JPH09274405A - 強化型薄肉円筒構造体を用いる定着装置 - Google Patents

強化型薄肉円筒構造体を用いる定着装置

Info

Publication number
JPH09274405A
JPH09274405A JP15291396A JP15291396A JPH09274405A JP H09274405 A JPH09274405 A JP H09274405A JP 15291396 A JP15291396 A JP 15291396A JP 15291396 A JP15291396 A JP 15291396A JP H09274405 A JPH09274405 A JP H09274405A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylindrical structure
thin
roll
walled cylindrical
walled
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP15291396A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3312559B2 (ja
Inventor
Mitsuhiro Matsumoto
充博 松本
Yasuhiro Uehara
康博 上原
Yoshio Shoji
佳男 庄子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP15291396A priority Critical patent/JP3312559B2/ja
Publication of JPH09274405A publication Critical patent/JPH09274405A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3312559B2 publication Critical patent/JP3312559B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 円周部で外力を受ける薄肉の円筒構造体にお
いて、内部補強部材の脱落等の問題を発生させず、薄肉
化による円周方向のへこみを十分に防止した構造の薄肉
円筒構造体を用いた小型の高性能の定着装置を提供す
る。 【解決手段】 ヒータを内部に含む円筒構造体の定着ロ
ールと圧接する加圧ロールで形成される加圧領域に、未
定着トナー像を転写した記録紙を通過させて加熱定着す
る定着装置において、前記定着ロールとして、薄肉円筒
構造体の内部に少なくとも1つ以上の支持部材を圧入
し、当該支持部材の外周面の一部が前記円筒構造体の内
面に対し圧接状態で保持されている円筒構造体を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉円筒構造体を
用いる定着装置,当該定着装置に用いる薄肉円筒構造
体,およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真プロセスを利用した複写機にお
いては、記録シート上に形成された未定着トナー像を定
着して永久画像にする必要があり、その定着法として、
従来から、溶剤定着法,圧力定着法,及び加熱定着法が
知られている。
【0003】溶剤定着法は、溶剤の蒸気が発散し、臭気
や衛生上の問題が多いという欠点を有しており、また、
圧力定着法は、他の定着法と較べて定着性が悪く、か
つ、ここで用いる圧力感応性トナーが高価である欠点を
有している。このため、この2つの定着法は、共に広く
実用化されていないのが現状である。
【0004】したがって、電子写真プロセスを利用した
複写機における未定着トナー像の定着方法としては、加
熱によってトナーを溶融させ、未定着トナー像を記録シ
ート上に融着させる加熱定着法が広く用いられている。
【0005】図1は、加熱定着法による定着装置の概略
の構成を示す図である。図1に示すように、定着装置
は、円筒状芯金32の内部にヒータ31を備え、その外
周面に耐熱性樹脂被膜層あるいは耐熱性ゴム被膜層によ
る離型層33を形成した加熱ローラ30と、この加熱ロ
ーラ30に対し圧接して配置され、円筒状芯金41の外
周面に耐熱弾性体層42を形成した加圧ローラ40とで
構成される。未定着トナー像の定着処理は、加熱ローラ
30および加圧ローラ40の間に未定着トナー像44の
形成されたシート43を挿通させてトナー剤の添加物の
熱溶融による定着を行う。
【0006】加熱定着法による定着装置のような加熱ロ
ーラにより定着を行う加熱ローラ方式は、他の加熱定着
法の熱風定着方式やオーブン定着方式と較べると、熱効
率が高いため、低電力性(省エネルギー性),高速性の
点で優れ、しかも、紙詰まりによる火炎の危険性も少な
いことなどから現在最も広く利用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の加熱ローラ方式
の定着装置において、加熱ローラの表面温度を室温から
所定の設定温度まで上昇させるのに必要な時間(以下ウ
ォームアップタイムと言う)は、1分〜10分という長
い時間を必要とする。ウォームアップタイムは、加熱ロ
ーラの熱容量と投入電力の関係で決定されるので、加熱
ローラの熱容量が小さく、投入電力が大きければ、ウォ
ームアップタイムは短縮できる。しかし、加熱ローラの
熱容量はローラの剛性より限界があり、また、投入電力
は複写機の機械の消費電力からの制約により限界があ
る。
【0008】一般的に、定着専用に投入可能な電力は3
00W〜1000Wであり、この範囲の電力でウォーム
アップタイムを短縮するには、加熱ローラのロール熱容
量を小さくすることであり、この方法が最も有効であ
る。
【0009】ところで、定着装置に用いるローラ(円筒
体)のロール熱容量を小さくするため、ロール径やロー
ルコアの肉厚を減少していくと、これに伴い、ロール剛
性も小さくなってしまう。ちなみに、ロール熱容量は、
ロール径の2乗に比例するのに対し、ロール剛性はロー
ル径の4乗に比例する。ロール剛性が小さくなると、定
着ローラとして機能させるために必要なロールに加えら
れる荷重に対して、ロールは軸方向の変形(以下、たわ
みと言う)および円周方向の変形(以下、へこみと言
う)が生じる。このため、ロール径が所定値以下になる
と、急激にロール剛性が小さくなって、定着に必要な荷
重を得ることができない。
【0010】上述したような2種類の変形の中で、特
に、ロールのへこみが生じると、定着装置の持つ機能、
すなわち、加熱定着方式の定着プロセスの機能、具体的
には、加熱ローラとして、用紙を挟んで搬送する機能、
トナー層への均一な伝熱の機能などがまったく行われな
くなってしまい、定着装置としては機能しなくなる。こ
のため、ロールにへこみが生じないように、所定のロー
ル剛性が得られる厚さにしなければならない。
【0011】また、規定の定着性能を得るため、加熱ロ
ーラおよび圧接ローラのロール対におけるニップ部内の
圧力は、一般的には、0.5〜5.0kg/cm 程度の圧力が
必要とされる。これ以下の圧力では用紙やロール表面の
凹凸の存在による隙間を埋めることができず、粉体トナ
ーに効率良く熱を伝達することができなくなる。このた
め、定着後のトナー表面がまだらになってしまい画質が
低下してしまう。
【0012】このような定着に必要な圧力を得るための
両ロール間に与える総荷重は、20〜200kgに達する
ため、加熱ローラとして用いるロール(円筒体)は、こ
の荷重に耐えられる加熱ロールのロール剛性が必要とさ
れ、ロールの小径化および薄肉化には、自ずと限界があ
る。
【0013】これに対して、従来から、薄肉のロールの
へこみを防止するための技術が、様々に提案されてい
る。次に、これらのロールのへこみを防止する技術と、
このようなロールを定着装置に適用した場合における問
題点について検討する。
【0014】第1の方法として、例えば、実開昭59−
128665号公報、実公昭61−4926号公報,特
開昭61−59381号公報,特開平6−130845
号公報などで参照されるように、ロールの中にへこみを
防止するための補強部材を設け、ロールの自身の熱容量
を増加させずに、ロールの強度を増加させるものがあ
る。図2は、従来の定着ローラの構造の第1の例を説明
する断面図である。図2において、1はロールの支持部
材の内枠、2は内枠を支持する支持棒、3はロール(ス
リーブ)、4は熱絶縁体、5は加熱源のコイルヒータ、
6は離型層のオフセット防止層、7は支持軸である。
【0015】このような図2に示す構造の定着ローラで
は、定着ローラを構成するロール3に対する補強部材の
内枠1を支える支持棒2を必要とし、非常に大がかりな
内部補強構造の部材が必要となる。このため、装置の大
型化やコストアップが避けらない。その上、定着ロール
内に大きな部材を入れることにより、定着ロール全体と
しては、熱容量の増加が見込まれるため、ウォームアッ
プタイムの削減の観点からは好ましくないものとなる。
また、内枠1とロール3との接触部分を樹脂などの熱絶
縁体4で構成しなければならないため、金属と比較した
場合、熱膨張率が小さい材料であると、実際には、定着
ロール加熱時に内枠1の脱落等が生じるという不具合が
