JPH09253860A - 高張力鋼のtig溶接方法及びtig溶接用ソリッドワイヤ - Google Patents

高張力鋼のtig溶接方法及びtig溶接用ソリッドワイヤ

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JPH09253860A
JPH09253860A JP6685196A JP6685196A JPH09253860A JP H09253860 A JPH09253860 A JP H09253860A JP 6685196 A JP6685196 A JP 6685196A JP 6685196 A JP6685196 A JP 6685196A JP H09253860 A JPH09253860 A JP H09253860A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 溶接能率及び溶接環境を向上させることがで
きると共に、機械的性質が優れていて、溶接割れの発生
を防止することができる高張力鋼のTIG溶接方法及び
TIG溶接用ソリッドワイヤを提供する。 【解決手段】 0.13重量%以下のCを含有し、引張
強さが760乃至980N/mm2 である高張力鋼のT
IG溶接方法は、JIS Z 3111に規定された方
法により得られた全溶着金属のマルテンサイト変態開始
温度が400℃以下であると共に、ワイヤ全重量に対し
てNi:7.5乃至12.0重量%を含有し、C:0.
10重量%以下及びH:2重量ppm以下に規制された
ソリッドワイヤを使用し、ワイヤ送給速度を5乃至40
g/分として溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧力容器及び水圧鉄
管(ペンストック)等に適用される高張力鋼のTIG溶
接に関し、特に、50mmを超える極厚材に対する溶接
能率及び溶接環境を向上させることができると共に、機
械的性質が優れていて、溶接割れの発生を防止すること
ができる高張力鋼のTIG溶接方法及びTIG溶接用ソ
リッドワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】引張強さが760乃至980N/mm2
であるような高張力鋼に対する溶接においては、通常、
割れを防止するために100℃以上の温度で予熱が施さ
れており、特に、極厚材に対する溶接においては、12
5℃以上の温度で予熱することが必要とされている。こ
のような予熱作業は溶接能率の低下及び溶接環境の悪化
を発生させるため、予熱作業の改善が強く要望されてい
る。
【0003】この予熱作業の改善について、TIG溶接
に関する研究はほとんどなされていない。MAG溶接に
おいては、590乃至880N/mm2 の強度を有する
高張力鋼の溶接において、V及びNbが積極的に添加さ
れた溶接ワイヤを使用することにより、予熱温度を低下
させることができるMAG溶接方法が開示されている
(特開平7−284987号公報)。
【0004】しかしながら、このような溶接ワイヤを使
用しても、板厚が40mmである高張力鋼に対して、割
れを防止するための予熱温度は50℃以上とされてい
る。また、高張力鋼の板厚が50mmを超えて極厚化す
ると、割れを防止するための予熱温度は更に一層高くな
ることが予測される。従って、新たな観点から、予熱以
外の方法で割れを防止することができる高張力鋼に対す
る溶接方法の開発が要求されている。
【0005】また、この特開平7−284987号公報
には、鋼材(高張力鋼)中の化学成分Aの含有量[A]
から算出されるPcm(Pcm=[C]+[Si]/3
0+([Mn]+[Cu]+[Cr])/20+[M
o]/15+[V]/10+5B)を低減させることに
より、溶接割れを抑制し、溶接性を改善することができ
ることが記載されている。
【0006】しかしながら、高張力鋼には、要求される
強度及び板厚に対応した適正のPcmが存在するので、
Pcmの低減にも限度がある。
【0007】ところで、被覆アーク溶接及びサブマージ
アーク溶接の溶接材料においては、一般的に、溶着金属
中の合金元素を少なくすることにより硬化性を低減させ
ることが、低温割れを防止するための有効な方法である
とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、TIG
溶接においては、溶着金属中の合金元素を少なくして
も、低温割れの防止に対して優れた効果を得ることがで
きない。これは、TIG溶接により形成される溶着金属
の酸素量が50ppm以下という極めて少ないものであ
るため、焼き入れ性が高すぎるからである。
【0009】また、所望の強度レベルを必要とする鋼材
のTIG溶接においては、溶着金属自体に割れが発生す
ることが問題となっており、溶接材料の改善によって割
れを防止することができるTIG溶接方法の開発が要求
されている。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溶接能率及び溶接環境を向上させることが
できると共に、機械的性質が優れていて、溶接割れの発
生を防止することができる高張力鋼のTIG溶接方法及
びTIG溶接用ソリッドワイヤを提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高張力鋼の
TIG溶接方法は、0.13重量%以下のCを含有し、
引張強さが760乃至980N/mm2 である高張力鋼
のTIG溶接方法において、JIS Z 3111に規
定された方法により得られた全溶着金属のマルテンサイ
ト変態開始温度が400℃以下であると共に、ワイヤ全
重量に対してNi:7.5乃至12.0重量%を含有
し、C:0.10重量%以下及びH:2重量ppm以下
に規制されたソリッドワイヤを使用し、ワイヤ送給速度
を5乃至40g/分として溶接することを特徴とする。
【0012】本発明に係る高張力鋼のTIG溶接用ソリ
ッドワイヤは、0.13重量%以下のCを含有し、引張
強さが760乃至980N/mm2 である高張力鋼のT
IG溶接に使用するソリッドワイヤにおいて、JIS
Z 3111に規定された方法により得られた全溶着金
属のマルテンサイト変態開始温度が400℃以下である
と共に、ワイヤ全重量に対してNi:7.5乃至12.
