JPH09277392A - 膜材の歪除去方法および膜構造体の施工方法 - Google Patents

膜材の歪除去方法および膜構造体の施工方法

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JPH09277392A
JPH09277392A JP9815096A JP9815096A JPH09277392A JP H09277392 A JPH09277392 A JP H09277392A JP 9815096 A JP9815096 A JP 9815096A JP 9815096 A JP9815096 A JP 9815096A JP H09277392 A JPH09277392 A JP H09277392A
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JP
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film material
film
strain
membrane
thermoplastic resin
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JP9815096A
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Inventor
Hideyuki Yamamoto
英行 山本
Akimitsu Yasuda
昌充 安田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、各種の歪を確実かつ簡単に解消する
方法およびそれを用いてなる膜構造体の施工方法を提供
せんとするものである。 【解決手段】本発明の膜材の歪除去方法は、熱可塑性樹
脂膜と繊維構造体とからなる膜材を熱処理して、少なく
とも表面の該熱可塑性樹脂を少なくとも軟化させる特徴
とするものであり、また、本発明の膜構造体の施工方法
は、かかる膜材の歪除去方法を、膜材を展張した後の膜
構造体に採用することを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜材の歪除去方法
および膜構造体の施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、膜構造体の施工に関しては、膜材
という引張にしか作用しない構造材料を用いるにあた
り、意匠状の出来栄えを良好ならしめるために、膜材に
引張張力を付与することにより、施工していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、膜材
は、工場から施工現場への運搬時や、現場での取扱時に
おいて、ロール巻きや折曲げによるシワや癖などの歪が
発生することは避けられない。かかる歪としては2種類
のものがある。1つは膜材本体に発生する巻き癖や折曲
げの癖であり、もうひとつは膜材の表面に発生する物理
的な変形によるシワである。特に、膜材が防汚性を改善
する表皮を有する膜材である場合には、表面のシワは、
表皮と膜材本体の応力歪みの変形特性の違いにより、表
皮に細かい波状のシワを発生するため深刻である。従来
の施工方法では、膜材に張力をかけることによっての
み、これら2種類の歪を改善せんとするものであるが、
巻き癖や折曲げ癖を解消するにあたっても不十分である
ことに加えて、巻き癖や折曲げ癖が解消するぐらいの大
きな張力をかけた場合でも、表面シワの解消にはいたら
ず、意匠的な出来栄えとしては満足できるものではなか
った。
【0004】本発明は、かかる従来技術の欠点を克服
し、かかる各種の歪を解消する方法およびそれを用いて
なる膜構造体の施工方法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために次のような手段を採用する。すなわち、
本発明の膜材の歪除去方法は、熱可塑性樹脂膜と繊維構
造体とからなる膜材を熱処理して、少なくとも表面の該
熱可塑性樹脂を少なくとも軟化させる特徴とするもので
あり、また、本発明の膜構造体の施工方法は、かかる膜
材の歪除去方法を、膜材を展張した後の膜構造体に採用
することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、膜材において必然的に
発生する各種歪を、確実かつ簡便な方法で開所する手段
について鋭意検討したところ、該膜材を熱処理してた軟
化させることにより、意外にも簡単に解消させることで
きることを究明したものである。
【0007】本発明において、展張した膜材には、張力
がかかっていることが望ましい。なぜなら表皮シワなど
の歪の解消にあたっては張力は不要であるが、巻き癖や
折曲げ癖の解消にあたっては張力がかかっている方がよ
り好ましい結果が得られる。巻き癖や折曲げの解消に十
分な張力がかかっていない場合には、好ましくは100
kgf/m以上1000kgf/m以下の張力をさらに
加えながら、熱を加えることにより、巻き癖や折曲げ癖
の解消も果たせるものである。膜材にかける張力は、1
00kgf/m未満では、張力が小さすぎて折曲げ癖の
解消が果たせず、1000kgf/mを越えると、ハト
メ強度が約500kgf/個でハトメ間隔が30cm程
度であることので、ハトメのずれが発生し始め、現実的
には張力がかけられない。
【0008】ここでいう熱処理とは、少なくとも表面の
該熱可塑性樹脂を少なくとも軟化させればよく、たとえ
