JP2781140B2 - シアル酸またはその類縁体の精製方法 - Google Patents

シアル酸またはその類縁体の精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシアル酸またはその類縁
体の精製方法に関する。本発明における「シアル酸類縁
体」には、ノヌロソン酸を基本構造とするシアル酸以外
の化合物、例えば、シアル酸の5位が、アミド置換基以
外の基(例、水酸基、アジド基等)で置換されたものが
包含される。
【0002】
【従来の技術】シアル酸はノイラミン酸のアシル誘導体
の総称であり、一般に糖蛋白質や糖脂質などの複合糖質
の非還元末端に存在し、細胞間認識や血中動態の代謝制
御、赤血球凝集や白血球の遊走等に関与していることが
知られている。N−アシル基、O−アシル基の違いによ
り15種類以上のシアル酸の存在が知られているが、N
−アセチルノイラミン酸が最も普遍的で、去痰作用をは
じめ抗炎症作用やウイルスレセプターのリガンドとし
て、また、癌関連抗原としての医薬品素材として注目さ
れている。また、シアル酸類縁体としては、N−アセチ
ルノイラミン酸の5位のアセトアミド基が水酸基に置換
したKDN等が知られており、シアル酸と同様の生理活
性や利用方法が考えられている。これらシアル酸および
その類縁体は、海燕の巣、鶏卵、牛乳などの天然物や、
大腸菌の莢膜多糖の加水分解から調製されるのが一般的
である。しかしながら、天然物からの抽出では大量に得
ることが難しく、天然物からの加水分解による夾雑物の
分離精製が容易でなく、また、安価に得ることができな
い等の問題があった。そこで、酵素による合成方法が種
々検討されているが、例えば、N−アセチルノイラミン
酸の場合、最も一般的な方法はつぎのとおりである。す
なわち、N−アセチルマンノサミンとピルビン酸をシア
ル酸アルドラーゼ(N−アセチルノイラミン酸アルドラ
ーゼ、EC 4.1.3.3)の存在下、水溶液中で縮合
反応させ、N−アセチルノイラミン酸を合成する(Com
b,et al.,J.Biol.Chem.,235(1960),
2529−2537)方法である。N−アセチルノイラ
ミン酸以外のシアル酸やシアル酸類縁体の酵素合成反応
の場合も、ピルビン酸を添加してシアル酸アルドラーゼ
の存在下で、縮合反応させるのが一般的である。例え
ば、シアル酸のN−グリコリルノイラミン酸はN−グリ
コリルマンノサミンとピルビン酸とから(C.Auge et
al.,Tetrahedron,46,1,201−214(19
90))、KDN(3−デオキシ−D−グリセロ−D−
ガラクト−ノヌロソン酸)の場合はD−マンノースとピ
ルビン酸とから、それぞれ、合成することができる。
【0003】しかしながら、この様に合成されたシアル
酸およびその類縁体は、反応液中に存在する余剰のピル
ビン酸、未反応の物質(N−アセチルノイラミン酸酵素
合成の場合にはN−アセチルマンノサミン)等から分離
精製する工程が必要で、その工程としては、イオン交換
樹脂(通常カラムクロマトグラフィー)での分離精製が
行われていた。この工程が酵素による合成法において大
量生産を困難にし、安価な製造を阻害する実用上の問題
点となっていた。つまり、この方法で大量生産するに
は、カラムのスケールアップが必要で、コストが掛かる
だけでなく、樹脂の洗浄、再生等を行う必要もあり、手
間の掛かるものであった。さらに、最大の問題点は、シ
アル酸や、その類縁体の合成反応をより効率的に進める
ためにはピルビン酸の濃度を上げる必要があるが(過剰
のピルビン酸により目的物たるシアル酸またはその類縁
体への縮合が促進され、その逆反応は形成された目的物
に対して過剰に存在するピルビン酸により抑制される。
よって、ピルビン酸を過剰にすることにより目的物生成
への平衡反応へ移すことができる。)、陰イオン交換樹
脂への吸着はピルビン酸の方がシアル酸や、その類縁体
より強いために、ピルビン酸がシアル酸や、その類縁体
の樹脂への負荷量を減少させ、精製効率を悪くする問題
があった。そのため、予め、ピルビン酸を除去する方法
が考えられ、この方法として電気透析を行う方法や、W
ong,C.H.らの方法(J.Am.Chem.Soc.,1
14,10138−10145(1992))のように
ピルビン酸を、ピルビン酸脱炭酸酵素または同酵素を含
有する酵母による処理に付して酵素分解する方法等が試
行されているが、これらは手間のかかるものであり、大
量生産には向かない。そこで、根本的にイオン交換樹脂
