JP3637750B2 - 複合逆浸透膜エレメントの再生方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の分野】
本発明は、膜劣化により性能の低下した複合逆浸透膜エレメントを再生する方法に関する。本発明の再生法により、従来、膜劣化により性能が低下し廃棄されていたエレメントの再利用が可能となる。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に広く用いられている逆浸透膜としては、酢酸セルロースの非対称膜があり、特にロブ型膜(例えば、米国特許第3,133,132号、米国特許第3,133,137号)が広く知られている。また、これとは構造の異なる逆浸透膜として、実質的に選択分離性のある活性薄膜を微孔性支持膜上に形成してなる逆浸透複合膜も知られている。
【0003】
このような逆浸透複合膜として、具体的には多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミド薄膜を支持膜上に形成したもの(例えば、特開昭55-147106号、特開昭62−121603号、特開昭63−218208号、特開平2−187135号等)、あるいは多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られたポリアミドからなる薄膜を支持膜上に形成したものが知られている(例えば、特開昭61-42308号等)。
【0004】
通常、これらの逆浸透膜はスパイラル状等の形態にエレメント化され、各種用途に使用されている。これら逆浸透膜エレメントは使用により膜汚染が生じると、これを除去するため洗浄が行われる。しかしながら、逆浸透膜は、このような洗浄の繰り返し等により徐々に劣化し(阻止性能の低下や透過水量の増加(又は低下))、ついには当初の規格値の範囲の性能が得られなくなり、新規エレメントと交換して廃棄されるに至る。逆浸透膜の阻止性能の低下に対しては、運転中に阻止性能回復剤として各種水溶性高分子溶液を添加することなどが行われているが根本的な再生方法とは言えない。
【0005】
近年、環境保全に対する取り組みが重要視され、使用済の逆浸透膜エレメントについても産業廃棄物低減の観点からその再生が強く求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜性能が低下し従来は再生不能として破棄されていた逆浸透エレメントの活性層をモジュール状態のままで再生する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、つぎの工程(i)〜(iii):
(i)複合逆浸透膜の活性層を除去する工程
(ii)前記活性層の除去された支持膜面を多官能アミン水溶液で処理し、支持膜面に官能アミンを保持させる工程、及び
(iii)該膜面を多官能酸ハライドを含む非水系有機溶液で処理し活性層を形成させる工程
を含む複合逆浸透膜エレメントの再生方法を提供するものである。また、本発明はこのような再生方法により再生された複合逆浸透膜エレメントを提供するものである。
【0008】
【発明の詳述】
本発明の再生方法によれば、種々のポリアミド系、ポリウレア系等の逆浸透膜及び逆浸透複合膜、特に界面重合法により製膜された逆浸透膜を再生することができる。これらの逆浸透膜は、従来公知の方法によって得られたものであってよい。このような逆浸透膜としては、例えば、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン等の反応性アミノ基を有するモノマー及び/又は、ポリマーの水溶液を多孔性ポリスルホン支持膜の少なくとも片面に塗布した後、トリメシン酸クロライド等の多官能酸クロライドのヘキサン溶媒等と接触させることで、多孔性ポリスルホン支持膜上にて界面重合を行なわせ脱塩性能を有する皮膜を形成させた逆浸透複合膜などが挙げられる。
【0009】
[活性層の分解除去]
性能の低下した前記の逆浸透複合膜エレメントを再生させるには、まずエレメントを水性洗浄液にて洗浄し、性能低下した活性層を除去する。ここで洗浄剤としては、水酸化ナトリウム溶液、次亜塩素酸ナトリウム溶液、過酸化水素水溶液等を用いるのが好ましいが、これに限定されない。これら洗浄液の濃度は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。洗浄法は特に限定されないが、洗浄液は処理原液の供給側から導入され、洗浄温度10〜40℃にて、1〜24時間の洗浄を行うのが好ましい。
【0010】
洗浄後、逆浸透膜エレメント上に残存する洗浄液を充分に除去し、エレメント中の水切りを行う。水切りには乾燥空気をエレメントの原液供給側から導入するのが効率的であるが特に限定されない。なお、再生エレメントの透水性の低下を抑制するため、完全に乾かさない方が好ましい。
【0011】
[多官能アミンの保持]
このようにして処理されたエレメントの原液供給側より多官能アミン、例えば、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン等の反応性アミノ基を有するモノマーまたはポリマーの水溶液を導入する。これらのポリマー、モノマーは単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0012】
