JPH09257563A - シフトレバーの自動操作装置 - Google Patents

シフトレバーの自動操作装置

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JPH09257563A
JPH09257563A JP6755496A JP6755496A JPH09257563A JP H09257563 A JPH09257563 A JP H09257563A JP 6755496 A JP6755496 A JP 6755496A JP 6755496 A JP6755496 A JP 6755496A JP H09257563 A JPH09257563 A JP H09257563A
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JP
Japan
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shift lever
actuator
shift
force
transmission
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Application number
JP6755496A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Saito
達哉 斉藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)
  • Gear-Shifting Mechanisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】マニュアル式トランスミッションに取り付けら
れたシフトレバーを自動的に操作する装置において、シ
フトレバーの操作位置を検出し、その結果をフィードバ
ックすることにより、シフトレバーの自動操作精度を向
上させる。 【解決手段】シフトレバー20のセレクト方向動作とシ
フト方向動作とを各モータによってそれぞれ自動的に行
うとともに、各モータからシフトレバー20に作用する
力を各モータの電流値として検出し、その電流値が所定
値以上であるときに、シフトレバー20がストロークエ
ンド位置に到達したと判定し、各モータを停止させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用トランスミ
ッションの変速比を変化させるために運転者によって操
作されるべきシフトレバーを自動的に操作する技術に関
するものであり、特に、その自動操作位置の精度を向上
させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば車両開発中、車両のトランスミッ
ションを作動させてトランスミッション自身、または他
の車両構成部品の強度,耐久性等を試験することが行わ
れる。この試験の際、トランスミッションの変速比を所
定のパターンで変化させるためにはシフトレバーの操作
が必要であり、その操作を自動化して省力化を図るた
め、(a) アクチュエータと、(b) そのアクチュエータに
より発生した力をシフトレバーに伝達する力伝達機構
と、(c) アクチュエータを制御するコントローラとを含
むシフトレバーの自動操作装置が既に提案されている。
【0003】トランスミッションは普通、車両のボデー
にゴムマウント等の振動吸収部材を介して弾性的に、す
なわち、ボデーに対して相対変位可能に取り付けられ
る。そして、従来の自動操作装置は、アクチュエータ,
力伝達機構およびコントローラがボデー側に取り付けら
れて使用され、また、コントローラは、それらアクチュ
エータおよび力伝達機構の位置を基準に座標系を想定
し、シフトレバーの実際の操作位置を考慮することな
く、その座標系上においてシフトレバーの位置を自動操
作するように設計される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の試験
には、車両(実車または実車に近い試験車)を試験室内
で台上に載せ、路面から車輪の入力を想定しないで試験
する台上試験がある。この台上試験においては、トラン
スミッションとボデー側、すなわち、シフトレバーの取
付対象とアクチュエータ等の取付対象とがほとんど相対
変位しない。したがって、このような試験であれば、シ
フトレバーの実際の操作位置を考慮しないでシフトレバ
ーを自動操作する従来の自動操作装置でも、シフトレバ
ーの自動操作位置を十分に精度よく制御することが可能
となる。
【0005】しかしながら、車両の試験には、車両を実
際に走行させて試験する実走行試験や、車両を台上に載
せて加振器等により実際の走行状態を再現して試験する
台上再現試験もある。そして、それら実走行試験等にお
いては、車両の加減速操作,路面凹凸,トランスミッシ
ョンのトルク変動等に起因し、トランスミッションがボ
デー側、すなわち、自動操作装置に対して相対変位す
る。
【0006】そのため、このような試験においては、従
来の自動操作装置では、シフトレバーの実際の操作位置
を考慮しないから、シフトレバーの自動操作において各
種の異常が生じる。
【0007】例えば、図23において、シフトレバーを
中立位置であるN2位置から前進第1速位置であるP1
位置に変位させる際、正常であれば、最終的にシフトレ
バーは同図の(a) に示すように、P1位置に正しく位置
させられることになる。
【0008】しかし、トランスミッションと自動操作装
置との間に相対変位が生じると、各種の異常が生じる。
【0009】例えば、同図の(b) に示すように、自動操
作装置に対してトランスミッションが図示のX1方向に
相対変位した場合には、シフトレバーがP1位置に完全
に到達しないうちにアクチュエータの作動が停止するた
め、シフトレバーがP1位置の手前で停止させられてP
1位置に完全に到達しないいわゆるシフト抜けという異
常が生じる。
【0010】また、同図の(c) に示すように、自動操作
装置に対してトランスミッションが図示のX2方向に相
対変位した場合には、シフトレバーがP1位置を超えて
ストロークエンド位置に到達した後にもアクチュエータ
の作動が続くため、それらシフトレバーおよびアクチュ
エータに対する負荷が過大となるいわゆる過負荷という
異常が生じる。
【0011】また、同図の(d) に示すように、シフトレ
バーがN2位置からP1位置に変位する際に操作経路が
直角に折れ曲がるN1位置にシフトレバーが到達しない
うちにアクチュエータからシフトレバーに付与される力
の向きが90°変化させられる場合には、シフトレバー
がそのN1位置の手前でさらなる変位が阻止されるた
め、一回の変速操作が完了しないいわゆるシフトミスと
いう異常が生じる。
【0012】このような事情を背景として、請求項1な
いし5に係る第1ないし第5発明は、シフトレバーの自
動操作位置の精度向上を図り、自動操作が常に正常に行
われることを課題としてなされたものである。
【0013】特に、第1ないし第3発明は、自動操作装
置とトランスミッションとの相対変位の影響を受けるこ
となくシフトレバーの操作位置を検出し、その検出結果
をアクチュエータの制御にフィードバックするという電
気的手法により、自動操作精度を向上させることを課題
としてなされたものである。
【0014】また、第2発明は、シフトレバーに作用す
る力と操作位置との間に成立する一定の関係を利用する
ことにより、シフトレバーの操作位置の検出精度を向上
させることを課題としてなされたものである。
【0015】また、第3発明は、シフトレバー検出部の
配置位置をトランスミッションとの相対変位が生じない
位置に選ぶことにより、シフトレバーの操作位置の検出
精度を向上させることを課題としてなされたものであ
る。
【0016】また、第4発明は、シフトレバーを案内部
材によって案内するという機械的手法により、自動操作
精度を向上させることを課題としてなされたものであ
る。
【0017】また、第5発明は、シフトレバーとアクチ
ュエータとの連携状態を制御し、トランスミッションと
アクチュエータ等の取付対象との相対変位を吸収するこ
とにより、自動操作精度を向上させることを課題として
なされたものである。
【0018】
【第1発明の課題解決手段,作用および効果】第1発明
は、その課題を解決するために、前記アクチュエータと
力伝達機構とコントローラとを含むシフトレバーの自動
操作装置において、前記アクチュエータおよび力伝達機
構が取り付けられるべき取付対象と前記トランスミッシ
ョンとの相対変位の影響を受けることなく、前記シフト
レバーの操作位置を検出するシフトレバー位置検出装置
を設け、かつ、前記コントローラに、そのシフトレバー
位置検出装置からの出力信号に基づき、シフトレバーの
実際の操作位置が目標の操作位置となるように前記アク
チュエータを制御するアクチュエータ制御手段を設けた
ことを特徴とする。
【0019】したがって、この第1発明によれば、シフ
トレバーの実際の操作位置を考慮しないで一方的にアク
チュエータを制御する場合に比較し、自動操作精度が向
上するという効果が得られる。
【0020】以下、第1発明を補足説明する。 〔1〕この第1発明は、実走行試験の対象となる車両や
台上試験の対象となる車両に取り付けられて使用される
シフトレバーの自動操作装置に適用することはもちろん
可能であるが、トランスミッションをユニット単位で試
験する場合の試験機に取り付けられて使用されるシフト
レバーの自動操作装置に適用することも可能である。 〔2〕「トランスミッション」はマニュアル式でもオー
トマチック式でもよい。自動操作装置は一般に、操作経
路が比較的複雑であるマニュアル式トランスミッション
について有効であるが、オートマチック式トランスミッ