0重量%を含有し、C:0.10重量%以下及びH:2
重量ppm以下に規制されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】溶着金属の溶接割れは、溶接後の
冷却中に発生する溶着金属の収縮応力に起因する。そこ
で、本願発明者等は、溶接割れを防止するために、溶着
金属に発生する収縮応力を低減することができるTIG
溶接方法を開発すべく種々研究を行った。その結果、フ
ェライト系及びマルテンサイト系の溶着金属において、
各変態点、特にマルテンサイト変態点を低下させて、変
態時の膨張現象を利用することにより、溶着金属に発生
する収縮応力を低減することができることを見いだし
た。従って、低い予熱温度又は予熱を実施しない方法で
も低温割れを防止することができ、溶接能率及び溶接環
境を向上させることができる。
【0014】以下、本発明における高張力鋼のTIG溶
接方法及びTIG溶接用ソリッドワイヤについて、更に
説明する。先ず、TIG溶接に使用するソリッドワイヤ
中に含有される化学成分及び組成限定理由並びにソリッ
ドワイヤの特性について説明する。
【0015】ソリッドワイヤ中のC:0.10重量%以
ワイヤ中のC含有量が0.10重量%を超えると、溶着
金属の硬度が高くなりすぎて、低温割れが発生しやすく
なると共に、高温割れの発生も促進される。従って、ソ
リッドワイヤ全重量に対するC含有量は0.10重量%
以下に規制する。
【0016】ソリッドワイヤ中のNi:7.5乃至1
2.0重量% ソリッドワイヤ中のNi含有量が7.5重量%未満であ
ると、溶着金属のマルテンサイト変態点を十分低くする
ことができないので、低温割れを防止することが困難に
なる。一方、ソリッドワイヤ中のNi含有量が12.0
重量%を超えると、不安定なオーステナイトが多量に残
存し、溶着金属の強度及び靱性等の機械的性質が不安定
になる。従って、ソリッドワイヤ全重量に対するNi含
有量は7.5乃至12.0重量%とする。
【0017】ソリッドワイヤ中のH:2重量ppm以下 高強度の溶着金属においては、微量のHの存在が低温割
れの発生に大きく影響する。ソリッドワイヤ中のH含有
量が2重量ppmを超えると、低温割れが発生しやすく
なる。従って、ソリッドワイヤ全重量に対するH含有量
は2重量ppm以下とする。
【0018】ソリッドワイヤ中のP:0.010重量%
以下、S:0.010重量%以下 ソリッドワイヤ中に不純物として存在するP及びSは、
その含有量が高いと、高温割れを発生させることがあ
る。本発明においては、特に規定しないが、ソリッドワ
イヤ全重量に対するP含有量及びS含有量は、夫々、
0.010重量%以下とすることが好ましい。
【0019】全溶着金属のマルテンサイト変態開始温
度:400℃以下 溶接後の冷却の際に、溶着金属には収縮応力が発生する
が、溶着金属の低温割れは、この収縮応力が高くなる温
度領域において発生する。フェライト変態(A1 )及び
マルテンサイト変態(Ms)は膨張現象を伴うので、収
縮応力が高くなる温度領域において溶着金属がマルテン
サイト変態すると、収縮応力の発生を緩和し、低温割れ
を防止することができる。冷却中において発生する収縮
応力が高くなる領域は400℃以下であるので、この温
度範囲で溶着金属が膨張変態するようにすることが必要
である。従って、JIS Z 3111に規定された方
法により得られた全溶着金属のマルテンサイト変態開始
温度が400℃以下であるソリッドワイヤを使用するこ
とによって、溶接後の冷却中において発生する収縮応力
を緩和することができる。
【0020】次に、TIG溶接方法について説明する。
【0021】ワイヤ送給速度:5乃至40g/分 ワイヤ送給速度が5g/分未満であると、ビード形状が
凹型になり、のど厚が小さくなるので、割れが発生しや
