JPH0925701A

JPH0925701A - 耐火壁用パネル

Info

Publication number: JPH0925701A
Application number: JP17622195A
Authority: JP
Inventors: Hideki Koike; 英樹小池; Shunzo Kikukawa; 春三菊川; Tetsuya Yamaguchi; 哲也山口; Katsuya Ota; 克也太田
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1995-07-12
Filing date: 1995-07-12
Publication date: 1997-01-28

Abstract

(57)【要約】【目的】軽量で耐火性能にすぐれる壁用パネルを実現
する。【構成】岩綿繊維を板状に成形した耐火ボードを複数
枚重ね合わせて所定幅に切断した棒状耐火材１の両側切
断面を、両側端部に嵌合凹凸部31a 、31b を形成した２
枚の金属板3a、3bの内側に接着させ、嵌合凹凸部31a 、
31b の内側には不定型耐火材を充填して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築物等の耐火壁に使
用される耐火壁用パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築物等の耐火壁に使用される耐
火壁用パネルとしては、ＡＬＣ（オートクレーブ養生に
よる気泡コンクリート）等の窯業系の材料を使用したも
のが大部分であった。また、断熱パネルとしては２枚の
金属板の中間に発泡樹脂層を充填したサンドイッチパネ
ルが知られている。また、特開平6-8372号公報その他
に、２枚の金属板の中間に無機繊維材をはさんだ耐火性
を有するパネルが記載されている。

【０００３】図６は、特開平6-8372号公報記載の断熱耐
火パネルを示す部分断面図で、７は無機繊維、８は断熱
材、9a、9bは金属製外皮である。この断熱耐火パネル
は、２枚の金属製外皮9a、9bの間に、断熱材８に無機繊
維７を充填させた芯材を介装させてなるもの、あるいは
２枚の金属製外皮9a、9bの間に、無機繊維７を無機バイ
ンダで結合させた芯材を介装させてなるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、これらの従
来のパネルにおいて、窯業系材料では重量が大きくパネ
ルの長さもあまり長くできないため施工性が悪い上、断
熱性能や耐火性能を向上させるためには厚さが大きくな
って建築物の重量、すなわち死荷重が大きくなるという
欠点がある。一方、樹脂発泡体が充填されたサンドイッ
チパネルでは断熱性は優れているものの十分な耐火性が
なく、せいぜい建築基準法にいう準耐火程度であり、完
全な耐火試験に合格できる性能を有していない。

【０００５】これに対して無機繊維と金属板を組み合わ
せた耐火パネルが主として北欧や西欧で開発されている
が、パネル端部嵌合部の形状が複雑になると無機繊維ボ
ードの成形加工では対応できない。特開平6-8372号公報
記載の断熱耐火パネルにおいては、パネル端部嵌合部を
金属製とし、内部に軽量押し出しセメントやケイ酸カル
シウム等の無機質材を充填して対処するとしているが、
これらの材料は流動性が悪いので複雑な形状部に完全に
充填できず、成形品を削り出して挿入するなどの方法が
採られており、この部分の断熱性能の低下は避けられな
い。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
は、岩綿繊維を板状に成形した耐火ボードを複数枚重ね
合わせて所定幅に切断した棒状耐火材の両側切断面を２
枚の金属板の内面に接着させてなる耐火壁用パネルであ
る。請求項２に記載の本発明は、岩綿繊維を板状に成形
した耐火ボードを複数枚重ね合わせて所定幅に切断した
棒状耐火材の両側切断面を、両側端部に嵌合凹凸部を形
成した２枚の金属板の前記嵌合凹凸部を除く部分の内面
に接着させ、前記金属板の両側端部の嵌合凹凸部の内側
には不定型耐火材を充填してなる耐火壁用パネルであ
る。

【０００７】請求項３に記載の本発明は、耐火ボード
が、マット状の岩綿繊維の表面に有機バインダを噴霧し
ながら積層し、加圧、加熱して所定の厚さに成形したも
のである請求項１または２に記載の耐火壁用パネルであ
る。請求項４に記載の本発明は、金属板の両側端部の嵌
合凹凸部の内側に充填する不定型耐火材が無機質耐火材
である請求項２に記載の耐火壁用パネルである。

【０００８】請求項５に記載の本発明は、金属板の両側
端部の嵌合凹凸部の内側に充填する不定型耐火材が不燃
性有機樹脂である請求項２に記載の耐火壁用パネルであ
る。請求項６に記載の本発明は、金属板の両側端部に形
成する嵌合凹凸部が、パネル表面に直角な面に対して傾
斜した面のみで構成されている請求項１ないし５のいず
れかに記載の耐火壁用パネルである。

