JPH09279592A

JPH09279592A - 法面補強方法

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Publication number: JPH09279592A
Application number: JP11831296A
Authority: JP
Inventors: Mitsuo Taniguchi; 美津男谷口; Yoshiki Takiguchi; 善樹瀧口
Original assignee: Nisshoku Corp
Current assignee: Nisshoku Corp
Priority date: 1996-04-15
Filing date: 1996-04-15
Publication date: 1997-10-28
Anticipated expiration: 2016-04-15
Also published as: JP2903462B2

Abstract

(57)【要約】【課題】アンカー部材を地盤に、先端部が法面から突
出した状態に埋設し、前記アンカー部材の突出先端部に
法面を支持する受圧板を締結して法面を補強するにあた
り、受圧板の構造を工夫することにより、法面の自然な
地肌を完全に隠蔽してしまうことなく受圧板としての機
能を発揮させたり、必要に応じて、受圧板の内部に、モ
ルタル、砕石、砂利等を充填することにより重量を持た
せて、より安定なものにしたり、さらには、受圧板でも
積極的に植物を生育させて、法面全体を緑化できるよう
にした法面補強方法を提供する。【解決手段】アンカー部材１の突出先端部に締結して
法面２を支持する受圧板として、籠状構造物Ａを使用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ＰＣ鋼よ
り線、ＰＣ鋼材、異形鉄筋、ロックボルト等のアンカー
部材を地盤に、先端部が法面から突出した状態に埋設
し、前記アンカー部材の突出先端部に法面を支持する受
圧板を締結して法面を補強する法面補強方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の法面補強方法において
は、受圧板として、ステンレス板、プレキャストコンク
リート板、硬質発泡ウレタンをガラス長繊維で強化した
合成材等が使用されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来方法においては、いずれも、受圧板自体に植生基盤
としての機能がなく、植物を生育させることができない
ので、多数の受圧板が法面全域に密に配置された場合、
法面全体が人工的で無機質的な外観を呈することにな
り、自然な景観が損なわれていた。たとえ、必要個数の
受圧板を法面に点在させて、受圧板間に露出する法面部
分を植生により緑化しても、緑化部分と、緑化し得ない
受圧板との間に違和感が生じ、結果的には、法面全体を
美麗に緑化することができなかった。

【０００４】本発明は、上述の事柄に留意してなされた
もので、受圧板の構造を工夫することより、法面の自然
な地肌を完全に隠蔽してしまうことなく受圧板としての
機能を発揮させたり、必要に応じて、受圧板の内部に、
モルタル、砕石、砂利等を充填することにより重量を持
たせて、より安定なものにしたり、さらには、受圧板で
も積極的に植物を生育させて、法面全体を美麗に緑化す
ることも可能となる法面補強方法を提供することを目的
としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では、受圧板を籠状構造物によって構成し
ている。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明は、アンカー部材を地盤
に、先端部が法面から突出した状態に埋設し、前記アン
カー部材の突出先端部に法面を支持する受圧板を締結し
て法面を補強するにあたり、前記受圧板として、籠状構
造物を使用することにより実施できる。

【０００７】この場合、籠状構造物を、内部に何も充填
せずに使用することより、法面の自然な地肌を完全に隠
蔽してしまうことなく受圧板としての機能を発揮する
が、内部に、モルタル、砕石、砂利等を充填することに
より重量を持たせて、より安定なものにしてもよい。ま
た、植物種子を含む植生材料を吹き付けて、籠状構造物
の内部に植生材料を充填すると共に、その周囲を植生材
料で覆い、受圧板でも積極的に植物を生育させることも
できる。また、籠状構造物の内部に、砕石、砂利、粒状
発泡スチロール等を充填して排水機能を持たせ、その上
から植物種子を含む植生材料を吹き付けて、排水性の良
い植生基盤を形成することもできる。

【０００８】籠状構造物としては、偏平な箱型やドーム
型に形成されたもの、アンカー部材の突出先端部に対す
る締結部を中心とする放射状（例えば、三叉状、十字状
等）に形成されたもの、細長い直線的な筒型に形成され
たものを使用できる。偏平な箱型やドーム型に形成され
た籠状構造物の平面形状は、三角形、四角形、多角形、
円形等々、任意に設定できる。また、籠状構造物の構成
材料としては、鉄筋、溶接金網、パンチングメタル、エ
キスパンドメタル、あるいは、これらと型鋼や鋼棒の複
合など、種々の材料を選択できる。

