JPH09256050A - ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH09256050A
JPH09256050A JP6824896A JP6824896A JPH09256050A JP H09256050 A JPH09256050 A JP H09256050A JP 6824896 A JP6824896 A JP 6824896A JP 6824896 A JP6824896 A JP 6824896A JP H09256050 A JPH09256050 A JP H09256050A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
width
slab
rolling
stainless steel
convex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6824896A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3504425B2 (ja
Inventor
Toshiki Hiruta
敏樹 蛭田
Toshio Imae
敏夫 今江
Kunio Isobe
邦夫 磯辺
Yukio Yarita
征雄 鑓田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP06824896A priority Critical patent/JP3504425B2/ja
Publication of JPH09256050A publication Critical patent/JPH09256050A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3504425B2 publication Critical patent/JP3504425B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Forging (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課 題】 幅プレスおよび/または竪ロールによる幅
圧下を含む一連の熱間圧延を経て製造されるステンレス
鋼板のエッジシーム疵および肌荒れの発生を効果的に低
減する。 【解決手段】 スラブMの加熱温度を 900〜1100℃、加
熱時間を6時間以下とし、粗圧延後仕上げ圧延前の被圧
延材の幅端部温度を800 ℃以上とし、さらに好ましくは
加熱後のスラブを、凸部高さKHをスラブ厚の1/15〜
1/4、凸部頂辺長さKAをスラブ厚の1/3〜3/
4、凸部底辺長さKBをスラブ厚+(10〜30)mmとした
凸金敷を用いて幅プレスし、次いで粗圧延の最初の3パ
スで竪ロールによる幅圧下を行わず50%以上に減厚す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ステンレス鋼板
の製造方法に関し、特に、スラブを熱間圧延する過程
で、被圧延材の幅方向エッジ部近くに発生する圧延方向
に長い欠陥(エッジシーム疵と呼ぶ)を低減できるステ
ンレス鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間スラブの幅を広範囲にわたって減幅
調整する手段の一つとして、水平対抗プレスによる幅圧
下技術が開発されている。この方法は幅圧下時の接触長
さが大きいために圧下効率がよく、またスラブ先後端に
おける成形条件をクロップが最小になるように設定でき
るために国内外の熱延工場で広く採用されている。
【0003】この水平対抗プレスに用いられる金敷を利
用し、例えば板のエッジ部(幅端部)に発生する表面欠
陥のひとつであるエッジシーム疵の防止を目的として、
スラブ加熱温度を1000〜1300℃とし、中央部(金敷にお
けるプレス加工面上の厚み方向中央部を意味する。以下
同じ)に凸部を形成した金敷(凸金敷)で幅圧下する技
術が特開平5−123713号公報に開示されており、さらに
はスラブの座屈防止およびエッジシーム疵を軽減させる
方法が特開平5−277510号公報に記載されている。
【0004】これらの技術は、凸金敷を用いた幅プレス
によってスラブ側面を凹状として、幅プレス後の水平粗
圧延段階でスラブ幅端部に発生するバルジングを補償す
ることによりエッジシーム疵の回り込みを低減するもの
