている。例えば、シリカゲル、シリカゾルあるい
はPVPP(ポリビニルポリピロリドン)等によって濾
過性を悪化させる物質を吸着する方法は古くから知られ
ており、一部は実用化されている。また、後発酵時にシ
リカゾルを添加した後、遠心分離する方法がドイツ公開
特許3231240号に提案されている。また、ビール
原料の麦汁をβー グルカナーゼやキシラナーゼによる酵
素処理して濾過助剤の濾過性改良をおこなう方法も知ら
れている(例えば特公平6−97984号公報等)。
【0008】しかしながら、これらはあくまでも従来の
珪藻土濾過における一次的な目詰まりを防止するもので
あった。
【0009】したがって、精密濾過膜を用いて周期的に
逆洗をおこなう濾過方法であって、ビール発酵終了液の
濾過に使用した膜を洗浄して得られた再生膜の目詰まり
をも防止する方法は全く知られていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような実状のもと
に本発明は創案されたものであり、その目的は、膜の厚
さ方向の孔径に異方性を有する精密濾過膜を用いる周期
逆洗技術において、ビール発酵終了液の濾過に使用した
膜を洗浄して再度使用する場合の、再生膜の目詰まりを
防止することで濾過量を向上させる技術を開発して、実
用的なビール濾過技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、精密濾過
膜を用いる周期的逆洗を伴って濾過する方法を改良すべ
く、鋭意検討をおこなった結果、濾過原液として仕込工
程でβ−グルカナーゼ処理をおこなって得られた麦汁を
用いて製造したビール発酵終了液を用いれば、再生膜を
用いた場合でも目詰まりする事なく充分な総濾過量を得
ることができることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0012】すなわち、本発明は膜の厚さ方向の孔径に
異方性を有する精密濾過膜を用い、周期的逆洗を伴って
濾過原液を濾過するビール濾過方法であって、前記濾過
の対象となる濾過原液が、麦汁製造のための仕込工程で
β−グルカナーゼ処理をおこなって得られた麦汁を用い
て製造されたビール発酵終了液であるように構成され
る。
【0013】より好ましい態様として、前記膜の厚さ方
向の孔径に異方性を有する精密濾過膜は、濾過原液が最
初に膜に接する入口側表面の孔径が4〜30μm、膜の
最緻密層の孔径が0.8〜4.0μmであるように構成
される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のビール濾過方法の
具体的構成について詳細に説明する。
【0015】本発明における第一の特徴点は、精密濾過
膜を再生した再生膜を使用しても、すぐに目詰まりが生
じることなく十分な総濾過量が得られるように、濾過の
対象液であるビール発酵終了液を作るに至るまでの途中
の、麦汁製造のための仕込工程に創意を凝らした点にあ
る。
【0016】すなわち、本発明において、麦汁製造のた
めの仕込工程では、β−グルカナーゼの投入によるβ−
グルカナーゼ処理(酵素処理)が行われる。麦汁製造の
ための仕込工程とは、粉砕した麦芽(および澱粉質副原
料)を温水と混合し、これを麦芽自体のもつ酵素によっ
て低分子化してもろみ(マイシュ)に変える工程をい
う。この仕込工程で用いられるβ−グルカナーゼは、ア
スペルギラス由来のもの、バチラス由来のもの、ペニシ
リウム由来のものなど、β−グルカンを加水分解できる
ものであればいずれでも使用可能であるが、フミコラ・
インソレンス由来のβ−グルカナーゼが至適温度範囲が
広い点で最も好ましい。
【0017】添加する酵素量は使用する麦芽100kg
あたり250〜5000FBU (Fungal Beta Glucanase
unit) 使用すればよく、好ましい添加量は500〜10
00FBU である。酵素の添加は、仕込時期のいずれの時
期でもよいが、酵素反応を充分おこなうためには、粉砕
