JPH09268099A - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
炭化珪素単結晶の製造方法Info
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- JPH09268099A JPH09268099A JP8103719A JP10371996A JPH09268099A JP H09268099 A JPH09268099 A JP H09268099A JP 8103719 A JP8103719 A JP 8103719A JP 10371996 A JP10371996 A JP 10371996A JP H09268099 A JPH09268099 A JP H09268099A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 大型で且つ高純度の炭化珪素(SiC)単結
晶を容易に且つ安価に製造することができる方法を提供
する。 【解決手段】 加熱された雰囲気(成長空間14)中で
Si蒸気と含C化合物ガスとを直接反応させ、SiC種
結晶12上にSiC単結晶15を成長させるSiC単結
晶の製造方法であって、Si蒸気の供給源として溶融S
i13からのSi蒸気を用い、含C化合物ガスとして炭
化水素ガス9(例えば、プロパンガス)を用いる方法。
晶を容易に且つ安価に製造することができる方法を提供
する。 【解決手段】 加熱された雰囲気(成長空間14)中で
Si蒸気と含C化合物ガスとを直接反応させ、SiC種
結晶12上にSiC単結晶15を成長させるSiC単結
晶の製造方法であって、Si蒸気の供給源として溶融S
i13からのSi蒸気を用い、含C化合物ガスとして炭
化水素ガス9(例えば、プロパンガス)を用いる方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、珪素(Si)蒸気
と炭化水素ガスとの直接反応による炭化珪素(SiC)
単結晶の製造方法に関するものである。
と炭化水素ガスとの直接反応による炭化珪素(SiC)
単結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高温動作素子、パワー素子、青色発光素
子等の半導体デバイスとして有用なSiC半導体の基板
となるSiC単結晶の成長方法として、従来より種々の
方法が知られている。従来のSiC単結晶の成長方法の
一つに昇華再結晶法がある。昇華再結晶法では、黒鉛坩
堝内で原料となる炭化珪素を昇華させ、坩堝内の低温部
に配した炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を再結
晶させる。この場合、良好な炭化珪素単結晶を得るた
め、原料となる炭化珪素及び炭化珪素基板の温度や坩堝
内の雰囲気を精密に制御する。
子等の半導体デバイスとして有用なSiC半導体の基板
となるSiC単結晶の成長方法として、従来より種々の
方法が知られている。従来のSiC単結晶の成長方法の
一つに昇華再結晶法がある。昇華再結晶法では、黒鉛坩
堝内で原料となる炭化珪素を昇華させ、坩堝内の低温部
に配した炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を再結
晶させる。この場合、良好な炭化珪素単結晶を得るた
め、原料となる炭化珪素及び炭化珪素基板の温度や坩堝
内の雰囲気を精密に制御する。
【0003】ところで、前記方法では原料となる炭化珪
素粉末の昇華は炭化珪素粉末の表面及び開口表面(昇華
面)の炭化珪素粉末から起こる。炭化珪素は、昇華に際
して一部分解し(例えば、Si蒸気,Si2 C蒸気,S
iC2 蒸気が生成する)、全体としては炭素よりも珪素
成分の多い蒸気(ガス)が放出されるため、結果とし
て、開口表面の炭化珪素粉末上に炭素層が残る。つま
り、前記方法においては、昇華した炭化珪素は昇華の途
中で炭素層を通過することとなるので、炭化珪素蒸気