これらの溶液の濃度は0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。また、溶液の導入は、温度10〜30℃にて、0.1〜10分程度行うのが好ましい。このような処理により、支持膜上に多官能アミンが均一に保持される。さらに、この水溶液中に水溶性のエタノール、iso-プロパノール等のアルコールやジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等やポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを水溶液全体に対して0.01〜50重量%添加してもよい。これらを添加することにより、支持膜面とのなじみが良くなる。
【0013】
さらに、米国特許第4,872,984号及び第4,948,507号に記載のように単量体アミン塩を加えてもよい。このような単量体アミン塩は単量体アミンと酸の塩であってよく、第三級アミンと強酸の塩であるのが好ましい。ここで、強酸は水と本質的に完全に反応してヒドロニウムイオンを生じさせる酸を意味する。このような強酸としては芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、カンファースルホン酸のような環状脂肪族スルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、塩酸および硫酸などが挙げられる。
【0014】
さらに好ましくは、前記単量体アミン塩は強酸と、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどのトリアルキルアミン、1−メチルピペリジンなどのN−アルキル環状脂肪族アミン、N,N−ジメチルエチルアミンおよびN,N−ジエチルメチルアミンなどのN,N−ジアルキルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどのN,N−ジアルキルエタノールアミン、3−キヌクリジノールなどの二環第三級アミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される第三級アミンまたは水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラプロピルアンモニウムのような水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウムおよび水酸化ベンジルトリプロピルアンモニウムのような水酸化ベンジルトリアルキルアンモニウムおよびそれらの混合物からなる群の少なくとも1つから選択される第四級アミンとの水溶性の塩である。特に好ましい単量体アミン塩はトリエチルアミンとカンファースルホン酸のアミン塩(TEACSA)である。
【0015】
単量体アミン塩は水溶性の固体、または単量体アミン塩を溶解した水溶液として使用される。単量体アミン塩は好ましくはその水溶性として使用される。単量体アミン塩を製造するために使用される単量体アミンは好ましくは8以上、さらに好ましくは約8から13、最も好ましくは約9〜13のpKaを有している。
【0016】
これらは、水溶液全体に対して1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%添加しても良い。これらを添加することにより反応性が向上し、膜性能が良くなる。
【0017】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を含有させることもできる。これらの界面活性剤は、多官能アミンを含有する水溶液の微孔性支持膜への濡れ性を改善するのに効果がある。
【0018】
このような処理を行った後、エレメントに窒素、空気等を導入して過剰の溶液を除去するのが好ましい。
【0019】
[膜の再生]
ついで、逆浸透膜エレメントに多官能酸ハライドを含む非水系の有機溶媒からなる再生液を導入する。
【0020】
かかる多官能酸ハライドとしては、トリメシン酸クロライド、イソフタル酸クロライト等の芳香族酸クロライド;ブタンテトラカルボン酸クロライド等の脂肪族酸クロライド;1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸クロライド等の脂環族酸クロライド等が好適に用いられるが、これに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
再生溶液中の多官能ハライドの濃度は0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜0.8重量%である。濃度がこの範囲より低いと活性層に欠陥が生じ、阻止性能が低下する。また、高いと活性層の厚さが厚くなり、透過水量の著しい低下をもたらす。
【0022】
かかる溶液に用いられる溶媒としては、前記多官能酸ハライドを溶解するものであればよく、例えばヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の疎水性の有機溶媒が好ましい。また、該溶媒中には膜面における疎水性溶液のなじみを改善するためエタノール、iso-プロパノール等のアルコールやジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等を溶液全体に対して0.01〜50重量%添加してもよい。
【0023】
再生液のモジュールへの供給方法は種々の方法が用いられてよく、例えば、ポンプなどを用いて定量的に導入することができる。かかる処理の温度は10〜50℃が好ましく、逆浸透膜の膜面と再生液との接触時間は、1秒〜1分程度が好ましい。
【0024】
再生液により処理を行った後、逆浸透膜を乾燥する。乾燥には適宜の方法が用いられてよく、例えば、乾燥空気をエレメントの原液供給側より導入するのが効率的である。乾燥温度は膜の保湿性を保持するため20〜150℃、好ましくは25〜100℃である。