【０００９】

【作用】本発明の耐火壁用パネルは、２枚の金属板の
中間に、繊維の分布が厚み方向となるようにして岩綿繊
維をはさんで構成されているので、耐火性能ならびに強
度にすぐれ、かつ製造工程も容易で生産性がよく、ま
た、端部形状を傾斜面のみで構成しているため作業性が
よい。

【００１０】

【実施例】本発明の一実施例を図面により説明する。図
１はこの実施例の耐火壁用パネルを示す斜視図で、１は
棒状耐火材、２は不定型耐火材、3a、3bは表皮材である
金属板、31a 、31b はパネル端面に形成された金属板3
a、3bの嵌合凹凸部である。

【００１１】以下、この耐火壁用パネルの構成を製造工
程に従って図面により説明する。図２（ａ）は耐火ボー
ドＢが積層された状態を示す。耐火ボードＢは、スラグ
ウール、ロックウール等の鉱物系繊維（以下岩綿繊維と
いう）をマット状にし、その表面にフェノール系等の有
機バインダを噴霧しながら積層し、加圧、加熱して所定
の厚さに成形したもので、たとえば厚さ 100mmで平面寸
法 900×2000mmである。繊維は主として水平方向に分布
している。このような耐火ボードＢの密度は、 120〜20
0 kg／m³である。

【００１２】つぎにこの積層状態の耐火ボードＢを図２
（ｂ）のように切断線に沿って所定幅に切断、分離する
と、棒状耐火材１が厚さ方向に積層された状態となる。
ここで切断面の片側を11a 、反対側を11b とする。切断
幅は例えば50mmとする。つづいて、この厚さ方向に積層
された棒状耐火材１を水平方向に倒すと、図２（ｃ）に
示すように切断幅が新たに厚さ方向となり、棒状耐火材
１が水平方向に敷き並べられた状態となる。繊維は上下
方向に分布している。

【００１３】一方、金属板3a、3bは、図３（ａ）、
（ｂ）に示すように、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜
鉛めっき鋼板、ステンレス鋼板やこれに着色したもの、
あるいは樹脂をコーティングした塩ビ鋼板、フッ素樹脂
鋼板等の表面処理鋼板その他各種の表面処理を施した鋼
板、アルミニウム板、チタン板等の金属板を略長方形状
に切断し、１方向（たとえば幅方向）の両端部分を折り
曲げて、隣接したパネルが嵌合するための嵌合凹凸部31
a 、31b を形成したものである。

【００１４】２枚の金属板3a、3bの内面にウレタン系等
の接着材を塗布する。接着材は多めに塗布した方が耐火
性能をよいので、 300〜1000 g／m²程度がよい。つづい
て、両側の嵌合凹凸部を除く平坦部分に前記の水平方向
に敷き並べられた棒状耐火材１をはさんでサンドイッチ
状に接着させた後、残る両側の嵌合凹凸部31a 、31bに
囲まれる空間の内側に不定型耐火材２を注入、充填すれ
ば図３（ｃ）に示すように耐火壁用パネルが完成する。
２枚の金属板3a、3bの中間にはさまれた棒状耐火材１
は、繊維がパネルの厚さ方向に分布しているので強度を
有し、簡単につぶれることはない。

【００１５】両側の嵌合凹凸部31a 、31b の内側に注入
する不定型耐火材２としては、例えば石膏等の無機質耐
火材、あるいはフェノール樹脂等の不燃性の有機樹脂が
よい。岩綿繊維層の厚み50mm、不定型耐火材２として石
膏を使用し、補強材としてセラミックファイバを混入さ
せたパネルについて耐火試験を行ったところ、一般部
（平坦部）裏面の最高温度は 225〜260 ℃、両側の嵌合
凹凸部の裏面の最高温度は 144〜180 ℃で、結果は良好
であった。

【００１６】この耐火壁用パネルは、たとえば建築物の
胴縁、間柱、桟等に釘、ビス等で打ちつけて固定する。
嵌合凹凸部の形状例を図４に示す。Ｐ₁、Ｐ₂は隣接す
る２枚のパネル、４はビス、５は胴縁、６はシール材で
ある。図４において、向かって左側のパネルＰ₁を、嵌
合凹凸部31a における段付き部にビス４を打ち込んで胴
縁５に固定し、次にその右隣のパネルＰ₂を嵌合凹凸部
の凹凸を嵌合させて取り付けるのである。このようにす
ればパネルに対して一方の縁部のみにビス止めを行うこ
とで順次取り付けができ、かつビスは嵌合凹凸部に覆わ
れて隠されるので美観もよい。隙間には適宜シール材６
を挿入する。

【００１７】ここで、金属板を折り曲げて形成した嵌合
凹凸部31a 、31b の形状を、すべてパネル表面に直角な
面に対して角度を持たせて斜面のみで構成しているの
で、嵌合に際してくさび効果を有し、作業性がよい。つ
ぎに、本発明の耐火壁用パネルの性能について説明す
る。図５は、ロックウールを用いた本発明の耐火壁用パ
ネル（Ｒ／Ｗ）と、従来の窯業系建材であるＡＬＣおよ
び押出し成形板との断熱性を比較したものである。な
お、（）内の数値は厚さ（mm）を表したものである。
この図から、本発明の耐火壁用パネル（Ｒ／Ｗ）は、従
来品に比べ明らかに断熱性に優れていることがわかる。
耐火性を要求される壁に使われるＡＬＣ板の板厚は100m
m または120mm 、押出し成形板は50mmまたは60mmが標準
であるが、これらの熱貫流係数は押出し成形板では3.0
kcal／m²・ｈ・℃程度、断熱性に優れているＡＬＣ板で
も1.0 kcal／m²・ｈ・℃前後である。これに対して本発
明のパネルは厚さ50〜100mm で 0.3〜0.6 kcal／m²・ｈ
・℃程度とかなり断熱性能に優れていることがわかる。
さらに、重量については60〜70kg／m²と重い窯業系の耐
火パネルに対し、本発明のパネルは100mm 厚でも20kg／
m²以下であり軽量で施工性にも優れる。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、軽量で耐火性能にすぐ
れ生産性、作業性もよい耐火壁用パネルが実現するとい
う、すぐれた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す耐火壁用パネルの斜視図
である。

【図２】本発明の耐火壁用パネルの製造工程の前半を示
す説明図である。

【図３】本発明の耐火壁用パネルの製造工程の後半を示
す説明図である。

【図４】本発明の耐火壁用パネルの嵌合凹凸部を示す断
面図である。

【図５】本発明の耐火壁用パネルの重量と熱貫流係数Ｋ
値を比較して示す特性図である。

【図６】従来の技術を示す断熱耐火パネルの断面図であ
る。

【符号の説明】

１棒状耐火材２不定型耐火材３金属板４ビス５胴縁６シール材７無機繊維８断熱材９金属製外皮 11 切断面 31 嵌合凹凸部Ｂ耐火ボードＰパネル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者山口哲也東京都千代田区内幸町２丁目２番３号川崎製鉄株式会社内 (72)発明者太田克也東京都千代田区内幸町２丁目２番３号川崎製鉄株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】岩綿繊維を板状に成形した耐火ボード
（Ｂ）を複数枚重ね合わせて所定幅に切断した棒状耐火
材（１）の両側切断面を２枚の金属板（3a、3b）の内面
に接着させてなる耐火壁用パネル。
【請求項２】岩綿繊維を板状に成形した耐火ボード
（Ｂ）を複数枚重ね合わせて所定幅に切断した棒状耐火
材（１）の両側切断面を、両側端部に嵌合凹凸部（31a
、31b ）を形成した２枚の金属板（3a、3b）の前記嵌
合凹凸部（31a 、31b ）を除く部分の内面に接着させ、
前記金属板（3a、3b）の両側端部の嵌合凹凸部（31a 、
31b ）の内側には不定型耐火材（２）を充填してなる耐
火壁用パネル。
【請求項３】耐火ボード（Ｂ）が、マット状の岩綿繊
維の表面に有機バインダを噴霧しながら積層し、加圧、
加熱して所定の厚さに成形したものである請求項１また
は２に記載の耐火壁用パネル。
【請求項４】金属板（3a、3b）の両側端部の嵌合凹凸
部（31a 、31b ）の内側に充填する不定型耐火材（２）
が無機質耐火材である請求項２に記載の耐火壁用パネ
ル。
【請求項５】金属板（3a、3b）の両側端部の嵌合凹凸
部（31a 、31b ）の内側に充填する不定型耐火材（２）
が不燃性有機樹脂である請求項２に記載の耐火壁用パネ
ル。
【請求項６】金属板（3a、3b）の両側端部に形成する
嵌合凹凸部（31a 、31b ）が、パネル表面に直角な面に
対して傾斜した面のみで構成されている請求項１ないし
５のいずれかに記載の耐火壁用パネル。