(原料ガス)を安定した状態で供給することが困難であ
る。
素粉末の昇華は炭化珪素粉末の表面及び開口表面(昇華
面)の炭化珪素粉末から起こる。炭化珪素は、昇華に際
して一部分解し(例えば、Si蒸気,Si2 C蒸気,S
iC2 蒸気が生成する)、全体としては炭素よりも珪素
成分の多い蒸気(ガス)が放出されるため、結果とし
て、開口表面の炭化珪素粉末上に炭素層が残る。つま
り、前記方法においては、昇華した炭化珪素は昇華の途
中で炭素層を通過することとなるので、炭化珪素蒸気
(原料ガス)を安定した状態で供給することが困難であ
る。
【0004】昇華再結晶法における前記の問題を克服す
るために種々の方法が提案されている。例えば、特開平
6−128094号公報()には、炭化珪素原料を昇
華させ種結晶の上に炭化珪素単結晶を成長させる際、昇
華反応の経過に伴った昇華ガスの経時的な成分変動を相
殺する珪素成分ガス(例えば、シラン又はその誘導体)
及び/又は炭素成分ガス(例えば、メタン,エタン等の
炭化水素系ガス)を成長反応域に導入する炭化珪素単結
晶の製造方法が開示されている。
るために種々の方法が提案されている。例えば、特開平
6−128094号公報()には、炭化珪素原料を昇
華させ種結晶の上に炭化珪素単結晶を成長させる際、昇
華反応の経過に伴った昇華ガスの経時的な成分変動を相
殺する珪素成分ガス(例えば、シラン又はその誘導体)
及び/又は炭素成分ガス(例えば、メタン,エタン等の
炭化水素系ガス)を成長反応域に導入する炭化珪素単結
晶の製造方法が開示されている。
【0005】特開平6−298600号公報()に
は、粉末SiC原料を加熱昇華させて原料温度より低い
温度に保ったSiC単結晶からなる種結晶上にSiC単
結晶を成長させる昇華再結晶法において、SiC供給源
として粉末SiCとは別にSiを含むガスを供給するS
iC単結晶の成長方法が開示されている。
は、粉末SiC原料を加熱昇華させて原料温度より低い
温度に保ったSiC単結晶からなる種結晶上にSiC単
結晶を成長させる昇華再結晶法において、SiC供給源
として粉末SiCとは別にSiを含むガスを供給するS
iC単結晶の成長方法が開示されている。
【0006】特開平6−1698号公報()には、昇
華再結晶法によって種結晶上に炭化珪素単結晶を成長さ
せる炭化珪素バルク単結晶の製造方法において、炭化珪
素粉末に遷移金属の珪素化合物(例えば、珪化タングス
テン,珪化タンタル等)を添加する炭化珪素バルク単結
晶の製造方法が開示されている。
華再結晶法によって種結晶上に炭化珪素単結晶を成長さ
せる炭化珪素バルク単結晶の製造方法において、炭化珪
素粉末に遷移金属の珪素化合物(例えば、珪化タングス
テン,珪化タンタル等)を添加する炭化珪素バルク単結
晶の製造方法が開示されている。
【0007】特開平6−56596公報()には、種
結晶を用いた昇華再結晶法によって炭化珪素単結晶を成
長させる工程を包含する炭化珪素単結晶の製造方法であ
って、原料となる炭化珪素に窒化珪素を添加する工程を
含む炭化珪素単結晶の製造方法が開示されている。
結晶を用いた昇華再結晶法によって炭化珪素単結晶を成
長させる工程を包含する炭化珪素単結晶の製造方法であ
って、原料となる炭化珪素に窒化珪素を添加する工程を
含む炭化珪素単結晶の製造方法が開示されている。
【0008】前記のような昇華再結晶法以外には、例え
ば、特開平2−293398号公報()には、プラズ
マ反応空間(例えば、アーク放電空間)に含炭素化合物
蒸気と珪素蒸気を導入することによって高結晶質の炭化
珪素を製造する方法が開示されている。
ば、特開平2−293398号公報()には、プラズ
マ反応空間(例えば、アーク放電空間)に含炭素化合物
蒸気と珪素蒸気を導入することによって高結晶質の炭化
珪素を製造する方法が開示されている。
【0009】更に、京都で1995年に行われた“Si
C及び関連物質に関する国際会議(ICSCRM−9
5)”のテクニカル ダイジェスト(Technical Diges
