JPH09255897A - 水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆材 - Google Patents

水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆材

Info

Publication number
JPH09255897A
JPH09255897A JP9044496A JP9044496A JPH09255897A JP H09255897 A JPH09255897 A JP H09255897A JP 9044496 A JP9044496 A JP 9044496A JP 9044496 A JP9044496 A JP 9044496A JP H09255897 A JPH09255897 A JP H09255897A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating material
adhesion
basic substance
aquatic organisms
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9044496A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Shinoda
正治 篠田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EREGANTO KK
Original Assignee
EREGANTO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by EREGANTO KK filed Critical EREGANTO KK
Priority to JP9044496A priority Critical patent/JPH09255897A/ja
Publication of JPH09255897A publication Critical patent/JPH09255897A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 毒性が低いはかりでなく、海洋生物等のライ
フサイクルを破壊する恐れがなく、また、鉄系材料に使
用した場合に、高い腐食防止効果を発揮することのでき
る、水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆
材を提供する。 【解決手段】 被覆対象物表面を覆う被覆材に塩基性物
質を担持させ、被覆材の表面に作用する水分の塩基性度
を高めることにより水性生物の付着を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本願発明は、被覆材表面に作
用する水分の塩基性度を高めることにより、水性生物の
付着を防止する水性生物の付着防止方法及び水性生物付
着防止被覆材に関する。
【従来の技術】たとえば、海洋を航行する船舶の船底に
は、フジツボ類、セルプラ類、コケムシ類、ホヤ類等種
々の海洋生物が付着する。これら海洋付着生物によって
船底の流水抵抗が増大し、船舶の速度が低下するととも
に、燃料消費量が増加する。
【0001】また、付着した生物は、船底に施された塗
膜中に食い込んで、塗膜の防錆性能を低下させる。この
ため、船底を洗浄しなければならない間隔が短くなり、
入渠費用も増大する。
【0002】上記問題を解決するために、銅化合物、有
機スズ化合物のような付着生物に対する毒物を被覆材中
に担持させ、この毒物を長期間にわたって徐放させるこ
とにより、付着生物の付着を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、有機スズ等
の毒物は、付着生物に対して毒性をもつばかりか、人体
に対しても有害である。さらに、これら毒物は海洋汚染
を引き起し、海洋生物全体のライフサイクルを破壊する
恐れもある。このため、近年、毒性物質を使用しない船
底塗料の開発が急がれている。
【0004】また、海洋等の水中で鉄系材料を使用する
場合には、腐食の問題を解決しなければならない。この
ため、従来は、鋼材の表面に腐食防止被覆を施すととも
に、この腐食防止被覆層に重ねて、水中生物の付着を防
止する被覆層を形成していた。このため、塗装費用が増
大するとともに、長い工期が必要となる。
【0005】一方、コンクリート構造物は、結合剤とし
て配合されるセメントの塩基性成分によって内部が長期
間にわたって塩基性に保持される。このため、構造物内
部の鉄筋の腐食を防止できるとともに、海中等に埋設し
た直後には水性生物が付着しにくいことが判っている。
【0006】ところが、上記コンクリート構造物の表面
は多孔質であるため、水分が被覆層の内部に浸入し易
い。このため表面が短期間で中性化し、数カ月で水性生
物が付着する。
