JPH09274848A - 電界放射型素子の製造方法 - Google Patents

電界放射型素子の製造方法

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JPH09274848A
JPH09274848A JP8181096A JP8181096A JPH09274848A JP H09274848 A JPH09274848 A JP H09274848A JP 8181096 A JP8181096 A JP 8181096A JP 8181096 A JP8181096 A JP 8181096A JP H09274848 A JPH09274848 A JP H09274848A
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emitter
film
electrode
stage
sacrificial film
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JP8181096A
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Atsuo Hattori
敦夫 服部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 先端部の頂角および曲率半径が小さい電界放
出陰極(エミッタ)を有する電界放射型素子の製造方法
を提供することを課題とする。 【解決手段】 断面形状が互いに対向する2パートから
なるオーバーハング部を基板に形成する工程と、2パー
トのオーバーハング部の上に断面形状が2パートからな
る第1の犠牲膜を形成する第1の形成工程と、第1の犠
牲膜よりも反応速度が遅い犠牲膜であって、2パートか
らなる第1の犠牲膜の上において下部を除いてまたは上
部に厚く下部には薄く、断面形状が2パートからなる第
2の犠牲膜を形成する第2の形成工程と、第1の犠牲膜
および第2の犠牲膜を化学反応させ、2パートからなる
オーバーハング部を互いに接触させる反応工程と、接触
した領域の上に電界放出陰極膜を堆積する工程と、電界
放出陰極膜の先端を露出させる電極露出工程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放射型素子の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電界放射型素子は、電界集中を利用し
て、先鋭なエミッタの先端から電子を放出させる素子で
ある。例えば、フラットパネルディスプレイは、多数の
エミッタを配列した電界放射エミッタアレイ(FEA)
を用いて構成できる。それぞれのエミッタは、ディスプ
レイの各画素を制御する。
【0003】図25(A)、(B)は、従来技術による
電界放射型素子の製造方法を説明する。図25(A)に
示すように、まず、垂直な側壁を持つ凹部を有する基板
101に、ステップカバレッジの良い堆積方法で犠牲膜
103を堆積する。当該凹部に堆積した犠牲膜103
は、上拡がりのテーパ形状を示す。この犠牲膜103を
成形型としエミッタ電極(陰極)膜105を堆積する。
その後、エミッタ下方の基板101、犠牲膜103を除
去すると先鋭な先端を持つエミッタ電極105ができ
る。しかし、凹部の形状や犠牲膜の堆積条件により、エ
ミッタ電極105の先端部Aの曲率半径が大きくなる
と、電界が集中しにくく、好ましくない。
【0004】図25(B)に示すように、ステップカバ
レッジの悪い堆積方法で犠牲膜103を厚く堆積する
と、犠牲膜103の側面同士が接触し、先端部の頂角が
比較的小さなエミッタ電極105を形成することができ
る。
【0005】しかし、この方法によれば、犠牲膜を厚く
することが必要であり、エミッタ電極105の先端部
は、基板101の凹部の底から上方向に離れた位置に成
形されてしまう。電界放出型素子として、エミッタ電極
の他にゲート電極を形成する際、一般的にゲート電極
は、図示しないが、基板101と犠牲膜103の境界付
近に形成される。図25(B)の方法により、エミッタ
電極105を形成すると、エミッタ電極とゲート電極と
の距離は離れてしまう。電界放出型素子の駆動電圧とし
て高電圧を必要とし、好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】エミッタ電極の先端の
曲率半径が大きいと、電界が集中しにくく、電界放射型
素子としての性能は低下する。また、エミッタ電極とゲ
ート電極の相対位置が電界放射型素子の性能に多大な影
響を与える。
【0007】本発明の目的は、先端部の頂角および曲率
半径が小さい電界放出陰極(エミッタ)を有する電界放
射型素子の製造方法を提供することである。本発明の他
の目的は、先端部の位置を精度よく決めることができる
電界放出陰極を有する電界放射型素子の製造方法を提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電界放射型素子
の製造方法は、断面形状が互いに対向する2パートから
なるオーバーハング部を基板に形成する工程と、前記2
パートのオーバーハング部の上に断面形状が2パートか
らなる第1の犠牲膜を堆積する第1の堆積工程と、前記
第1の犠牲膜よりも反応速度が遅い犠牲膜であって、前
記2パートからなる第1の犠牲膜の上において下部を除
いてまたは上部に厚く下部には薄く、断面形状が2パー
トからなる第2の犠牲膜を形成する第2の形成工程と、
前記第1の犠牲膜および前記第2の犠牲膜を化学反応さ
せ、2パートからなるオーバーハング部を互いに接触さ
せる反応工程と、前記接触した領域の上に電界放出陰極
膜を堆積する工程と、前記電界放出陰極膜の先端を露出
させる電極露出工程とを含む。
【0009】反応速度が異なる第1の犠牲膜と第2の犠
牲膜を、断面形状が2パートからなるオーバーハング部
の上に堆積した後化学反応させると、第2の犠牲膜がな
い部分または薄い部分において第1の犠牲膜が大きく堆
積膨張する。また、第1の犠牲膜と第2の犠牲膜のうち
反応速度が速い第1の犠牲膜の方が大きく体積膨張す
る。2パートからなるオーバーハング部は、体積膨張に
より相互の側面が接触しつながる。その接触部には、2
つの円ないし楕円が接触したかのように鋭い谷ができ
る。その谷を成形型として用いれば、先端の頂角および
曲率半径が小さい電界放出陰極を製造することができ
る。
【0010】また、本発明の2電極構造を有する電界放