である。他方、幅プレスに限らない表面欠陥軽減技術と
して、例えば特開平3−124304号公報には、スラブ加熱
温度とエッジシーム疵とを関係づける具体的な開示はな
いものの、マルテンサイト系のステンレス鋼のスラブ加
熱温度を1200℃以上、加熱時間を4時間以下とすること
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱間仕上げ
圧延後の幅方向エッジ部に発生するエッジシーム疵の防
止を目的とする従来技術においては以下の問題点があっ
た。特開平5−123713号公報に開示されている技術で
は、幅圧下量が小さい場合にも、凸部の頂辺長さが短い
ために金敷に付与した凸形状がスラブ側面へ大きく転写
される。このため凹部の深さが深くなり、仕上げ圧延後
において板表面のエッジシーム疵は低減できても、凹部
が板内部の欠陥として残ることがあった。さらに幅縮小
量が大きい場合には、ますますスラブ側面の凹み量が大
きくなり、仕上げ圧延後の内部欠陥が大きくなる。
【0006】また、幅圧下量が大きい場合にはスラブ表
層においても幅方向の圧縮ひずみが大きくなるために、
この圧縮変形によりスラブ表面の結晶粒が凹凸状にな
り、凸部の結晶粒が倒れ込んでエッジシーム疵になって
いた。なお、特開平5−123713号公報には加熱温度を10
00〜1300℃とすることが記載されているが、加熱時間に
関する記載はない。また、この温度範囲の加熱温度とエ
ッジシーム疵との関連性についての説明もない。
【0007】一方、特開平5−277510号公報では、W字
溝の中央に凸部を設けた金敷を用いた幅プレスにより大
きな減幅量を得ようとするものである。しかし、大きな
減幅量は得られても、W字溝によるスラブの幅方向圧縮
変形により表層の結晶粒が凹凸になり、この結晶粒の凹
凸が倒れ込み、仕上げ圧延後まで板表面に残留しエッジ
シーム疵となっていた。このようにエッジシーム疵が大
きいと冷間圧延後まで板上下面に残ることから、耳切り
代(トリム量)を低減することが困難になり、歩留りが
低下していた。
【0008】また、特開平3−124304号公報に提案され
ているように加熱温度を1200℃以上として、4時間以内
の加熱にすれば、肌荒れ防止はできても、スラブ表層の
脱炭層の結晶粒の凹凸に起因するエッジシーム疵の発生
により冷間圧延後でもエッジシーム疵の回り込み量が大
きく、耳切り代の低下を余儀なくされていた。本発明の
目的は、これら従来技術の問題点を一挙に解決し、幅プ
レスおよび/または竪ロールによる幅圧下を含む一連の
熱間圧延を経て製造されるステンレス鋼板のエッジシー
ム疵および肌荒れの発生を効果的に低減できるステンレ
ス鋼板の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、連続鋳
造されたステンレス鋼のスラブを加熱炉で均一に加熱
し、幅圧下を含む粗圧延後仕上げ圧延する一連の熱間圧
延を含むステンレス鋼板の製造方法において、スラブの
加熱温度を 900〜1100℃、加熱時間を6時間以下とし、
さらに粗圧延後仕上げ圧延前の被圧延材の幅端部温度を
800 ℃以上とすることを特徴とするステンレス鋼板の製
造方法である。
【0010】第2の本発明は、連続鋳造されたステンレ
ス鋼のスラブを加熱炉で均一に加熱し、水平対抗プレス
金敷で幅プレスし、次いで竪ロールによる幅圧下を含む
粗圧延後仕上げ圧延する一連の熱間圧延を含むステンレ
ス鋼板の製造方法において、スラブの加熱温度を 900〜
1100℃、加熱時間を6時間以下とし、水平対抗プレス金
敷を中央部に台形状の凸部を有する凸金敷とし、該凸金
敷の断面に係る凸部高さをスラブ厚の1/15〜1/4、
凸部頂辺長さをスラブ厚の1/3〜3/4、凸部底辺長
さをスラブ厚+(10〜30)mmとし、幅プレス後の粗圧延
の最初の3パスで竪ロールによる幅圧下を行わず50%以
上に減厚し、さらに粗圧延後仕上げ圧延前の被圧延材の
幅端部温度を800 ℃以上とすることを特徴とするステン
レス鋼板の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】図2は本発明の実施に適した熱間
圧延設備列の配置図であり、10は加熱炉、11は幅プレス
装置、12は粗圧延機列、13はエッジヒータ、14は仕上げ
圧延機列、15は仕上げ圧延機列14で圧延された鋼板を巻
き取るコイラであり、16は各粗圧延機入側および仕上げ
圧延機列14入側に設置される竪ロール圧延機(別名エッ
ジャー)である。