【0007】また、セメントはセメントモルタルとして
建築分野で多用されているが、厚塗りをしなければ強度
を確保することができない。したがって、従来の塗料の
ように取り扱うことはできず、船底塗料として利用する
こともできなかった。
【0008】本願発明は、上記事情のもとで考え出され
たものであって、従来の問題を解決し、毒性が低いはか
りでなく、海洋生物等のライフサイクルを破壊する恐れ
がなく、また、鉄系材料に使用した場合に、高い腐食防
止効果を発揮することのできる、水性生物の付着防止方
法及び水性生物付着防止被覆材を提供することをその課
題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】本願の請求項1に記載した発明は、被覆対
象物表面を覆う被覆材に塩基性物質を担持させ、被覆材
の表面に作用する水分の塩基性度を高めることにより水
性生物の付着を防止する水性生物の付着防止方法に関す
る。
【0011】被覆対象物には、水性生物が付着する可能
性があるあらゆるものが含まれる。素材としては、鉄
材、ガラス、木材、FRP、コンクリート、樹脂等に適
用できる。
【0012】また、被覆対象物として、船舶の船底、ブ
イ、筏、岸壁等に適用できる。また、養殖を行うための
柵等に適用することもできる。
【0013】付着防止の対象となる水性付着生物は、海
洋性のものに限定されることはなく、河川、湖沼で付着
するものも含まれる。
【0014】塩基性物質とは、一般に酸の働きを中和す
る物質を指し、特に本願発明では、水に溶解した時に、
水素イオン指数が7より大きい物質を指す。
【0015】水性生物の付着を防止するには、被覆材表
面に作用する水分のpHが8以上であれば、ある程度の
効果を期待することができる。
【0016】塩基性物質を担持させる手段として、被覆
材の成分として被覆層中に分散させる方法、被覆層表面
に物理的あるいは化学的に保持させる方法等を採用する
ことができる。
【0017】被覆材には、無機質系被覆材、有機質系被
覆材及びその他の被覆材が含まれる。
【0018】被覆材表面に作用する水分とは、被覆層表
面に接する水分、あるいは表面のごく近傍にある水分を
いう。水中に没して使用する場合の他、たとえば、自然
にあるいは人工的に水分を作用させる場合も含まれる。
たとえば、波飛沫によって洗われる岸壁、ダムによって
水位が調節される河川の護岸等がこれにあたる。
【0019】また、被覆材表面に接する水分のごく薄い
層を塩基性に保持できれば足りる。たとえば、被覆材表
面の微細な凹部内の水分を塩基性に保持するだけでも効
果を期待することができる。
【0020】本願の請求項2に記載した発明は、塩基性
物質を担持し、被覆材表面に作用する水分の塩基性度を
高めることにより水性生物の付着を防止する、水性生物
付着防止被覆材に関する。
【0021】本願の請求項3に記載した発明は、上記塩
基性物質が水酸化カルシウムであることを特徴とする。
【0022】水酸化カルシウムは、一般に消石灰と呼ば
れる強塩基性物質である。酸性土壌を中和する中和剤、
モルタル等の建築材料として知られている。水に溶けた
ものは石灰水と呼ばれ、塩基性を示す。水に対する溶解
度は小さいため、水中で使用する場合に、長期間塩基と
して機能させることができる。
【0023】本願の請求項4に記載した発明は、被覆材
が、細骨材と接合剤とを含むものである。
【0024】細骨材とは、一般に、粒径が5mm以下の
ものを指す。細骨材を配合することにより、被覆材の機
械的強度を改善できるばかりでなく、塩基性物質を安定
的に担持することができる。すなわち、細骨材を配合す
ることにより、これら細骨材の間隙を介して塩基が表面
の水分に採用する。これにより、塩基性物質の溶解速度
をコントロールして、長期間にわたって効果を持続させ
ることも可能となる。
【0025】接合剤とは、上記細骨材等を互いに接合す
る機能を有するものをいう。セメント等の無機質系接合
剤、アクリル樹脂等の有機質系接合剤がこれにあたる。
【0026】また、本願の請求項5に記載した発明のよ
うに、無機質系接合剤と有機質系整合剤の双方を配合し
た接合剤を採用することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
【0028】水酸化カルシウム等の塩基性物質を被覆材
に担持させると、被覆材表面近傍に塩基性物質が溶出
し、少なくとも静止状態においては、被覆材表面に作用
する水分のpHが上昇する。したがって、水性生物の付
着を有効に防止することができる。
【0029】たとえば、海水のpHは約7でありほぼ中
性である。本願発明者の研究によると、被覆層表面に作
用する水分のpHを8以上に増加させることにより、海
洋生物の幼生が付着するのを忌避できることが判明し
た。
【0030】水性生物の付着を防止するには、上記被覆
層表面のpHが大きいほど効果が高いが、pH8以上で
実用的効果を期待することができる。
【0031】一方、船舶の船底等のように、周囲の水分