射型素子の製造方法は、上記の製造方法において、前記
反応工程は、第1の犠牲膜の一部のみを化学反応させる
工程であり、該第1の犠牲膜のうち化学反応しない部分
が半導体または導電体からなるゲート電極であり、前記
電界放出陰極膜は導電体からなるエミッタ電極であり、
前記電極露出工程は、前記エミッタ電極の先端および前
記ゲート電極の先端を露出させる工程である。
【0011】2パートからなるオーバーハング部の上に
第1の犠牲膜を形成する工程と、さらに第2の犠牲膜を
形成する工程と、第1の犠牲膜および第2の犠牲膜を化
学反応させる工程の各プロセス条件を組み合わせること
により、エミッタ電極とゲート電極の相対位置を精度よ
く決めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1(A)〜(D)、図2(E)
〜(G)、図3(H)は、本発明の実施例による電界放
射型素子の製造工程を示す図である。以下、電界放射型
素子を構成するエミッタ(陰極)の製造工程を示す。
【0013】図1(A)に示すように、基板10は、出
発基板10aと、その上に積層される約140nmの積
層膜10bから構成される。例えば、出発基板10aは
Siからなり、積層膜10bはSiNx からなる。
【0014】積層膜10bは、SiNx の他、SiO2
でもよい。出発基板10aにAlを用いることもでき
る。その場合、積層膜10bは、AlNX またはAl2
3 等である。以下、SiとSiNx を用いる場合を例
にとって説明する。
【0015】図1(B)では、積層膜10bの上に所定
パターンのレジスト膜を形成し、当該レジストをマスク
として積層膜10bを選択的にエッチングし孔12をあ
け、断面形状が2パートからなる積層膜10cを形成す
る。エッチングは、SF6 系のエッチングガスを用い
て、RIEにより行う。孔12は、直径が約0.5μ
m、深さが約140nmである。
【0016】図1(C)では、積層膜10cをマスクと
して、HF+HNO3 +H2 Oを用いて、出発基板10
aをウェットエッチングし孔12aをあけ、基板10d
を形成する。孔12aは、直径が約1.5μmであり、
深さが約0.5μmである。孔12aを形成することに
より、積層膜10cの孔12周辺部は、庇状に張り出
す。断面で見ると、図1(C)に示すような2パートか
らなるオーバーハング部13ができる。以下、断面が2
パートである状態を単に「2パート」と表す。
【0017】図1(D)では、CVD法により、例えば
多結晶Siからなる第1の犠牲膜15aを2パートから
なる積層膜10c上に堆積する。同時に、開口部から孔
12a底部にも堆積が生じ、第1の犠牲膜15bが基板
10d上に堆積される。
【0018】第1の犠牲膜15a,15bは、多結晶S
iの他、非晶質Siでもよい。また、CVD法の他、ス
パッタ法を用いてもよい。例えば、DCスパッタ装置を
用いて、PまたはBを含む多結晶Siをターゲットとし
てスパッタすれば、非晶質Siの第1の犠牲膜15a,
15bを形成することができる。スパッタの条件は、例
えば、パワーが1kWであり、Arガス圧力が8mTo
rrである。
【0019】次に、図2(E)に示すように、例えばW
Six からなる第2の犠牲膜16a,16bを堆積す
る。第2の犠牲膜16aは、2パートからなる第1の犠
牲膜15aの上に異方的に堆積され、第1の犠牲膜15
aのうちオーバーハング部の裏の部分には堆積されない
かまたは薄く堆積される。第2の犠牲膜16bも、第1
の犠牲膜15bの上に堆積される。
【0020】なお、第2の犠牲膜16a,16bは、W
Six の他、TaSix 、MoSi x でもよい。ただ
し、第2の犠牲膜16a,16bは、第1の犠牲膜15
a,15bよりも酸化速度または窒化速度の遅い材料を
選択する必要がある。
【0021】図2(F)では、加湿(ウェット)酸化法
により酸化処理を行い、オーバーハング部の表面に反応
膜11aを、基板10dの上に反応膜11bを形成す
る。第1の犠牲膜15d,15eは、例えば多結晶Si
であり、図2(E)に示す第1の犠牲膜15a,15b
のうち酸化されずに残った部分である。第2の犠牲膜1
6c,16dは、例えばWSix であり、図2(E)に
示す第2の犠牲膜16a,16bのうち酸化されずに残
った部分である。
【0022】加湿酸化は、例えば縦型炉を用いて、炉内
温度を850℃とし、H2 ガスを30000cc/mi
n、O2 ガスを20000cc/min供給することに
より行う。反応膜11a,11bは、SiO2 である。
【0023】図2(E)に示すオーバーハング部におい
て、上部は第2の犠牲膜16aが厚く堆積され、下部は
第2の犠牲膜16aが堆積されないまたは薄く堆積され
る。酸化処理を行うと、オーバーハング部において第1
の犠牲膜15aが露出している箇所または第2の犠牲膜
が薄く堆積されている箇所ほど第1の犠牲膜の酸化が早
く始まる。同時に酸化が進行する場合、第1の犠牲膜の
方が第2の犠牲膜より酸化速度が速い。これは、例えば
多結晶Siからなる第1の犠牲膜15aの酸化速度が、
例えばWSix からなる第2の犠牲膜16aの酸化速度
よりも速いからである。
【0024】その結果、図2(F)に示すように、オー
バーハング部のうち上部よりも下部の方が大きく体積膨
張し、2パートからなるオーバーハング部の側面が相互
につながる。
【0025】オーバーハング部の上部と下部とで酸化の
反応速度が異なるので、2パートが接触した部分にでき
る谷は2段のカーブで形成され、鋭角の谷を形成するこ
とができる。当該接触部は、2つの円ないし楕円が接触
したかのように鋭い鋭角を持つ。この鋭角を成形型とし
て、以下2段タイプのエミッタ電極を形成する。
【0026】図2(G)では、反応膜11aの上に、例
えばTiNからなるエミッタ電極17を約0.2μm反
応性スパッタ法で堆積する。反応スパッタの条件は、例
えば、DCスパッタ装置を用いて、パワーを5kW、圧
力を4mTorr、ターゲットをTiとし、N2 ガスを
84sccm、Arガスを56sccm供給する。な
お、エミッタ電極17は、TiNの他、Mo、Cr、T
i、Wでもよい。スパッタ法の他、CVD法、蒸着法を
用いても良い。
【0027】図3(H)では、基板10dをHF+HN
3 +H2 Oでウェットエッチングする。その後、反応
膜11aをHF+NH4 Fでウェットエッチングし、エ
ミッタ電極17を露出させる。
【0028】本実施例によれば、2段タイプのエミッタ
電極17を形成することができる。2段タイプのエミッ
