JP3468743B2 - 塗料用防錆防汚添加剤および同添加剤を含有する塗料 - Google Patents
塗料用防錆防汚添加剤および同添加剤を含有する塗料Info
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Description
ける鋼船や鉄パイプ等の鋼や鉄材料を使用する構造物の
防錆、および同構造物への海洋生物の付着を防止するの
に効果的な塗料用防錆防汚添加剤、および同添加剤を含
有する塗料に関するものである。
船の船底部に防汚塗料が使用されている。一般に、海洋
生物の付着は、まず浮遊有機物、バクテリア、珪藻等の
スライムと呼ばれる水アカのような付着基盤(マクロフ
ァウリングやバイオフィルムと言われる)が形成され、
この後に種々の海洋生物が付着すると考えられている。
現在、海洋生物の付着を防止する塗料としては、主とし
て以下の(1)〜(3)のものが使用されている。
の塗膜がpH8.0〜8.2の弱アルカリ性の海水に接触
すると、一定速度で加水分解が起こり、表面の樹脂が溶
解して新しい塗膜表面が形成され、この塗膜表面から溶
出する銅イオンの殺菌力が海洋生物の付着を防いでい
る。要するに、防汚剤を含有する塗料の膜を何層にも積
み重ねてその1枚1枚を剥がしながら海洋生物の付着を
防止するというものである。
料、水和崩壊形塗料) この塗料は、上記した加水分解形塗料と同様に溶解マト
リックス形の塗料であるが、ポリマー、亜酸化銅、松か
ら採取されるロジンを主成分としている点に特徴があ
る。ロジンは、分子量300程度のアビエチン酸とその
異性体で構成される天然オリゴマーで、海水に対する微
溶解性および親和性は古くから知られている。この塗料
の塗膜が海水に接触すると、ロジンの微溶解性により塗
料の表面がわずかに溶解し、亜酸化銅などの薬剤が塗膜
表面に現れる。要するに、この塗料の塗膜表面は常にヌ
ルヌルしており、上記薬剤の効果と海洋生物が付着し難
い表面状態との相乗効果により海洋生物の付着を防いで
いる。
あり、亜酸化銅、ロジン、疎水性合成樹脂を主成分とし
ており、塗料自体の溶解はなく、防汚剤のみがマトリッ
クスから海水中に溶出する。上記した溶解マトリックス
型の塗料に比較して、薬剤の含有量が多く、塗膜硬度が
高い点に特徴がある。
料の多くは銅イオンの殺菌力を利用しており、海水温度
や海域の環境、船の運航条件等によっては海洋生物の付
着防止にある程度の効果を発揮しているが、フジツボ
類、貝類、海藻類等の海洋生物の付着防止効果をさらに
改善することが望まれている。
は、海水が接触する船底に海水による酸化防止のための
防錆塗料が2〜4回程度重ね塗りされるが、フジツボ
類、貝類、海藻類等の海洋生物の付着を防止するために
有機スズ重合体が塗料に添加されている。有機スズ重合
体は生理活性の高い材料であるため、魚の奇形が発生す
る等の他の海洋生物に対する悪影響が問題となってい
る。このため、1980年代後半から有機スズ重合体の
使用は自主規制となっている。また、ロンドンの国際海
事機関(IMO)本部において1999年6月28日〜7
月2日に実施された協議では、有機スズ含有塗料の使用
に関して2003年に船舶への塗装禁止、2008年に
全面使用禁止とすることが合意された。しかしながら、
現在のところ、それに代わって海洋生物の付着を効果的
に防止できる塗料及び塗料添加剤はなく、その開発は急
務とされている。
ーのほとんどはすでに有機スズ重合体を使用しておら
ず、海洋生物の付着を十分に防止することができないた
めに船舶の付着物清掃作業が煩雑となるとともにその清
掃費用が増大しているのが現状である。
しても重大な影響を及ぼす。通常、船底の塗装は、金属
部分に防錆処理(プライマー処理)を数回行い、その上に
船底用塗料を塗布するのであるが、形成された塗膜の厚
さによっては船のエンジンに大きな負荷がかかると言わ
れている。塗膜の厚さが僅か5μm厚くなるだけで、1
ノット程度スピードが低下し、これにフジツボ類や貝類
が付着すると海水に対する抵抗が増大して3〜5ノット
スピードが落ちる。このように、船舶の燃費が悪くなる
ので、小型漁船などにおいては年間2〜4回程度、付着
した海洋生物の清掃作業および再塗装作業が必要にな
り、結果的に船舶や構造物の定期的な補修に要する労力
および費用が増大する。また、タンカー等の大型船舶等
