JPH09278790A - ヘスペレチンモノグルコシドの製造方法 - Google Patents

ヘスペレチンモノグルコシドの製造方法

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JPH09278790A
JPH09278790A JP8086598A JP8659896A JPH09278790A JP H09278790 A JPH09278790 A JP H09278790A JP 8086598 A JP8086598 A JP 8086598A JP 8659896 A JP8659896 A JP 8659896A JP H09278790 A JPH09278790 A JP H09278790A
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hesperidin
acid
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chalcone
reaction
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JP8086598A
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Masaki Miyake
正起 三宅
Shinya Inaba
伸也 稲葉
Shigeru Ayano
茂 綾野
Yoshihiko Ozaki
嘉彦 尾崎
Kazuyuki Maruyama
和之 丸山
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WAKAYAMA AGURI BIO KENKYU CENT
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WAKAYAMA AGURI BIO KENKYU CENT
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヘスペリジンからヘスペレチンモノグルコシド
を効率的に製造できる方法を確立することで、ヘスペリ
ジンの用途開発における新たな利用を図ることを目的と
する。 【解決手段】ヘスペリジンをアルカリ水溶液に溶解させ
てカルコン化させるカルコン化工程、このカルコン化ヘ
スペリジン溶液に水溶性有機溶媒を添加する調整工程、
水溶性有機溶媒を添加したカルコン化ヘスペリジン調整
液に酸を加えヘスペリジンを酸加水分解する加水分解工
程を備えている構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘスペレチンモノ
グルコシドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】温州ミカンは、我が国の主要な果実の1
つであるが、そのまま皮を剥いて食する場合や、搾汁し
て飲料として供される場合などがある。ところで、温州
ミカンを搾汁すると、搾汁粕が必ず発生する。この搾汁
粕は、その一部が家畜の飼料などに利用される以外は、
一般に乾燥させたのち、廃棄処理されているのが現状で
ある。
【0003】上述した温州ミカンおよび温州ミカンの搾
汁粕中には、フラボノイドであるヘスペリジンが多量に
含まれており、前記ヘスペリジンは、強い血圧降下作
用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用を有することが
報告されている。また、食品添加物としても認可され、
ビタミンP、抗酸化剤などとして利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したヘ
スペリジンは他の多くのフラボノイドと同様、水に対す
る溶解度が低いという特性を持っているため、ヘスペリ
ジンの用途開発は限定され、国内では主要な回収源であ
るはずの温州ミカンおよびその搾汁粕からも全く回収さ
れていない。
【0005】そこで、本発明の発明者らは、ヘスペリジ
ンの誘導体であるヘスペレチンモノグルコシド(以下、
「HMG」と記す)に着目した。すなわち、このHMG
は水に対する溶解特性が優れているため、色々と応用性
に富んだ利用ができると思われる。しかし、このHMG
は、ヘスペリジンの糖鎖であるルチノースが、酵素ヘス
ペリジナーゼ(EC3.2.1.40)によって加水分解されること
で生成することが知られ、この反応を用いて、みかん缶
詰製造時の白濁原因物質であるヘスペリジンの可溶化が
図られているが、工業的に製造する方法は未だ報告され
ていない。
【0006】そこで、本発明は、ヘスペリジンからHM
Gを効率的に製造できる方法を確立することで、ヘスペ
リジンの用途開発における新たな利用を図ることを目的
として成されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明にかかるHMGの製造方法は、ヘスペリジ