タ電極は、図25(A)、(B)に示す1段タイプのエ
ミッタ電極よりも、先端の頂角及び曲率半径が小さな成
形型であっても、容易にエミッタ材料を充填できるた
め、エミッタ電極とゲート電極の相対位置を精度良く決
めることができ、エミッタ先端の頂角および曲率半径を
小さくすることが容易である。エミッタ電極の先端の頂
角および曲率半径を小さくすれば、エミッタ電極に電界
を集中させやすく、電界放射型素子としての性能及び均
一性、再現性を向上させることができる。
【0029】1段タイプのエミッタ電極の成形型は、エ
ミッタ電極の根元から先端に向けて徐々にエミッタ領域
が狭まって行くので、領域の狭まったエミッタ電極の先
端にまで奥深くエミッタ材料を充填(成膜)するのは容
易でない。それに対し、2段タイプのエミッタ電極の成
形型は、2段の曲線で形成されるため、1段タイプのよ
うに1段目の曲線を延長して徐々に先端を絞る形状に比
べ、先端形状を形成する2段目と1段目の境界部分に広
い開口領域が設けられ、先端にまでエミッタ電極を充填
しやすい。2段タイプのエミッタ電極は、先端が欠けに
くく、成形型の形状を再現性良く形成できる。
【0030】図4(A)〜(C)は、エミッタ電極17
を支持基板18で補強する方法を3種類示す。エミッタ
電極17は、膜厚が約0.2μmと薄いので、支持基板
18でエミッタ電極17を補強することが望ましい。
【0031】図4(A)は、第1の方法を示す。上記に
より製造されたエミッタ電極17の凹部を、例えばSO
G膜からなる平坦化膜19aで埋める。その後、平坦化
膜19aをCMP法でエッチバックし、エミッタ電極1
7の表面を平坦化する。平坦化膜19aは、SOG膜の
他、PSGやBPSGをリフローして形成してもよい。
【0032】続いて、エミッタ電極17の上に支持基板
18を接着する。支持基板18は、例えば、ガラス、石
英またはAl2 3 である。図4(B)は、第2の方法
を示す。エミッタ電極17の上に、例えば低融点ガラス
からなる接着剤19bをリフローし、エミッタ電極17
と支持基板18を接着する。接着剤19bは、エミッタ
電極17の表面を平坦化する役目も有する。
【0033】接着剤19bは、低融点ガラスの他、Al
を用いてもよい。その場合、温度400〜500℃を保
ち、1kVの高電圧をかけ、静電気力によりエミッタ電
極17と支持基板18を陽極接合してもよい。接着剤1
9bにAlを用いれば、接着剤19bをエミッタ配線と
して用いることもできる。
【0034】図4(C)は、第3の方法を示す。エミッ
タ電極17の凹部を、例えばWからなる平坦化膜19a
で埋める。この場合、エミッタ電極17であるTiNの
膜厚を0.1〜0.05μmと薄くすることにより、エ
ミッタ先端のボイド発生を低減することができる。Ti
NはWをCVDする際の密着層であり、エミッタの強度
はWで補強するため薄くすることができる。その後、平
坦化膜19aをエッチバックし、エミッタ電極17の表
面を平坦化する。続いて、エミッタ電極17の上に、例
えばAlからなる接着剤層19bを、さらにその上に支
持基板18を接着する。
【0035】なお、本実施例では、エミッタ電極の形状
を決める上で、図2(E)に示した第2の犠牲膜16a
の生成工程が重要である。以下の方法により、第2の犠
牲膜16aを生成してもよい。
【0036】図5(A)、(B)は、第2の犠牲膜を形
成する他の方法を示す図である。図5(A)に示すよう
に、図1(D)の工程の後、プラズマCVD法等により
第2の犠牲膜16g,16hを厚めに堆積する。ただ
し、第2の犠牲膜16gは、2パートを保つようにす
る。
【0037】次に、図5(B)に示すように、等方ウェ
ットエッチングにより、第2の犠牲膜16aの厚さを所
望の厚さに修正する。等方エッチングで所定の厚さのエ
ッチングを行い、オーバーハング部の裏面に残る第2の
犠牲膜16aの厚さを所望の値まで薄くすることができ
る。オーバーハング部の表面は厚いままである。その後
は、前述に示した図2(F)から続く工程を続ければよ
い。
【0038】図2(F)においては、加湿酸化法により
反応膜11a,11bを形成する場合について説明し
た。加湿酸化法の他、窒化法によって、SiNx からな
る反応膜11a,11bを形成してもよい。
【0039】窒化の条件は、例えば温度を1050℃、
RFパワーを10kW、圧力を130Paとし、NH3
を1slmで供給する。以上は、エミッタ電極の製造工
程を示した。次に、電界放射型素子の他の例として、2
極管の製造工程を示す。ここで、2極管とは、エミッタ
とゲートの2電極の構造である。
【0040】図6は、2極管の製造工程を示す図であ
る。まず、上記の工程に従い、図2(G)に示す素子を
製造する。その後、基板10dの全部と下側から反応膜
11aの一部をエッチングし除去する。反応膜11aの
一部を除去し、図6に示す反応膜11cを残すことによ
り、エミッタ電極17の先端を露出させる。
【0041】第1の犠牲膜15dおよび第2の犠牲膜1
6cを導電性の多結晶Siまたは非晶質Siで形成して
おくと、第1の犠牲膜15dと第2の犠牲膜16cがゲ
ート電極を構成できる。2極管は、エミッタ電極17と
ゲート電極15d,16cの2電極を有する。反応膜1
1cは、エミッタ電極17とゲート電極15d,16c
を電気的に絶縁する。なお、積層膜10cは、エッチン
グにより除去してもよい。
【0042】2極管の場合は、エミッタ電極17とゲー
ト電極15d,16cの相対位置が重要である。エミッ
タ電極17とゲート電極15d,16cとの距離は、原
則として小さい方がよい。すなわち、2パートのゲート
電極15d,16cを相互に結ぶ直線近傍上にエミッタ
電極17の先端を形成することが望ましい。
【0043】図7(A)は、ゲート電極15dとエミッ
タ電極17の相対位置を表す概略図である。ただし、図
6とは上下方向が逆である。距離Zgeは、エミッタ電
極17での電子放出により電子が飛ぶ方向に沿っての、
ゲート電極15dからエミッタ電極17までの距離であ
る。
【0044】図7(B)は、図7(A)においてゲート
電極15dの膜厚tdを0.4μmとしたときの最適な
距離Zgeを示すグラフである。横軸は、距離Zgeを
示し、縦軸はエミッタ電極17の先端の最大電界強度E
maxを示す。
【0045】このグラフは、エミッタ電極とゲート電極
の距離Zgeを−0.35μmから0.25μmまで変
化させたときのエミッタ電極の最大電界強度Emaxの
変化を示す。最大電界強度Emaxが大きいほど電界集
中しやすいので、電界放射型素子としての性能は向上す