を用いない分離精製方法が望まれるが、溶液中における
シアル酸や、その類縁体以外の物質の含有量が多いた
め、例えば、溶媒の種類や温度差による溶解度の差を利
用した一般的な結晶化(再結晶抽出等)の方法では、満足
できる分離精製は困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
に鑑み、イオン交換樹脂を用いずに容易に、しかも安価
に大量生産が可能なシアル酸またはその類縁体の分離精
製方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シアル酸
塩またはその類縁体の塩が炭素数2または3の有機酸、
好ましくは、酢酸の存在下におかれると、選択的に分離
精製できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は、炭素数2または3の
有機酸の存在下で溶解しているシアル酸またはその類縁
体の溶液から、シアル酸またはその類縁体を析出させる
ことを特徴とするシアル酸またはその類縁体の精製方法
を提供するものである。かかる有機酸としては、酢酸お
よびプロピオン酸が挙げられるが、回収率や方法の効率
から、酢酸が好ましく、本発明の好ましい態様は、シア
ル酸またはその類縁体の酢酸溶液または含水酢酸溶液か
らシアル酸またはその類縁体を析出させて抽出するシア
ル酸またはその類縁体の精製方法であり、以下、主とし
て、酢酸を例として本発明を説明するが、プロピオン酸
の場合も同様である。なお、以下、特に断らない場合、
「シアル酸」なる語は、その類縁体も包含するものとす
る。
【0007】例えば、本発明の方法は、シアル酸塩を含
む溶液もしくは物質を酢酸または含水酢酸に溶解して、
静置または撹拌しながらシアル酸を析出させて抽出する
ことにより実施できる。本発明の方法は、該シアル酸の
塩を含む溶液もしくは物質が、ピルビン酸またはピルビ
ン酸の塩を含む場合に特に好ましく、例えば、シアル酸
の酵素による合成反応の反応後の反応液等が挙げられ
る。この酵素反応後の反応液は濃縮液として用いること
が望ましく、その場合、容量比として濃縮液1に対して
酢酸4以上に溶解することが最も好ましく、また、酢酸
に溶解する時点では、シアル酸が急速に析出して来ない
ように加温して溶解させることが望ましい。また、シア
ル酸の溶液における酢酸の濃度は80%(v/v)以
上、シアル酸の濃度は3%(w/v)以上であることが
望ましい。
【0008】本発明のシアル酸の精製方法は、酢酸に可
溶性のシアル酸塩が酢酸に一旦溶解するが、経時的に、
酢酸に難溶性のカルボン酸に変換することによって析出
してくることで起こるものであると考えられる。したが
って、一般的な再結晶方法とは異なり、目的物質以外の
濃度が高くとも分離精製が可能で、しかも、得られたシ
アル酸は一般的に純度が高く、かつ残留母液中に残るシ
アル酸は少なく、回収率の高いものである。例えば、本
発明の方法を酵素によるN−アセチルノイラミン酸の合
成方法で生成された反応液に応用すれば、合成原料物質
であるN−アセチルマンノサミンおよびN−アセチルグ
ルコサミン、ピルビン酸およびピルビン酸ナトリウム、
ピルビン酸カリウム等が、ともに酢酸に溶解し、特に、
ピルビン酸類は易溶であるために、これらは酢酸に溶解
したまま、目的物のN−アセチルノイラミン酸のみがカ
ルボン酸に変換しながら析出してくる。なお、シアル酸
等の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、
アンモニウム塩、カルシウム塩等が挙げられるが、ナト
リウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩のごとき1価の
塩、特に、ナトリウム塩が好ましい。1価の塩に比べて
2価の塩では精製が困難な場合がある。この場合は、塩
酸等の強酸を加える等の処理で精製できる場合がある。
【0009】かくして、このような作用機序からすれ
ば、本発明においては、シアル酸は特に限定するもので
はなく、本発明の方法はN−アセチルノイラミン酸をは
じめ、各種のシアル酸や、その類縁体に適用できる。す
なわち、本発明においては、必ずしも酵素によるシアル
酸や、シアル酸類縁体の合成反応液のみに限らず、その
他これらの塩を混入するものから、目的とするシアル酸
や、その類縁体を精製する方法として、広範囲な応用が
可能である。しかしながら、シアル酸を大量生産するた
