JPH09274856A - 陰極線管の製造方法 - Google Patents

陰極線管の製造方法

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JPH09274856A
JPH09274856A JP8545396A JP8545396A JPH09274856A JP H09274856 A JPH09274856 A JP H09274856A JP 8545396 A JP8545396 A JP 8545396A JP 8545396 A JP8545396 A JP 8545396A JP H09274856 A JPH09274856 A JP H09274856A
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ultraviolet
functional film
curable resin
irradiation
ultraviolet rays
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JP8545396A
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Takuji Inoue
卓治 井上
Yoichi Matsubara
洋一 松原
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程数を増大させることなく、パネルガ
ラス表面に貼着後の機能フィルムからはみ出たUV硬化
樹脂の表面べたつき残りを解消する。 【解決手段】 パネルガラス1表面に機能フィルム11
を貼った後の紫外線照射工程で、機能フィルム11下の
紫外線硬化樹脂の気密層12aの他に、該機能フィルム
11の縁部からはみ出した紫外線硬化樹脂の表面露出部
12bをも硬化するために、所定条件の紫外線の照射
を、単独で、或いは気密層12aと表面露出部12bと
をそれぞれ硬化可能に複数回に分けて行う。具体的な表
面露出部12bを硬化する紫外線の照度は、365nm
の紫外線が800mJ/cm2 以上、254nmの紫外
線が200mJ/cm2 以上必要であり、紫外線照射工
程では、これら2種類の紫外線の照射を、同時に、或い
は分けて行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陰極線管(CR
T)の製造方法に係り、特にCRTのパネルガラス表面
への機能フィルムの貼着工程に関する。
【0002】
【従来の技術】CRTは、溶融ガラスを型で成形し内部
を真空にした後、封止して生産される。よって、CRT
のパネルガラスについては、全体の軽量化のため薄肉化
しながら所定の防爆性能を確保することが重要であり、
その他、パネルガラス表面における外光反射の低減、及
び高電圧印加により誘起される静電荷の低減や電界遮蔽
等も要求される。
【0003】この防爆性能を満たすために、種々の防爆
補強形式があるが、現在では、構造及び工程が簡単なこ
とから、CRTのパネルガラス側壁を金属バンドの熱収
縮を利用して締めつけるといったバンド補強形式が、広
く採用されている。また、外光反射低減の面では、旧来
のシリカコートから、CRT自体の性能向上(例えば、
高解像度化)にともなって、より高性能なAR(Anti-Re
flection)コートと呼ばれる反射防止膜が採用され、現
在では、これに上記した静電荷の低減や電界遮蔽、時に
は防爆補強等の諸機能を兼ねる光透過性の機能フィルム
が用いられるようになってきた。
【0004】この機能フィルムをパネルガラスに貼着す
るには、コイル状に巻き取られたものから所定長さの機
能フィルムを切りとって、紫外線(UV)硬化樹脂を介
してパネルガラスに貼りつけ、フィルム面をスキージ(s
queeze) した後、紫外線を表面から照射して樹脂層を硬
化させて接着するといった方法が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この機能フ
ィルムの貼着方法では、スキージの際に機能フィルムか
らはみ出たUV硬化樹脂が空気と接触するため硬化し難
く、その表面にべたつきが残るといった課題を有してい
た。
【0006】これは、この用途のUV硬化樹脂としてラ
ジカル重合型が用いられ、この樹脂は空気中の硬化反応
では、空気界面より溶解する酸素によって重合が阻害さ
れるからである。この反応では、酸素濃度が大きいほど
ラジカル消費量が大きくなるので、空気との接触界面に
近いほど重合速度は減少し、これにより表面ほどべたつ
きが残り易くなる。例えば、5μmの光透過層下にある
1μmの樹脂層を硬化するのに必要なエネルギーに比
べ、空気に接した1μmの樹脂層を硬化するには約20
倍のエネルギーが必要とされている。
【0007】この表面のべたつきが残ると、ゴミや埃等
の汚れが付着しやすく、特にCRT単体の運搬では、発
砲スチロールをクッション材に使用した梱包形態が採ら
れる関係で、樹脂表面に発砲スチロールのかけらが付着
し問題となる。そこで、空気中でも紫外線を当てれば十
分に硬化するUV硬化樹脂の開発が求められているが、
低コストで、そのような性質を有するUV硬化樹脂は未
だ開発されていない。また、UV照射エネルギーの増
大,酸欠処理,はみ出たUV硬化樹脂に変成アクリレー
ト系接着剤を塗布すること等が検討されたが、決定的な
決め手が見つけ出されていないのが現状である。
【0008】このため、従来では、機能フィルムからは
み出たUV硬化樹脂上に、ポリエステルテープなどを貼
着して対処しているが、その作業が煩雑であることか
ら、この表面べたつき残りを根本的に解消する方法が強
く望まれていた。本発明は、このような実情に鑑みてな
され、製造工程数を増大させることなく、パネルガラス
表面に貼着後の機能フィルムからはみ出たUV硬化樹脂
の表面べたつき残りを解消することができるCRTの製
造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した従来技術の問題
点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明者
らは、紫外線硬化の条件(波長及び照度)を適切に選択
すれば、空気に接したままでもUV硬化樹脂の表面べた
つき残りを解消できることを、実験により見出した。
【0010】すなわち、本発明のCRTの製造方法で
は、パネルガラス表面に機能フィルムを貼った後の紫外
線照射工程で、機能フィルム下の紫外線硬化樹脂の気密
層の他に、該機能フィルムの縁部からはみ出した紫外線
硬化樹脂の表面露出部をも硬化するために、所定条件の
紫外線の照射を、単独で、或いは気密層と表面露出部と
をそれぞれ硬化可能に複数回に分けて行うことを特徴と
する。
【0011】具体的な表面露出部を硬化する紫外線の照
度は、365nmの紫外線が800mJ/cm2 以上、
254nmの紫外線が200mJ/cm2 以上必要であ
り、紫外線照射工程では、これら2種類の紫外線の照射
を、同時に、或いは分けて行うとよい。
【0012】
【本発明の実施の形態】本発明の実施形態の説明に先立
ち、まず、カラー陰極線管(CRT)を図1に例示し、
説明する。この図示例のCRTは、パネル1とファンネ
ル2とネック管3とで真空容器が構成され、パネル1と
ファンネル2とは、フリットガラスにより接合してあ
る。パネル1の外周には、防爆のためのテンションバン
ド9が巻回してある。テンションバンド9の外周には、
取付耳部10が形成してあり、この取付耳部10を介し
て、CRTは、表示装置としてテレビ内部に装着され
る。テンションバンド9及び取付耳部10は、金属など
の導電性物質で構成され、アース線9aを介して接地さ
れる。
【0013】パネル1の内面には、青、緑、赤発光の蛍
光体が塗布された蛍光面6が形成されており、この蛍光
面6に近接して色選別マスク5が配置されている。色選
別マスク5は、マスク保持枠体に保持され、その電子銃
側には、磁気シールド7が装着してある。
【0014】ネック管3に収容された電子銃4からの電
子ビーム8は、色選別マスク5を通って、パネル内面に
形成された蛍光面6に達し、所定の蛍光体を励起し発光
させる。パネル1の表面には、図2に詳示するように、
紫外線(UV)硬化樹脂12により機能フィルム11が
接着してある。機能フィルム11は、例えば図2(a)
又は(b)の構成とすることができる。図2(a)にお
ける機能フィルム11は、透明なプラスチックフィルム
基板18と、ハードコート膜17とで構成してある。同
図(b)における機能フィルム11は、ハードコート膜
17上に、さらに透明導電膜16と、反射防止膜15
と、防汚膜14とを具備してなる。
【0015】プラスチックフィルム基板18の材料とし
ては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカ
ーボネート(PC),ポリメチルアクリレート(PMM
A),スチレンメチルメタアクリレート(MS),ポリ
スチレン(PS)等が対象となる。この基板18の厚さ
は、特に限定されないが、たとえば50〜250μm程
度である。
【0016】ハードコート層17は、当該機能フィルム
11の表面硬度,耐擦性を補強する目的を有し、アクリ
ル系紫外線硬化樹脂の薄膜層(3〜10μm)からな
る。図2(b)における透明導電膜16は、ハードコー
ト層17上に蒸発法あるいはスパッタ法で形成した酸化
インジウム錫(ITO)の薄膜(15〜150nm)か
らなる。この透明導電膜16は、図1に示す機能フィル
ム11の外周の複数位置に接着された導電性テープ1
3,テンションバンド9,取付耳部10を介してアース
と接続され、管面チャージをアースに逃し帯電防止効果
をもたらしている。導電性テープ13としては、特に限
定されないが、たとえば金属箔テープが用いられる。
【0017】図2(b)に示す反射防止膜15は、外光
の写り込みを和らげ好ましい映像や文字情報を再現する
目的で設けられ、多層光学薄膜により構成されている。
多層光学薄膜の反射防止効果は、屈折率の異なる薄膜材
料を交互に積層することにより得られる。
【0018】低屈折率材料としては、フッ化マグネシウ
ム(MgF2 ),酸化ケイ素(SiO2 )等が用いら
れ、高屈折率材料としては、酸化チタン(TiO2 ),
酸化タンタル(Ta25 ),酸化ジルコニウム(Zr
2 ),ITO等が用いられる。反射防止膜15の膜厚
は、特に限定されないが、例えば4層の場合で、210
〜260nm程度である。
【0019】機能フィルム11の最表面に形成される防
汚膜14により、CRT表面に直接手を触れた時に指紋
等の汚れが付着し難く、また付着した汚れは乾拭き,水
拭きなどで容易に除去できる。防汚膜14を構成する材
料としては、シリコン樹脂又はアクリル樹脂をベース
に、パーフルオロ基含有のコーティング剤を塗布した薄
膜などが用いられる。
【0020】つぎに、このような構成のCRTに好適に
実施でき、本発明に係るCRTの製造方法を、図3のC
RTの製造過程を示す概略図に沿って説明する。まず、
図1に示すパネル1及びファンネル2を用意し、このパ
ネル1の内面に蛍光面6を作成し、色選別マスク5を装
着した後、パネル1をファンネル2と接合し、防爆バン
ド装着してCRT20を製造する。その後、CRT20
のパネル1の表面を、洗浄液,純水,アルコール系溶剤
で順次洗浄した後乾燥する。図3(a)は、このCRT
20の表面洗浄後の段階を示す。
【0021】次の同図(b)では、パネル1の表面に、
UV硬化樹脂12を塗布する。塗布するUV硬化樹脂1
2は、ラジカル重合型のもので、光重合性オリゴマー,
光重合性モノマー,光重合開始剤を主成分とし、その硬
化物の屈折率がパネル1の屈折率と0.8%以内の差と
なるように調整したものを用い得る。UV硬化樹脂12
の粘度は、特に限定はないが、例えば300〜3000
cps程度である。また、UV硬化樹脂12の塗布は、
塗布前に予めその中に含まれている気泡を脱泡してお
き、公知の方法、たとえばフローコート法,ロールコー
ト法,バーコート法などにより行うことができる。
【0022】続いて、図3(c)では、UV硬化樹脂1
2の表面に、先に説明した図2に例示した構造を有し、
パネル1の正面形状に合わせた形状に切断された機能フ
ィルム11を被着する。その後、次の図3(d)に示す
ように、加圧ロール21などを機能フィルム11表面に
所定の押圧力で押し付け、フィルム面をスキージ(squee
ze) することで、UV硬化樹脂12の厚みを均一化し、
表面に筋や皺が現われないようにする。加圧ロール21
としては、金属ロール,硬質ゴムロール,ゴムライニン
グ金属ロールなどを使用することができる。
【0023】図4(a)は、加圧ロール21によるスキ
ージ後のパネル1正面の様子を示す。また、同図(b)
は、(a)のII−II線に沿ったパネル1端部近傍の断面
を示す。加圧ロールによるスキージにより、機能フィル
ム11下のUV硬化樹脂層(以下、気密層12aとい
う)の厚みは、例えば0.05〜2.5mm程度に設定さ
れ、余分なUV硬化樹脂12は、図示のように機能フィ
ルム11周囲にはみ出す(以下、このはみ出し部分を、
表面露出部12bという)。
【0024】図4(e)の紫外線照射工程では、その
後、機能フィルム11の上から、照射光源を用いて紫外
線を照射し、UV硬化樹脂12を硬化させる。照射光源
としては、メタルハライドランプ,高圧水銀ランプ,キ
セノンランプなどを使用することができる。
【0025】ところで、本発明で使用するラジカル重合
型のUV硬化樹脂12は、空気中の硬化反応で、空気界
面より溶解する酸素によって重合が阻害される。すなわ
ち、この反応では、酸素濃度が大きいほどラジカル消費
量が大きくなるので、空気との接触界面に近いほど重合
速度は減少し、これにより表面ほどべたつきが残り易く
なる。従って、図4(b)に示すように、機能フィルム
11周囲の表面露出部12bの未硬化が問題となる。
【0026】このため、本発明では、この紫外線照射の
照射条件(例えば、波長及び照度)として、上記した気
密層12aの他に、表面露出部12bをも硬化可能な条
件が選ばれる。一度の紫外線照射で、気密層12a及び
表面露出部12bが同時硬化することが望ましいが、選
択したUV硬化樹脂12によっては同時硬化する条件が
見出せない場合もあり、その場合は、それぞれを硬化す
る目的で紫外線照射を複数回に分けて行うこともでき
る。なお、ここで硬化というときに、単に硬度が高くな
っただけでなく、表面のべたつきが実用上、問題のない
程度に低減されたことを意味するものとする。
【0027】その後は、特に図示しないが、常法に従っ
て、機能フィルム11を接地可能に、導電性テープ13
を機能フィルム11の周囲に貼り、当該CRTを完成さ
せる。
【0028】
【実施例】以下、さらに具体的に、本発明の実施例につ
いて説明する。本実施例では、UV硬化樹脂12とし
て、分子量550以上のビスフェノールA型エポキシ
(メタ)アクリレート:10重量%と、ウレタン(メ
タ)アクリレート:20重量%と、水酸基含有モノ(メ
タ)アクリレート:70重量%と、光重合開始剤:3%
と、添加剤:数%とを含有し、25°Cのときの粘度仕
様が1300〜1900cpsのものを用いた。図3
(b)での塗布は、樹脂塗布後スキージする方法で行っ
た。
【0029】次の図3(c)で貼りつける機能フィルム
11としては、本実施例では、図2(b)に示すものを
用いた。具体的には、プラスチックフィルム基板18と
しては、188μm のPETフィルムを用いた。ハード
コート層17と透明導電膜16との膜厚は、それぞれ3
〜6μmと20〜100nmとした。また、反射防止膜
15としては、SiO2 膜とTiO2 膜とを交互に積層
した4層構造で、その全体の膜厚が180〜220nm
のものを用いた。さらに防汚膜14としては、極性基を
持つパーフルオロポリエーテルからなる化合物のコーテ
ィング剤を塗布した薄膜を用いた。
【0030】この機能フィルム11を図3(d)の如く
スキージし、UV硬化樹脂12の気密層12a(図4)
の厚みdを、30〜50μmに均一化した。次の図3
(e)の紫外線照射工程では、照射波長ピークが365
nmのメタルハライドランプ(水冷又は空冷式の水銀ラ
ンプでも可)を用いた。ここで、照射波長ピークが36
5nmのランプを用いたのは、機能フィルム11下の気
密層12aについては、硬化に必要な紫外線照射量は3
65nm紫外線:400〜500mJ/cm2 程度とさ
れている一方、機能フィルム11のベース材に用いたP
ETフィルムは、図5に示すように、320nm以下の
紫外線をカットする透過特性を示すからである。
【0031】また、本実施例では、気密層12aととも
に表面露出部12bをも硬化し、かつ、その表面べたつ
き残りを一度の紫外線照射で除去するために、365n
mの紫外線が800mJ/cm2 以上,254nmの紫
外線が200mJ/cm2 以上照射できる10kW級の
光源を採用した。照射後、気密層12a及び表面露出部
12bが共に硬化し、かつ表面露出部12bのべたつき
残りもないことを確認した。
【0032】以後は、常法に従い導電性テープ13を貼
着して当該CRTを完成させた。予備実験 最後に、上記した紫外線照射工程における照射条件を決
定する根拠となった予備実験について述べる。 (目的)この予備実験の目的は、空気に曝されたまま紫
外光に当てた後のUV硬化樹脂について、表面べたつき
残りに及ぼす紫外線波長及び照度の影響を検討すること
にある。 (実験及び評価方法)この予備実験に使用したUV硬化
樹脂,その塗布方法は上記実施例と同様とした。パネル
ガラスに、一定膜厚のUV硬化樹脂を塗布し、種々の光
源から紫外光を全面照射したサンプルを作製した。その
後、指触により表面べたつきの有無を、指で押した時の
押痕の有無により内部が硬化しているか否かを、それぞ
れ評価した。
【0033】表1には、本実験で用意した7種類のサン
プルに紫外線を照射した光源の条件を示す。光源には、
メタルハライドランプ,高圧水銀ランプ,低圧水銀ラン
プの3種類を用い、サンプル(1) 及び(2) の光源には、
低波長側をカットするブルーフィルタを併用した。
【0034】
【表1】
【0035】(結果)表2には、UV硬化樹脂表面での
紫外線強度及び照射量の測定結果と表面べたつきの有無
(有り:NG,無し:OK)の評価結果をまとめた。
【0036】
【表2】
【0037】本実験では、簡便化のため、各光源の波長
特性の詳しい測定は省略し、その代わりに各光源の主波
長とされる254nmと365nmの2ポイントについ
て、それぞれの波長に感度ピークをもつ2つのセンサと
UV照度計を用いて紫外線強度及び照射量を計った。こ
の表には、両波長の紫外線量比、及び365nmセンサ
使用による照射積算量(サンプル(7) のみ強度不足のた
め254nmセンサを使用)を併記した。この表に沿っ
て本実験の結果をまとめると、次のようになる。 イ)フィルタ付き水冷式光源(サンプル(1)(2):波長3
65nm)では、2000 mJ/cm2 の紫外線照射
量でも表面べたつきは解消されなかった。 ロ)フィルタレス水冷式光源(サンプル(3)(4):主波長
365nm,254nm) では、1000mJ/cm
2 (365nmセンサ計測値)の紫外線照射量で表 面
べたつきは解消された。上記イ)の結果を勘案すると、
表面べたつき解消に は254nmの紫外線照射がきい
ており、その照射量は200mJ/cm2(サンプル(3)
)あればよいことが判った。一方、硬化については、
サンプル(3) と (4)とで差が生じたことから、365n
mの紫外線照射がきいていると推測でき る。すなわ
ち、800mJ/cm2 の照射量(サンプル(3) )では
十分に硬化さ れたものの、650mJ/cm2 強の照
射量(サンプル(4) )では硬化不十分で 、強く押すと
押痕が残った。 ハ)上記ロ)の結果は、空冷式光源(サンプル(5)(6):
主波長365nm,254nm)についても略同様で、
冷却方式による優位差は認められなかった。 ニ)低圧水銀ランプ(サンプル(7) :主波長254n
m,157nm)の照射では 、初めに樹脂表面部が硬
化し、順次内部の硬化が進行するようで、1000m
J/cm2 (254nmセンサ計測値)の照射硬化後の
樹脂は全面に皺が発生 し、表面は硬化したが内部は未
硬化のままであった。これにより、内部硬化に 寄与す
るのは、365nmの紫外線照射であることが判った。 ホ)上記ロ),ハ),ニ)いずれの場合にも、紫外線照
射直後は、反応熱のため樹脂は高温で軟らかく、容易に
押痕が残った。樹脂温度を室温まで下げると表面べたつ
きは完全に解消された。 (結論)365nmの紫外線はUV硬化樹脂の内部を硬
化させ、254nmの紫外線はUV硬化樹脂の表面を硬
化させる。内部硬化のためには、365nmの紫外線を
少なくとも800mJ/cm2 程度照射する必要があ
る。また、UV硬化樹脂の表面べたつきを解消し、表面
硬化させるためには、254nmの紫外線を少なくとも
200mJ/cm2 程度照射する必要がある。
【0038】今回の実験では、照射量の上限については
検討しなかったが、照射時間低減や温度上昇が他に与え
る影響等を考慮し、好ましい紫外線照射量として、 365nm紫外線:800〜1000mJ/cm2 254nm紫外線:200〜250mJ/cm2 程度と、結論づけることができる。
【0039】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変するこ
とができる。上記予備実験の記載から明らかなように、
ここで求めた254nmでの紫外線照射条件は、樹脂表
面べたつき解消のための一例にすぎず、254〜365
nm或いは254nm以下で最適条件を見出すことも可
能である。また、UV硬化樹脂12の種類が異なれば、
365nmより大きな紫外線領域でも樹脂表面べたつき
が解消される可能性がある。
【0040】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
陰極線管の製造方法によれば、製造工程数を増大させる
ことなく、機能フィルムからはみ出た紫外線硬化樹脂の
表面べたつき残りを容易に解消できる。
【0041】この結果、従来行っていたテープの貼着工
程を不要とし、その貼着やトリミングに費やす工数を削
減でき、陰極線管の製造コストを下げることが可能とな
る。また、量産性及び製造歩留りの向上にも、本発明が
寄与するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が好適に実施できる陰極線管(CRT)
の概略断面図である。
【図2】図1に示すA部の要部拡大断面図であり、図2
(a),(b)には、採用可能な機能フィルムの構造例
を2種類示している。
【図3】図1に示すCRTの各製造過程を示す概略図で
ある。
【図4】図4(a)は、図3(d)工程終了後のパネル
正面図であり、図4(b)は、図3(e)工程における
図4(a)のII−II線に沿った概略断面図である。
【図5】本発明の実施例において、機能フィルムのベー
ス材として用いたPETフィルムの分光透過率を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1…パネル(パネルガラス),2…ファンネル,3…ネ
ック管,4…電子銃,5…色識別マスク,6…蛍光面,
7…磁気シールド,8…電子ビーム,9…テンションバ
ンド,9a…アース線,10…取付耳部,11…機能フ
ィルム,12…紫外線硬化樹脂,12a…気密層,12
b…表面露出部,13…導電テープ,14…防汚膜,1
5…反射防止膜,16…透明導電膜,17…ハードコー
ト層,18…プラスチックフィルム基板,20…防爆バ
ンド装着後のCRT,21…加圧ロール。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パネルガラスの表面に、紫外線硬化樹脂
    を介在させて光透過性の機能フィルムを貼る工程と、 その後、表面から紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬
    化させて機能フィルムをパネルガラス表面に接着する紫
    外線照射工程とを有する陰極線管の製造方法において、 前記紫外線照射工程では、前記機能フィルム下の紫外線
    硬化樹脂の気密層の他に、該機能フィルムの縁部からは
    み出した紫外線硬化樹脂の表面露出部をも硬化するため
    に、所定条件の紫外線の照射を、単独で、或いは上記気
    密層と表面露出部とをそれぞれ硬化可能に複数回に分け
    て行うことを特徴とする陰極線管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記表面露出部を硬化する紫外線の照度
    は、365nmの紫外線が800mJ/cm2 以上、2
    54nmの紫外線が200mJ/cm2 以上必要であ
    り、前記紫外線照射工程では、これら2種類の紫外線の
    照射を、同時に、或いは分けて行う請求項1に記載の陰
    極線管の製造方法。
JP8545396A 1996-04-08 1996-04-08 陰極線管の製造方法 Pending JPH09274856A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014166952A (ja) * 2007-10-30 2014-09-11 Asahi Glass Co Ltd ガラス・樹脂複合体の製造方法
CN112825335A (zh) * 2019-11-21 2021-05-21 重庆神华薄膜太阳能科技有限公司 铜铟镓硒薄膜太阳能电池组件引流条贴合的方法

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