ば塩化ビニル系樹脂を熱劣化させるほど高温ではなく、
かつ残留応力を解消し変形回復を防止するに充分な温度
以上とする必要がある。
【0009】熱源として熱風を用いる場合には、ライス
ターやファン付き灯油ヒータ(ジェットヒータ)やファ
ン付き電気ヒータなどの熱風発生機を用いることになる
が、熱風には充分な熱容量と熱伝達率は無く、120℃
以上の高温の熱風を発生させ、膜材に熱劣化を生じない
ように、膜材の温度が50℃以上110℃以下となるよ
うに、熱風のあてかたを調節せざるをえない。すなわ
ち、熱風加熱の場合には、熱容量や熱伝達率の面で、局
部的な温度過剰を生じないように加熱することは難し
い。なお、好ましい膜材の温度は、膜材の主成分を塩化
ビニル系樹脂とした場合には、60℃以上80℃以下と
するのが好ましい。
【0010】熱源として温水を用いる場合には、温水に
は充分な熱容量と熱伝達率があるため、温水温度が適正
であり、かつ十分な流量がある場合には、膜材の温度も
ほぼ温水の温度と同一となるため、膜材の温度制御が熱
風に比較して容易であり、温水のあてかたを調節する必
要が無い。さらに温水の温度は最高で100℃であるた
め、膜材を熱劣化で痛める可能性も小さい。従って、現
場的には、温水によるほうが熱風によるより、加熱方法
としては適当である。温水を用いる場合にも、好ましい
膜材の温度は、膜材の主成分を塩化ビニル系樹脂とした
場合には、60℃以上80℃以下が望ましく、すなわち
温水の温度を60℃以上80℃以下にすることが望まし
い。
【0011】本発明における膜材は特に限定する必要は
無いが、東京ドームなどに使用されているPTFE樹脂
を主成分とする膜材に対しては、非常に高温とする必要
があるため、施工方法としてのメリットは少ない。従っ
て、塩化ビニル系樹脂などを主成分とする社団法人日本
膜構造協会「特定膜構造建築物技術基準」に規定のB種
およびC種膜材であることが好ましい。
【0012】さらに、本発明によれば、膜材の歪の解消
に極めて高い効果を有するので、たとえば、防汚性を改
善する表皮を有する膜材であることが好ましい。
【0013】さらに好ましくは、防汚性を有する表皮
が、膜材本体より可塑剤量の少ない塩化ビニル系系樹脂
によって構成される膜材に対して、より高い効果を有す
る施工方法である。
【0014】すなわち、かかる塩化ビニル系樹脂積層シ
ートは、塩化ビニル系樹脂からなる積層シートであっ
て、その基材層(A)の少なくとも片面に二層以上の多
層からなる表皮層(X)が接合されており、該表皮層
(X)は、最外層表面の硬度が該基材層(A)表面のそ
れより高いものである。
【0015】かかる塩化ビニル樹脂製シートの防汚性能
は、該シートの最外層表面の硬度に関係し、高硬度なも
の程防汚性が優れるのである。さらに、かかる硬度が、
可塑剤の濃度や可塑剤の種類によって変動し、かつ、防
汚機能は表皮層を複数多層とすることにより、より効果
的に改善できる。
【0016】かかる塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル
重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル
−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体などであり、これらを単独あるいは二種
以上を混合したものに可塑剤、安定剤、充填剤、酸化防
止剤、耐候剤、防炎剤などの添加剤を混合したものであ
る。
【0017】塩化ビニル系樹脂の平均重合度は600〜
3500であり、好ましくは800〜2000のものを
使用する。
【0018】本発明の可塑剤としては、一般に使用され
ているものを使用することができる。例えば、フタル酸
エステル系としては、ジブチルフタレート、ジエチルフ
タレート、ジヘブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニ
ルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシル
フタレート、ブチルベンジルフタレートなどであり、脂
肪族二塩基酸系エステルとしては、ジメチルアジペー
ト、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ
−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペ
ート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチ
ルヘキシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチル
セバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチ
ルアセチルリシノレートなどであり、エポキシ系として
は、エポキシ化大豆油、オクチルエポキシステアレート
などであり、リン酸エステル系としては、トリメチルホ
スヘート、トリエチルホスヘート、トリブチルホスヘー
ト、トリ−2−エチルヘキシルホスヘート、トリブトキ
シエチルホスヘート、トリオレイルホスヘート、トリフ
ェニルホスヘート、トリクレジルホスヘート、トリキシ
レニルホスヘート、クレジルジフェニルホスヘート、キ
シレニルジフェニルホスヘート、2−エチルヘキシルジ
フェニルホスヘートなどであり、ポリエステル系として
は、アジピン酸と2−メチル−1、8−オクタンジオー
ル、1、2−プロパンジオール、1、3−ブタンジオー
