JP3648947B2 - 逆浸透膜エレメントの再生方法及び逆浸透膜モジュール - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、膜劣化により性能の低下した逆浸透膜エレメントの再生方法に関する。本発明の再生方法を用いることにより、従来膜劣化により性能が低下して廃棄されていた逆浸透膜エレメントを再生、再使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に用いられている代表的な逆浸透膜として、酢酸セルロースからなる非対称膜があり、かかる逆浸透膜は例えば米国特許第3,133,132号、米国特許第3,133,137号にロブ型逆浸透膜として開示されている。また、これとは構造の異なる逆浸透膜も知られており、微孔性支持膜上に実質的に選択分離性を有する活性な薄膜を設けた逆浸透複合膜などもある。現在、広く用いられている逆浸透複合膜としては、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られたポリアミドからなる薄膜を支持膜上に形成したものがある(例えば、特開昭55-147106号、特開昭62-121603号、特開昭63-218208号、特開平2-187135号等)。さらに多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合により得られるポリアミドからなる薄膜を支持膜上に形成したものも知られている(例えば、特開昭61-42308号等)。これらの逆浸透膜はスパイラル状等の形態でエレメント化されてモジュールに組み込まれている。
【0003】
これら各種の逆浸透膜エレメントは使用により膜汚染を生ずると、これを除去するため繰り返し洗浄がなされる。逆浸透膜エレメントの膜は、このような洗浄操作によりが徐々に劣化(阻止性能の低下、透過水量の増加(又は低下))を生じ、ついには所期の性能規格値の範囲を保持し得なくなり、新規のエレメントとの交換が行われるに至る。逆浸透膜の阻止性能の低下に対しては、阻止性能回復剤として運転時に各種水溶性高分子溶液を添加することなどが行われているが根本的な再生方法とは言えない。近年、産業廃棄物の削減など、環境への負荷低減に対する社会的要請は極めて大きく、使用済みの逆浸透膜エレメントについても有効な再生方法が強く求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜性能が低下し従来は再生不能として破棄されていた逆浸透膜エレメントをモジュール状態のまま処理し、再び使用可能なエレメントに再生する方法及びこのようにして再生されたエレメントを組込んだ逆浸透膜モジュールを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明は、反応性多官能酸ハライド及び/又は多官能イソシアネート、あるいはこれらの両者を含む有機溶媒を調製し、該溶液を逆浸透膜モジュールに導入して逆浸透膜表面のスキン層に接触させることを特徴とする膜劣化した逆浸透膜エレメントの再生方法を提供するものである。
【0006】
本願の第2発明は、25℃において水不溶性の有機高分子化合物溶液を調製し、該溶液を逆浸透膜モジュールに導入して逆浸透膜表面のスキン層に接触させることを特徴とする膜劣化した逆浸透膜エレメントの再生方法を提供するするものである。
【0007】
また、本願は第3の発明として、前記第1の発明により処理された逆浸透膜に対し、前記第2の発明の方法により水不溶性の有機高分子化合物溶液を接触させる処理法をも提供するものである。
【0008】
さらに、本発明はこれらの方法により再生した逆浸透膜エレメントを組み込んでなる逆浸透膜モジュールを提供するものである。
【0009】
かかる逆浸透複合膜エレメントの再生方法により、従来、膜劣化により性能が低下し廃棄されていたエレメントが再生され、再度使用することが可能になった。
【0010】
本発明の再生方法によれば、種々のポリアミド系、ポリウレア系等の逆浸透膜及び逆浸透複合膜、特に界面重合法により製膜されたものを再生することができる。これらの膜は従来の公知の方法等によって得られたものであってよい。例えば、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン等の反応性アミノ基を有するモノマー及び/又は、ポリマーの水溶液を、多孔性ポリスルホン支持膜などの少なくとも片面に塗布した後、トリメシン酸クロライド、イソフタル醸クロライド等の多官能酸クロライド、またはトリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネート、又はこれらの混合物のヘキサン等の溶媒と接触させ、支持膜上で界面重合を行い脱塩性能を有する皮膜を形成して逆浸透複合膜とすることができる。
【0011】
[膜の洗浄]
これらの逆浸透複合膜を用い性能低下したエレメントの再生を行うには、まず、エレメントを洗浄し、膜汚染物をできる限り除去するのが好ましい。ここで用いられる洗浄剤、洗浄方法は特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム溶液、次亜塩素酸ナトリウム溶液、シュウ酸、クエン酸等の水溶液を用いるのが好ましい。これら洗浄液の洗浄剤濃度は、0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0012】