めには酵素合成による方法が好ましく、かつ、酵素合成
法の問題点が、分離精製におけるピルビン酸の存在であ
る点からすれば、本発明の方法をシアル酸の酵素による
合成反応の反応後液からのシアル酸の分離精製方法に使
用することが特に好ましい。また、本発明の方法はシア
ル酸の純度を上げるために使用する場合にも非常に有効
である。例えば、本発明の方法や他の方法によって得ら
れたシアル酸や、購入したシアル酸の純度をより高純度
のものとする場合等である。この場合、粗生成物を含む
これらの物質を水溶液とし、水酸化ナトリウム等のアル
カリによって中和した後、これを必要に応じて濃縮し再
度酢酸による析出、抽出を行う(再精製)のが好ましい。
【0010】以下、本発明をN−アセチルマンノサミン
とピルビン酸をN−アセチルノイラミン酸アルドラーゼ
(シアル酸アルドラーゼ、EC 4.1.3.3)存在下で
縮合反応させてN−アセチルノイラミン酸を合成した反
応液を例に、本発明を具体的に説明する。N−アセチル
ノイラミン酸アルドラーゼはN−アセチルノイラミン酸
を分解し、N−アセチルマンノサミンとピルビン酸を産
生する反応を触媒する酵素である。しかし、この反応は
可逆的であり、基質高濃度下においては、この酵素は、
N−アセチルマンノサミンとピルビン酸からN−アセチ
ルノイラミン酸を縮合する反応を触媒するので、N−ア
セチルノイラミン酸の合成では、この作用を利用して、
N−アセチルマンノサミンをN−アセチルノイラミン酸
アルドラーゼ存在下にピルビン酸と縮合反応させる。ピ
ルビン酸は酵素反応の最適pH(中性〜弱アルカリ)に
合わせるため、通常はピルビン酸ナトリウムとして添加
することが望ましいが、水酸化ナトリウム等を添加して
pHを調整してもよい。酵素反応におけるこれらの反応
剤の濃度は、通常、N−アセチルマンノサミン50〜6
00mM、ピルビン酸300〜900mM程度で行われる
が、N−アセチルマンノサミンは高価であるので、比較
的安価なピルビン酸をN−アセチルマンノサミンより高
い濃度で用いるのが一般的である。この酵素反応では、
N−アセチルマンノサミンは過剰のピルビン酸によって
N−アセチルノイラミン酸への縮合反応が促進され、そ
の逆反応は、形成されたN−アセチルノイラミン酸に対
して過剰に存在するピルビン酸によって抑制される。し
たがって、N−アセチルノイラミン酸の生成においては
ピルビン酸を高濃度とすることが望ましい。酵素による
合成法では、酵素反応の平衡が基質濃度によりN−アセ
チルノイラミン酸からピルビン酸とN−アセチルマンノ
サミンへの分解に著しく傾いていることがあり、ピルビ
ン酸をN−アセチルマンノサミンに対し7〜10当量加
えている文献が多い(Wong,C.H. et al.,(198
8) J.Am.Chem.Soc.,110,6481−6
486;Whitesides,G.M. et al.,(1988)
J.Am.Chem.Soc.,110,7159−716
3;Auge,C.et al.,(1987) Pure & Ap
pl.Chem.,59,1501−1508など)。これ
に対し、例えば、後記の実施例1ではN−アセチルマン
ノサミンに対してピルビン酸を1.5当量しか加えてい
ないが、これはN−アセチルマンノサミンの基質濃度を
高めた効果により合成反応側へ平衡が傾いているため
で、これらの文献と矛盾するものではなく、溶液中のピ
ルビン酸濃度は高い。なお、イオン交換樹脂によるN−
アセチルノイラミン酸の分離精製においては、ピルビン
酸がその精製効率を悪化させるために、これを高濃度と
することは好ましくないが、本発明においては、後記す
るごとく、ピルビン酸の濃度がかなり濃い条件でも適応
可能である。
【0011】そのほかのN−アセチルノイラミン酸の酵
素合成法としては、N−アセチルグルコサミンとピルビ
ン酸をN−アシルグルコサミン−2−エピメラーゼとア
ルドラーゼの酵素を同一系で反応させて、連続的にN−
アセチルノイラミン酸を合成する方法が特開平3−18
0190号に、また、エピメラーゼを用いずにアルカリ
性条件下N−アセチルグルコサミンにピルビン酸を添加
してN−アセチルノイラミン酸を合成する方法が特開平
5−211884号に示されている。これら2方法は、
一旦、N−アセチルグルコサミンをN−アセチルマンノ
サミンに異性化しており、実質的に前記の酵素反応に含
まれるものである。いずれの方法も本発明の前段階の操
作として使用可能である。かくして合成されたN−アセ
チルノイラミン酸と、ピルビン酸は、反応液中のpHを