ル、2−エチルヘキサノール、n−オクタノールなどの
グリコール類をエステル化したものなどであり、トリメ
リット酸系ではトリ2−エチルヘキシルトリメリレー
ト、トリイソデシルトリメリレートなどであり、その他
に2−エチルヘキシルピロメリレートなどのピロメリッ
ト酸系、ビフェニルテトラカルボン酸エステル系などを
例示することができ、これらを単独あるいは混合したも
のが軟質塩化ビニル樹脂の場合、塩化ビニル系樹脂10
0重量部に対し通常50〜10重量部使用される。
【0019】安定剤、安定助剤の例としては、例えば、
カルシュウム・亜鉛系、カルシュウム・亜鉛有機複合体
系、バリウム・亜鉛系、カドミウム・バリウム系、カド
ミウム・鉛系、エポキシ系、有機錫ラウレート、有機錫
メルカプタイト、有機錫オクチルなどがあり、これらを
単独あるいは混合したものを塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し、0.1〜10重量部使用する。
【0020】充填剤としては、シリカ、タルク、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、リン酸カ
ルシウム、カオリンクレイ、チタン白、石英、ケオソウ
土、ハイドロタルサイトなどであり、単独あるいは混合
したものを塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、3〜
25重量部使用する。
【0021】酸化防止剤としては、2、6−ジ−t−ブ
チル−メチルフェノール、ジラウリルチオジプロピオネ
ートなどがあり、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、0.05〜2.5重量部使用する。
【0022】耐候剤としては、トリアゾール系紫外線吸
収剤では2−(2′ヒドロキシ−3′、5′−ジ−t−
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2′ヒドロキシ−3′−t−アミノ−5′−イソブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、 2−(2′ヒドロキシ−5′−メチルフェ
ニル)5、6−ジクロロベンゾトリアゾール、2−
(2′ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)5−エチル
スルホンベンゾトリアゾール、2−(2′ヒドロキシ−
3′−イソブチル−5′−メチルフェニル)5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(2′ヒドロキシ−3′−イ
ソブチル−5′−プロピルフェニル)5−クロロベンゾ
トリアゾール、 2−(2′ヒドロキシ−3′、5′−
ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2′ヒドロキシ−5′−1、1、3、3−テトラメチ
ルブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどであり、ベ
ンゾフェノン系紫外線吸収剤としては 2−ヒドロキシ
−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、
2、2′−ジヒドロキシ−4、4′−ジメトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベン
ゾフェノン、2、2′、4、4′−テトラヒドロキシベ
ンゾフェノン、ハイドロキノン系紫外線吸収剤として
は、ハイドロキノン、ヒドロキノンジサリチレート、サ
リチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリチレー
ト、パラオクチルフェニルサリチレートなどであり、こ
れらを単独あるいは混合したものを塩化ビニル系樹脂1
00重量部に対して0.25〜3重量部添加する。
【0023】酸化防止剤としては、2、6−ジ−t−ブ
チル−4−メチルフェノール、2、2′−メチレンビス
(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2、6−
ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系酸
化防止剤、ジ−n−ドデシル−チオジプロピオネート、
ジ−n−オクタデシル−チオジプロピオネート、ジラウ
リルチオジプロピオネートなどのチオジプロピオン酸エ
ステルなどがあり、これらを単独あるいは混合したもの
を塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.1〜1重
量部添加する。
【0024】防炎剤としては、三酸化アンチモン、リン
酸チタン、水和硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウムなどの無機系化合物が一般的に用いられ、
特に三酸化アンチモンを主体としたものを塩化ビニル系
樹脂100重量部に対して3〜10重量部添加する。ト
リクレジルホスヘートなどの難燃可塑剤が使用される場
合もある。
【0025】その他、2、4、5、6−テトラクロロイ
ソフタロニトリル、10、10′オキシビスフェノキシ
アルシンなどの防黴剤、フタロシニアンブルー、フタロ
シニアングレーン、アリザリンレーキ、酸化チタン、亜
鉛華、カーボンブラックなどの着色剤を塩化ビニル系樹
脂100重量部に対してそれぞれ0.001〜2重量
部、添加する0.001〜1重量部添加してもよい。な
お、ここに例示した対外の化合物も必要に応じて添加し
てもさしつかえない。
【0026】本発明の可塑剤としては、一般に使用され
ているものを使用することができる。例えば、フタル酸
エステル系としては、ジブチルフタレート、ジエチルフ
タレート、ジヘブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニ
ルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシル
フタレート、ブチルベンジルフタレートなどであり、脂
肪族二塩基酸系エステルとしては、ジメチルアジペー
ト、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ
−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペ
ート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチ
ルヘキシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジブチル
セバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチ
ルアセチルリシノレートなどであり、エポキシ系として
は、エポキシ化大豆油、オクチルエポキシステアレート
などであり、リン酸エステル系としては、トリメチルホ
スヘート、トリエチルホスヘート、トリブチルホスヘー
ト、トリ−2−エチルヘキシルホスヘート、トリブトキ
シエチルホスヘート、トリオレイルホスヘート、トリフ
ェニルホスヘート、トリクレジルホスヘート、トリキシ
レニルホスヘート、クレジルジフェニルホスヘート、キ
シレニルジフェニルホスヘート、2−エチルヘキシルジ
フェニルホスヘートなどであり、ポリエステル系として
は、アジピン酸と2−メチル−1、8−オクタンジオー
ル、1、2−プロパンジオール、1、3−ブタンジオー
ル、2−エチルヘキサノール、n−オクタノールなどの
グリコール類をエステル化したものなどであり、トリメ
リット酸系ではトリ2−エチルヘキシルトリメリレー
ト、トリイソデシルトリメリレートなどであり、その他
に2−エチルヘキシルピロメリレートなどのピロメリッ
ト酸系、ビフェニルテトラカルボン酸エステル系などを
例示することができ、これらを単独あるいは混合したも
のが使用される。
【0027】従来、テント、ターポリン、各種養生シー
ト、バックリットなどに使用される塩化ビニル系樹脂膜
材は、一般に軟質タイプと称され、可塑剤として一般的
に使用されるジ−2−エチルヘキシルフタレート(DO
P)の例で示すと添加量が塩化ビニル系樹脂100重量
部に対して50〜100重量部のものである。
【0028】本発明でいう塩化ビニル系樹脂膜材は、繊
維構造体の少なくとも片面に基材層(A)、表皮層
(X)の可塑剤濃度を変えて積層してなるものである。
可塑剤濃度は、基材層(A)が最も高く、表皮層(X)
は低くする。すなわち、ね表皮層(X)を、中間層
(B)と表皮層(C)との3層構造と仮定すると、可塑
剤濃度は、中間層(B)より表皮層(C)を低くした構
成とする。かかる構成により、基材層(A)からの可塑
剤は中間層(B)にとどまり、中間層(B)と表皮層
(C)の可塑剤濃度を制御することにより、表皮層
(C)の表面硬度変化を防止することができる。具体的
に可塑剤がジ−2−エチルヘキシルフタレートの場合で
例示すると、基材層が50重量部の場合、中間層が10
〜20重量部であり、表皮層は20〜30重量部であ
る。
【0029】上述の基材層(A)と中間層(B)、表皮
層(C)の可塑剤の種類を変えることによっても防汚効
果を達成することができる。この場合は、基材層(A)
に上述したトリメリット酸系またはピロメリット酸系ま
たはポリエステル系またはこれらの混合物を使用し、中
間層(B)、表皮層(C)にはフタル酸エステル系を使
用するのが効果的である。かかる構成により、可塑剤は
中間層から基材層に移行しやすくなるため、表皮層への
可塑剤移行が起きにくくなる。具体的には、基材層にテ
トラオクチルピロメリメート、中間層、表皮層にジ−2
−エチルヘキシルフタレートを使用した場合、基材層が
65重量部の場合、中間層は10〜40重量部、表皮層
は40〜20重量部である。
【0030】かかる表皮層(X)、すなわちその最外層
の表皮層(C)の表面硬度は、島津製作所株式会社製の
島津ダイナミック超微小硬度計DUH−200型の三角
錘圧子115°で測定した数値が、好ましくは0.5以
上、さらに好ましくは0.6以上であり、また、該表面
硬度は、該基材層(A)の表面硬度より0.2以上、さ
らには0.35以上大きいものが好ましい。かかる硬度
を維持することにより優れた防汚性能を発揮することが
できる。
【0031】かかる中間層及び表皮層の厚みは、好まし
くは10〜200μ、さらに好ましくは30〜80μで
ある。
【0032】本発明でいう繊維構造体とは、ポリエステ
ル、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維や、木綿、麻な
どの天然繊維を単独あるいは混合した編織物であり、繊
維は長繊維でも短繊維でもよい。
【0033】かかる膜材の製造にあたっては、接着剤
法、加圧下での加熱圧着法、ラミネーター法、エクスト
ルージョンラミネーター法などが使用できるが、これら