生じる虞れがある。
【0016】図3は、従来の定着ローラの構造の第2の
例を説明する断面図である。第2の方法として、図3に
示すように、ロール8の肉厚を軸方向で部分的に厚くし
て厚肉部分9を設けるものがある。また、この場合に、
その変形例として、軸方向で部分的に肉厚を厚くする厚
肉部分9に替えて、補強用のリブをつけるという構成も
ある。第2の方法の具体例は、例えば、実開昭56−7
949号公報,特開昭57−155571号公報などの
記載が参照できる。
【0017】また、第2の方法のような構造の定着用ロ
ーラでは、円筒構造体の内部において、軸方向で部分的
な偏肉厚加工を必要とするため、部分的な厚肉部分が軸
方向での熱容量のいわゆる大きな変化となり、定着用の
加熱ローラとしては、ローラを加熱する場合に、軸方向
での温度分布にむらが発生し、均一な定着性能を得るこ
とができないという問題がある。また、ロール製造時に
おいても、継ぎ目なし素管を作る際に、引き抜き加工法
を用いることができず、かえって高価になるという問題
点もある。
【0018】図4は、従来の定着ローラの構造の第3の
例を説明する断面図である。第3の方法として、薄肉円
筒体の剛性を高めるために、特開昭63−267952
号公報に記載されているように、円筒体の内部に中実の
パイプ状のものを挿入するものがある。この場合のロー
ル(円筒体)は、図4に示すように、感光体としての導
電性円筒部材10の両端部から、補強剛体部材11を圧
入し、導電性円筒部材10の剛性を高めたものとなって
いる。なお、ここでは、接触帯電導電性ゴムローラ12
が圧接ローラとして機能する。
【0019】この第3の方法では、実質的に、剛性の高
いロールとなっているが、補強剛体部材11が中実の部
材であるので、定着ローラとして用いる場合に、ロール
内部に熱発生機構を設けるようにはできず、加熱ローラ
タイプの熱ローラ型定着装置には、使用することができ
ない。また、熱発生機構をロール内部に持たない表面発
熱タイプ(ロール対タイプ)の定着装置に適用する場合
においても、内部への熱伝導による表面の昇温損失があ
るので、低電力性(省エネルギー性)の観点から好まし
くない。また、補強剛体部材11による重量の増大が見
込まれ、ロール剛性に関しては、ロールの肉厚を大きく
設計する場合と変わりなく、かえって別の部材を必要と
するので、コスト高を招くことになってしまう。また、
補強剛体部材11は熱容量の大きな部材であり、大熱容
量の部材がロール内部に設けられることになり、ウォー
ムアップタイムの削減の観点からも好ましくない。
【0020】図5は、従来の定着ローラの構造の第4の
例を説明する断面図である。第4の方法として、例え
ば、特開平1−126417号公報に記載されているよ
うに、ここでの薄肉円筒構造体は、薄肉の円筒状外筒の
内部に薄板で形成した内芯を内接させて固定するもので
ある。この構造は、その断面を図5に示すように、薄板
で形成した三角柱形状の内芯14を、円筒状の外筒13
の内部に内接させて固定する構造となっている。第4の
方法の構造では、熱定着装置の定着ロールとして用いる
場合に、内部に加熱源となる赤外線ランプの加熱装置を
配置することが困難となる。また、ロールの強度増加と
いう観点から見ると、ロール軸方向の剛性は増大する
が、薄肉化に伴うロール円周方向のへこみは、内芯14
が内接していない部分で十分に防止できるようにはなっ
ておらず、信頼性の観点から好ましくない。
【0021】本発明は、上記のような様々な問題に鑑み
てなされたものであり、本発明の目的は、円周部で外力
を受ける薄肉の円筒構造体において、内部補強部材の脱
落等の問題を発生させず、薄肉化による円周方向のへこ
みを十分に防止した構造の薄肉円筒構造体を用いた小型
の高性能の定着装置を提供することにある。また、本発
明の他の目的は、定着装置に用いる薄肉円筒構造体、お
よび当該薄肉円筒構造体の製造方法を提供することにあ
る。
【0022】また、本発明の別の目的は、定着装置の定
着ロールとして、薄肉円筒構造体の定着ロールを用い、
所定の強度を得るため薄肉円筒構造体の内周面において
支持部材を少なくとも1ヵ所以上配設し、または、偏肉
厚加工をすることで肉厚が一部で厚くなっている場合に
おいて、一部の厚肉部での定着ロール表面の局所的な温
度むらを防止し、厚肉部近傍での定着性能の不良等を防
止した定着装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するため、本発明の熱ローラ型定着装置は、第1の特徴
として、ヒータを内部に含む定着ロールと圧接する加圧
ロールで形成される加圧領域に、未定着トナー像を転写
した記録紙を通過させて加熱定着する定着装置におい
て、前記定着ロールとして、薄肉円筒構造体の内部に少
なくとも1つ以上の支持部材を圧入し、当該支持部材の
外周面の一部が前記薄肉円筒構造体の内面に対し圧接状
態で保持されている円筒構造体を用いることを特徴とす
る。
【0024】また、第2の特徴として、本発明による円
筒構造体は、円周部で外力を受ける薄肉円筒構造体にお
いて、前記薄肉円筒構造体の内部に少なくとも1つ以上
の支持部材を圧入し、当該支持部材の外周面の一部が前
記円筒構造体の内面に対し圧接状態で保持されているこ
とを特徴とする。
【0025】また、第3の特徴として、この円筒構造体
は、薄肉円筒構造体において、前記薄肉円筒構造体に前
記支持部材を少なくとも2個以上配設する場合、前記支
持部材間の距離をPとし、前記円筒構造体の長さをLと
し、前記円筒構造体の外径をDとし、前記円筒構造体の
肉厚をtとした時に、 L>200mm, t/D<0.02, P<150m
m の条件を満たすことを特徴とする。
【0026】また、第4の特徴として、ここでの薄肉円
筒構造体において、前記支持部材の形状がリング状であ
り、第5の特徴として、前記支持部材の軸方向断面にお
ける外周面形状の少なくとも一部が切り欠き状もしくは
突起状であることを特徴とする。また、第6の特徴とし
て、支持部材の半径方向断面における外周面形状の少な
くとも一部が切り欠き状もしくは突起状であることを特
徴とする。
【0027】また、第7の特徴として、円筒構造体の製
造方法においては、複数個の支持部材を薄肉円筒構造体
に配設する場合、各々の支持部材の内径を異ならせ、内
径の大きなものから順に配設することを特徴とする。ま
た、この場合において、第8の特徴として、前記支持部
材の中心軸と前記円筒構造体の中心軸を概ね同軸にし
て、前記支持部材を前記円筒構造体の所定位置に配置
し、その後前記円筒構造体を塑性変形し、前記円筒構造
体の内径を減少させることを特徴とする。
【0028】また、第9の特徴として、この円筒構造体
の製造方法において、複数個の支持部材を薄肉円筒構造
体に配設する場合、前記薄肉円筒構造体の内部に前記支
持部材を挿入する時に、前記支持部材の中心軸を前記薄
肉円筒構造体の中心軸と非平行とし、前記支持部材が前
記薄肉円筒構造体の所定位置に到達した後に、前記支持
部材の中心軸と前記薄肉円筒構造体の中心軸が概ね同軸
になるようにして配設することを特徴とする。
【0029】この場合において、第10の特徴として、
円筒構造体の製造方法では、薄肉円筒構造体または支持
部材の少なくとも一方を円周方向に変形させて、前記薄
肉円筒構造体の内部に前記支持部材を配設する。また、
第11の特徴として、薄肉円筒構造体の支持部材の形状
は、軸方向断面の内径において逆クラウン形状であるこ
とを特徴とする。
【0030】また、本発明の定着装置は、第12の特徴
として、ヒータを内部に含む定着ロールと圧接する加圧
ロールで形成される加圧領域に、未定着トナー像を転写
した記録紙を通過させて加熱定着する定着装置におい
て、定着ロール内に配設される支持部材は、熱膨張率が
前記定着ロールの熱膨張率よりも等しいかもしくは大き
いものであることを特徴とする。または、第13の特徴
として、定着ロール端部を塑性変形させることを特徴と
する。
【0031】この場合において、第14の特徴として、
支持部材を配設した後に所定の肉厚に外径加工した定着
ロールを用いることを特徴とする。また、第15の特徴
として、薄肉円筒構造体において、支持部材を配設した
後に所定の肉厚に外径加工したことを特徴とする。ま
た、第16の特徴として、本発明の定着装置において、
定着ロールの軸方向の弾性変形を補正する機構が付加さ
れていることを特徴とする。
【0032】本発明の定着装置は、第15の特徴とし
て、両端が軸支された定着ロールとそれに圧接する加圧
体の間で形成される圧接領域に、未定着トナー像を担持
した転写材を通過させて加熱定着する定着装置におい
て、前記定着ロールとして、薄肉円筒構造体の内周面に
おいて1ヵ所以上の厚肉部を有する薄肉円筒構造体を用
いる場合、前記薄肉円筒構造体の厚肉部の突出部の熱容
量をC1(cal/℃)とし、前記厚肉部の突出部を除くロ
ール部の熱容量C2(cal/℃)とするとき「(C1/C
2)<10」の条件を満たすことを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施する場合の形
態について、具体的に図面を参照して説明する。図6お
よび図7は、本発明の定着装置に用いる薄肉円筒構造体
の基本構造を説明する断面図である。図6および図7に
おいて、15は薄肉円筒構造体、16は支持部材であ