t),p609()には、次式: SiH4 +C3 H8 →SiC で表わされる反応を1800℃〜2300℃で行うこと
によって炭化珪素のバルク単結晶が得られたという報告
がある。
C及び関連物質に関する国際会議(ICSCRM−9
5)”のテクニカル ダイジェスト(Technical Diges
t),p609()には、次式: SiH4 +C3 H8 →SiC で表わされる反応を1800℃〜2300℃で行うこと
によって炭化珪素のバルク単結晶が得られたという報告
がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
〜の方法によっても、昇華の際の炭化珪素の一部分解
による炭化珪素蒸気の組成変動を完全に補正することは
できず、炭化珪素の再結晶中に定常的な安定状態を得る
ことは困難である。又、不純物の少ない半導体グレード
の炭化珪素単結晶を成長させる場合には、それに見合う
高純度な炭化珪素原料粉末を供給する必要があるが、高
純度な炭化珪素原料粉末は一般に高価であり、それ故、
炭化珪素単結晶の製造がコスト高になるという問題を生
じる。
〜の方法によっても、昇華の際の炭化珪素の一部分解
による炭化珪素蒸気の組成変動を完全に補正することは
できず、炭化珪素の再結晶中に定常的な安定状態を得る
ことは困難である。又、不純物の少ない半導体グレード
の炭化珪素単結晶を成長させる場合には、それに見合う
高純度な炭化珪素原料粉末を供給する必要があるが、高
純度な炭化珪素原料粉末は一般に高価であり、それ故、
炭化珪素単結晶の製造がコスト高になるという問題を生
じる。
【0011】前記の方法を用いる場合、大きな炭化珪
素単結晶を得るためには大容積のプラズマ空間が必要と
なるが、大容積のプラズマ空間を得ることは一般に困難
である。このため製造装置が大型化し且つ高価になると
いう欠点がある。
素単結晶を得るためには大容積のプラズマ空間が必要と
なるが、大容積のプラズマ空間を得ることは一般に困難
である。このため製造装置が大型化し且つ高価になると
いう欠点がある。
【0012】前記の方法では、原料のシラン(SiH
4 )ガスが高価であるため、バルク単結晶の大量生産に
は不向きである。
4 )ガスが高価であるため、バルク単結晶の大量生産に
は不向きである。
【0013】このように、炭化珪素単結晶を製造する場
合において、再結晶法による結晶成長(〜の方法)
では安定して(定常的に)結晶成長させることが困難で
あり、又、高純度な単結晶が得られ難いため、得られた
炭化珪素単結晶の半導体基板としての電気的特性が劣化
する。又、その他の方法(,の方法)では安価に大
型の結晶を得ることは難しい。
合において、再結晶法による結晶成長(〜の方法)
では安定して(定常的に)結晶成長させることが困難で
あり、又、高純度な単結晶が得られ難いため、得られた
炭化珪素単結晶の半導体基板としての電気的特性が劣化
する。又、その他の方法(,の方法)では安価に大
型の結晶を得ることは難しい。
【0014】本発明者らは、上述の如き従来技術の問題
点を解決すべく鋭意研究した結果、本発明を成すに至っ
た。しかして、本発明の目的は、大型で且つ高純度の炭
化珪素単結晶を容易に且つ安価に製造することができる
方法を提供することにある。
点を解決すべく鋭意研究した結果、本発明を成すに至っ
た。しかして、本発明の目的は、大型で且つ高純度の炭
化珪素単結晶を容易に且つ安価に製造することができる
方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の炭化
珪素単結晶の製造方法は、加熱された雰囲気中で珪素蒸
気と含炭素化合物ガスとを直接反応させ、炭化珪素種結
晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製
造方法であって、珪素蒸気の供給源として溶融珪素から
の珪素蒸気を用い、含炭素化合物として炭化水素を用い
ることを特徴とする。
珪素単結晶の製造方法は、加熱された雰囲気中で珪素蒸