酵素の最適pH付近である中性〜弱アルカリ性に調整す
るために用いたNaOHや、KOH溶液により、または
ピルビン酸ナトリウムもしくはカリウムとしての添加に
より、通常、ナトリウム塩やカリウム塩として存在す
る。
【0012】本発明に供する酵素反応液としては、N−
アセチルノイラミン酸:ピルビン酸の濃度が300:3
00mM程度となるように調整することが好ましいが、
N−アセチルノイラミン酸:ピルビン酸は300:90
0mMでも十分に精製可能で、カラムによる分離を行う
場合は、イオン交換樹脂に対する負荷量の問題から、ピ
ルビン酸量をできるだけ少なくする必要があるのに対
し、本発明ではピルビン酸量をかなり多くでき、しかも
大量生産が可能である。反応後の液は、酵素を除去して
おくのが望ましい。酵素の除去は適当な分画分子量をも
つ限外濾過膜等を用いて除去すればよい。酵素除去後は
N−アセチルノイラミン酸の濃度を上げるために濃縮し
ておくことが望ましい。すなわち、好ましくは、結晶化
直前の酢酸溶液中のN−アセチルノイラミン酸の濃度は
3%(w/v)以上であるのがよく、3%(w/v)未
満の低濃度になると結晶化速度の低下、回収率の低下が
顕著になる。濃縮方法としては減圧乾燥、凍結乾燥法等
を用いる。乾固させてもよいが、乾固させることは機械
的操作上難しいだけでなく、酢酸溶液への溶解工程にお
いて溶解しにくい等の問題がある。
【0013】酢酸は氷酢酸または含水酢酸でよく、ま
た、少量の水、不純物を含むものでもよい。さらに、水
を加えることにより酢酸を生じる無水酢酸でもよい。特
に、本発明においては、最終の抽出工程にあるN−アセ
チルノイラミン酸を含む溶液が、好ましくは酢酸濃度8
0%(v/v)以上、さらに好ましくは85%(v/
v)以上であればよいことから、ある程度の水を含むこ
とに問題はない。酢酸濃度が80%(v/v)未満では
水に溶け込んでしまうN−アセチルノイラミン酸の量が
増加し、収率が低下するので好ましくない。また、酢酸
溶液に適量の有機溶媒を加えることも可能である。例え
ば、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル等のN−
アセチルノイラミン酸の不溶性溶媒を加えることも可能
である。該溶液の組成や水分量に応じて、酢酸にこの様
な有機溶媒を加えることにより、酢酸量を減らすことや
N−アセチルノイラミン酸の収率の向上、晶析時間の短
縮、濾過速度の改善が可能な場合がある。
【0014】酢酸溶液へは室温〜50℃程度に加温しな
がら溶解するのが好ましい。これは加温することで、溶
解度を増加させ、溶解中にN−アセチルノイラミン酸が
急速に析出し、微細な結晶となり、濾過等による分離が
困難になることを防止するためである。酢酸への溶解
後、経時的に、N−アセチルノイラミン酸が遊離のカル
ボン酸として析出してくる。またその条件としては溶解
度を下げる点から低温室等で冷却しながら静置するのが
望ましいが、撹拌状態であっても、また、必ずしも低温
でなくとも析出は可能である。析出して沈澱したN−ア
セチルノイラミン酸は濾紙で吸引濾取や遠心濾過等の方
法で結晶を取り出し、酢酸、好ましくは90%(v/
v)酢酸溶液で結晶を洗浄し、酢酸を取り除く場合、減
圧乾燥や各種溶媒で洗浄する。酢酸で洗浄することが好
ましいのは、ピルビン酸やそのナトリウム塩等は酢酸に
溶け易く、これに対して結晶した遊離のカルボン酸であ
るN−アセチルノイラミン酸はこれに極めて溶けにくい
ため、酢酸で洗浄することでピルビン酸をほぼ完全に取
り除けるからである。
【0015】酢酸濾液(母液)は、酵素による合成反応
液からN−アセチルノイラミン酸を分離精製するために
使用する酢酸溶液として、再利用することも可能であ
る。なお、精製したN−アセチルノイラミン酸の純度が
希望の純度に達しなかった場合や、さらに高純度を希望
する場合、本発明の方法を利用した再精製を行うことが
有効である。その場合は、N−アセチルノイラミン酸を
水に溶かし、水酸化ナトリウム等のアルカリによって溶
液を中和し、この液を必要に応じて濃縮し、酢酸によっ
て再精製を行う。もちろん、前記の方法以外の方法によ
って得られたN−アセチルノイラミン酸に含まれている
不純物の除去や、純度を上げるためにも本発明の方法を
利用できる。
【0016】
【作用および効果】本願発明のシアル酸またはその類縁
体の精製方法は、酢酸可溶性のシアル酸や、その類縁体
の塩が酢酸に一旦溶解するが、経時的に、酢酸に不溶性
のカルボン酸に変換することで析出してくるために起こ
るものであると考えられ、温度による溶解度の差を利用
した再結晶方法や、溶媒に対する溶解度の差異を利用し
た分別再結晶方法(不溶性溶媒を溶液に混合する方法)
とは異なる。一般にシアル酸や、その類縁体は塩の状態
の方が、カルボン酸の状態に比べて酢酸への溶解度がは
るかに高い。したがって、これらの塩を酢酸に溶解させ
る時点では、カルボン酸の状態での溶解量よりもはるか
に高濃度で溶解できる。しかし、酢酸に溶解したシアル
酸や、その類縁体のナトリウムイオン、カリウムイオン
等は、酢酸溶液中で塩の交換が起こることによって、シ
アル酸や、その類縁体がカルボン酸となり、これらは酢
酸への溶解度が低いことから、これが析出してくる。し
たがって、通常の再結晶化方法による物質の精製とは相
違する。これは、プロピオン酸でも同様である。
【0017】本発明の方法は、特に、目的物のシアル酸
以外にピルビン酸や未反応物質等が高い濃度で混在して
いる状態でも、目的物だけを高純度でかつ高回収率で精
製できる点が長所として挙げられる。例えば、N−アセ
チルノイラミン酸の場合は、モル濃度が3倍のピルビン
酸を含んでいる溶液からでも、99%以上の純度のN−
アセチルノイラミン酸を90%以上の回収率で得ること
ができる。回収率が高いために、残留母液から再度N−
アセチルノイラミン酸を再抽出する必要はほとんどな
い。本発明においては抽出に使用する溶媒は酢酸が好ま
しいが、抽出に供する酢酸溶液の酢酸濃度は好ましくは
80%(v/v)以上で、必ずしも高いものではない。
したがって、シアル酸の酵素反応濾液等をぎりぎりまで
濃縮する必要はなく、また、一度本発明に使用した酢酸
溶液の濾液を、そのまま抽出に供する酢酸として再利用
することも可能である。酢酸やプロピオン酸以外の有機
カルボン酸、例えば、ギ酸を用いた場合には、結晶が得
られなかった。プロピオン酸では結晶が得られたが、理
由は不明であるが酢酸に比べて結晶の回収率は低かっ
た。酢酸だけがこれほどの高純度の抽出を可能とするこ
とにも、通常の再結晶抽出法等にない特殊性であると考
える。一般に、現在まで、酵素合成等によって得られた
シアル酸や、その類縁体は、イオン交換樹脂によって精
製されていた。しかし、イオン交換樹脂を用いて精製を
行う場合は、存在するピルビン酸が問題であった。すな
わち、陰イオン交換樹脂への吸着はピルビン酸の方が強
く、そのためピルビン酸の存在が目的物を得るために多
量の樹脂を必要とさせ、精製効率の悪化につながってい
た。しかし、一方、酵素によるシアル酸の合成反応を促
進するためには、ピルビン酸濃度を上げる必要があっ
た。本発明の場合、ピルビン酸の濃度がある程度高くて
も、イオン交換樹脂を用いた場合と同等以上の純度(N
−アセチルノイラミン酸の場合99%以上)で目的物を
得ることができる。イオン交換樹脂を用いないことで、
イオン交換樹脂の洗浄、再生等の手間や、多量のイオン
交換樹脂や装置にかかる費用がかからないことはもちろ
ん、本発明の方法によれば簡単に一度に大量のシアル酸
を得ることが可能である。
【0018】
【実施例】以下、実施例および参考例を用いて本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限
定されるものではない。実施例1 酵素反応濾液の作成 水1リットルにN−アセチルマンノサミン(一水和物)9
6gおよびピルビン酸ナトリウム66gを溶解し、1N水
酸化ナトリウムによりpHを7.5に調節した。これに
N−アセチルノイラミン酸アルドラーゼの酵素液(東洋
紡(株)製NAL−301)600Uを加え、37℃で
48時間ゆっくりと撹拌し酵素反応を行った。生成した
N−アセチルノイラミン酸を含む酵素反応液を限外濾過
(日本ミリポアリミテッド製PLGC膜:分画分子量1
0,000)により酵素蛋白質を除き、酵素反応濾液と
した。酵素反応濾液にはN−アセチルノイラミン酸ナト
リウムの他、ピルビン酸ナトリウムとN−アセチルマン
ノサミンの基質が含まれている。酵素反応濾液500ml
中の、それぞれの含有量およびモル濃度を表1に示す。
分析はHPLCにより、つぎの条件で行った。以下、溶
液および生成物中のN−アセチルノイラミン酸の分析方
法は全てこの方法による。 使用装置 : LC−6A(島津製作所) カラム : Aminex HPX−87H(7.8×300m
m、Bio−Rad社製) 移動相 : 0.01N硫酸 流速 : 0.6ml/分 カラム温度: 40℃ 検出波長 : UV 206nm 検出時間 : N−アセチルノイラミン酸(NeuNAc)