【0012】本発明者らの検討結果によれば、エッジシ
ーム疵の発生原因は以下のとおりである。被圧延材の幅
制御を行うために、通常の圧延機列には水平圧延機の入
側のみ、あるいは入側と出側両方にエッジャー16が配置
され、粗圧延機列12および仕上げ圧延機列14の水平ロー
ルとエッジャー16の竪ロールとのロール軸心位置を圧延
方向に数mずらした構造になっている。
【0013】そのため、水平ロール圧延されている断面
の幅端部には竪ロールによる拘束が働かないので、幅端
部の自由表面がバルジ変形し、このときその領域におい
て皺が発生する。この皺は下流側のエッジャー16による
複数回のパスによって次第に大きくなり、遂には被圧延
材の表面に回り込んでエッジシーム疵になる。この皺の
主因は表面の粗大結晶粒の変形・倒れ込みによるもので
ある。すなわち、連続鋳造されたステンレス鋼のスラブ
は、加熱炉で加熱されるときに表面層が脱炭され、スラ
ブ表層の結晶粒が粗大化し、幅圧下時の幅方向の圧縮変
形により結晶粒が凸状になり(結晶粒が表層から突
起)、この突起した結晶粒が粗圧延、仕上げ圧延で倒れ
込み、エッジシーム疵となる。
【0014】特に結晶構造がフェライトであるフェライ
ト系ステンレス鋼では他のステンレス鋼よりも脱炭量が
大きく、その脱炭層は厚さ1mmから数ミリ程度に及び、
また幅プレスで凸凹化する範囲も広いことからエッジシ
ーム疵の回り込み量が大きくなる。第1の本発明は、ス
ラブの加熱温度を下げかつ加熱時間を規制することによ
り、スラブ表層の脱炭による結晶粒粗大化を防止し、さ
らに仕上げ圧延前のシートバーの幅端部温度を規制する
ことにより肌荒れを防止するものである。
【0015】加熱温度を下げることにより、脱炭層の厚
さが薄くなり、幅圧下時の幅方向圧縮変形における結晶
粒の凹凸が小さくなり、その深さが倒れ込みを生じない
程度に浅くなって冷間圧延後にエッジシーム疵が消滅す
る。この理由は、加熱温度をあるレベルまで下げると、
スラブ表層に、後々エッジシーム疵に発展しがちな1mm
以上の粗大な結晶粒がなくなるためである。
【0016】スラブ表面には結晶粒が一層に並んでお
り、加熱時にこの結晶粒が最も強く脱炭される。この脱
炭層の厚さを1mm以下に薄くするための有効な手段を見
出すために、 200mm厚のスラブを加熱し、加熱温度、加
熱時間、酸素分圧を種々変化させ、加熱炉10出側でスラ
ブ表層の脱炭層の厚さを調査した。図3は、その結果得
られたスラブ表層の脱炭層厚さと加熱温度、加熱時間、
酸素分圧との関係を例示するグラフである。
【0017】図3(a)に例示するように脱炭層厚さ
は、加熱温度と大きな相関があり、加熱温度とともに厚
くなり、1100℃までは 0.3mm程度と薄いが1200℃超では
急激に厚さを増し、1300℃で4mm超に達する。脱炭層厚
さは図3(b)に例示するように酸素分圧によっても厚
くなるがその増加率は小さい。圧延しやすさからいえば
加熱温度は高くし酸素分圧を下げることで脱炭層厚さを
抑制したいところだが、実操業ではスラブの挿入および
抽出時のシールに限界があって酸素分圧を1%以下に下
げることは困難であるため、脱炭層厚さを薄くするに
は、圧延に支障を来さない程度に加熱温度を低くするこ
とが工業的に有効な手段である。
【0018】かかる調査結果を基礎に実操業におけるば
らつきを考慮して、安定的にスラブ脱炭層厚さ1mm以下
とするには、加熱温度を1100℃以下とするのが好ましい
ことを知見した。しかし、900 ℃を下回る加熱では圧延
が困難になるので加熱温度は900 ℃以上とする必要があ
る。加熱時間については例えば図3(c)に示すよう
に、加熱時間が長いほど脱炭層厚さは厚くなる傾向があ
るがその増加率はさほど大きくない。とはいえ、加熱温
度が前記好適範囲の上限(1100℃)のとき、加熱時間が
6時間を超えると脱炭層厚さが1mm以上になってしまう
ので、加熱時間は6時間以下とするのが望ましい。
【0019】なお、スラブの中心までの均一加熱を考慮
すれば、例えば加熱温度の好適範囲下限の 900℃の場
合、3時間以上保持することが好ましい。他方、上記の
ように加熱温度を 900〜1100℃、加熱時間を6時間以下
に規制すると、仕上げ圧延において被圧延材の幅端部の
温度が800 ℃未満に低下しやすい。そうなると圧延荷重
が高くなり、ロール表層の黒皮が剥離しロールにかなり
の凹凸が生じて板の肌荒れを招くため、仕上げ圧延機列
14入側で例えばエッジヒータ13等により幅端部温度を80