る。距離Zgeが−0.1μmのとき、最大電界強度E
maxが極大値1.16×107 V/cmになる。つま
り、エミッタ電極17の先端は、ゲート電極の中心位置
よりも、図7(A)において少し上の位置(図6におい
ては下の位置)になるのが最適である。
【0046】なお、図1(D)では、積層膜10cの上
に第1の犠牲膜15aを異方的に堆積する場合について
説明したが、等方的に堆積してもよい。ただし、異方的
な堆積を行えば、ゲート電極の孔(ゲートホール)の直
径を小さくでき、電気的特性を向上させることができ
る。
【0047】例えば、図6の2極管は、ゲート電極(第
1の犠牲膜)の膜厚を厚くすると、ゲートホールの直径
を小さくすることができる。ゲート電極(第1の犠牲
膜)の膜厚を厚くするには、第1の犠牲膜15aをより
異方的に堆積すればよい。第1の犠牲膜15aを異方的
に堆積することにより、ゲートホールの直径を小さくす
ることができる。その結果、ゲート−エミッタ間の電圧
を低くしても、エミッタから電子放出させることができ
る。後に示す3極管の場合も同様な効果がある。
【0048】また、等方的に堆積すると、オーバーハン
グ部に堆積される第1の犠牲膜15aと基板10d上に
堆積される第1の犠牲膜15bが一体化しやすく、2パ
ートからなる第1の犠牲膜15aを形成しにくい。
【0049】本実施例によれば、反応速度の異なる第1
の犠牲膜と第2の犠牲膜を形成した後、酸化または窒化
させ体積膨張させることにより、以下の理由により、エ
ミッタ電極17の先端位置を精度よく制御することがで
きる。
【0050】CVD法により形成される膜は、ほぼ時間
に比例して厚くなる。それに対し、酸化等の化学反応に
より形成される膜は、ほぼ時間の平方根に比例して厚く
なる。すなわち、時間の経過と共に膜厚が飽和する傾向
を持つ。酸化等によれば、時間が経過するほど細かな膜
厚の制御が可能になり、エミッタ電極の先端位置を精度
よく制御することができる。また、酸化の方がCVD法
よりも、均一性のよい膜を形成することができる。
【0051】2極管は、エミッタ電極17を陰極とし、
ゲート電極15d,16cを制御電極とする。エミッタ
電極17の先端を適した位置に形成すれば、ゲート電極
に印加する制御電圧を低くしても、エミッタ電極17の
先端から容易に電子を放出させることができる。
【0052】さらに、前述のように、本実施例によれ
ば、2段タイプのエミッタ電極17を形成でき、先端の
頂角及び曲率半径が小さな成形型であっても、容易にエ
ミッタ材料を充填できるため、エミッタ電極とゲート電
極の相対位置を精度良く決めることができ、エミッタ電
極の先端の頂角および曲率半径を小さくすることができ
るので、電界放射型素子としての性能及び均一性、再現
性は向上する。
【0053】図8(A)〜(C)は、上記の2極管を支
持基板18で補強する方法を3種類示す。図8(A)
は、第1の方法を示す。エミッタ電極17の凹部を、例
えばSOG膜、PSG膜またはBPSG膜からなる平坦
化膜19aで埋め、CMP法でエッチバックし、エミッ
タ電極17の表面を平坦化する。続いて、エミッタ電極
17の上に支持基板18を接着する。支持基板18は、
例えば、ガラス、石英またはAl2 3 である。
【0054】図8(B)は、第2の方法を示す。エミッ
タ電極17の上に、例えば低融点ガラスからなる接着剤
層19bをリフローし、エミッタ電極17の表面を平坦
化すると共に、エミッタ電極17と支持基板18を接着
する。接着剤層19bにAlを用いて、エミッタ電極1
7と支持基板18を陽極接合してもよい。
【0055】図8(C)は、第3の方法を示す。エミッ
タ電極17の凹部を、例えばWからなる平坦化膜19a
で埋める。その後、平坦化膜19aをエッチバックし、
エミッタ電極17の表面を平坦化する。続いて、エミッ
タ電極17の上に例えばAlからなる接着剤19bを、
さらにその上に支持基板18を接着する。
【0056】以上は、2極管の製造工程を示した。次
に、電界放射型素子の他の例として、3極管の製造工程
を示す。図9(A)、(B)は、3極管の製造工程を示
す図である。まず、前述の工程に従い、図2(G)に示
す素子を製造する。
【0057】その後、図9(A)に示すように、エミッ
タ電極17の上に所定パターンのレジスト膜を形成し
(図示せず)、当該レジスト膜をマスクとし、Cl2
のエッチャントを用いてRIE(reactive ion etchin
g)を行い、エミッタ電極17aの両側にスリット開口
20を作る。エミッタ電極17bは、スリット開口20
の外側のエミッタ電極である。
【0058】エミッタ電極17aの直径は、約0.3μ
mである。スリット開口20の深さは、約0.2μmで
ある。図9(B)では、スリット開口20から反応膜1
1aの一部と、基板10d上の膜11b,15d,16
dをウェットエッチングにより除去する。例えば、Si
2 からなる反応膜11a,11bをウェットエッチン
グするには、HF+NH4 Fを用いればよい。
【0059】反応膜11aの一部をエッチングにより除
去し、反応膜11cを残すことにより、エミッタ電極1
7a、ゲート電極15d,16cおよびアノード電極1
0dを露出させることができる。ゲート電極は、例えば
多結晶Siからなる第1のゲート電極15dと、例えば
WSix からなる第2のゲート電極16cからなる。
【0060】図10は、3極管の斜視図である。エミッ
タ電極17aは、エミッタ電極17bに接続され支持さ
れる。ゲート電極15d,16cは、エミッタ電極17
aの先端付近に円形の孔を有する。エミッタ電極17a
は、ゲート電極15d,16cの孔付近で針状に尖って
いる。
【0061】図11(A)は、図10の3極管の上下方
向を逆にした図であり、基板10dを透かしゲート電極
15dの孔(ゲートホール)を通して2段タイプのエミ
ッタ電極17aを見た図である。エミッタ電極17aの
先端は針状に尖っている。なお、エミッタ電極17aの
先端は、その他の形状に形成することもできる。
【0062】図11(B)は、基板の積層膜の開口を細
長くし、ゲート電極15dに細長いゲートホールをあけ
た場合の3極管の外観を示す。エミッタ電極17aは、
ゲートホールの長さ方向に沿った頂をもつ山の形状にな
る。
【0063】図10において、3極管は、陰極であるエ
ミッタ電極17aと陽極であるアノード電極10dを有
し、ゲート電極15d,16cに正電位を印加すること
により、エミッタ電極17aからアノード電極10dに
向けて電子を放出させることができる。