【0025】
[保護膜の形成]
さらに、得られた活性層表面を有機重合体で被覆してもよい。かかる有機重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの−OH基を有する有機重合体、スルホン化ポリスルホンのような−SO3H基を有する有機重合体、ポリエチレンイミン等の−NH2基を有する有機重合体などが挙げられるが、これに限定されない。これらの内、特にポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0026】
溶液中の有機高分子化合物の濃度は、0.01〜20重量%、好ましくは、0.05〜5重量%である。有機高分子化合物の濃度がこれより低いと充分にコーティングできず修復が不充分であり、一方、これより高いと透過水量が大幅に低下してしまう。
【0027】
また、かかる保護液に用いられる溶媒としては、逆浸透複合膜の活性皮膜層を損傷することの少ない水、低級アルコール、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、アセトン、アセトニトリル及び、これらの混合溶液を用いるのが好ましい。溶液には、さらにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、エチレンクロルヒドリン等のハロゲン化脂肪族アルコール、メトキシメタノール、メトキシエタノールを混合してもよく、特に、これら低級アルコールの1種以上と水との混合溶媒を用いるのが好ましい。
【0028】
水と低級アルコールとの混合溶媒を用いる場合、含水率は90%以下であるのが好ましい。また、水を溶媒とする場合は、膜との濡れ性をよくするため界面活性剤を添加してもよい。
【0029】
かかる保護液によりエレメントを処理するには、例えばエレメントの原液供給側より前記溶液を導入することにより行う。例えば、ポンプ等を用いて定量的に流し込む方法が好適である。溶液により処理されたエレメントは、適宜の方法により乾燥される。例えば、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するのが効率的であり好ましい。乾燥温度は20〜150℃であり、25〜100℃であるのが膜の保湿性を保つ上で好ましい。
【0030】
これらは水に完全に不溶化するために架橋させるのが好ましい。架橋は、膜の再生処理と同時、又は再生後、あるいはその両方で行ってもよい。架橋方法としては特に限定されないが、熱架橋法や化学架橋法が用いられる。化学架橋法は、例えば、塩酸酸性溶液下、多価アルデヒド溶液による処理にて行うことができる。多価アルデヒドとしては、グルタルアルデヒド、グリオキザール及びテレフタルアルデヒド等が用いられる。その他エポキン化合物や多価カルボン酸及び多価カルボン酸ハライドを用いることができる。
【0031】
このようにして逆浸透複合膜上に設けられた高分子化合物の薄膜の厚みは、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm程度であるのが、塗布による透水量の低下を抑制する上で好適である。膜厚を制御するには適宜の方法が用いられてよいが、溶液濃度の調製により行うのが簡便である。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
性能劣化した759HR−S4エレメント(日東電工(株)製:NaCl阻止率98%、透過水量4.0m3/d(NaCl濃度1500ppm、圧力15kgf/cm2、pH6.5、濃度25℃))の再生を行った。まず、エレメントを次亜塩素酸ナトリウム溶液(10,000ppm)で6時間洗浄し、活性層を除去した。このエレメントを水洗後、原液の供給側より乾燥空気を膜面に吹き付け、膜面の過剰な水を除去した。つぎに、メタフェニレンジアミン(2.0重量%)、カンファースルホン酸(4.0重量%)及びトリエチルアミン(2.0重量%)を含む溶液をエレメントに導入し、1分処理した後、乾燥窒素を流し込み過剰の溶液を除去した。
【0034】
さらに、トリメシン酸クロライドのヘキサン溶液(0.25重量%)をエレメントの供給側より導入し20秒後に液切りを実施した後、乾燥空気(温度:80℃)を供給側より吹き込み乾燥した。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率が99.2%、透過水量6.5m3/d(NaCl濃度1500ppm、圧力15kgf/cm2、pH6.5、温度25℃)であり、エレメントの再生が確認された。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、膜性能の低下し従来は再生不能として破棄されていた逆浸透エレメントの活性層をモジュール状態のままで再生し再使用することができる。
【発明の分野】
本発明は、膜劣化により性能の低下した複合逆浸透膜エレメントを再生する方法に関する。本発明の再生法により、従来、膜劣化により性能が低下し廃棄されていたエレメントの再利用が可能となる。
【0002】
【従来の技術】
現在、工業的に広く用いられている逆浸透膜としては、酢酸セルロースの非対称膜があり、特にロブ型膜(例えば、米国特許第3,133,132号、米国特許第3,133,137号)が広く知られている。また、これとは構造の異なる逆浸透膜として、実質的に選択分離性のある活性薄膜を微孔性支持膜上に形成してなる逆浸透複合膜も知られている。
【0003】
