JPH09258040A - 光ファイバ用線引き炉及びこれを用いた光ファイバの線引き方法 - Google Patents

光ファイバ用線引き炉及びこれを用いた光ファイバの線引き方法

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JPH09258040A
JPH09258040A JP6663996A JP6663996A JPH09258040A JP H09258040 A JPH09258040 A JP H09258040A JP 6663996 A JP6663996 A JP 6663996A JP 6663996 A JP6663996 A JP 6663996A JP H09258040 A JPH09258040 A JP H09258040A
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JP
Japan
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optical fiber
pipe
base material
furnace
fiber
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Application number
JP6663996A
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English (en)
Inventor
Yoshitake Nishida
好毅 西田
Shoichi Sudo
昭一 須藤
Yasutake Oishi
泰丈 大石
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度なフッ化物ファイバを製造し得る光フ
ァイバ用線引き炉及びこれを用いた線引き方法を提供す
ること。 【解決手段】 上部フランジ1、下部フランジ2、これ
らを連結する第1、第2及び第3のパイプ3、4及び5
を持つことにより、空気からなる断熱層を形成し、外部
からの熱の影響を受け難くして安定した線引きを可能と
し、また、最内部に位置する第1のパイプ3をCaF2
等のハライド材料で構成し、上部フランジ1及び下部フ
ランジ2と気密性を保って固定することにより、外部か
ら水分を含んだ大気が内部へ混入することを防ぎ、さら
にまた、第1のパイプ3内部に不活性ガスを上部フラン
ジ1から導入することにより、雰囲気ガスの流れる方向
を上部フランジ1から下部フランジ2への方向とし、フ
ァイバ母材のネック部を紡錘形に形成し易くし、安定し
た線引きを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ通信シ
ステム等で使用されるフッ化物ファイバ、特に高強度の
フッ化物ファイバを製造するための光ファイバ用線引き
炉及びこれを用いた線引き方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フッ化物ファイバは、フッ化物ガラスが
フォノンエネルギーが小さく、良好な赤外透過特性を持
つことから、パワー伝送用ファイバ等、その特性を生か
した様々な応用が期待されている。とりわけ、フッ化物
ファイバのコア中に希土類元素としてプラセオジムを添
加した1.3μm光ファイバ増幅器は、光通信システム
の高度化に重要な働きをすることから、その実用化が特
に期待されている。
【0003】しかしながら、フッ化物ファイバは、フッ
化物ガラス自体の固有の機械強度が石英ガラスの約3分
の1程度と低いこと及びフッ化物ガラス自体が結晶化し
易いため、光ファイバ作製時の母材の加熱延伸工程ある
いは線引き工程においてガラスの一部が結晶化してしま
うという問題があり、石英ファィバ等に比べてその強度
が不十分であった。
【0004】このようなフッ化物ファイバ、とりわけ単
一モード光ファイバを製造するための従来の方法は、ジ
ャケット管にこのジャケット管より高い屈折率部分を少
なくとも一部に有するフッ化物ガラスよりなるロッドを