気と含炭素化合物ガスとを直接反応させ、炭化珪素種結
晶上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製
造方法であって、珪素蒸気の供給源として溶融珪素から
の珪素蒸気を用い、含炭素化合物として炭化水素を用い
ることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の方法に使用する炭化水素
は、常温で固体,液体,気体の何れの状態にあるもので
も、珪素蒸気との反応条件下でガス状であるものであれ
ばよい。常温で固体又は液体の炭化水素を用いる場合に
は、適する方法でガス化する。本発明の方法に使用し得
る代表的な炭化水素としては、例えば芳香族又は脂肪族
炭化水素が挙げられる。更に具体的には、芳香族炭化水
素としてはベンゼン,トルエン,キシレン等が挙げられ
る。又、脂肪族炭化水素としては、飽和炭化水素(例え
ば、CH4 ,C2 H6 ,C3 H8 等のパラフィン系炭化
水素)、不飽和炭化水素(例えば、C2 H4 などのオレ
フィン系炭化水素や、C2 H2 などのアセチレン系炭化
水素)が挙げられる。
は、常温で固体,液体,気体の何れの状態にあるもので
も、珪素蒸気との反応条件下でガス状であるものであれ
ばよい。常温で固体又は液体の炭化水素を用いる場合に
は、適する方法でガス化する。本発明の方法に使用し得
る代表的な炭化水素としては、例えば芳香族又は脂肪族
炭化水素が挙げられる。更に具体的には、芳香族炭化水
素としてはベンゼン,トルエン,キシレン等が挙げられ
る。又、脂肪族炭化水素としては、飽和炭化水素(例え
ば、CH4 ,C2 H6 ,C3 H8 等のパラフィン系炭化
水素)、不飽和炭化水素(例えば、C2 H4 などのオレ
フィン系炭化水素や、C2 H2 などのアセチレン系炭化
水素)が挙げられる。
【0017】炭化水素は、一種類のものを用いてもよい
し、又は、二種類以上のものを組み合わせて用いてもよ
い。又、炭化水素として常温で気体(ガス状)の炭化水
素を用いる場合、或いはガス状となった炭化水素の輸送
用に、必要に応じて、キャリアガス(例えば、Arなど
の不活性気体)を併用してもよい。又、必要であれば、
珪素蒸気の輸送用にもキャリアガスを用いてよい。
し、又は、二種類以上のものを組み合わせて用いてもよ
い。又、炭化水素として常温で気体(ガス状)の炭化水
素を用いる場合、或いはガス状となった炭化水素の輸送
用に、必要に応じて、キャリアガス(例えば、Arなど
の不活性気体)を併用してもよい。又、必要であれば、
珪素蒸気の輸送用にもキャリアガスを用いてよい。
【0018】本発明の方法で使用する成長装置(炭化珪
素単結晶の製造装置)の大きさや形状は、目的とする炭
化珪素単結晶の大きさや形状に応じて適宜選択する。
又、加熱雰囲気の温度などの反応条件も、炭化珪素単結
晶の大きさや形状、珪素蒸気や炭素水素ガスの供給速
度、炭素水素の種類、キャリアガスの種類や有無、等に
応じて適宜選択する。例えば、珪素蒸気と含炭素化合物
ガスとの反応が、2000℃<炭化珪素種結晶温度<2
500℃の条件下で行われることが好ましい。
素単結晶の製造装置)の大きさや形状は、目的とする炭
化珪素単結晶の大きさや形状に応じて適宜選択する。
又、加熱雰囲気の温度などの反応条件も、炭化珪素単結
晶の大きさや形状、珪素蒸気や炭素水素ガスの供給速
度、炭素水素の種類、キャリアガスの種類や有無、等に
応じて適宜選択する。例えば、珪素蒸気と含炭素化合物
ガスとの反応が、2000℃<炭化珪素種結晶温度<2
500℃の条件下で行われることが好ましい。
【0019】
【実施例】以下の実施例において、本発明を更に詳細に
説明する。実施例1: 本発明の実施例1を図1に基づいて説明す
る。図1は本発明の方法に用いるSiC単結晶の成長装
置の一例である。本成長装置の構成は次のようである。
上端に開口部を有する成長容器1とその開口部を覆う蓋
体2があり、成長容器1には軸中心にガス導入が容易な
軸中心管3が付設されており、又、容器中央部には容器
底部と開口部を仕切る中仕切り4が設置されている。但
し、中仕切り4には容器底部と開口部を結ぶ中仕切り管
5が設けられている。本実施例においては、成長容器1
の材質として高純度黒鉛を採用した。成長容器1の外側
には、それぞれ蓋部、中仕切り部、容器底部の温度を独
自に制御するための三つの発熱体6が設置されている。
蓋部、中仕切り部、容器底部の温度はそれぞれ光高温計
(図示せず)によって測定され、対応する発熱体6の出
力調整が行われる。
説明する。実施例1: 本発明の実施例1を図1に基づいて説明す
る。図1は本発明の方法に用いるSiC単結晶の成長装
置の一例である。本成長装置の構成は次のようである。
上端に開口部を有する成長容器1とその開口部を覆う蓋
体2があり、成長容器1には軸中心にガス導入が容易な
軸中心管3が付設されており、又、容器中央部には容器
底部と開口部を仕切る中仕切り4が設置されている。但
し、中仕切り4には容器底部と開口部を結ぶ中仕切り管
5が設けられている。本実施例においては、成長容器1
の材質として高純度黒鉛を採用した。成長容器1の外側
には、それぞれ蓋部、中仕切り部、容器底部の温度を独
自に制御するための三つの発熱体6が設置されている。
蓋部、中仕切り部、容器底部の温度はそれぞれ光高温計
(図示せず)によって測定され、対応する発熱体6の出
力調整が行われる。
【0020】成長容器1及び発熱体6は真空容器7に納
められ、真空ポンプ(図示せず)及び圧力調整弁8によ
って、反応雰囲気の圧力制御が可能になっている。又、
真空容器7を通じて、外部から軸中心管3に炭化水素ガ
ス9及びキャリアガス10(例えば、ArやH2 )を導
入できるようになっている。これらのガスはそれぞれ、
マスフローコントローラー(MFC)11によって流量
が調整される。
められ、真空ポンプ(図示せず)及び圧力調整弁8によ
って、反応雰囲気の圧力制御が可能になっている。又、
真空容器7を通じて、外部から軸中心管3に炭化水素ガ
ス9及びキャリアガス10(例えば、ArやH2 )を導
入できるようになっている。これらのガスはそれぞれ、
マスフローコントローラー(MFC)11によって流量
が調整される。
【0021】単結晶製造(単結晶成長)の手順について
説明する。成長容器1の底部に珪素粉末200gを充填
し、蓋体2にSiC種結晶12を貼付する。次いで成長
容器1を真空容器7内に設置し、1×10-6Torrまで真
空引きを行った後、Arガスにて5000Torrまで雰囲
気内のガス置換を行う。その後、発熱体6によって成長
容器1を加熱する。このとき、三つの発熱体6をそれぞ
れ制御することによって、原料珪素温度、仲仕切り温
度、種結晶温度をそれぞれ2100℃、2350℃、2
300℃に設定する。温度が安定した後、約1時間かけ
て雰囲気圧を10Torrまで低下させ、圧力調整弁8の開
閉を制御して雰囲気圧10Torrを維持する。これと同時
に40SCCM(standard cubic centimeter per minu
te:標準cm3 /分)のC3 H8 ガスと200SCCM
のArガスを軸中心管3からマスフローコントローラー
11を通じて導入する。
説明する。成長容器1の底部に珪素粉末200gを充填
し、蓋体2にSiC種結晶12を貼付する。次いで成長
容器1を真空容器7内に設置し、1×10-6Torrまで真
空引きを行った後、Arガスにて5000Torrまで雰囲
気内のガス置換を行う。その後、発熱体6によって成長
容器1を加熱する。このとき、三つの発熱体6をそれぞ
れ制御することによって、原料珪素温度、仲仕切り温
度、種結晶温度をそれぞれ2100℃、2350℃、2
300℃に設定する。温度が安定した後、約1時間かけ
て雰囲気圧を10Torrまで低下させ、圧力調整弁8の開
閉を制御して雰囲気圧10Torrを維持する。これと同時
に40SCCM(standard cubic centimeter per minu
te:標準cm3 /分)のC3 H8 ガスと200SCCM
のArガスを軸中心管3からマスフローコントローラー
11を通じて導入する。
【0022】成長容器1の底部に充填された珪素は加熱
されることによって溶融Si13となり、その温度に相
当する珪素蒸気圧を持つ。気化した珪素は仲仕切り管5
中を拡散して、SiC種結晶12の貼付された成長空間
14に到達する。一方、キャリアガス10によって輸送
されたC3 H8 ガスも軸中心管3を通って成長空間14
に導入される。これらのガスは成長空間14内で反応し
炭化珪素を生成して、Si種結晶12上並びに成長容器
1の上端部の内表面上に堆積する。Si種結晶12上に
堆積した炭化珪素はSiC単結晶15として成長した。
前記反応に寄与しなかったガスは蓋体2を通り次いで成
長容器1の外に放出される(放出路は図示せず)。
されることによって溶融Si13となり、その温度に相
当する珪素蒸気圧を持つ。気化した珪素は仲仕切り管5
中を拡散して、SiC種結晶12の貼付された成長空間
14に到達する。一方、キャリアガス10によって輸送
されたC3 H8 ガスも軸中心管3を通って成長空間14
に導入される。これらのガスは成長空間14内で反応し
炭化珪素を生成して、Si種結晶12上並びに成長容器
1の上端部の内表面上に堆積する。Si種結晶12上に
堆積した炭化珪素はSiC単結晶15として成長した。
前記反応に寄与しなかったガスは蓋体2を通り次いで成
長容器1の外に放出される(放出路は図示せず)。
【0023】前記状態を6時間維持した後、加熱を停止
してSiC単結晶15の製造(結晶成長)を終えた。結
晶成長によって、高さ約6mmのインゴットの形態のS
iC単結晶15がSiC種結晶12上に得られた。Si
C単結晶15の成長速度は平均1mm/時間であった。
又、得られたSiC単結晶15の不純物濃度をグロー
ディスチャージ マススペクトロスコピー(Glow Discha
rge Mass Spectroscopy)を用いて測定した。その結果、
SiC単結晶15中の不純物濃度は0.1ppm以下で
あり、極めて高純度な結晶であることが判明した。
してSiC単結晶15の製造(結晶成長)を終えた。結
晶成長によって、高さ約6mmのインゴットの形態のS
iC単結晶15がSiC種結晶12上に得られた。Si
C単結晶15の成長速度は平均1mm/時間であった。
又、得られたSiC単結晶15の不純物濃度をグロー
ディスチャージ マススペクトロスコピー(Glow Discha
rge Mass Spectroscopy)を用いて測定した。その結果、
SiC単結晶15中の不純物濃度は0.1ppm以下で
あり、極めて高純度な結晶であることが判明した。
【0024】実施例2:実施例1と同様の成長装置を用
いて炭化珪素単結晶の製造を行った。炭化珪素単結晶の
成長条件は実施例1と同様に、原料珪素温度、仲仕切り
温度、種結晶温度をそれぞれ2100℃、2350℃、
2300℃に設定し、40SCCMのC3 H8 ガスと2
00SCCMのArガスを軸中心管3から導入した。雰
囲気圧力を10Torrとして18時間結晶成長を行ったと
ころ、高さ約18mmのインゴットの形態のSiC単結
晶15が得られた。SiC単結晶15の成長速度は平均
1mm/時間であった。実施例1の結果と本実施例の結
果から、SiC単結晶15の成長速度は成長時間の変動
にかかわらず一定であることが示された。本実施例終了
後も成長容器1の底部には珪素が残存していたことか
ら、炭化珪素単結晶の結晶成長の終了時点においても、
加熱温度に相当する珪素の蒸気圧が保持されていたこと
が推察された。
いて炭化珪素単結晶の製造を行った。炭化珪素単結晶の
成長条件は実施例1と同様に、原料珪素温度、仲仕切り
温度、種結晶温度をそれぞれ2100℃、2350℃、
2300℃に設定し、40SCCMのC3 H8 ガスと2
00SCCMのArガスを軸中心管3から導入した。雰
囲気圧力を10Torrとして18時間結晶成長を行ったと
ころ、高さ約18mmのインゴットの形態のSiC単結