このような逆浸透複合膜として、具体的には多官能芳香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合によって得られるポリアミド薄膜を支持膜上に形成したもの(例えば、特開昭55-147106号、特開昭62−121603号、特開昭63−218208号、特開平2−187135号等)、あるいは多官能芳香族アミンと多官能脂環式酸ハロゲン化物との界面重合によって得られたポリアミドからなる薄膜を支持膜上に形成したものが知られている(例えば、特開昭61-42308号等)。
【0004】
通常、これらの逆浸透膜はスパイラル状等の形態にエレメント化され、各種用途に使用されている。これら逆浸透膜エレメントは使用により膜汚染が生じると、これを除去するため洗浄が行われる。しかしながら、逆浸透膜は、このような洗浄の繰り返し等により徐々に劣化し(阻止性能の低下や透過水量の増加(又は低下))、ついには当初の規格値の範囲の性能が得られなくなり、新規エレメントと交換して廃棄されるに至る。逆浸透膜の阻止性能の低下に対しては、運転中に阻止性能回復剤として各種水溶性高分子溶液を添加することなどが行われているが根本的な再生方法とは言えない。
【0005】
近年、環境保全に対する取り組みが重要視され、使用済の逆浸透膜エレメントについても産業廃棄物低減の観点からその再生が強く求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜性能が低下し従来は再生不能として破棄されていた逆浸透エレメントの活性層をモジュール状態のままで再生する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、つぎの工程(i)〜(iii):
(i)複合逆浸透膜の活性層を除去する工程
(ii)前記活性層の除去された支持膜面を多官能アミン水溶液で処理し、支持膜面に官能アミンを保持させる工程、及び
(iii)該膜面を多官能酸ハライドを含む非水系有機溶液で処理し活性層を形成させる工程
を含む複合逆浸透膜エレメントの再生方法を提供するものである。また、本発明はこのような再生方法により再生された複合逆浸透膜エレメントを提供するものである。
【0008】
【発明の詳述】
本発明の再生方法によれば、種々のポリアミド系、ポリウレア系等の逆浸透膜及び逆浸透複合膜、特に界面重合法により製膜された逆浸透膜を再生することができる。これらの逆浸透膜は、従来公知の方法によって得られたものであってよい。このような逆浸透膜としては、例えば、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン等の反応性アミノ基を有するモノマー及び/又は、ポリマーの水溶液を多孔性ポリスルホン支持膜の少なくとも片面に塗布した後、トリメシン酸クロライド等の多官能酸クロライドのヘキサン溶媒等と接触させることで、多孔性ポリスルホン支持膜上にて界面重合を行なわせ脱塩性能を有する皮膜を形成させた逆浸透複合膜などが挙げられる。
【0009】
[活性層の分解除去]
性能の低下した前記の逆浸透複合膜エレメントを再生させるには、まずエレメントを水性洗浄液にて洗浄し、性能低下した活性層を除去する。ここで洗浄剤としては、水酸化ナトリウム溶液、次亜塩素酸ナトリウム溶液、過酸化水素水溶液等を用いるのが好ましいが、これに限定されない。これら洗浄液の濃度は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。洗浄法は特に限定されないが、洗浄液は処理原液の供給側から導入され、洗浄温度10〜40℃にて、1〜24時間の洗浄を行うのが好ましい。
【0010】
洗浄後、逆浸透膜エレメント上に残存する洗浄液を充分に除去し、エレメント中の水切りを行う。水切りには乾燥空気をエレメントの原液供給側から導入するのが効率的であるが特に限定されない。なお、再生エレメントの透水性の低下を抑制するため、完全に乾かさない方が好ましい。
【0011】
[多官能アミンの保持]
このようにして処理されたエレメントの原液供給側より多官能アミン、例えば、メタフェニレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン等の反応性アミノ基を有するモノマーまたはポリマーの水溶液を導入する。これらのポリマー、モノマーは単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0012】
これらの溶液の濃度は0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。また、溶液の導入は、温度10〜30℃にて、0.1〜10分程度行うのが好ましい。このような処理により、支持膜上に多官能アミンが均一に保持される。さらに、この水溶液中に水溶性のエタノール、iso-プロパノール等のアルコールやジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等やポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを水溶液全体に対して0.01〜50重量%添加してもよい。これらを添加することにより、支持膜面とのなじみが良くなる。
【0013】
さらに、米国特許第4,872,984号及び第4,948,507号に記載のように単量体アミン塩を加えてもよい。このような単量体アミン塩は単量体アミンと酸の塩であってよく、第三級アミンと強酸の塩であるのが好ましい。ここで、強酸は水と本質的に完全に反応してヒドロニウムイオンを生じさせる酸を意味する。このような強酸としては芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、カンファースルホン酸のような環状脂肪族スルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、塩酸および硫酸などが挙げられる。