においては、航海領域によってフジツボ類や貝類が大量
に付着し、エンジンに負担が掛ってカムシャフトが破損
するなどの被害が発生している。
いるプラントでは、配管に海洋生物が付着することによ
り取水量が低下し、冷却効率低下による駆動機関の焼付
き等が問題となっている。
した問題点を解決するためになされたものであって、そ
の目的とするところは、海洋環境に悪影響を及ぼすこと
なく、改善された錆防止効果と海洋生物の付着防止効果
を発揮する塗料用防錆防汚添加剤を提供することにあ
る。すなわち、本発明の防錆防汚添加剤は、添加剤の全
重量に関して、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱
から選択される少なくとも一種70〜94%、電気石3
%もしくはそれ以上、ジルコン石3%もしくはそれ以上
を含むことを特徴とする。
の範囲内にあることが好ましい。
ズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも一種90
%、電気石5%、およびジルコン石5%でなることが特
に好ましい。
汚添加剤を含有する塗料を提供することにある。尚、上
記添加剤の含有量は、塗料重量に関して8〜15%であ
ることが特に好ましい。
び同添加剤を含有する塗料について詳細に説明する。
鋭意検討し実験を重ねた結果、添加剤が、その全重量に
関して、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選
択される少なくとも一種70〜94%、電気石3%もし
くはそれ以上、すなわち3〜27%、ジルコン石3%も
しくはそれ以上、すなわち3〜27%を含有する場合に
改善された錆防止効果と海洋生物の付着防止効果の両方
が得られることを見出すに到ったものである。本発明の
防錆防汚添加剤は、常にマイナスイオンを発生してい
る。マイナスイオンには、その発生量に応じて海洋生物
の付着を抑制する作用と逆に海洋生物の付着を促進する
作用の相反する効果があるとされている。
効果とマイナスイオンの発生量との関係について十分な
知見が得られていなかったために多くの試みが満足のい
く結果に結びつかなかったが、本発明においては、海洋
生物の付着を抑制する作用に必要なマイナスイオンの発
生量を把握したことによりその目的を達成し得ることを
見出したものである。さらに、目的とする防錆効果を得
るのに必要なジルコン石の量を把握した。これらによ
り、防錆効果と海洋生物の付着防止効果の両方を兼ね備
えた防錆防汚添加剤の開発の成功に到ったのである。し
たがって、上記した範囲を逸脱した場合は、本発明の目
的を十分に達成することができなくなる。特に、マイナ
スイオン量が減少すると、海洋生物の育成に適した環境
となって貝類の付着が増大し、かえって逆効果となる。
して、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択
される少なくとも一種80〜94%、電気石3〜10
%、ジルコン石3〜10%を含有する場合は、海域環境
が変化しても上記した効果をより確実に提供できる点で
好ましい。さらに、本発明の特に好適な添加剤組成の一
例として、バストネス石90%、電気石5%、ジルコン
石5%でなる塗料用防錆防汚添加剤を挙げることができ
る。
ナスイオンを放出するセリウム、ランタンのリン酸塩鉱
物である。例えば、バストネス石としては、それに含ま
れるレアアース成分を100%とした場合にCeO2(4
9.00%)、La2O3(32.00%)、Nd2O3(1
3.50%)、Pr6O11(4.40%)、Sm2O3(0.
50%)、Eu2O3(0.10%)、Gd2O3(0.30
%)、Y2O3(0.10%)、Tb2O3(0.01%)、D
y2O3(0.03%)、Ho2O3(0.01%)、Er 2O3
(0.01%)、Tm2O3(0.02%)、Yb2O3(0.
01%)、Lu2O3(0.01%)を含有するものを例示
できる。
アアース成分を100%とした場合にCeO2(43.7
3%)、La2O3(17.47%)、Nd2O3(17.47
%)、Pr6O11(4.98%)、Sm2O3(4.87%)、
Eu2O3(0.16%)、Gd2O3(6.56%)、Y2O3
(3.18%)、Tb2O3(0.26%)、Dy2O3(0.