【０００９】

【実施例】図１〜図４は、本発明に係る法面補強方法の
一実施例を示す。この法面補強方法は、ＰＣ鋼より線、
ＰＣ鋼材、異形鉄筋、ロックボルト等のアンカー部材１
を地盤に、先端部が法面２から突出した状態に埋設し、
前記アンカー部材１の突出先端部に法面２を支持する受
圧板を締結して法面２を補強するにあたり、前記受圧板
として、偏平な箱型に形成された籠状構造物Ａを使用し
た点に特徴がある。

【００１０】図示の籠状構造物Ａは、図２、図３に示す
ように、多数の鉄筋３を溶接して、平面視四角形の偏平
な箱型に形成したもので、中央部には、アンカー部材１
の突出先端部を締結するための箱型座金４が嵌め込ま
れ、溶接等の手段により固着され、内部には、前記箱型
座金４に一端側を溶接した太径の鉄筋よりなる補強フレ
ーム５が配置され、溶接等の手段により一体化されてい
る。１ａは着脱可能な保護キャップである。

【００１１】籠状構造物Ａの寸法は、縦，横が１００ｃ
ｍ程度、高さが１０〜２０ｃｍ程度に設定されている
が、これらの寸法は、任意に設定できる。また、鉄筋の
太さは、直径４〜１３ｍｍに設定され、補強フレーム５
はそれよりも太く設定されているが、これらの直径は、
任意に設定できる。籠状構造物Ａの隙間ａは、その目合
いが大き過ぎると、機械的強度を確保しにくいし、あま
り小さいと、後述する植生材料を吹き付けた際、これを
通過させにくく、植生材料に混入されている植物種子の
発芽や生育の妨げとなる。そのため、適宜の強度を確保
し、かつ、植生材料を通過させると共に、植物種子の発
芽や生育を妨げない程度の大きさに設定される。

【００１２】法面補強方法の施工手順をより詳しく説明
すると、図３に示すように、法面２に適宜深さの穴６を
形成し、この穴６にアンカー部材１を、その上部が法面
２から突出した状態に挿入して、モルタル等のセメント
系グラウト材７で固定し、しかる後、籠状構造物Ａを法
面２に、アンカー部材１の突出先端部が箱型座金４に挿
入された状態に設置し、ナット８で締め付けて、締結す
るのである。この場合、籠状構造物Ａは、主材料が鉄筋
であり、ある程度の弾性変形が可能であるから、図３に
示すように、法面２の凹凸になじみやすい。

【００１３】上記の構成によれば、法面２を支持する受
圧板が籠状構造物Ａで構成されているので、法面２の自
然な地肌を完全に隠蔽してしまうことがなく、図４に示
すように、法面に生育した植物は、籠状構造物Ａの隙間
ａを貫通して成長することが可能である。従って、例え
ば、籠状構造物Ａの設置に先立って、法面２全体に植物
種子を付着させた網状体（例えば、実公昭５８−５７０
９号公報に示される張芝体）を敷設すれば、籠状構造物
Ａで囲まれた法面部分だけでなく、籠状構造物Ａにも植
物が生育し、法面全面の緑化が可能である。

【００１４】また、必要であれば、前記箱型座金４の固
定に先立って、箱型座金４を嵌め込むための貫通孔から
籠状構造物Ａの内部に砕石、砂利等を充填するか、ある
いは、図５に示すように、籠状構造物Ａを本体Ａ₁と蓋
体Ａ₂とから構成して、籠状構造物Ａの内部に、砕石、
砂利等９を充填したり、図６に示すように、法面への設
置後、籠状構造物Ａの内部にモルタル１０を充填するこ
とにより、籠状構造物Ａに重量を持たせて、より安定な
法面補強を行うようにすることもできる。尚、図５に示
すｂは、本体Ａ₁と蓋体Ａ₂を固定するカシメ金物であ
る。

【００１５】図１の実施例では、複数の籠状構造物Ａを
法面２に市松状に設置したが、互いに接触させずに適宜
間隔で点在させてもよく、あるいは、図７に示すよう
に、複数の籠状構造物Ａを互いに密接した状態に設置し
てもよい。