に限定されるものではないが、繊維基布に基材層(A)
を被覆し、その表面に中間層(B)、表皮層(B)をラ
ミネートするのが好ましい。さらに積層シートの表面を
凹凸のある加圧体で処理し、表面を賦型してもよい。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0035】実施例1 防汚性を有する表皮が、膜材本体より可塑剤量の少ない
塩化ビニル系樹脂によって構成される、社団法人日本膜
構造協会「特定膜構造建築物技術基準」に規定のC種膜
材料(東レ製“TL20”)にて、壁を施工した。ロー
プによるラッキングという通常の方法にて、この膜材に
張力を与えたが、折曲げ癖および表面シワの2種類のシ
ワが存在し、意匠的に美しい出来栄えではなかった。
【0036】そこで、この展張状態にある膜材に対し
て、熱風にて改善を試みた。熱風発生機として、ライス
ター社No.1Aを使用した。温度調節ダイヤルは5で
実施した。実施時の膜面の表面温度を実測したところ5
7℃であった。この改善方法によって、折曲げ癖は有る
程度改善し、表面シワは完全に解消された。
【0037】さらにこの膜材に対して、張力をさらにか
けながら熱風にて折曲げ癖の改善を試みた。張力は、7
50kgfのレバーブロックを1m当たり1台ずつ働か
せたので、約750kgf/m程度の張力が働いている
ものと考えられる。この改善方法により、折曲げ癖も完
全に解消することができた。
【0038】しかし、この熱風による改善においては以
下の2点が問題点として残った。
【0039】(1) 膜材の表面を溶融させないように熱風
をあてるには、熟練した技術を要し、だれでも作業可能
では無かった。
【0040】(2) 熱風では熱容量が小さく、さらに熱風
吹出しノズルが小さいため、大きい面積を改善するには
生産性が悪く、非常に時間がかかった。
【0041】実施例2 実施例1の隣面である、折曲げ癖および表面シワの2種
類の歪が存在し、意匠的に美しい出来栄えではなかった
壁面の膜材に対して、温水による改善を試みた。温水の
発生装置として、有光工業製ジェットクリーナ(AHC
−55HCA−3)を用いた。温度ツマミは最高温度
(80℃目盛り)とし、水圧はゲージで10kg/cm
2 で実施した。実施時の水温はノズル出口で65℃、膜
面の表面温度を実測したところ62℃であった。この改
善方法によって、折曲げ癖は有る程度改善し、表面シワ
は完全に解消された。
【0042】さらにこの膜材に対して、張力をさらにか
けながら熱風にて折曲げ癖の改善を試みた。張力は、7
50kgfのレバーブロックを1m当たり1台ずつ働か
せたので、約750kgf/m程度の張力が働いている
ものと考えられる。この改善方法により、折曲げ癖も完
全に解消することができた。
【0043】なお、実施例1で問題となった2点につい
ても解消され、熟練技術を要せず誰にでも作業でき、か
つ大面積も短時間で作業できる生産性の高い改善方法で
あった。
【0044】
【発明の効果】本発明は、上記の方法としたことによ
り、次の如き優れた効果を奏する。
【0045】(イ)熱を加えることにより、膜材に発生
する表面シワを解消できる。
【0046】(ロ)張力を加え、かつ熱を加えることに
より、膜材に発生する折曲げ癖を解消できる。
【0047】(ハ)上記改善を、現場における技術レベ
ルで生産性高く実施できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂膜と繊維構造体とからなる膜
    材を熱処理して、少なくとも表面の該熱可塑性樹脂を少
    なくとも軟化させることを特徴とする膜材の歪除去方
    法。
  2. 【請求項2】該熱処理が、50℃以上110℃以下の温
    度で行うものである請求項1記載の膜材の歪除去方法。
  3. 【請求項3】該熱処理が、熱風および温水から選ばれた
    少なくとも1種である請求項1記載の膜材の歪除去方
    法。
  4. 【請求項4】該熱処理が、100kgf/m以上100
    0kgf/m以下の張力を加えながら行うものである請
    求項1〜3のいずれかに記載の膜材の歪除去方法。
  5. 【請求項5】該膜材が、社団法人日本膜構造協会「特定
    膜構造建築物技術基準」に規定のB種およびC種の膜材
    である請求項1〜4のいずれかに記載の膜材の歪除去方
    法。
  6. 【請求項6】該膜材が、防汚性表皮を有するものである
    請求項5記載の膜材の歪除去方法。
  7. 【請求項7】該膜材が、熱可塑性樹脂膜として塩化ビニ
    ル樹脂を使用し、かつ、該防汚性表皮が、該膜材本体よ
    り可塑剤量の少ない塩化ビニル樹脂によって構成される
    膜材であることを特徴とする請求項6記載の膜材の歪除
    去方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の膜材の歪
    除去方法を、膜材を展張した後の膜構造体に採用するこ
    とを特徴とする膜構造体の施工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017087607A (ja) * 2015-11-12 2017-05-25 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法、インクジェット記録装置および記録媒体の製造方法

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