した麦芽を温水とともに糖化槽に入れる際に同時に添加
することが好ましい。仕込温度は、通常行われているよ
うに最初45〜55℃位に保った後、米、澱粉等の副原
料を加えて60〜70℃位に上昇させればよい。
【0018】このようにしてできたもろみから麦汁を製
造して、通常のビール製造通り、主発酵および後発酵を
おこなって、ビール発酵終了液を製造する。
【0019】このようにして得られたビール発酵終了液
は、次いで、膜の厚さ方向の孔径に異方性を有する精密
濾過膜を用い、周期的逆洗を伴う濾過方法に供される。
【0020】ここでいう周期的逆洗を伴う濾過方法と
は、精密濾過膜を用いて濾過原液を濾過する際に、ある
時間毎に濾過膜の透過液側から圧力を加え透過液側から
原流体側へ(逆方向へ)流体を流すことによって目詰ま
り物質を断続的に取り除きながら濾過をおこなうもので
ある。
【0021】また、ここでいう膜の厚さ方向の孔径に異
方性を有する精密濾過膜とは、膜の片面から反対方向に
連続的に孔径が変化しているようなものや、膜内部や膜
外部に最小孔径が存在するもの(最緻密層)等があげら
れる。
【0022】異方性構造の膜を形成する代表的な膜材料
(ポリマー)としては、酢酸セルロースやポリスルホン
が挙げられるが、さらにポリ塩化ビニルとポリフッ化ビ
ニリデン等も異方性構造を形成する。このような異方性
構造を有する精密濾過膜の製造は、上記のポリマーを
良溶媒、あるいは良溶媒と非溶媒の混合溶媒、あるい
はポリマーに対する溶解性の程度が異なる複数種の溶
媒を混合させたもの、に溶解させて製膜原液を作製し、
これを支持体上に、または直接凝固液中に流延し、洗浄
乾燥して行われる。
【0023】この場合に、上記ポリマーを溶解させる溶
媒(良溶媒)の好適具体例としては、ジクロロメタン、
アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、スルホラン等を挙げることができ
る。
【0024】このような溶媒に添加され得る非溶媒の具
体例としては、セロソルブ類;メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、
グリセリン、エチルグリコール等のポリオール類等が挙
げられる。非溶媒の良溶媒に対する割合は、混合液が均
一状態を保てる範囲ならばいかなる範囲でも良いが、特
に、5〜50重量部の範囲が好ましい。
【0025】また、膜の多孔質構造を制御するために、
膨張剤と称される無機電解液、有機電解液、高分子電解
液等を加えることもできる。使用できる電解質として
は、食塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリ
ウム、塩化亜鉛、臭化マグネシウム等の無機酸の金属
塩;酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酪酸カリウム等
の有機酸塩類;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルベンジルトリメチルア
ンモニウムクロライド等の高分子電解液;ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム、アルキルメチルタウリン酸ナ
トリウム等のイオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0026】これらの電解質は単独でポリマー溶液に加
えてもある程度の効果を示すものもあるが、これらの電
解質を水溶液として添加する場合には特に顕著な効果を
示すことがある。電解質水溶液の添加量は添加によって
溶液の均一性が失われない範囲において特に制限はない
が、通常、溶媒に対して0.5重量部から10容量%で
ある。また、電解質水溶液の濃度についても特に制限は
なく、濃度の大きい方が効果は大きいが、通常用いられ
る濃度としては、1〜60重量部である。
【0027】製膜原液としての前記ポリマー濃度は5〜
35重量%、好ましくは、10〜30重量%である。こ