ンをアルカリ水溶液に溶解させてカルコン化させるカル
コン化工程、このカルコン化ヘスペリジン溶液に水溶性
有機溶媒(以下、「有機溶媒」と記す)を添加する調整
工程、水溶性有機溶媒を添加したカルコン化ヘスペリジ
ン調整液に酸を加えヘスペリジンを酸加水分解する加水
分解工程を備えている構成とした。
【0008】上記構成において、アルカリとしては、特
に限定されないが、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。この時、
アルカリ水溶液の濃度は、溶解させるヘスペリジンの濃
度に応じて変化させる必要があり、例えば6%ヘスペリ
ジンを溶解させる場合、反応系における水酸化ナトリウ
ムの濃度は、塩酸濃度1.5 Nに対して0.2 N位が望まし
い。すなわち、アルカリ濃度が低すぎると十分にカルコ
ン化が進まず、アルカリ濃度が高すぎると加水分解反応
時に余分な酸の添加が必要となる。
【0009】また、有機溶媒としては、特に限定されな
いが、たとえば、イソプロピルアルコール(IPA)、
n−プロピルアルコール(NPA)、エチルアルコール
(EtOH)、メチルアルコール(MeOH)、ブチル
アルコール(BuOH)、エチレングリコール(E
G)、ジエチレングリコール(DEG)、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)等が挙げられる。この中でも、特
にIPA,NPA,EtOH,MeOHが望ましい。
【0010】カルコン化ヘスペリジン溶液に対する有機
溶媒の濃度は、溶液中のヘスペリジン濃度によって異な
るが、例えばIPAを有機溶媒として用いた時、初期ヘ
スペリジン濃度が6(w/v) %ではIPA濃度が20容量%
以上、初期ヘスペリジン濃度が12(w/v) %ではIPA濃
度が40容量%以上にすることが望ましい。すなわち、I
PA濃度が少ないとヘスペリジンが不溶化状態になり、
その後の加水分解がされにくくなってしまう恐れがあ
る。
【0011】酸加水分解(以下、加水分解と記す)に用
いる酸としては、特に限定されないが、たとえば、塩
酸、硫酸、硝酸等が挙げられ、中でも塩酸が好適に用い
られる。加水分解開始時における酸濃度は、1.0 〜1.5
Nが望ましい。すなわち、酸濃度が1.0 Nを下回ると加
水分解反応開始直後におけるヘスペリジンの不溶化が認
められ、未分解ヘスペリジンの残存率が高くなり、酸濃
度が1.5 Nを上回ると、生成したHMGがさらに加水分
解されてヘスペレチンになってしまう恐れがある。
【0012】加水分解工程において反応時間は、特に限
定されないが9〜15分が望ましい。すなわち、反応時間
があまり短いと、ヘスペリジンの分解が十分にされず、
反応時間が長すぎると加水分解により生成するHMGが
さらに分解されヘスペレチンになってしまう恐れがあ
る。
【0013】加水分解工程において、反応温度は特に限
定されないが、溶液の沸騰温度付近まで加熱することが
好ましい。なお、加水分解工程を経て得られたHMG
は、特に限定されないが、たとえば、アルカリで加水分
解液を中和した加水分解中和物を蒸留水でメスアップ
し、静置した後、遠心分離により沈澱画分と上澄画分に
分画した沈澱画分を洗浄、乾燥して回収することができ
る。
【0014】この時、加水分解中和物の蒸留水によるメ
スアップ比率は、特に限定されないが、2〜2.5 倍希釈
が望ましい。静置時間は1〜40時間が望ましい。遠心分
離に要する時間は、8000rpm の回転速度で5分程度が望
ましい。乾燥温度としては、60℃位が望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。まず、ヘスペリジンを水酸化ナトリウム
溶液に溶解させてカルコン化した後、このヘスペリジン
のカルコン化処理液に有機溶媒を添加し、加水分解時に
おいてヘスペリジンが溶解されやすい状態に持ってい
く。その後、蒸留水を加えて調整したカルコン化ヘスペ
リジン調整液を沸騰水中で加熱しながら、加水分解開始
時における酸濃度が0.5 〜2.0 Nとなるように塩酸溶液
を滴下して加水分解反応を開始させた後、氷水中で冷却
して反応を停止させる。この操作によって、図1の参考
図に示す加水分解反応が起きるのである。つまり、ヘス
ペリジンの糖鎖であるルチノースが加水分解することで
L−ラムノースがヘスペリジンから分離してHMGとな
るのである。
【0016】以上の方法によって、HMGを製造するこ
とが出来るのであるが、さらに製造されたHMGを回収
する方法として、加水分解した反応液を水酸化ナトリウ
ム溶液で中和し、蒸留水を加えて定容とし、しばらく静
置した後、遠心分離により、沈澱画分と上澄画分とに分
画し、沈澱画分は蒸留水で洗浄した後、乾燥させること
で、ヘスペリジン分解物であるHMGを回収する方法が
適用できる。
【0017】なお、このように加水分解して得られたH