る。すなわち、本発明よる定着装置に用いる薄肉円筒構
造体の基本構造では、図6に示すように、支持部材16
が、薄肉円筒構造体15の内部に接触しかつ圧入される
ことにより、当該支持部材16の外周面の一部が前記薄
肉円筒構造体15の内面に対し圧接状態で保持される。
支持部材16は、薄肉円筒構造体15に少なくとも一つ
以上配設される。ここでは、支持部材16が圧入された
状態で保持されているため、円筒体の薄肉化に伴う、円
筒構造体の円周方向の剛性低下を大幅に改善される。
【0034】薄肉円筒構造体15に支持部材16を配設
する場合、より効果的に剛性を高めるために、支持部材
の個数を複数個とし、各々の支持部材16の間の距離
を、図7に示すように、へこみ防止効果が急激に現れる
範囲として、支持部材16の間の距離をPとし、薄肉円
筒構造体15の長さをLとし、円筒構造体の外径をDと
し、薄肉円筒構造体15の肉厚をtとした場合、 L>200mm, t/D<0.02, P<150m
m の条件を満たすようにする。
【0035】次に、薄肉円筒構造体15の内部に圧入さ
れた状態で配設する支持部材16の形状について説明す
る。図8は、支持部材の形状の第1の例を示す図であ
り、図9は、支持部材の形状の第2の例を示す図ある。
また、図10は、支持部材の形状の第3の例を示す図で
ある。
【0036】薄肉円筒構造体15の剛性を高めるため
に、内部に圧入された状態で配設する支持部材16は、
例えば、図8に示すように、その全体の形状が、幅の狭
い円筒状(リング状)とする。また、内部に配設された
場合、薄肉円筒構造体の変形に対して当該支持部材の脱
落を防止するため、支持部材の外周面の形状が単なる円
筒形状であるよりも、軸方向での断面の外周面の形状の
少なくとも一部が切り欠き状もしくは突起状とし、支持
部材が圧入された場合に、その突出部分が薄肉円筒構造
体の内面の一部に食い込むようにする。
【0037】つまり、図9に示すように、このように変
形された支持部材17は、軸方向での断面の外周面の形
状の少なくとも一部が切り欠き状もしくは突起状とす
る。別の言い方をすれば、軸方向の断面の外周面の形状
が円形でない形状とする。これは半径方向での断面の形
状についても同様に変形する。つまり、図10に示すよ
うに、別の形態で変形された支持部材18は、半径方向
での断面の外周面の形状の少なくとも一部が切り欠き状
もしくは突起状とする。別の言い方をすれば、半径方向
の断面の外周面の形状が直線でない形状とする。支持部
材の外周面の形状を、このような突出部を部分的に有す
る形状とすることで、支持部材を圧入した際、円筒構造
体内周面と支持部材外周面との接触強度が大幅に改善さ
れ、支持部材の脱落等を防止できる。
【0038】次に、このような支持部材を薄肉円筒構造
体に圧入して保持された状態とするための円筒構造体の
製造方法について説明する。図11は、本発明に係る円
筒構造体の製造方法の第1の例を説明する図である。薄
肉円筒構造体に複数個の支持部材を圧入する場合、例え
ば、3個以上の支持部材を薄肉円筒構造体に圧入する場
合は、図11に示すように、薄肉円筒構造体20に圧入
する複数個の支持部材21〜23の内径が、漸次に小さ
くなっている複数個の支持部材を用いる。これにより、
先に圧入してある支持部材21〜23と支持治具25〜
27が干渉することなく、それぞれの支持部材21〜2
3を支えることができ、複数個の支持部材21〜23を
順次に圧入治具24により圧入することが可能となる。
【0039】図12は、本発明に係る薄肉円筒構造体の
製造方法の第2の例を説明する図である。薄肉円筒構造
体に支持部材が圧入され、当該薄肉円筒構造体の内面に
対して支持部材の外周面の一部が圧接状態で保持されて
いる状態を確実なものとするため、この薄肉円筒構造体
の製造方法では、図12に示すように、複数個の支持部
材が配設された薄肉円筒構造体を製造する場合に、支持
部材46の軸と円筒構造体45の軸を概ね同軸にして所
定位置に配置した(圧入した)後に、円筒構造体45の
外径を小さくするように塑性加工する。これにより、円
筒構造体45に確実に支持部材を圧接状態とすることが
できる。
【0040】図13および図14は、本発明に係る薄肉
円筒構造体の製造方法の更に別の例を説明する図であ
る。薄肉円筒構造体に支持部材を圧入し、当該薄肉円筒
構造体の内面に対して支持部材の外周面の一部が圧接状
態で保持されている状態とするため、ここでの製造方法
は、図13に示すように、薄肉円筒構造体50に支持部
材51を圧入して配設する際、支持部材51の軸と円筒
構造体50の軸を非平行にして所定位置に配置した後
に、支持部材51の軸と円筒構造体50の軸を概ね同軸
になるように支持部材51の姿勢を変えることで、支持
部材51の外周面と円筒構造体50の内周面の接触面積
が増大し、確実に支持部材51を圧入して圧接状態とす
ることができる。
【0041】この場合に、支持部材を円筒構造体に配設
する際、つまり、図13の上部側に示す前半の工程にお
いては、図14に示すように、円筒構造体50または支
持部材51の少なくともいずれか一方を円周方向に変形
させて、支持部材51を円筒構造体50の内部の所定位
置に配置する。このように変形させて配設するすること
により、格段に作業性が向上する。つまり、この行程に
おいては、円筒構造体50の軸方向から円筒構造体50
と支持部材51を斜影した時、円筒構造体50の最大内
径と支持部材51の最小内径に大きな差が生じ、そのた
め、前半の支持部材51を円筒構造体51に配設する工
程が大変行いやすくなる。
【0042】また、円筒構造体に支持部材を配設する作
業を更に容易にするため、軸方向の内径において、逆ク
ラウン形状である円筒構造体を用いるようにしてもよ
い。図15は本発明に係る薄肉円筒構造体の製造方法の
第4の例を説明する図である。図15に示すように、軸
方向の内径において、逆クラウン形状である円筒構造体
60を用いる。このような形状の円筒構造体60を用い
ることにより、片側から順番に複数個の支持部材61を
圧入することができる。その上、円筒構造体60の内径
と支持部材61の外径の間の公差設計も非常に容易にな
る。なお、図15に示す表示では、前述の円筒構造体の
形状と当該薄肉円筒構造体60の形状の違いの理解を容
易にするため、中央部と端部を極端に違えて描画表示し
ているが、後述する実施例(図29)の寸法例のよう
に、ここでの円筒構造体50は、長さが400mmの円
筒体の場合、端部の直径が35.4mmであり、中央部
の直径が35.0mmとなっているものである。
【0043】このような薄肉化による円周方向のへこみ
を大幅に防止することが可能な補強部材付き円筒構造体
を定着装置に用いることにより、定着装置の装置構成の
大型化を伴わず、ウォームアップタイムの大幅な短縮が
可能であり、さらに同時に、印加する荷重も大幅に高荷
重とすることができる。そのため、優れた定着性能を有
する定着装置を構成できる。
【0044】なお、定着装置においては、定着時に円筒
構造体の定着ロールに熱を印加することを前提にしてい
るので、加熱する過程で、定着ロールの円筒構造体およ
びその支持部材として用いる材質の熱膨張率の違いによ
り、支持部材の熱膨張率が円筒体の熱膨張率より小さい
場合に、支持部材が脱落する恐れがある。
【0045】このような脱落の恐れは、ここでの支持部
材が薄肉円筒体に圧入された状態として配設されるた
め、その可能性は非常に少ないが、これに対しては、定
着ロールの熱膨張率よりも支持部材の熱膨張率が大きな
ものを用いることにより防ぐことができる。つまり、定
着ロールより支持部材の熱膨張率を大きくすることによ
り、加熱時に支持部材の熱膨張が大きくなり、接触部の
熱応力が増大し、そのため、定着ロールと支持部材の結
合がより強固になるので、脱落の懸念は解消される。
【0046】また、複数個の支持部材を薄肉円筒構造体
に配設する場合、円筒構造体の端部の支持部材は、薄肉
円筒構造体の端部を折り曲げ加工することにより省略す
ることができる。つまり、図16に示すように、この場
合には、薄肉円筒構造体70は、先に内側に配設する支
持部材を71を圧入して、円筒構造体70の内面に支持
部材71の周囲面の一部が圧接された状態で支持部材を
配設した後、両端部の支持部材を配設することなく、端
部の支持部材に替えて、薄円筒構造体70の端部70a
を加工が容易である軸内部方向へ塑性変形させて折り曲
げる。これにより、へこみ防止機能を損なうことなく、
製作性の向上および低コスト化を図ることができる。
【0047】本発明の定着装置にかかる円筒構造体で
は、支持部材を圧入することにより、支持部材を薄肉円
筒構造体の内部に圧接された状態で配設する。そのため
に、薄肉の程度が大きい場合(非常に肉厚が薄い場
合)、図17に示すように、支持部材81の存在が円筒
構造体80の外周面で顕在化する可能性がある。その場
合、このような円筒構造体を定着ロールとして用いる
と、定着ロールの外周面の形状の不均一性が、画質劣化
を引き起こす原因となる。この場合には、更に、図18
に示すように、薄肉円筒構造体80に支持部材81を配
設した後に、所定の肉厚まで薄肉円筒構造体80を外径
加工することで、薄肉円筒構造体80を定着ロールとし
て用いる場合の定着ロール外周面形状の不均一を取り除
く。これにより、支持部材を圧入した薄肉円筒構造体を