すくなると共に、溶接能率が低下する。一方、ワイヤ送
給速度が40g/分を超えると、溶接電流を高くしても
ワイヤが溶融されなくなるので、溶着金属に欠陥が発生
する。従って、溶接時のワイヤ送給速度は5乃至40g
/分とする。
【0022】また、本発明が対称とする高張力鋼(鋼
材)中に含有される化学成分及び組成限定理由について
説明する。
【0023】鋼材中のC:0.13重量%以下 鋼材中のC含有量が0.13重量%を超えると、溶着金
属に高温割れが発生しやすくなる。本発明においては、
ソリッドワイヤ中のNi含有量が高く、このようなソリ
ッドワイヤを使用して形成されたNi含有量が高い溶着
金属においては、高温割れの発生を防止することが困難
になる。従って、鋼材中のC含有量は0.13重量%以
下とする。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係る高張力鋼のTIG溶接方
法及びTIG溶接用ソリッドワイヤの実施例についてそ
の比較例と比較して具体的に説明する。
【0025】先ず、種々の化学成分を有する鋼材とソリ
ッドワイヤとを使用してTIG溶接することにより試験
片を作製し、y型溶接割れ試験を実施して、割れの発生
を評価した。但し、ソリッドワイヤは、直径が1.6m
mのものを使用した。また、y型溶接割れ試験において
割れが発生しなかった一部の試験片については、窓枠拘
束多層溶接割れ試験を実施し、割れの発生を評価した。
なお、y型溶接割れ試験及び窓枠拘束多層溶接割れ試験
の溶接条件については下記表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】図1は窓枠拘束多層溶接割れ試験の試験方
法を示す正面図である。図1に示すように、拘束板1の
上に試験片2が配置されており、試験片2にはその長手
方向に直交する方向に延びる溝2aが片端面から他端面
まで形成されている。本実施例においては、拘束板1の
長手方向の長さを1500mmとし、幅を1300m
m、板厚を150mmとした。また、試験片の長手方向
の長さを460mm、幅を400mm、板厚を75mm
とし、溝2aの底部2bの曲率半径を5mm、溝2aの
開先角度を14°とした。
【0028】このように配置された試験片2に対して拘
束溶接を実施した後、溝2aを上記表1の条件で多層溶
接し、溝2aの溶接終了後、96時間経過した後に、超
音波斜角探傷法により溝2aに形成された溶着金属の割
れを検査した。その後、JIS Z3122に準じて側
曲げ試験を実施した。但し、拘束溶接においては、試験
片2の周辺に脚長を約15mmとする拘束のための溶接
金属3を形成している。
【0029】また、y型溶接割れ試験はJIS Z31
58に準じて実施し、機械的性質の評価は、JIS Z
3111に準じて実施した。機械的性質の評価において
は、溶接母材として軟鋼を使用したが、その開先面は使
用するワイヤによって予め肉盛溶接が施されているの
で、機械的性質はソリッドワイヤの特性に依存する。な
お、鋼材の特性及び化学成分含有量を下記表2及び3に
示し、ソリッドワイヤ中の化学成分含有量を下記表4及
び5に示す。これらすべてのワイヤにおいて、O含有量
は10乃至100重量ppm、N含有量は10乃至80
重量ppmである。また、表4及び5に示すソリッドワ
イヤを使用して形成された溶着金属の機械的性質及びマ
ルテンサイト変態開始温度を下記表6に示し、割れ試験
に使用した鋼材及びワイヤとその評価結果を下記表7及
び8に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】上記表2乃至8に示すように、比較例N
o.11乃至13、15乃至20及び23はソリッドワ
イヤ中のNi含有量が本発明範囲の下限未満であると共