洗浄終了後は洗浄剤を含む水溶液を充分に除去し、エレメント中の水を切る。かかる水切り法としては、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するのが効率的であるが、特に限定されない。更にこの時、再生後のエレメントの透水性低下を抑制するため完全には乾燥しない方が好ましい。
【0013】
[膜の修復]
(1)本願の第1発明では、前記のごとく洗浄処理したエレメントの処理液供給側より多官能酸ハライド、多官能イソシアネートを含む有機溶媒溶液(修復液)を、単独で、または順に、あるいは混合して供給し膜の修復を行う。これは膜劣化によって生じたアミノ基部分をエレメント状態のままで再度架橋し修復するものである。
【0014】
膜の修復に用いられるこのような多官能酸ハライドとしては、例えばトリメシン酸クロライド、イソフタル醸クロライト等の芳香族酸クロライド、ブタンテトラカルボン酸クロライド等の脂肪族酸クロライド、l,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、l,3,4−シクロペンタントリカルボン酸クロライド等の脂環族酸クロライド等が好ましい。
【0015】
また、多官能イソシアネートの好ましいものとしては、例えばトリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
溶液中の多官能ハライド及び多官能イソシアネートの濃度は0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。濃度がこの範囲より低いと充分架橋反応が起こらず膜の修復が不充分となり、一方、高いと修復後の透水量の低下が大きい。
【0017】
かかる修復液の溶媒としては、多官能酸ハライド、多官能イソシアネートを溶解するものであればよく、例えばヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の疎水性の有機溶媒が好適に用いられる。また、溶媒中には膜面での疎水性溶液のなじみを良くするためエタノール、iso-プロパノール等のアルコールやジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等を溶液中0.01〜50重量%配合してもよい。
【0018】
修復液のモジュールへの供給方法は種々の方法が用いられてよく、例えば、ポンプなどを用いて定量的に流し込むことができる。逆浸透膜の膜面と修復液との接触時間は、1秒〜1分程度が好ましい。修復液により処理を行った後、逆浸透膜を乾燥する。乾燥には適宜の方法が用いられてよく、例えば、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するのが効率的である。乾燥温度は膜の保湿性を保持するため20〜150℃、好ましくは25〜100℃である。
【0019】
(2)本願の第2発明では、第1発明と同様にして膜汚染物を洗浄除去した逆浸透膜に対して、調製した25℃において水不溶性の有機高分子溶液(修復液)をモジュールの逆浸透膜表面のスキン層に接触させ、膜劣化したエレメントの欠陥部を有機高分子化合物で被覆する。
【0020】
かかる修復用有機高分子溶液に用いられる有機高分子化合物は特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、エチレンービニルアルコール共重合体などの−OH基を有する有機重合体、スルホン化ポリスルホンのような−SO3H基を有する有機重合体、ポリエチレンイミン等の−NH2基を有する有機重合体などが挙げられる。これらの内、特にポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体が好ましい。
【0021】
溶液中の有機高分子化合物の濃度は、0.01〜20重量%、好ましくは、0.05〜5重量%である。有機高分子化合物の濃度がこれより低いと充分にコーティングできず修復が不充分であり、一方、これより高いと透過水量が大幅に低下してしまう。
【0022】
また、かかる修復液に用いられる溶媒としては、逆浸透複合膜の活性皮膜層を損傷することの少ない溶媒である水、低級アルコール、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、アセトン、アセトニトリル及び、これらの混合溶液を用いるのが好ましい。修復液には、さらにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、エチレンクロルヒドリン等のハロゲン化脂肪族アルコール、メトキシメタノール、メトキシエタノールを混合してもよく、特に、これら低級アルコールの1種以上と水との混合溶媒を用いるのが好ましい。水と低級アルコールとの混合溶媒を用いる場合、含水率は90%以下であるのが好ましい。また、水を溶媒とする場合は、膜との濡れ性をよくするため界面活性剤を添加してもよい。
【0023】