【００１６】また、複数の籠状構造物Ａを互いに密接し
た状態に設置した後、図８に示すように、植物種子と、
有機質、化学肥料、土壌改良剤、保水剤など植物の生育
に直接的または間接的に必要な生育基材とを適宜の割合
で混合して例えばゲル状にした植生材料Ｂを、モルタル
ガンなどの湿式吹付け装置（図示せず）を用いて、籠状
構造物Ａの上に吹き付けることにより、籠状構造物Ａの
内部に植生材料Ｂを充填すると共に、籠状構造物Ａの表
面を適当な厚さの植生材料Ｂで覆ったり、図１に示した
ように、複数の籠状構造物Ａを市松状に設置後、籠状構
造物Ａの上と、籠状構造物Ａを設けた部分以外の法面２
に前記植生材料Ｂを吹き付けることにより、籠状構造物
Ａの内部に植生材料Ｂを充填すると共に、籠状構造物Ａ
の表面と、籠状構造物Ａで囲まれた法面部分に、植生材
料Ｂの層を形成すれば、法面の補強だけでなく、法面全
体の緑化を行うことができる。

【００１７】尚、図８において、１１は湿式吹付け装置
のノズルである。図示しないが、図５で示したように、
籠状構造物Ａの内部に、砕石や砂利、あるいは、それら
に代えて、粒状発泡スチロール等の粒状物を充填した状
態で、図８に示すように、植生材料Ｂを籠状構造物Ａの
上に層状に吹き付ければ、籠状構造物Ａが排水機能を持
つことになり、その上に植生材料Ｂの層があるので、排
水性の良好な植生基盤を形成できる。

【００１８】図９は、本発明の他の実施例を示す。この
実施例は、偏平な箱型に形成された籠状構造物Ａを平面
視六角形に形成した点に特徴がある。その他の構成は、
図２で示した実施例と同じであるため、説明を省略す
る。この実施例と、図２の実施例を通して明らかなよう
に、偏平な箱型に形成された籠状構造物Ａの平面形状に
ついては、任意に設定できるものであり、例えば、三角
形、六角形以外の多角形、円形等を選択してもよい。

【００１９】図１０は、本発明の他の実施例を示す。こ
の実施例は、籠状構造物Ａをドーム型に形成した点に特
徴がある。具体的には、中央部に設けた円形の箱型座金
４の周囲に、弧状に湾曲した複数本の線材（例えば、鉄
筋）１２を放射状に溶接し、これらの放射状鉄筋１２
に、螺旋状に巻回した線材（例えば、鉄筋）１３を溶接
し、底面には溶接金網１４を溶接して、平面視円形のド
ーム型の籠状構造物Ａを構成している。その他の構成
は、図２で示した実施例と同じであるため、説明を省略
する。図示しないが、ドーム型の籠状構造物Ａの底面の
形状は、四角形や多角形でもよい。

【００２０】図１１、図１２は、本発明の他の実施例を
示す。この実施例は、籠状構造物Ａを前記アンカー部材
１の突出先端部に対する締結部を中心とする放射状に形
成した点に特徴がある。この籠状構造物Ａは、中央にア
ンカー部材の挿通孔ｃを有する略三角形状の箱型座金４
の周囲に、断面視方形状に配置された複数本（図面上で
は、１６本）の鉄筋１５とその周囲に巻き付けて溶接に
より固着した角形螺旋状の鉄筋１６と、それらに溶接に
より固着して端部開口を閉塞する方形状のプレート１７
等から成る３本の鉄筋籠１８を連結して、三叉状に形成
したものであるが、放射状としては、図１１のような三
叉状の他、図１３に示すように、４本の鉄筋籠１８を連
結して構成した十字状のもの、あるいは、５本以上の鉄
筋籠１８を連結して構成したもの等、種々の形状を選択
できる。

【００２１】これらの放射状にした籠状構造物Ａは、図
１４に示すように、法面２の補強が必要な部位に、点在
させてもよい。殊に、十字状の籠状構造物Ａであれば、
図１５に示すように、縦横格子状に並べて設置してもよ
い。

【００２２】図１６〜図１８は、本発明の他の実施例を
示す。この実施例は、籠状構造物Ａを細長い直線的な筒
型に形成し、長手方向の複数箇所（図面上では二箇所）
にアンカー部材１との締結部を形成した点に特徴があ
る。この籠状構造物Ａは、図１７に示すように、法面２
に法長方向と交差するように（具体的には、等高線に沿
って）設置したり、図１８に示すように、法面２に法長
方向に設置して使用することができる。その他の構成や
作用は、先の実施例と同じであるため、同一構成部材に
同一符号を付し、説明を省略する。