8.7分、ピルビン酸(Pyruvate) 10.3分、N−ア
セチルマンノサミン(ManNAc)11.7分
【0019】酢酸による抽出 この酵素反応濾液500mlをエバポレーター等で減圧濃
縮し、水分含量が39%(w/w)になるまで減圧濃縮し1
26gの濃縮液とした(N−アセチルノイラミン酸濃度
が40%(w/w))。これに酢酸濃度が93%(v/
v)となるように酢酸710mlを加えて、50℃の湯浴
において撹拌して溶解し、最終的に酢酸溶液中のN−ア
セチルノイラミン酸濃度が7%(w/v)前後となる溶
液とした。溶液を4℃の低温室に静置することにより、
酢酸溶液中に白色結晶が析出した。析出した白色結晶を
吸引濾過により溶液と分離し、さらに少量の90%酢酸
水溶液による洗浄操作後減圧乾燥を行った。回収結果を
表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1から明らかなごとく、N−アセチルノ
イラミン酸の回収率は約90%以上で、かつ純度は99
%以上の極めて好ましい結果が得られた。参考例1 アセトン−エタノールによる結晶化法 実施例1のと同様にして作成した酵素反応濾液50ml
に4倍量のアセトンを添加した。これはN−アセチルノ
イラミン酸がアセトンに不溶性であることを利用して、
N−アセチルノイラミン酸を得ようとしたものである
が、結果は、水−アセトン層とN−アセチルノイラミン
酸を含むシロップ状の2層に分離した。シロップ層を脱
水するため、シロップ層に2倍量のエタノールを添加し
超音波処理し、脱水結晶化した。本試験における酵素反
応液中の各物質の含有量と、脱水結晶化した最終物質の
各収量のHPLC分析結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】表2から明かなごとく、N−アセチルノイ
ラミン酸の回収率は約90%で好ましいものであった
が、ピルビン酸とN−アセチルマンノサミンを約5%ず
つ含有し、純度の低いものであった。参考例2 ギ酸による結晶化 実施例1のの方法で得た酵素反応濾液50mlをエバポ
レーターで減圧濃縮し、水分量42%(w/w)まで濃
縮した後、加温してギ酸に溶解し、ギ酸濃度90%(v
/v)の溶液とした。ギ酸溶液中のN−アセチルノイラ
ミン酸ナトリウムの濃度は約9%(w/v)である。2
日間4℃で静置したが、結晶は析出しなかった。
【0024】実施例2 プロピオン酸による結晶化 参考例2と同様の方法でギ酸をプロピオン酸に代えて実
験を行った。プロピオン酸濃度95(v/v)%の溶液
で、N−アセチルノイラミン酸ナトリウムの濃度は約4
%(w/v)である。4℃で静置したところ、極めてゆ
っくりとではあるが結晶が析出してきたので、さらに4
℃で10日間静置した。結晶は純度99%のN−アセチ
ルノイラミン酸が得られたが回収率は54%であり、高
くなかった。
【0025】実施例3 酢酸溶液中のN−アセチルノイラミン酸ナトリウムの濃
度の違いによる回収率の比較 実施例1のの方法に準じて得た酵素反応濾液(N−ア
セチルノイラミン酸272mM、ピルビン酸ナトリウム
327mM、N−アセチルマンノサミン126mM)各5
0ml(50ml中、各々、4.2g、1.8g、1.5
g)をエバポレーターでそれぞれ適当な水分含量まで減
圧濃縮した。これに酢酸を加えて溶液の酢酸濃度が90
%(v/v)となるように調整し、酢酸濃度を90%
(v/v)に固定した、表3に示すごときN−アセチル
ノイラミン酸各種濃度の溶液を調製した。この各種濃度
の酢酸溶液を4℃で一晩放置したところ結晶が析出した
ので、吸引濾過により溶液と分離し、少量の90%酢酸
で洗浄し、減圧乾燥した。得られた物質はすべて99%
以上のN−アセチルノイラミン酸であった。その回収率
を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】以上より90%(v/v)酢酸溶液中のN
−アセチルノイラミン酸の濃度が3%(w/v)以上、
好ましくは4%(w/v)以上であれば純度、収量とも
に十分なN−アセチルノイラミン酸が得られる。実施例4 ピルビン酸ナトリウムとN−アセチルノイラミン酸ナト
リウムの比率の違いによる回収率の比較 前記のとおり、過剰のピルビン酸の存在は、N−アセチ
ルノイラミン酸との分離、精製における問題点となって
おり、本発明の方法はこの問題に対して大きな効果を持