90%)、Ho2O3(0.11%)、Er2O3(0.04
%)、Tm2O3(0.03%)、Yb2O3(0.21%)、
Lu2O3(0.03%)を含有するものを例示できる。
混合物であり、主として中国内蒙古白雲鉱山において産
出される。例えば、中国複雑鉱としては、それに含まれ
るレアアース成分を100%とした場合にCeO2(5
2.2%)、La2O3(25.9%)、Nd2O3(16.3
%)、Pr6O11(5.4%)、Sm2O3、Eu2O3、Gd
2O3、Y2O3等(0.2%)を含有するものを例示でき
る。
雑石の組成は、産出される場所等に応じてその組成が若
干変動する。したがって、上記した組成はあくまで例示
であって、本発明に使用されるバストネス石、モナズ石
および中国複雑石の組成を限定するものではない。
産出されるジルコニウムの珪酸化合物である。ジルコニ
ウムはチタン族元素の一つで、元素記号Zr、原子番号
40、原子量91.22であり、結晶系は六方晶(α)と
等軸系晶(β)の2つの形態がある。ジルコン石は、結晶
系が正方晶系であり、透明、半透明、褐色、黄色透明の
ものがある。尚、上記したように、本発明の添加剤にジ
ルコン石を使用する主な目的は、防錆効果を提供するこ
とにある。
aline)と言われるシクロケイ酸塩鉱石で、主にブラジ
ル、インド、中国、アフリカの変成岩やペグマタイトの
中から産出される。電気石の種類は、リチア電気石(Elb
aite)、苦土電気石(Dravite)、鉄電気石(Schorl)の3種
類がある。本発明においては、鉄電気石を使用すること
が特に好ましい。結晶系は、六方晶系であり、化学組成
はNaFe2+3Al6(BO)3Si6O18(OH) 4である。
を有し、永久的に電子を流し続けている。トルマリンの
結晶の両端にプラス極とマイナス極が自発的に生じ、こ
のマイナス電極に蓄えられた[吸着作用(帯電)]電子は、
水に接触すると瞬間的に放電され、水分子はH+・OH-
に分解される(反発作用)。プラスイオンのH+は、トル
マリン鉱石のマイナス極に引付けられ、そこから放出さ
れる電子と結合/中和して水素原子となり、水素ガスと
して空気中に放出される。一方、マイナスイオンのOH
-は、周囲の水分子と結合してヒドロキシルイオンH3O
2と呼ばれるマイナスイオンの界面活性物質に変化して
界面活性効果を発生させる。
ように秤量したバストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱
から選択される少なくとも一種、電気石およびジルコン
石を粉砕/混合して製造することができ、その平均粒子
径を、1〜10μm、特に3〜8μmの範囲内とするこ
とが好ましい。平均粒子径が10μmを超える防錆防汚
添加剤を含む塗料を船底に塗布する場合、船舶の海水に
対する抵抗が増加して、1ノット程度スピードが落ちる
等の不具合の生じる恐れがある。
塗料に添加して使用される。防錆塗料としては、例え
ば、モジファイ(ノンタール)エポキシ系、タールエポキ
シ系、あるいはピュアエポキシ系の防錆塗料を使用する
ことができる。添加剤の量は、塗料重量に関して8〜1
5%とすることが好ましい。尚、塗料への添加にあたっ
ては、防錆防汚添加剤を予め溶剤中に分散させたものを
使用しても良い。
基いて説明する。 (実施例1)本発明の実施例1に基づく塗料用防錆防汚添
加剤を以下の手法に基いて作成した。まず、添加剤の全
重量に関してバストネス石が90%、電気石が5%およ
びジルコン石が5%となるようにバストネス石、電気石
およびジルコン石の粉末を測量した。次いで、添加剤の
平均粒子径が約3〜5μm程度になるようにこれらの粉
末を混合粉砕して本実施例の塗料用防錆防汚添加剤とし
た。この添加剤をモジファイ(ノンタール)エポキシ系防
錆塗料に所定量添加し、十分に攪拌して本実施例の塗料
を得た。上記添加剤の含有量は、防錆塗料の重量に関し
て10%である。
5mmの鉄板を使用し、鉄板の両面に従来法によりプラ
イマー処理を施した。すなわち、防錆塗料を3回重ね塗
りして下地被膜を得た。次いで、この下地被膜上に本実
施例の塗料をさらに塗布した。この時、塗膜表面からの
マイナスイオンの発生量は、平均で11200/cm 3
であった。尚、同じ形状の鉄板を使用して、防錆塗料を
3回重ね塗りし、本実施例の塗料を塗布しないものを比
較例として採用した。これらの鉄板を海面から3mの深
さの位置に1年間保持した後、錆の発生状況および海洋
生物の付着状態について調査した。本実施例の塗料を塗
布した鉄板には錆の発生および海洋生物の付着ともに観
察されなかった。一方、比較例の鉄板には錆の発生は観
察されなかったが、ほぼ全面にわたって青さが付着し、