挿入して複合体を得て、該複合体を加熱し延伸して母材
を得る工程と、該母材を加熱し線引きして、あるいは該
母材をジャケット管に挿入・加熱し線引きして、光ファ
イバを得る工程とよりなっていた。
【0005】前記線引き工程において、従来、ジャケッ
ト管の表面はAl23あるいはCeO2等の砥粒を用い
て光学研磨をした後、0.4molのオキシ塩化ジルコ
ニウムを1規定の塩酸に溶かしたエッチング液を用いて
ウエットエッチングを施すことによって研磨傷を除去
し、さらに特開昭63−151641号公報に記載され
ているように、フッ化物ファイバ母材の表面をF2,H
F等の反応性の高いガスによって加熱処理することによ
り、表面に吸着した水分を除去して線引き炉にセットし
ていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
線引き炉を用いた線引き方法においては、炉内雰囲気ガ
スとして導入される高純度アルゴンガス中に存在する極
くわずかの水分のために、ファイバ線引きの際の母材加
熱時において、雰囲気中の水分とフッ化物ファイバ母材
表面との加水分解反応が起こり、微小な表面結晶が発生
し、フッ化物ファイバの強度を劣化させる要因となって
いた。
【0007】一方、特開平3−164442号公報に記
載されているように、線引き炉上部にF2ガスによる表
面脱水のための脱水処理部を設け、脱水処理後、オンラ
インで線引き炉内にファイバ母材を挿入し、線引きする
方法及び装置が提案されているが、この方法においても
線引きの際の炉内の雰囲気はアルゴン等の不活性ガスが
用いられており、雰囲気中の水分とフッ化物ファイバ母
材表面との反応による表面結晶の発生の問題は解決され
ていなかった。
【0008】また、炉内雰囲気にNF3を加えて雰囲気
中の水分と反応させて雰囲気の脱水及び表面結晶発生の
抑制を行う試み(Proc.SPIE779(198
7)112)も報告されているが、この試みにおける線
引き炉は、従来の石英ガラス等の含フッ素系のガスに対
し耐食性の弱い材料で作られていたため、石英ガラスと
NF3ガスとの反応によって石英炉心管自体が浸食され
白化してしまうという問題があった。
【0009】本発明の目的は、高強度なフッ化物ファイ
バを製造し得る光ファイバ用線引き炉及びこれを用いた
線引き方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の請求項1では、上部フランジ、下部フラン
ジ、該上部フランジ及び下部フランジを連結する少なく
とも2重の多重パイプ、該多重パイプの最内部に位置す
る第1のパイプに前記上部フランジからガスを導入する
ガス導入機構、並びに前記第1のパイプの加熱機構を有
し、前記第1のパイプをハライド材料で構成し、前記第
1のパイプと前記上部フランジ及び下部フランジとを気
密を保って固定したことを特徴とする光ファイバ用線引
き炉を提案する。
【0011】前記構成によれば、上部フランジ、下部フ
ランジ、該上部フランジ及び下部フランジを連結する少
なくとも2重のパイプを持つことによって、内部のパイ
プと外部のパイプとの間に空気よりなる断熱層が形成さ
れ、線引き炉外部からの熱の影響を受け難くなり、安定
した線引きをすることが可能となる。また、最内部に位
置する第1のパイプはハライド材料からなり、かつ上部
フランジ及び下部フランジと気密性を保って固定される
ことにより、線引き炉外部から水分を含んだ大気が線引
き炉内部へ混入することを防いでいる。さらにまた、第
1のパイプ内部に導入される不活性ガスが上部フランジ
から流れることにより、雰囲気ガスの流れる方向が上部
フランジから下部フランジへの方向となり、ファイバ母
材のネック部が紡錘形を形成し易くなり、安定した線引
きを可能としている。ここで、逆に下部フランジから雰
囲気ガスを導入し、下部フランジから上部フランジへの
流れを形成した場合においては、母材が最も軟化してい
るネック部の最下端が冷却されることとなり、安定した
線引きを行うことができなくなる。
【0012】また、本発明の請求項2では、多重パイプ