【0064】先端の頂角及び曲率半径が小さな成形型で
あっても、容易にエミッタ材料を充填できるため、3極
管の場合も、エミッタ電極17aの先端の頂角および曲
率半径を小さくすることができる。そして、エミッタ電
極17aとゲート電極15d,16cの相対位置を精度
よく制御することができる。エミッタ先端の強度も確保
できる。
【0065】以上は、積層膜10cを例えばSiNx
絶縁体で形成する場合について説明した。次に、積層膜
10cを導電体で形成する場合について説明する。図1
2(A)は、他の3極管の例を示す図である。積層膜
(第3のゲート電極)10gは、Au,Pt,Pd,A
g等の導電体で形成される。アノード電極10eと積層
膜10gの間には、SiO2 またはSiNx 等からなる
絶縁膜10fが形成される。以下、製造工程を示す。
【0066】図1(A)では、出発基板10aの上に絶
縁体で構成される積層膜10bを積層した基板10を用
いた。図12(A)に示す3極管の場合は、例えば、S
iからなる基板10eの上に、SiO2 等からなる絶縁
膜10fと導電体からなる積層膜10gを積層する。そ
の後は、前述と同様の工程を行えば、図12(A)に示
す3極管を製造することができる。
【0067】積層膜10gを導電体とすることにより、
第3のゲート電極10gと第1のゲート電極15dと第
2のゲート電極16cを積層して低抵抗のゲート電極を
形成することができる。ゲート電極10g,15d,1
6cとアノード電極10eとは、絶縁膜10fで電気的
に絶縁されている。
【0068】図12(B)は、図12(A)の3極管に
おいて、導電体からなる積層膜10gの代わりに、絶縁
体からなる積層膜10cを用いたものである。積層膜1
0cは、SiNx 、SiO2 、AlNx 、Al2 3
である。ゲート電極15d,16cとアノード電極10
eは、絶縁膜10cと10fにより絶縁される。
【0069】図12(C)は、図12(B)の3極管に
おいて、アノード電極10eの上にアノード電極15
e,16dが付加されたものである。アノード電極15
dは、第1のゲート電極15dを成膜する際に、厚めに
成膜することにより残ったものであり、例えば多結晶S
iで形成される。アノード電極16dは、第2のゲート
電極16cを成膜する際に、厚めに成膜することにより
残ったものであり、例えばWSix で形成される。
【0070】次に、本実施例により製造される多段(2
段)タイプのエミッタ電極の形状を、1段タイプのエミ
ッタ電極の形状との比較において説明する。1段タイプ
のエミッタ電極は、例えば図25(A)、(B)に示す
エミッタ電極である。
【0071】図13(A)、(B)は、高さによる多段
(2段)タイプエミッタの第1の定義を示す。図13
(A)は、1段タイプのエミッタ形状を示す。1段タイ
プエミッタは、1段のカーブにより形成され、その高さ
をH0で表すことができる。
【0072】図13(B)は、多段(2段)タイプのエ
ミッタ形状を示す。多段(2段)タイプエミッタは、曲
率の異なる2段のカーブにより形成され、その高さをH
1とする。仮に、1段目のカーブにより1段タイプエミ
ッタを形成するとすると、図13(A)のエミッタと同
じく、高さがH0となる。
【0073】1段目のカーブが半径H0の真円を1/4
にした円弧からなる場合を考える。エミッタのアスペク
ト比は、高さ(根元から先端までの長さ)/底辺の長さ
(根元の太さを示す直径)で表される。1段タイプエミ
ッタ(図13(A))は、高さがH0であり、底辺の長
さが2×H0であるので、アスペクト比はH0/(2×
H0)=0.5になる。2段タイプエミッタは、アスペ
クト比が1段タイプエミッタより小さく、以下の定義で
表すことができる。
【0074】 H1 < H0 ・・・(1) ただし、電界放射型素子の特性に着目し、ゲート−エミ
ッタ間に低電圧を印加し、エミッタから電子を放出させ
るためには、H1がH0に近いことが好ましい。
【0075】1段目のカーブが半径H0の真円を1/4
にした円弧からなる場合を考える。エミッタのアスペク
ト比を0.25にするためには、底辺の長さが2×H0
のとき、高さH1=0.5×H0にする必要がある。
【0076】そこで、より好ましくは、以下の定義で表
すことができる。 H0 > H1 > 0.5×H0 ・・・(2) さらに、エミッタの先端位置を精度良く制御すること、
および成形型の奥深くまでエミッタ材料を充填すること
をも考慮すれば、H1が長すぎないことが好ましい。
【0077】1段目のカーブが半径H0の真円を1/4
にした円弧からなる場合を考える。エミッタのアスペク
ト比を0.475にするためには、底辺の長さが2×H
0のとき、高さH1=0.95×H0にする必要があ
る。
【0078】したがって、さらに、より好ましくは、以
下の定義で表すことができる。 0.5×H0 < H1 < 0.95×H0 ・・・(3) 図14(A)、(B)は、高さによる多段(2段)タイ
プエミッタの第2の定義を示す。
【0079】図14(A)は、1段タイプのエミッタ形
状を示す。1段タイプエミッタは、1段の直線により形
成され、その高さをH0で表すことができる。図14
(B)は、多段(2段)タイプのエミッタ形状を示す。
多段(2段)タイプエミッタは、傾きの異なる2段の直
線により形成され、その高さをH1とする。仮に、1段
目の直線により1段タイプエミッタを形成するとする
と、図14(A)のエミッタと同じく、高さがH0とな
る。
【0080】この時、2段タイプエミッタは、高さH1
と高さH0を用いて、上記(1)、(2)、(3)式の
定義と同じ定義で表される。図15(A)、(B)は、
高さによる多段(2段)タイプエミッタの第3の定義を
示す。
【0081】図15(A)は、1段タイプのエミッタ形
状を示す。1段タイプエミッタは、1段の直線により形
成され、その高さをH0で表すことができる。図15
(B)は、多段(2段)タイプのエミッタ形状を示す。
多段(2段)タイプエミッタは、傾きの異なる2段の直
線により形成され、その高さをH1とする。ただし、1
段目の直線は互いにほぼ平行である。仮に、2段目の直
線により1段タイプエミッタを形成するとすると、図1
5(A)のエミッタと同じく、高さがH0となる。
【0082】この時、2段タイプエミッタは、高さH1
と高さH0を用いて、上記(1)、(2)、(3)式の
定義と同じ定義で表される。このエミッタ電極は、前述
の製造工程により多段(2段)タイプエミッタを製造し
た後に、エミッタの一部をエッチングにより除去し、1