フジツボや貝類の付着も観察された。
る塗料を鋼船の船底表面に塗布し、約1年間海洋で使用
した後、錆の発生状況および海洋生物の付着状態につい
て調査した。この時、本実施例の塗膜表面からのマイナ
スイオンの発生量は、平均で11320/cm3であっ
た。観察の結果、錆の発生は認められず、一部に青さの
付着が観察されたものの貝類の付着はなかった。 (実施例2)本発明の実施例2に基づく塗料用防錆防汚添
加剤を以下の手法に基いて作成した。まず、添加剤の全
重量に関してバストネス石とモナズ石の混合物(混合比
=9:1)が70%、電気石が15%およびジルコン石
が15%となるようにバストネス石、電気石およびジル
コン石の粉末を測量した。次いで、添加剤の平均粒子径
が約6μm程度になるようにこれらの粉末を混合粉砕し
て本実施例の塗料用防錆防汚添加剤とした。この添加剤
をタールエポキシ系防錆塗料に所定量添加し、十分に攪
拌して本実施例の塗料を得た。上記添加剤の含有量は、
防錆塗料の重量に関して10%である。
使用し、鉄板の両面に従来法によりプライマー処理を施
した。すなわち、防錆塗料を3回重ね塗りして下地被膜
を得た。次いで、この下地被膜上に本実施例の塗料をさ
らに塗布した。この時、塗膜表面からのマイナスイオン
の発生量は、平均で7850/cm3であった。尚、同
じ形状の鉄板を使用して、防錆塗料を3回重ね塗りし、
本実施例の塗料を塗布しないものを比較例として採用し
た。これらの鉄板を海面から3mの深さの位置に1年間
保持した後、錆の発生状況および海洋生物の付着状態に
ついて調査した。本実施例の塗料を塗布した鉄板には錆
の発生および海洋生物の付着ともに観察されなかった。
一方、比較例の鉄板には錆の発生は観察されなかった
が、ほぼ全面にわたって青さが付着し、貝類の付着も観
察された。
る防錆塗料を鋼船の船底表面に塗布し、約1年間海洋で
使用した後、錆の発生および海洋生物の付着状態につい
て調査した。この時、本実施例の塗膜表面からのマイナ
スイオンの発生量は、平均で8210/cm3であっ
た。その結果、錆の発生は観察されず、一部に青さの付
着が観察されたものの貝類の付着はなかった。
付着を防止するために、従来は海洋環境に悪影響を及ぼ
す有機スズ重合体を含有する塗料が使用されていた。し
かしながら、近年の地球環境保護の観点からその使用禁
止が世界的規模で合意されたため、それに代わる防錆防
汚塗料、すなわち、海洋環境に悪影響を及ぼすことな
く、従来と同様もしくはそれ以上の錆防止効果と海洋生
物の付着防止効果を発揮する塗料の開発が待たれてい
た。
て、バストネス石、モナズ石及び中国複雑鉱から選択さ
れる少なくとも一種70〜94%、電気石3%もしくは
それ以上、ジルコン石3%もしくはそれ以上を含む塗料
用防錆防汚添加剤を提供することによって、上記の要請
に十分に応えることができる塗料の開発に成功したもの
である。この防錆防汚添加剤を含む防錆塗料を船舶の船
底や海中において長期間使用される構造物の表面に塗布
すれば、海洋生物の付着量を低減し、船舶の燃費の向上
を図ると共に、船舶や構造物の定期的な補修に要する労
力および費用を大幅に軽減できるという効果を達成でき
る。このように、本発明の防錆防汚添加剤および同添加
剤を含有する塗料は、漁業や海運業界等における利用価
値が極めて高いと予想されることに加えて、地球環境保
護の点でも時代の要請に見合ったものであることから、
従来の有機スズ重合体を含有する防錆防汚塗料に取って
代わる次世代塗料の候補として期待されるものである。
Claims (5)
- 【請求項1】添加剤の全重量に関して、バストネス石、
モナズ石及び中国複雑鉱から選択される少なくとも一種
70〜94%、電気石3%もしくはそれ以上、ジルコン
石3%もしくはそれ以上を含むことを特徴とする塗料用
防錆防汚添加剤。 - 【請求項2】上記添加剤の平均粒子径は、1〜10μm
の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の塗料
用防錆防汚添加剤。 - 【請求項3】上記添加剤は、バストネス石、モナズ石及
び中国複雑鉱から選択される少なくとも一種90%、電
気石5%、ジルコン石5%でなることを特徴とする請求
項1もしくは2に記載の塗料用防錆防汚添加剤。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の添加剤を
含有する塗料。 - 【請求項5】上記添加剤の含有量は、塗料重量に関して
8〜15%であることを特徴とする請求項4に記載の塗
料。
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