JPH09267402A - フライホイールおよびその製造方法 - Google Patents

フライホイールおよびその製造方法

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JPH09267402A
JPH09267402A JP8081241A JP8124196A JPH09267402A JP H09267402 A JPH09267402 A JP H09267402A JP 8081241 A JP8081241 A JP 8081241A JP 8124196 A JP8124196 A JP 8124196A JP H09267402 A JPH09267402 A JP H09267402A
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reinforcing fibers
flywheel
fiber
epoxy resin
resin
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JP8081241A
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Masazumi Enou
正純 得納
Shoji Yamane
祥司 山根
Kasumi Matsukisono
佳澄 松木園
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高速回転しても亀裂が生じにくい、優れた耐久
性を有するフライホイールを提供する。 【解決手段】補強繊維が一方向に引き揃えられたエポキ
シ樹脂プリプレグを、前記補強繊維が周方向に配向する
よう周巻きしてなる繊維強化プラスチックからなるフラ
イホイールであって、前記繊維強化プラスチック中のボ
イド率が3%以下であることを特徴とするフライホイー
ル、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた強度を発揮
するフライホイールおよびその製造方法に関し、さらに
詳しくは、優れた強度を発揮するエネルギー貯蔵用フラ
イホイールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミ
ド繊維などの補強繊維とエポキシ樹脂からなる繊維強化
プラスチックは、金属材料などに比べて比強度が高いこ
とが特長であり、単位重量当りに貯えられるエネルギー
が大きくなる利点を生かして、エネルギー貯蔵用フライ
ホイールに使われようとしている。フライホイールの成
形には、繊維強化プラスチック中の繊維配列方向を厳密
にコントロールしやすい等の点から、通常フィラメント
ワインディング法(以下FW法と略する)が好ましく使
用されている。また、フライホイールは高速回転に伴う
大きな遠心力を受けるため、亀裂の発生による破壊を引
き起こしやすい。日本複合材料学会誌 第8巻 第4号
(1982)128〜135ページによれば、FW法で
成形したフライホイールの検討例を挙げている。例えば
断面形状を変化させた繊維強化プラスチック製のフライ
ホイールがFW法で作製されているが、かかるフライホ
イールは回転試験中に周方向剥離が生じたと報告されて
いる。また、一方向Sガラス繊維/エポキシ樹脂あるい
は一方向炭素繊維/エポキシ樹脂を擬似等方性に積層
後、その断面形状を機械加工によりテーパー形にしたフ
ライホイールが記載されているが、かかるフライホイー
ルは高速回転中に層間剥離を生じて破壊したと報告され
ている。さらに、補強繊維を内側からSガラス/ケブラ
ー29/ケブラー49の順で積層したフライホイール等
があるが、いずれも高速回転試験中に破損したと報告さ
れている。
【0003】このように、FW法を用いて製造されたフ
ライホイールについて、亀裂発生を抑制すべく、その構
成を変化させるなどの検討が種々なされているが、何れ
も十分に満足できる結果に結び付いていないのが現状で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