晶15が得られた。SiC単結晶15の成長速度は平均
1mm/時間であった。実施例1の結果と本実施例の結
果から、SiC単結晶15の成長速度は成長時間の変動
にかかわらず一定であることが示された。本実施例終了
後も成長容器1の底部には珪素が残存していたことか
ら、炭化珪素単結晶の結晶成長の終了時点においても、
加熱温度に相当する珪素の蒸気圧が保持されていたこと
が推察された。
【0025】実施例1及び実施例2では、炭化珪素の種
結晶として直径10mmの種結晶を用いたが、これによ
って直径17mmの炭化珪素単結晶が得られた。得られ
た炭化珪素単結晶(成長結晶)を種結晶として用いるこ
とによって、更に大きな炭化珪素単結晶を得ることがで
きる。本発明の方法において成長容器1の大きさを拡大
することによって、3インチ、4インチといった大きな
炭化珪素種結晶を用いる大型の炭化珪素単結晶の製造も
可能である。
結晶として直径10mmの種結晶を用いたが、これによ
って直径17mmの炭化珪素単結晶が得られた。得られ
た炭化珪素単結晶(成長結晶)を種結晶として用いるこ
とによって、更に大きな炭化珪素単結晶を得ることがで
きる。本発明の方法において成長容器1の大きさを拡大
することによって、3インチ、4インチといった大きな
炭化珪素種結晶を用いる大型の炭化珪素単結晶の製造も
可能である。
【0026】炭化珪素単結晶の製造において、実施例1
及び2で用いた成長条件に限らず、おおよそ下記のよう
な成長条件であれば、単結晶成長が可能であることが判
明した。なお、この場合の炭化水素はプロパン(C3 H
8 )である。 1)1600℃<原料珪素温度<2200℃ 2)2000℃<炭化珪素種結晶温度<2500℃ 3)仲仕切り温度=炭化珪素種結晶温度+ΔT,10℃
<ΔT<200℃ 4)雰囲気圧:1〜100Torr 5)C3 H8 流量:10〜1000SCCM(C3 H8
流量は原料温度に依存する)
及び2で用いた成長条件に限らず、おおよそ下記のよう
な成長条件であれば、単結晶成長が可能であることが判
明した。なお、この場合の炭化水素はプロパン(C3 H
8 )である。 1)1600℃<原料珪素温度<2200℃ 2)2000℃<炭化珪素種結晶温度<2500℃ 3)仲仕切り温度=炭化珪素種結晶温度+ΔT,10℃
<ΔT<200℃ 4)雰囲気圧:1〜100Torr 5)C3 H8 流量:10〜1000SCCM(C3 H8
流量は原料温度に依存する)
【0027】前記実施例では、炭化水素としてC3 H8
を用いたが、その他の炭化水素(例えば、CH4 ,C2
H2 ,C2 H6 等の炭化水素)を用いても勿論よい。
又、単結晶中にドーピングを行った炭化珪素単結晶を得
るためには、例えば、キャリアガスにドーパントとなる
原料を含むガスを混入させ、成長空間に導入すればよ
い。他に、炭化水素中や原料珪素中にドーパントを混入
させるなどの変法も適用可能である。
を用いたが、その他の炭化水素(例えば、CH4 ,C2
H2 ,C2 H6 等の炭化水素)を用いても勿論よい。
又、単結晶中にドーピングを行った炭化珪素単結晶を得
るためには、例えば、キャリアガスにドーパントとなる
原料を含むガスを混入させ、成長空間に導入すればよ
い。他に、炭化水素中や原料珪素中にドーパントを混入
させるなどの変法も適用可能である。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法で用いられる原料の珪素や
炭化水素は安価に高純度なものが得られ、又、本発明の
方法において、成長容器の大型化によって大型の炭化珪
素単結晶を得ることも容易である。それ故、本発明の方
法により、大型で且つ高純度の炭化珪素単結晶を容易に
且つ安価に製造することができる。又、本発明の方法は
各種の変法も可能であり、所望により、ドーピングされ
た炭化珪素単結晶を得ることもできるので、適用範囲が
広い。
炭化水素は安価に高純度なものが得られ、又、本発明の
方法において、成長容器の大型化によって大型の炭化珪
素単結晶を得ることも容易である。それ故、本発明の方
法により、大型で且つ高純度の炭化珪素単結晶を容易に
且つ安価に製造することができる。又、本発明の方法は
各種の変法も可能であり、所望により、ドーピングされ
た炭化珪素単結晶を得ることもできるので、適用範囲が
広い。
【0029】特に、本発明の方法において、珪素蒸気と
含炭素化合物ガスとの反応を、2000℃<炭化珪素種
結晶温度<2500℃の条件下で行うことにより、種々
の炭化水素を原料として用いても炭化水素が熱分解され
て炭素源が生じるので、炭化珪素種結晶上に炭化珪素単
結晶を容易に得ることができる。
含炭素化合物ガスとの反応を、2000℃<炭化珪素種
結晶温度<2500℃の条件下で行うことにより、種々
の炭化水素を原料として用いても炭化水素が熱分解され
て炭素源が生じるので、炭化珪素種結晶上に炭化珪素単
結晶を容易に得ることができる。
【図1】本発明の方法に用いるSiC単結晶成長装置の
一例を示す説明図である。
一例を示す説明図である。
1:成長容器 2:蓋体 3:軸中心管 4:仲仕切り 5:仲仕切り管 6:発熱体 7:真空容器 8:圧力調整
弁 9:炭化水素ガス 10:キャリ
アガス 11:マスフローコントローラー 12:SiC
種結晶 13:溶融Si 14:成長空
間 15:SiC単結晶
弁 9:炭化水素ガス 10:キャリ
アガス 11:マスフローコントローラー 12:SiC
種結晶 13:溶融Si 14:成長空
間 15:SiC単結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 俊彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 神谷 信雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 加熱された雰囲気中で珪素蒸気と含炭素
化合物ガスとを直接反応させ、炭化珪素種結晶上に炭化
珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法であ
って、 珪素蒸気の供給源として溶融珪素からの珪素蒸気を用
い、含炭素化合物として炭化水素を用いることを特徴と
する炭化珪素単結晶の製造方法。 - 【請求項2】 珪素蒸気と含炭素化合物ガスとの反応
が、2000℃<炭化珪素種結晶温度<2500℃の条
件下で行われることを特徴とする請求項1記載の炭化珪
素単結晶の製造方法。
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US08/820,888 US5964944A (en) | 1996-03-29 | 1997-03-21 | Method of producing silicon carbide single crystal |
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JPH09268099A true JPH09268099A (ja) | 1997-10-14 |
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ID=14361506
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- 1996-03-29 JP JP10371996A patent/JP3384242B2/ja not_active Expired - Fee Related
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- 1997-03-21 US US08/820,888 patent/US5964944A/en not_active Expired - Fee Related
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