が絶えず流動する場合には、被覆材表面が絶えず水分に
洗われて、溶出した塩基性物質が拡散し、表面に作用す
る水分のpHの十分な上昇を期待することはできない。
【0032】ところが、本願発明に係る被覆材において
は、船底等の流水環境にあっても、水性生物の付着を防
止できることが判明した。
【0033】この理由は明らかではないが、次のように
考えることができる。
【0034】貝類等の有害な大型付着生物が付着する場
合には、まず、付着面に細菌等からなるスライム(粘着
物層)が形成される。そして、このスライム層の表面に
大型付着生物の幼生が付着して成長する。
【0035】上記上記スライムが形成されると、被覆材
の表面がスライムによって密閉された状態となる。この
ため、上記スライムと被覆材表面の間に存在する微量の
水分が閉じ込められた状態となり、流れがある場合にお
いても被覆材表面の水分のpHが上昇する。これによ
り、スライムを形成する細菌等の最下層の部分が死滅し
て、被覆材表面に対する付着力が低下し、被覆材から剥
離する。その結果、大型付着生物の幼生が付着しにくく
なるものと考えることができる。
【0036】また、大型付着生物が被覆材に直接付着す
る場合を考えても、pHの高い表面は忌避される。した
がって、水性生物が付着しにくくなる。
【0037】被覆材として、無機質系被覆材、有機質系
被覆材等を採用することができる。担持する塩基性物質
と反応し、あるいは塩基によって劣化する可能性のある
材料を被覆材として採用するのは好ましくない。ただ
し、頻繁に塗り替えが行われる用途では、塗り替えまで
の間で水性生物の付着を防止できればよい。たとえば、
船底塗料等では2年程度で塗り替えが行われるため、こ
の間で効果を発揮できれば足りる。
【0038】無機質系被覆材として、ほうろう系被覆
材、ガラス系被覆材、セメント系被覆材等が考えられ
る。
【0039】ほうろう系被覆材及びガラス系被覆材は緻
密な組織を備えるため、被覆対象物表面に施される被覆
層の内部に塩基を担持して徐放させることは困難であ
る。このため、被覆材の表面に多孔質の塩基徐放層を形
成することが好ましい。
【0040】セメント系被覆材は材料自体が塩基性であ
り、硬化の際に生じる水酸化カルシウム等が塩基として
作用し、被覆材自体を塩基性に保持している。したがっ
て、セメント系被覆材に塩基性物質を配合しても、変質
等の問題が生じる恐れは少ない。
【0041】ところが、セメント系被覆材においては、
表面に作用する水分が皮膜の内部に浸入しやすい。この
ため、長期にわたって塩基を徐放させるためには、表面
に有機質材料等を用いて、被覆層内部への水分の浸入を
制限しつつ塩基の徐放を達成する制御皮膜等を形成する
のが好ましい。
【0042】有機質系被覆材として、有機質または水溶
性のヒビクルを含む、いわゆる樹脂被覆材を採用するこ
とができる。一般に、有機質系被覆材は、酸、アルカリ
に対する安定性がよく、取り扱いも容易である。したが
って、塩基性物質を安定して担持することができる。一
方、有機質系被覆材は、塩基性物質の周りを囲んで、徐
放性を阻害する可能性がある。このため、骨材等を配合
して、被覆層が硬化する際に、表面に作用する水分が塩
基性物質に接触できる微細な隙間を形成するのが好まし
い。
【0043】有機系被覆材として、フェノール樹脂、シ
リコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニル
樹脂、アルキド樹脂等、水中で保護皮膜として使用でき
るものであれば、種々のものを採用することができる。
【0044】セメント系接合剤と樹脂等の有機質系接合
剤とを含む被覆材を採用することにより、塩基性物質を
安定して担持できるとともに、被覆層表面の密度を高め
て、長期間に渡って塩基を徐放することが可能となる。
【0045】しかも、有機質系被覆材を配合することに
より、接着性、ワーカビリティが改善され、従来の塗料
と同様に取り扱うことのできる被覆材を構成することが
できる。
【0046】上記セメント系接合剤としては、ポルトラ
ンドセメント等を採用することができる。また、有機質
接合剤として、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等を採用
することができる。
【0047】塩基の徐放性能をコントロールするため
に、微細な骨材を配合することが好ましい。たとえば、
炭酸カルシウム、珪砂等を配合することにより、塩基性
物質を安定して担持できるとともに、これら骨材粒子間
に形成される隙間から塩基を徐放することが可能とな
る。これにより、被覆層表面が短期間に中性化すること
もなく、被覆層表面に作用する水分の塩基性度を長期間
にわたって高めることができる。
【0048】本願発明に係る塩基性物質は、被覆材に担
持させることが可能であり、被覆材表面に作用する水分
のpHを増加させるものであれは、種々のものを採用す
ることができる。