に鑑みてなされたものであり、高速回転しても亀裂が生
じにくい、優れた耐久性を有するフライホイールを提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のフライホイール
は、上記課題を達成するために次の構成を有する。すな
わち、補強繊維が一方向に引き揃えられたエポキシ樹脂
プリプレグを、前記補強繊維が周方向に配向するよう周
巻きした繊維強化プラスチックからなるフライホイール
であって、前記繊維強化プラスチック中のボイド率が3
%以下であることを特徴とするフライホイールである。
【0006】また、本発明のフライホイールの製造方法
は、上記課題を達成するために次の構成を有する。すな
わち、巻き芯に、補強繊維が一方向に引き揃えられたエ
ポキシ樹脂プリプレグを、前記補強繊維が周方向に配向
するよう、かつ、張力を24,000フィラメント当た
り5〜100Nとして、周巻きして後、加熱硬化せしめ
て中空円筒体を得、その後該中空円筒体を輪切りするこ
とを特徴とするフライホイールの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0008】本発明のフライホイールは、補強繊維が一
方向に引き揃えられたエポキシ樹脂プリプレグを、前記
補強繊維が周方向に配向するよう周巻きしてなる繊維強
化プラスチックからなる。
【0009】本発明において、エポキシ樹脂プリプレグ
は、エポキシ樹脂組成物と補強繊維とからなり、補強繊
維は一方向に引き揃えられている。エポキシ樹脂組成物
は以下に示したポリエポキシドと硬化剤を主成分として
含有する。
【0010】ポリエポキシドは、分子中に平均して1個
より多いエポキシ基を有する化合物であり、このエポキ
シ基は末端基として存在するものであってもよく、また
分子内部にあってもよい。ポリエポキシドは、飽和ある
いは不飽和の脂肪族、環状脂肪族、芳香族または複素環
式化合物であってもよく、さらにハロゲン原子、水酸
基、エーテル基等を含む化合物であってもよい。例え
ば、ビスフェノールA、FおよびSのグリシジル化合
物、クレゾールノボラックまたはフェノールノボラック
のグリシジル化合物、芳香族アミンのグリシジル化合物
および環状脂肪族エポキシ樹脂などがある。
【0011】本発明で使用される硬化剤としては、ポリ
アミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン
などが挙げられる。
【0012】この他、エポキシ樹脂組成物への配合剤と
して、熱可塑性樹脂、エラストマー、無機粒子、反応性
希釈剤、硬化促進剤などを適宜組み合わせて使用するこ
とができる。
【0013】本発明で用いる補強繊維としては、炭素繊
維(黒鉛繊維を含む)、ガラス繊維、アラミド繊維、窒
化珪素繊維などを単独もしくは組み合わせて使用でき
る。しかし、フライホイールの力学物性を低下させるこ
となく軽量化し、そのエネルギー密度を高くするために
は炭素繊維を必須の補強繊維として使用することが好ま
しい。
【0014】本発明のフライホイールは、それを構成す
る繊維強化プラスチック中のボイド率が3.0%以下で
ある。ボイド率が3.0%を越えるフライホイールは、
それを例えば20,000rpm以上の高速回転で使用
すると、亀裂が多数発生して損傷がひどくなるために好
ましくない。ボイド率は以下のようにして測定すること
ができる。
【0015】すなわち、フライホイールを構成する繊維
強化プラスチックを繊維方向と直角にほぼ均等な間隔で
5箇所で切断し、その5箇所の各断面をサンディングペ
ーパーで研磨した後に実体顕微鏡を用いて、各断面につ
いて100倍に拡大した像を写真撮影する。個々の断面
について、写真像を複写して、繊維強化プラスチックの
断面部分を切り取り、その重量(W)を測定してから、
次いでボイドに相当する黒色部分を切り取って重量
(w)を測定する。繊維強化プラスチック中のボイド率
(%)は、100×w/Wで求められる個々の切断面で
のボイド率を5箇所の切断面で平均した値として求めら
れる。
【0016】また本発明のフライホイールを構成する繊
維強化プラスチックにおいて、補強繊維として、弾性率
の異なる少なくとも2種の補強繊維を用い、それら補強
繊維のうち、弾性率が小さい補強繊維をフライホイール
の内層側に、弾性率が大きい補強繊維をフライホイール
の外層側に配することが好ましい。外層に配する補強繊
維の弾性率と内層に配する補強繊維の弾性率の比は、好
ましくは1.1〜12、より好ましくは1.2〜10で
あるのがよい。かかる比が、1.1より小さいと遠心力
による伸びの是正効果を十分に発揮せしめることができ
ず、12より大きいと内層が圧縮破壊することがある。
高速回転による遠心力の受け方はフライホイールの内層
よりも外層の方が大きくなるが、かかる構成を取ること
によって伸びの不均等を是正できるのである。弾性率の
異なる補強繊維としては、例えば炭素繊維の内、弾性率
の異なる品種であっても良いし、種類の異なる補強繊維
の組み合わせであっても良い。たとえば、炭素繊維とガ
ラス繊維の組み合わせにおいては、ガラス繊維を内層側
に、炭素繊維を外層側に配するのがよい。
【0017】本発明のフライホイールにおいて、繊維強
化プラスチックが上記構造を有しているので、層と層の
間に段差が生じることはなく、従ってボイドなどの欠点
が少なくするメリットを有し、具体的にはボイド率を前
記範囲とすることができる。本発明のフライホイールに
おいて、エポキシ樹脂プリプレグの幅、すなわちフライ
ホイールの高さは、好ましくは10〜500mm、より
好ましくは80〜400mmとする。幅が10mmに満
たない場合はフライホイールの重量が小さすぎて蓄エネ
ルギー量が少なくなり、逆に500mmを越える大型の
フライホイールの場合、成形時の割れを防止するために
複数の成形パターンを組み合わせたり、昇温・降温スピ
ードを極端に小さくすることが必要になり成形に要する
時間が長くなることがある。
【0018】また、本発明のフライホイールは中空部分
の直径が好ましくは20〜500mm、より好ましくは
50〜350mmであり、(外径−内径)/2の値が好
ましくは20〜300mm、より好ましくは30〜20
0mmの範囲の中空円盤または円柱構造であることが好
ましい。中空部分の直径が20mm未満の時にはフライ
ホイールを取り付けるローターの直径が小さくなり、安
定した高速回転を維持することが困難となることがあ
り、逆に中空部分の直径が500mmを越えると、フラ
イホイールとローターとの間にスポークなどを介して結
合することが必要となり安定な取り付けが困難となるこ
とがある。また、(外径−内径)/2の値が20mm未
満であった場合、フライホイールの重量が小さすぎて蓄
エネルギー量が少なくなり、逆に(外径−内径)/2の
値が300mmを越えると、前述したように大型の繊維
強化プラスチックを成形する困難に直面することにな
る。
【0019】本発明においては上述した優れた性能を有
するフライホイールの製造方法をも開示している。すな
わち、巻き芯に、補強繊維が一方向に引き揃えられたエ
ポキシ樹脂プリプレグを、前記補強繊維が周方向に配向
するよう周巻きして後、加熱硬化せしめて得られる中空
円筒体を輪切りするのである。FW法では繊維束と繊維
束の間に空間が生じやすく、また樹脂含浸繊維束の含浸
性が不良となりやすいために、しばしば繊維強化プラス
チック中にボイドが多発する。
【0020】補強繊維が一方向に引き揃えられたエポキ
シ樹脂プリプレグは、前記したエポキシ樹脂組成物を一
方向に引き揃えた補強繊維に含浸させることによって製
造することができる。このようなエポキシ樹脂プリプレ
グは、ウエット法またはホットメルト法によって製造す
ることができる。ウエット法では、メチルエチルケトン
などのエポキシ樹脂溶解能を有する溶媒にエポキシ樹脂
組成物を均一に混合した後に、この中に一方向に引き揃
えた補強繊維を所望の繊維含有量となるように浸漬・走
行させた後に熱風乾燥機等の中で溶媒を揮発させる。こ
の時、しごきロール等を使用して補強繊維に対する樹脂
の含浸性を向上させることができる。一方、ホットメル
ト法では、各樹脂成分をニーダーなどで溶剤を使用せず