0 ℃以上に維持する必要がある。
【0020】なお、温度が 900℃以上になると、ロール
表層の黒皮の生成・成長が剥離を上回りロール表層が黒
皮で均一に覆われるので、肌荒れ防止の観点からは幅端
部温度は900 ℃以上に維持することがより一層好まし
い。なお、第1の本発明は、脱炭量が比較的大きく表層
の結晶粒が粗大化しやすいフェライト系ステンレス鋼板
に適用した場合に、特にその効果が顕著に発揮される
が、オーステナイト系ステンレス鋼板に適用しても有効
である。
【0021】次に第2の本発明について説明する。図1
は、本発明に係る凸金敷の形状および配置に関し、
(a)は外観斜視図、(b)は凸部の断面図、(c)は
平面配置図を夫々示しており、1は凸金敷、2は熱間ス
ラブを導入する入側傾斜面、3はこの入側傾斜面2につ
ながり熱間スラブの搬送ラインと平行な中間平行面、4
は中間平行面3につながりスラブの後端部成形に役立つ
出側傾斜面であって、これら入側傾斜面2、中間平行面
3および出側傾斜面4の組み合わせにてプレス加工面が
形成される。5は凸部の頂部、6は凸部の傾斜部、7は
凸部の底部を示し、KH,KA,KBは夫々凸金敷1の
断面に係る凸部高さ、凸部頂辺長さ、凸部底辺長さを表
し、Mはスラブ(熱間スラブ)である。
【0022】凸金敷1は図1(c)に示すように対をな
し、左矢印の向きに搬送される熱間スラブMを両側から
挟むように配置され、上下の矢印で示すように、その相
互の往復運動を繰り返す(駆動手段は図示省略)ことに
よって搬送移動中の該スラブMをその全長にわたって幅
圧下する。冒頭に述べたようにかかる形態の幅圧下を
「水平対抗プレス」と称する。
【0023】なお、スラブ側面に食い込みやすくするた
めに凸金敷1の凸部は「台形状」すなわち、略対称に向
かい合う傾斜部6の間隔が頂部5に向かうほど狭まる形
状としている。第2の本発明は、第1の本発明の規制下
で、ステンレス鋼スラブの幅圧下を水平対抗プレス金敷
を用いた幅プレスによって行う場合のエッジシーム疵の
発生を抑制するためのものであり、特定断面寸法の凸金
敷を採用してスラブ側面を適切な凹状に成形加工するこ
とにより、水平圧延時のスラブ側面のバルジングを補償
して、スラブ側面に発生する皺の表裏面への回り込みを
防止するとともに、表層にかかる圧縮力を緩和して、表
面に発生する結晶粒の凹凸を小さくし、結晶粒の倒れ込
みを防止して、エッジシーム疵の発生を幅の極エッジ部
のみに限定することができる。
【0024】ここに本発明者らは、実験により、粗圧延
の最初の3パスで50%以上減厚する場合、3パス目の粗
圧延終了後の被圧延材の幅端部断面形状が矩形に近いほ
ど、下流の粗圧延、仕上げ圧延における側面の回り込み
量が小さくなる傾向があることを見出し、かかる知見に
基づいて、スラブ側面に凸金敷による幅プレスで刻んだ
凹部が初期3パスの粗水平圧延によるバルジングで補償
されて矩形に近い幅端部断面が得られるように、凸金敷
の断面寸法の好適範囲を定めた。
【0025】そのため、第2の本発明においては、粗圧
延の1〜3パスの途上に竪ロールによる幅圧下が介入す
ると、4パス目の入側の被圧延材幅端部が矩形状になら
ず、下流の粗圧延、仕上げ圧延での側面回り込み量が大
きくなってしまう。よって、幅プレス後の粗圧延の最初
の3パスで竪ロールによる幅圧延を行わなず50%以上に
減厚することに限定した。
【0026】凸金敷の断面寸法に係る限定理由を以下に
述べる。 〔凸部高さ(KH)〕スラブ厚 200〜260mm のフェライ
ト系ステンレス鋼スラブを1000℃に加熱し、プレス加工
面が平坦な平金敷を用いて幅プレス量を種々変えて幅プ
レスを行い、続いて竪ロールによる幅圧下なしの粗水平
圧延を3パス行ってトータルの圧下率を50%とする幅プ
レス実験を行い、粗圧延後のバルジング量を調べた。
【0027】ここに、本発明において「幅プレス量」と
は、幅プレス前後のスラブ厚の差を意味し、「バルジン
グ量」とは、幅プレス前のスラブ側端コーナ部が粗水平
圧延3パス後に板表面に移動した位置から、幅プレス後
のスラブ幅端部までの距離を意味する。なお、バルジン
グ量の説明図を図4に示す。図4はスラブの幅プレス後
の幅端部断面を示しており、PSCは幅プレス前のスラブ
側端コーナ部、Vはバルジング量である。
【0028】図5は、上記幅プレス−粗圧延実験結果を
整理して得たもので、平金敷による幅プレス量とバルジ
ング量の対スラブ厚比(V/H)との関係を示すグラフ
である。図5に示すように、V/Hは幅プレス量の50mm