【0014】
さらに好ましくは、前記単量体アミン塩は強酸と、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどのトリアルキルアミン、1−メチルピペリジンなどのN−アルキル環状脂肪族アミン、N,N−ジメチルエチルアミンおよびN,N−ジエチルメチルアミンなどのN,N−ジアルキルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどのN,N−ジアルキルエタノールアミン、3−キヌクリジノールなどの二環第三級アミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される第三級アミンまたは水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラプロピルアンモニウムのような水酸化テトラアルキルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウムおよび水酸化ベンジルトリプロピルアンモニウムのような水酸化ベンジルトリアルキルアンモニウムおよびそれらの混合物からなる群の少なくとも1つから選択される第四級アミンとの水溶性の塩である。特に好ましい単量体アミン塩はトリエチルアミンとカンファースルホン酸のアミン塩(TEACSA)である。
【0015】
単量体アミン塩は水溶性の固体、または単量体アミン塩を溶解した水溶液として使用される。単量体アミン塩は好ましくはその水溶性として使用される。単量体アミン塩を製造するために使用される単量体アミンは好ましくは8以上、さらに好ましくは約8から13、最も好ましくは約9〜13のpKaを有している。
【0016】
これらは、水溶液全体に対して1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%添加しても良い。これらを添加することにより反応性が向上し、膜性能が良くなる。
【0017】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤を含有させることもできる。これらの界面活性剤は、多官能アミンを含有する水溶液の微孔性支持膜への濡れ性を改善するのに効果がある。
【0018】
このような処理を行った後、エレメントに窒素、空気等を導入して過剰の溶液を除去するのが好ましい。
【0019】
[膜の再生]
ついで、逆浸透膜エレメントに多官能酸ハライドを含む非水系の有機溶媒からなる再生液を導入する。
【0020】
かかる多官能酸ハライドとしては、トリメシン酸クロライド、イソフタル酸クロライト等の芳香族酸クロライド;ブタンテトラカルボン酸クロライド等の脂肪族酸クロライド;1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸クロライド、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸クロライド等の脂環族酸クロライド等が好適に用いられるが、これに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
再生溶液中の多官能ハライドの濃度は0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜0.8重量%である。濃度がこの範囲より低いと活性層に欠陥が生じ、阻止性能が低下する。また、高いと活性層の厚さが厚くなり、透過水量の著しい低下をもたらす。
【0022】
かかる溶液に用いられる溶媒としては、前記多官能酸ハライドを溶解するものであればよく、例えばヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の疎水性の有機溶媒が好ましい。また、該溶媒中には膜面における疎水性溶液のなじみを改善するためエタノール、iso-プロパノール等のアルコールやジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等を溶液全体に対して0.01〜50重量%添加してもよい。
【0023】
再生液のモジュールへの供給方法は種々の方法が用いられてよく、例えば、ポンプなどを用いて定量的に導入することができる。かかる処理の温度は10〜50℃が好ましく、逆浸透膜の膜面と再生液との接触時間は、1秒〜1分程度が好ましい。
【0024】
再生液により処理を行った後、逆浸透膜を乾燥する。乾燥には適宜の方法が用いられてよく、例えば、乾燥空気をエレメントの原液供給側より導入するのが効率的である。乾燥温度は膜の保湿性を保持するため20〜150℃、好ましくは25〜100℃である。
【0025】
[保護膜の形成]
さらに、得られた活性層表面を有機重合体で被覆してもよい。かかる有機重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの−OH基を有する有機重合体、スルホン化ポリスルホンのような−SO3H基を有する有機重合体、ポリエチレンイミン等の−NH2基を有する有機重合体などが挙げられるが、これに限定されない。これらの内、特にポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0026】
溶液中の有機高分子化合物の濃度は、0.01〜20重量%、好ましくは、0.05〜5重量%である。有機高分子化合物の濃度がこれより低いと充分にコーティングできず修復が不充分であり、一方、これより高いと透過水量が大幅に低下してしまう。