ションについても車両試験等のために自動操作を行う必
要があるからである。 〔3〕「シフトレバー」は、トランスミッションに直接
に取り付けられたダイレクト式でも、トランスミッショ
ンにリンク,ケーブル等を介して取り付けられたリモー
ト式でもよい。リモート式の場合には、トランスミッシ
ョンと自動操作装置との相対変位という問題は生じない
が、この場合にも本発明を実施すれば、自動操作精度の
向上という効果は得られるからである。また、「シフト
レバー」は、フロア式でも、コラム式でもよい。 〔4〕「複数の停止位置」は例えば、操作経路上におけ
る複数の変速位置と中立位置とを含むものとして定義し
たり、それら変速位置と中立位置とに加えて、シフトレ
バーを同じ方向へのさらなる変位が機械的に阻止される
ストロークエンド位置をも含むものとして定義すること
ができる。 〔5〕「アクチュエータ」の駆動源は例えば、モータと
したり空気等を作動媒体とする圧力制御装置とすること
ができる。
【0021】
【第2発明の課題解決手段,作用および効果】第2発明
は、その課題を解決するために、第1発明に係る自動操
作装置であって、前記シフトレバー位置検出装置が、前
記シフトレバーの操作位置を、前記アクチュエータの作
動によって前記シフトレバーに作用する力に関連する力
関連値として検出する力関連値検出装置を含むことを特
徴とする。
【0022】シフトレバーの操作位置を変化させれば、
それに応じてシフトレバーに作用する力が変化し、それ
ら操作位置と力との間には一定の関係が成立する。ま
た、その関係は、トランスミッションとアクチュエータ
等の取付対象との相対変位の影響を受けない。
【0023】そこで、このような知見に基づき、第2発
明に係る自動操作装置においては、て、シフトレバーの
操作位置が、シフトレバーに作用する力に関連する力関
連値として検出される。
【0024】したがって、この第2発明によれば、シフ
トレバーの操作位置がシフトレバーに作用する力とし
て、トランスミッションとアクチュエータ等の取付対象
との相対変位の影響を受けることなく検出可能となるか
ら、第1発明の望ましい一実施形態が提供されるという
効果が得られる。
【0025】以下、この第2発明を補足説明する。 〔1〕「力関連値」には例えば、ある時点における力の
大きさ,力の大きさの時間的変化状況(時間微分値等)
等を選ぶことができる。 〔2〕「シフトレバー位置検出装置」は例えば、アクチ
ュエータがモータを駆動源とする場合に、そのモータの
電流値であってシフトレバーに作用する力が大きいほど
大きくなるものを、力関連値を表す量として検出する形
式としたり、シフトレバーまたはそれと機械的に連携さ
せられている別の部材に装着した歪みゲージの電気抵抗
値であってシフトレバーに作用する力が大きいほど大き
くなるものを、力関連値を表す量として検出する形式と
することができる。なお、「シフトレバーと機械的に連
携させられている別の部材」には例えば、セレクトレバ
ーシャフトやシフトフォークシャフト,シフトケーブ
ル,セレクトケーブル等がある。
【0026】
【第3発明の課題解決手段,作用および効果】第3発明
は、その課題を解決するために、第1または第2発明に
係る自動操作装置であって、前記シフトレバー位置検出
装置が、前記トランスミッションに直接に取り付けられ
た前記シフトレバーの複数の停止位置にそれぞれ対応し
て前記トランスミッションまたはそれと相対変位しない
部材に取り付けられた複数の検出部により、前記シフト
レバーが前記複数の停止位置にそれぞれ位置したことを
検出する停止位置センサを含むことを特徴とする。
【0027】したがって、この第3発明によれば、シフ
トレバー検出部がトランスミッションと相対変位しない
位置に配置されていて、トランスミッションとアクチュ
エータ等の取付対象との相対変位の影響を受けることな
くシフトレバーの操作位置を検出可能となるから、第1
発明の望ましい別の実施形態が提供されるという効果が
得られる。
【0028】なお、「停止位置センサ」の検出方式には
例えば、磁気式(近接スイッチ等),光学式(光電スイ
ッチ等),接触式(タッチセンサ,ボタンスイッチ
等),撮像式(CCDカメラ等)等がある。
【0029】また、「トランスミッションと相対変位し
ない部材」には例えば、トランスミッションのハウジン
グに固定的に取り付けられた別の部材がある。
【0030】
【第4発明の課題解決手段,作用および効果】第4発明
は、その課題を解決するために、車両用トランスミッシ
ョンの変速比を変化させるために運転者によって操作さ
れるべきシフトレバーであって、前記トランスミッショ
ンに直接に取り付けられるとともに、その操作経路上に
おいて複数の停止位置を有するシフトレバーを自動的に
操作するために、(a) アクチュエータと、(b) そのアク
チュエータにより発生した力を前記シフトレバーに伝達
する力伝達機構と、(c) 前記アクチュエータを制御する
コントローラとを含むシフトレバーの自動操作装置にお
いて、前記トランスミッションまたはそれと相対変位し
ない部材に取り付けられ、前記シフトレバーについて予
め定められている正規の操作経路に形状が対応する溝を
有し、その溝の側面でシフトレバーに係合することによ
り、シフトレバーをそれの実際の操作経路が正規の操作
経路となるように案内する案内部材を設けたことを特徴
とする。
【0031】したがって、この第4発明によれば、トラ
ンスミッションと相対変位しない部材に取り付けられた
案内部材によりシフトレバーが機械的に案内され、実際
の操作経路が正規の操作経路を逸脱することがないよう
にされるため、自動操作精度が向上するという効果が得
られる。
【0032】なお付言すれば、この第4発明は、前記第
1ないし第3発明における「シフトレバー位置検出装
置」なしでも実施可能であるが、「シフトレバー位置検
出装置」を使用すれば、自動操作精度の向上をさらに容
易に図り得るという効果が得られる。
【0033】
【第5発明の課題解決手段,作用および効果】第5発明
は、その課題を解決するために、車両用トランスミッシ
ョンの変速比を変化させるために運転者によって操作さ
れるべきシフトレバーであってその操作経路上において
複数の停止位置を有するシフトレバーを自動的に操作す
るために、(a) アクチュエータと、(b) そのアクチュエ
ータにより発生した力を前記シフトレバーに伝達する力
伝達機構と、(c) 前記アクチュエータを制御するコント
ローラとを含むシフトレバーの自動操作装置において、
前記シフトレバーとアクチュエータとの間に、シフトレ
バーをアクチュエータによって強制的に変位させる強制
変位状態と、アクチュエータに対して自由に変位するこ
とを許容する自由変位許容状態とに変更可能な連携状態
変更装置を設け、かつ、前記コントローラに、前記アク
チュエータの作動により前記シフトレバーがある停止位
置から別の停止位置に変位させられるのに先立ち、前記
連携状態変更装置を自由変位許容状態から強制変位状態
に変更し、前記シフトレバーが前記別の停止位置に到達
したときに、連携状態変更装置を強制変位状態から自由
変位許容状態に変更する連携状態変更装置制御手段を設
けたことを特徴とする。
【0034】シフトレバーとアクチュエータとの連携に
ついては、アクチュエータによってシフトレバーを変位
させる際には、アクチュエータとシフトレバーとを剛で
連携させることが必要であるが、シフトレバーはそれの
複数の停止位置においてはそれぞれ操作力の付与なしで
同じ位置に保持されるから、アクチュエータの各回の作
動が終了し、次回の作動が開始されるまでの休止期間に
おいては、アクチュエータとシフトレバーとを剛で連携
させる必要はない。
【0035】また、アクチュエータの各回の作動毎に改
めてアクチュエータとシフトレバーとを剛で連携させる
ことにより、アクチュエータの各回の作動開始位置をシ
フトレバーの実際の操作位置に追従させるとともに、そ
の作動開始位置を基準にアクチュエータを作動させ、か
つ、アクチュエータの各回の作動量を正しく管理すれ
ば、結果的に、アクチュエータおよび力伝達機構を基準
とする座標系がトランスミッションの実際の位置変化に
追従して移動させられるから、トランスミッションとア
クチュエータ等の取付対象との相対変位が吸収されるこ
ととなる。
【0036】そこで、それらの知見に基づき、この第5
発明に係る自動操作装置においては、アクチュエータと
シフトレバーとの連携状態が強制変位状態と自由変位許
容状態とに変更可能とされ、かつ、アクチュエータの各
回の作動に先立って強制変位状態、各回の作動終了に伴
って自由変位許容状態とされる。
【0037】したがって、この第5発明によれば、トラ
ンスミッションとアクチュエータ等の取付対象との相対
変位が吸収されるから、自動操作精度が向上するという
効果が得られる。
【0038】なお付言すれば、この第5発明も前記第4
発明と同様に、前記第1ないし第3発明における「シフ
トレバー位置検出装置」なしでも実施可能であるが、
「シフトレバー位置検出装置」を使用すれば、自動操作
精度の向上をさらに容易に図り得るという効果が得られ
る。
【0039】
【発明の補足説明】以下、本発明を、他の実施形態を特
許請求の範囲と同じ表現形式で列挙することにより、補
足説明する。 (1) 請求項2または3の自動操作装置であって、前記力
関連値検出装置が、前記アクチュエータとしてのモータ
の作動時におけるそのモータの電流値を、前記力関連値
としての、前記シフトレバーに作用する力の大きさを表
す量として検出する電流値センサを含む自動操作装置。 (2) 請求項2または3の自動操作装置であって、前記力
関連値検出装置が、(a)前記アクチュエータとしてのモ
ータの作動時におけるそのモータの電流値を検出する電
流値センサと、(b) その検出された電流値の時間微分値