程度から200 mm程度までの増加に伴い1/15から1/4
まで増加する。したがって予めスラブ側面にこれに見合
う深さの凹みを付与しておくことにより、粗水平圧延3
パス後のバルジング量が補償され被圧延材断面幅端部が
矩形に近くなる。よって、かかる凹みを付与するための
凸金敷の凸部高さKHはスラブ厚の1/15〜1/4とする
のが好ましい。 〔凸部頂辺長さ(KA)〕上記の幅プレス実験におい
て、平金敷に代えて凸部高さKHを上記好適範囲とし凸
部頂辺長さKA,凸部底辺長さKBを種々変えた凸金敷
とし、粗水平圧延(竪ロールによる幅圧下なし)3パス
後のバルジング量を調べた。
【0029】図6は、その結果得られた凸部頂辺長さの
対スラブ厚比(KA/H)と被圧延材断面形状およびバ
ルジング量(V)との関係を示すグラフである。図6に
示されるように、KA/Hが1/3未満では断面形状が
ダブルバルジングとなり、VはKA/Hの減少につれて
増加する。また、KA/Hが3/4超えでは断面形状が
シングルバルジングとなり、VはKA/Hの増加につれ
て増加する。KA/Hが1/3〜3/4の範囲は断面が
ダブルバルジングとシングルバルジングとの中間の矩形
に近い形状でありこの範囲でVが最低値となる。
【0030】なお、図6には、スラブ厚200 mm、凸金敷
の凸部高さKH18mm、凸部底辺長さKB220 mm、幅プレ
ス量100 mmの場合を例示したが、図6に示される傾向
は、第2の本発明に係るKH,KBの好適範囲ならびに
図5に示したスラブ厚および幅プレス量の範囲にわたり
同様に認められる。よって、凸部頂辺長さKAはスラブ
厚の1/3〜3/4とするのが好ましい。 〔凸部底辺長さ(KB)〕図7は、上記の幅プレス実験
において、幅プレス後粗圧延前のスラブについて調べた
転写率と凸部底辺長さのスラブ厚に対する超過分(KB
−H)との関係を示すグラフである。ここに、「転写
率」とは、凸部高さKHに対するスラブ側面の最大凹み
深さの百分率(%)であり、凸部高さKHが完全にスラ
ブ側面に転写された状態が100 %である。
【0031】図7に示されるように、KB−Hが10mm未
満で転写率が90%を超えるが、そこでは幅プレス時にス
ラブ側端コーナ部が、金敷の凸部の傾斜部ではなく底辺
の平坦部によって押される状況になるため、幅方向の圧
縮変形が大きくなり、それによるスラブ表層の結晶粒の
凹凸も大きくなってエッジシーム疵として残りやすくな
る。また、KB−Hが30mmを超えると転写率が80%を下
回り、スラブ側面の凹み深さが不足して粗圧延3パス後
の被圧延材断面を矩形に近づけることができなくなる。
【0032】なお、図7は、KHがH/10、幅プレス量
が 200〜220mm 、KA/Hが1/3および3/4の場合
についての例を示すが、図7に示される傾向は、第2の
本発明に係るKHの好適範囲および図5に示したスラブ
厚および幅プレス量の範囲にわたり同様に認められた。
よって、凸部底辺長さKBをスラブ厚H+(10〜30)mm
とするのが好ましい。
【0033】
【実施例】以下に開示する実施例Aおよび実施例Bにお
いて、スラブは、C:0.05wt%、Si: 0.3wt%、Mn:
0.1wt%、Cr:17wt%を含有する連鋳製の厚さ 200mm、
幅1300mm、長さ6mのフェライト系ステンレス鋼スラブ
であり、図3に示した熱間圧延設備列を用いて熱間圧延
を行った。なお、粗圧延機のワークロール径は1300mm、
バレル長は2200mm、仕上げ圧延機のワークロール径は 7
00mm、バレル長は2000mm、仕上げ圧延機列14の出側速度
は 1000m/minである。 <実施例A:幅プレスなしの場合>前記のスラブを、表
1に示す加熱温度×時間の条件で加熱後、幅プレスは行
わず4スタンドの粗圧延機列入側の竪ロールのみを用い
て幅圧下しながら粗水平圧延し、出側で板厚25mm、幅13
00mmのシートバーとし、さらに該シートバーを7スタン
ドの仕上げ圧延機列により板厚4mmに仕上げ圧延し巻き
取った。このとき、A1〜A3については仕上げ圧延機列入
側のエッジヒータでシートバー幅端部を加熱して800 ℃
以上に維持した。
【0034】スラブ加熱条件(温度℃×時間hr)および
シートバー幅端部温度が共に本発明の規定を満たすA1,A
2,A3を発明例とし、スラブ加熱温度、スラブ加熱時間、
シートバー幅端部温度が夫々本発明の規定を外れるA4,A
5,A6を比較例とした。かくして得られた熱延コイルの長