に、比較例No.20は鋼材中のC含有量が本発明範囲
の上限を超えており、一部はマルテンサイト変態開始温
度が400℃を超えているので、全ての溶着金属に割れ
が発生した。特に、ワイヤNo.T5は極軟鋼に近い化
学成分を有するワイヤであるにも拘わらず、このワイヤ
を使用してTIG溶接を実施した比較例No.11及び
17についても、割れを防止することができなかった。
【0038】比較例No.14はソリッドワイヤ中のC
及びNiの含有量が本発明範囲の上限を超えているの
で、溶着金属に高温割れが発生した。また、比較例N
o.21及び22は鋼材中のC含有量が本発明範囲の上
限を超えているので、溶着金属に高温割れが発生し、適
正なワイヤを使用しても割れを防止することはできなか
った。また、比較例No.23は予熱温度を75℃とし
て溶接を実施しているが、ワイヤ中の化学成分含有量が
本発明の範囲を外れているので、割れを防止することが
できなかった。75℃を超える予熱温度を必要とする
と、溶接能率が低下すると共に、溶接環境が悪化するの
で好ましくない。比較例No.24はワイヤ中の化学成
分の含有量は本発明の範囲内であるが、マルテンサイト
変態開始温度が400℃を超えているので、割れを防止
することができなかった。
【0039】一方、実施例No.1乃至10は鋼材中の
C含有量並びにワイヤ中のNi、C及びH含有量が適正
量に規制されていると共に、ワイヤの送給速度を適切に
設定しているので、予熱を実施しないか又は75℃の温
度で予熱するのみで溶着金属の割れを防止することがで
きた。このように、本実施例においては、現場において
無理がない予熱作業を実施することができ、溶接能率が
向上する。
【0040】次に、Ni含有量及びH含有量を変化させ
たソリッドワイヤを使用してTIG溶接し、これにより
形成された溶着金属について、ルート割れ率及び変態温
度を測定した。なお、ルート割れ率については、JIS
Z3158に準じて、y型溶接割れ試験によって評価
した。また、y型溶接割れ試験は表1に示す溶接条件と
同様にして実施し、鋼材としては表2及び3に示す鋼材
No.A1を使用した。
【0041】図2は縦軸にルート割れ率をとり、横軸に
ソリッドワイヤ中のNi含有量をとって、ソリッドワイ
ヤ中のNi含有量及び水素量とルート割れ率との関係を
調査した結果を示すグラフ図である。但し、図中の数字
は実施例及び比較例のNo.を示している。
【0042】図2に示すように、比較例No.45乃至
48は、ワイヤ中のH含有量は2重量ppm以下である
が、Ni含有量が7.5重量%未満であるので、溶着金
属に割れが発生した。このルート割れ率はワイヤ中のN
i含有量が増加するにつれて減少している。また、比較
例No.49はワイヤ中のH含有量が3.5ppm、比
較例No.50はワイヤ中のH含有量が2.7ppmで
あり、いずれも本発明範囲の上限を超えているので、溶
着金属に割れが発生した。
【0043】一方、実施例No.41乃至44はワイヤ
中のNi及びH含有量が本発明の範囲内であるので、割
れが発生しない良好な溶着金属を得ることができた。
【0044】次いで、ソリッドワイヤ中のNi含有量と
各変態温度(Ac1点、Ac3点及びMs点)との関係の
1例を示す。
【0045】図3は縦軸に溶着金属の変態開始温度をと
り、横軸にソリッドワイヤ中のNi含有量をとって、ソ
リッドワイヤ中のNi含有量と溶着金属の変態開始温度
との関係を調査した結果を示すグラフ図である。但し、
この溶着金属の特性はソリッドワイヤの組成に依存する
ものとする。また、図中の数字は実施例及び比較例のN
o.を示している。
【0046】図3に示すように、ワイヤ中のNi含有量
が増加するに従って、各変態温度(Ac1点、Ac3点及
びMs点)は低下する傾向を示す。特に、実施例No.
