JPH09268344A - 冷鍛性に優れた高周波焼入用鋼とその製造法 - Google Patents
冷鍛性に優れた高周波焼入用鋼とその製造法Info
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- JPH09268344A JPH09268344A JP11405296A JP11405296A JPH09268344A JP H09268344 A JPH09268344 A JP H09268344A JP 11405296 A JP11405296 A JP 11405296A JP 11405296 A JP11405296 A JP 11405296A JP H09268344 A JPH09268344 A JP H09268344A
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Abstract
および転がり接触疲労強度に優れた高強度高周波焼入用
鋼。 【構成】 重量基準でC :0.45〜0.60%.S
i:0.01〜0.15%,Mn:0.10〜1.00
%,Cr:0.3%以下,B :0.0005〜0.0
050%,Ti:0.005〜0.050%,s−A
l:0.015〜0.050%残部Feおよび不純物よ
りなる鋼を800〜1000℃より焼入,さらに600
℃〜Alcで炭化物の析出処理をおこない,平均粒径が
5μm以下の炭化物を平均粒子間隔20μm以下で分散
させることを特徴し冷鍛性に優れた高周波焼入用鋼を得
ることができる。
Description
ば変速ギヤ,無段変速機用転動体,等速ジョイントアウ
ターレース,その他の高周波焼入を施して機械構造部品
に用いられる静的強度や曲げ疲労強度および転がり接触
疲労強度に優れた高強度高周波焼入用鋼とその製造法の
開発に関する。
C−S45Cなどの中炭素鋼は高周波焼入により表面硬
化処理を行い,曲げ疲労強度や転がり接触疲労強度およ
び静的強度を得てきた。しかしながら冷間鍛造によって
成形される部品では冷鍛性を向上させるためその前処理
として炭化物の球状化焼きなまし処理が行われている。
が有効であるが,球状化処理後の炭化物は焼ならし状態
の層状炭化物と異なり,熱的に安定化し高周波焼入のよ
うな極短時間の加熱では十分に固溶できず,均質な硬化
層が得られなかったり,表面硬さが低下し,高い転がり
接触疲労強度や静的強度が要求される部品には不適当で
あった。しかし,短時間の加熱でも容易に固溶できる層
状の炭化物のままでは著しく冷鍛性を損なうと言う問題
がある。
るために,固溶強化元素のSiやMn,Cr含有量を低
減することも考えられるが,この場合には高周波焼入性
が低下したり,層状炭化物の層間隔が粗大化し,かえっ
て冷鍛性が低下するという問題があった。
な事情を背景としてなされたもので,本発明の目的とす
るところは,冷間加工性に優れかつ十分な高周波焼入性
を有し優れた静的強度や曲げ疲労強度および転がり接触
疲労強度を得ることができる高強度高周波焼入用鋼に関
する。
素の組み合わせについて検討した結果,静的強度や曲げ
疲労強度および転がり接触疲労強度を向上させるために
C含有量を通常のS40C〜S45Cの炭素鋼より高い
0.45%以上の添加とした。また,Si含有量を低減
し,焼ならし硬さを下げるとともに焼入性向上元素であ
るBを添加することによりSi含有量低減による焼入性
低下を補い,安定した高周波焼入性を確保した。
安定化する原因であるところの炭化物形成元素Cr含有
量の上限および炭化物の平均粒径と平均粒子間隔を規定
することにより,高周波加熱のような短時間の加熱でも
均質な硬化層が得られることを見いだした。これにより
優れた冷鍛性と高周波焼入性を併せ持つ高強度高周波焼
入用鋼を開発した。
(請求項1)は重量基準で C :0.45〜0.60% Si:0.01〜0.15% Mn:0.10〜1.00% Cr:0.3%以下 B :0.0005〜0.0050% Ti:0.005〜0.050% s−Al:0.015〜0.050% 残部Feおよび不純物よりなる鋼において,平均粒径が
5μm以下の炭化物を平均粒子間隔20μm以下で分散
させることを特徴とする。また,800〜1000℃よ
り焼入,さらに600℃〜A1cで炭化物の析出処理を
行うことを特徴とする。
する。 C:0.45〜0.60% Cは高周波焼入後,鋼の強度を保持するための必須の元
素であり,高周波焼入後の表面硬さを確保し,静的強度
や曲げ疲労強度および転がり接触疲労強度を向上させる
ために0.45%以上添加する必要がある。しかし,そ
の含有量が0.60%を超えて添加すると硬さが高くな
り冷鍛性を著しく損なうなどの弊害をもたらすので,C
含有量の上限を0.60%にした。
常の脱酸剤として含有される量であると素材硬さを高め
冷鍛性の劣化をまねくので0.01〜0.15%の規定
した。
高周波焼入性を向上させる元素であが,十分な焼入性を
得るために必要な量を添加すると素材硬さを高め被削性
および加工性を劣化させる。このため,Mn含有量は
0.10〜1.00%にする必要がある。
るため,しばしば利用されている。しかし,冷鍛性を高
めるために炭化物の球状化処理を行った場合には炭化物
中に濃化し,炭化物の熱的な安定性を著しく高める。こ
のため高周波焼入のような短時間の加熱で炭化物が固溶
できず,かえって高周波焼入性を低下させる。このため
Cr含有量を0.3%以下に規定した。
元素である。このB添加によりSi含有量の低減および
Mn含有量の変化による焼入性の変動を効果的に抑制す
ることができる。この効果を安定して得るためにも0.