手方向ミドル部についてエッジシーム疵の回り込み量を
調査した結果を表1の「シーム量」欄に示す。ここに、
「シーム量」とは、本発明で採用するエッジシーム疵の
評価値であり、幅端部から最も幅中央寄りの疵(エッジ
シーム疵および肌荒れの両方を含む)までの距離を意味
し、概ねトリム量に対応する。なおシーム量は幅方向O
P(オペレータ)側、DR(ドライブ)側および上下面
(表では「OP上」,「DR下」等と表示)について調査し
た(以下同じ)。
【0035】表1に示すように、熱延後のシーム量は発
明例、比較例で目立った差がない。しかし、これらの熱
延コイルを酸洗後4スタンドの冷間圧延機により圧下率
70%で冷間圧延して得た冷延コイルの長手方向ミドル部
上下面で調査したシーム量は、発明例A1〜A3と比較例A
4,A5とで明瞭に差があり、発明例のほうが格段に良好
な結果が得られた。これは、発明例では、熱延段階のバ
ルジングによる皺の回り込み量は比較例と大差ないが、
その皺自体は冷延で平滑化される程度の凹みに抑えられ
ることの証左である。
【0036】なお、比較例A6は、発明例A3と同じスラブ
加熱条件であるが、エッジヒータによる加熱を行わずシ
ートバー幅端部温度が800 ℃未満になったために肌荒れ
が発生し、シーム量が大きくなった。 <実施例B:幅プレスありの場合>発明例B1〜B6とし
て、前記スラブを加熱炉にて1000℃×4hrの条件で加熱
後、本発明の断面寸法規定範囲内の3種類の凸金敷を用
いて、幅プレス量50mmおよび200 mmの幅プレスを行い、
次いで4スタンドの粗圧延機列により、最初の3パスは
竪ロールによる幅圧下を行わず板厚100 mmまで減厚(減
厚率50%)し、以後3パスを加えて計6パスの粗圧延を
行って粗圧延機列出側で板厚25mm、幅1300mmのシートバ
ーとし、さらに、該シートバーを、仕上げ圧延機列入側
のエッジヒータで幅端部温度を800 ℃以上に維持しなが
ら7スタンドの仕上げ圧延機列により板厚4mmに仕上げ
圧延し巻き取った。
【0037】また比較例B7〜B10 として、前記スラブを
加熱炉にて1200℃×4hrの条件で加熱後、特開平5-1237
13号公報に記載の寸法を有する凸金敷および特開平5-27
7510号公報に記載のW字溝の中央に凸部を有する金敷各
1種類を用いて、幅プレス量50mmおよび200 mmの幅プレ
スを行い、以後、スラブ加熱温度が高いため仕上げ圧延
機入側でのエッジヒータによる加熱は行わなかったこと
以外は発明例と同じ工程で板厚4mmに仕上げ圧延し巻き
取った。
【0038】発明例の凸金敷ならびに比較例の凸金敷お
よびW字溝金敷の凸部断面寸法(凸部高さKH,凸部頂
辺長さKA,凸部底辺長さKB)は表2に示す通りであ
り、またW字溝金敷の溝深さは300 mmとした。なお、表
2の比較例B9,B10がW字溝の金敷を用いたものである。
かくして得られた熱延コイルについて実施例Aと同じ要
領で熱延後シーム量を評価した結果を表2に示す。な
お、これら熱延コイルを実施例Aと同じ条件で冷延した
コイルについて同様に評価した冷延後シーム量は、熱延
後シーム量とほぼ同じ値であった。
【0039】発明例B1〜B6の熱延後シーム量は、幅プレ
ス量の大小によらず表1に示した実施例Aの発明例A1〜
A3のそれに比べてずっと小さくなっている。すなわち、
第1の本発明に係るスラブ低温加熱およびシートバー幅
端部温度下限管理に加え、幅圧下を第2の本発明に係る
凸金敷を用いた水平対抗プレスによって行い、かつ粗圧
延初期3パスで竪ロールによる幅圧下を行わず50%以上
に減厚することにより、表層結晶粒の粗大化抑制および
肌荒れ抑制効果にさらに、バルジングによる側面回り込
み抑制ならびに表層圧縮緩和(表層結晶粒の凹凸および
倒れ込み抑制)効果が重畳して発現し、このような良好
な結果がえられたといえる。
【0040】これに対し、比較例B7,B8 ではスラブ幅側
端コーナ部が金敷凸部の底部に直に当たり、スラブ表層
が幅方向に強く圧縮されることから、表層結晶粒が凸凹
になり、熱延シーム量が大きくなった。また幅プレス量
が大きいほどシーム量も大きい。比較例B9,B10ではW字
溝による拘束力が作用してスラブ表層が幅方向にさらに
強く圧縮され、それにより表層結晶粒も凹凸度合いを増
した結果、特に幅プレス量200 mmで実施例B中最大の熱
延シーム量となった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、幅プレスおよび/また