定着ロールとして用いる場合に、外周面の形状が良好な
定着ロールとすることができる。
【0048】ところで、円筒構造体の肉厚を薄肉化する
ことは、それ自体非常に困難な加工である。その原因
は、主として加工中に円筒構造体にへこみが生じるため
であるが、本発明による円筒構造体の構造では、支持部
材を配設することでへこみに対する強度が増しているの
で、この場合の薄肉円筒構造体の製造方法においては、
図19に示すように、ある程度の肉厚の円筒構造体90
に対して、先に支持部材91を圧入して、支持部材91
を配設した後に、所定の肉厚まで定着ロールを外径を加
工するようにしてもよい。これにより、先の工程で円筒
構造体を薄肉化するより(支持部材がない場合より)、
格段に薄肉化することができる。
【0049】また、薄肉円筒構造体に支持部材を配設す
ることによる効果により、定着ロールのへこみは大幅に
防止できるが、一方、同時に定着ロールには軸方向のた
わみ変形も生じる。そこで、定着装置の定着ロールとし
て用いる場合に、上雷から周知の軸方向の弾性変形を補
正する機構を付加することにより、定着ロール全体とし
ての強度限界まで使用することができる。
【0050】次に、上記のようにして製造される薄肉円
筒構造体を定着装置の定着ロールとして用いる場合の特
性について説明する。図20は、定着ロールのロール荷
重印加装置を説明する図である。ここでの定着ロールの
薄肉円筒ロール201は、直径35mm,肉厚0.55
mm,長さ335mmの鉄製コアである。薄肉円筒ロー
ル201は、両端をベアリング202によって軸支され
ている。一方、鉄製の荷重印加バー203は、十分な強
度を持ちたわみを生ずることなく、荷重印加機構部(図
示せず)により、薄肉円筒ロール201に荷重を印加す
るものである。薄肉円筒ロール201の外周部には、ひ
ずみゲージを貼付し、円筒ロール荷重印加装置を用い
て、各場所での軸方向および円周方向のひずみ量を測定
した。
【0051】測定位置は、図21に示すように、薄肉円
筒ロール210の外周面に端部(A系列)と中央部(B
系列)において、それぞれに上部位置(添え字1の系
列)、中部位置(添え字2の系列)、および下部位置
(添え字3の系列)の位置に、つまり、図21(A)お
よび図21(B)に示す位置(A1,A2,A3,B
1,B2,B3)に、ひずみゲージ(共和電業社製:図
示せず)を貼付し、上記の円筒ロール荷重印加装置を用
いて、各位置での軸方向および円周方向におけるひずみ
量を測定し、その測定結果を、図22(A),(B),
(c)に示した。
【0052】ここでのA系列の位置は概略端部であり、
B系列の位置は概略中央部である。また、ひずみ量のデ
ータは、圧縮、引っ張りにかかわらず、絶対値を示し
た。図22の測定結果から明らかなように、ひずみ量の
増加率が最も大きいのは、円筒ロール中央部であり、か
つ、荷重印加バーと接触している位置(B3)での円周
方向のひずみである。当然、永久ひずみ(塑性変形)が
最初に発生するのも同一の場所かつ同一の方向である。
【0053】ここで、そのひずみ量の増加率が最も大き
い位置(B3)に当たる場所に、図23に示すような厚
さ0.8mm,幅2.0mmの支持部材を圧入し、再
び、ひずみ量を測定したところ、中央部の円周方向のひ
ずみ量は1/3となった。すなわち、耐圧力はおよそ3
倍に増加したことになる。圧入する内部支持部材の形状
は、必ずしも、薄肉円筒ロールの内面にすべて接触する
ようにする必要はなく、図24に示すような変形された
形状であっても、何ら問題(へこみ防止機能の低下)は
発生しなかった。ただし、製作上の容易さやコストを考
慮すると、前述した図23に示すようなリング形状のも
のが好適である。
【0054】また、薄肉円筒ロールのへこみ防止の性能
を増加させる方法としては、薄肉円筒ロールの内部に圧
入して配設する支持部材を複数個とする。両端で支持さ
れた薄肉円筒ロールの場合、印加する荷重を増大してゆ
くと、円周方向の永久変形が軸方向のそれよりも先に生
じる。そのため、円周方向の永久ひずみが軸方向のそれ
と同じ荷重条件で生じるようにできれば好適である。す
なわち、耐荷重性能が向上することを意味する。
【0055】図25は、薄肉円筒構造体に複数個の支持
部材の配設位置を変化させた場合の変形の程度を測定す
る実験例を説明する図である。例えば、図23に示した
リング状の支持部材を、図25(A)に示すように、薄
肉円筒ロールの中央部において2個配設し、その2個の
支持部材の間の距離Pを変化させ、薄肉円筒ロールの中
央部の位置(B3)のひずみ量を、前述の場合と同様に
して、印加荷重を100kgfとして測定した。その結
果によると、図25(B)に示すように、中央部の位置
(B3)での円周方向のひずみ量は、支持部材間の距離
Pが150mm以下であると、軸方向のひずみ量とほぼ
一致する。しかし、支持部材間の距離Pが150mmよ
り大きくなると、中央部の位置(B3)での軸方向のひ
ずみ量が一定となるため、軸方向のひずみ量と円周方向
のひずみ量の差は大きく異なり、荷重を増加していった
場合、円周方向の永久ひずみが先に発生することとな
る。
【0056】この傾向は、薄肉円筒ロールの長さL,外
径D,および肉厚tの間に関連があり、本発明者らの実
験によると、これらの間の条件として、 L>200mm、かつ、t/D<0.02 である条件の場合に最適であることがわかった。
【0057】また、内部に支持部材を設けて薄肉円筒ロ
ールを補強する場合、薄肉円筒ロールの内部の支持部材
をいかにして圧入するかは、前述のように非常に重要な
問題である。本発明の定着装置に用いる円筒構造体の製
造方法では、「支持部材の脱落を防止すること」と
「複数個の支持部材を圧入すること」との2点が特に
重要である。
【0058】まず、薄肉円筒ロールに圧入した支持部材
の脱落を防止するための構造について説明する。薄肉円
筒ロールに圧入した支持部材の脱落は、主に外力の影響
で起こる。その外力は、薄肉円筒ロールの構造体に一定
の荷重(静荷重)が加わったり、振動や回転などに伴う
荷重(動荷重)が加わったり、また、物体が衝突するこ
とによる荷重(衝撃力)が加わった場合におこる。した
がって、支持部材の脱落を防止するためには、薄肉円筒
ロールの内周面と支持部材の外周面の接触部とが圧接さ
れた状態で保持されているので、その接触圧の強度を増
大させる。
【0059】このためには、支持部材の外周面の形状を
変化させることだけで、簡単に接触強度を増大させるこ
とができる。例えば、図26に示すように、外周面の軸
方向での断面が突起状になるような形状とした支持部材
とする。このような形状の支持部材を薄肉円筒ロールに
圧入すると、外力による脱落は皆無となった。
【0060】または、図27に示すように、外周面の円
周方向での断面が突起状となるような形状とする。この
ような形状の支持部材の薄肉円筒ロールに圧入すると、
外力による脱落は皆無となった。支持部材の形状とし
て、2種類の外周面の形状の例を説明したが、特に、突
起状にすることに限定されるものではなく、薄肉円筒ロ
ーラの内面と支持部材の外周面との接触部の圧接状態の
かみ合いを強化する形状であれば、他の形状であっても
よいことはあきらかである。
【0061】内部に支持部材を設けて薄肉円筒ロールを
補強する場合、その支持部材をいかにして薄肉円筒ロー
ラに圧入するかは、非常に重要な問題であることは、前
述したとおりであるが、この場合に「複数個の支持部
材を圧入すること」も非常に重要である。薄肉円筒ロー
ラに圧入する支持部材が、1個である場合は、支持部材
の支持治具および支持部材の押しつけ治具として、図2
8に示すように、薄肉円筒ロールの内径よりも外径が小
さい円筒(中実でも中空でもよい)を用いて、薄肉円筒
ロールの両側から、押しつければよい。ただし、その
際、支持部材の外径は薄肉円筒ロールの内径とほぼ同一
か、しまりばめになるように若干大きい。
【0062】そのため、図13により説明したように、
支持部材を薄肉円筒ロールの軸に対して、斜めに(軸が
非平行になるように)挿入することで、薄肉円筒ロール
の内周面と支持部材の外周面の間に働く摩擦が減少させ
て圧入を容易に行えるようにする。または、図14に示
すように、支持部材もしくは薄肉円筒ロールの少なくと
もどちらか一方を弾性変形させて、支持部材と薄肉円筒
ロール内面の間に、すきまを作ることにより、所定位置
までの配設を容易に行えるようにする。これにより、製
造の作業性が向上する。図28に示す寸法の治具を用い
て、薄肉円筒ロールに、図23に示すような支持部材
を、これらの方法で容易に圧入することが可能であっ
た。
【0063】薄肉円筒ロールに圧入する支持部材が複数
個である場合、先に入れた支持部材と後から入れる支持
部材もしくは先に入れた支持部材と治具もしくは支持部
材と薄肉円筒ロールの間の干渉問題が発生する。例え
ば、内径が34mm、外径が35mm、長さが335m
mの鉄製薄肉ロールに、図23に示すようなリング状の
支持部材の4個を同時に所定位置に配設して、図12に
示すように、スエージング加工(絞り加工)を施して圧
入したところ、複数個圧入することに対して、干渉の問
題は発生しなかった。また、支持部材と治具の干渉を回
避する方法としては、支持部材の形状を、図23に示す
リング状の支持部材の幅を2mm,3.5mm,5mm
の3種類とし、これに対応する支持治具の外径を33.