つものである。また、実施例1でもピルビン酸の濃度を
上げることにより、N−アセチルノイラミン酸の合成量
や酵素反応に要する時間の短縮などの改善が可能であ
る。そこで、水溶液の溶解度の点からその上限を考え
て、ピルビン酸が約10%(w/v)900mMまでの範囲
となる反応濾液を設定し本発明方法の適用を検討した。
実施例1のの方法に準じて得た酵素反応濾液50ml
に、ピルビン酸ナトリウムの量が250mM、600m
M、900mMになるように、ピルビン酸ナトリウムを
無添加、2.2g、3.9g添加したものを調製し、エバポ
レーターで水分含量を40(w/v)%まで減圧濃縮し
た。これらの溶液に酢酸濃度90%(v/v)の酢酸水
溶液となるように酢酸を加え、湯浴で混合した。この各
種濃度の酢酸溶液を4℃で3日間放置したところ白色の
結晶が析出したので、析出した白色結晶を吸引濾過によ
り溶液と分離し、少量の90%酢酸で洗浄し、さらに減
圧乾燥した。結果を表4に示す。得られた物質はすべて
99%以上のN−アセチルノイラミン酸であり、その回
収率はいずれも90%前後で良好な結果が得られた。
【0028】
【表4】
【0029】実施例5 酢酸濃度の相違による析出量の違い 実施例1のの方法に準じて得た酵素反応濾液各50ml
をエバポレーターで減圧濃縮し、水分量43、53、6
0、69、75%(w/v)の溶液とした。これらの溶
液にそれぞれ酢酸を加えて液量を50mlとした。この時
の酢酸濃度は90、85、80、70、60%(v/
v)の酢酸水溶液であり、この酢酸水溶液中のN−アセ
チルノイラミン酸濃度は約8%(w/v)で固定されてい
る。この各酢酸濃度の溶液を4℃で4日間放置したとこ
ろ、酢酸濃度80%以上の溶液において結晶が析出した
ので、析出した結晶を吸引濾過により溶液と分離し、少
量の90%酢酸による洗浄操作を行い、減圧乾燥した。
結果を表5に示す。得られた物質はすべて99%以上の
N−アセチルノイラミン酸であった。
【0030】
【表5】
【0031】表5に示すごとく、N−アセチルノイラミ
ン酸ナトリウムを溶解する酢酸溶液の酢酸濃度は約80
%(v/v)以上、好ましくは85%(v/v)以上と
いう結果が得られたが、温度条件や酢酸溶液にN−アセ
チルノイラミン酸の不溶性溶媒を添加することで酢酸濃
度80%(v/v)以下でもN−アセチルノイラミン酸
が析出することができる。なお、酢酸濃度が低くなると
結晶化に時間を要した。実施例6 酢酸溶解後の結晶析出時の温度について 実施例1と同様の方法で酢酸に溶解した後、結晶の析出
を4℃、室温、50℃に静置した。結果を表6に示す。
収量の点から低温での静置によるN−アセチルノイラミ
ン酸の析出が好ましい。
【0032】
【表6】
【0033】実施例7 反応液中の陽イオン(カリウムイオン)について N−アセチルノイラミン酸カリウム、ピルビン酸カリウ
ム、N−アセチルマンノサミンをそれぞれ300、30
0、100mMとする水溶液25mlを調製し、これをロ
ータリーエバポレーターで濃縮乾固した。残渣に酢酸2
5mlを添加し、湯浴上で溶解、4℃で3日間静置し、析
出した結晶を吸引濾過し、少量の90%酢酸で洗浄を行
い、減圧乾燥した。得られた結晶は純度89%のN−ア
セチルノイラミン酸であり、回収率は76%であった。
ナトリウム塩の場合と比較して純度、回収率ともに劣る
が、カリウム塩でも抽出が可能であった。
【0034】実施例8 他のシアル酸(N−グリコリルノイラミン酸)における
適用について N−グリコリルノイラミン酸488mg、ピルビン酸ナト
リウム825mgを秤りとり、水を加えて溶解し、2N水
酸化ナトリウムでpHを7.3に調整し、さらに精製水を
加えて15mlとした(N−グリコリルノイラミン酸ナト
リウム濃度:約100mM、ピルビン酸ナトリウム濃
度:約500mM)。この液をロータリーエバポレータ
で濃縮し、酢酸を加えて50℃の湯浴中で溶解し、液量
6.8mlとした。このときの溶液中のN−グリコリルノ
イラミン酸濃度は約7%(w/v)、酢酸濃度は約84
%であった。これを4℃で一夜静置した後、さらに2日
間室温で放置した。白色の結晶が析出したので、これを
吸引濾過し、少量の95%酢酸で洗浄した。ついで、減
圧乾燥し、296mgの結晶を得た。これをHPLCで分
析した結果、得られた結晶は純度100%のN−グリコ
リルノイラミン酸であった。HPLCでの分析は実施例
1に示したカラムおよび条件で行った。なお、この条件
におけるN−グリコリルノイラミン酸の検出時間は7.