かかる修復液によりエレメントを処理するには、例えばエレメントの供給側より前記溶液を導入することにより行う。例えば、ポンプ等を用いて定量的に流し込む方法が好適である。溶液により処理されたエレメントは、適宜の方法により乾燥する。例えば、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するの効率的であり好ましい。乾燥温度は20〜150℃であり、25〜100℃であるのが膜の保湿性を保つ上で好ましい。
【0024】
これらは水に完全に不溶化するために架橋させることも好ましい。架橋は、修復処理と同時、又は修復後、あるいはその両方で行ってもよい。
【0025】
架橋方法は特に限定されないが、熱架橋法や化学架橋法が用いられる。化学架橋法としては塩酸酸性溶液下、多価アルデヒド溶液への浸漬により行うことができる。多価アルデヒドにはグルタルアルデヒド、グリオキザール及びテレフタルアルデヒド等が用いられる。その他エポキシ化合物や多価カルボン酸及び多価カルボン酸ハライドを用いることができる。
【0026】
このようにして逆浸透複合膜上に設けられた高分子化合物の薄膜の厚みは、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm程度であるのが、塗布による透水量の低下を抑制する上で好適である。膜厚を制御するには適宜の方法が用いられてよいが、溶液濃度の調製により行うのが簡便である。
【0027】
また、本願は前記第1の発明により多官能酸ハライド、多官能イソシアネートを含む有機溶媒溶液で処理された逆浸透膜に対して、さらに第2の発明の方法により水不溶性の有機高分子化合物溶液を接触させるエレメントの再生法を採用してもよい。
【0028】
【実施例】
つぎに本発明を実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【0029】
[実施例1]
ES10-D4エレメント(日東電工(株)製)を用い下記実験を行った。まず、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(200ppm)を用いて充分にエレメントを洗浄した。洗浄後、このエレメントを測定したところは、初期性能:塩化ナトリウム(NaCl)阻止率:99.5%、透過水量:30(m3/d)(NaCl溶液濃度:500ppm、圧力:7.5kgf/cm2)であったものが、膜劣化によりNaCl阻止率:98.5%、透過水量:37(m3/d)に性能低下していた。このエレメントを水洗後、乾燥空気を供給側より膜面に吹き付け、膜面の過剰な水を除去した。
【0030】
つぎに、トリメシン酸クロライド0.25重量%のヘキサン溶液をエレメントの供給側より導入しスキン層に接触させた。20秒後に液切りを行い、乾燥空気(温度:80℃)を供給側より吹き込んで乾燥した。該エレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率:99.2%,透過水量:26(m3/d)であり、エレメントの性能の再生が確認された。
【0031】
[実施例2]
実施例1においてトリメシン酸クロライドの代わりに、トリレンジイソシアネート0.5重量%のヘキサン溶液を用いた以外は同様に処理して、逆浸透膜の再生を行った。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率99.0%、透過水量:20(m3/d)でありエレメントの性能の再生が確認された。
【0032】
[実施例3]
実施例1と同様に次亜塩素酸ナトリウム溶液200ppmで処理されたエレメントを用いて再生を行った。すなわち、ポリビニルアルコール(ケン化度99%)をイソプロピルアルコール/水=3/7に溶解し、0.10重量%溶液を調製した。この溶液をエレメントの供給側より導入してスキン層に10秒間接触させた。液切りを行った後、乾燥空気(温度:80℃)を供給側より吹き込み乾燥した。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率:99.0%、透過水量:20(m3/d)であり、エレメントの阻止性能の再生が確認された。
【0033】
[実施例4]
実施例1により再生されたエレメントに、更に実施例3と同様にポリビニルアルコール(ケン化度99%)にて処理を行った。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率99.5%、透過水量:21(m3/d)であり、エレメント性能の再生が確認された。
【0034】
【発明の効果】
本発明の逆浸透複合膜エレメントの再生方法を用いることにより、膜劣化により従来は廃棄されていたエレメントを再生、再利用することができる。
【発明の技術分野】