の値が35重量%を超えると得られる微孔性膜の透水性
が実用的な意味を持たない程に小さくなり過ぎてしまう
という不都合が生じる。また、この値が5重量%未満と
なると十分な分離能力を持った精密濾過膜が得られない
という不都合が生じる。
【0028】上記のようにして調整された製膜原液は支
持体の上に流延され、流延直後あるいは一定時間をおい
て凝固液の中に支持体ごとポリマー溶液膜が浸漬させら
れる。凝固液としては水が一般的に用いられるが、ポリ
マーを溶解しない有機溶媒を用いても良い。有機溶媒は
2種以上を混合して用いてもよい。支持体としては、通
常、精密濾過膜を製造する場合に支持体としての機能を
有するものすべてが使用可能であるが、特に、不織布を
使用した場合には支持体を剥す必要がないので好まし
い。使用できる不織布としては、ポリプロピレン、ポリ
エステル等からなる一般的なものを挙げることができ
る。
【0029】凝固液の浴中でポリマーが析出した流延膜
は、水洗、温水洗浄、溶剤洗浄等を経て乾燥される。
【0030】このように作製された厚さ方向の孔径に異
方性を有する精密濾過膜は、ビールの有効な濾過を実現
させるために、濾過原液が最初に膜に接する入口側表面
の孔径が4〜30μm、膜内部もしくは出口側に存在す
る最緻密層(最も小さな孔径が分布する層)の孔径が
0.8〜4.0μmとすることが好ましい。さらに、除
菌の観点からは最緻密層の孔径は0.8〜1.2μm程
度が、また酵母などの懸濁物質を捕捉して大きな総濾過
量をえるために入口側の孔径は24〜30μm程度が最
も好ましい。
【0031】濾過流束は、低ければ濾過差圧の上昇が防
止できて濾過時間の延長が可能であるが、膜コストに見
合う効率的な濾過をおこなうためには、100L/m2
・h位が妥当である。
【0032】目詰まりの指標としては濾過差圧値を使用
する。濾過差圧とは原流体側の圧力と透過液側圧力との
差であって、0.2〜0.3kg/cm2 以下であれ
ば、充分な濾過流束が得られるが、それを超えると膜の
洗浄の必要となり、洗浄して再生された再生膜によって
再度濾過が行われる。
【0033】濾過膜の再生は、一般に使用されている洗
浄方法であればいずれも使用可能であるが、ビール工場
で使用することから安全性が高いことおよび洗浄効果が
高いことが必要である。その点から、例えば、まず、2
%水酸化ナトリウム水溶液に次亜塩素酸100ppm添
加した液を50℃にして1時間400L/m2 ・hで正
洗した後に、引き続き2%硝酸水溶液に2%加酸化水素
を添加した液を60℃にして1時間400L/m2 ・h
で正洗して最終的に水で洗浄する方法や、2%のβ−グ
ルカナーゼと2%のプロテアーゼを混合して2時間浸せ
きした後、湯洗浄、水洗浄をおこなうなどの方法が考え
られる。
【0034】なお、上記作製された精密濾過膜は、通
常、プリーツカートリッジ、平膜積層構造カートリッジ
等公知のモジュールに組み立てられて濾過に供される。
【0035】また、本発明においては、周期的な逆洗を
伴って濾過が行われるわけであるが、逆洗の周期や、逆
洗時間は特に制限はなく、最適な生産性を等考慮しつつ
適宜設定すればよい。
【0036】図7には、周期的逆洗をしながら濾過をす
るための概略プロセス図が示される。この図において、
濾過原液4はポンプ2によって濾過器ハウジング1に送
られ、濾過されたろ液は濾過液貯蔵タンク5に送られ
る。そして、一定時間の濾過が行われ次第に濾過圧力が
高くなると、ポンプ2を停止させて、フィルターの一次
側にガス供給口7からガスを導入して残留している液を
二次側へ押し出す。ついで、ポンプ3によって逆洗液6
は濾過器ハウジング1に送られ、逆洗液排出口へ捕捉し
た粒子ケークを押し出す。今度はフィルター二次側から
ガスを導入し、残留している逆洗液を排出口に押し出し
た後、再びポンプ2によって濾過を再開する。
【0037】ハウジング1内に残留している逆洗液の除
去は、このあとにさらに抗生物質やアミノ酸を用いる精