【００２３】尚、上記各実施例においては、いずれも、
籠状構造物Ａの主たる材料が鉄筋であるが、図１９に示
すように、パンチングメタルやエキスパンドメタル１９
を使用して籠状構造物Ａを構成してもよい。また、パン
チングメタル、エキスパンドメタル、鉄筋の何れかと、
型鋼又は鋼棒とを併用して、籠状構造物Ａを構成しても
よい。また鉄筋（パンチングメタルやエキスパンドメタ
ルでもよい）と、型鋼又は鋼棒とを併用して、アンカー
部材の締結部を中心とする十字状の籠状構造物Ａを構成
する場合、図２０に示すように、型鋼又は鋼棒２０を十
字状部分の全長にわたって連続した形状（アンカー部材
の締結部の両側へ連続した形状）としてもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アンカー部材を地盤に、先端部が法面から突出した状態
に埋設し、前記アンカー部材の突出先端部に法面を支持
する受圧板を締結して法面を補強するにあたり、前記受
圧板として、籠状構造物を使用するため、籠状構造物の
内部に何も充填せずに使用する場合には、法面の自然な
地肌を完全に隠蔽してしまうことなく受圧板としての機
能を発揮させることができ、必要であれば、籠状構造物
の内部に、モルタル、砕石、砂利等を充填することによ
り重量を持たせて、より安定な受圧板としたり、さらに
は、植生材料を充填し、籠状構造物でも積極的に植物を
生育させて、法面全体を美麗に緑化することも可能とな
り、籠状構造物の内部に、砕石、砂利、粒状発泡スチロ
ール等を充填して排水機能を持たせ、その上から植物種
子を含む植生材料を吹き付けて、排水性の良い植生基盤
を形成することもできる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る法面補強方法の一実施例を示す概
略斜視図である。

【図２】受圧板を構成する籠状構造物の斜視図である。

【図３】要部の断面図である。

【図４】法面に植物が生育した状態における要部の断面
図である。

【図５】本発明の他の実施例を示す要部の斜視図であ
る。

【図６】本発明の他の実施例を示す要部の斜視図であ
る。

【図７】本発明の他の実施例を示す概略斜視図である。

【図８】本発明の他の実施例を示す概略斜視図である。

【図９】本発明の他の実施例を示す籠状構造物の斜視図
である。

【図１０】本発明の他の実施例を示す籠状構造物の斜視
図である。

【図１１】本発明の他の実施例を示す籠状構造物の平面
図である。

【図１２】図１１で示した籠状構造物の要部断面図であ
る。

【図１３】本発明の他の実施例を示す籠状構造物の平面
図である。

【図１４】図１３の籠状構造物を使用した法面補強方法
を説明する概略斜視図である。

【図１５】図１３の籠状構造物を使用した法面補強方法
を説明する概略斜視図である。

【図１６】本発明の他の実施例を示す籠状構造物の平面
図である。

【図１７】図１６の籠状構造物を使用した法面補強方法
を説明する概略斜視図である。

【図１８】図１６の籠状構造物を使用した法面補強方法
を説明する概略斜視図である。

【図１９】本発明の他の実施例を示す籠状構造物の斜視
図である。

【図２０】本発明の他の実施例を示す籠状構造物の斜視
図である。

【符号の説明】

Ａ…籠状構造物、１…アンカー部材、２…法面。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】アンカー部材を地盤に、先端部が法面か
ら突出した状態に埋設し、前記アンカー部材の突出先端
部に法面を支持する受圧板を締結して法面を補強するに
あたり、前記受圧板として、籠状構造物を使用すること
を特徴とする法面補強方法。
【請求項２】前記籠状構造物が偏平な箱型に形成され
ている請求項１に記載の法面補強方法。
【請求項３】前記籠状構造物がドーム型に形成されて
いる請求項１に記載の法面補強方法。
【請求項４】前記籠状構造物がアンカー部材の突出先
端部に対する締結部を中心とする放射状に形成されてい
ることを特徴とする請求項１に記載の法面補強方法。
【請求項５】前記籠状構造物が細長い直線的な筒型に
形成されていることを特徴とする請求項１に記載の法面
補強方法。