【0049】たとえば、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化バリウム、水酸化ランタン等の水酸化
物を採用するのが好ましい。特に、水酸化カルシウム及
び水酸化マグネシウムは、化学的安定性が高く、水に難
溶であるとともに強塩基であることから、被覆材中に配
合して容易に担持させることができる。また、ケイ酸塩
等の塩基性物質を採用することもできる。
【0050】特に、水酸化カルシウムは、消石灰として
土壌や海洋の改良剤として使用されるとともに、安価で
あり、安全性が高い。また、水性生物のライフサイクル
を乱す恐れもほとんどない。
【0051】被覆材に塩基性物質を配合することによ
り、被覆対象物の防食効果を高めることができる。
【0052】これは、被覆材に塩基性物質を担持させる
ことにより、被覆材自体のpHが高まるため、被覆材の
中性化が従来に比べて遅延することからも容易に推測す
ることができる。
【0053】また、被覆材として、骨材と接合剤を配合
したものを採用するのが好ましい。これにより、被覆材
の密度が高まり、防錆効果を大幅に向上させることがで
きるとともに、塩基性物質を安定した状態で保持するこ
とができる。
【0054】一般に、合成樹脂等をベースにした被覆剤
に、塩基性物質を担持させると、塩基の影響によって被
覆剤の機械的特性及び化学的特性が低下する恐れがあ
る。
【0055】一方、骨材は、一般にセメントモルタル等
の配合成分として採用されるものであり、塩基に対して
の抵抗性が高い。このため、骨材を配合することによっ
て、被覆材の表面硬度等の機械的特性を向上させること
が可能となる。
【0056】しかも、骨材を合成樹脂等の接合剤によっ
て互いに接合しつつ、被覆材中に塩基性物質が保持され
る。このため、塩基性物質が上記骨材間に形成される隙
間を介して表面に溶出する。したがって、塩基性物質の
溶出量をコントロールすることが可能となる。この結
果、長期間にわたって、水性生物の付着を有効に防止す
ることが可能となる。
【0057】また、被覆対象物表面を塩基性に保持する
することができるため、鉄系材料の表面にいわゆる不動
態皮膜が形成される。
【0058】この不動態皮膜の形成過程及び構造は明ら
かではないが、水酸化カルシウムを塩基性物質として採
用した場合には、炭酸カルシウム等の不活性成分が被覆
対象物表面に析出沈着して、錆に対する抵抗力を大きく
増加させるものと考えることができる。
【0059】もちろん、塩基性物質の成分によって、不
動態の形成過程及び構造も異なるものと考えられる。
【0060】さらに、セメント等の無機質接合剤と、ア
クリル樹脂等の有機質接合剤を配合することにより被覆
剤の強度が向上する。また、被覆材の耐水性能が向上し
て中性化しにくくなる。したがって、被覆対象物の表面
を長期間にわたって塩基性に保持することができる。し
かも、衝撃等によって被覆材あるいは上記不動態層に亀
裂が生じても、被覆対象物表面を高いpHに保持できる
ため、これら保護層を自己再生することも可能となり、
被覆対象物表面の腐食を有効に防止できると考えられ
る。
【0061】この結果、水性生物の付着を有効に防止で
きるはかりでなく、高い防錆効果を発揮させることが可
能となる。また、被覆作業等を従来の塗料と同様に行う
ことが可能となる。この結果、船底塗料等の水性生物付
着効果と防錆効果とを要求される場合においては、従来
のように、二重構造にする必要がなくなり、施工等を容
易に行うことができるとともに、工期が短縮され、コス
トを大幅に低減することができる。
【0062】
【実施例】以下、本願発明に係る実施例を具体的に説明
する。
【0063】表1に、本願発明に係る被覆材の配合成分
の一例を示す。本実施例に係る被覆材は、船底塗料等と
して利用できるものである。
【0064】
【表1】
【0065】本実施例は、酢酸ビニル系樹脂をベースと
して、セメント及び骨材を配合して構成したものであ
る。
【0066】上記酢酸ビルニ系樹脂は、パウダー状で市
販されている酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂を主成分と
するものを採用した。この樹脂の配合割合は、被覆対象
物、用途等に応じて変更できるが、5重量%〜40重量
%の配合割合とするのが好ましい。
【0067】セメントとして、白色ポルトランドセメン
トを採用した。白色ポルトランドセメントは、普通ポル
トランドセメントに比べて色素成分が少なく、また不純
物が少ないため、塩基性物質を配合した場合の安定性が
よい。セメントの配合割合も、上記樹脂の配合割合と同
様に、5重量%〜30重量%の配合割合にするのが好ま
しい。
【0068】水中生物の幼生の付着を忌避するには、被
覆材表面の着色も重要な要素とされており、明度の高い
表面ほど付着しにくいとされている。したがって、白色
ポルトランドセメントを採用して表面の明度を上げるこ
とにより、忌避作用がさらに高まるものと考えられる。
【0069】骨材として、炭酸カルシウムを主成分とす
る石粉と、二酸化ケイ素を主成分とするケイ砂とを配合