製工程が存在する場合には省略してもよい。逆洗液とし
ては通常、水が使用されるが、ろ液を使用することもで
きる。
【0038】
【実施例】以下に、具体的実施例を示して本発明をさら
に詳細に説明する。
【0039】〔実施例1〕麦芽350kgを粉砕して5
0℃の熱水に入れ、さらにそこにβ−グルカナーゼ(ノ
ボ社製「ウルトラフロー」( 50FBU/mL) )を70mL
添加した。これを50℃で1時間放置した後、副原料で
ある米45kg、コーングリッツ35kgおよびコーン
スターチ20kgをあらかじめ米煮沸釜で煮たものを添
加して45℃から70℃まで昇温してその温度で1時間
経過させて、もろみを完成させた。
【0040】このもろみを用いて通常通りの方法で、麦
汁濾過、麦汁煮沸およびホップ添加をおこなって原料麦
汁2000Lを調製した。これに下面ビール酵母を添加
させて主発酵、後発酵をおこなった。
【0041】ついで、富士写真フィルム社製のプリーツ
カートリッジ型のポリスルホン製異方性精密濾過膜(入
口孔径約27μm、細孔径0.87μm、膜面積0.4
5m2 、膜厚180〜240μm)を用いて、得られた
発酵終了液を濾過開始時点の濾過流束を100L/m2
・時間に設定し、30分間毎に30秒間の逆洗を行いな
がら20時間、濾過をおこなった。濾過流束の変化を図
1のグラフに示す。この結果から、ポンプ定電圧のもと
では開始20時間まで濾過流束100L/m2・時間が
得られることが判明した。
【0042】なお、得られた製品ビールは香味的にも優
れており、通常ビールと遜色ないものであった。
【0043】〔実施例2〕実施例1と同様な方法で10
時間濾過に使用した膜を、2%水酸化ナトリウム水溶液
に次亜塩素酸100ppm添加した液を50℃にして1
時間正洗した後に、引き続き2%硝酸水溶液に2%加酸
化水素を添加した液を60℃にして1時間正洗して最終
的に水で洗浄することで再生をおこなった。
【0044】この再生された膜を用いて、実施例1と同
様な発酵終了液を、実施例1と同一条件で濾過をおこな
った。その結果、再度開始してから10時間まで、濾過
流束は100L/m2 ・時間が保持可能であった。
【0045】さらに、これと全く同様にして、洗浄によ
る膜の再生−濾過を交互に7回繰り返して実験をおこな
った。いずれの再生膜でも濾過流束は充分に保持可能で
あった。また、図2に示されるように濾過差圧の上昇は
軽微であり、洗浄3回目以降はその濾過差圧の上昇もほ
とんど観察されなかった。
【0046】1回の濾過による総濾過量が、膜面積1m
2 あたり1000L以上であれば、ビール工場現場でも
実用可能な技術であると考えられ、本法によると再生膜
についても開始10時間でその量が得られることから、
充分に実用に耐え得る技術であると判断された。
【0047】〔比較例1〕β−グルカナーゼを添加しな
い点を除いて、実施例1で述べた方法と全く同様に製造
したビール発酵終了液を濾過原液とした。
【0048】使用した膜の性質を含む濾過条件および洗
浄条件は、上記実施例1および実施例2と同一として、
洗浄による膜の再生−濾過を交互に5回繰り返して実験
をおこなった。
【0049】新品の膜を使用した場合の濾過流束の経時
変化および再生膜を使用した場合の濾過差圧の経時変化
を、図3および図4にそれぞれ示した。
【0050】図3に示されるように、新品の膜を使用し
た場合でも、開始7時間頃から濾過流束が落ち始め、濾
過開始から18時間頃には14L/m2 ・時間しか得ら
れなくなった。
【0051】また、図4に示されるように、再生膜を使
用した場合は、目詰まりがさらに顕著になり、濾過差圧
が開始してすぐに上昇をしはじめた。2回再生した膜で
4時間、再生3回目以降は3時間経過すると濾過流束が
所定の100L/m2 ・時間を保持できなくなることが
判明した。
【0052】したがって、再生膜を使用した場合、膜面
積1m2 あたりの総濾過量はせいぜい300Lであって
実用的ではない。
【0053】〔比較例2〕β−グルカナーゼを添加しな