を、前記力関連値としての、前記シフトレバーに作用す
る力の大きさの時間微分値を表す量として演算する微分
電流値演算手段とを含む自動操作装置。 (3) 請求項2または3、実施形態(1) または(2) の自動
操作装置であって、前記力関連値検出装置が、(a) シフ
トレバーまたはそのシフトレバーに機械的に連携させら
れている部材に取り付けられた歪みゲージであって、そ
れらシフトレバーまたはそれと機械的に連携させられて
いる部材の変形に応じて電気抵抗値が変化するものと、
(b) その歪みゲージの電気抵抗値を表す信号を、前記力
関連値としての、前記シフトレバーに作用する曲げモー
メントの大きさを表す信号として出力する信号出力回路
とを含む自動操作装置。 (4) 実施形態(1) ないし(3) のいずれかの自動操作装置
であって、前記コントローラが、前記電流値センサまた
は前記歪みゲージにより検出された力関連値の絶対値が
第1設定値以上であるときに、前記シフトレバーが前記
複数の停止位置のいずれかまたはその近傍であるストロ
ークエンド位置にあると判定する操作位置判定手段を含
む自動操作装置。 (5) 実施形態(1) ないし(3) のいずれかの自動操作装置
であって、前記コントローラが、前記電流値センサまた
は前記歪みゲージにより検出された力関連値の絶対値が
第2設定値以下であるときに、前記シフトレバーが前記
複数の停止位置のうちの少なくとも1つである中立位置
にあると判定する操作位置判定手段を含む自動操作装
置。 (6) 請求項1ないし5,実施形態(1) ないし(5) のいず
れかの自動操作装置であって、さらに、前記アクチュエ
ータの各回の作動量を検出する作動量検出装置を含み、
かつ、前記コントローラが、前記作動量検出装置により
検出された各回の作動量が設定範囲でない限り、前記シ
フトレバーの実際の操作位置が前記複数の停止位置のい
ずれかまたはその近傍であるストロークエンド位置にあ
るとは判定しない操作位置判定手段を含む自動操作装
置。 (7) 請求項1ないし5,実施形態(1) ないし(6) のいず
れかの自動操作装置であって、前記力伝達機構が、前記
シフトレバーのセレクト方向動作を実現するための第1
機構部と、シフト方向動作を実現するための第2機構部
とをそれぞれ有し、かつ、第1機構部が、(a) 前記車両
のボデーに取り付けられるべきフレームに取り付けられ
た前記アクチュエータとしての第1モータと、(b) その
第1モータの回転力を前記シフトレバーに、それのセレ
クト方向に付与する第1力付与機構と、(c) 前記第2機
構部によるシフトレバーのシフト方向動作を保証する第
1動作保証機構とを有するものであり、前記第2機構部
が、(d) 前記フレームに取り付けられた前記アクチュエ
ータとしての第2モータと、(e) その第2モータの回転
力を前記シフトレバーに、それのシフト方向に付与する
第2力付与機構と、(f) 前記第1機構部によるシフトレ
バーのセレクト方向動作を保証する第2動作保証機構と
を有するものである自動操作装置。なお、本実施形態に
おける「力伝達機構」の構成は、第1発明における「シ
フトレバーの実際の操作位置をフィードバックしてアク
チュエータを制御するという技術」や、第4発明におけ
る「トランスミッションに取り付けた案内部材によって
シフトレバーを機械的に案内するという技術」や、第5
発明における「アクチュエータとシフトレバーとの連携
状態を制御する技術」から独立して採用することも可能
である。後述の実施形態(8) ないし(15)についても同様
である。 (8) 実施形態(7) の自動操作装置であって、前記第1力
付与機構が、(a) 前記シフトレバーの揺動支点近傍を通
過し、かつ、それのセレクト方向に直角な基準線L1の
回りに回動可能に前記フレームに支持された第1回動部
材であって、基準線L1から半径方向にオフセットした
オフセット部が形成されているものと、(b) その第1回
動部材のオフセット部に形成され、前記シフトレバーの
シフト方向に平行に延びる一対の板部材であって、それ
と同じ方向に延びるとともに前記シフトレバーが嵌入さ
せられるべき隙間を隔てて互いに対向するものとを有す
るものであり、前記第1動作保証機構が、前記隙間であ
る自動操作装置。 (9) 実施形態(7) または(8) の自動操作装置であって、
前記第2力付与機構が、(a) 前記シフトレバーの揺動支
点近傍を通過し、かつ、それのシフト方向に直角な基準
線L2の回りに回動可能に前記フレームに支持された第
2回動部材と、(b) その第2回動部材と一体的に回動す
るとともに、前記シフトレバーのレバー部に係合して前
記第2回動部材の回転力をシフトレバーに伝達する力伝
達部材とを有するものであり、前記第2動作保証機構
が、(c) 前記力伝達部材が2分割された前記第2回動部
材の側の第1部分と前記シフトレバーの側の第2部分と
のうちその第1部分と第2回動部材とを互いに連結する
第1連結機構と、(d) 前記第1部分と第2部分とを互い
に連結する第2連結機構と、(e) 前記第2部分と前記シ
フトレバーとを互いに連結する第3連結機構とを有する
ものである自動操作装置。 (10)実施形態(9) の自動操作装置であって、前記第1連
結機構が、前記第1部分と第2回動部材とを、前記基準
線L2に平行な方向に相対変位可能、かつ、前記第2回
動部材を前記基準線L2における一側から見た場合に、
第2回動部材と第1部分との接続点と、点で表される基
準線L2とを通過する第1直線に直角となる第2直線の
回りに回動可能に連結するものである自動操作装置。 (11)実施形態(9) または(10)の自動操作装置であって、
前記第2連結機構が、前記第1部分と第2部分とを、前
記第2回動部材を前記基準線L2における一側から見た
場合に、前記第1直線に直角となる第3直線の回りに回
動可能に連結するものである自動操作装置。 (12)実施形態(9) ないし(11)のいずれかの自動操作装置
であって、前記第3連結機構が、前記シフトレバーと第
2部分とを、シフトレバーのうち第2部分内に存在する
部分が第2部分内で揺動可能に連結するものである自動
操作装置。 (13)実施形態(7) ないし(12)のいずれかの自動操作装置
であって、前記第1機構部については、前記第1モータ
と前記第1力付与機構との間に、それら両者間の連結状
態を接続状態と分離状態とに切換え可能な第1クラッチ
が設けられ、前記第2機構部については、前記第2モー
タと前記第2力付与機構との間に、それら両者間の連結
状態を接続状態と分離状態とに切換え可能な第2クラッ
チが設けられている自動操作装置。 (14)実施形態(8) ないし(13)のいずれかの自動操作装置
であって、さらに、(a)前記各回動部材の回動位置を直
接または間接に検出する回動位置検出装置と、(b) 前記
アクチュエータの各回の作動開始させるのに先立って前
記回動位置検出装置により検出された回動位置を基準位
置とし、その基準位置と、前記アクチュエータの作動開
始後に前記回動位置検出装置により検出された回動位置
との相対的な関係に基づき、前記アクチュエータの作動
量を検出する作動量検出装置とを含む自動操作装置。な
お、ここに「回動位置検出装置」は、各回動部材の回動
位置を直接に検出する形式でも、アクチュエータの作動
位置として間接に検出する形式でもよい。このことは後
述の実施形態(15)についても同様である。 (15)実施形態(8) ないし(13)のいずれかの自動操作装置
であって、さらに、(a)前記各回動部材の回動位置を直
接または間接に検出する回動位置検出装置と、(b) 前記
アクチュエータの各回の作動開始させるのに先立って前
記回動位置検出装置により検出された回動位置を基準位
置とし、その基準位置と、前記アクチュエータの作動開
始後に前記回動位置検出装置により検出された回動位置
との相対的な関係に基づき、前記シフトレバーの操作位
置を検出する相対型シフトレバー位置検出装置とを含む
自動操作装置。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0041】本発明の一実施形態である自動操作装置
は、マニュアル式トランスミッションを備えた車両につ
いて実走行試験等を行うために、そのトランスミッショ
ンのシフトレバーを自動的に操作する装置である。本自
動操作装置は、車両の実走行試験等のため、その車両に
一時的に装着されて使用される。以下、本自動操作装置
を詳細に説明するが、それに先立ち、シフトレバーにつ
いて説明する。
【0042】図1に示すように、トランスミッション1
0には、図示しない入力軸にエンジン12が接続され、
出力軸14に図示しない駆動車輪が接続されている。こ
のトランスミッション10は、変速比が前進5段後退1
段で可変のマニュアル式であり、その変速比は運転者に
よるシフトレバー20の操作によって変化させられる。
シフトレバー20はトランスミッション10に直接に取
り付けられている。すなわち、シフトレバー20はダイ
レクト式なのである。シフトレバー20は、一支点の回
りに揺動可能にトランスミッション10に取り付けられ
ている。
【0043】このシフトレバー20の操作パターンは、
図2に示すように、車両左右方向におけるセレクト操作
ストロークと車両前後方向におけるシフト操作ストロー
クとが直交するいわゆるH字型とされている。ここに
「セレクト操作」とは、トランスミッション10内にお
いて複数のギヤの中から変速ギヤとして使用するギヤを
選択するためのシフトレバー20の操作をいい、また、
「シフト操作」とは、その選択されたギヤを駆動車輪と
共に回転する出力ギヤにかみ合わせるためのシフトレバ
ー20の操作をいう。
【0044】具体的には、シフトレバー20は、その操
作パターン上において3つの中立位置を有している。そ
れは、左側のN1位置,中央のN2位置および右側のN