に均一に混練した樹脂組成物を、シリコーン等をコーテ
ィングした離型性の紙またはフィルム上に均一に塗布し
た樹脂フィルムを一旦作製する。次いで、一方向に引き
揃えた補強繊維の少なくとも一方の面に上記樹脂フィル
ムを使用して離型性の紙またはフィルムで挟み込み、加
熱・加圧して樹脂を含浸させる。このようにして作製し
たエポキシ樹脂プリプレグはFW法に比べて樹脂の含浸
性を良好なものとすることができるので、繊維強化プラ
スチック中にボイドが発生しにくくし、繊維強化プラス
チック中のボイド率を前記範囲とし得るというメリット
を有する。
【0021】特に、補強繊維として、弾性率の異なる少
なくとも2種の補強繊維を用いたエポキシ樹脂プリプレ
グを用い、それらのうち、弾性率が小さい補強繊維を用
いたエポキシ樹脂プリプレグを周巻きして後、その上か
ら弾性率が大きい補強繊維を用いたエポキシ樹脂プリプ
レグを周巻きすることにより、前記本発明の好ましい態
様のフライホイールを得ることができる。
【0022】エポキシ樹脂プリプレグ中に補強繊維が占
める重量比率、いわゆるWfは好ましくは45〜80%、
より好ましくは60〜76%とする。Wfが45%より小
さいとフライホイールの単位体積質量あたりの許容応力
が低くなりがちであり、逆にWfが80%を越えると樹
脂の含浸状態が悪くなりフライホイール中にホイドなど
の欠点が生じやすくなる。
【0023】本発明において用いるエポキシ樹脂プリプ
レグは、その幅を好ましくは50〜2,000mm、よ
り好ましくは250〜1,500mmとするものを用い
る。幅が50mmに満たない場合は一回の周巻き工程で
得られるフライホイールの数が少なくなり生産性が低く
なる。また、このように幅の狭いエポキシ樹脂プリプレ
グを使用して大型の成形品を作製しようとすると、FW
法の場合と同様に段差が発生して成形品中にボイドが多
発することがある。逆に幅が2,000mmを越えると
エポキシ樹脂プリプレグに皺などの欠点が発生しやすく
なり、また樹脂や繊維の目付が安定しにくくなる。
【0024】本発明において用いる巻き芯は、通常、そ
の直径が20〜500mmの円筒状であり、エポキシ樹
脂プリプレグを巻き付け厚みが20〜300mmとなる
ように周巻きする。この時、エポキシ樹脂プリプレグ製
造工程で一旦巻き取ったプリプレグを改めて周巻き工程
で巻き出して使用しても良いし、エポキシ樹脂プリプレ
グ製造工程で直接巻き芯に巻き取る方法を取ってもよ
い。また、エポキシ樹脂プリプレグに離型紙や離型フィ
ルムなどが貼付している場合には、周巻き時に除去する
必要がある。さらに周巻きする際にエポキシ樹脂プリプ
レグに掛かる張力の値は、例えば24,000本のフィ
ラメントからなるストランドを考えた場合、5〜100
N、好ましくは10〜80Nの範囲とするのがよい。張
力が5Nより小さいとプリプレグ層間に気泡が残存しや
すくなり繊維強化プラスチック中のボイドの一因となり
やすい。逆に、張力が100Nより大きいと積層体の形
が崩れて対称なフライホイールが成形できない場合が多
い。これは一方向プリプレグを使用しているために繊維
横方向の結束力が小さいためである。
【0025】このようにして作製された積層体は巻き芯
ごとエポキシ樹脂組成物が硬化する条件で成形する。成
形方法は通常の繊維強化エポキシ樹脂を成形する何れの
方法であってもよい。例えば、セロファンテープやポリ
プロピレンなどの熱可塑性テープで積層体をラッピング
した後に硬化炉中で成形する方法がある。この場合の熱
可塑性テープのラッピング張力は0.5〜5.0Kgf
/cm2 (49〜490KPa)の範囲が好ましく使用
される。また、ナイロンなどの熱可塑性フィルムで積層
体を真空パックした後にオートクレーブ中で成形する方
法がある。この場合のオートクレーブ中の圧力は1.0
〜10.0Kgf/cm2 (98〜980KPa)の範
囲が好ましく使用される。何れの成形方法を採用した場
合にも成形温度および昇温・降温スピードはエポキシ樹
脂と硬化剤の組み合わせによって種々の設定が可能であ
るが、通常は成形温度が室温〜200℃であり、昇温・
降温スピードは0.1〜5.0℃/ 分の範囲が好ましく
使用される。繊維強化プラスチックの割れなどの欠点を
最小限にするためには、成形温度を室温〜130℃、昇
温・降温スピードを0.1〜3.0℃/ 分の範囲とする
ことがさらに好ましい。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。
【0027】(実施例1)液状ビスフェノールAエポキ
シ(油化シェルエポキシ社製“エピコート”(商標)8
28)70部、固形ビスフェノールAエポキシ(油化シ
ェルエポキシ社製“エピコート”(商標)1001)3
0部、硬化剤としてジシアンジアミド5重量部および3
−(3、4−ジクロロフェニル)−1、1−ジメチル尿
素5重量部とを均一に混合して一液硬化エポキシ樹脂組
成物を得た。この樹脂組成物を離型紙にコーティングし
た樹脂フィルムを作製し、一方向に引き揃えた炭素繊維
“トレカ”(登録商標)T700SC-12K(東レ(株)製、弾
性率230GPa)を上下から挟みこんで加熱・加圧し
てエポキシ樹脂組成物が炭素繊維中に均一に含浸した幅
1,000mのプリプレグ(CF目付170g/m2
Wf64%)を得た。このプリプレグを直径150mm のマン
ドレル上に、マンドレルの長手方向に対して90°とな
る構成で、離型紙を剥がしながら幅1,000mmに渡
って巻き付け厚みが50mmになるまで巻き付けを行い、表
面より熱収縮テープをラッピング巻きした。このときの
張力はフィラメント24,000本当り3Kgf(29
N)であった。得られた積層体を80℃×5時間、さら
に110℃×5時間の条件で硬化させた。マンドレルを
抜き取った後に輪切りにして、高さ150mmのフライ
ホイールを得た(Wf66%)。このフライホイールにつ
いて、補強繊維に対して直角方向の5ヶ所の異なる断面
を観察したところ、ボイド率の平均は2.1%であっ
た。また、このディスクを高速回転ローターに取り付け
て約20,000rpmで5時間保持したが、ディスク
の外観には何等の損傷も見られなかった。
【0028】(実施例2)実施例1と同じエポキシ樹脂
組成物をマトリックスとし、補強繊維としては東レ社製
の炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700SC−12
Kの他に同社製の炭素繊維“トレカ”(登録商標)M3
0SC−18K(弾性率294GPa)および日東紡社
製ガラス繊維ECD900−1/0 1Zを使用して、
夫々実施例1と同様にして一方向プリプレグを作製し
た。次いで直径150mmのマンドレル上に、マンドレ
ルの長手方向に対して直角となる構成で幅1,000m
mに渡ってガラス繊維ECD900−1/0 1Z使い
の前記プリプレグを、巻き付け厚みが20mmになるま
で巻き付けを行い、さらにその上から炭素繊維“トレ
カ”(登録商標)T700SC−12K使いの前記プリ
プレグを、トータル巻き付け厚みが35mmになるまで
巻きつけを行った。最後に、この巻き付け体の上に炭素
繊維“トレカ”(登録商標)M30SC−18K使いの
前記プリプレグを、トータル巻き付け厚みが50mmに
なるまで巻き付けてから、表面に熱収縮テープをラッピ
ング巻きした。実施例1と同様にして成形した後にマン
ドレルを抜き取り輪切りにして、高さ150mmのフラ
イホイールを得た(Wf65%)。このフライホイールに
ついて、補強繊維に対して直角方向の5ヶ所の異なる断
面を観察したところ、ボイド率の平均は1.9%であっ
た。また、このフライホイールを高速回転ローターに取
り付けて約20,000rpmで5時間保持したが、フ
ライホイールの外観には何等の損傷も見られなかった。
【0029】(比較例1)実施例1のエポキシ樹脂組成
物をトリクレン/エタノール混合溶媒(1/1比)24
0部に溶解し均一透明な溶液を調製した。この溶液をフ
ィラメントワインディング装置の含浸槽に入れ、サプラ
イボビンから引き出した“トレカ”(登録商標)炭素繊
維T700SC−12Kを該含浸槽に浸漬後、出口にセ
ットしたガラス細管中に樹脂含浸繊維束を通過させるこ
とによって過剰の樹脂を除去した。次いで約50℃の熱
風乾燥機中で溶剤を揮散させた後に直径150mmのマ
ンドレル上に、マンドレルの長手方向に対して直角とな
る構成で幅1,000mmに渡って巻き付け厚みが50
mmになるまで巻き付けを行い、表面に熱収縮テープを
ラッピング巻きした。次いで実施例1と同様に成形し高
さ150mmのフライホイールを得た(Wf68%)。こ
のフライホイールについて、補強繊維に対して直角方向
の5ヶ所の異なる断面を観察したところ、ボイド率の平
均は3.5%であった。また、このフライホイールを高
速回転ローターに取り付けて約20,000rpmで回
転させたところ1時間経過後に破壊した。
【0030】(比較例2)プリプレグをマンドレルに巻
き付けるときの張力を、フィラメント24,000本当
り0.2Kgf(2.0N)とした以外は、実施例1と
同様にしてWf63%のフライホイールを成形した。こ
のフライホイールについて、補強繊維に対して直角方向
の5ヶ所の異なる断面を観察したところ、ボイド率の平
均は3.9%であった。また、このフライホイールを高
速回転ローターに取り付けて約20,000rpmで回
転させたところ1時間経過後に破壊した。
【0031】
【発明の効果】本発明のフライホイールは、高速回転に
よる遠心力に対しても亀裂が生じにくく十分な抵抗力を
有している。従って、これまでの繊維強化プラスチック
製のフライホイールに比べて高速回転時の耐久性を格段
に優れたものとできる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:08 307:04 309:08 B29L 31:32

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】補強繊維が一方向に引き揃えられたエポキ
    シ樹脂プリプレグを、前記補強繊維が周方向に配向する
    よう周巻きした繊維強化プラスチックからなるフライホ
    イールであって、前記繊維強化プラスチック中のボイド
    率が3%以下であることを特徴とするフライホイール。
  2. 【請求項2】補強繊維が、弾性率の異なる少なくとも2
    種の補強繊維であり、それら補強繊維のうち、弾性率が
    小さい補強繊維を内層に、弾性率が大きい補強繊維を外
    層に配することを特徴とする請求項1記載のフライホイ
    ール。
  3. 【請求項3】弾性率の異なる少なくとも2種の補強繊維
    が、いずれも炭素繊維であることを特徴とする請求項2
    記載のフライホイール。
  4. 【請求項4】弾性率が小さい補強繊維がガラス繊維であ
    り、弾性率が大きい補強繊維が炭素繊維であることを特
    徴とする請求項2記載のフライホイール。
  5. 【請求項5】内径が20〜500mm、( 外径−内径)
    /2が20〜300mm、幅が10〜500mmの中空
    円盤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のフライホイール。
  6. 【請求項6】巻き芯に、補強繊維が一方向に引き揃えら
    れたエポキシ樹脂プリプレグを、前記補強繊維が周方向
    に配向するよう、かつ、張力を24,000フィラメン
    ト当たり5〜100Nとして、周巻きして後、加熱硬化
    せしめて中空円筒体を得、その後該中空円筒体を輪切り
    することを特徴とするフライホイールの製造方法。
  7. 【請求項7】補強繊維が一方向に引き揃えられたエポキ
    シ樹脂プリプレグが、その幅を50〜2,000mmと
    するものであることを特徴とする請求項6記載のフライ
    ホイールの製造方法。
  8. 【請求項8】巻き芯が直径20〜500mmの円筒状で
    あり、中空円筒体がその肉厚を20〜300mmとする
    ものであり、かつ、中空円筒体を輪切りする際の間隔が
    10〜500mmであることを特徴とする請求項6また
    は請求項7記載のフライホイールの製造方法。
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