い点を除いて、実施例1で述べた方法と全く同様に製造
したビール主発酵終了液に対して、シリカゾル150p
pmを添加して後発酵をおこなった後、約3000gで
連続遠心分離処理をおこない、その分離液を濾過原液と
した。
【0054】使用した膜の性質を含む濾過条件および洗
浄条件は、上記実施例1および実施例2と同一として、
浄による膜の再生−濾過を交互に6回繰り返して実験を
おこなった。
【0055】新品の膜を使用した場合の濾過流束の経時
変化および再生膜を使用した場合の濾過差圧の経時変化
を、図5および図6にそれぞれ示した。
【0056】図5に示されるように、ある程度の目詰ま
り防止効果が確認され、新品の膜であれば開始12時間
は所定の濾過流束100L/m2 ・時間を保持できた。
【0057】しかし、図6に示されるように、再生膜を
使用した場合には、濾過を開始してすぐに濾過差圧が上
昇しはじめることが確認された。その差圧上昇速度は再
生回数毎に徐々に速くなり、3回再生した膜で8時間、
4回再生した膜では5時間経過すると定速濾過の場合差
圧の急上昇が予測され、濾過流束が所定の100L/m
2 ・時間を保持できなくなることが判明した。したがっ
て、4回以上再生した膜では膜面積1m2 あたり500
Lしか濾過できないことになる。
【0058】この結果より、濾過助剤を用いる濾過の際
の目詰まり防止策としては充分な効力を発揮するシリカ
ゾルと遠心分離の組み合わせに関しても、精密濾過膜を
用いた周期逆洗濾過において、膜を洗浄−再生して使用
する場合にはほとんど目詰まり防止効果がないことがわ
かった。
【0059】
【発明の効果】上記の実施例の結果より本発明の効果は
明らかである。すなわち、本発明では仕込工程でβ−グ
ルカナーゼ処理をおこなって得られた麦汁を用いて製造
したビール発酵終了液を、精密濾過膜を用いて周期的逆
洗を伴って濾過するように構成しているので、洗浄によ
り再生した膜でも充分な総濾過量が得られて、実用的な
濾過が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】再生前の新膜を使用した場合の濾過流速の経時
変化を示すグラフである。
【図2】本発明における濾過差圧の経時変化を洗浄回数
をパラメータとして表示したグラフである。
【図3】比較例1において、再生前の新膜を使用した場
合の濾過流速の経時変化を示すグラフである。
【図4】比較例1において、濾過差圧の経時変化を洗浄
回数をパラメータとして表示したグラフである。
【図5】比較例2において、再生前の新膜を使用した場
合の濾過流速の経時変化を示すグラフである。
【図6】比較例2において、濾過差圧の経時変化を洗浄
回数をパラメータとして表示したグラフである。
【図7】周期的逆洗をしながら濾過をするための概略プ
ロセスを示す図である。
【符号の説明】
1…濾過器ハウジング 2,3…ポンプ 4…濾過原液 5…濾過液貯蔵タンク 6…逆洗液

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜の厚さ方向の孔径に異方性を有する精
    密濾過膜を用い、周期的逆洗を伴って濾過原液を濾過す
    るビール濾過方法であって、 前記濾過の対象となる濾過原液が、麦汁製造のための仕
    込工程でβ−グルカナーゼ処理をおこなって得られた麦
    汁を用いて製造されたビール発酵終了液であることを特
    徴とするビール濾過方法。
  2. 【請求項2】 前記膜の厚さ方向の孔径に異方性を有す
    る精密濾過膜は、濾過原液が最初に膜に接する入口側表
    面の孔径が4〜30μm、膜の最緻密層の孔径が0.8
    〜4.0μmである請求項1記載のビール濾過方法。
  3. 【請求項3】 前記膜の厚さ方向の孔径に異方性を有す
    る精密濾過膜は、洗浄によって再生された再生膜である
    請求項1または請求項2記載のビール濾過方法。
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