JP5827938B2 - 植生誘導工法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に法面や傾斜地等の緑化に際して使用される緑化用網状体並びにこれを用いた植生誘導工法に関する。特に、緑化にあたり人為的な種子の導入を行わず、施工地周辺から自然散布(飛来、落下、鳥類によるシードレイン等)される種子により、法面等を緑化する工法に関する。
植生誘導工とは、植物の自然侵入を促す植生工の総称である。例えば、種子潜在表土播工、種子なし植生基材吹付工、ネット系の資材(特許文献1)を全面に張り付ける工法、種子なし植生基材吹付工とネット系の資材を組み合わせた工法(特許文献2)、種子なし植生基材吹付工にマルチング吹き付けを組み合わせた工法(特許文献3)などがある。
種子なし植生基材吹付工においては、比較的軽量で定着し易い風散布種子(主にキク科草本類等)は早期に生育基盤に侵入してくるのに対し、比較的形状の大きい種子(主にシイ類、カシ類、ナラ類等)は、近隣の樹木等から飛来し落下後に法面を容易に転げ落ちてしまい、早期に自然侵入させることが極めて困難であるという問題点があった。特許文献2は、比較的厚い立体構造の網状物を敷設して大きい種子の捕捉を可能とすることで、この問題点を解決した。
特開平6−7027号公報 特開平11−81327号公報 特開2012−215023号公報 特許第4630526号公報 特許第4330587号公報
しかし、植生誘導工において、種子捕捉のために、土壌微生物によって分解されやすい易分解性物質(例えば、天然繊維又は生分解性合成繊維)からなる資材を用いた場合、施工後、予想された期間よりも短期間のうちに容易に分解してしまうことが判明した。資材の素材により多少の差はあるものの、種子捕捉に有効に作用する立体構造を短期間しか維持することができないという、新たな問題点が生じた。
特に、有機系生育基盤材を使用した種子なし植生基材吹付工を施工した後に、易分解性繊維からなる比較的厚い立体構造の資材を組み合わせた施工を採用した場合には、吹付造成された有機質基盤(バーク堆肥などのコンポストを主材料とする)に多量に含まれている土壌微生物により、地山に直接張り付けした場合よりも資材の分解が加速されてしまう。
この問題は、周辺からの種子供給量(自然散布量)が立地的に少ない中〜大規模の場合に深刻となる。すなわち、緑化に必要な十分な種子捕捉がなされるまでの間(概ね1〜3年)の早い時点で、例えば網状物の上面側から下面側に貫通する空間を有する立体構造が崩壊(土壌化)してしまい、飛来種子の捕捉効果が比較的短期間しか発揮されないこととなる。
種子捕捉用の資材の素材として難分解性繊維を用いれば、こうした問題は容易に解決することができる。しかし、そもそも植生誘導工が適用される法面は、自然公園内などのように外部からの植物材料の持ち込みによる遺伝子の攪乱等を防止したい地域、つまり自然環境豊かな地域であることから、法面に長期間残留するような難分解性の化学繊維(化学物質)を素材とする比較的厚い資材は望ましくない。そのため、やむを得ず難分解性繊維を使用する場合は、素材の安全性が確保でき、使用量を必要最小限に抑えるなどの対策が求められる。
上記のような現状に鑑み、本発明は、緑化に必要な十分な種子捕捉がなされるまでの間は大きな種子を捕捉できる所定の厚さの立体構造を保持し、十分な種子捕捉がなされた後は分解して土壌化するような緑化用網状体及びこれを用いた植生誘導工を提供することを目的とする。
本発明の第の態様は、法面等(1)の表面の一部又は全面に種子を含まない緑化用網状体(2A)を用いた植生誘導工法であって、前記法面等(1)の一部又は全面に、0.5〜5.0cmの厚さを有し、上面から下面に貫通する多数の網目状の空間(24)が形成された易分解性物質からなる網状基体(21)と、前記網状基体(21)の上面若しくは下面のいずれか又は上面及び下面の双方を被覆する難分解性樹脂からなる被覆層(22,23)とを備え、前記網状基体(21)の上面と下面の間の側面部分には難分解性樹脂を被覆していない前記緑化用網状体(2A)を敷設し、アンカーピン(3)を用いて適宜固定することを特徴とする。
本発明の第の態様は、法面等(1)に種子を含まない生育基盤(4)を吹付造成した後、前記生育基盤(4)の表面の一部又は全面に種子を含まない緑化用網状体(2A)を敷設する植生誘導工法であって、前記生育基盤(4)の吹付造成に先立ってネット張工を行わず、前記生育基盤(4)の表面の一部又は全面に、0.5〜5.0cmの厚さを有し、上面から下面に貫通する多数の網目状の空間(24)が形成された易分解性物質からなる網状基体(21)と、前記網状基体(21)の上面若しくは下面のいずれか又は上面及び下面の双方を被覆する難分解性樹脂からなる被覆層(22,23)とを備え、前記網状基体(21)の上面と下面の間の側面部分には難分性樹脂を被覆していない前記緑化用網状体(2A)を敷設し、アンカーピン(3)を用いて適宜固定することを特徴とする。
上記第1又は第2の態様において、前記網状基体(21)の上に配置された補強ネット(25)をさらに備えた前記緑化用網状体(2B)を敷設することが、好適である。
本発明による緑化用網状体は、所定の厚さを有し上面から下面に貫通する多数の網目状の空間を形成された易分解性物質からなる網状基体の上面又は下面の少ないとも一方の面に難分解性樹脂の被覆層を設けたので、微生物による網状基体の分解を遅延させることができる。
微生物による網状基体の分解速度は、難分解性樹脂を両面に被覆した場合、下面のみに被覆した場合、上面のみに被覆した場合の順で速くなる。上面のみに被覆した場合が最も速いが、従来の被覆しない場合に比べて微生物による分解を遅らせることができる。
易分解性物質からなる網状基体の下面に難分解性樹脂を被覆した場合は、土壌微生物の最大の供給源である地山や生育基盤と直接接する部分を絶縁することができるので、分解遅延効果が大きい。
易分解性物質からなる網状基体の上面に難分解性樹脂を被覆した場合は、風等で周辺から飛散してくる土砂や落葉落枝との接触を絶縁することができるので、これらを介した土壌微生物の供給を遮断し、分解を遅らせることができる。
易分解性物質からなる網状基体の上面と下面の双方に難分解性樹脂を被覆した場合は、上述した双方の効果が得られる。
網状基体の上面と下面の間の側面部分には難分解性樹脂を被覆していない。この部分から腐食(分解)が進行した場合でも、上面と下面の双方に難分解性樹脂が被覆されていると、立体構造を保持し易い。この結果、長期間に亘って種子の捕捉機能を維持できる。
また、網状基体の側面部分に難分解性樹脂を被覆しないため、降雨水が網状基体にも吸収されて保水効果を発揮し、この降雨水は地山や生育基盤にも供給される。この結果、網状基体の網目状の空間に捕捉された種子は容易に発芽し、定着することができる。その後の成長も阻害されない。
網状基体自体も、植物の根系が容易に伸張できるものであることから、分解が進んでいない段階から植物の生育期盤の一部としても機能することができる。
難分解性樹脂の被覆層の厚さは、コーティング等による極めて薄いもので十分であるので、多量の難分解性樹脂が長期に亘って残留せず、自然公園等においても適用することができる。
本発明による緑化用網状体は、生育基盤の上に張り付けた場合、生育基盤の保水性及び柔軟性も高める作用があるため、補足した種子が発芽生育しやすい環境をつくるという効果も有する。
図1は、本発明の第1の実施形態における緑化用網状体の概略平面図である。 図2(a)は、図1に示した緑化用網状体のA断面図であり、植生誘導工の一例でもあり、(b)は(a)の部分拡大図である。 図3は、本発明の第2の実施形態における緑化用網状体の概略平面図である。 図4(a)は、図3に示した緑化用網状体のB断面図であり、植生誘導工の一例でもあり、(b)は(a)の部分拡大図である。 図5(a)(b)はそれぞれ、本発明の第1及び第2の実施形態における緑化用網状体を用いた植生誘導工の別の例である。 図6は、本発明の緑化用網状体を用いた保水試験(体積含水率)の結果を示すグラフである。 図7は、本発明の緑化用網状体を用いた保水試験(土壌硬度)の結果を示すグラフである。
以下、一例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における緑化用網状体の概略平面図である。図2(a)は、図1に示した緑化用網状体のA断面図であり、植生誘導工の一例でもある。図2(b)は(a)の部分拡大図である。
図1及び図2に示すように、緑化用網状体2Aの本体部分である網状基体21は、所定の厚さを有し、上面から下面に貫通する多数の網目状の空間24を形成された易分解性物質からなる。易分解性物質は、例えば、麻等の天然繊維若しくは天然樹脂又は生分解性合成繊維若しくは生分解性合成樹脂等である(ここで、樹脂は繊維状でない固体を指す)。植生誘導工に用いる場合、網状基体21は種子を含まない。
「所定の厚さ」とは、比較的形状の大きい種子(主にシイ類、カシ類、ナラ類等)が網目状の空間24に引っ掛かり捕捉される程度である。網状基体21は、所定の厚さ(高さ)をもった多数の網目状の空間24により立体構造を形成している。1つの網目状の空間24の平面形状は、図示の菱形に限られず、楕円、矩形、帯状等も好適である。1つの空間24の平面視における面積は、大きいほど大型の種子の捕捉に有効であるが、網状基体21に大きい空間24を小数配置するよりは、小さい空間24を多数分散配置する方が種子捕捉には効果的である。空間24の大きさは、例えば楕円、矩形、菱形の場合は縦1〜10cm程度、横5〜15cm程度、帯状の場合は横の長さは任意であるが縦1〜10cm程度が好適である。厚さは、一般的には0.1〜5cm程度の範囲となる。比較的小さい風散布種子については0.1cm以上で、比較的大きい重力散布種子については0.5cm以上で捕捉効果が期待できる。比較的大きい一般的な種子の捕捉を期待する場合は、0.5cm〜3cm程度が好適である。
図2(a)に示すように、緑化用網状体2Aは、法面等の地山1の表面に敷設され、所定の箇所にてアンカーピン3を用いて適宜固定されている。
図2(b)に示すように、緑化用網状体2Aは、本体部分である網状基体21の上面及び下面に難分解性樹脂の被覆層22、23を備えている。ここで、「下面」とは、法面等の張り付けた際に地山や種子なし生育基盤に接する山側の面を意味し、「上面」とは、直接外気に曝される谷側の面を意味する。
網状基体21に難分解性樹脂を被覆する方法は、シート状に加工した難分解性樹脂を接着や熱融着等の公知の方法で貼り付ける方法がある。または、難分解性樹脂を網状基体21に塗布又は吹付けによりコーティングしてもよい。コーティングの場合、網状基体21の表面上に難分解性樹脂の被覆層を形成する以外に、網状基体21の表層部分に難分解性樹脂が浸透して被覆層を形成してもよい。
難分解性樹脂は、網状基体に所定の被覆層が形成されるものであれば、天然樹脂、合成樹脂のいずれでもよい。加工上の観点からは、熱可塑性を有する樹脂が好適である。ここでいう難分解性樹脂とは、易分解性物質と比較して分解する期間が長い樹脂をいう。すなわち、易分解性の天然繊維や生分解性樹脂以外のものが該当する。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル系等の公知の合成樹脂が含まれる。
なお、別の実施例として難分解性樹脂は、網状基体21の上面の被覆層22のみ、又は、下面の被覆層23のみ設けてもよい。
微生物による網状基体21の分解速度は、難分解性樹脂を両面に被覆(被覆層22、23)した場合、下面のみに被覆(被覆層23のみ)した場合、上面のみに被覆(被覆層22のみ)した場合の順で速くなる。上面のみに被覆した場合が最も速いが、従来の被覆しない場合に比べて微生物による分解を遅らせることができる。
易分解性物質からなる網状基体21の下面に難分解性樹脂を被覆(被覆層23)した場合は、土壌微生物の最大の供給源である地山1や生育基盤(後述する図5の施工形態)と直接接する部分を絶縁することができるので、分解遅延効果が大きい。
易分解性物質からなる網状基体21の上面に難分解性樹脂を被覆(被覆層22)した場合は、風等で周辺から飛散してくる土砂や落葉落枝との接触を絶縁することができるので、これらを介した土壌微生物の供給を遮断し、分解を遅らせることができる。
易分解性物質からなる網状基体21の上面と下面の双方に難分解性樹脂を被覆(被覆層22、23)した場合は、上述した双方の効果が得られる。
網状基体21の上面と下面の間の側面部分には難分解性樹脂を被覆していない。この部分から腐食(分解)が進行した場合でも、上面と下面の双方に難分解性樹脂が被覆されていると、立体構造を保持し易い。この結果、長期間に亘って種子の捕捉機能を維持できる。
また、網状基体21の側面部分に難分解性樹脂を被覆しないため、降雨水が網状基体にも吸収されて保水効果を発揮し、この降雨水は地山1や生育基盤(後述する図5の施工形態)にも供給される。この結果、網状基体21の網目状の空間に捕捉された種子は容易に発芽し、定着することができる。その後の成長も阻害されない。
図2(a)を参照して、第1の実施形態の緑化用網状体2Aを用いた植生誘導工の一例を説明する。
施工対象となる法面等の地山1の一部、又は全面に緑化用網状体2Aを張り付ける。地山1が土砂系などで凹凸が少なく、緑化用網状体2Aと地山が密着しやすく、周辺から比較的容易に種子が飛来してくる場合に有効である。
図3は、本発明の第2の実施形態における緑化用網状体の概略平面図である。図4(a)は、図3に示した緑化用網状体のB断面図であり、植生誘導工の一例でもある。図4(b)は(a)の部分拡大図である。
第2の実施形態の緑化用網状体2Bは、上述した第1の実施形態の緑化用網状体2Aの構成に加え、網状基体21の上に配置された補強ネット25をさらに備えている。図3の平面図では、補強ネット25の一部のみを示しているが、網状基体21の全体を覆っている。
補強ネット25の材質は特に限定しないが、例えば、菱形金網、亀甲金網、樹脂ネット等又はこれらの組合せとする。補強ネット25の網目の大きさは、少なくとも捕捉を想定している種子の粒径よりも大きいものとする。
図4(a)を参照して、第2の実施形態の緑化用網状体2Bを用いた植生誘導工の一例を説明する。
施工対象となる法面等の地山1の一部、又は全面に緑化用網状体2Bを張り付け、アンカーピン3を用いて固定する。アンカーピン3により網状基体21と補強ネット25は一体化される。この工法は、地山1が土砂系などで凹凸が少なく、緑化用網状体2B(網状基体21)と地山が密着しやすく、周辺から比較的容易に種子が飛来してくる場合に有効である。また、緑化用網状体2Bは、補強ネット25により耐久性が向上している。すなわち、網状基体21が分解しても補強ネット25はそれよりも長期間残る。この結果、網状基体21の分解により種子捕捉効果は低下しても、法面を被覆して保護する効果を長期間維持することができる。
図5(a)は、本発明の第1の実施形態における緑化用網状体2Aを用いた植生誘導工の別の例である。図5(b)は、本発明の第2の実施形態における緑化用網状体2Bを用いた植生誘導工の別の例である。
図5(a)(b)の植生誘導工では、施工対象となる法面等の地山1の表面に、種子を含まない生育基盤4を吹き付けした後、緑化用網状体2A、2Bを生育基盤4の一部、又は全面に張り付け、アンカーピン3を用いて固定する。この工法は、地山1が岩質法面の場合や、凹凸が多い場合など、緑化用網状体2A、2B(網状基体21)を直接地山に張り付けても地山1との密着性を十分に確保できない場合に好適である。地山1と緑化用網状体2A、2Bとの密着性が不十分であると、乾燥により網状基体21による保水機能が低下し、飛来種子の発芽、生育が阻害されるので好ましくない。
図5(a)(b)の植生誘導工における生育基盤4の吹付けは、植生基材吹付工(厚層基材吹付工ともいう)や客土吹付工により行う。これらの工法では、通常、緑化基礎工として併用する金網張工や樹脂ネット張工などのネット張工を行う。本発明の好適例では、このようなネット張工を行わずに(省略して)生育基盤4を吹き付ける。本発明の緑化用網状体2A、2Bを生育基盤4の上に張り付けることにより、緑化基礎工であるネット張工なしでも生育基盤4の耐久性を確保できる。特に図5(b)の補強ネット25を備えた緑化用網状体2Bは、耐久性に優れているため、緑化基礎工を省略しても確実にその代用としての機能を果たすことができる。
種子を含まない生育基盤4の吹付方法は特に限定されず、上述した通り植生基材吹付工や客土吹付工などの公知の方法を採用できる。特に、有機質基材を主材料とする植生基材吹付工は、セメント系の浸食防止材を使用することにより高い耐浸食性が発揮されることから好適である。
本発明の緑化用網状体は、自然散布された種子により緑化を図る植生誘導工に好適であるが、別の実施形態として、網状基体に予め種子を貼着させることにより、網状基体を植生マット(植生ネット)としても同様に使用することができる。
図5に示した植生誘導工の一実施例を示す。この実施例では、生育基盤の吹付けに有機質系生育種子なし植生基材吹付工を用いた。
有機質系種子なし植生基材吹付工の1m当たりの材料配合は次に通りである。
有機質系生育基盤材 2000L
緩効性肥料 7kg
セメント系浸食防止材 120kg
配合水 適量
植生基材吹付工の浸食防止材としては、古くから酢酸ビニル系樹脂や普通ポルトランドセメントを使用する工法が適用されている。本発明の種子なし植生基材吹付工に用いるセメント系浸食防止材は、通常、60〜180kg/mの範囲で調整され、特に、60〜120kg/mの範囲が好適である。有機質系生育基盤材にセメント系浸食防止材を混合して水を加えて吹き付けることで、材料の粘性が高まる。
このセメント系浸食防止材の使用に加え、本発明による緑化用網状体を使用することにより、植生基材吹付工で通常併用されるネット張工(金網張工等)を省略することが可能となり、施工後も高い耐浸食性を発揮させることができる。
セメント系浸食防止材の種類は特に問わないが、アルカリ障害による植物の発芽生育阻害を生じさせないものが望ましく、特許文献4に記載の「有機質系生育基盤用浸食防止材」が好適である。
図5に示した植生誘導工の別の実施例を示す。この実施例では、生育基盤の吹付けに無機質系生育種子なし植生基材吹付工を用いた。
無機質系種子なし植生基材吹付工の1m当たりの材料配合は次に通りである。
土砂(現場発生土等) 2000L
土壌改良材 600L
緩効性肥料 7kg
高分子系浸食防止材 2kg
団粒化材 0.2kg
配合水 適量
土砂を主材料とする無機質系植生基材吹付工は、一般的に有機質系植生基材吹付工と比較して耐浸食性に劣る傾向があるが、浸食防止材と団粒化材を併用した吹付けにより、飛来種子の発芽生育に適する団粒構造を有し、耐久性の高い生育基盤を造成することができる。
無機質系植生基材吹付工を適用する場合には、特許文献5に記載の「法面緑化工法」が好適である。
本発明による緑化用網状体の保水効果について試験を行った。
<試験方法>
・生育基盤
底に水抜き穴を多数配置したプラスチック製コンテナ(縦100 cm×横100 cm×深さ30 cm)に砕石を種子なし生育基盤さ吹付厚さの分だけ残して詰めた。砕石の上に、モルタルコンクリート吹付機を用いて、上記実施例1の有機質系種子なし植生基材吹付工の材料を生育基盤として吹き付け、表面が平滑になるように成形した。
・緑化用網状体
図3及び図4に示した緑化用網状体2Bを上記生育基盤の上に張り付けた。なお、使用した緑化用網状体2Bの網状基体21の厚さは約0.7cm(緑化用網状体2B全体の厚さは約1cm)とした。補強ネット25には、径2mm、50mm網目の菱形金網を用いた。
・試験条件
コンテナは屋外に設置し、散水は一切行わず、水の供給は雨水のみとした。従って、通常よりも乾燥しやすい条件下に置いた試験といえる。施工後は定期的に土壌水分計(DIK-311D)により生育基盤の体積含水率を測定した。また、体積含水率を測定する際に土壌硬度(山中式土壌硬度計)を併せて測定した。
・試験区
No.1区 種子なし生育基盤3cm厚+緑化用網状体
No.2区 種子なし生育基盤3cm厚のみ
No.3区 種子なし生育基盤5cm厚+緑化用網状体
No.4区 種子なし生育基盤5cm厚のみ
No.5区 種子なし生育基盤7cm厚+緑化用網状体
No.6区 種子なし生育基盤7cm厚のみ
<試験結果と考察>
図6は、測定された体積含水率の経過を示すグラフである。
図7は、測定された土壌硬度の経過を示すグラフである。
図6の体積含水率の推移をみると、種子なし生育基盤の厚さが同じ場合、緑化用網状体を張り付けた方が含水量は高くなり、保水効果が高いことがわかる。
また、No.1区とNo.4区、No.3区とNo.6区の体積含水率の推移が平均的にほぼ同様であることから、約1cm厚さの緑化用網状体は種子なし生育基盤2cm厚に相当する保水効果を有している、と考えることができる。
これは、例えば植生基材吹付工を用いて種子を配合した通常の法面緑化を行う場合に5cm厚の生育基盤の吹き付けが必要だった立地に対し、本発明を適用する場合には、3cm厚の種子なし生育基盤の吹き付けと緑化用網状体とを組み合わせれば、植生誘導工を適用できることを示している。このことは、施工の省力化とコストの縮減に有効である。
図7の土壌硬度の推移をみると、種子なし生育基盤の厚さが同じ場合、緑化用網状体を張り付けた方が土壌硬度は軟らかい状態になることがわかる。土壌硬度からみた植物の生育状態は、一般的に、粘性土では10〜23mm、砂質土では10〜27mmの場合に根系の伸長が良好となり、樹木の植栽に適するといわれている。本発明を適用すれば、乾燥しやすい条件下においても、土壌硬度を植物の発芽生育に最適な状態に維持できることを示している。
植物の発芽生育を飛来種子のみに依存する植生誘導工は、種子を配合して早期に植物群落を形成する通常の植生基材吹付工と比較して長期間低植被率状態に置かれる。そのため、生育基盤は乾燥しやすく、定着した種子も水分を吸収しにくいために発芽しにくい状態になりやすい。本発明を適用することにより、種子なし生育基盤の保水性が改善することに加えて、生育基盤の土壌硬度も発芽生育しやすい状態になる。従って、本発明の緑化用網状体は、種子の捕捉促進効果に加え、捕捉した種子が発芽成立しやすい環境をつくるという作用効果も有している。
なお、本試験では緑化用網状体2Bを使用したが、菱形金網である補強ネット25の保水機能はゼロと考えられるので、図1及び図2に示した緑化用網状体2Aを用いた場合も同様とみなすことができる。
1 法面等(地山)
2A、2B 緑化用網状体
21 網状基体
22 上面被覆層
23 下面被覆層
24 網目状の空間
25 補強ネット
3 アンカーピン
4 種子無し生育基盤

Claims (3)

  1. 法面等(1)の表面の一部又は全面に種子を含まない緑化用網状体(2A)を用いた植生誘導工法であって、
    前記法面等(1)の一部又は全面に、0.5〜5.0cmの厚さを有し、上面から下面に貫通する多数の網目状の空間(24)が形成された易分解性物質からなる網状基体(21)と、前記網状基体(21)の上面若しくは下面のいずれか又は上面及び下面の双方を被覆する難分解性樹脂からなる被覆層(22,23)とを備え、前記網状基体(21)の上面と下面の間の側面部分には難分解性樹脂を被覆していない前記緑化用網状体(2A)を敷設し、
    アンカーピン(3)を用いて適宜固定することを特徴とする植生誘導工法。
  2. 法面等(1)に種子を含まない生育基盤(4)を吹付造成した後、前記生育基盤(4)の表面の一部又は全面に種子を含まない緑化用網状体(2A)を敷設する植生誘導工法であって、
    前記生育基盤(4)の吹付造成に先立ってネット張工を行わず、
    前記生育基盤(4)の表面の一部又は全面に、0.5〜5.0cmの厚さを有し、上面から下面に貫通する多数の網目状の空間(24)が形成された易分解性物質からなる網状基体(21)と、前記網状基体(21)の上面若しくは下面のいずれか又は上面及び下面の双方を被覆する難分解性樹脂からなる被覆層(22,23)とを備え、前記網状基体(21)の上面と下面の間の側面部分には難分性樹脂を被覆していない前記緑化用網状体(2A)を敷設し、
    アンカーピン(3)を用いて適宜固定することを特徴とする植生誘導工法。
  3. 前記網状基体(21)の上に配置された補強ネット(25)をさらに備えた前記緑化用網状体(2B)を敷設することを特徴とする請求項1又は2に記載の植生誘導工法。
JP2012271096A 2012-12-12 2012-12-12 植生誘導工法 Active JP5827938B2 (ja)

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