3位置である。なお、狭義には、N2位置のみがシフト
レバー20の中立位置であると考えられるが、N1位置
は、シフトレバー20を後述のP1位置とP2位置との
間をシフト方向に変位させる際に中立位置として機能
し、また、N3位置は、シフトレバー20を後述のP3
位置とP4位置との間をシフト方向に変位させる際に中
立位置として機能することから、広義には、それらN1
位置,N2位置およびN3位置はすべて中立位置である
と考えることができるのである。
【0045】また、シフトレバー20は、その操作パタ
ーン上において6つの変速位置を有している。それは、
前進第1速であるP1位置,前進第2速であるP2位
置,前進第3速であるP3位置,前進第4速であるP4
位置,前進第5速であるP5位置および後退第1速であ
るPR位置である。
【0046】そして、シフトレバー20は、操作力の付
与なしで同じ位置に保持される停止位置を7つ有してい
る。それは、中立位置N2と6つの変速位置とである。
シフトレバー20はまた、ストロークエンド位置を8つ
有している。それらのうちの6つは、前記6つの変速位
置にそれぞれ対応している。シフトレバー20をそれら
各変速位置に向かって変位させる際、シフトレバー20
はそれら各変位位置を少し超えると、シフトレバー20
の機構上、同じ方向へのさらなる変位が機械的に阻止さ
れるのである。残りの2つは、N1位置とN3位置とに
それぞれ対応している。シフトレバー20を中立位置N
2からN1位置またはN3位置に向かってセレクト方向
に変位させる際、シフトレバー20はそれらN1位置ま
たはN3位置に到達すると、シフトレバー20の機構
上、同じ方向へのさらなる変位が機械的に阻止されるの
である。
【0047】本自動操作装置は、シフトレバー位置検出
装置として力関連値検出装置を有する形式である。ま
た、その力関連値検出装置によるシフトレバー位置検出
と、回動位置検出装置によるアクチュエータ作動量検出
との双方によりアクチュエータを制御する形式でもあ
る。さらに、シフトレバー20とそれに力を付与するア
クチュエータとの間に連携状態変更装置を有する形式で
もある。
【0048】本自動操作装置は、力伝達機構として、シ
フトレバー20のセレクト方向動作とシフト方向動作と
をそれぞれ互いに独立して行う2つの機構部を有してい
る。さらに、各機構部毎に、アクチュエータとしてのモ
ータと、回動位置検出装置としてのエンコーダと、連携
状態変更装置としてのクラッチとをそれぞれ有する。そ
れら力伝達機構21とモータとエンコーダとクラッチは
自動操作装置において機械部を構成しているのであり、
同じ自動操作装置において他の構成要素である後述のコ
ントローラと電気的に接続される。
【0049】図3は、シフトレバー20を車両搭載状態
において車両左側に当たる位置から見た場合の図であ
る。この図には、シフトレバー20のセレクト方向動作
を実現するための第1機構部21aが示されている。
【0050】この機構部21aにおいては、シフトレバ
ー20の揺動支点近傍を通過し、かつ、車両搭載状態に
おいて車両前後方向となる方向に平行に延びる一基準線
L1が想定されている。この機構部21aは、車両のボ
デー22にボルト等の締結手段により強固に取り付けら
れたフレーム24を備えている。このフレーム24に
は、基準線L1を中心に回動し、シフトレバー20に基
準線L1回りの回転力(モーメント)を付与する回転力
付与部材としての回動部材26が取り付けられている。
【0051】回動部材26は、それの回動中心線である
基準線L1から半径方向にオフセットしたオフセット部
27を有する。オフセット部27は、回転力をシフトレ
バー20に付与するために設けられているが、オフセッ
ト部27は回転力をシフトレバー20にセレクト方向に
おける両側から択一的に付与可能であることが必要であ
る。さらに、オフセット部26は、シフトレバー20の
シフト方向動作を阻止しないことも必要である。そのた
め、オフセット部27には、基準線L1に平行に延びる
一対の板部材28が隙間を隔てて互いに対向した中空部
29が形成されている。
【0052】具体的には、中空部29は、回動部材26
を基準線L1の方向における一側から見た場合には、そ
の基準線L1と中空部29とを通過する一直線の方向に
延びており、また、回動部材26をその直線の方向にお
ける一側から見た場合には、基準線L1に平行に延びて
いる。この中空部29にシフトレバー20が嵌入させら
れた状態で回動部材26を回動させれば、各板部材28
がシフトレバー20に係合して回転力が付与され、ま
た、シフトレバー20は各板部材28に摺接しつつ自由
にシフト方向に変位させられる。
【0053】図3に示すように、フレーム24には、モ
ータ(セレクト方向モータ)30とクラッチ(セレクト
方向クラッチ)32との組立体33と、エンコーダ(セ
レクト方向エンコーダ)34とがそれぞれ取り付けられ
ている。それら組立体33とエンコーダ34とは、基準
線L1上においてシフトレバー20の揺動支点近傍を隔
てて互いに対向する。クラッチ32はシャフト36によ
り、エンコーダ34はシャフト38によりそれぞれ回動
部材26と連結されている。
【0054】モータ30は、供給された電流に基づき、
クラッチ32を経て回動部材24に、基準線L1回りに
(図4において矢印Aで示す回転方向に)回転力を付与
する。クラッチ32は、ソレノイドの励磁の有無に応じ
て、モータ30と回動部材24とを互いに接続し、モー
タ30の回転力を回動部材24に伝達する接続状態(強
制変位状態の一例)と、それらモータ30と回動部材2
4とを互いに分離し、回動部材24がモータ30とは無
関係に自由に回動することを許容する分離状態(自由変
位許容状態の一例)とに切り換わる。エンコーダ34
は、回動部材24の回動位置に応じた信号を出力する。
【0055】これに対し、図4は、シフトレバー20を
車両搭載状態において車両後側に当たる位置から見た場
合の図である。この図には、シフトレバー20のシフト
方向動作を実現するための第2機構部21bが示されて
いる。
【0056】この機構部21bは、図3に示す第1機構
部21aにほぼ準じた構成とされている。すなわち、車
両のボデー22に強固に取り付けられたフレーム40を
有するとともに、シフトレバー20の揺動支点近傍を通
過し、かつ、前記基準線L1に直交する基準線L2が想
定され、フレーム40に、その基準線L2に沿って、モ
ータ42,クラッチ44およびエンコーダ46が取り付
けられているのである。ただし、それらモータ42,ク
ラッチ44およびエンコーダ46は、シフトレバー20
のセレクト方向における片側にまとめて配置されてい
る。
【0057】フレーム40には、基準線L2を中心に回
動し、シフトレバー20に基準線L2回りに(図3にお
いて矢印Bで示す回転方向に)回転力を付与する回転力
付与機構50が設けられている。
【0058】回転力付与機構50は、(a) モータ42に
より基準線L2回りに回動する回動部材52と、(b) そ
の回動部材52の回転力をシフトレバー20に伝達する
力伝達部材54とを備えている。回動部材52は、シャ
フト56によりクラッチ44とエンコーダ46とにそれ
ぞれ連結されている。
【0059】さらに、回転力付与機構50は、シフトレ
バー20がシフト方向およびセレクト方向にそれぞれス
ムーズに動作することを保証する動作保証機構60をも
備えている。シフトレバー20が図示の中立位置N2か
らセレクト方向に動作する際には、シフトレバー20と
力伝達部材54との接続点の位置が図4において矢印A
で示す回転方向に変化し、また、シフトレバー20がセ
レクト方向に動作する際のみならずシフト方向に動作す
る際にもシフトレバー20のうち力伝達部材54との接
続部位の角度も変化するからである。
【0060】図5には、力伝達部材54と動作保証機構
60とが拡大して示されている。動作保証機構60は、
力伝達部材54と回動部材52とを連結する連結機構6
2を備えている。
【0061】連結機構62は、力伝達部材54と回動部
材52とを、基準線L2に平行な方向に相対変位可能に
連結する機能と、力伝達部材54と回動部材52とを、
回動部材52を基準線L2における一側から見た場合
に、回動部材52と第1部分64との接続点と、点で表
される基準線L2とを通過する第1直線(図3参照)に
直角となる第2直線の回りに回動可能に連結する機能と
を有する。ただし、連結機構62は、力伝達部材54と
回動部材52とが、基準線L2と直角な方向に相対変位
することを阻止する機能と、力伝達部材54が回動部材
52内において力伝達部材54の中心線回りに回転する
ことを阻止する機能とを有する。
【0062】それらの機能を果たすため、連結機構62
は、具体的には、(a) 回動部材52に第1部分64をピ
ンおよびベアリングにより前記第2直線の回りに回動可
能に連結する連結部63aと、(b) 回動部材52に第1
部分64をスライドレールにより基準線L2に平行に移
動可能に連結する連結部63bとを含む構造とされてい
る。
【0063】動作保証機構60はまた、力伝達部材54
が2分割された回動部材52の側の第1部分64とシフ
トレバー20の側の第2部分66とを互いに連結する連
結機構70をも備えている。
【0064】連結機構70は、それら第1部分64と第
2部分66とを、回動部材52を基準線L2における一
側から見た場合に、前記第1直線に直角となる第3直線
の回りに回動可能に連結する機能を有する。その機能を
果たすため、連結機構70は、具体的には、図6に示す
ように、ピン72とベアリング74とを含む構造とされ
ている。ピン72は、前記第2直線に沿って延びるとと
もに、力伝達部材54の2部分64,66が互いにオー
バラップした部分に挿通させられている。一方、ベアリ