した。
【0070】石粉は、平均粒度が30μmのもの40重
量%と、平均粒度が300μmのもの20重量%を配合
した。また、ケイ砂として、平均粒度は8μmのものを
5重量パーセント配合した。粒度の異なる骨材を配合す
ることにより、被覆層の骨材密度を高め、水分が被覆層
内部にまで浸入するのを防止できる。なお、骨材の配合
割合も特に限定されることはなく、塩基性物質、要求さ
れる被覆材の特性等を考慮して割合が決定される。45
重量%〜70重量%の配合割合とするのが好ましい。
【0071】本実施例では、塩基性物質として、水酸化
カルシウムを採用した。水酸化カルシウムは、セメント
の硬化過程においても発生し、通常、この水酸化カルシ
ウムがセメントを塩基性に保持している。このセメント
自体から生じる水酸化カルシウムは、一般に、セメント
重量の約30パーセント程度である。したがって、本実
施例においては、セメント自体から発生する水酸化カル
シウムは、被覆層の全重量の3パーセントとなる。
【0072】本実施例においては、水酸化カルシウム単
体をさらに5重量パーセント配合し、塩基性物質の配合
割合を増加させた。水酸化カルシウムの配合割合は、特
に限定されることはないが、被覆材の機械的強度等を考
慮すると、全重量として、5重量%〜20重量%の間が
好ましい。
【0073】上記成分を配合した粉体に水を加えて練り
合わせ、エアガンによって吹き付け塗装できる粘度に調
整した後、鉄板(炭素鋼製)の表面に約1mmの厚さで
塗着した。
【0074】硬化後、上記鉄板表面のpHを測定した結
果、約12であった。
【0075】鉄板をpH7の水を満たしたバケツに、約
7日間浸漬した結果、バケツ内の水のpHが10まで上
昇した。
【0076】上記被覆を施した鉄板を、海水に6カ月間
浸漬した。2カ月目で被覆層表面に、細菌等によって形
成されたと見られるスライム(粘着物被覆層)が見られ
たが、3か月目には剥離しているのが観察された。ま
た、6カ月経過後でも、目視できる大型海洋付着生物は
確認できなかった。
【0077】このことから、本願発明に係る被覆層の表
面に微細生物によるスライムが形成された場合であって
も、被覆材表面から徐放される塩基によって、これらス
ライムが短期間で剥離し、海洋生物の付着を有効に防止
できることが確認された。
【0078】海水に6カ月浸漬した鉄板を取り出して、
被覆層を剥がして、鉄板表面の状態を観察した。鉄板表
面に錆の発生はみられなかった。
【0079】さらに、上記鉄板に施した被覆材表面に水
を作用させると、pH10であった。したがって、塩基
の放出能力が持続していることが確認された。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆対象物表面を覆う被覆材に塩基性物
    質を担持させ、被覆材表面に作用する水分の塩基性度を
    高めることにより、水性生物の付着を防止する、水性生
    物の付着防止方法。
  2. 【請求項2】 塩基性物質を担持し、被覆材表面に作用
    する水分の塩基性度を高めることにより水性生物の付着
    を防止する、水性生物付着防止被覆材。
  3. 【請求項3】 上記塩基性物質が水酸化カルシウムであ
    ることを特徴とする、請求項2に記載の水性生物付着防
    止被覆材。
  4. 【請求項4】 上記被覆材は、細骨材と接合剤とを含む
    ことを特徴とする、請求項2又は3のいずれかに記載の
    水性生物付着防止被覆材。
  5. 【請求項5】 上記接合剤に、無機質接合剤と有機質接
    合剤とが配合されていることを特徴とする、請求項4に
    記載の水性生物付着防止被覆材。
JP9044496A 1996-03-19 1996-03-19 水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆材 Pending JPH09255897A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9044496A JPH09255897A (ja) 1996-03-19 1996-03-19 水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9044496A JPH09255897A (ja) 1996-03-19 1996-03-19 水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09255897A true JPH09255897A (ja) 1997-09-30

Family