【0027】
また、かかる保護液に用いられる溶媒としては、逆浸透複合膜の活性皮膜層を損傷することの少ない水、低級アルコール、ハロゲン化炭化水素、脂肪族炭化水素、アセトン、アセトニトリル及び、これらの混合溶液を用いるのが好ましい。溶液には、さらにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、エチレンクロルヒドリン等のハロゲン化脂肪族アルコール、メトキシメタノール、メトキシエタノールを混合してもよく、特に、これら低級アルコールの1種以上と水との混合溶媒を用いるのが好ましい。
【0028】
水と低級アルコールとの混合溶媒を用いる場合、含水率は90%以下であるのが好ましい。また、水を溶媒とする場合は、膜との濡れ性をよくするため界面活性剤を添加してもよい。
【0029】
かかる保護液によりエレメントを処理するには、例えばエレメントの原液供給側より前記溶液を導入することにより行う。例えば、ポンプ等を用いて定量的に流し込む方法が好適である。溶液により処理されたエレメントは、適宜の方法により乾燥される。例えば、乾燥空気をエレメントの供給側より導入するのが効率的であり好ましい。乾燥温度は20〜150℃であり、25〜100℃であるのが膜の保湿性を保つ上で好ましい。
【0030】
これらは水に完全に不溶化するために架橋させるのが好ましい。架橋は、膜の再生処理と同時、又は再生後、あるいはその両方で行ってもよい。架橋方法としては特に限定されないが、熱架橋法や化学架橋法が用いられる。化学架橋法は、例えば、塩酸酸性溶液下、多価アルデヒド溶液による処理にて行うことができる。多価アルデヒドとしては、グルタルアルデヒド、グリオキザール及びテレフタルアルデヒド等が用いられる。その他エポキン化合物や多価カルボン酸及び多価カルボン酸ハライドを用いることができる。
【0031】
このようにして逆浸透複合膜上に設けられた高分子化合物の薄膜の厚みは、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μm程度であるのが、塗布による透水量の低下を抑制する上で好適である。膜厚を制御するには適宜の方法が用いられてよいが、溶液濃度の調製により行うのが簡便である。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
性能劣化した759HR−S4エレメント(日東電工(株)製:NaCl阻止率98%、透過水量4.0m3/d(NaCl濃度1500ppm、圧力15kgf/cm2、pH6.5、濃度25℃))の再生を行った。まず、エレメントを次亜塩素酸ナトリウム溶液(10,000ppm)で6時間洗浄し、活性層を除去した。このエレメントを水洗後、原液の供給側より乾燥空気を膜面に吹き付け、膜面の過剰な水を除去した。つぎに、メタフェニレンジアミン(2.0重量%)、カンファースルホン酸(4.0重量%)及びトリエチルアミン(2.0重量%)を含む溶液をエレメントに導入し、1分処理した後、乾燥窒素を流し込み過剰の溶液を除去した。
【0034】
さらに、トリメシン酸クロライドのヘキサン溶液(0.25重量%)をエレメントの供給側より導入し20秒後に液切りを実施した後、乾燥空気(温度:80℃)を供給側より吹き込み乾燥した。このエレメントを再度性能評価したところNaCl阻止率が99.2%、透過水量6.5m3/d(NaCl濃度1500ppm、圧力15kgf/cm2、pH6.5、温度25℃)であり、エレメントの再生が確認された。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、膜性能の低下し従来は再生不能として破棄されていた逆浸透エレメントの活性層をモジュール状態のままで再生し再使用することができる。
Claims (2)
- 下記工程(i)〜(iii)を含む複合逆浸透膜エレメントの再生方法。
(i)複合逆浸透膜の活性層を除去する工程
(ii)前記活性層の除去された支持膜面を多官能アミン水溶液で処理し、支持膜面に官能アミンを保持させる工程、及び
(iii)該膜面を多官能酸ハライドを含む非水系有機溶液で処理し活性層を形成させる工程 - 請求項1の再生方法により再生された複合逆浸透膜エレメント。
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JP33795097A JP3637750B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 複合逆浸透膜エレメントの再生方法 |
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JP33795097A JP3637750B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 複合逆浸透膜エレメントの再生方法 |
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JPH11156168A JPH11156168A (ja) | 1999-06-15 |
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- 1997-11-21 JP JP33795097A patent/JP3637750B2/ja not_active Expired - Fee Related
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