ング74は、それら2部分64,66のいずれか一方と
ピン72とを回転可能に連結する。
【0065】動作保証機構60はさらに、力伝達部材5
4のうちの第2部分66とシフトレバー20とを互いに
連結する連結機構78をも備えている。
【0066】連結機構78は、シフトレバー20のうち
第2部分66内に存在する部分がその第2部分66内で
揺動可能に連結する機能を有する。その機能を果たすた
め、連結機構78は、具体的には、図6および図7に示
すように、シフトレバー20が挿入される筒状の保持部
材80と第2部分66とを連結するボールジョイント
(例えば、ボールがソケットに摺動可能に嵌合された構
造)82を含む構造とされている。シフトレバー20は
保持部材80に適当な半径方向隙間を隔てて挿入されて
おり、自動操作時に両者間のシフトレバー20の軸方向
における相対変位が許容される。
【0067】以上、本自動操作装置の機械的な構成を説
明したが、次に、電気的な構成を説明する。
【0068】図8に示すように、本自動操作装置は、コ
ントローラ100を備えている。コントローラ100
は、CPU102,ROM104およびRAM106を
含むコンピュータ108を主体として構成されている。
コントローラ100は、それの入力側においては、前記
セレクト方向エンコーダ34およびシフト方向エンコー
ダ46と接続され、出力側においては、ドライバ110
を経て前記セレクト方向モータ30、ドライバ112を
経て前記シフト方向モータ42とそれぞれ接続され、さ
らに、前記セレクト方向クラッチ32のソレノイドおよ
びシフト方向クラッチ44のソレノイドともそれぞれ接
続されている。
【0069】各ドライバ110,112から各モータ3
0,42に流れる電流の値は各電流値センサ116,1
18により検出される。それら各電流値センサ116,
118の入力端子は各ドライバ110,112に、出力
端子はコントローラ100にそれぞれ接続されている。
各モータ30,42の電流値は各モータ30,42の負
荷の大きさを表しており、シフトレバー20がストロー
クエンド位置に達した後にも各モータ30,42が同じ
方向に作動し続けられると、各モータ30,42の負荷
が大きくなり、各モータ30,42の電流値も大きくな
るのである。したがって、各電流値センサ116,11
8からの出力信号は結局、各モータ30,42からシフ
トレバー20に作用する力の大きさを表す信号となる。
【0070】そして、本自動操作装置においては、コン
トローラ100が、各エンコーダ34,46からの出力
信号と、各電流値センサ116,118からの出力信号
とに基づいて各モータ30,42および各クラッチ3
2,44をそれぞれ制御するのであるが、そのため、コ
ンピュータ108により外部からシフト操作プログラム
が読み込まれてRAM106に一時的に記憶され、その
シフト操作プログラムがCPU102により実行され
る。
【0071】シフト操作プログラムには、図9に示すよ
うに、操作パターンプログラムとシフト動作プログラム
とがある。操作パターンプログラムは、どのような操作
をどのような順序でどのような時間間隔で実行すべきか
を記述したプログラムである。シフト動作プログラム
は、各シフト動作毎に設けられたルーチンの集合であ
り、例えば、アップシフトプログラムには、シフトレバ
ー20をN2位置からN1位置を経てP1位置に移動さ
せるためのルーチンなどがあり、また、ダウンシフトプ
ログラムには、シフトレバー20をP5位置からN3位
置およびN2位置を順に経てP4位置に移動させるため
のルーチンなどがある。なお、それらプログラムはフロ
ッピーディスク等、記録媒体に記録されて外部記憶装置
に予め保存されている。
【0072】以下、それらプログラムのうち本発明を理
解する上において関連の深いものであるシフト動作プロ
グラムを説明するが、アップシフトプログラムのみを図
10ないし図14に基づいて代表的に説明し、ダウンシ
フトプログラムは、アップシフトプログラムに準じたも
のであるため、説明を省略する。
【0073】まず、図10に基づき、シフトレバー20
をN2位置からN1位置を経てP1位置に移動させるた
めのルーチンを説明する。
【0074】まず、ステップS101(以下、単にS1
01で表す。他のステップについても同じとする)にお
いて、両クラッチ32,44を初期状態である分離状態
から接続状態に移行させる。次に、S102において、
シフトレバー20の現在位置、すなわち、今回はN2位
置を記憶させる。両エンコーダ34,46からの出力信
号に基づき、シフトレバー20のセレクト方向位置(A
方向回転位置)とシフト方向位置(B方向回転位置)と
をそれぞれRAM106に記憶させるのである。
【0075】続いて、S103およびS104におい
て、シフトレバー20をN2位置からN1位置に移動さ
せるセレクト動作を行う。
【0076】具体的には、まず、S103において、セ
レクト方向モータ30に電流を供給し、シフトレバー2
0をN2位置からN1位置に向かって移動させる。これ
により、シフトレバー20は、例えば、図15の上側グ
ラフに示す速度変化を伴って移動し、また、セレクト方
向モータ30の電流値は同グラフに示すように変化す
る。
【0077】その後、S104において、電流値センサ
116からの出力信号を力関連値を表す信号として入力
する。すなわち、本実施形態においては、セレクト方向
モータ30の電流値を力関連値として入力するのであ
る。
【0078】さらに、本ステップにおいては、各エンコ
ーダ34,46からの出力信号に基づき、シフトレバー
20のセレクト方向における現在位置を検出し、その検
出された現在位置と、前記S102において記憶された
現在位置との差を演算し、それをシフトレバー20の今
回の変位量Dとする。なお、ここに「変位量D」は、セ
レクト方向成分とシフト方向成分との双方を含むように
構成したり、それらのうち比較的大きな成分であるセレ
クト方向成分のみを含むように構成することができる。
【0079】さらにまた、本ステップにおいては、力関
連値が所定値以上であり、かつ、変位量Dが所定範囲で
あるか否かを判定する。図15に示すように、シフトレ
バー20をN2位置からN1位置に移動させる際には、
N1位置はシフトレバー20のストロークエンド位置で
あり、同図に示すように、セレクト方向モータ30の電
流値が急に上昇して大きな値となり、また、変位量Dの
正規値は事前に分かっており、その正規値に許容誤差を
見込んで変位量Dの所定範囲が設定されているから、力
関連値が所定値以上であり、かつ、変位量Dが所定範囲
であれば、シフトレバー20がN1位置に到達したか否
かを判定することができるのである。
【0080】それら2条件が不成立であれば、判定がN
Oとなり、S103に戻り、セレクト方向モータ30を
作動し続け、それら2条件が同時に成立すれば、判定が
YESとなり、S105において、セレクト方向モータ
30を停止させる。
【0081】次に、S106およびS107において、
シフトレバー20をN1位置からP1位置に移動させる
シフト動作を行う。
【0082】具体的には、まず、S106において、シ
フト方向モータ42に電流を供給し、シフトレバー20
をN1位置からP1位置に向かって移動させる。これに
より、シフトレバー20は、例えば、図15の左側グラ
フに示す速度変化を伴って移動し、また、シフト方向モ
ータ42の電流値は同グラフに示すように変化する。
【0083】その後、S107において、電流値センサ
118からの出力信号、すなわち、シフト方向モータ4
2の電流値を表す信号を力関連値として入力する。
【0084】さらに、本ステップにおいては、各エンコ
ーダ34,46からの出力信号に基づき、シフトレバー
20のシフト方向における現在位置を検出し、その検出
された現在位置と、前記S102において記憶された現
在位置との差を演算し、それをシフトレバー20の今回
の変位量Dとする。なお、ここに「変位量D」は、セレ
クト方向成分とシフト方向成分との双方を含むように構
成される。
【0085】さらにまた、本ステップにおいては、前記
S104におけると同様にして、力関連値が所定値以上
であり、かつ、変位量Dが所定範囲であるか否かを判定
する。図15に示すように、シフトレバー20がP1位
置を少し超えた位置はシフトレバー20のストロークエ
ンド位置であり、同図に示すように、電流値が急に上昇
して大きな値となり、また、変位量Dの正規値は事前に
分かっているからである。それら2条件が不成立であれ
ば、判定がNOとなり、S106に戻り、シフト方向モ
ータ42を作動し続ける。これに対し、それら2条件が
同時に成立すれば、判定がYESとなり、S108にお
いて、シフト方向モータ42を停止させる。
【0086】その後、S109において、両クラッチ3
2,44を接続状態から分離状態に移行させ、シフトレ
バー20が各モータ30,42の停止位置とは無関係に
自由に変位することを許容する状態とする。これによ
り、シフトレバー20は、P1位置を超えたストローク
エンド位置から本来のP1位置に、シフトレバー20自
体等の弾性力により戻される。以上で本ルーチンの一回
の実行が終了する。
【0087】次に、図11に基づき、シフトレバー20
をP1位置からN1位置を経てP2位置に移動させるた
めのルーチンを説明する。なお、図10のルーチンと共
通する部分については簡単に説明する。
【0088】まず、S201において、両クラッチ3
2,44を接続状態とする。次に、S202において、
両エンコーダ34,46からの出力信号に基づき、シフ
トレバー20の現在位置を記憶させる。その後、S20
3において、シフト方向モータ42に電流を供給し、シ
フトレバー20をP1位置からN1位置に向かって移動
させる。続いて、S204において、電流値センサ11