8mm,32.3mm,30.8mmの3種類として、
図11に示すような製造方法で、順番に支持部材を圧入
したところ、干渉の問題は発生しなかった。
【0064】また、図29に示すように、バルジ加工に
より、内径がクラウン形状になるようにテーパを付け、
均一肉厚(0.4mm)の鉄製薄肉ロールに、図30
(C)に示すように、幅が0.8mmの支持部材を、図
30(a)および図30(b)に示すような寸法の支持
部材を、この順番で片側ずつ圧入したところ、干渉の問
題は発生せず、所定の位置に圧入可能であった。
【0065】図31は、本発明の実施例の薄肉円筒構造
体を用いる定着装置の構成を説明する断面図である。図
31に示す定着装置は、薄肉円筒構造体の定着ロール1
01は、直径40mm,肉厚0.25mm,長さ380
mmの鉄製コア103に、離型層としてフッ素樹脂(テ
フロン/デュポン社の商品名)が30μmの厚さに被覆
したものである。また、定着ロール101の内部には、
挿入間隔を80mmとして、支持部材105が圧入され
ている。
【0066】定着ロール101の中心には加熱源106
として、100v,1000wの赤外線ランプが配設さ
れており、この赤外線ランプが温度センサ108によ
り、常に150℃になるように温度コントローラ(図示
せず)によって制御される。この時のウォームアップタ
イムは、定着ローラ101として薄肉円筒体を用いるの
で、10秒を達成することができる。また、定着ロール
101は駆動モータ(図示せず)により250mm/s
のスピードで駆動される。加圧ロール102は、外径3
2mm,肉厚6mm,長さ380mmの鉄製コア104
に、肉厚4.0mmのシリコンゴム107を被覆したも
のであり、両端の軸受部より総荷重50kgが印加され
ている。
【0067】この状態でニップ域を測定すると、ロール
端部ニップが6.0mm、ロールセンター部ニップが
5.4mmとなり、このような構成によりニップ形状指
数0.9を得ることができる。この状態で、富士ゼロッ
クス(株)製の複写機「Vivace550」で絵出し
された未定着トナー像109を定着した場合、十分な定
着性が得られるとともに、紙しわの発生は一切なかっ
た。
【0068】比較例として、前述の加圧ロールを用い
て、前述の定着ロールに支持部材を圧入しない従来の定
着ロールと接触回転した場合、荷重が10kgで、へこ
みによる永久変形が定着ロールに発生し、定着不可能で
あった。
【0069】また、円筒構造体を薄肉化する場合、継ぎ
目なし鋼管の場合では、おおよそ肉厚0.7mm以上の
肉厚で引き抜き加工が行われ、更に薄肉化するために、
旋盤やセンタレス研削盤を用いて外径加工が行われる。
ただし、真円度の劣化を伴わずに、薄肉化を行うには限
界がある。その原因は、円筒構造体の円周方向の剛性低
下に伴う工作物としての円筒構造体のへこみ変形であ
る。本発明では、これに対して、円筒構造体の内部に支
持部材を圧入してへこみ変形を防ぐ。
【0070】具体的に実験した場合の数値例を説明す
る。この実験例では、薄肉円筒ロールとして、外径3
5.3mm,内径33.9mm,肉厚0.7mm,長さ
335mmの鉄製コアを用いた。この薄肉円筒ロールの
中央部の真円度は60μmであった。この薄肉円筒ロー
ルに図23に例示した厚さ0.8mm,幅2mmの支持
部材を等間隔に4個圧入した。そして、外径が34.3
mmとなるように、センタレス研削盤でin−feed
研削を行ったところ、その加工中に、ロールに亀裂発生
等の問題もなく加工が可能であった。加工後のロールの
品質は、中央部で外径が34.36mm,真円度は8μ
mと良好であった。
【0071】比較例として、前述の薄肉円筒ロールに支
持部材を圧入せず、加工を行ったところ、加工後のロー
ルの品質は、中央部で外径が35.54mm,真円度は
250μmと不良であった。
【0072】また、図31に示す定着装置において、図
32に示すように、加圧ロールを中央で支持するロール
に変更した。定着ロールは直径30mmで、その他の数
値は同様である。また、薄肉定着ロールの内部には挿入
間隔を80mmとして、外形が39.95mm,幅0.
8mm,厚さ3mmの支持部材が圧入されている。両端
の軸受部より総荷重80kgを印加した。この状態で
は、定着ロールの中央部でのたわみは、0.05mmに
達したが、図32に示す加圧ロールによりこのたわみが
補正され、ニップを測定したところ、ロール端部ニップ
7.0mm,ロールセンター部ニップ6.4mmとな
り、このような構成とすると、ニップ形状指数0.9を
得ることができる。更に、定着ロールの円周方向のへこ
みも観察されなかった。この状態で富士ゼロックス
(株)製「Vivace550」で絵出しされた未定着
トナー像9を定着した場合、十分な定着性が得られると
ともに、紙しわの発生は一切なかった。
【0073】ところで、上述したように、本発明の実施
例においては、円筒構造体の円周方向の剛性低下に伴っ
て生ずる円筒構造体のへこみ変形に対して、円筒構造体
の構造では、その内部に支持部材を圧入してへこみ変形
を防ぐ。このような薄肉円筒構造体を定着ロールとして
用いる場合には、圧入した支持部材の部分が円筒構造体
の軸方向において部分的に厚肉部分となり、この厚肉部
分が定着ロールの加熱立ち上げ時において、特に、定着
装置において使用開始時に、定着ロール表面の局所的な
温度むらの原因となり、これが定着性能の低下をもたら
す場合がある。
【0074】つまり、円周部で外力を受ける薄肉円筒構
造体を定着ロールとして用いる場合に、内周面において
少なくとも1ヵ所以上肉厚を厚くすることで薄肉化によ
る円周方向のへこみを十分に防止した構造の薄肉定着ロ
ールを用いた場合、定着ロール表面の局所的な温度むら
が生じて、厚肉部分の近傍での定着不良が発生する場合
がある。これに対しては、本発明の実施例においては、
次のように、厚肉部とロール部とにおける各部材の間の
熱容量の条件を満たすようにする。
【0075】本発明の定着装置としての実施例では、す
なわち、両端軸支された定着ロールとそれに圧接する加
圧体の間で形成される加圧領域に、トナー像を担持して
転写材を通過させ、加熱定着する定着装置において、前
記定着ロールが薄肉の金属性ロールであり、軸方向に少
なくとも1ヵ所以上肉厚が厚くなっている定着ロールに
おいて、前記厚肉部の突出部熱容量をC1(cal/
℃)、前記厚肉部での突出部を除くロール部の熱容量を
C2(cal/℃)とするとき、「(C1/C2)<1
0」の条件を満たすような材質および形状とする。
【0076】これにより、定着装置の構成要素がすべて
ほぼ室温である場合、電源を入れて立ち上げた直後の第
1枚目のコピーでは、特に、厚肉部近傍において温度む
らが生じ、厚肉部近傍で定着度が悪くなるという現象が
発生していたが、これの現象を防止することができる。
【0077】図33は、本発明の実施例で定着ロールと
して用いる厚肉部を有する薄肉円筒構造体の例を示す図
である。つまり、薄肉円筒構造体のへこみ変形を防ぐた
め、薄肉円筒構造体に支持部材の圧入した結果、図33
にすように、円筒構造体の軸方向において部分的に厚肉
部分を形成するようになったものを、ここでの定着装置
の定着ロールとして用いる。
【0078】図33において、301は金属性の薄肉円
筒構造体の定着ロールのロール部であり、302はその
厚肉部である。また、図34は、定着装置の定着ロール
の軸方向断面の厚肉部分を拡大して示す拡大図である。
ここでの定着ロールとして用いる薄肉円筒構造体の厚肉
部の突出部とは、図34に示すように、定着ロールの大
部分を占める概略均一な肉厚より突出している部分の突
出部304を指し、厚肉部での突出部を除くロール部と
は、厚肉部での前記突出部304を除く平担部303を
指すものとする。
【0079】ここでは、ロール円周方向に肉厚となって
いる例を示して説明するが、図34に示すような形状の
厚肉部のみではなく、ロール軸方向に肉厚を有するもの
と含む。また、ロール内部で螺旋状に肉厚となっている
ものも含む。また、厚肉部となる突出部304の形状に
ついても、図34では、断面が半円状でのものを示して
いるが、他にも断面が長方形、三角形、台形など多角形
のものであっても、同様に適用できる。
【0080】図35は、薄肉部ロール表面温度および厚
肉部ロール表面温度の立上げ時(電源投入時)からウォ
ームアツプ終了時までの温度上昇の推移が示す図であ
る。また、図36は、定着ロールの厚肉部の近傍でのウ
ォームアップ直後の温度分布を示す図である。図35に
示すように、特に、電源投入直後は、定着ロールの大部
分を占める薄肉部の温度立ち上がりが厚肉部より早いた
め、厚肉部近傍の定着ロール部に蓄積された熱が、厚肉
部に流入するという現象が生じる。つまり、これは、構
造材料(金属、樹脂、ゴム、セラミック等)の中では金
属の熱伝導率は非常に大きく、この現象の金属性定着ロ
ールの軸方向温度分布に対する影響が、はなはだ大きい
ためである。
【0081】その結果、図36に示すように、厚肉部の
近傍でのウォームアップ直後の温度分布は非常に不均一
となる。図36においては、ロール表面温度の温度分布
と対応して、厚肉部305の拡大図を示している。この
ように、定着ロールの厚肉部の近傍でのウォームアップ
直後の温度分布は非常に不均一となるので、この状態
で、定着処理を実行すると、厚肉部近傍で定着不良が生
じることになる。
【0082】しかしながら、この電源投入直後の熱流入
現象は、厚肉部での突出部熱容量と厚肉部での突出部を
除くロール部の熱容量の比が支配的であることが、本発
明者等の実験結果から判明している。したがって、ここ
での薄肉円筒構造体を定着装置に定着ロールとして用い
る場合に、厚肉部の突出部における熱容量をC1(cal
/℃)とし、この厚肉部での突出部を除くロール部の熱
容量をC2(cal/℃)とするとき、「(C1/C2)
<10」の条件を満たす範囲の熱容量比とすることによ
り、軸方向温度分布むらが実用に耐えうる範囲にまで改
善される。
【0083】次に、具体的に本発明者らが行った実験結
果について説明する。この場合において、理解を容易と
するため、従来における温度分布にむらが発生する場合
との比較例を参照して説明する。
【0084】図37は、比較のための定着装置の定着ロ
ールとして用いるロール部に厚肉部を有する薄肉円筒構
造体の形状を説明する図である。図37に示すように、
ここでの定着ロールの薄肉円筒構造体の形状は、直径が
35mm、ロール部306の肉厚が0.3mm、長さが
335mmの鉄製の薄肉円筒構造体のコアの表面に離型
層309としてPFA(パーフロロアルキルビニールエ
ーテル共重合樹脂)が25μm成形されているものを用
いる。ロール部306の内部は剛性を高めるため、部分
的に偏肉厚加工により、突出部308を設け、その突出
部308を含めて幅1mm、高さ4mmの厚肉部307
が軸方向に4ヶ所設けられ、その間隔は100mmピッ
チで設けられている。
【0085】このような形状の薄肉円筒構造体を、定着
装置(図示しない)の定着ロールとして装着し、ロール
部306の中央部(厚肉部分でない部分)および厚肉部
307の表面温度を放射型非接触温度計(キーエンス社
(株)製)で測定した。測定時の定着装置としての他の
条件は、設定温度を170℃とし、定着装置の初期の温
度を25℃(室温)とし、投入電力1000Wとし、定
着ロールと加圧ロールのラッチは定着ロールが170℃
に到達した後とした。また、ラッチ後、両ロールを回転
駆動することとした。この場合の実験結果によると、図
38に示す中央部の温度推移310と厚肉部の温度推移
311が得られた。
【0086】この場合、設定温度に到達した時(20秒
後)のそれぞれの温度には、図38に示すように、約3
0℃程度の温度差(以下、温度降下量ΔTという)があ
る。通常の定着装置では、白黒トナーの場合、最低定着
温度は150℃〜160℃であるため、この状態では厚
肉部近傍で定着不良が発生することになる。実際に、同
一条件で設定温度到達後に、富士ゼロックス(株)社製
の複写機「Vivace550」により未定着トナー像
を担持した用紙を定着したところ、ロール厚肉部の近傍
で定着不良が発生した。
【0087】次に、上述したように、定着ロールの中央
部と厚肉部との間の熱容量比の条件とした場合の実施例
について説明する。前述した比較例(図37)の偏肉厚
加工による厚肉部の形成の代わりに、この実施例では、
薄肉円筒構造体の剛性を高めるための補強部材のリング
を用いて、同様に厚肉部を形成した。もちろん、この実
施例と同様な結果は、比較例(図37)で説明したよう
に、偏肉厚加工による厚肉部を有する定着ロールに対し
てもそのまま適用できるものである。
【0088】図39は、ここでの実施例による実験を行
った定着ロールの構造の形状を説明する断面図である。
図39に示すように、定着ロールとして用いる薄肉円筒
構造体315のロール肉厚をTとし、補強部材のリング
314の形状パラメータは、リング厚をRtとし、リン
グ幅をRwとした時、それぞれのパラメータの数値を
「T=0.3mm、0.5mm、1.0mm」および
「(Rt,Rw)=(1.0mm,2.0mm)、(1.
0mm,4.0mm)、(1.0mm,6.0mm)」と
した3つの定着ロールを作成した。他の条件は、前述の
比較例と同様(設定温度180℃)とし、ロール中央部
312と厚肉部313における温度を測定して、その温
度の降下量ΔTを測定した。その場合の実験結果を図4
0に示している。
【0089】図40では、横軸に厚肉部の突出部熱容量
C1(cal/℃)と突出部を除くロール部の熱容量C2
(cal/℃)との熱容量比「C1/C2」をとり、縦軸
には厚肉部温度降下量(ロール中央部312の表面温度
と厚肉部313の表面温度の差)が示されている。
【0090】この場合の実験結果によると、図40によ
り明らかなように、熱容量比「C1/C2」が数値“1
0”を境として、厚肉部の温度降下量が大幅に減少して
いることが明らかとなった。実際に、熱容量比「C1/
C2」が数値“10”となるように、リング「(Rt,
Rw)=(1.0mm,2.0mm)」をロール肉厚Tが
0.5mmであるロールに配設し、設定温度を180℃
として、比較例と同様に、富士ゼロックス(株)社製の
複写機「Vivace550」により未定着トナー像を
担持した用紙を定着したところ、リングを配設した厚肉
部の表面近傍での定着不良は発生しなかった。
【0091】また、厚肉部を形成するリング部材の材質
をアルミニウム,銅,普通炭素鋼,および炭素合金鋼の
金属材料として、温度むらを調べたところ、ほぼ、図4
0に示す曲線に一致した。このことから、厚肉部の温度
むらは厚肉部の熱伝導率よりもその熱容量の影響の方が
支配的であることが判明した。
【0092】したがって、この場合の定着装置の定着ロ
ールとしての実施例では、前述したよちに、定着装置で
用いられる定着ロールは、薄肉円筒構造体の金属ロール
とすることにより、従来に用いられいた定着ロールと比
較して、格段にウォームアップタイムが短い定着装置が
実現できた。
【0093】また、本発明の実施例では、薄肉円筒構造
体の金属ロールを使用するについては、その円周方向の
へこみを防止のためにロール内周面に偏厚肉部を有する
ロールを用いる場合に、その厚肉部による電源投入直後
の温度むらの発生を防止することができ、定着不良の発
生しない定着装置を提供できる。また、ここでは構成そ
のものに特徴があるため、定着装置のコストアップにつ
ながることがない。
【0094】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の定着装
置に用いる円筒構造体は、円周部で外力を受ける薄肉円
筒構造体のへこみ強度限界を飛躍的に向上させることが
でき、また、製造方法も非常に容易であるため利用価値
の非常に高いものとなる。薄肉円筒構造体を定着装置の
定着ロールとして用いるので、支持部材による熱損失は
ほとんど見受けられないため、ウォームアップタイムを
大幅に短縮することができる。へこみ強度限界が飛躍的
に向上しているため、定着ロールと圧力ロール間に印加
する荷重を高荷重とすることができ、定着装置の高速化
にも大きく貢献できる。また、定着装置に適用した際、
定着装置体積、重量、コストへのインパクトが少ないと
いったメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は加熱定着法による定着装置の概略の構
成を示す図、
【図2】 図2は従来の定着ローラの構造の第1の例を
説明する断面図、
【図3】 図3は従来の定着ローラの構造の第2の例を
説明する断面図、
【図4】 図4は従来の定着ローラの構造の第3の例を
説明する断面図、
【図5】 図5は従来の定着ローラの構造の第4の例を
説明する断面図、
【図6】 図6は本発明の定着装置に用いる薄肉円筒構
造体の基本構造を説明する第1の図、
【図7】 図7は本発明の定着装置に用いる薄肉円筒構
造体の基本構造を説明する第2の図、
【図8】 図8は支持部材の形状の第1の例を示す図、
【図9】 図9は支持部材の形状の第2の例を示す図、
【図10】 図10は支持部材の形状の第3の例を示す
図、
【図11】 図11は本発明に係る円筒構造体の製造方
法の第1の例を説明する図、
【図12】 図12は本発明に係る薄肉円筒構造体の製
造方法の第2の例を説明する図、
【図13】 図13は本発明に係る薄肉円筒構造体の製
造方法の第3の例を説明する第1の図、
【図14】 図14は本発明に係る薄肉円筒構造体の製
造方法の第3の例を説明する第2の図、
【図15】 図15は本発明に係る薄肉円筒構造体の製
造方法の第4の例を説明する図、
【図16】 図16は本発明に係る薄肉円筒構造体の製
造方法の第5の例を説明する図、
【図17】 図17は支持部材の存在が円筒構造体の外
周面で顕在化する様子を説明する図、
【図18】 図18は薄肉円筒構造体に支持部材を配設
した後に所定の肉厚まで薄肉円筒構造体を外径加工する
様子を説明する第1の図、
【図19】 図19は円筒構造体に支持部材を配設した
後に更に薄肉化する外径加工する様子を説明する図、
【図20】 図20は定着ロールのロール荷重印加装置
を説明する図、
【図21】 図21は薄肉円筒構造体の変形を測定する
ひずみゲージの取り付け位置を説明する図、
【図22】 図22は図21の各測定位置における測定
結果を示す図、
【図23】 図23は実験例で用いるリング形状の支持
部材を示す図、
【図24】 図24は実験例で用いる変形された支持部
材の例を示す図、
【図25】 図25は薄肉円筒構造体に複数個の支持部
材の配設位置を変化させた場合の変形の程度を測定する
実験例を説明する図、
【図26】 図26は実験例で用いる変形された支持部
材の形状の第1の例を示す図、
【図27】 図27は実験例で用いる変形された支持部
材の形状の第2の例を示す図、
【図28】 図28は実験例で用いる押しつけ治具を説
明する図、
【図29】 図29は実験例で用いる変形された薄肉円
筒構造体の例を説明する図、
【図30】 図30は図29の円筒構造体に圧入する支
持部材の例を説明する図、
【図31】 図31は本発明の実施例の薄肉円筒構造体
を用いる定着装置の構成を説明する断面図、
【図32】 図32は本発明の実施例の定着装置におけ
る加圧ロールの変形例を説明する図、
【図33】 図33は本発明の実施例で定着ロールとし
て用いる厚肉部を有する薄肉円筒構造体の例を示す図、
【図34】 図34は定着装置の定着ロールの軸方向断
面の厚肉部分を拡大して示す拡大図、
【図35】 図35は薄肉部ロール表面温度および厚肉
部ロール表面温度の立上げ時(電源投入時)からウォー
ムアツプ終了時までの温度上昇の推移が示す図、
【図36】 図36は定着ロールの厚肉部の近傍でのウ
ォームアップ直後の温度分布を示す図、
【図37】 図37は比較のための定着装置の定着ロー
ルとして用いるロール部に厚肉部を有する薄肉円筒構造
体の形状を説明する図、
【図38】 図38は比較例の定着ロールの中央部の温
度推移と厚肉部の温度推移の実験結果を示す図、
【図39】 図39は実験を行った定着ロールの構造の
形状を説明する断面図、
【図40】 図40は横軸を厚肉部の突出部熱容量C1
と突出部を除くロール部の熱容量C2との比とし、縦軸
を厚肉部温度降下量とした実験例を示す図である。
【符号の説明】
1…ロールの支持部材の内枠、2…内枠を支持する支持
棒、3…ロール(スリーブ)、4…熱絶縁体、5…加熱
源のコイルヒータ、6…離型層のオフセット防止層、7
…支持軸 8…ロール、9…厚肉部分、10…導電性円
筒部材、11…補強剛性部材、12…接触帯電導電性ゴ
ムローラ、13…円筒状の外筒、14…内芯、15…薄
肉円筒構造体、16…支持部材、17…変形された支持
部材、18…変形された支持部材、20…薄肉円筒構造
体、21〜23…支持部材、24…圧入治具、25〜2
7…支持治具、30…加熱ローラ、31…ヒータ、32
…円筒状芯金、33…離型層、40…加圧ローラ、41
…円筒状芯金、42…耐熱弾性体層、43…シート、4
4…未定着トナー像、45…円筒構造体、46…支持部
材、50…薄肉円筒構造体、51…支持部材、60…円
筒構造体、61…支持部材、70…円筒構造体、71…
支持部材、70a…端部、80…薄肉円筒構造体、81
…支持部材、90…円筒構造体、91…支持部材、20
1…薄肉円筒コール、202…ベアリング、203…加
重印加バー、101…定着ロール、102…加圧ロー
ラ、103…鉄製コア、104…鉄製コア、105…支
持部材、106…加熱源、107…シリコンゴム、10
8…温度センサ、301はロール部、302は厚肉部、
303は平任担部、304は突出部、306はロール
部、309は離型層、308は突出部、307は厚肉
部、310は中央部の温度推移、311は厚肉部の温度
推移、312はロール中央部、313は厚肉部。

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒータを内部に含む円筒構造体の定着ロ
    ールと圧接する加圧体で形成される加圧領域に、未定着
    トナー像を転写した記録紙を通過させて加熱定着する定
    着装置において、 前記定着ロールとして、薄肉円筒構造体の内部に少なく
    とも1つ以上の支持部材を圧入し、当該支持部材の外周
    面の一部が前記円筒構造体の内面に対し圧接状態で保持
    されている円筒構造体を用いることを特徴とする定着装
    置。
  2. 【請求項2】 円周部で外力を受ける薄肉円筒構造体に
    おいて、前記薄肉円筒構造体の内部に少なくとも1つ以
    上の支持部材を圧入し、当該支持部材の外周面の一部が
    前記薄肉円筒構造体の内面に対し圧接状態で保持されて
    いることを特徴とする円筒構造体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の円筒構造体において、 前記薄肉円筒構造体に前記支持部材を少なくとも2個以
    上配設する場合、前記支持部材間の距離をPとし、前記
    円筒構造体の長さをLとし、前記円筒構造体の外径をD
    とし、前記円筒構造体の肉厚をtとした時に、 L>200mm, t/D<0.02, P<150m
    m の条件を満たすことを特徴とする円筒構造体。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の円筒構
    造体において、 前記支持部材の形状がリング形状であることを特徴とす
    る円筒構造体。
  5. 【請求項5】 請求項2または請求項3に記載の円筒構
    造体において、 前記支持部材の軸方向断面における外周面形状の少なく
    とも一部が切り欠き状もしくは突起状であることを特徴
    とする円筒構造体。
  6. 【請求項6】 請求項2または請求項3に記載の円筒構
    造体において、 前記支持部材の半径方向断面における外周面形状の少な
    くとも一部が切り欠き状もしくは突起状であることを特
    徴とする円筒構造体。
  7. 【請求項7】 前記請求項2乃至請求項6に記載の円筒
    構造体において、 薄肉円筒構造体の形状は、軸方向内径において逆クラウ
    ン形状であることを特徴とする円筒構造体。
  8. 【請求項8】 前記請求項2乃至請求項7に記載の円筒
    構造体を定着ロールとして用いたことを特徴する定着装
    置。
  9. 【請求項9】 薄肉円筒構造体の内部に少なくとも1つ
    以上の支持部材を圧入して、当該支持部材の外周面の一
    部が前記薄肉円筒構造体の内面に対し圧接状態で保持さ
    れている円筒構造体の製造方法において、 複数個の支持部材を薄肉円筒構造体に配設する場合、各
    々の支持部材の内径を異ならせ、内径の大きなものから
    順に配設することを特徴とする薄肉円筒構造体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の円筒構造体の製造方
    法において、 複数個の支持部材を薄肉円筒構造体に配設する場合、前
    記支持部材の中心軸と前記薄肉円筒構造体の中心軸を概
    ね同軸にして、前記支持部材を前記薄肉円筒構造体の所
    定位置に配置し、その後に前記薄肉円筒構造体を塑性変
    形し、前記薄肉円筒構造体の内径を減少させることを特
    徴とする円筒構造体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または請求項10に記載の円
    筒構造体の製造法において、 複数個の支持部材を薄肉円筒構造体に配設する場合、前
    記薄肉円筒構造体の内部に前記支持部材を挿入する時
    に、前記支持部材の中心軸を前記薄肉円筒構造体の中心
    軸と非平行とし、前記支持部材が前記薄肉円筒構造体の
    所定位置に到達した後に、前記支持部材の中心軸と前記
    薄肉円筒構造体の中心軸が概ね同軸になるようにして配
    設することを特徴とする円筒構造体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の円筒構造体の製造
    法において、 薄肉円筒構造体または支持部材の少なくとも一方を円周
    方向に変形させて、前記円筒構造体の内部に前記支持部
    材を配設することを特徴とする円筒構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】 薄肉円筒構造体の内部に複数個の支持
    部材が圧入され、当該支持部材の外周面の一部が前記薄
    肉円筒構造体の内面に対し圧接状態で保持されている円
    筒構造体において、 薄肉円筒構造体に配設する複数個の支持部材の各々の内
    径は異なっており、内径の大きなものから順に配設され
    た構造であることを特徴とする円筒構造体。
  14. 【請求項14】 薄肉円筒構造体の内部に複数個の支持
    部材が圧入され、当該支持部材の外周面の一部が前記薄
    肉円筒構造体の内面に対し圧接状態で保持されている円
    筒構造体において、 複数個の支持部材が、当該支持部材の中心軸と前記薄肉
    円筒構造体の中心軸を概ね同軸にして、前記薄肉円筒構
    造体の所定位置に配置された構造であり、かつ前記支持
    部材が配置された前記薄肉円筒構造体が塑性変形により
    当該薄肉円筒構造体の内径を減少させて、前記支持部材
    が当該薄肉円筒構造体の内面に対し圧接状態で保持され
    ている構造であることを特徴とする円筒構造体。
  15. 【請求項15】 前記請求項13または請求項14に記
    載の円筒構造体において、 薄肉円筒構造体の形状は、軸方向内径において逆クラウ
    ン形状であることを特徴とする円筒構造体。
  16. 【請求項16】 前記請求項13乃至請求項15に記載
    の円筒構造体を定着ロールとして用いたことを特徴する
    定着装置。
  17. 【請求項17】 請求項1,請求項8,または請求項1
    6に記載の定着装置において、 定着ロールの薄肉円筒構造体の内部に配設される支持部
    材は、その熱膨張率が前記定着ロールの薄肉円筒構造体
    の熱膨張率よりも等しいかもしくは大きいものであるこ
    とを特徴とする定着装置。
  18. 【請求項18】 請求項1,請求項8,請求項16,ま
    たは請求項17に記載の定着装置において、 定着ロールは、薄肉円筒構造体の端部を塑性変形させた
    ものとすることを特徴とする定着装置。
  19. 【請求項19】 請求項1,請求項8,請求項16,請
    求項17,または請求項18に記載の定着装置におい
    て、 定着ロールの薄肉円筒構造体は、支持部材を配設した後
    に所定の肉厚に外径加工したものであることを特徴とす
    る定着装置。
  20. 【請求項20】 請求項1,請求項8,請求項16,請
    求項17,請求項18,または請求項19に記載の定着
    装置において、 定着ロールの軸方向の弾性変形により生ずる不均一な加
    圧領域の発生を低減させる機構が付加されていることを
    特徴とする定着装置。
  21. 【請求項21】 両端が軸支された定着ロールとそれに
    圧接する加圧体の間で形成される圧接領域に、未定着ト
    ナー像を担持した転写材を通過させて加熱定着する定着
    装置において、 前記定着ロールとして、薄肉円筒構造体の内周面におい
    て1ヵ所以上の厚肉部を有する薄肉円筒構造体を用いる
    場合、前記薄肉円筒構造体の厚肉部の突出部の熱容量を
    C1(cal/℃)とし、前記厚肉部の突出部を除くロール
    部の熱容量C2(cal/℃)とするとき、「(C1/C
    2)<10」の条件を満たすことを特徴とする定着装
    置。
JP15291396A 1996-02-08 1996-05-27 定着装置に用いる円筒構造体およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3312559B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15291396A JP3312559B2 (ja) 1996-02-08 1996-05-27 定着装置に用いる円筒構造体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4567396 1996-02-08
JP8-45673 1996-02-08
JP15291396A JP3312559B2 (ja) 1996-02-08 1996-05-27 定着装置に用いる円筒構造体およびその製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001390520A Division JP3506135B2 (ja) 1996-02-08 2001-12-21 強化型薄肉円筒構造体を用いる定着装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09274405A true JPH09274405A (ja) 1997-10-21
JP3312559B2 JP3312559B2 (ja) 2002-08-12

Family

ID=26385720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15291396A Expired - Fee Related JP3312559B2 (ja) 1996-02-08 1996-05-27 定着装置に用いる円筒構造体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3312559B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244220A (ja) * 2003-02-12 2004-09-02 Kampf Gmbh & Co Mas Fab 巻取り機のためのローラ
JP2010002774A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置および画像形成装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004244220A (ja) * 2003-02-12 2004-09-02 Kampf Gmbh & Co Mas Fab 巻取り機のためのローラ
JP2010002774A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置および画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3312559B2 (ja) 2002-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08166735A (ja) 熱定着装置
US5887237A (en) Reinforced thin cylindrical structure, image fixing device using this cylindrical structure, and method for manufacturing reinforced thin cylindrical structure
JP3312559B2 (ja) 定着装置に用いる円筒構造体およびその製造方法
JP3506135B2 (ja) 強化型薄肉円筒構造体を用いる定着装置
JP2007047321A (ja) ローラ芯金及びその製造方法、定着ローラ、定着装置、及び、それを有する画像形成装置
JP2001312176A (ja) 画像定着装置
JPH11149226A (ja) 定着装置
JP3473314B2 (ja) 定着ロールの製造方法
JP3555823B2 (ja) 定着装置
JP2002169397A (ja) 加熱装置及び画像形成装置
JP2007328101A (ja) 画像形成装置及びその定着装置
JP3829036B2 (ja) 定着ローラ製造方法
JP3436042B2 (ja) 定着装置
JP2004258104A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP3397934B2 (ja) 定着装置
JPH1195603A (ja) 定着装置
JP3527349B2 (ja) 面発熱ローラ
JP4012835B2 (ja) 樹脂被覆ローラ表面の平滑化装置
JP3513306B2 (ja) 定着装置
JP3521997B2 (ja) 定着装置
JPH08248798A (ja) 定着ローラ及びその製造方法
JP2004012529A (ja) 定着ローラ及び定着装置
JPH08146801A (ja) 加熱定着装置
JP2000274426A (ja) 加熱装置及びこれを有する定着装置
JPH08314307A (ja) 定着装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090531

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100531

FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110531

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees