JPH0925996A - 振動吸収台 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 精密機器や美術工芸品などを載置する台であ
って、特に上下振動を効果的に吸収して載置物品を振動
から保護する。 【解決手段】 底板１の上面側に４個のバネ付き連動リ
ンク機構４と１本の油圧ダンパ１０からなる可動連結機
構を介して台板５が水平に搭載されている。台板５の下
面に固着される上部ブラケット１３と底板１の上面に固
着される下部ブラケット１４との間に４本のリンク１５
〜１８が菱形に連結されている。リンク１５と１７の上
端部の外周にはそれぞれセクタ歯車Ｇ１とＧ２が形成さ
れており、歯車Ｇ１とＧ２とが噛み合っている。リンク
１６と１８の下端部の外周にはそれぞれセクタ歯車Ｇ３
とＧ４が形成されており、歯車Ｇ３とＧ４とが噛み合っ
ている。軸ａまわりのリンク１５の回動と軸ｃまわりの
リンク１７の回動とが連動し、軸ｂまわりのリンク１６
の回動と軸ｄまわりのリンク１８の回動とが連動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば精密機器
や美術工芸品などを載置する振動吸収台に関し、特に、
激しい上下振動を吸収して載置物品を保護するための振
動吸収台に関する。

【０００２】

【従来の技術】地震などによる激しい振動が建物に及ぶ
のをできるだけ少なくするために、さまざまな制振・免
振技術が開発されている。例えば、こわれやすい精密機
器や美術工芸品などを収容する室内に関しては免振床構
造が適用されている。まず地盤から建物躯体に伝わる振
動を抑制し、さらに振動に弱い重要な物品を収容してい
る部屋の床に伝わる振動を免振床構造で抑制する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の多くの免振床構
造は、主に水平振動に対して免振効果を発揮する構造で
ある。一部には上下振動に対しても有効な免振床構造も
知られているが、それは機構が複雑で床高さが著しく高
くなため、結果として階高が高くなる。そのため、必要
な階数を実現するのに建物の高さが著しく高くなり、高
さ制限のある地域では希望の階数を実現できないなどの
問題を生じる。

【０００４】大地震時には、これまで考えられていた以
上に上下方向の地震力が働くことが指摘されはじめてい
る。もっぱら水平振動に対して有効な免振床構造では、
精密機器や美術工芸品の陳列棚を室内の床上に置いてい
た場合に、地震時に免振効果により陳列棚の転倒を免れ
たとしても、激しい上下振動の衝撃により陳列棚に設置
してある物品が損傷する可能性が高い。

【０００５】この発明は前記のような背景に鑑みなされ
たもので、その目的は、例えば精密機器や美術工芸品な
どを載置する台であって、特に上下振動を効果的に吸収
して載置物品を振動から保護する目的で使用する振動吸
収台を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の振動吸収台
は、水平に設置される底板の上に可動連結機構を介して
台板が水平に搭載されたものであり、前記可動連結機構
は、前記台板にかかる荷重を支持して前記底板と前記台
板の間隔を適宜に保つ弾性支持手段と、前記台板が水平
のままで上下変位するのを許容する変位ガイド手段と、
両端が前記底板と前記台板にそれぞれ結合されて斜めに
配設された油圧ダンパにより前記台板の上下変位の運動
エネルギーを吸収する制動手段とを備える。さらに、第
１アームの一端が前記台板に水平な第１軸で回動自在に
結合され、第２アームの一端が前記底板に水平な第２軸
で回動自在に結合され、第１アームと第２アームの他端
同士が回動自在に軸結合され、第３アームの一端が前記
台板に第１軸と小さな間隔をおいて平行な第３軸で回動
自在に結合され、第４アームの一端が前記底板に第２軸
と小さな間隔をおいて平行な第４軸で回動自在に結合さ
れ、第３アームと第４アームの他端同士が回動自在に軸
結合され、第１〜第４アームがほぼ菱形のリンク機構を
構成しており、第１軸まわりの第１アームの回動と第３
軸まわりの第３アームの回動とが歯車機構で連動されて
おり、第２軸まわりの第２アームの回動と第４軸まわり
の第４アームの回動とが歯車機構で連動されており、第
１アーム・第２アームの連結点と第３アーム・第４アー
ムの連結点との間にバネが引っ張り状態で取り付けられ
てなるバネ付き連動リンク機構が構成され、複数の前記
バネ付き連動リンク機構によって前記弾性支持手段およ
び前記変位ガイド手段が実現されている。

【０００７】前記台板に物品を載せると、その重量によ
り前記バネ付き連動リンク機構の菱形が上下に押しつぶ
されるように変形し、前記バネが引き伸ばされ、そのバ
ネ力で物品の重量が支持される。このとき、第１軸まわ
りの第１アームの回動と第３軸まわりの第３アームの回
動とが歯車機構で連動されており、第２軸まわりの第２
アームの回動と第４軸まわりの第４アームの回動とが歯
車機構で連動されているので、菱形のリンク機構は必ず
左右対称の形態を保つ。その結果、前記底板と前記台板
とは常に平行な状態に保たれる。つまり、前記台板が水
平のままで上下変位するのを許容する変位ガイド手段が
この構成で実現されている。

【０００８】前記底板が建物の床上に置かれるが、その
床が地震などによって激しく上下振動した場合、前記変
位ガイド手段により前記台板と前記底板とが平行を保っ
た状態で相対的に振動し、その振動エネルギーが前記油
圧ダンパからなる制動手段で吸収される。その結果、前
記底板が床とともに激しく上下振動しても、前記台板の
上下振動は抑制されてきわめて小さくなる。

【０００９】

【発明の実施の形態】この発明の一実施例による振動吸
収台の構成を図１〜図４に示している。底板１の下面に
は４個のキャスター２が取り付けられており、建物の床
３の上に水平に置かれて移動自在である。底板１の上面
側に４個のバネ付き連動リンク機構４と１本の油圧ダン
パ１０からなる可動連結機構を介して台板５が水平に搭
載されている。この実施例においては、台板５の上に物
品を陳列するためのショーケース６が一体的に設けられ
ている。

【００１０】底板１および台板５はほぼ同じ寸法の長方
形である。図２に示すように、長方形の底板１、台板５
の四隅近くの４箇所にバネ付き連動リンク機構４が挟み
込まれるように取り付けられている。バネ付き連動リン
ク機構４の詳細な構造を図３に示し、これを構成するリ
ンク１５〜１８の部品形態を図４に示している。台板５
の下面に固着される上部ブラケット１３と底板１の上面
に固着される下部ブラケット１４との間に４本のリンク
１５〜１８が菱形に連結されている。

【００１１】リンク１５の上端は上部ブラケット１３に
軸ａまわりに回動自在に取り付けられ、リンク１５の下
端とリンク１６の上端が中間の軸ｂまわりに回動自在に
連結され、リンク１６の下端が下部ブラケット１４に軸
ｃまわりに回動自在に取り付けられている。同様に、リ
ンク１７の上端は上部ブラケット１３に軸ｄまわりに回
動自在に取り付けられ、リンク１７の下端とリンク１８
の上端が中間の軸ｅまわりに回動自在に連結され、リン
ク１８の下端が下部ブラケット１４に軸ｆまわりに回動
自在に取り付けられている。そして、中間軸ｂとｅの間
にコイルバネ９が引っ張り状態で取り付けられている。
底板１と台板５との間隔が小さくなると、リンク機構４
の中間軸ｂとｅの間隔が大きくなり、バネ９が引き伸ば
される。このバネ力で台板５に加わる荷重を支持するこ
とになる。

【００１２】また、リンク１５とリンク１７の上端部の
外周にはそれぞれセクタ歯車Ｇ１とＧ２が形成されてお
り、この２つの歯車Ｇ１とＧ２とが噛み合っている。同
様に、リンク１６とリンク１８の下端部の外周にはそれ
ぞれセクタ歯車Ｇ３とＧ４が形成されており、この２つ
の歯車Ｇ３とＧ４とが噛み合っている。これにより、軸
ａまわりのリンク１５の回動と軸ｄまわりのリンク１７
の回動とが連動し、軸ｃまわりのリンク１６の回動と軸
ｆまわりのリンク１８の回動とが連動する。その結果、
リンク１５〜１８からなる菱形のリンク機構は常に左右
対称の形態に保たれる。４個のリンク機構４がすべて同
じ連動式の構成なので、底板１と台板５とは常に平行状
態に保たれ、これにより台板５が水平のままで上下変位
するのを許容する変位ガイド機構が実現されている。

【００１３】また図１と図２に示すように、油圧ダンパ
１０は底板１と台板５との間に斜めに配設され、その上
端部が台板５側のブラケット１１に水平な軸まわりに回
動可能に結合され、その下端部が底板１側のブラケット
１２に水平な軸まわりに回動可能に結合されている。油
圧ダンパ１０は直動式のダッシュポットであり、よく知
られているように、シリンダ１０ａに対してピストンロ
ッド１０ｂが出入りして全長が伸縮するが、その伸縮運
動に対して油圧ダッシュポットの制動作用が働くもので
ある。底板１と台板５との間隔が増減するのにともなっ
て油圧ダンパ１０が伸縮し、底板１と台板５の相対運動
のエネルギーを吸収して制動する。