段目の直線を形成する。この形状を持つエミッタ電極を
用いれば、エミッタ電極の集積度を上げ、エミッタ先端
の最大電界強度を大きくすることができる。
【0083】図16(A)、(B)は、頂角による多段
(2段)タイプエミッタの第1の定義を示す。図16
(A)は、1段タイプのエミッタ形状を示す。1段タイ
プエミッタは、1段のカーブにより形成され、その頂角
をA0で表すことができる。
【0084】図16(B)は、多段(2段)タイプのエ
ミッタ形状を示す。多段(2段)タイプエミッタは、曲
率の異なる2段のカーブにより形成され、その頂角をA
1とする。仮に、1段目のカーブにより1段タイプエミ
ッタを形成するとすると、図16(A)のエミッタと同
じく、頂角がA0となる。
【0085】この時、2段タイプエミッタは、以下の定
義で表すことができる。 A1 > A0 ・・・(4) ただし、電界放射型素子の特性に着目し、ゲート−エミ
ッタ間に低電圧を印加し、エミッタから電子を放出させ
るためには、A1がA0に近いことが好ましい。
【0086】そこで、より好ましくは、以下の定義で表
すことができる。 A0 < A1 < 1.1×A0 ・・・(5) さらに、エミッタの先端位置を精度良く制御すること、
および成形型の奥深くまでエミッタ材料を充填すること
をも考慮すれば、A1が小さすぎないことが好ましい。
【0087】したがって、さらに、より好ましくは、以
下の定義で表すことができる。 1.05×A0 < A1 < 1.1×A0 ・・・(6) 図17(A)、(B)は、頂角による多段(2段)タイ
プエミッタの第2の定義を示す。
【0088】図17(A)は、1段タイプのエミッタ形
状を示す。1段タイプエミッタは、1段の直線により形
成され、その頂角をA0で表すことができる。図17
(B)は、多段(2段)タイプのエミッタ形状を示す。
多段(2段)タイプエミッタは、傾きの異なる2段の直
線により形成され、その頂角をA1とする。仮に、1段
目の直線により1段タイプエミッタを形成するとする
と、図17(A)のエミッタと同じく、頂角がA0とな
る。
【0089】この時、2段タイプエミッタは、頂角A1
と頂角A0を用いて、上記(4)、(5)、(6)式の
定義と同じ定義で表される。図18(A)、(B)は、
頂角による多段(2段)タイプエミッタの第3の定義を
示す。
【0090】図18(A)は、1段タイプのエミッタ形
状を示す。1段タイプエミッタは、1段の直線により形
成され、その頂角をA0で表すことができる。図18
(B)は、多段(2段)タイプのエミッタ形状を示す。
多段(2段)タイプエミッタは、傾きの異なる2段の直
線により形成される。ただし、1段目の直線は互いにほ
ぼ平行である。
【0091】2段の直線により形成される角の角度をA
1’とすると、2段タイプエミッタは、以下の定義で表
すことができる。 A1’ < 180° ・・・(7) 図19(A)、(B)は、断面積による多段(2段)タ
イプエミッタの第1の定義を示す。
【0092】図19(A)は、1段タイプのエミッタ形
状を示す。1段タイプエミッタは、1段のカーブにより
形成され、その断面積をS0で表すことができる。図1
9(B)は、多段(2段)タイプのエミッタ形状を示
す。多段(2段)タイプエミッタは、曲率の異なる2段
のカーブにより形成され、その断面積をS1とする。仮
に、1段目のカーブにより1段タイプエミッタを形成す
るとすると、図19(A)のエミッタと同じく、断面積
がS0となる。
【0093】1段目のカーブが半径H0の真円を1/4
にした円弧からなる場合を考える。エミッタのアスペク
ト比を0.5より小さくするためには、前述の式(1)
に対応し、2段タイプエミッタは、以下の定義で表すこ
とができる。
【0094】 S1 < S0 ・・・(8) ただし、電界放射型素子の特性に着目し、ゲート−エミ
ッタ間に低電圧を印加し、エミッタから電子を放出させ
るためには、S1がS0に近いことが好ましい。
【0095】1段目のカーブが半径H0の真円を1/4
にした円弧からなる場合を考える。エミッタのアスペク
ト比を0.25にするためには、前述の式(2)に対応
し、S1≒0.9×S0にする必要がある。
【0096】そこで、より好ましくは、以下の定義で表
すことができる。 S0 > S1 > 0.9×S0 ・・・(9) さらに、エミッタの先端位置を精度良く制御すること、
および成形型の奥深くまでエミッタ材料を充填すること
をも考慮すれば、S1が大きすぎないことが好ましい。
【0097】したがって、さらに、より好ましくは、以
下の定義で表すことができる。 0.95×S0 > S1 > 0.9×S0 ・・・(10) 図20(A)、(B)は、断面積による多段(2段)タ
イプエミッタの第2の定義を示す。
【0098】図20(A)は、1段タイプのエミッタ形
状を示す。1段タイプエミッタは、1段の直線により形
成され、その断面積をS0で表すことができる。図20
(B)は、多段(2段)タイプのエミッタ形状を示す。
多段(2段)タイプエミッタは、傾きの異なる2段の直
線により形成され、その断面積をS1とする。仮に、1
段目の直線により1段タイプエミッタを形成するとする
と、図20(A)のエミッタと同じく、断面積がS0と
なる。
【0099】この時、2段タイプエミッタは、断面積S
1と断面積S0を用いて、上記(8)、(9)、(1
0)式の定義と同じ定義で表される。図21(A)、
(B)は、断面積による多段(2段)タイプエミッタの
第3の定義を示す。
【0100】図21(A)は、1段タイプのエミッタ形
状を示す。1段タイプエミッタは、1段の直線により形
成され、その断面積をS0で表すことができる。図21
(B)は、多段(2段)タイプのエミッタ形状を示す。
多段(2段)タイプエミッタは、傾きの異なる2段の直
線により形成され、その断面積をS1とする。ただし、
1段目の直線は互いにほぼ平行である。仮に、2段目の
直線により1段タイプエミッタを形成するとすると、図
21(A)のエミッタと同じく、断面積がS0となる。
【0101】この時、2段タイプエミッタは、断面積S
1と断面積S0を用いて、上記(8)、(9)、(1
0)式の定義と同じ定義で表される。図22は、電界放
射型素子を用いたフラットパネルディスプレイの断面図
である。
【0102】電界放射型素子は、本実施例に示した方法
により製造されたエミッタ電極または2極管である。絶
縁体からなる支持基板41の上に、AlまたはCu等か
らなる配線層42と多結晶Si等からなる抵抗層43が
形成される。抵抗層43の上には、頂角および曲率半径