本発明は、膜劣化により性能の低下した逆浸透膜エレメントの再生方法に関する。本発明の再生方法を用いることにより、従来膜劣化により性能が低下して廃棄されていた逆浸透膜エレメントを再生、再使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に用いられている代表的な逆浸透膜として、酢酸セルロースからなる非対称膜があり、かかる逆浸透膜は例えば米国特許第3,133,132号、米国特許第3,133,137号にロブ型逆浸透膜として開示されている。また、これとは構造の異なる逆浸透膜も知られており、微孔性支持膜上に実質的に選択分離性を有する活性な薄膜を設けた逆浸透複合膜などもある。現在、広く用いられている逆浸透複合膜としては、多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られたポリアミドからなる薄膜を支持膜上に形成したものがある(例えば、特開昭55-147106号、特開昭62-121603号、特開昭63-218208号、特開平2-187135号等)。さらに多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合により得られるポリアミドからなる薄膜を支持膜上に形成したものも知られている(例えば、特開昭61-42308号等)。これらの逆浸透膜はスパイラル状等の形態でエレメント化されてモジュールに組み込まれている。
【0003】
これら各種の逆浸透膜エレメントは使用により膜汚染を生ずると、これを除去するため繰り返し洗浄がなされる。逆浸透膜エレメントの膜は、このような洗浄操作によりが徐々に劣化(阻止性能の低下、透過水量の増加(又は低下))を生じ、ついには所期の性能規格値の範囲を保持し得なくなり、新規のエレメントとの交換が行われるに至る。逆浸透膜の阻止性能の低下に対しては、阻止性能回復剤として運転時に各種水溶性高分子溶液を添加することなどが行われているが根本的な再生方法とは言えない。近年、産業廃棄物の削減など、環境への負荷低減に対する社会的要請は極めて大きく、使用済みの逆浸透膜エレメントについても有効な再生方法が強く求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜性能が低下し従来は再生不能として破棄されていた逆浸透膜エレメントをモジュール状態のまま処理し、再び使用可能なエレメントに再生する方法及びこのようにして再生されたエレメントを組込んだ逆浸透膜モジュールを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明は、反応性多官能酸ハライド及び/又は多官能イソシアネート、あるいはこれらの両者を含む有機溶媒を調製し、該溶液を逆浸透膜モジュールに導入して逆浸透膜表面のスキン層に接触させることを特徴とする膜劣化した逆浸透膜エレメントの再生方法を提供するものである。
【0006】
本願の第2発明は、25℃において水不溶性の有機高分子化合物溶液を調製し、該溶液を逆浸透膜モジュールに導入して逆浸透膜表面のスキン層に接触させることを特徴とする膜劣化した逆浸透膜エレメントの再生方法を提供するするものである。
【0007】
また、本願は第3の発明として、前記第1の発明により処理された逆浸透膜に対し、前記第2の発明の方法により水不溶性の有機高分子化合物溶液を接触させる処理法をも提供するものである。
【0008】
さらに、本発明はこれらの方法により再生した逆浸透膜エレメントを組み込んでなる逆浸透膜モジュールを提供するものである。
【0009】
かかる逆浸透複合膜エレメントの再生方法により、従来、膜劣化により性能が低下し廃棄されていたエレメントが再生され、再度使用することが可能になった。
【0010】
本発明の再生方法によれば、種々のポリアミド系、ポリウレア系等の逆浸透膜及び逆浸透複合膜、特に界面重合法により製膜されたものを再生することができる。これらの膜は従来の公知の方法等によって得られたものであってよい。例えば、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン等の反応性アミノ基を有するモノマー及び/又は、ポリマーの水溶液を、多孔性ポリスルホン支持膜などの少なくとも片面に塗布した後、トリメシン酸クロライド、イソフタル醸クロライド等の多官能酸クロライド、またはトリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネート、又はこれらの混合物のヘキサン等の溶媒と接触させ、支持膜上で界面重合を行い脱塩性能を有する皮膜を形成して逆浸透複合膜とすることができる。
【0011】
[膜の洗浄]
これらの逆浸透複合膜を用い性能低下したエレメントの再生を行うには、まず、エレメントを洗浄し、膜汚染物をできる限り除去するのが好ましい。ここで用いられる洗浄剤、洗浄方法は特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム溶液、次亜塩素酸ナトリウム溶液、シュウ酸、クエン酸等の水溶液を用いるのが好ましい。これら洗浄液の洗浄剤濃度は、0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0012】
洗浄終了後は洗浄剤を含む水溶液を充分に除去し、エレメント中の水を切る。かかる水切り法としては、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するのが効率的であるが、特に限定されない。更にこの時、再生後のエレメントの透水性低下を抑制するため完全には乾燥しない方が好ましい。
【0013】
[膜の修復]