51及び52はワイヤ中のNi含有量が本発明の範囲内
であるので、溶着金属のマルテンサイト変態開始温度が
400℃以下となった。従って、ソリッドワイヤ中のN
i含有量を適正量に規制することにより溶着金属の割れ
を防止することが容易になる。一方、比較例No.59
及び60はワイヤ中のNi含有量が本発明範囲の下限未
満であるので、溶着金属のマルテンサイト変態開始温度
は高くなった。
【0047】次に、ワイヤの送給速度を変化させて、y
型割れ試験を実施した結果を示す。y型割れ試験は、ワ
イヤ送給速度を除いて表1に示す溶接条件と同様にして
実施し、ワイヤとしては表4乃至6に示すワイヤNo.
T2、鋼材としては表2及び3に示す鋼材No.A1を
使用した。
【0048】図4は縦軸にルート割れ率をとり、横軸に
ワイヤの送給速度をとって、ワイヤの送給速度とルート
割れ率のとの関係を調査した結果を示すグラフ図であ
る。但し、図中の数字は実施例及び比較例のNo.を示
している。
【0049】図4に示すように、実施例No.51乃至
56はワイヤの送給速度が5g/分以上であり、ワイヤ
中及び鋼材中の含有化学成分を適正量に規制しているの
で、ルート割れが発生しなかった。一方、比較例No.
57及び58はワイヤの送給速度が5g/分未満である
ので、溶着金属に割れが発生した。このルート割れ率
は、ワイヤの送給速度を上昇させるに従って減少してい
る。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
高張力鋼のC含有量並びに使用するソリッドワイヤのN
i、C及びH含有量を適正量に規制すると共に、ワイヤ
送給速度を規制しており、形成される溶着金属のマルテ
ンサイト変態開始温度を規制しているので、低温の予熱
で又は予熱することなく溶接割れを防止することができ
ると共に、機械的性能が優れた溶着金属を得ることがで
きる。従って、溶接能率及び溶接環境を向上させること
ができる。
【0051】また、本発明によれば、大型構造物の溶接
において予熱を省略することが可能となるので、能率の
向上及び溶接環境の改善に大きく寄与する。また、温度
を若干上昇させて、例えば、現場における溶接に無理が
ない75℃程度の予熱を実施する場合においても、従来
の溶接方法と比較して、溶接部における割れが抑制さ
れ、溶接部の品質が大きく改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】窓枠拘束多層溶接割れ試験の試験方法を示す正
面図である。
【図2】縦軸にルート割れ率をとり、横軸にソリッドワ
イヤ中のNi含有量をとって、ソリッドワイヤ中のNi
含有量及び水素量とルート割れ率との関係を調査した結
果を示すグラフ図である。
【図3】縦軸に溶着金属の変態開始温度をとり、横軸に
ソリッドワイヤ中のNi含有量をとって、ソリッドワイ
ヤ中のNi含有量と溶着金属の変態開始温度との関係を
調査した結果を示すグラフ図である。
【図4】縦軸にルート割れ率をとり、横軸にワイヤの送
給速度をとって、ワイヤの送給速度とルート割れ率との
関係を調査した結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1;拘束板 2:試験片 2a:溝 3:拘束のための溶接金属

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.13重量%以下のCを含有し、引張
    強さが760乃至980N/mm2 である高張力鋼のT
    IG溶接方法において、JIS Z 3111に規定さ
    れた方法により得られた全溶着金属のマルテンサイト変
    態開始温度が400℃以下であると共に、ワイヤ全重量
    に対してNi:7.5乃至12.0重量%を含有し、
    C:0.10重量%以下及びH:2重量ppm以下に規
    制されたソリッドワイヤを使用し、ワイヤ送給速度を5
    乃至40g/分として溶接することを特徴とする高張力
    鋼のTIG溶接方法。
  2. 【請求項2】 0.13重量%以下のCを含有し、引張
    強さが760乃至980N/mm2 である高張力鋼のT
    IG溶接に使用されるソリッドワイヤにおいて、JIS
    Z 3111に規定された方法により得られた全溶着
    金属のマルテンサイト変態開始温度が400℃以下であ
    ると共に、ワイヤ全重量に対してNi:7.5乃至1
    2.0重量%を含有し、C:0.10重量%以下及び
    H:2重量ppm以下に規制されていることを特徴とす
    るTIG溶接用ソリッドワイヤ。
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