の小さい先端を持つエミッタ電極44が多数配列され、
電界放射エミッタアレイ(FEA)を形成する。ゲート
電極45は、各エミッタ電極44の先端付近に開口を有
し、開口ごとに独立して電圧を印加することができる。
複数のエミッタ電極44も、それぞれ独立して電圧を印
加することができる。
【0103】エミッタ電極44およびゲート電極45を
含む電子源に対向して、ガラスまたは石英等からなる透
明基板46を含む対向基板が配置される。対向基板は、
透明基板46の下にITO等からなる透明電極(アノー
ド電極)47が配置され、さらにその下に蛍光材48が
配置される。
【0104】電子源と対向基板とは、透明電極47とエ
ミッタ電極44の間の距離が0.1〜5mm程度に保た
れるように、接着剤を塗布したガラス基板からなるスペ
ーサ50を介して接合される。接着剤には、例えば低融
点ガラスが用いられる。
【0105】なお、スペーサ50としてガラス基板を用
いず、エポキシ樹脂等の接着剤中にガラスビーズ等を分
散させてスペーサ50を構成することもできる。ゲッタ
ー材51は、例えばTi、Al、Mg等で形成され、放
出ガスがエミッタ電極44の表面に再付着するのを防止
する。
【0106】対向基板には、予め排気管49が形成され
ている。排気管49を利用して、フラットパネルディス
プレイの内部を10-5〜10-9Torr程度まで真空排
気した後、バーナー等で排気管49を封止する。その
後、アノード電極(透明電極)47、エミッタ電極4
4、ゲート電極45の配線を行い、フラットパネルディ
スプレイを完成させる。
【0107】図23は、フラットパネルディスプレイの
斜視図である。ゲート電極45は、多数のゲートホール
53を有する。各ゲートホール53に対応して、エミッ
タ電極44が形成される。各エミッタ電極44の先端
は、絶縁膜54により仕切られている。エミッタ電極4
4から放出される電子は、真空である中空部52を介し
て蛍光材48に照射され発光する。
【0108】フラットパネルディスプレイは複数の画素
で構成される。1つの画素は、4つのエミッタで構成さ
れる電子源の領域PQRSと、それに対応する対向基板
の領域P’Q’R’S’で構成される。
【0109】エミッタ電極44の下に形成される抵抗層
43と配線層42は、画素(4つのエミッタ電極)毎に
平坦化層(絶縁膜)55で仕切られる。図24は、フラ
ットパネルディスプレイの電気回路を示す等価回路であ
る。フラットパネルディスプレイは、多数の2極管また
は3極管を含む電界放射エミッタアレイ(FEA)で構
成される。
【0110】2次元に配線されるエミッタ配線とゲート
配線の交点には、多数の3極管が配置される。各3極管
のアノード電極(透明基板)47は、常に正電位に保持
されている。各3極管は、エミッタ配線とゲート配線と
により2次元的に選択される。つまり、電圧が印加され
たエミッタ配線とゲート配線の交点に配置される3極管
が選択される。
【0111】選択された3極管のエミッタ電極およびゲ
ート電極には、それぞれ負電位および正電位が与えら
れ、エミッタ電極からアノード電極に向けて電子が放出
される。
【0112】本実施例では、2パートからなるオーバー
ハング部の上に、反応速度が異なる第1の犠牲膜と第2
の犠牲膜を堆積する。オーバーハング部において、上部
は第2の犠牲膜が露出し、下部は第1の犠牲膜が露出す
るまたは第2の犠牲膜が薄く堆積される。その後、化学
反応により体積膨張させると、第1の犠牲膜と第2の犠
牲膜の反応速度の相違から、オーバーハング部の下部の
方が上部よりも大きく体積膨張するので、多段(2段)
タイプのエミッタの成形型を形成することができる。こ
の成形型を用いれば、先端の頂角および曲率半径が小さ
い多段(2段)タイプのエミッタを作ることができる。
【0113】また、エミッタ電極とゲート電極の相対位
置を精度よく決めることができる。さらに、積層膜10
cのオーバーハング部の上にゲート電極を成膜すること
により、2パートのゲート電極の間の間隔(ゲート径)
を狭くできるので、ゲート電極に印加する制御電圧を低
くすることができ、電界放射型素子としての性能が向上
する。
【0114】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
反応速度が異なる第1の犠牲膜と第2の犠牲膜を、断面
形状が2パートからなるオーバーハング部の上に堆積し
た後化学反応させる。第2の犠牲膜はオーバーハング部
の下部で小さな厚さ(0を含む)を有するので、オーバ
ーハング部の下部において大きく体積膨張させて、相互
の側面を接触させることができる。その接触部には、2
つの円ないし楕円が接触したかのように鋭い谷ができ
る。その谷を成形型として用いれば、先端の頂角及び曲
率半径が小さな成形型であっても、容易にエミッタ材料
を充填できるため、先端の頂角および曲率半径が小さい
電界放出陰極を製造することができる。また、エミッタ
先端の強度も確保できる。
【0116】また、2極管を形成する際には、各プロセ
ス条件を組み合わせることにより、エミッタ電極とゲー
ト電極の相対位置を精度よく決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)〜(D)は、本発明の実施例によ
る電界放射型素子の製造工程を示す図である。
【図2】 図2(E)〜(G)は、図1(D)に続く電
界放射型素子の製造工程を示す図である。
【図3】 図3(H)は、図2(G)に続く電界放射型
素子の製造工程を示す図である。
【図4】 図4(A)〜(C)は、エミッタ電極を支持
基板で補強する方法を3種類示す図である。
【図5】 図5(A)、(B)は、第2の犠牲膜を形成
する他の方法を示す図である。
【図6】 本実施例による2極管構造の電界放射型素子
の製造工程を示す図である。
【図7】 図7(A)はエミッタ電極とゲート電極の相
対位置を表す概略図であり、図7(B)はエミッタ電極
とゲート電極との間の距離と、最大電界強度の関係を示
すグラフである。
【図8】 図8(A)〜(C)は、2極管を支持基板で
補強する方法を3種類示す図である。
【図9】 図9(A)、(B)は、本実施例による3極
管構造の電界放射型素子の製造工程を示す図である。
【図10】 本実施例による3極管の斜視図である。
【図11】 図10の3極管の上下方向を逆にした図で
ある。図11(A)は針状の先端をもつエミッタ電極を
示し、図11(B)はある1次元方向に長さをもつ頂の
山の形状をした先端をもつエミッタ電極を示す斜視図で
ある。