(1)本願の第1発明では、前記のごとく洗浄処理したエレメントの処理液供給側より多官能酸ハライド、多官能イソシアネートを含む有機溶媒溶液(修復液)を、単独で、または順に、あるいは混合して供給し膜の修復を行う。これは膜劣化によって生じたアミノ基部分をエレメント状態のままで再度架橋し修復するものである。
【0014】
膜の修復に用いられるこのような多官能酸ハライドとしては、例えばトリメシン酸クロライド、イソフタル醸クロライト等の芳香族酸クロライド、ブタンテトラカルボン酸クロライド等の脂肪族酸クロライド、l,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、l,3,4−シクロペンタントリカルボン酸クロライド等の脂環族酸クロライド等が好ましい。
【0015】
また、多官能イソシアネートの好ましいものとしては、例えばトリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
溶液中の多官能ハライド及び多官能イソシアネートの濃度は0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。濃度がこの範囲より低いと充分架橋反応が起こらず膜の修復が不充分となり、一方、高いと修復後の透水量の低下が大きい。
【0017】
かかる修復液の溶媒としては、多官能酸ハライド、多官能イソシアネートを溶解するものであればよく、例えばヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の疎水性の有機溶媒が好適に用いられる。また、溶媒中には膜面での疎水性溶液のなじみを良くするためエタノール、iso-プロパノール等のアルコールやジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等を溶液中0.01〜50重量%配合してもよい。
【0018】
修復液のモジュールへの供給方法は種々の方法が用いられてよく、例えば、ポンプなどを用いて定量的に流し込むことができる。逆浸透膜の膜面と修復液との接触時間は、1秒〜1分程度が好ましい。修復液により処理を行った後、逆浸透膜を乾燥する。乾燥には適宜の方法が用いられてよく、例えば、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するのが効率的である。乾燥温度は膜の保湿性を保持するため20〜150℃、好ましくは25〜100℃である。
【0019】
(2)本願の第2発明では、第1発明と同様にして膜汚染物を洗浄除去した逆浸透膜に対して、調製した25℃において水不溶性の有機高分子溶液(修復液)をモジュールの逆浸透膜表面のスキン層に接触させ、膜劣化したエレメントの欠陥部を有機高分子化合物で被覆する。
【0020】
かかる修復用有機高分子溶液に用いられる有機高分子化合物は特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、エチレンービニルアルコール共重合体などの−OH基を有する有機重合体、スルホン化ポリスルホンのような−SO3H基を有する有機重合体、ポリエチレンイミン等の−NH2基を有する有機重合体などが挙げられる。これらの内、特にポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体が好ましい。
【0021】
溶液中の有機高分子化合物の濃度は、0.01〜20重量%、好ましくは、0.05〜5重量%である。有機高分子化合物の濃度がこれより低いと充分にコーティングできず修復が不充分であり、一方、これより高いと透過水量が大幅に低下してしまう。
【0022】
また、かかる修復液に用いられる溶媒としては、逆浸透複合膜の活性皮膜層を損傷することの少ない溶媒である水、低級アルコール、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、アセトン、アセトニトリル及び、これらの混合溶液を用いるのが好ましい。修復液には、さらにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、エチレンクロルヒドリン等のハロゲン化脂肪族アルコール、メトキシメタノール、メトキシエタノールを混合してもよく、特に、これら低級アルコールの1種以上と水との混合溶媒を用いるのが好ましい。水と低級アルコールとの混合溶媒を用いる場合、含水率は90%以下であるのが好ましい。また、水を溶媒とする場合は、膜との濡れ性をよくするため界面活性剤を添加してもよい。
【0023】
かかる修復液によりエレメントを処理するには、例えばエレメントの供給側より前記溶液を導入することにより行う。例えば、ポンプ等を用いて定量的に流し込む方法が好適である。溶液により処理されたエレメントは、適宜の方法により乾燥する。例えば、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するの効率的であり好ましい。乾燥温度は20〜150℃であり、25〜100℃であるのが膜の保湿性を保つ上で好ましい。
【0024】
これらは水に完全に不溶化するために架橋させることも好ましい。架橋は、修復処理と同時、又は修復後、あるいはその両方で行ってもよい。