37分であった。
【0035】実施例9 シアル酸類縁体における適用について シアル酸アルドラーゼの基質特異性はピルビン酸には高
いが、糖については種々のものを基質とできることが知
られている。KDN(3−デオキシ−D−グリセロ−D
−ガラクト−ノヌロソン酸)について本発明方法を用い
た。ピルビン酸ナトリウム3.3g、D−マンノース1.
8g、シアル酸アルドラーゼ100Uを100ml(pH
7.5)に調整し、37℃で撹拌した。TLC(プレー
ト: シリカゲル60F254(メルク製);溶媒: 7
0% n−プロパノール水;相対移動度: KDN 0.4
5 マンノース0.6)で経時的に追跡した結果、48
時間でKDNが約80%の収率で得られた。限外濾過に
より酵素を除去した反応濾液10mlをエバポレーターで
濃縮乾固し、酢酸を5ml加え50℃の湯浴上で溶解し
た。これにアセトンを白濁が生じるまで(3ml)添加
し、4℃に静置し結晶を析出させた。吸引濾過した後減
圧乾燥し、KDNが結晶として得られた。なお、酢酸で
溶解させずに、アセトンだけを加えても沈殿を生じた
が、この沈殿はマンノースであり、KDNを含まなかっ
た。このように、N−アセチルノイラミン酸の場合と同
様、酢酸を用いることで、KDNも結晶として得ること
が可能である。
【0036】
【発明の効果】以上記載したごとく、本発明によれば、
大量のシアル酸や、その類縁体を極めて安価に、工業的
に製造することが可能となり、去痰作用をはじめ抗炎症
作用やウイルスレセプターのリガンドとして、また癌関
連抗原として重要な医薬用素材であるシアル酸や、その
類縁体の供給に大いに貢献できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07H 7/027 C12P 19/26 C07B 63/00 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数2または3の有機酸の存在下で溶
    解しているシアル酸またはその類縁体の溶液から、シア
    ル酸またはその類縁体を析出させることを特徴とするシ
    アル酸またはその類縁体の精製方法。
  2. 【請求項2】 有機酸が酢酸である請求項1記載のシア
    ル酸またはその類縁体の精製方法。
  3. 【請求項3】 シアル酸またはその類縁体の酢酸溶液ま
    たは含水酢酸溶液からシアル酸またはその類縁体を析出
    させる請求項2記載のシアル酸またはその類縁体の精製
    方法。
  4. 【請求項4】 シアル酸またはその類縁体の溶液が、シ
    アル酸またはその類縁体の塩を含む溶液もしくは物質を
    酢酸または含水酢酸に溶解したものであり、シアル酸ま
    たはその類縁体をカルボン酸として析出させて抽出する
    請求項3記載のシアル酸またはその類縁体の精製方法。
  5. 【請求項5】 シアル酸またはその類縁体の塩を含む溶
    液もしくは物質が、ピルビン酸またはピルビン酸の塩を
    含む請求項4記載のシアル酸またはその類縁体の精製方
    法。
  6. 【請求項6】 シアル酸またはその類縁体の塩を含む溶
    液もしくは物質が、シアル酸またはその類縁体の酵素合
    成反応液、その濃縮液またはその乾燥物である請求項4
    または5記載のシアル酸またはその類縁体の精製方法。
  7. 【請求項7】 シアル酸またはその類縁体の酵素合成反
    応液がシアル酸アルドラーゼによる縮合反応の反応液で
    ある請求項6記載のシアル酸またはその類縁体の精製方
    法。
  8. 【請求項8】 シアル酸またはその類縁体の塩を含む溶
    液もしくは物質が、N−アセチルマンノサミンとピルビ
    ン酸をシアル酸アルドラーゼ存在下、縮合反応によって
    N−アセチルノイラミン酸を合成した反応液、またはそ
    の濃縮液、もしくはその乾燥物である請求項7記載のシ
    アル酸またはその類縁体の精製方法。
  9. 【請求項9】 シアル酸またはその類縁体の塩がナトリ
    ウム塩である請求項4〜8いずれか1項に記載のシアル
    酸またはその類縁体の精製方法。
  10. 【請求項10】 シアル酸またはその類縁体の溶液中の
    酢酸濃度が80%(v/v)以上である請求項2〜9い
    ずれか1項に記載のシアル酸またはその類縁体の精製方
    法。
  11. 【請求項11】 シアル酸またはその類縁体の溶液中の
    濃度が3%(w/v)以上である請求項2〜9いずれか
    1項に記載のシアル酸またはその類縁体の精製方法。
  12. 【請求項12】 シアル酸またはその類縁体がN−アセ
    チルノイラミン酸である請求項1〜10いずれか1項に
    記載のシアル酸またはその類縁体の精製方法。
  13. 【請求項13】 有機酸がプロピオン酸である請求項1
    記載のシアル酸またはその類縁体の精製方法。
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