6からの出力信号に基づく力関連値が所定値以下であ
り、かつ、各エンコーダ34,46からの出力信号に基
づく変位量Dが所定範囲にあるか否かを判定する。
【0089】ここに、先の場合と異なり、力関連値が所
定値以下であることを判定するのは以下の理由からであ
る。すなわち、N1位置はシフトレバー20のセレクト
動作においてはストロークエンド位置となるがシフト方
向動作においてはストロークエンド位置とならず、ま
た、シフトレバー20にはその機構上、シフト方向にお
いてはN1位置に復元する力が常に作用していて、シフ
トレバー20がN1位置に接近するにつれてシフトレバ
ー20に作用するシフト方向力が急に減少し、N1位置
に到達したときにはシフト方向力がほぼ0となるからで
ある。なお、このことはN3位置についても該当する。
【0090】それら2条件が同時に成立してS204の
判定がYESとなれば、S205において、再度、シフ
ト方向モータ42に電流を供給し、シフトレバー20を
N1位置からP2位置に向かって移動させる。続いて、
S206において、電流値センサ116からの出力信号
に基づく力関連値が所定値以上であり、かつ、各エンコ
ーダ34,46からの出力信号に基づく変位量Dが所定
範囲にあるか否かを判定する。P2位置を少し超えた位
置はシフトレバー20のストロークエンド位置であるか
らである。それら2条件が同時に成立してS206の判
定がYESとなれば、S207において、シフト方向モ
ータ42を停止させ、S208において、両クラッチ3
2,44を分離状態とする。以上で本ルーチンの一回の
実行が終了する。
【0091】次に、図12に基づき、シフトレバー20
をP2位置からN1位置およびN2位置を順に経てP3
位置に移動させるためのルーチンを説明する。なお、先
のルーチンと共通する部分については簡単に説明する。
【0092】まず、S301において、両クラッチ3
2,44を接続状態とする。次に、S302において、
両エンコーダ34,46からの出力信号に基づき、シフ
トレバー20の現在位置を記憶させる。その後、S30
3において、シフト方向モータ42に電流を供給し、シ
フトレバー20をP2位置からN1位置に向かって移動
させる。続いて、S304において、電流値センサ11
8からの出力信号に基づく力関連値が所定値以下であ
り、かつ、各エンコーダ34,46からの出力信号に基
づく変位量Dが所定範囲にあるか否かを判定する。
【0093】それら2条件が同時に成立して判定がYE
Sとなれば、S305において、シフト方向モータ42
を停止させる。
【0094】その後、S306において、今度は、セレ
クト方向モータ30に電流を供給し、シフトレバー20
をN1位置からN2位置に向かって移動させる。続い
て、S307において、電流値センサ116からの出力
信号に基づく力関連値が所定値以下であり、かつ、各エ
ンコーダ34,46からの出力信号に基づく変位量Dが
所定範囲にあるか否かを判定する。
【0095】それら2条件が同時に成立して判定がYE
Sとなれば、S308において、セレクト方向モータ3
0を停止させる。
【0096】その後、S309において、シフト方向モ
ータ42に電流を供給し、シフトレバー20をN2位置
からP3位置に向かって移動させる。続いて、S310
において、電流値センサ118からの出力信号に基づく
力関連値が所定値以上であり、かつ、各エンコーダ3
4,46からの出力信号に基づく変位量Dが所定範囲に
あるか否かを判定する。
【0097】それら2条件が同時に成立して判定がYE
Sとなれば、S311において、シフト方向モータ42
を停止させ、S312において、両クラッチ32,44
を分離状態とする。以上で本ルーチンの一回の実行が終
了する。
【0098】次に、図13に基づき、シフトレバー20
をP3位置からN2位置を経てP4位置に移動させるた
めのルーチンを説明する。なお、先のルーチンと共通す
る部分については簡単に説明する。
【0099】まず、S401において、両クラッチ3
2,44を接続状態とする。次に、S402において、
両エンコーダ34,46からの出力信号に基づき、シフ
トレバー20の現在位置を記憶させる。その後、S40
3において、シフト方向モータ42に電流を供給し、シ
フトレバー20をP3位置からN2位置に向かって移動
させる。続いて、S404において、電流値センサ11
6からの出力信号に基づく力関連値が所定値以下であ
り、かつ、各エンコーダ34,46からの出力信号に基
づく変位量Dが所定範囲にあるか否かを判定する。
【0100】それら2条件が同時に成立してS404の
判定がYESとなれば、S405において、再度、シフ
ト方向モータ42に電流を供給し、シフトレバー20を
N2位置からP4位置に向かって移動させる。続いて、
S406において、電流値センサ116からの出力信号
に基づく力関連値が所定値以上であり、かつ、各エンコ
ーダ34,46からの出力信号に基づく変位量Dが所定
範囲にあるか否かを判定する。それら2条件が同時に成
立してS406の判定がYESとなれば、S407にお
いて、シフト方向モータ42を停止させ、S408にお
いて、両クラッチ32,44を分離状態とする。以上で
本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0101】次に、図14に基づき、シフトレバー20
をP4位置からN2位置およびN3位置を順に経てP5
位置に移動させるためのルーチンを説明する。なお、先
のルーチンと共通する部分については簡単に説明する。
【0102】まず、S501において、両クラッチ3
2,44を接続状態とする。次に、S502において、
両エンコーダ34,46からの出力信号に基づき、シフ
トレバー20の現在位置を記憶させる。その後、S50
3において、シフト方向モータ42に電流を供給し、シ
フトレバー20をP4位置からN2位置に向かって移動
させる。続いて、S504において、電流値センサ11
8からの出力信号に基づく力関連値が所定値以下であ
り、かつ、各エンコーダ34,46からの出力信号に基
づく変位量Dが所定範囲にあるか否かを判定する。
【0103】それら2条件が同時に成立して判定がYE
Sとなれば、S505において、シフト方向モータ42
を停止させる。
【0104】その後、S506において、セレクト方向
モータ30に電流を供給し、シフトレバー20をN2位
置からN3位置に向かって移動させる。続いて、S50
6において、電流値センサ116からの出力信号に基づ
く力関連値が所定値以下であり、かつ、各エンコーダ3
4,46からの出力信号に基づく変位量Dが所定範囲に
あるか否かを判定する。
【0105】それら2条件が同時に成立して判定がYE
Sとなれば、S508において、セレクト方向モータ3
0を停止させる。
【0106】その後、S509において、シフト方向モ
ータ42に電流を供給し、シフトレバー20をN3位置
からP5位置に向かって移動させる。続いて、S510
において、電流値センサ118からの出力信号に基づく
力関連値が所定値以上であり、かつ、各エンコーダ3
4,46からの出力信号に基づく変位量Dが所定範囲に
あるか否かを判定する。
【0107】それら2条件が同時に成立して判定がYE
Sとなれば、S511において、シフト方向モータ42
を停止させ、S512において、両クラッチ32,44
を分離状態とする。以上で本ルーチンの一回の実行が終
了する。
【0108】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、各電流値センサ116,118が請求項
2の発明における「力関連値検出装置」の一例を構成し
ているのである。また、コンピュータ108のうち操作
パターンプログラムおよびシフト動作プログラムを実行
する部分が、請求項1〜3の発明における「アクチュエ
ータ制御手段」の一例を構成し、そのうち、図10のS
101,S109,図11のS201,S208,図1
2のS301,S312,図13のS401,S40
8,図14のS501,S512を実行する部分が、請
求項5の発明における「連携状態変更装置制御手段」の
一例を構成しているのである。
【0109】なお付言すれば、本実施形態においては、
各電流値センサ116,118によるシフトレバー位置
検出と、各クラッチ32,44の切換えを伴う各エンコ
ーダ34,46によるアクチュエータ作動量検出との双
方が行われ、それらの検出結果を総合してアクチュエー
タが制御されるようになっている。したがって、本実施
形態によれば、シフトレバー位置検出のみを行う形態で
本発明を実施する場合や、アクチュエータ作動量検出の
みを行う形態で本発明を実施する場合に比較して、シフ
トレバー位置の検出精度の向上を比較的容易に図り得る
という特有の効果が得られる。ただし、シフトレバー位
置検出のみを行う形態で本発明を実施することも、アク
チュエータ作動量検出のみを行う形態で本発明を実施す
ることも可能であるのはもちろんである。
【0110】さらに付言すれば、本実施形態において
は、各モータ30,42と各回動部材26,52との間
に各クラッチ32,44が設けられていて、シフトレバ
ー20と各モータ30,42に対する分離/接続が簡単
な操作(例えばスイッチのON/OFF操作)で切換え
可能とされている。一方、自動操作装置をシフトレバー
20に係合させた後、運転者が自由にシフトレバー20
を操作することが必要となる場合がある。それは例え
ば、車両を実走行試験以外の目的で別の場所に移動させ
る場合や、実走行試験に先立ち、運転者がシフトレバー
20を操作してその操作経路を自動操作装置に対して教
示する場合である。これらの場合に、運転者がいちいち
工具等を用いてシフトレバー20と自動操作装置との連
携を解除しなければならないのでは、面倒である。これ
に対し、本実施形態によれば、その連携が簡単な操作で
実行可能となるため、自動操作装置の使い勝手が向上す
るという効果も得られる。
【0111】さらに付言すれば、本実施形態において
は、各モータ30,42の各回の作動が終了し、シフト
レバー20がある停止位置に到達させられた後において
は、次回の作動が開始されるまでの間、各クラッチ3
2,44により各モータ30,42とシフトレバー20
との連携が解除されるから、各モータ30,42の前回
の作動終了時と次回の作動開始時との間において各モー
タ30,42とトランスミッション10との間に相対変
位が生じても、それらモータ30,42およびシフトレ
バー20に予定外に力が付与されることが回避されると
いう効果も得られる。
【0112】次に、本発明の別の実施形態である自動操
作装置を説明する。ただし、先の実施形態と共通する部
分については、同一の符号を使用することにより詳細な
説明を省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明す
る。
【0113】本実施形態においては、力関連値検出装置
として、先の実施形態における電流値センサ116,1
18に代えて、歪みゲージを利用してシフトレバー20
に作用する力を検出する装置が使用されている。具体的
には、図16に示すように、シフトレバー20のセレク
ト方向力検出のためにブリッジ回路(セレクト方向ブリ
ッジ回路)130および増幅器132が、シフト方向力
検出のためにブリッジ回路(シフト方向ブリッジ回路)
140および増幅器142がそれぞれ設けられているの
である。各ブリッジ回路130,140は各増幅器13
2,142を経て前記コントローラ100の入力側に接
続されている。
【0114】セレクト方向ブリッジ回路130は、図1
7の(a) に示すように、2つの歪みゲージA1 ,A2
2つの固定抵抗R1 ,R2 とが菱形を成す電気回路の各
辺にそれぞれ配置されて構成されている。歪みゲージA
1 ,A2 は、図18に示すように、シフトレバー20の
うち、セレクト方向動作時に比較的大きな曲げモーメン
トが作用し、比較的大きな表面歪みが発生する部位(例
えば、シフトレバー20の揺動支点近傍)の両面(図に
おいて表側と裏側)にそれぞれ装着される。
【0115】一方、シフト方向ブリッジ回路140は、
セレクト方向ブリッジ回路130と同様に構成されてい
る。すなわち、図17の(b) に示すように、2つの歪み
ゲージB1 ,B2 と2つの固定抵抗R3 ,R4 とが菱形
を成す電気回路の各辺にそれぞれ配置されて構成され、
かつ、歪みゲージB1 ,B2 が、図18に示すように、
シフトレバー20のうち、シフト方向動作時に比較的大
きな曲げモーメントが作用し、比較的大きな表面歪みが
発生する部位(例えば、シフトレバー20の揺動支点近
傍)の両面(図において前側と後側)にそれぞれ装着さ
れるのである。
【0116】そして、コントローラ100は、図17の
(a) および(b) にそれぞれ示す入力電圧Vinに応じて各
ブリッジ回路130,140に発生する出力電圧Vout
を各増幅器132,142を経て入力し、それら入力電
圧Vinと出力電圧Vout との関係に基づき、シフトレバ
ー20にセレクト方向とシフト方向とにそれぞれ作用す
る曲げモーメントを演算する。例えば、 Vout =k・ε・Vin/2 なる式を用いて演算する。ただし、ここに「k」は定
数、「ε」は歪みをそれぞれ表す。
【0117】さらに、コントローラ100は、その演算
した曲げモーメントを前記力関連値として使用し、その
曲げモーメントと、各エンコーダ34,46により検出
された変位量Dとの双方に基づき、シフトレバー20の
操作位置を検出し、その結果をフィードバックすること
により、先の実施形態におけると同様に、各モータ3
0,42および各クラッチ32,44を制御する。
【0118】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、各ブリッジ回路130,140が請求項
2の発明における「力関連値検出装置」の一例を構成し
ているのである。また、コンピュータ108のうち操作
パターンプログラムおよびシフト動作プログラムを実行
する部分が、請求項1〜3の発明における「アクチュエ
ータ制御手段」の一例を構成し、また、そのうち、図1
0のS101,S109,図11のS201,S20
8,図12のS301,S312,図13のS401,
S408,図14のS501,S512を実行する部分
が、請求項5の発明における「連携状態変更装置制御手
段」の一例を構成しているのである。
【0119】次に、本発明のさらに別の実施形態を説明
する。
【0120】以上説明した実施形態は、シフトレバー2
0が取り付けられているトランスミッション10と、自
動操作装置の機械部が取り付けられているボデー22と
の相対変位に起因するシフトレバー20の操作位置誤差
をソフト的(電気的)に解消する形式の実施形態である
が、本実施形態は、その操作位置誤差をさらに、ハード
的(機械的)にも解消する形式の実施形態である。ただ
し、本実施形態は、先の実施形態と共通する部分もある
ため、その部分については、同一の符号を使用すること
によって詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ
詳細に説明する。
【0121】本実施形態においては、図19に示すよう
に、トランスミッション10のハウジング(正確には、
そのハウジングのうちシフトレバー20の基端部を揺動
可能に支持する部分)に支持部材150を介して案内部
材152が取り付けられている。案内部材152は、シ
フトレバー20が変位する際にその経路を案内するもの
であり、一方、シフトレバー20は、その一支点をほぼ
中心にして揺動する形式である。したがって、案内部材
152が支持部材150によってシフトレバー20の揺
動支点からその揺動半径方向にやや離れた位置に設けら
れ、これにより効果的にシフトレバー20の案内が行わ
れるようにされているのである。
【0122】案内部材152は、それの平面図である図
20に示すように、シフトレバー20の操作パターンに
形状が対応する溝154を備えている。この溝154
は、それの側面156でシフトレバー20に係合(摺
接)してシフトレバー20をそれの実際の操作経路が正
規の操作経路となるように案内するものである。具体的
には、溝154は、それの側面156が、シフトレバー
20が正しくセレクト方向動作およびシフト方向動作を
行う際の操作経路のすべてが内包される最小範囲より少
し内側の範囲を画定するように設計されている。すなわ
ち、シフトレバー20がその溝154の側面156に案
内されて変位する限り、シフトレバー20にシフトミス
が発生することも過負荷が発生することもないようにさ
れているのである。
【0123】また、溝154の側面156には、シフト
レバー20の移動中屈曲移動が行われる複数箇所におい
てそれぞれ斜面158(面取り部)が形成されている。
例えば、シフトレバー20がN2位置からN1位置を経
てP1位置に変位させられる際には、そのN1位置にお
いてシフトレバー20の移動経路がほぼ直角に曲げられ
るから、側面156のうちそのN1位置に対応する部分
に斜面158が形成されているのである。このように斜
面158を設けたのは、せっかくシフトレバー20を誘
導する溝154を設けてもその溝154に直角部があっ
たのではシフトレバー20がスムーズに屈曲変位するこ
とができず、結局、シフトミスが発生してしまうからで
ある。ただし、この斜面158も前記最小範囲の内側に
位置するように設計される。
【0124】本実施形態においては、上述のように、案
内部材152により、トランスミッション10と自動操
作装置の機械部との相対変位に起因する操作位置誤差の
解消がハード的に行われるが、その誤差の解消をソフト
的にも行うために、その案内部材152に8つの近接ス
イッチ160が設けられている。
【0125】すなわち、近接スイッチ160は、図20
に示すように、案内部材152のうち、シフトレバー2
0の6つの変速位置P1,P2,P3,P4,P5,P
Rと、セレクト方向におけるストロークエンド位置であ
る中立位置N1,N3とに近接する位置にそれぞれ取り
付けられているのである。
【0126】それら近接スイッチ160は、図21に示
すように、エンコーダ34,36と共に、コントローラ
200の入力側に接続されている。コントローラ200
は、それのコンピュータ208により、各エンコーダ3
4,46からの出力信号と、各近接スイッチ160から
の出力信号とに基づき、各モータ30,42と各クラッ
チ32,44とをそれぞれ制御する。
【0127】その制御のために、前記実施形態における
と同様に、操作パターンプログラムとシフト動作プログ
ラムとがそれぞれCPU202により実行されるが、そ
のシフト動作プログラムの一つであるN2→N1→P1
ルーチンが図22にフローチャートで示されている。以
下、このルーチンを代表的に説明するが、前記実施形態
と共通する部分については簡単に説明する。
【0128】まず、S801において、両クラッチ3
2,44を接続状態とする。次に、S802において、
セレクト方向モータ30に電流を供給し、シフトレバー
20をN2位置からN1位置に向かって移動させる。続
いて、S803において、N1位置検出用の近接スイッ
チ160がシフトレバー20のN1位置への到達を検出
したか否かを判定する。その到達を検出しない場合には
判定がNOとなり、S802に戻り、その到達を検出し
た場合には判定がYESとなり、S804において、セ
レクト方向モータ30を停止させる。
【0129】次に、S805において、シフト方向モー
タ42に電流を供給し、シフトレバー20をN1位置か