【0025】
架橋方法は特に限定されないが、熱架橋法や化学架橋法が用いられる。化学架橋法としては塩酸酸性溶液下、多価アルデヒド溶液への浸漬により行うことができる。多価アルデヒドにはグルタルアルデヒド、グリオキザール及びテレフタルアルデヒド等が用いられる。その他エポキシ化合物や多価カルボン酸及び多価カルボン酸ハライドを用いることができる。
【0026】
このようにして逆浸透複合膜上に設けられた高分子化合物の薄膜の厚みは、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm程度であるのが、塗布による透水量の低下を抑制する上で好適である。膜厚を制御するには適宜の方法が用いられてよいが、溶液濃度の調製により行うのが簡便である。
【0027】
また、本願は前記第1の発明により多官能酸ハライド、多官能イソシアネートを含む有機溶媒溶液で処理された逆浸透膜に対して、さらに第2の発明の方法により水不溶性の有機高分子化合物溶液を接触させるエレメントの再生法を採用してもよい。
【0028】
【実施例】
つぎに本発明を実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【0029】
[実施例1]
ES10-D4エレメント(日東電工(株)製)を用い下記実験を行った。まず、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(200ppm)を用いて充分にエレメントを洗浄した。洗浄後、このエレメントを測定したところは、初期性能:塩化ナトリウム(NaCl)阻止率:99.5%、透過水量:30(m3/d)(NaCl溶液濃度:500ppm、圧力:7.5kgf/cm2)であったものが、膜劣化によりNaCl阻止率:98.5%、透過水量:37(m3/d)に性能低下していた。このエレメントを水洗後、乾燥空気を供給側より膜面に吹き付け、膜面の過剰な水を除去した。
【0030】
つぎに、トリメシン酸クロライド0.25重量%のヘキサン溶液をエレメントの供給側より導入しスキン層に接触させた。20秒後に液切りを行い、乾燥空気(温度:80℃)を供給側より吹き込んで乾燥した。該エレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率:99.2%,透過水量:26(m3/d)であり、エレメントの性能の再生が確認された。
【0031】
[実施例2]
実施例1においてトリメシン酸クロライドの代わりに、トリレンジイソシアネート0.5重量%のヘキサン溶液を用いた以外は同様に処理して、逆浸透膜の再生を行った。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率99.0%、透過水量:20(m3/d)でありエレメントの性能の再生が確認された。
【0032】
[実施例3]
実施例1と同様に次亜塩素酸ナトリウム溶液200ppmで処理されたエレメントを用いて再生を行った。すなわち、ポリビニルアルコール(ケン化度99%)をイソプロピルアルコール/水=3/7に溶解し、0.10重量%溶液を調製した。この溶液をエレメントの供給側より導入してスキン層に10秒間接触させた。液切りを行った後、乾燥空気(温度:80℃)を供給側より吹き込み乾燥した。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率:99.0%、透過水量:20(m3/d)であり、エレメントの阻止性能の再生が確認された。
【0033】
[実施例4]
実施例1により再生されたエレメントに、更に実施例3と同様にポリビニルアルコール(ケン化度99%)にて処理を行った。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率99.5%、透過水量:21(m3/d)であり、エレメント性能の再生が確認された。
【0034】
【発明の効果】
本発明の逆浸透複合膜エレメントの再生方法を用いることにより、膜劣化により従来は廃棄されていたエレメントを再生、再利用することができる。
Claims (5)
- 反応性多官能酸ハライド及び/又は多官能イソシアネートを含む有機溶媒を調製し、該溶液を逆浸透膜モジュールに導入して逆浸透膜表面のスキン層に接触させることを特徴とする膜劣化した逆浸透膜エレメントの再生方法。
- 25℃において水不溶性の有機高分子化合物溶液を調製し、該溶液を逆浸透膜モジュールに導入して逆浸透膜表面のスキン層に接触させることを特徴とする膜劣化した逆浸透膜エレメントの再生方法。
- 反応性多官能酸ハライド及び/又は多官能イソシアネートを含む有機溶媒で処理した逆浸透膜モジュールの逆浸透膜表面のスキン層に、水不溶性の有機高分子化合物溶液を接触させる請求項2の逆浸透膜エレメントの再生方法。
- 反応性多官能酸ハライド及び/又は多官能イソシアネートを含む有機溶媒をスキン層に接触させて再生した逆浸透膜エレメントを組込んでなる逆浸透膜モジュール。
- 25℃において水不溶性の有機高分子化合物溶液をスキン層に接触させて再生した逆浸透膜エレメントを組込んでなる逆浸透膜モジュール。
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