【図12】 図12(A)〜(C)は、本実施例による
他の3極管構造の電界放射型素子の製造工程を示す図で
ある。
【図13】 高さによるエミッタの第1の定義を示す。
図13(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図であ
り、図13(B)は多段(2段)タイプエミッタの形状
を示す図である。
【図14】 高さによるエミッタの第2の定義を示す。
図14(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図であ
り、図14(B)は多段(2段)タイプエミッタの形状
を示す図である。
【図15】 高さによるエミッタの第3の定義を示す。
図15(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図であ
り、図15(B)は多段(2段)タイプエミッタの形状
を示す図である。
【図16】 頂角によるエミッタの第1の定義を示す。
図16(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図であ
り、図16(B)は多段(2段)タイプエミッタの形状
を示す図である。
【図17】 頂角によるエミッタの第2の定義を示す。
図17(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図であ
り、図17(B)は多段(2段)タイプエミッタの形状
を示す図である。
【図18】 頂角によるエミッタの第3の定義を示す。
図18(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図であ
り、図18(B)は多段(2段)タイプエミッタの形状
を示す図である。
【図19】 断面積によるエミッタの第1の定義を示
す。図19(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図
であり、図19(B)は多段(2段)タイプエミッタの
形状を示す図である。
【図20】 断面積によるエミッタの第2の定義を示
す。図20(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図
であり、図20(B)は多段(2段)タイプエミッタの
形状を示す図である。
【図21】 断面積によるエミッタの第3の定義を示
す。図21(A)は1段タイプエミッタの形状を示す図
であり、図21(B)は多段(2段)タイプエミッタの
形状を示す図である。
【図22】 電界放射型素子を用いたフラットパネルデ
ィスプレイの断面図である。
【図23】 電界放射型素子を用いたフラットパネルデ
ィスプレイの斜視図である。
【図24】 フラットパネルディスプレイの電気回路図
である。
【図25】 図25(A)、(B)は、従来技術による
電界放射型素子の断面図である。
【符号の説明】
10 基板、 11 反応膜、 12 孔、 1
3 オーバーハング部、 15 第1の犠牲膜、
16 第2の犠牲膜、 17 エミッタ電極、 1
8 支持基板、 19a 平坦化膜、 19b 接
着剤、 20スリット開口、 41 支持基板、 4
2 配線層、 43 抵抗層、44 エミッタ電極、
45 ゲート電極、 46 透明基板、 47
透明電極、 48 蛍光材、 49 排気管、
51 ゲーター材、52 中空部、 53 ゲートホ
ール、 54 絶縁膜、 55 平坦化層、 1
01 基板、 103 犠牲膜、 105 エミッ
タ電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面形状が互いに対向する2パートから
    なるオーバーハング部を基板に形成する工程と、 前記2パートのオーバーハング部の上に断面形状が2パ
    ートからなる第1の犠牲膜を形成する第1の形成工程
    と、 前記第1の犠牲膜よりも反応速度が遅い犠牲膜であっ
    て、前記2パートからなる第1の犠牲膜の上において下
    部を除いてまたは上部に厚く下部には薄く、断面形状が
    2パートからなる第2の犠牲膜を形成する第2の形成工
    程と、 前記第1の犠牲膜および前記第2の犠牲膜を化学反応さ
    せ、2パートからなるオーバーハング部を互いに接触さ
    せる反応工程と、 前記接触した領域の上に電界放出陰極膜を堆積する工程
    と、 前記電界放出陰極膜の先端を露出させる電極露出工程と
    を含む電界放射型素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の形成工程は、第2の犠牲膜を
    形成した後に該第2の犠牲膜を等方エッチングする工程
    を含む請求項1記載の電界放射型素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記反応工程は、第1の犠牲膜の一部の
    みを化学反応させる工程であり、該第1の犠牲膜のうち
    化学反応しない部分が半導体または導電体からなるゲー
    ト電極であり、 前記電界放出陰極膜は導電体からなるエミッタ電極であ
    り、 前記電極露出工程は、前記エミッタ電極の先端および前
    記ゲート電極の先端を露出させる工程であり、前記電界
    放射型素子が2電極構造を有する請求項1または2記載
    の電界放射型素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記反応工程は、第1の犠牲膜の一部の
    みを化学反応させる工程であり、該第1の犠牲膜のうち
    化学反応しない部分が半導体または導電体からなるゲー
    ト電極であり、 前記電界放出陰極膜は導電体からなるエミッタ電極であ
    り、 前記基板は、半導体または導電体からなるアノード電極
    であり、 前記電極露出工程は、前記エミッタ電極の先端および前
    記ゲート電極の先端および前記アノード電極を露出させ
    る工程であり、前記電界放射型素子が3極管構造を有す
    る請求項1または2記載の電界放射型素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 さらに、前記電界放出陰極膜を支持基板
    に固定する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の
    電界放射型素子の製造方法。
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