は竪ロールによる幅圧下を含む一連の熱間圧延で製造さ
れるステンレス鋼板のエッジシーム疵を従来よりも一段
と低減でき、かつ肌荒れも抑制できるので、従来30mm/
片側であったステンレス鋼板のトリム量を、10mmm /片
側以下に低減できるという格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る凸金敷の形状および配置に関し、
(a)は外観斜視図、(b)は凸部の断面図、(c)は
平面配置図を夫々示す。
【図2】本発明の実施に適した熱間圧延設備列の配置図
である。
【図3】スラブ表層の脱炭層厚さと加熱温度、加熱時
間、酸素分圧との関係を例示するグラフである。
【図4】バルジング量の説明図である。
【図5】平金敷による幅プレス量とバルジング量の対ス
ラブ厚比(V/H)との関係を示すグラフである。
【図6】凸部頂辺長さの対スラブ厚比(KA/H)と被
圧延材断面形状およびバルジング量(V)との関係を示
すグラフである。
【図7】転写率と凸部底辺長さのスラブ厚に対する超過
分(KB−H)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 凸金敷 2 入側傾斜面 3 中間平行面 4 出側傾斜面 5 凸部の頂部 6 凸部の傾斜部 7 凸部の底部 10 加熱炉 11 幅プレス装置 12 粗圧延機列 13 エッジヒータ 14 仕上げ圧延機列 15 コイラ 16 竪ロール圧延機(エッジャー) H スラブ厚 KH 凸部高さ KA 凸部頂辺長さ KB 凸部底辺長さ M スラブ(熱間スラブ) PSC 幅プレス前のスラブ側端コーナ部 V バルジング量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯辺 邦夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 鑓田 征雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造されたステンレス鋼のスラブを
    加熱炉で均一に加熱し、幅圧下を含む粗圧延後仕上げ圧
    延する一連の熱間圧延を含むステンレス鋼板の製造方法
    において、スラブの加熱温度を 900〜1100℃、加熱時間
    を6時間以下とし、さらに粗圧延後仕上げ圧延前の被圧
    延材の幅端部温度を800 ℃以上とすることを特徴とする
    ステンレス鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造されたステンレス鋼のスラブを
    加熱炉で均一に加熱し、水平対抗プレス金敷で幅プレス
    し、次いで竪ロールによる幅圧下を含む粗圧延後仕上げ
    圧延する一連の熱間圧延を含むステンレス鋼板の製造方
    法において、スラブの加熱温度を 900〜1100℃、加熱時
    間を6時間以下とし、水平対抗プレス金敷を中央部に台
    形状の凸部を有する凸金敷とし、該凸金敷の断面に係る
    凸部高さをスラブ厚の1/15〜1/4、凸部頂辺長さを
    スラブ厚の1/3〜3/4、凸部底辺長さをスラブ厚+
    (10〜30)mmとし、幅プレス後の粗圧延の最初の3パス
    で竪ロールによる幅圧下を行わず50%以上に減厚し、さ
    らに粗圧延後仕上げ圧延前の被圧延材の幅端部温度を80
    0 ℃以上とすることを特徴とするステンレス鋼板の製造
    方法。
JP06824896A 1996-03-25 1996-03-25 エッジシーム疵を低減できるステンレス鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3504425B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06824896A JP3504425B2 (ja) 1996-03-25 1996-03-25 エッジシーム疵を低減できるステンレス鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06824896A JP3504425B2 (ja) 1996-03-25 1996-03-25 エッジシーム疵を低減できるステンレス鋼板の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10233767A Division JP3056466B2 (ja) 1998-08-20 1998-08-20 ステンレス鋼スラブの幅プレス用金敷