らP1位置に向かって移動させる。続いて、S806に
おいて、P1位置検出用の近接スイッチ160がシフト
レバー20のP1位置への到達を検出したか否かを判定
する。その到達を検出しない場合には判定がNOとな
り、S805に戻り、その到達を検出した場合には判定
がYESとなり、S807において、シフト方向モータ
42を停止させる。その後、S808において、両クラ
ッチ32,44を分離状態とする。以上で本ルーチンの
一回の実行が終了する。
【0130】したがって、本実施形態においては、シフ
トミスおよび過負荷が機械的にも電気的にも回避され、
さらに、シフト抜けも電気的に回避されるという効果が
得られる。
【0131】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、近接スイッチ160が請求項3の発明に
おける「停止位置センサ」の一例を構成し、また、コン
ピュータ208のうち操作パターンプログラムおよびシ
フト動作プログラムを実行する部分が、請求項1〜3の
発明における「アクチュエータ制御手段」の一例を構成
し、また、そのうち、図22のS801,S808を実
行する部分が、請求項5の発明における「連携状態変更
装置制御手段」の一例を構成しているのである。
【0132】なお付言すれば、本実施形態においては、
停止位置センサとして無接触式かつ磁気式である近接ス
イッチ160が使用されているが、無接触式かつ光学式
である光電スイッチとしたり、接触式のセンサの一例で
あるタッチセンサ,ボタンスイッチとすることができ
る。
【0133】さらに付言すれば、本実施形態における複
数の近接スイッチ160は例えば、以上説明したいくつ
かの実施形態において電流値センサ116,118およ
びブリッジ回路130,140に代えて使用することが
できる。
【0134】さらにまた付言すれば、以上説明したシフ
トレバー位置検出の方法および装置は、シフトレバー2
0の自動操作以外の用途にも使用することができる。
【0135】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である自動操作装置によっ
て自動操作されるシフトレバーとそれが取り付けられた
トランスミッションとをそれぞれ示す側面図である。
【図2】図1におけるシフトレバーの操作パターンを示
す平面図である。
【図3】上記自動操作装置における力伝達機構のうちセ
レクト方向動作のための機構部を示す側面図である。
【図4】上記力伝達機構のうちシフト方向動作のための
機構部を示す側面図である。
【図5】図4における力伝達部材および動作保証機構を
取り出して拡大して示す側面図である。
【図6】それら力伝達部材および動作保証機構を示す平
面図である。
【図7】図6における連結機構78を示す断面図であ
る。
【図8】上記自動操作装置の電気的な構成を示すブロッ
ク図である。
【図9】図8におけるコンピュータ108によって実行
されるシフト操作プログラムの分類構成を示す図であ
る。
【図10】図9におけるN2→N1→P1ルーチンを示
すフローチャートである。
【図11】図9におけるP1→N1→P2ルーチンを示
すフローチャートである。
【図12】図9におけるP2→N1→N2→P3ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図13】図9におけるP3→N2→P4ルーチンを示
すフローチャートである。
【図14】図9におけるP4→N2→N3→P5ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図15】図10のN2→N1→P1ルーチンの実行内
容を説明するための図である。
【図16】本発明の別の実施形態である自動操作装置の
電気的な構成を示すブロック図である。
【図17】図16におけるブリッジ回路を示す電気回路
図である。
【図18】図17のブリッジ回路における歪みゲージが
シフトレバーに装着される様子を示す側面図である。
【図19】本発明のさらに別の実施形態である自動操作
装置の一構成要素である案内部材が取り付けられたトラ
ンスミッションを示す側面図である。
【図20】図19における案内部材を示す平面図であ
る。
【図21】上記自動操作装置の電気的な構成を示すブロ
ック図である。
【図22】図21におけるコンピュータにより実行され
るシフト動作プログラムのうちのN2→N1→P1ルー
チンを代表的に示すフローチャートである。
【図23】従来の自動操作装置の問題点を説明するため
の図である。
【符号の説明】
10 トランスミッション 20 シフトレバー 21 力伝達機構 30,42 モータ 32,44 クラッチ 34,46 エンコーダ 100 コントローラ 116,118 電流値センサ 130,140 ブリッジ回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両用トランスミッションの変速比を変化
    させるために運転者によって操作されるべきシフトレバ
    ーであってその操作経路上において複数の停止位置を有
    するものを自動的に操作するために、(a) アクチュエー
    タと、(b) そのアクチュエータにより発生した力を前記
    シフトレバーに伝達する力伝達機構と、(c) 前記アクチ
    ュエータを制御するコントローラとを含むシフトレバー
    の自動操作装置において、 前記アクチュエータおよび力伝達機構が取り付けられる
    べき取付対象と前記トランスミッションとの相対変位の
    影響を受けることなく、前記シフトレバーの操作位置を
    検出するシフトレバー位置検出装置を設け、かつ、前記
    コントローラに、そのシフトレバー位置検出装置からの
    出力信号に基づき、シフトレバーの実際の操作位置が目
    標の操作位置となるように前記アクチュエータを制御す
    るアクチュエータ制御手段を設けたことを特徴とするシ
    フトレバーの自動操作装置。
  2. 【請求項2】請求項1のシフトレバーの自動操作装置で
    あって、前記シフトレバー位置検出装置が、前記シフト
    レバーの操作位置を、前記アクチュエータの作動によっ
    て前記シフトレバーに作用する力に関連する力関連値と
    して検出する力関連値検出装置を含むシフトレバーの自
    動操作装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2のシフトレバーの自動操
    作装置であって、前記シフトレバー位置検出装置が、前
    記トランスミッションに直接に取り付けられた前記シフ
    トレバーの複数の停止位置にそれぞれ対応して前記トラ
    ンスミッションまたはそれと相対変位しない部材に取り
    付けられた複数の検出部により、前記シフトレバーが前
    記複数の停止位置にそれぞれ位置したことを検出する停
    止位置センサを含むシフトレバーの自動操作装置。
  4. 【請求項4】車両用トランスミッションの変速比を変化
    させるために運転者によって操作されるべきシフトレバ
    ーであって、前記トランスミッションに直接に取り付け
    られるとともに、その操作経路上において複数の停止位
    置を有するシフトレバーを自動的に操作するために、
    (a) アクチュエータと、(b) そのアクチュエータにより
    発生した力を前記シフトレバーに伝達する力伝達機構
    と、(c) 前記アクチュエータを制御するコントローラと
    を含むシフトレバーの自動操作装置において、 前記トランスミッションまたはそれと相対変位しない部
    材に取り付けられ、前記シフトレバーについて予め定め
    られている正規の操作経路に形状が対応する溝を有し、
    その溝の側面でシフトレバーに係合することにより、シ
    フトレバーをそれの実際の操作経路が正規の操作経路と
    なるように案内する案内部材を設けたことを特徴とする
    シフトレバーの自動操作装置。
  5. 【請求項5】車両用トランスミッションの変速比を変化
    させるために運転者によって操作されるべきシフトレバ
    ーであってその操作経路上において複数の停止位置を有
    するシフトレバーを自動的に操作するために、(a) アク
    チュエータと、(b) そのアクチュエータにより発生した
    力を前記シフトレバーに伝達する力伝達機構と、(c) 前
    記アクチュエータを制御するコントローラとを含むシフ
    トレバーの自動操作装置において、 前記シフトレバーとアクチュエータとの間に、シフトレ
    バーをアクチュエータによって強制的に変位させる強制
    変位状態と、アクチュエータに対して自由に変位するこ
    とを許容する自由変位許容状態とに変更可能な連携状態
    変更装置を設け、かつ、前記コントローラに、前記アク
    チュエータの作動により前記シフトレバーがある停止位
    置から別の停止位置に変位させられるのに先立ち、前記
    連携状態変更装置を自由変位許容状態から強制変位状態
    に変更し、前記シフトレバーが前記別の停止位置に到達
    したときに、連携状態変更装置を強制変位状態から自由
    変位許容状態に変更する連携状態変更装置制御手段を設
    けたことを特徴とするシフトレバーの自動操作装置。
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JP2000329229A (ja) * 1999-05-18 2000-11-30 Bosch Braking Systems Co Ltd 変速機シフト操作装置
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