を可視光に対して透明性を有する材料で構成したことを
特徴とする請求項1記載の光ファイバ用線引き炉を提案
する。
【0013】前記構成によれば、上部フランジ及び下部
フランジを連結する少なくとも2重のパイプを透明とす
ることによって、線引き時においてファイバ母材の軟化
の状態及びネック部の形を目視によって確認することが
できるようになり、線引き状態の変化に対して敏速に対
応できるようになる。
【0014】また、本発明の請求項3では、第1のパイ
プがCaF2、BaF2、LaF3、SrF2、NaCl、
CaCl2、BaCl2、SrCl2、MgCl2、KBr
のうちのいずれかで構成したことを特徴とする請求項1
または2記載の光ファイバ用線引き炉を提案する。
【0015】前記構成によれば、第1のパイプがCaF
2、BaF2、LaF3、SrF2、NaCl、CaC
2、BaCl2、SrCl2、MgCl2、KBr等のハ
ライド材料からなることによって、線引き炉内に含フッ
素系のガスが導入された場合においてもパイプ自身が腐
食されることなく、透明な状態を維持することが可能と
なる。
【0016】本発明の線引き炉は、従来の線引き炉に比
べ、上部フランジと下部フランジとの間に少なくとも2
重の透明パイプを有する構造をとることが異なる。さら
に最内部に位置する第1のパイプがCaF2、BaF2
LaF3、SrF2、NaCl、CaCl2、BaCl2
SrCl2、MgCl2、KBrの等のハライド材料を用
いて作られている点が異なる。
【0017】ここで、第1のパイプと上部及び下部フラ
ンジとの固定は気密性を保つためにOリングを用いて固
定することが望ましい。また、第1のパイプの形態とし
ては肉厚0.5mm以上、5mm以下であることが望ま
しい。肉厚0.5mm以下のパイプにおいては強度不足
のため、外周に発熱体を密着させて固定することが難し
く、また、肉厚5mm以上においてはパイプ内部への熱
伝導が遅くなり、線引き時において発熱体の温度を調整
して線引き条件を調整するのが難しい。
【0018】また、前記課題を解決するため、本発明の
請求項4では、光ファイバ用加熱炉で母材を加熱溶融し
ながら線引きする光ファイバの線引き方法において、請
求項1乃至3いずれか記載の光ファイバ用線引き炉の第
1のパイプに母材を挿入し、ガス導入機構からF2、H
F、NF3のうちの少なくともいずれか1つのガスと不
活性ガスとの混合ガスを導入しながら前記第1のパイプ
を前記母材の軟化点温度まで加熱することを特徴とする
光ファイバの線引き方法を提案する。
【0019】前記構成によれば、不活性ガス及びF2
HF、NF3のうちの少なくともいずれか1つのガスを
混合したガスを線引き炉内に導入し加熱することによ
り、不活性ガス中の水分をF2、HF、NF3等の活性な
ガスによって脱水する効果が生まれ、より高純度の雰囲
気中で線引きできるようになるので、表面結晶の発生を
抑制し、高い強度のファイバの作製が可能となる。
【0020】また、本発明の請求項5では、不活性ガス
をAr、He、N2のうちのいずれか1つもしくはこれ
らの混合ガスとしたことを特徴とする請求項4記載の光
ファイバの線引き方法を提案する。
【0021】前記構成によれば、線引き炉内に導入され
る不活性ガスがAr、He、N2のうちのいずれか1つ
もしくはこれらの混合ガスであることによって、混合さ
れた時に不活性ガスとともに導入されるF2、HF、N
3等の活性ガス自身が分解反応を起こすことなく、脱
水の効果だけが見られるようになる。
【0022】本発明の線引き方法は、従来の線引き方法
とは、線引き炉内に導入する雰囲気ガスが不活性ガス及
びF2、HF、NF3のうちの少なくともいずれか1つの
ガスとの混合ガスである点が異なる。
【0023】ここで、炉内に導入するガス流量として
は、第1のパイプ内部を流れる速さが毎分30cm〜2
m程度となるようにすることが望ましい。毎分30cm
以下のガス流量においては炉内に熱が滞留するため、フ
ァイバ母材のネックの長さが短くなり、安定したファイ
バ線引きができず、また、毎分2m以上においてはファ
イバ母材が導入される雰囲気ガスによって逆に冷却され
るため、ネック部の温度を均一に保つことが難しく、安
定したファイバ線引きが難しい。
【0024】また、導入される不活性ガスの含水分量を
表す露点としては−60℃以下であることが望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0026】図1は本発明の光ファイバ用線引き炉の一
形態を示すもので、図中、1は上部フランジ、2は下部
フランジ、3はCaF2製の第1のパイプ、4,5は石
英製の第2,第3のパイプ、6はOリング、7,8はヒ
ーター、9はシャッターである。
【0027】第1のパイプ3は上部フランジ1及び下部
フランジ2とOリング6を介して気密性を保って固定さ
れている。また、第1のパイプ3には下部フランジ2か
ら20mm上方の位置に長さ50mmの幅で母材加熱用
のヒーター7が巻かれており、さらにこのヒーター7の
直上から上部フランジ1までは低温用のヒーター8が巻
かれている。第1のパイプ3の内部には上部フランジ1
に設けられたガス導入口1aから導入される雰囲気ガス
が下部フランジ2の方向に流れている。本形態の線引き
炉では下部フランジ2の下にシャッター9が設けられ、
該シャッター9から線引き炉の外部に出た雰囲気ガスは
捕集されて図示していないスクラバで処理される。
【0028】また、図2は本発明の光ファイバ用線引き
炉を備えた線引き装置の好適な一例を示すもので、図
中、10は前述した線引き炉、11は母材支持棒、12
は支持棒被い、13は連結管、14はグローブボック
ス、15はダイスポット、16は紫外線硬化炉、17は
張力計、18はキャプスタン、19はファイバ巻き取り
機、20は線径測定機、Aはファイバ母材である。
【0029】ファイバ母材Aを保持する母材支持棒11
は、内部に露点−60℃以下の不活性ガスが流れる支持
棒被い12によって、その表面を保護されている。支持
棒被い12は線引き炉10の上部フランジに気密性を保
って固定されており、母材支持棒11の表面はその動作
範囲において外気にさらされることがない構造となって
いる。
【0030】また、線引き炉10の下部には連結管13
を連通してグローブボックス14が気密性を保って固定
されており、該グローブボックス14の内部にはファイ
バ素線に樹脂コーティングを施すためのダイスポット1
5が配置されている。表面に樹脂が貼付されたファイバ
はグローブボックス14の下部に連通して位置する紫外
線硬化炉16を通り、張力計17、キャプスタン18を
経由してファイバ巻き取り機19によってボビンに巻き
取られる。なお、ファイバの線径は線引き炉10の下部
に位置する線径測定機20によって測定される。
【0031】また、線引き炉10の下部に位置する連結
管13には、線引き炉10の外部に出た炉内雰囲気を処
理するための排気口13aが設けられており、排気口は
図示していないスクラバに接続されている。
【0032】(実施例1)本実施例においては、ファイ
バ母材として内径7mmのモールドを用いて、コアが5
6.5ZrF4−12BaF2−17.5PbF2−3.
5LaF3−2YF3−2.5AlF3−6LiF(mo
l%)、クラッドが46.5ZrF4−23.5BaF2
−3.5LaF3−2.5YF3−4.5AlF3−20
NaF(mol%)からなるフッ化物ガラス母材(外径
7.0mm、長さ150mm、比屈折率差Δn=4.2
%)をサクション・キャスティング法で作製し、また、
内径15mmのモールドを用いて、母材のクラッドガラ
スと同一組成のフッ化物ジャケット管(外径15mm、
内径7.0mm、長さ150mm)をローテーショナル
・キャスティング法で作製した。
【0033】ガラス母材及びジャケット管の外面を研磨
・エッチングした後、両者を真空脱気することにより表
面の水分を除去した。グローブボックス内でジャケット
管にガラス母材を挿入することによって組み上げられた
ガラス母材は延伸装置にセットされ、加熱炉中で軟化さ
せて下方に引っ張ることにより外径4mmに延伸され
た。このようにして延伸された母材のうちコア径が0.
2mmの部分を2本切り出し延伸母材とした。
【0034】次に、この2本の延伸母材のうちの1本
と、外径15mm、内径4mmのジャケット管の表面を
研磨・エッチングし、真空乾燥を行った後、F2及びH
Fの混合ガス雰囲気中で2時間の加熱処理を行い、表面
に吸着している水分を除去した。このような表面処理を
施された延伸母材及びジャケット管を、グローブボック
ス14内でジャケット管に延伸母材を挿入することによ
ってファイバ母材Aを組み上げた。
【0035】組み上げられたファイバ母材Aはグローブ
ボックス14内部まで下げられた母材支持棒11にセッ
ティングされて、ジャケット管内部を真空排気した後、
線引き炉10中央に引き上げられた。引き上げられたフ
ァイバ母材Aは毎分3mmの割合で母材加熱ヒーター7
内に送り込まれ、該母材加熱ヒーター7によって加熱軟
化されたファイバ母材Aの下端を下方に引っ張ることに
よって光ファイバに線引きされた。
【0036】線引きされた光ファイバ表面にはグローブ
ボックス14内においてUV樹脂がコートされ、続いて
紫外線硬化炉16中で硬化された後、巻き取り機19に
巻き取られた。
【0037】本実施例においては、線引き炉10内にア
ルゴンガスを毎分200cc及びアルゴン希釈10%フ
ッ素ガスを毎分100cc流す条件下で線引きを行っ
た。また、母材加熱ヒーター7の温度は280℃であっ
た。
【0038】このように作製されたUV樹脂コートフッ
化物ファイバを引っ張り強度試験機によってその引っ張
り強度を測定したところ、最高1GPaの高い強度が実
現された。
【0039】この際、使用した炉心管には活性ガスを導
入したことによる腐食等の変化は見られなかった。この
他、アルゴンガスを毎分200cc、アルゴン希釈10
%フッ素ガスを50cc及びHFガスを50cc流す条
件下で線引きを行った際も同様に高い強度のファイバを
作製できた。
【0040】(比較例)実施例1において作製した、延
伸母材のうち残りの1本と、外径15mm、内径4mm
のジャケット管の表面を研磨・エッチングし、真空乾燥
を行った後、実施例1と同様のF2及びHFの混合ガス
雰囲気中で2時間の加熱処理を行い、表面に吸着してい
る水分を除去した。このような表面処理を行った延伸母
材及びジャケット管を、グローブボックス14内でジャ
ケット管に延伸母材を挿入することによってファイバ母
材を組み上げた。
【0041】組み上げられたファイバ母材はグローブボ
ックス14内部まで下げられた母材支持棒11にセッテ
ィングされて、ジャケット管内部を真空排気した後、線
引き炉10の上部に引き上げられた。引き上げられたフ
ァイバ母材は毎分3mmの割合で母材加熱ヒーター7内
に送り込まれ、該母材加熱ヒーター7によって加熱軟化
されたファイバ母材の下端を下方に引っ張ることによっ
て光ファイバに線引きされた。
【0042】線引きされた光ファイバの表面にはグロー
ブボックス14内においてUV樹脂がコートされ、続い
て紫外線硬化炉16中で硬化された後、巻き取り機19
に巻き取られた。本比較例においては線引き炉10内に
露点−80℃の高純度アルゴンガスのみを毎分300c
cの割合で流す条件下で線引きを行った。また、母材加
熱ヒーター7の温度は280℃であった。
【0043】このようにして作製されたUV樹脂コート
フッ化物ファイバを、引っ張り強度試験機によって引っ
張り強度を測定したところ、最高600MPaと実施例
1に比べて強度が減少した。
【0044】本比較例で用いたファイバ母材の引き残り
の表面をSEMによって観察したところ、鱗状の結晶の
発生が認められた。これは、線引き炉10内あるいは母
材支持棒11表面に吸着していた水分が、母材加熱ヒー
ター7による母材加熱時に表面から脱離し、あるいはグ
ローブボックス14内の雰囲気が線引き炉10内に混入
し、フッ化物ガラス母材表面上で反応し、酸化物結晶を
ファイバ表面に発生させたためである。
【0045】(実施例2)本実施例においては、内径7
mmのモールドを用いて、コアが35InF3−20Z
nF2−22BaF2−10SrF2−5YF3−3PbF
2−5NaF(mol%)、クラッドが35InF3−2
0ZnF2−20BaF2−10SrF2−5YF3−5A
lF3−5NaF(mol%)からなるインジウム系フ
ッ化物ガラス母材(外径7.0mm、長さ150mm、
比屈折率差Δn=1.2%)をサクション・キャスティ
ング法で作製し、また、内径15mmのモールドを用い
て、母材のクラッドガラスと同一組成のフッ化物ジャケ
ット管(外径15mm、内径7.0mm、長さ150m
m)をローテーショナル・キャスティング法で作製し
た。該ガラス母材及びジャケット管の外面を研磨・エッ
チングした後、両者を真空脱気することにより表面の水
分を除去した。
【0046】次に、露点−90℃以下のN2ガスが供給
されているグローブボックス14内でジャケット管内に
ガラス母材を挿入することによって組み上げられたガラ
ス母材は延伸装置によって加熱軟化させて下方に引っ張
ることにより外径4mmに延伸された。この延伸された
母材のうちコア径が0.2mmの部分を切り出し、延伸
母材とした。
【0047】次に、この延伸母材と、外径12mm、内
径4mmのインジウム系フッ化物ガラスジャケット管の
表面を研磨・エッチングし、真空乾燥を行った後、F2
及びHFの混合ガス雰囲気中で2時問の加熱処理を行
い、表面に吸着している水分を除去した。このような表
面処理が施された延伸母材及びジャケット管を、グロー
ブボックス14内でジャケット管に延伸母材を挿入する
ことによってファイバ母材を組み上げた。
【0048】組み上げられたファイバ母材はグローブボ
ックス14内部まで下げられた母材支持棒11にセッテ
ィングされて、ジャケット管内部を真空排気した後、線
引き炉10内に引き上げられた。引き上げられたファイ
バ母材は毎分3mmの割合で母材加熱ヒーター7内に送
り込まれ、該母材加熱ヒーター7によって加熱軟化され
たファイバ母材の下端を下方に引っ張ることによって光
ファイバに線引きされた。
【0049】線引きされた光ファイバ表面にはグローブ
ボックス14内においてUV樹脂がコートされ、続いて
紫外線硬化炉16中で硬化された後、巻き取り機19に
巻き取られた。本実施例においては線引き炉10内には
アルゴンガスを290cc、NF3ガスを10cc流す
条件下で線引きを行った。また、母材加熱ヒーター7の
温度は320℃であった。
【0050】このようにして作製されたUV樹脂コート
フッ化物ファイバを引っ張り強度試験機によって引っ張
り強度を測定したところ、最高1GPaの高い強度が実
現された。
【0051】この他、アルミ系フッ化物ガラス、鉛系フ
ッ化物ガラス、さらには表面結晶の発生し易い塩素イオ
ンをドープしたフッ化物ガラス、塩化物ガラス等のガラ
ス系等についても同様の方法により、表面結晶の発生を
抑制した高強度の光ファイバを作製することができた。
【0052】(実施例3)内径5mmのモールドを用い
て、56ZrF4−14BaF2−15PbF2−3.5
LaF3−2YF3−2.5AlF3−7LiF(mol
%)からなる組成のコア用のガラスロッド(外径5.0
mm、長さ50mm)を作製した。クラッド用のガラス
管は、内径20mmのモールドを用いて、46.5Zr
4−23.5BF2−3.5LaF3−2.5YF3
4.5AlF3−20NaF(mol%)組成のガラス
ロッドを作製し、超音波加工により内径0.5mmの穴
をあけた。
【0053】コア用ガラスロッドの外面を研磨・エッチ
ングした後、真空脱気することにより表面の水分を除去
し、延伸装置にセットし、加熱炉内で軟化させて下方に
引っ張ることにより外径0.5mmに延伸した。延伸し
たコア用ガラスロッドと、外面を研磨・エッチングした
クラッド用ガラス管をF2及びHFの混合ガス雰囲気中
で2時間の加熱処理を行い、表面に吸着している水分を
除去した。この表面処理を施したコア用ガラスロッド及
びジャケット管を、グローブボックス14内でジャケッ
ト管内にコア用ガラスロッドを挿入することによってフ
ァイバ母材を組み上げた。
【0054】組み上げられたファイバ母材はグローブボ
ックス14内部まで下げられた母材支持棒11にセッテ
ィングされて、ジャケット管内部を真空排気した後、線
引き炉10内に引き上げられた。線引き炉10内で加熱
軟化されたファイバ母材は毎分3mmの割合で母材加熱
ヒーター7内に送り込まれ、ファイバ母材の下端を下方
に引っ張ることによって外径125μmの光ファイバに
線引きされた。本実施例においては線引き炉10内には
アルゴンガスを290cc、HFガスを10cc流す条
件下で線引きを行った。
【0055】得られた光ファイバは、長さ500m、コ
ア径1.7μm、0.95μmにカットオフ波長を持つ
単一モード光ファイバで、波長1.3μmでの損失値は
0.2dB/mと低損失であった。また、得られた光フ
ァイバは750MPaの高い引っ張り強度を示した。こ
の他、炉内雰囲気に用いる不活性ガスとしてへリウムあ
るいは窒素を用いた時も同様の効果を確認することがで
きた。
【0056】(実施例4)内径5mmのモールドを用い
て、コアがPr3+を500ppmドープした56ZrF
4−14BaF2−15PbF2−3.5LaF3−2YF
3−2.5AlF3−7LiF(mol%)、クラッドが
46.5ZrF4−23.5BaF2−3.5LaF3
2.5YF3−4.5AlF3−20NaF(mol%)
からなるフッ化物ガラス母材(外径5.0mm、長さ1
50mm、比屈折率差Δn=4.2%)をサクション・
キャスティング法で作製し、内径15mmのモールドを
用いて、母材のクラッドガラスと同一組成のフッ化物ジ
ャケット管(外径15mm、内径5.0mm、長さ15
0mm)をローテーショナル・キャスティング法で作製
した。実施例1と同様の延伸及び表面処理を行った後、
グローブボックス14内でファイバ母材を組み上げ、実
施例1と同様の条件で線引きを行い、外径125μmの
光ファイバを得た。
【0057】得られた光ファイバは、長さ500m、コ
ア径1.7μm、0.95μmにカットオフ波長を持つ
単一モード光ファイバで、波長1.3μmでの損失値は
図3に示すように0.2dB/mと低損失であった。な
お、図3中の大きなピークはPr3+に起因する吸収であ
る。
【0058】また、得られた光ファイバの引っ張り強度
は750MPaと高い強度を示した。また、本実施例で
得られた光ファイバを用いて、波長1.017μmの光
励起による波長1.31μmの信号光の増幅器を構成し
たところ、0.2dB/mWの利得係数が得られた。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表面結晶化の問題を解決できるので、高強度で低損失な
フッ化物光ファイバが作製できる。従って、フッ化物フ
ァイバを光増幅器等の実装に実用化することができ、光
通信システムの低コスト化及び高性能化を図れる利点が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ用線引き炉の一形態を示す
構成図
【図2】本発明の光ファイバ用線引き炉を備えた線引き
装置の一例を示す概略構成図
【図3】実施例4で得られた光ファイバの損失特性図
【符号の説明】
1…上部フランジ、2…下部フランジ、3…第1のパイ
プ、4…第2のパイプ、5…第3のパイプ、6…Oリン
グ、7,8…ヒーター、9…シャッター。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部フランジ、下部フランジ、該上部フ
    ランジ及び下部フランジを連結する少なくとも2重の多
    重パイプ、該多重パイプの最内部に位置する第1のパイ
    プに前記上部フランジからガスを導入するガス導入機
    構、並びに前記第1のパイプの加熱機構を有し、 前記第1のパイプをハライド材料で構成し、 前記第1のパイプと前記上部フランジ及び下部フランジ
    とを気密を保って固定したことを特徴とする光ファイバ
    用線引き炉。
  2. 【請求項2】 多重パイプを可視光に対して透明性を有
    する材料で構成したことを特徴とする請求項1記載の光
    ファイバ用線引き炉。
  3. 【請求項3】 第1のパイプをCaF2、BaF2、La
    3、SrF2、NaCl、CaCl2、BaCl2、Sr
    Cl2、MgCl2、KBrのうちのいずれかで構成した
    ことを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバ用
    線引き炉。
  4. 【請求項4】 光ファイバ用加熱炉で母材を加熱溶融し
    ながら線引きする光ファイバの線引き方法において、 請求項1乃至3いずれか記載の光ファイバ用線引き炉の
    第1のパイプに母材を挿入し、 ガス導入機構からF2、HF、NF3のうちの少なくとも
    いずれか1つのガスと不活性ガスとの混合ガスを導入し
    ながら前記第1のパイプを前記母材の軟化点温度まで加
    熱することを特徴とする光ファイバの線引き方法。
  5. 【請求項5】 不活性ガスをAr、He、N2のうちの
    いずれか1つもしくはこれらの混合ガスとしたことを特
    徴とする請求項4記載の光ファイバの線引き方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100298045B1 (ko) * 1998-11-23 2001-09-06 권문구 원통 및 구형거울을 이용한 광섬유 제조용복사에너지 손실감소장치

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