JPH0925158A - 塩基性耐火組成物 - Google Patents

塩基性耐火組成物

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JPH0925158A
JPH0925158A JP7172434A JP17243495A JPH0925158A JP H0925158 A JPH0925158 A JP H0925158A JP 7172434 A JP7172434 A JP 7172434A JP 17243495 A JP17243495 A JP 17243495A JP H0925158 A JPH0925158 A JP H0925158A
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JP
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cao
magnesia
tio
refractory
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Application number
JP7172434A
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Inventor
Ryosuke Nakamura
良介 中村
Masanori Ogata
昌徳 小形
Minoru Sudo
実 須藤
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Shinagawa Refractories Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、製造上、保管上、使用上の
問題点を解消し、耐食性に優れるマグネシアを主成分と
して、スラグ浸潤を抑制し、耐食性を低下させることな
く耐スポーリング性に優れる塩基性耐火組成物を提供す
ることにある。 【解決手段】 本発明の塩基性耐火組成物は、合成Ca
O−TiO2系原料0.1〜30重量%と、マグネシア原
料70〜99.9重量%とを含有してなることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属、溶融ス
ラグ等を保持あるいは精錬する容器の内張りや、セメン
トや石灰等の焼成キルン内張り、ガラス窯炉等に使用す
る塩基性耐火組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マグネシアはスラグに対する耐食性が高
く、各種耐火物の主要材料として使用されている。しか
しながら、マグネシアの唯一の結晶であるペリクレーズ
の熱膨張率が高く、且つスラグ浸潤が著しいため、熱変
化やスラグ浸潤に伴う構造変化によって亀裂や割れを生
じ易く、いわゆる耐スポーリング性に欠点があった。
【0003】これを解決する手段の一つとして、マグネ
シア−カーボンれんがが開発され、現在では広く生産、
使用されている。しかしながら、マグネシア−カーボン
れんがも万能ではなく、酸化性の強い雰囲気下や長期に
亙る使用においては、カーボンの酸化による劣化が損傷
の主因をなすこととなり、マグネシアの耐食性を十分に
発揮できない。
【0004】このような使用条件に対して、カーボンを
使用せずに耐スポーリング性を向上させるために、各種
の提案がなされている。古くから生産されているマグネ
シア−クロム質耐火物やマグネシア−ドロマイト質耐火
物も、耐スポーリング性改善に効果はあるが、現在のよ
うな使用環境が苛酷な状況では満足できるものではな
い。
【0005】また、マグネシア−スピネル質耐火物は、
スピネルを添加、もしくは熱間でマグネシアと反応して
スピネルを生成するアルミナを添加した耐火物で、耐ス
ポーリング性を大幅に改善しており、セメントキルン等
で広く使用されている。
【0006】最近、同様の考えのもとに、特開平4−61
49号公報、特開平4−55360号公報、特開平5−294714
号公報、特開平6−227856号公報、特開平6−345521号
公報、特開平6−345539号公報において、マグネシアを
主構成物とし、微粉部にスピネル、アルミナ、アルミナ
−ジルコニア、アルミナ−シリカ等を添加する技術や、
特開平4−187560号公報、特開平7−48167号公報のよ
うに、マグネシア−アルミナ−シリカ系クリンカーやマ
グネシア−アルミナ−シリカ−ジルコニア系クリンカー
を使用する耐火物が提案されている。これらは、いずれ
もマグネシア−スピネル質耐火物の範疇で、スピネル量
またはスピネル生成量を調整し、また、他の添加物を使
用する等の方法で、耐食性の向上を図ったものである。
【0007】一方、特開平6−107451号公報では、マグ
ネシアとカルシウムジルコネート(CaO・ZrO2)か
らなる耐火物の提案がなされており、特開平6−128023
号公報では、マグネシアクリンカー、フォルステライト
クリンカーとジルコニアからなる塩基性れんがが、特開
平6−128024号公報では、マグネシアとマンガン酸化物
とからなる耐火物が、特開平6−191927号公報では、マ
グネシアとチタニアからなる耐火物が、特開平6−2278
57号公報では、マグネシアと酸化亜鉛よりなる耐火物
が、それぞれ提案されており、更に、特開平6−293556
号及び6−293580号公報には酸化マグネシウムを主成分
にTiO2、NbO2、NdO2、La23、MnO2、N
iO、CoO等の酸化物と共に複合酸化物を形成する成
分を含有する耐塩基性耐火材が、また、特開平7−3351
8号及び7−61856号公報には、ZrO2−CaO−Mg
O系クリンカーとマグネシアとからなる耐火物が提案さ
れている。これらは、従来のマグネシア−アルミナから
なるスピネル系ではなく、マグネシアに新たに添加物を
使用したり、または新たな配合構成を提案するものであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において、
マグネシアにスピネルまたはアルミナを含有させる手法
は、セメントキルン用マグネシア−スピネル質耐火物と
同様に、スピネル自体がマグネシアより低膨張性である
ことによって、耐スポーリング性向上の効果は顕著であ
るが、Al23成分を含有するため、CaO成分に富む
スラグに対しては、耐食性の低下が避けられず、十分満
足できるものではない。また、Al23成分は溶融金属
中の介在物となり易く、耐火物のユーザーにおいては歓
迎される成分ではない。
【0009】マグネシアとカルシウムジルコネートを配
合してなる耐火物(特開平6−107451号公報)において
は、マグネシアとカルシアを主成分とするマグネシア−
ドロマイト質耐火物と同様に、カルシアによる焼結性の
向上、スラグ浸潤抑制効果が認められ、更に、ジルコニ
アの難溶融性によって耐食性向上の効果はあるが、耐ス
ポーリング性は全く改善されない。
【0010】また、マグネシアとチタニアからなる耐火
物は、特開平6−191927号公報を待つまでもなく、従来
から耐スポーリング性向上に効果があることが知られて
いる。しかしながら、マグネシアとチタニアとの化合物
は比較的融点が低く、最も高融点の2MgO・TiO2
でも1740℃足らずであり、MgO・TiO2及びM
gO・2TiO2はそれぞれ1630℃、1652℃の
融点であるため、1650℃程度以上で使用される場合
には、結合組織に関与しているマグネシア−チタニア化
合物の溶融軟化のため、マグネシア自体には耐食性があ
るにも拘わらず、結合の分断により損傷が著しく大きく
なるという欠点がある。
【0011】その他のMnO2やZnO2等を使用する耐
火物では、耐食性も耐スポーリング性も、その改善効果
は顕著なものではなく、満足できるものではない。
【0012】更に、本発明者らは、マグネシア、チタニ
ア及びカルシアを含有してなる耐火物を先に提案した。
この耐火物は、耐食性を良好に保ちつつ、耐スポーリン
グ性を大幅に向上できる特徴を有するが、耐火物の製造
の際や、不焼成れんが及び不定形耐火物として保管する
際に、カルシアに起因する経時変化が見られる。即ち、
例えば不焼成れんがを製造する場合、多少の水分を含む
バインダーを用いて耐火材料配合物を混練すると、原料
中のカルシアと水分とが反応してCa(OH)2を形成す
るため、プレスによる充填性が大幅に低下する場合があ
ることが判明した。また、不定形耐火物においては、水
との混練により同様の反応が生じ、養生中または乾燥中
に崩壊することがある。更に、カルシアとチタニアを別
の原料ソースに求めて耐火物を製造すると、加熱後のC
aO−TiO2系化合物の生成が不十分な場合があるこ
とも判った。
【0013】従って、本発明の目的は、製造上、保管
上、使用上の問題点を解消し、耐食性に優れるマグネシ
アを主成分として、スラグ浸潤を抑制し、耐食性を低下
させることなく耐スポーリング性に優れる塩基性耐火組
成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の塩基性耐
火組成物は、合成CaO−TiO2系原料0.1〜30重
量%と、マグネシア原料70〜99.9重量%とを含有
してなることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の塩基性耐火組成物の特徴
は、合成CaO−TiO2系原料を0.1〜30重量%使
用することにあり、残部にはマグネシア原料を用いるも
のである。
【0016】まず、本発明の塩基性耐火組成物に使用す
る合成CaO−TiO2系原料について説明する。合成
CaO−TiO2系原料はCaOとTiO2の2成分を主
体とするものであり、両成分のモル比を調整し、焼成ま
たは電融することにより合成されたものである。この合
成CaO−TiO2系原料は、CaO/TiO2のモル比
が0.8〜1.5の範囲内にあり、1種または2種以上の
CaO−TiO2系化合物から構成され、遊離CaO結
晶を含まないものである。
【0017】ここで、CaO/TiO2モル比が0.8未
満であると、合成CaO−TiO2系原料自体の加熱時
の液相生成量が多くなり、マグネシア原料と組み合わせ
た耐火物中では焼結が進行し過ぎるため、過焼結となり
易い。そのため組織が緻密化し過ぎて本発明の目的の一
つである耐スポーリング性の向上を抑止してしまうこと
がある。一方、CaO/TiO2モル比が1.5を超える
と、合成CaO−TiO2系原料中に遊離CaOが生成
するため、本発明の他の目的である、製造上、保管上、
使用上の問題、即ち、水分との反応による消化現象によ
って、成形充填不足、経時変化、崩壊等を解消すること
ができない。
【0018】CaO/TiO2モル比が0.8〜1.5の
範囲内にあるとき、合成CaO−TiO2系原料中に
は、CaO・TiO2、4CaO・3TiO2、3CaO
・2TiO2の3種の化合物が存在する可能性がある。
それぞれの融点は、1980℃、1870℃、1740
℃といずれも高融点である。これらの化合物は、水分と
反応することはなく、消化現象は生じない。なお、最近
の研究では、5CaO・4TiO2の存在に関する報告
もあるが、この5CaO・4TiO2については完全に
解明されてはいない。従って、本発明の塩基性耐火組成
物に用いる合成CaO−TiO2系原料はこれらのCa
O−TiO2系化合物の1種または2種以上から構成さ
れていれば良い。
【0019】なお、合成CaO−TiO2系原料は、C
aOとTiO2の合計量が90重量%以上であることが
必要である。即ち、SiO2等の不純物含量が10重量
%を超えると低融物を生成し易く、耐火度が低下してし
まうために好ましくない。
【0020】次に、本発明の塩基性耐火組成物のもう一
方の原料であるマグネシア原料は、一般に市販されてい
るものが使用できる。マグネシア原料としては、各種の
製法のマグネシアクリンカーや電融マグネシアを使用す
ることができる。なお、マグネシア原料のMgO成分含
量は90重量%程度以上のものが好ましい。また、マグ
ネシア原料の粒度は特に限定されるものではなく、塩基
性耐火組成物の用途即ちれんが、不定形耐火物等に応じ
てそれぞれに通常使用されるような粒度とすることがで
きる。
【0021】本発明の塩基性耐火組成物は、上述の合成
CaO−TiO2系原料と、マグネシア原料を組み合わ
せて使用するものである。このため、本発明の塩基性耐
火組成物においては、合成CaO−TiO2系原料に由
来する高い融点をもつCaO−TiO2系化合物が組織
中に存在するため、通常の使用条件では十分な高温まで
結合が保たれ、マグネシア原料自体の耐食性を十分に発
揮させることができる。しかも、本発明の塩基性耐火組
成物では、マグネシア単味の耐火物に比較し、耐スポー
リング性が大幅に向上する。ここで、合成CaO−Ti
2系原料を構成するCaO−TiO2系化合物自体の熱
膨張率は低いとは言えないにも拘わらず、耐スポーリン
グ性が向上する原因として、CaO−TiO2系化合物
が柔らかい性質を有するため、耐火物組織中のマグネシ
ア粒界に存在することによって熱衝撃や構造的な応力を
受けたときに適度なクッション作用をなすものと考えら
れる。
【0022】また、上述のようなCaO−TiO2系化
合物が耐火物組織中に存在することで、耐火物組織中へ
のスラグ浸潤を抑制する効果がある。CaO−TiO2
系化合物と他の成分との多成分系の相平衡状態図はほと
んど明らかにされていないので、スラグ浸潤抑制効果の
原理は今のところ明確ではないが、マトリックス組織中
に何らかの化合物が生成してスラグ浸潤を抑制するもの
と考えられる。
【0023】本発明の塩基性耐火組成物は、上記合成C
aO−TiO2系原料を0.1〜30重量%添加・配合し
てなるものである。該原料の添加・配合量が0.1重量
%未満では、その絶対量が少なすぎて、上記のような耐
食性、耐スラグ浸潤性、耐スポーリング性向上の効果が
明確ではない。なお、下限としては0.3重量%以上の
量で使用することが好ましい。一方、該原料の添加・配
合量が30重量%を超えても耐スポーリング性、耐スラ
グ浸潤性は殆ど改善されなくなってくるので余り意味が
ない。むしろ、相対的にマグネシア原料の使用量が減少
し、耐食性が徐々に低下してしまう。
【0024】なお、マグネシア原料の添加・配合量は、
合成CaO−TiO2系原料の残部即ち70〜99.9重
量%の範囲内である。
【0025】上述のような添加・配合量で合成CaO−
TiO2系原料とマグネシア原料を組み合わせて使用す
ると、CaOとTiO2のアンバランスな分布を防止す
ることができ、合成CaO−TiO2系原料を耐火組成
物全体に均等に分布させることが可能となる。しかも、
微粉だけでなく、粒として使用しても安定した組成の合
成CaO−TiO2系原料を耐火組成物中に分散させる
ことができる。従って、合成CaO−TiO2系原料の
使用によって、確実に安定した耐スラグ浸潤性、耐スポ
ーリング性の向上を図ることが可能となる。なお、合成
CaO−TiO2系原料の使用粒径は通常5mm以下が
良い。粒径が5mmを超える大きい粒を使用しても耐ス
ポーリング性改善の効果は小さい。好ましくは平均粒径
が1mm以下のものを使用するのが良い。特に、0.1
〜5重量%と比較的少量使用する場合においては、平均
粒径が0.3mm以下の微粒ないし微粉で使用するのが
好ましい。
【0026】合成CaO−TiO2系原料を使用する
と、前述したようにCaOを含有する原料自体が水分に
よって消化現象を生じることがないので、混練、成形性
が良好で、安定した高充填性が得られ、本発明の塩基性
耐火組成物の施工が容易となる。特に、本発明の塩基性
耐火組成物を不定形耐火物として使用する場合に、水と
混練して使用する際にも消化現象は全く生じないので、
養生、乾燥中の亀裂、崩壊等の問題を解消することが可
能となった。
【0027】なお、本発明の塩基性耐火組成物には、耐
火物の気孔率、気孔径、強度などの特性を制御するた
め、マグネシア・アルミナ系スピネル、ジルコニア、電
融マグクロ、アルミナ、シリカのような他の耐火原料を
使用することも可能である。他の原料の添加・配合量は
合成CaO−TiO2系原料とマグネシア原料の合計量
に対して内割りで10重量%以下の範囲内である。他の
耐火原料の添加・配合量が10重量%を超えると、本来
の合成CaO−TiO2系原料による効果が抑制される
傾向にあるために好ましくない。特に、合成CaO−T
iO2系原料の添加・配合量が5重量%以下程度と少な
い場合には、耐スポーリング性向上の面から、他の原料
の使用量は内割りで8重量%以下であることが更に好ま
しい。
【0028】更に、本発明の塩基性耐火組成物にはリグ
ニン類、糖類、メチルセルロース類、フェノール樹脂、
酢酸ビニルエマルジョン、アルミナセメント、リン酸
塩、ケイ酸塩のような結合剤や炭酸リチウム、消石灰、
各種カルボン酸のような種々の調整剤を添加することも
可能である。しかしながら、これらの添加剤、結合剤や
調整剤の添加量が合成CaO−TiO2系原料とマグネ
シア原料の合計量(上記他の原料が配合される場合には
他の原料をも含む)に対して外掛で10重量%を超える
と、本来の合成CaO−TiO2系原料による効果が抑
制される傾向にあるために好ましくない。特に、合成C
aO−TiO2系原料の添加・配合量が5重量%以下程
度と少ない場合には、耐スポーリング性向上の面から、
他の添加物の使用量は外掛で8重量%以下であることが
更に好ましい。
【0029】本発明の塩基性耐火組成物を焼成れんがと
して用いる場合、通常の方法で、混練、成形し、150
0℃以上1900℃以下の範囲の最高温度で3時間以上
保持することが望ましい。1500℃未満では焼結が十
分に進行せず、焼結れんがの品質が安定しないために好
ましくない。一方、1900℃を超えるとエネルギーコ
ストが増大するが、それに見合う効果は得られない。昇
温及び降温の速度は、通常の塩基性れんがの焼成と同様
に、安定した製品を得るために30〜100℃/時間程
度が望ましい。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の塩基性耐火組
成物を更に説明する。 実施例1 表1に示す組成並びに主要構成鉱物を有する合成CaO
−TiO2系原料とマグネシア原料を用い、表2に示す
配合割合にて焼成れんがを作成し、得られた供試体につ
き、耐食性、浸潤性および耐スポーリング性について比
較試験を行った。なお、本発明品1〜4は合成CaO−
TiO2系原料とマグネシア原料とからなるものであ
り、本発明品5〜7は、その他の原料をも配合したもの
である。なお、いずれの場合にも、結合剤として糖類の
水溶液を用いた。所定の配合を有する配合物を圧力20
00kg/cm2でプレス成形により230mm×11
4mm×130mmの形状に成形し、120℃で24時
間乾燥後、最高温度1650℃で3時間にわたりトンネ
ルキルンで焼成した。得られた供試体の諸特性を表2に
併記する。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表2において、耐スラグ性は、回転ドラム
式侵食試験炉を用いてCaO/SiO2比が4.5のスラ
グを使用し、1750℃−4時間の試験を行った結果で
ある。ここで、浸食指数は、マグネシア単味れんがであ
る比較品1の溶損深さを100として指数で表示したも
のであり、数値が大きい方がスラグによる浸食が大きい
ことを示す。同様に、浸潤深さは、比較品1の浸潤深さ
を100として指数で表示したものであり、数値が大き
い方がスラグ浸潤が大きいことを示す。
【0034】また、耐スポーリング性は、40mm角に
切り出した供試体を、100℃に加熱した電気炉中に投
入し、15分間加熱した後、電気炉から取り出し、3分
間水冷することを1サイクルとしたスポーリング試験を
実施し、割れによる破壊に到るまでの回数で評価した。
なお、表2には、4個の供試体の試験結果の平均値を表
示した。ここで、回数が多い方が割れ難く、耐スポーリ
ング性に優れることを示す。
【0035】上述のように本発明品はいずれも比較品1
のマグネシア単味れんがと比べ、耐食性は極端に低下す
るものの、スラグ浸潤は少なく、特に耐スポーリング性
は大幅に改善されていることが判る。一方、比較品2
は、合成CaO−TiO2系原料の配合量が多く、ま
た、その他の原料の配合量も多い配合物であり、耐食性
の低下が大きく、耐スポーリング性改善の効果も少ない
ことが判る。
【0036】実施例2 表1に示すマグネシア原料と合成CaO−TiO2系原
料を用いて表3に示す本発明品8及び9を作成した。ま
た、合成CaO−TiO2系原料を用いずにほぼ同様の
化学組成となるように電融カルシアと合成ルチル原料を
用いて比較品3及び4を作成した。なお、プレス成形を
実施した本発明品8及び比較品3は、結合剤として糖類
の水溶液を添加し、実施例1同様の方法によりプレス成
形及び乾燥の後、最高温度1700℃で 時間にわたり
焼成した。また、流し込み成形を行った本発明品9及び
比較品4は、原料を粒度調整した後、結合剤としてカル
シウムアルミネートを用い、更に、分散剤としてポリア
クリル酸ソーダを外掛で0.1重量%添加したものに、
慣用の方法で水を5.3重量%添加して混練し、振動を
加えながら40mm×40mm×160mmの型枠に流
し込み成形し、110℃で乾燥後、最高温度1700℃
で3時間にわたり焼成した。
【0037】得られた供試体の評価方法は実施例1と同
様であり、更に、加熱後供試体の嵩比重を測定し、充填
度合いの比較を行った。
【0038】
【表3】
【0039】本発明品8と比較品3とを比較すると、嵩
比重に明らかな差が生じており、遊離CaOからなる電
融カルシア原料を用いた比較品3は、混練作業以降の水
分との反応により消化し、充填性が低下していることが
判る。また、充填性が良くないために耐食性の低下も大
きい。更に、合成CaO−TiO2系原料の耐火物組織
中での均一分散性の相違により、比較品3では耐スポー
リング性の改善も少なかった。
【0040】本発明品9と比較品4とを比較すると、本
発明品9は、本発明品8とほぼ同等の特性を有するが、
比較品4は遊離CaOのために乾燥中に消化現象が生
じ、崩壊したため、その後の特性試験は実施できない状
態であった。
【0041】
【発明の効果】本発明の塩基性耐火組成物は原料として
合成CaO−TiO2系原料を使用しているので、遊離
CaOに起因する消化等の問題がなく、優れた耐食性を
有するマグネシア原料と併用することにより優れた耐ス
ラグ性、耐スポーリング性を有する耐火物を提供するこ
とができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成CaO−TiO2系原料0.1〜30
    重量%と、マグネシア原料70〜99.9重量%とを含
    有してなることを特徴とする塩基性耐火組成物。
  2. 【請求項2】 合成CaO−TiO2系原料は、CaO
    /TiO2のモル比が0.8〜1.5の範囲内にある請求
    項1記載の塩基性耐火組成物。
  3. 【請求項3】 マグネシア・アルミナ系スピネル、ジル
    コニア、電融マグクロ、アルミナ及びシリカからなる群
    から選択される1種または2種以上の耐火原料10重量
    %以下の量で含有してなる請求項1または2記載の塩基
    性耐火組成物。
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