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09256050A true JPH09256050A (ja) 1997-09-30
JP3504425B2 JP3504425B2 (ja) 2004-03-08

Family

ID=13368282

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06824896A Expired - Fee Related JP3504425B2 (ja) 1996-03-25 1996-03-25 エッジシーム疵を低減できるステンレス鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3504425B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002137001A (ja) * 2000-10-27 2002-05-14 Kawasaki Steel Corp 幅プレス用金型およびそれを使用した熱間圧延方法
JPWO2020196019A1 (ja) * 2019-03-22 2021-12-09 日本製鉄株式会社 サワー環境での使用に適した継目無鋼管

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002137001A (ja) * 2000-10-27 2002-05-14 Kawasaki Steel Corp 幅プレス用金型およびそれを使用した熱間圧延方法
JPWO2020196019A1 (ja) * 2019-03-22 2021-12-09 日本製鉄株式会社 サワー環境での使用に適した継目無鋼管

Also Published As

Publication number Publication date
JP3504425B2 (ja) 2004-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1637243B1 (en) Method for manufacturing of stainless steel strips
US20220177989A1 (en) Method for manufacturing of stainless steel strips
JP3504425B2 (ja) エッジシーム疵を低減できるステンレス鋼板の製造方法
JP2002224702A (ja) ステンレス鋼板の製造方法
JP3056466B2 (ja) ステンレス鋼スラブの幅プレス用金敷
JP2786557B2 (ja) 熱間スラブの幅プレス用金敷
JP3806173B2 (ja) 熱延連続化プロセスによる材質バラツキの小さい熱延鋼板の製造方法
JP3221561B2 (ja) ステンレス鋼板の製造方法
JP3175920B2 (ja) シーム疵の少ないステンレス鋼帯の製造方法
JP3182820B2 (ja) 熱間圧延設備
CN111590335A (zh) 一种控制横折纹缺陷的平整酸洗产线
JPH0156126B2 (ja)
JPH09206871A (ja) 熱間スラブの幅プレス用金敷
CN212311405U (zh) 一种控制横折纹缺陷的平整酸洗产线
JPH07171602A (ja) 外法一定平行フランジ溝形鋼の製造方法
JPS6141643B2 (ja)
JPH0716683B2 (ja) ステンレス鋼帯用連続温間圧延設備
JP2004025255A (ja) ステンレス熱延鋼板の製造方法
US1842220A (en) Sheet metal rolling process
JP4608762B2 (ja) 幅プレス用金型およびそれを使用した熱間圧延方法
JPH06102202B2 (ja) U形鋼矢板の圧延方法
JPH10265843A (ja) ステンレス鋼板の製造方法
JPH10156401A (ja) 極低炭素鋼の熱間圧延方法
JPH0714526B2 (ja) 板圧延のエッジドロップ制御におけるセットアップ方法
JPH0213003B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20031210

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees