JPH0925264A - チオ(メタ)アクリレート化合物の製造法 - Google Patents

チオ(メタ)アクリレート化合物の製造法

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JPH0925264A
JPH0925264A JP17731395A JP17731395A JPH0925264A JP H0925264 A JPH0925264 A JP H0925264A JP 17731395 A JP17731395 A JP 17731395A JP 17731395 A JP17731395 A JP 17731395A JP H0925264 A JPH0925264 A JP H0925264A
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meth
bis
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benzene
thio
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JP17731395A
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English (en)
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Yoriyuki Suzuki
順行 鈴木
Katsuyoshi Sasagawa
勝好 笹川
Keiya Kawauchi
啓也 川内
Masao Imai
雅夫 今井
Seiichi Kobayashi
誠一 小林
Kenichi Fujii
謙一 藤井
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 無溶媒または溶媒中で、チオール化合物
と、β−ハロプロピオン酸ハロゲン化物またはα−メチ
ル−β−ハロプロピオン酸ハロゲン化物とを、10〜8
0℃で、塩基の不存在下に反応させ、次いで、脱ハロゲ
ン化水素反応を行う下記式で表されるチオ(メタ)アク
リレート化合物の製造法。 【効果】 高収率で、かつ、簡便に、高純度のチオ(メ
タ)アクリレート化合物の製造を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル樹脂もし
くはメタクリル樹脂の原料として有用なチオ(メタ)ア
クリレート化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、チオ(メタ)アクリレート化合物
は、高機能樹脂原料、特に光学素子用原料として注目さ
れてきている。チオ(メタ)アクリレート化合物を製造
するには、チオール化合物と、(メタ)アクリル酸ハラ
イドとからエステル化反応して製造するのが一般的であ
る(特開昭64−26613、同64−31759、同
63−188660)。ところが、これらの方法ではチ
オール基が(メタ)アクリル基のオレフィン部分に付加
する副反応が優勢であり、精製が困難、収率が低い、重
合物が着色するといった問題があった。また、中間体と
して、β−位にハロゲン原子や置換スルホニル基を有す
るプロピオン酸のチオエステルに誘導した後、脱ハロゲ
ン化水素反応を行うことにより、チオール基のオレフィ
ンへの付加反応を回避して、チオ(メタ)アクリレート
化合物を製造する方法も提案されている(特開平2−1
72968、2−172969、2−29967)。こ
れらの方法では、β−位に脱離基を有するプロピオン酸
の酸ハロゲン化物とチオール化合物との反応を行う際
に、塩基の存在下で縮合反応を行っている。一般的にチ
オール化合物は塩基の存在下では不安定であるために、
これらの方法では、得られるチオ(メタ)アクリレート
化合物に不純物の混入や着色等があり、ヘキサン等のチ
オ(メタ)アクリレート化合物の貧溶媒による溶解性の
差を利用した精製や、カラムクロマトグラフィーによる
精製等が必要である。このため、精製工程が煩雑とな
り、収率も低下する。その上、この方法で得られたチオ
(メタ)アクリレート化合物は、該化合物を1成分とし
て硬化して得られる樹脂の着色や、加工時の臭気の原因
となるといった問題を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高収
率で、かつ簡便に、高純度のチオ(メタ)アクリレート
化合物を得る製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意検討を行った結果、塩基のない状
態でβ−ハロプロピオン酸チオエステル化合物を製造す
ることにより、目的を達成し得ることを見出し、本発明
を完成するに到ったものである。すなわち、本発明は、
一般式(1)(化3)で表されるチオール化合物と、一
般式(2)(化3)で表されるプロピオン酸誘導体と
を、塩基の不存在下に、直接反応させることにより一般
式(3)(化3)で表されるβ−ハロプロピオン酸チオ
エステル化合物を製造した後に、脱ハロゲン化水素反応
を行うことを特徴とする一般式(4)(化3)で表され
るチオ(メタ)アクリレート化合物の製造法に関するも
のである。
【0005】
【化3】 (上式中、Rは脂肪族残基、芳香族残基、脂環族残基、
複素環残基、もしくは、鎖中に酸素原子、硫黄原子、芳
香環、脂肪族環または複素環を有する脂肪族残基を表
し、R1 は水素原子またはメチル基を表し、X、Yはそ
れぞれ塩素原子または臭素原子を表し、nは1以上の整
数を表す)
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の方法では、一般式(1)
のチオール化合物と、一般式(2)のプロピオン酸誘導
体とを、無溶媒または溶媒中で、ハロゲン化水素ガスを
発生させながら直接反応させることにより、プロピオン
酸誘導体とチオール化合物との反応を安定的に進めるこ
とができ、その後、脱ハロゲン化水素反応を行うことに
より、高純度のチオ(メタ)アクリレート化合物を高収
率で得ることができる。本発明の一般式(4)で表され
る化合物は、Rが炭素数9以下の直鎖または分岐鎖の飽
和炭化水素基等の脂肪族残基、ベンゼン環、ナフタレン
環等の芳香族残基、シクロペンタン環、シクロヘキサン
環、ビシクロヘプタン環等の脂環族残基、フラン環、チ
オフェン環、ジチアン環等の複素環残基、もしくは、鎖
中にエーテル基、エステル基等の酸素原子、スルフィド
等の硫黄原子、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセ
ン環等の芳香族残基、シクロペンタン環、シクロヘキサ
ン環等の脂環族残基、フラン環、チオフェン環等の複素
環残基を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基等の
脂肪族残基である化合物である。さらに具体的には、R
が下記の式(5)、(6)、(7)または(8)(化
4)のいずれかで表される基である化合物であり、具体
的には、下記一般式(9)、(10)、(11)、(1
2)(化5)で表される化合物等が例示される。
【0007】
【化4】 (上式中、R2 は水素原子またはメチル基、R3 は水素
原子、メチル基またはエチル基を表し、iは1〜5の整
数、jは0〜2の整数、k、p、q、r、s、tはそれ
ぞれ0または1を表す)
【0008】
【化5】 (上式中、R1 、R2 、R3 、i、j、k、p、q、
r、s、tは前記と同じ意味を表す)
【0009】さらに具体的には、(メタ)アクリロイル
チオエタン、(メタ)アクリロイルチオメチルベンゼ
ン、1,2−ビス(メタ)アクリロイルチオエタン、
1,3−ビス(メタ)アクリロイルチオプロパン、1,
4−ビス(メタ)アクリロイルチオブタン、1,6−ビ
ス(メタ)アクリロイルチオヘキサン、ビス−2−(メ
タ)アクリロイルチオエチルエーテル、ビス−2−(メ
タ)アクリロイルチオエチルスルフィド、ビス−2−
(メタ)アクリロイルチオエチルチオメタン、1,2−
ビス(2−(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)−3
−(メタ)アクリロイルチオプロパン、1,2−ビス
(メタ)アクリロイルチオベンゼン、1,3−ビス(メ
タ)アクリロイルチオベンゼン、1,4−ビス(メタ)
アクリロイルチオベンゼン、1,2−ビス(メタ)アク
リロイルチオメチルベンゼン、1,3−ビス(メタ)ア
クリロイルチオメチルベンゼン、1,4−ビス(メタ)
アクリロイルチオメチルベンゼン、1,2−ビス(2−
(メタ)アクリロイルチオエチルチオ)メチルベンゼ
ン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルチオエチ
ルチオ)メチルベンゼン、1,4−ビス(2−(メタ)
アクリロイルチオエチルチオ)メチルベンゼン等が例示
できる。
【0010】本発明において用いられる一般式(1)で
表されるチオール化合物は、脂肪族残基、芳香族残基、
脂環族残基、複素環残基、もしくは、鎖中に酸素原子、
硫黄原子、芳香環、脂肪族環または複素環を有する脂肪
族残基を有し、かつ、メルカプト基を1つ以上有する化
合物である。具体的には、モノチオール化合物として、
メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメ
ルカプタン、ブチルメルカプタン、アミルメルカプタ
ン、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オ
クチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、シクロペン
チルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、フル
フリルメルカプタン、チオフェノール、チオクレゾー
ル、エチルチオフェノール、ベンジルメルカプタン、
【0011】ポリチオール化合物として、1,2−エタ
ンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−
プロパンジチオール、1,4−ブタンジチール、1,6
−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオ
ール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シ
クロヘキサンジチオール、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプ
タ−exo−cis−2,3−ジチオール、1,1−ビ
ス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ジエチレング
リコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレ
ングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、
ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリ
コールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレング
リコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリ
メチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテー
ト)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプ
ロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2
−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテト
ラキス(3−メルカプトプロピオネート)、
【0012】1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−
ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼ
ン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,
3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス
(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メ
ルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカ
プトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプト
エチル)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチ
レンオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプト
エチレンオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカ
プトエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメル
カプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼ
ン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3
−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−
トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−ト
リス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリ
ス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−ト
リス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−
トリス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3
−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、
1,2,4−トリス(2−メルカプトエチレンオキシ)
ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メルカプトエチレ
ンオキシ)ベンゼン、
【0013】1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼ
ン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,
2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,
4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,
2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼ
ン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)
ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプ
トエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2
−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テト
ラキス(2−メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,
3,4−テトラキス(2−メルカプトエチレンオキシ)
ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−メルカプ
トエチレンオキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラ
キス(2−メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,
2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−チオビス−
ベンゼンチオール、4,4’−ジメルカプトビフェニ
ル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トル
エンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4
−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオー
ル、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレ
ンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジ
チオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオ
ール、9,10−アントラセンジメタンチオール、
【0014】1,2−ビス(2−メルカプトエチルチ
オ)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチ
オ)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカプトエチルチ
オ)ベンゼン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチ
オメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−メルカプトエ
チルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メルカ
プトエチルチオメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス
(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−
トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,
3,5−トリス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼ
ン、1,2,3,4−テトラキス(2−メルカプトエチ
ルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(2−
メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テ
トラキス(2−メルカプトエチルチオ)ベンゼン、ビス
(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メル
カプトエチルチオ)メタン、1,2−ビス(2−メルカ
プトエチルチオ)エタン、1,3−ビス(2−メルカプ
トエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メ
ルカプトエチルチオ)プロパン、テトラキス(2−メル
カプトエチルチオメチル)メタン、1,2−ビス(2−
メルカプトエチルチオ)プロパンチオール、2,5−ジ
メルカプト−1,4−ジチアン、ビス(2−メルカプト
エチル)ジスルフィド、3,4−チオフェンジチオール
等が挙げられる。
【0015】また、本発明において用いられる一般式
(2)で表されるプロピオン酸誘導体としては、具体的
には、β−クロロプロピオン酸、β−ブロモプロピオン
酸、α−メチル−β−クロロプロピオン酸、α−メチル
−β−クロロプロピオン酸等の酸クロライド、酸ブロマ
イドが挙げられるが、価格や反応性等から、β−クロロ
プロピオン酸およびα−メチル−β−クロロプロピオン
酸の酸クロライドがより好適に用いられる。
【0016】次に、一般式(1)で表されるチオール化
合物と、一般式(2)で表されるプロピオン酸誘導体を
反応させて、一般式(3)で表されるチオエステル化合
物を製造する方法について説明する。一般式(1)で表
されるチオール化合物1.0当量に対して、一般式
(2)で表されるプロピオン酸誘導体は、1.0〜1.
5倍当量、より好適には1.0〜1.3倍当量、さらに
好適には1.0〜1.2倍当量反応させる。1.0倍当
量より少ないと、未反応のチオール基が残り、一般式
(3)で表されるチオエステル化合物の精製を困難にし
たり、その後の反応で副反応が起こり、好ましくない。
また、1.5倍当量を超えると、残存するプロピオン酸
誘導体が、刺激臭の原因となったり、一般式(3)で表
されるチオエステル化合物の精製を困難にすることがあ
る。
【0017】反応は、一般式(2)で表されるプロピオ
ン酸誘導体に一般式(1)で表されるチオール化合物を
滴下して反応させる方法、プロピオン酸誘導体とチオー
ル化合物を同時に滴下させて反応させる方法、チオール
化合物にプロピオン酸誘導体とを滴下して反応させる方
法のいずれの方法も用いることができる。しかし、反応
性及び反応操作の点から、プロピオン酸誘導体にチオー
ル化合物を滴下して反応させる方法がより好適に用いら
れる。
【0018】本反応は、無溶媒でも進められるが、溶媒
を使用してもよい。溶媒を使用する場合には、一般式
(1)で表されるチオール化合物、一般式(2)で表さ
れるプロピオン酸誘導体、及び一般式(3)で表される
チオエステル化合物と反応性を有さず、これらの化合物
を溶解させ、かつ、発生するハロゲン化水素ガスと反応
しないもので有れば特に限定されない。具体的には、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶
媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶
媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒等が例示され
る。反応温度は、10〜80℃、より好適には20〜7
0℃、さらに好適には30〜60℃である。10℃以下
では反応が進みにくく、80℃以上では副反応が起こっ
たり、プロピオン酸誘導体が反応系外に揮発するなど好
ましくない。また、この反応は、塩基の不存在下で行う
ので、発生するハロゲン化水素ガスは反応系外に排出し
ながら進めることもあるが、その際には不活性ガスを流
通させて行うことができる。不活性ガスとしては窒素ガ
ス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が例示される。
【0019】反応終了後、ハロゲン化水素ガスを十分に
反応系外に追い出した後、そのまま次の脱ハロゲン化水
素反応に進むことも可能であるが、無溶媒又は溶媒中
で、希アルカリ水溶液にて、残留するプロピオン酸誘導
体やハロゲン化水素を分解、中和、除去した後、次の脱
ハロゲン化水素反応に進むことが好ましい。この際用い
るアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等の希水溶液が挙げられる。
【0020】次に、前述の方法で製造した一般式(3)
で表されるチオエステル化合物について、公知の脱ハロ
ゲン化水素反応を行い、一般式(4)で表されるチオ
(メタ)アクリレート化合物とする。すなわち、無溶媒
又は溶媒中、塩基の存在下で脱ハロゲン化水素反応を行
う。使用される溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、ク
ロロホルム等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶
媒等が挙げられる。
【0021】塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化
カリウム等の無機塩基及びその水溶液、トリエチルアミ
ン等の3級アミンが使用される。これらの塩基は、一般
式(3)で表されるチオエステル化合物のβ−ハロプロ
ピオニル基またはα−メチル−β−ハロプロピオニル基
に対して、1.0〜1.5倍当量使用される。1.0倍
当量以下では、脱離反応が未完結となり精製が煩雑とな
り好ましくない場合もある。1.5倍当量以上では、エ
ステル加水分解反応が生じ、収率が低下することもあり
好ましくない場合もある。反応温度は、−10〜50
℃、好ましくは0〜30℃である。−10℃以下では脱
離反応が進み難く、50℃を越えるとエステル加水分解
が生じ好ましくない場合もある。
【0022】本発明の方法により得られた一般式(4)
で表されるチオ(メタ)アクリレート化合物は、副生成
物を殆ど含まず、高純度で得られるため、後処理は脱離
反応で生成した塩及び脱離反応で用いた塩基の除去、洗
浄で十分であるが、通常の(メタ)アクリレート化合物
と同様に、カラムクロマトグラフィー等により、さらに
精製を行うことも可能である。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、こ
れによりなんら制限されるものではない。なお、実施例
中に示す部はすべて重量部である。 実施例1 撹拌機、温度計、滴下ロート、気体の導入管および排出
管を取り付けた反応器に、β−クロロプロピオン酸クロ
ライド26.16部(0.206モル)を仕込み、窒素
ガスを緩やかに流通させながら40℃に加温した。撹拌
しながら、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド1
5.43部(0.100モル)を内温40℃に保ちつ
つ、徐々に滴下した。この際に発生した塩酸ガスは、反
応器外の水酸化ナトリウム水溶液のトラップに吸収し
た。撹拌しながら、40℃にて、さらに5時間反応を進
めた。室温まで冷却し、トルエン80mlを加えた後、
冷却しながら10%水酸化ナトリウム水溶液50mlを
滴下した。室温で1時間撹拌した後、有機層を分液し、
有機層を希水酸化ナトリウム水溶液と水で洗浄した。有
機層を、撹拌機、温度計、滴下ロートを取り付けた反応
器に仕込み、撹拌しながら、トリエチルアミン20.2
4部(0.200モル)を内温を20℃に保ちながら滴
下した。滴下終了後、20℃にて4時間撹拌し反応を進
めた後、反応混合物を水にあけ、分液した後、有機層を
希塩酸、希水酸化ナトリウム水溶液、水にて洗浄し、無
水硫酸ナトリウムにて乾燥した。トルエン溶媒を減圧に
て留去し、無色透明液体としてビス(2−アクリロイル
チオエチル)スルフィド25.44部(0.097モ
ル)を得た。このものの、高速液体クロマトグラフィー
による分析では、純度は98%であり、ビス(2−メル
カプトエチル)スルフィドに対する収率は97%であっ
た。
【0024】実施例2 実施例1のβ−クロロプロピオン酸クロライドを、α−
メチル−β−クロロプロピオン酸クロライド29.05
部(0.206モル)に代えた以外は、実施例1と同様
に反応を行い、無色透明液体としてビス(2−メタクリ
ロイルチオエチル)スルフィド27.87部(0.09
6モル)を得た。このものの、高速液体クロマトグラフ
ィーによる分析では、純度は98%であり、ビス(2−
メルカプトエチル)スルフィドに対する収率は96%で
あった。
【0025】実施例3 実施例1のビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
を、1,4−ブタンジチオール12.23部(0.10
0モル)に代えた以外は、実施例1と同様に反応を行
い、無色透明液体として1,4−ビス(アクリロイルチ
オ)ブタン22.39部(0.097モル)を得た。こ
のものの、高速液体クロマトグラフィーによる分析で
は、純度は97%であり、1,4−ブタンジチオールに
対する収率は97%であった。
【0026】実施例4 実施例1のビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
を、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン17.
03部(0.100モル)に代えた以外は、実施例1と
同様に反応を行い、無色透明液体として1,3−ビス
(アクリロイルチオメチル)ベンゼン26.41部
(0.095モル)を得た。このものの、高速液体クロ
マトグラフィーによる分析では、純度は98%であり、
1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンに対する収
率は95%であった。
【0027】実施例5 実施例1のビス(2−メルカプトエチル)スルフィドを
1,4−ジメルカプトベンゼン14.22部(0.10
0モル)に代え、β−クロロプロピオン酸クロライドを
α−メチル−β−クロロプロピオン酸クロライド29.
05部(0.206モル)に代えた以外は、実施例1と
同様に反応を行い、白色固体として1,4−ビス(メタ
クリロイルチオ)ベンゼン26.47部(0.095モ
ル)を得た。このものの、高速液体クロマトグラフィー
による分析では、純度は97%であり、1,4−ジメル
カプトベンゼンに対する収率は95%であった。
【0028】実施例6 実施例1のビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
を、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパ
ンチオール17.46部(0.067モル)に代えた以
外は、実施例1と同様に反応を行い、無色透明液体とし
て1,2−ビス(2−アクリロイルチオエチルチオ)−
3−アクリロイルチオプロパン26.46部(0.06
3モル)を得た。このものの、高速液体クロマトグラフ
ィーによる分析では、純度は97%であり、1,2−ビ
ス(2−メルカプトエチルチオ)プロパンチオールに対
する収率は94%であった。
【0029】比較例1 撹拌機、温度計、滴下ロートを取り付けた反応器に、ア
セトン200部、ビス(2−メルカプトエチル)スルフ
ィド15.43部(0.100モル)を仕込み、窒素ガ
スを緩やかに流通させながら10℃に冷却した。撹拌し
ながら、20%水酸化ナトリウム水溶液40.00部
(0.200モル)を、内温を10℃に保ちながら滴下
した。次に、内温を10℃に保ちながら、β−クロロプ
ロピオン酸クロライド26.16部(0.206モル)
を2時間かけて滴下した。さらに2時間撹拌反応した
後、内温を10℃に保ちながら、トリエチルアミン2
2.26部(0.220モル)を2時間かけて滴下し
た。滴下終了後、20℃にて4時間撹拌し反応を進めた
後、水500部とn−ヘキサン500部を加え分液し
た。有機層を、さらに希塩酸、希水酸化ナトリウム水溶
液、水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。
n−ヘキサン溶媒を減圧にて留去し、淡黄色透明液体2
4.40部を得た。このものは高速液体クロマトグラフ
ィーによる分析から、主成分の純度は91%であった。
この液体に、再度n−ヘキサン300部を加え溶解し、
不溶の黄色オイル状物を除いた後、水300部で洗浄し
た。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、さらに活
性炭6部を使い脱色した。n−ヘキサン溶媒を減圧にて
留去し、無色透明液体状として、ビス(2−アクリロイ
ルチオエチル)スルフィド21.23部(0.081モ
ル)を得た。このものの高速液体クロマトグラフィーに
よる純度は99%であり、ビス(2−メルカプトエチ
ル)スルフィドに対する収率は81%であった。
【0030】
【発明の効果】本製造法により、従来の製造法に比較し
て、高収率かつ簡便に、光学素子用原料等の高機能樹脂
原料として有用な高純度のチオ(メタ)アクリレート化
合物を得ることができるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 雅夫 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 小林 誠一 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 藤井 謙一 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)(化1)で表されるチオー
    ル化合物と、一般式(2)(化1)で表されるプロピオ
    ン酸誘導体とを、塩基の不存在下に、直接反応させるこ
    とにより一般式(3)(化1)で表されるβ−ハロプロ
    ピオン酸チオエステル化合物を製造した後に、脱ハロゲ
    ン化水素反応を行うことを特徴とする一般式(4)(化
    1)で表されるチオ(メタ)アクリレート化合物の製造
    法。 【化1】 (上式中、Rは脂肪族残基、芳香族残基、脂環族残基、
    複素環残基、もしくは、鎖中に酸素原子、硫黄原子、芳
    香環、脂肪族環または複素環を有する脂肪族残基を表
    し、R1 は水素原子またはメチル基を表し、X、Yはそ
    れぞれ塩素原子または臭素原子を表し、nは1〜4の整
    数を表す)
  2. 【請求項2】 チオール化合物とプロピオン酸誘導体と
    を、不活性ガスを流通させて、生成するハロゲン化水素
    ガスを系外に除去しながら直接反応させる請求項1記載
    のチオ(メタ)アクリレート化合物の製造法。
  3. 【請求項3】 Rが下記式(5)、(6)、(7)また
    は(8)(化2)のいずれかで表される基である請求項
    1または2記載のチオ(メタ)アクリレート化合物の製
    造法。 【化2】 (上式中、R2 、R3 はそれぞれ水素原子、メチル基ま
    たはエチル基を表し、iは1〜5の整数、jは0〜2の
    整数、k、p、q、r、s、tはそれぞれ0または1を
    表す)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007086449A1 (ja) * 2006-01-26 2007-08-02 Ube Industries, Ltd. ポリチオカーボネートポリチオールポリ(メタ)アクリレート
CN102775608A (zh) * 2012-08-17 2012-11-14 江苏大学 一种硫醚改性聚丙烯酸酯光学塑料及其制备方法

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WO2007086449A1 (ja) * 2006-01-26 2007-08-02 Ube Industries, Ltd. ポリチオカーボネートポリチオールポリ(メタ)アクリレート
JP5320744B2 (ja) * 2006-01-26 2013-10-23 宇部興産株式会社 ポリチオカーボネートポリチオールポリ(メタ)アクリレート
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