【００１４】なお、以上の実施例では油圧ダンパ１０は
１本であるが、もちろんこのような実施例に限定される
ものではない。例えば図５に示すように、連動リンク機
構４の上下のブラケット１３、１４間に１本の油圧ダン
パ１０を斜めに取り付けてもよい。この場合は、連動リ
ンク機構４を４個配設すれば、油圧ダンパ１０も４本配
設することになる。

【００１５】以上の構成説明で明らかなように、台板５
の上のショーケース６に精密機器や美術工芸品などを配
設すると、その重量により各バネ９を引き伸ばしながら
連動リンク機構４が圧縮されて、台板５が水平のまま少
し下降する。そして、この振動吸収台が置かれている建
物の床３が地震などによって激しく上下振動すると、台
板５と底板１とが平行を保った状態で相対的に振動し、
その振動エネルギーが油圧ダンパ１０からなる制動手段
で吸収される。その結果、底板１が床３とともに激しく
上下振動しても、台板５の上下振動は抑制されてきわめ
て小さくなる。したがって、ショーケース６内の陳列物
品は振動から保護される。

【００１６】

【発明の効果】この発明の振動吸収台によれば、前記台
板の上に物品を載せると、前記バネ付き連動リンク機構
からなる変位ガイド手段により前記台板は水平のままで
少し下降し、前記リンク機構が圧縮されて前記バネが引
き伸ばされ、そのバネ力によって物品の重量が支えられ
る。前記底板が建物の床上に置かれるが、その床が地震
などによって激しく上下振動した場合、前記変位ガイド
手段により前記台板と前記底板とが平行を保った状態で
相対的に振動し、その振動エネルギーが前記油圧ダンパ
で吸収される。その結果、前記底板が床とともに激しく
上下振動しても、前記台板の上下振動は抑制されてきわ
めて小さくなる。したがって、前記台板上の載置物品は
振動から保護される。なお、前述したように水平振動を
効果的に抑制する免振床構造を採用した建物の床上にこ
の発明の振動吸収台を置くことが望ましく、そうすれば
載置物品を振動から保護する効果がきわめて高くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例による振動吸収台の概略構
成図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面に相当する構成要素
の配置説明図である。

【図３】同上実施例におけるバネ付き連動リンク機構４
の詳細を示す斜視図である。

【図４】図３のリンク機構４の部品であるリンクの斜視
図である。

【図５】バネ付き連動リンク機構および油圧ダンパの他
の実施例の構成図である。

【符号の説明】

１ 底板 ２ キャスター ３ 床 ４ バネ付き連動リンク機構 ５ 台板 ６ ショーケース ７ 箱型枠部 ８ 滑り材 ９ コイルバネ １０ 油圧ダンパ １０ａ シリンダ １０ｂ ピストンロッド １１、１２ ブラケット １３、１４ ブラケット １５〜１８ リンク Ｇ１〜Ｇ４ セクタ歯車

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平に設置される底板の上に可動連結機
   構を介して台板が水平に搭載されており、前記可動連結
   機構は、前記台板にかかる荷重を支持して前記底板と前
   記台板の間隔を適宜に保つ弾性支持手段と、前記台板が
   水平のままで上下変位するのを許容する変位ガイド手段
   と、両端が前記底板と前記台板にそれぞれ結合されて斜
   めに配設された油圧ダンパにより前記台板の上下変位の
   運動エネルギーを吸収する制動手段とを備え、 第１アームの一端が前記台板に水平な第１軸で回動自在
   に結合され、第２アームの一端が前記底板に水平な第２
   軸で回動自在に結合され、第１アームと第２アームの他
   端同士が回動自在に軸結合され、第３アームの一端が前
   記台板に第１軸と小さな間隔をおいて平行な第３軸で回
   動自在に結合され、第４アームの一端が前記底板に第２
   軸と小さな間隔をおいて平行な第４軸で回動自在に結合
   され、第３アームと第４アームの他端同士が回動自在に
   軸結合され、第１〜第４アームがほぼ菱形のリンク機構
   を構成しており、第１軸まわりの第１アームの回動と第
   ３軸まわりの第３アームの回動とが歯車機構で連動され
   ており、第２軸まわりの第２アームの回動と第４軸まわ
   りの第４アームの回動とが歯車機構で連動されており、
   第１アーム・第２アームの連結点と第３アーム・第４ア
   ームの連結点との間にバネが引っ張り状態で取り付けら
   れてなるバネ付き連動リンク機構が構成され、複数の前
   記バネ付き連動リンク機構によって前記弾性支持手段お
   よび前記変位ガイド手段が実現されていることを特徴と
   する振動吸収台。