ID=13998801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9044496A Pending JPH09255897A (ja) 1996-03-19 1996-03-19 水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09255897A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006134656A1 (ja) * 2005-06-16 2006-12-21 Tomohiro Anraku 海洋生物付着防止塗料
JP2011152102A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Sunrise Sangyo Co Ltd 長期アルカリ性安定被膜、および長期アルカリ性安定被膜を用いた動物を飼育する建築物の防疫方法
WO2012121077A1 (ja) * 2011-03-04 2012-09-13 サンライズ産業株式会社 防疫方法および防疫用固化体、防疫用固化体の施工方法、防疫用固化体の施工に用いる母材および用材、防疫用固化体の製造方法
WO2018194108A1 (ja) * 2017-04-19 2018-10-25 宇部マテリアルズ株式会社 水生生物付着防止剤、水生生物付着防止用樹脂組成物、水生生物付着防止用塗料及び水生生物付着防止用樹脂組成物を用いてなる成形体、並びに水生生物付着防止方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006134656A1 (ja) * 2005-06-16 2006-12-21 Tomohiro Anraku 海洋生物付着防止塗料
JP2011152102A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Sunrise Sangyo Co Ltd 長期アルカリ性安定被膜、および長期アルカリ性安定被膜を用いた動物を飼育する建築物の防疫方法
WO2012121077A1 (ja) * 2011-03-04 2012-09-13 サンライズ産業株式会社 防疫方法および防疫用固化体、防疫用固化体の施工方法、防疫用固化体の施工に用いる母材および用材、防疫用固化体の製造方法
JP5379926B2 (ja) * 2011-03-04 2013-12-25 サンライズ産業株式会社 防除方法および防除用固化体、防除用固化体の施工方法、防除用固化体の施工に用いる母材および用材、防除用固化体の製造方法
WO2018194108A1 (ja) * 2017-04-19 2018-10-25 宇部マテリアルズ株式会社 水生生物付着防止剤、水生生物付着防止用樹脂組成物、水生生物付着防止用塗料及び水生生物付着防止用樹脂組成物を用いてなる成形体、並びに水生生物付着防止方法
JPWO2018194108A1 (ja) * 2017-04-19 2020-05-21 宇部マテリアルズ株式会社 水生生物付着防止剤、水生生物付着防止用樹脂組成物、水生生物付着防止用塗料及び水生生物付着防止用樹脂組成物を用いてなる成形体、並びに水生生物付着防止方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100880841B1 (ko) 방오 도료 조성물
CN101287805B (zh) 海洋防污涂料组合物
CA2600646C (en) Method and use of nanoparticles to bind biocides in paints
JP2004149333A (ja) 海生生物の付着・繁殖に適したコンクリート構造物及びコンクリート構造物中の鉄筋の腐食の抑制方法
JP3468743B2 (ja) 塗料用防錆防汚添加剤および同添加剤を含有する塗料
JPS5925843A (ja) 耐海水性防汚塗料組成物
JP2008156511A (ja) 防汚塗料組成物
JPH09255897A (ja) 水性生物の付着防止方法及び水性生物付着防止被覆材
JP2007508138A (ja) 船底塗料コーティング方法
JP2005060510A (ja) 塗料組成物、防汚塗膜、防汚性水中構造物、及び防汚方法
JPH10330687A (ja) 水中防汚剤
JPS6241985B2 (ja)
JPS626863B2 (ja)
WO1997000919A1 (en) Antifouling paint
JPH07127029A (ja) 護岸設備の磯焼け防止方法
JP3663412B2 (ja) コンクリート製魚礁及びその表面処理方法
JP2808087B2 (ja) コンクリート構造物の劣化防止剤および劣化防止方法
JPS6357503A (ja) 水中生物防汚剤
JPS645121B2 (ja)
JPS6145513B2 (ja)
JP3467387B2 (ja) 排水口近傍の汚染防止構造
JP2004026893A (ja) 防汚塗料組成物、海中物品類および防汚方法
JP2003055608A (ja) 機能性樹脂組成物及び水中生物の付着防止方法
JP2005281398A (ja) 海洋生物付着防止塗料組成物および海洋生物付着防止方法
JP2543794B2 (ja) 防汚塗装方法