0005%以上の添加を必要とする。しかし,過剰に添
加してもその効果はかえって低下するので上限を0.0
05%以下にした。
BN化合物の生成を抑制し,Bによる焼入性向上効果を
確保するために必要な元素である。しかし,多量に添加
すると靭性や疲労強度の低下をきたすので0.05%以
下に限定した。また,Ti望ましい添加量はTi/N≧
3.4である。
0.015%以上添加する必要がある。しかし,多量に
添加すると靭性や疲労強度の低下をきたすので0.05
0%以下に限定した。
及ぼし,粒径の大きなものほど固溶に長い時間が必要に
なる。また,分布状態が均一なほど冷鍛性は高くなり,
微細な炭化物を均一に分散させることが優れた冷鍛性と
高周波焼入性をあわせ持つために必要である。このよう
な炭化物の分布状態を得るため,本発明請求項2にかか
わる手段は以下のとおりである。すなわち上述した成分
範囲の鋼を800〜1000℃より焼入,さらに600
℃〜Ac1で炭化物の析出処理を行うことにより炭化物
の平均粒径を5μm以下,平均粒子間核を20μm以下
にすることができる。なお焼入温度は800℃未満では
均一なオーステナイト化ができず,1000℃をこえる
と結晶粒が粗大化する。また,析出処理温度は600℃
未満では硬さが高くなりすぎ,Ac1をこえると組織の
一部がオーステナイト化するために上記の条件とした。
導炉で溶解し150kgの鋼塊に鋳造した。その後,鍛
造によって直径32mmの丸棒に鍛造した。このように
して得られた丸棒を850℃より油中に焼入を行い。さ
らに700℃で5時間の炭化物析出処理を行い1/2R
部の硬さ測定を行った。またこれらの丸棒より下記の試
験条件にて転動試験,高周波焼入試験,圧縮試験を下記
の条件で行い評価した。その結果を表2に示す。また実
施例に示される鋼には通常の鋼に含まれるP:0.03
0%以下,Cu:0.30%以下,Ni:0.20%以
下,N:0.030%以下,0:0.003%以下の不
純物が含有されてもよい。
試験片を削りだし,周波数:100kHz,方式:定置
焼入,加熱時間:2.5s,電力:50kW,最高加熱
温度:980℃.冷却水:水,焼戻し:160℃×1時
間の条件で高周波焼入焼戻し処理を施した。試験はラジ
アル型転動試験機により,SUJ2製ボールを用いて面
圧5880MPaにて試験を実施した。
mmの丸棒試験片を加工し,周波数:10kHz,電
力:55kW,加熱時間:4sの条件で高周波焼入を
し,表面からビッカース硬さで450HVになる硬さま
での距離を測定した。
加工速度2mm/minで行い,き裂発生までの圧縮加
工率を求めた。
炭化物析出処理条件により,炭化物平均粒径と平均粒子
間隔を変化させた場合の特性を表4に示す。炭化物の平
均粒径および平均粒子間隔の測定は走査型電子顕微鏡に
より5000倍で20視野の観察をおこない,画像解析
により求めた。
分組成,焼ならし硬さおよび焼入性指数の全ての条件を
満足する実施例であり,転動疲労特性,限界圧縮率,お
よび高周波焼入性のすべてに優れている。
るため十分な転動疲労強度が得られていない。また.B
鋼はC含有量が高すぎるため硬さが高くなり冷間鍛造に
適さない。
Si含有量が高すぎるため,硬さが高くなりすぎてB鋼
と同様に冷間鍛造性を著しく低下させている。また,C
r含有量が高いD鋼は炭化物析出処理時に炭化物を安定
化させるため高周波焼入性も著しく低下させている。
な高周波焼入性が得られず,そのため転動疲労強度も低
下する。また,比較鋼HはTi含有量が不足しているた
めBの効果が十分に得られず,高周波焼入性が低下す
る。このためG鋼と同様に転動疲労強度が低下してい
る。比較鋼Hはs−Alが過剰に添加されているため転
動疲労強度の低下が見られる。
状態の実施例を示す。表3に示す炭化物析出処理条件お
よび炭化物分布状態が請求範囲内である条件b,cでは
硬さ,限界圧縮率,転動疲労強度,高周波焼入性の全て
が優れていることがわかる。
子間隔が狭いため,硬さが高くなりすぎ冷鍛性を著しく
低下させている。また,通常のSA条件であるdでは焼
入処理を省略しているため初析フェライト部に炭化物が
ない領域が存在するため平均粒子間隔が広くなり高周波
焼入性および限界圧縮率が低下している。
る高強度高周波焼入用鋼は重量基準でC:0.45〜
0.60%,Si:0.01〜0.15%,Mn:0.
10〜1.50%,Cr:0.10〜1.00%,B
:0.0005〜0.0050%,Ti:0.005
〜0.050%,s−Al:0.015〜0.050%
残部Feおよび不純物よりなる鋼を800〜1000℃
より焼入,さらに600℃〜A1cで炭化物の析出処理
をおこない,平均粒径が5μm以下の炭化物を平均粒子
間隔20μm以下で分散させることを特徴とし,優れた
冷鍛性と優れた高周波焼入性をあわせもつ冷鍛高周波焼
入用鋼を得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】重量基準で C :0.45〜0.60% Si:0.01〜0.15% Mn:0.10〜1.00% Cr:0.3%以下 B :0.0005〜0.0050% Ti:0.005〜0.050% s−Al:0.015〜0.050% 残部Feおよび不純物よりなる鋼において平均粒径が5
μm以下の炭化物を平均粒子間隔20μm以下で分散さ
せることを特徴とする冷鍛性に優れた高周波焼入用鋼。 - 【請求項2】重量基準で C :0.45〜0.60% Si:0.01〜0.15% Mn:0.10〜1.00% Cr:0.3%以下 B :0.0005〜0.0050% Ti:0.005〜0.050% s−Al:0.015〜0.050% 残部Feおよび不純物よりなる鋼を800〜1000℃
より焼入,さらに600℃〜A1cで炭化物の析出処理
をおこない,平均粒径が5μm以下の炭化物を平均粒子
間隔20μm以下で分散させることを特徴とする冷鍛性
に優れた高周波焼入用鋼の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11405296A JP3713805B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 冷鍛性に優れた高周波焼入用鋼とその製造法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09268344A true JPH09268344A (ja) | 1997-10-14 |
JP3713805B2 JP3713805B2 (ja) | 2005-11-09 |
Family
ID=14627838
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11405296A Expired - Fee Related JP3713805B2 (ja) | 1996-04-02 | 1996-04-02 | 冷鍛性に優れた高周波焼入用鋼とその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3713805B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008249044A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Nsk Ltd | 車輪支持用転がり軸受装置及びその軌道輪製造方法 |
KR20140044925A (ko) | 2011-09-09 | 2014-04-15 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 중탄소 강판, 켄칭 부재 및 그들의 제조 방법 |
US9840750B2 (en) | 2011-09-22 | 2017-12-12 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Medium carbon steel sheet for cold working and method for manufacturing the same |
-
1996
- 1996-04-02 JP JP11405296A patent/JP3713805B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR20140044925A (ko) | 2011-09-09 | 2014-04-15 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 중탄소 강판, 켄칭 부재 및 그들의 제조 방법 |
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