MGは、加水分解が強すぎると、図1に示すように、さ
らに分解が進み、ヘスペレチンとなってしまうため、加
水分解時の酸の添加量を充分に考慮する必要がある。
【0018】
【実施例】以下に、本発明にかかるヘスペレチンモノグ
ルコシド(HMG)の製造方法の条件についての検討を
行い、その検討内容のヘスペリジン酸加水分解条件につ
いてを実施例1〜5に、HMG回収条件についてを実施
例6〜8に、回収されたHMGの溶解性についてを実施
例9にそれぞれ、図面あるいは表とともに詳細に説明す
る。
【0019】〔実施例1〕ヘスペリジンの酸加水分解反
応に及ぼすアルカリ処理(カルコン化処理)の影響の検
討を行った。ヘスペリジン6gを予め1Nの水酸化ナト
リウム溶液20mlに溶解させたものをカルコン化処理区、
ヘスペリジン6gを蒸留水20mlに溶解させたものを未処
理区とした。両処理液区をIPA20mlと蒸留水で全量80
mlになるよう調整した。なお、カルコン化処理区につい
てはアルカリ濃度が0.25Nとなった。
【0020】両処理区についての液をそれぞれ冷却管付
100ml 容三角フラスコに移し、沸騰水中で加熱しなが
ら、加水分解開始時における酸濃度が1.5 Nとなるよう
に塩酸溶液を滴下していくことで加水分解反応を開始さ
せた。なお、反応開始時、反応を効率よく行う為30秒間
の攪拌を行った。次に、沸騰水中から氷水中に加水分解
反応液の入った冷却管付100ml 容三角フラスコを移し、
1分間の攪拌をしながら冷却することで加水分解反応を
停止させた。この加水分解反応中のヘスペリジン、HM
G、ヘスペレチンの経時変化を求め、その結果を図2に
示した。なお、これらのヘスペリジンおよびヘスペリジ
ン分解物の分析は高速液体クロマトグラフィー(以下、
「HPLC」と記す)によって行った。
【0021】図2より、未処理区では、ヘスペリジンは
徐々に減少し、ヘスペレチンが穏やかに増加したが、H
MGの蓄積は認められなかった。一方、カルコン化処理
区では、ヘスペリジンは反応開始直後に急激に減少し、
その後も180 分までは未処理区に比べて著しく減少した
が、180 分以後はほぼ横這いであった。また、カルコン
化処理区では、反応初期にヘスペレチンの増加に従いH
MGの蓄積も認められた。両試験区とも反応直後からヘ
スペリジンの不溶化が認められ、特に未処理区では顕著
であった。
【0022】〔実施例2〕加水分解反応時におけるヘス
ペリジンの溶解度の向上を目的として、有機溶媒添加の
影響についての検討を行った。なお、基本的なヘスペリ
ジンの加水分解処理の操作は、実施例1と同様に行っ
た。ヘスペリジンを3gあるいは6g、水酸化ナトリウ
ム溶液に溶解し、IPA,NPA,EtOH,MeO
H,BuOH,EG,DEG,DMSOを各20ml添加
した。反応は加水分解開始時における酸濃度が1.5 Nと
なるよう塩酸を加え(全量100ml)、沸騰水中で30分間行
った。対照として有機溶媒無添加区を設け、結果を併せ
て表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】表1から明らかなように、有機溶媒無添加
区では反応直後に不溶化が認められ、ヘスペリジン3%
区および6%区の分解率はそれぞれ66.3%、42.2%であ
った。一方、有機溶媒を添加した場合、ヘスペリジン3
%区ではいずれも95%以上の分解率を示したのに対し
て、ヘスペリジン6%区では、EGおよびDMSO添加
区において反応開始直後に不溶化が認められ、分解率は
それぞれ66.0%、79.2%に止まった。しかしIPA、N
PA、EtOH、MeOH添加区では97%以上の高い分
解率を示し、特にIPAあるいはNPA添加区のヘスペ
リジン分解率は高く、反応中の不溶化は認められなかっ
た。
【0025】〔実施例3〕加水分解反応に及ぼす塩酸濃
度の影響について検討した。なお、基本的なヘスペリジ
ンの酸加水分解処理の操作は、実施例1と同様に行っ
た。ヘスペリジン6gを水酸化ナトリウム溶液に溶解
し、IPA20mlを添加した後、加水分解開始時の酸濃度
が0.5, 1.0, 1.5, 2.0Nとなるように塩酸を加え(全量
100ml)、沸騰水中で30分間反応を行い、これらの結果を
表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】表2より酸濃度 1.5N以上で30分間にヘス
ペリジンの99%以上が分解したことが分かる。酸濃度1.
0 NにおけるHMG生成量も高かったが、1.0 N以下で
は反応開始直後におけるヘスペリジンの不溶化が認めら
れ、未分解ヘスペリジンの残存率が高くなった。
【0028】〔実施例4〕ヘスペリジンの分解に及ぼす
反応時間の影響の検討を行った。なお、基本的なヘスペ
リジンの加水分解処理の操作は、実施例1と同様に行っ
た。ヘスペリジン6gを水酸化ナトリウム溶液に溶解
し、IPA20mlを添加した後、加水分解時の酸濃度が1.
5 Nとなるように塩酸を加え(全量100ml)、沸騰水中で
60分間加熱し、ヘスペリジンの分解に及ぼす反応時間の
影響を検討し、反応生成物の経時的な濃度変化を図3に
示した。
【0029】図3より、ヘスペリジンは速やかに分解さ
れ、生成するHMGの濃度ピークが反応開始後9〜15分
間にあることが示された。反応時間の経過に伴ってHM
G濃度は減少し、60分後には殆どがヘスペレチンにまで
分解した。
【0030】〔実施例5〕基質濃度および溶媒添加量の
影響についての検討を行った。なお、基本的なヘスペリ
ジンの加水分解処理の操作は、実施例1と同様に行っ
た。ヘスペリジン(6gあるいは12g)を水酸化ナトリ
ウム溶液に溶解し、IPAを10,20, 40ml添加した。
反応は加水分解開始時の酸濃度が1.5 Nとなるように塩
酸を加え(全量100ml)、沸騰水中で15分間行った。反応
後の生成物含有量を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】表3から明らかなように、初期ヘスペリジ
ン濃度6(w/v) %ではIPA10容量%添加区で、初期ヘ
スペリジン濃度12(w/v) %では、IPA10容量%および
20容量%添加区で、反応直後にヘスペリジンの不溶化が
認められ、ヘスペリジン分解率は低かった。その他の組
み合わせではヘスペリジン6(w/v) %−IPA20容量%
添加区およびヘスペリジン6(w/v) %−IPA40容量%
添加区は分解率が高く、反応生成物中に占めるHMGの
比率も高かった。
【0033】〔実施例6〕HMGの析出pHの影響につ
いての検討を行った。なお、基本的なヘスペリジンの加
水分解処理は、実施例1〜実施例5の操作に基づいて行
った。ヘスペリジン6gを水酸化ナトリウム溶液に溶解
し、IPAを20ml添加した後、加水分解開始時の酸濃度
が1.5 Nとなるように塩酸を加え(全量100ml )、沸騰
水中で15分間加熱した(以下、反応終了液と称す)。反
応終了後、pHを1、3、5および7にそれぞれ調整す
るとともに全量を250ml に定容した。同時に、pH無調
整区(全量250ml )も設けた。20時間静置した後、上澄
画分と沈澱画分に分離し、各画分の生成物含有量を表4
に示した。
【0034】
【表4】 表4から明らかなように、pH1〜5において全体的に
やや沈澱量が多くなる傾向は示したが、両画分の生成物
組成に及ぼすpHの影響は認められなかった。
【0035】〔実施例7〕加水分解反応終了液をメスア
ップする際の加水量の影響の検討を行った。なお、ヘス
ペリジンの加水分解処理は、実施例1〜実施例5の操作
に基づいて行った。反応終了液をpH5.0 に調整した
後、蒸留水を加え全量を200 (IPA;10%)、250
(IPA;8%)、400 (IPA;5%)および800 ml
(IPA;2.5%)にそれぞれ定容した。1,20および4
0時間静置し、沈澱画分の反応生成物含有量を測定し
た。その結果を表5に示した。
【0036】
【表5】
【0037】表5から明らかなように、1時間後におけ
る沈澱量は2.5 倍希釈区が最も多く、20および40時間後
では2倍希釈区と2.5 倍希釈区が多かった。また、2お
よび2.5 倍希釈区は20時間以後の沈澱量が少ないのに対
して、希釈率の高い試験区では20時間以後においても徐
々に沈澱を続けることが示された。
【0038】〔実施例8〕加水分解反応終了液を静置し
た後の上澄み液(回収残液)に及ぼす濃縮の影響の検討
を行った。なお、ヘスペリジンの加水分解処理は、実施
例1〜実施例5の操作に基づいて行った。反応終了液を
pH5に調整し、蒸留水で全量を250ml に定容した。1
時間静置した後、上澄画分(ヘスペリジン222mg/250ml
、HMG533mg/250ml 、ヘスペレチン96.8mg/250ml含
有)を200 (1.25倍)、150 (1.67倍)、100 (2.5
倍)あるいは50ml(5倍)まで減圧濃縮した。その
後、濃縮液を0、20および40時間それぞれ静置し、析出
した反応生成物を回収し、その結果を表6に示した。
【0039】
【表6】
【0040】表6から明らかなように、反応生成物の析
出に対する濃縮の硬化は1.25倍濃縮でも顕著であり、さ
らに濃縮倍率をあげることによって反応生成物の回収量
は増大した。静置による回収量の増加は5倍濃縮区では
殆ど認められなかったが、他の試験区ではいずれも20時
間後までは静置によって析出量が多くなり、1.25倍濃縮
