JP3637751B2 - 再生限外瀘過エレメント - Google Patents
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Description
【発明の分野】
本発明は、膜劣化によって性能の低下した複合逆浸透膜エレメントから再生された限外濾過エレメントに関する。本発明はさらに詳しくは、性能劣化した複合逆浸透膜の活性層を分解除去して再生された限外濾過エレメントに関する。このような複合逆浸透膜エレメントの再生処理により、従来、膜劣化により性能が低下し廃棄されていた逆浸透膜エレメントの再利用が可能になる。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に広く用いられている逆浸透膜としては、酢酸セルロースの非対称膜があり、特にロブ型膜(例えば、米国特許第3,133,132号、米国特許第3,133,137号)が広く知られている。また、これとは構造の異なる逆浸透膜として、実質的に選択分離性のある活性薄膜を微孔性支持膜上に形成してなる複合逆浸透膜も知られている。
【0003】
このような複合逆浸透膜として、具体的には多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミド薄膜を支持膜上に形成したもの(例えば、特開昭55-147106号、特開昭62−121603号、特開昭63−218208号、特開平2−187135号等)、あるいは多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られたポリアミドからなる薄膜を支持膜上に形成したものが知られている(例えば、特開昭61-42308号等)。
【0004】
通常、これらの逆浸透膜はスパイラル状等の形態にエレメント化され、各種用途に使用されている。これら逆浸透膜エレメントは使用により膜汚染が生じると、汚染除去のため洗浄が行われる。しかしながら、逆浸透膜は、このような洗浄の繰り返し等により徐々に劣化し(阻止性能の低下や透過水量の増加(又は低下))、ついには当初の規格値の範囲の性能が得られなくなり、新規エレメントと交換して廃棄されるに至る。逆浸透膜の阻止性能の低下に対しては、運転中に阻止性能回復剤として各種水溶性高分子溶液を添加することも行われているが根本的な再生方法とは言えない。
【0005】
近年、環境保全に対する取り組みが重要視され、使用済の逆浸透膜エレメントについても産業廃棄物低減の観点からその再生が強く求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜性能が低下し従来は使用不能として破棄されていた逆浸透エレメントを再生、利用する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題について種々検討を行った結果、逆浸透膜の活性層を除去することにより限外濾過膜として使用可能であるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、膜劣化した複合逆浸透膜エレメントの膜表面を、酸化剤水溶液、還元剤水溶液及び、酸又はアルカリ水溶液から選ばれた少なくとも1種の溶液により処理して、膜表面の活性層を除去し得られた限外濾過エレメントを提供するものである。
【0009】
【発明の詳述】
本発明の再生方法によれば、種々のポリアミド系、ポリウレア系等の逆浸透膜及び複合逆浸透膜、特に界面重合法により製膜された逆浸透膜を限外濾過膜として再生することができる。
【0010】
再生に用いられる逆浸透膜は、従来公知の方法によって得られたものであってよい。このような逆浸透膜としては、例えば、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン等の反応性アミノ基を有するモノマー及び/又は、ポリマーの水溶液を多孔性ポリスルホン支持膜の少なくとも片面に塗布した後、トリメシン酸クロライド等の多官能酸クロライドのヘキサン溶媒等と接触させることで、多孔性ポリスルホン支持膜上にて界面重合を行なわせ脱塩性能を有する皮膜を形成させた複合逆浸透膜などが挙げられる。
【0011】
性能の低下した前記の複合逆浸透膜エレメントを処理するには、まずエレメントを水性処理液にて処理し、性能の低下した活性層を除去する。ここで活性層を除去する処理液としては、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、硝酸、オゾンなどの酸化剤水溶液;ヒドラジン、ギ酸、アルデヒドなどの還元剤水溶液;塩酸、硫酸などの酸水溶液;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液等が好適に用いられるが、これらに限定されない。また、これらは2種以上を併用してもよい。
【0012】
これら処理液の濃度は0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%である。処理法は特に限定されないが、処理液を処理原液の供給側から導入し、処理温度10〜60℃にて、0.5〜24時間の処理を行うのが好ましい。
【0013】
逆浸透膜に対し処理液を用いた後、膜エレメント上に残存する処理液を充分に除去し、さらに水洗し水切りを行う。水切りには乾燥空気をエレメントの原液供給側から導入するのが効率的であるが特に限定されない。なお、再生エレメントの透水性の低下を抑制するため、乾燥は完全には行わない方が好ましい。
【0014】
このような処理により得られたエレメントは、再生限外濾過膜エレメントとして充分な性能を有し、例えばポリエチレングリコール(分子量20,000)の阻止性能が10%以上の性能を示す。
【0015】
【実施例】
つぎに実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0016】
[実施例1]
性能の劣化したES10−D2エレメント(日東電工(株)製:NaCl500ppmの阻止性能が98%、7.5kgf/cm2の透過水量が2.5m3/d)を処理した。この逆浸透膜エレメントの原液供給側より次亜塩素酸ナトリウム溶液(10,000 ppm)を導入して24時間の処理を行い、逆浸透膜表面の活性層を除去した。このエレメントを水洗後、原液供給側より乾燥空気を膜面に吹き付け、膜面の過剰な水分を除去した。
【0017】
このように処理した膜エレメントを限外濾過膜エレメントとして評価した。すなわち、ポリエチレングリコール(分子量20,000)を用い、圧力5 kgf/cm2にて、評価したところ、阻止率85%、透過水量140L/hrであり、再生エレメントは限外濾過膜エレメントとして使用できることが確認された。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、膜性能が低下し従来は使用不能として破棄されていた逆浸透エレメントを限外濾過膜として再生、利用することができる。
Claims (1)
- 膜劣化した複合逆浸透膜エレメントの膜表面を、酸化剤水溶液、還元剤水溶液及び、酸又はアルカリ水溶液から選ばれた少なくとも1種の溶液により処理して、膜表面の活性層を除去し得られた限外濾過エレメント。
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JPH11156169A JPH11156169A (ja) | 1999-06-15 |
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