区で最も増大した。回収物のHMG比率は未処理区を除
いていずれも65%前後であった。
【0041】〔実施例9〕実施例1〜実施例8までの操
作によって得られたヘスペリジン加水分解物(回収粗H
MG)の溶解性についての検討を行った。ヘスペリジン
(試薬)および回収粗HMGをそれぞれ1.0g採取し、蒸
留水、熱水、エタノールによって100ml に定容し、遠心
分離後フィルター濾過(0.45 μm)を行った。濾液の溶解
成分を測定した結果を表7に示した。
【0042】
【表7】
【0043】表7から明らかなように、回収粗HMGの
蒸留水、熱水、エタノールに対する溶解濃度はそれぞれ
28.9mg/100ml、283mg/100ml 、603mg/100ml であり、そ
れぞれ試薬ヘスペリジンの42.5倍、12.5倍、40.7倍を示
した。また、蒸留水に対するヘスペリジンの溶解濃度は
ヘスペリジン単独では0.68mg/100mlであったのに対し
て、粗HMG中のヘスペリジンは7.78mg/100mlを示し
た。
【0044】以上の実施例の結果より、HMGの効率的
生成プロセスとして、ヘスペリジンを予めアルカリ条件
下でカルコン化し、さらにIPA、NPA、EtOH、
MeOH等の水溶性有機溶媒を共存させれば加水分解に
よってHMGが工業的に生産できると思われる。特に、
ヘスペリジン6〜12%を含む反応液中のIPA濃度を20
〜40%、加水分解時における酸濃度を1.5 N(1〜2
N)に調整し、沸騰水中で15分間(9〜18分間)加熱す
ることによって最も効率よくHMGを生成、蓄積でき
る。
【0045】なお、反応生成物の回収法としては、加水
および減圧濃縮によってIPA濃度を低下させることが
効果的であった。また、回収粗HMGの蒸留水、熱水、
エタノールに対する溶解濃度は、それぞれ試薬ヘスペリ
ジンの42.5倍、12.5倍、40.7倍であった。
【0046】
【発明の効果】本発明におけるヘスペレチンモノグルコ
シド(HMG)の製造方法により、ヘスペリジンから効
率的にHMGを製造する方法が確立できたので、ヘスペ
リジンの水に対する溶解度が低いという特性から今まで
限定されてきたヘスペリジンの用途開発における新たな
利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるヘスペリジンの加水分解反応の
流れを示した参考図である。
【図2】本発明にかかるヘスペレチンモノグルコシドの
製造方法における実施例の結果を表したグラフである。
【図3】本発明にかかるヘスペレチンモノグルコシドの
製造方法における実施例の結果を表したグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘスペリジンをアルカリ水溶液に溶解させ
    てカルコン化させるカルコン化工程、このカルコン化ヘ
    スペリジン溶液に水溶性有機溶媒を添加する調整工程、
    水溶性有機溶媒を添加したカルコン化ヘスペリジン調整
    液に酸を加えヘスペリジンを酸により加水分解する加水
    分解工程を備えているヘスペレチンモノグルコシドの製
    造方法。
  2. 【請求項2】水溶性有機溶媒が、イソプロピルアルコー
    ル、n−プロピルアルコール、エチルアルコール、メチ
    ルアルコールから選ばれた群の中から少なくとも一つで
    あることを特徴とする請求項1に記載のヘスペレチンモ
    ノグルコシドの製造方法。
  3. 【請求項3】酸による加水分解開始時における酸の濃度
    が1.0N〜1.5Nであることを特徴とする請求項1
    ないし請求項2に記載のヘスペレチンモノグルコシドの
    製造方法。
JP8086598A 1996-04-09 1996-04-09 ヘスペレチンモノグルコシドの製造方法 Pending JPH09278790A (ja)

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Cited By (4)

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KR20030038009A (ko) * 2001-11-08 2003-05-16 제주도지방개발공사 감귤박에서 연속공정에 의한 플라보노이드와 펙틴의 추출및 정제방법
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