JPH09249A - 新規プロリダーゼとその製造方法 - Google Patents

新規プロリダーゼとその製造方法

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JPH09249A
JPH09249A JP7151510A JP15151095A JPH09249A JP H09249 A JPH09249 A JP H09249A JP 7151510 A JP7151510 A JP 7151510A JP 15151095 A JP15151095 A JP 15151095A JP H09249 A JPH09249 A JP H09249A
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JP
Japan
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prolidase
pro
activity
amino acid
xanthomonas maltophilia
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JP7151510A
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English (en)
Inventor
Hideki Okamura
英喜 岡村
Jiro Kataoka
二郎 片岡
Tadashi Yoshimoto
忠 芳本
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 広く自然界より分離したキサントモナス・マ
ルトフィリアを培養して得られる新規プロリダーゼ及び
該酵素の製造方法。 【効果】 本発明により得られる新規プロリダーゼは従
来報告されていない、キサントモナス属細菌から効率よ
く得られ、細菌由来の既知のプロリダーゼにはないGl
y−Proの分解活性を有する。そのため、この酵素は
醤油中の残存ペプチドを分解できる等、その用途は広
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物の培養物に含まれ
る新規プロリダーゼに関する。更に詳細には、本発明は
広く自然界から分離したロイシルプロリン(Leu−P
ro)の分解能力に優れているプロリダーゼを生産する
微生物であるキサントモナス・マルトフィリア 由来の
新規プロリダーゼとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで多くのプロリダーゼが精製さ
れ、酵素学的性質が解明されてきた。例えば、ほ乳類で
は豚の腎臓、小腸、牛の小腸、及びヒトの赤血球由来の
プロリダーゼが知られており、微生物ではストレプトコ
ッカス・クレモリス由来のプロリダーゼが報告されてい
る(N.C.Davis and E.L.Smit
h,J.Biol.Chem.,224,261−27
5(1956),H.Sjorstrorm,O.No
ren,and L.Josefsson,Bioch
im.Biophys.Acta.,327,457−
470(1973),H.Sjorstrorm,O.
Noren,Int.J.Peptide.Prot.
Res.,11,159(1978),T.Yoshi
moto,F.Matsubara,E.Kawan
o,and D.Tsuru,J.Biochem.,
94,1889−1896(1983),S.Kami
nogawa,N.Azuma,I.Hwang,Y.
Suzuki,and K.Yamauchi,Agr
i.Biol.Chem.,48,3035−3040
(1984),I.Myara,Clin.Chim.
Acta.,170,263−270(1987),
F.Endo,A.Tanoue,T.Ogata,
K.Motohara,and I.Matsuda,
Clin.Chim.Acta.,176,143−1
50(1988),A.M.Richter,G.L.
Lancaster,F.Y.M.Choy,and
P.Hechtman,Biochem.Cell.B
iol.,67,34−41(1989),T.Ohh
ashi,T,Ohno,J.Arata,K.Sug
ahara,and H.Kodama,Clin.C
him.Acta.,187,1−10(199
0))。
【0003】次に、分子量について述べると、豚、牛の
小腸のプロリダーゼ、及びヒトの赤血球由来のプロリダ
ーゼIの分子量は各々113,000、116,00
0、112,000とほぼ同じであることが報告されて
いる。一方、ストレプトコッカス・クレモリス H61
のプロリダーゼの分子量は43,000、ヒト赤血球由
来のプロリダーゼIIは185,000である。
【0004】また、Mn++に対する挙動について言え
ば、豚の腎臓のプロリダーゼ、及びヒト赤血球由来のプ
ロリダーゼIはMn++で顕著に活性化される。一方、牛
の小腸、ストレプトコッカス・クレモリス H61由来
のプロリダーゼ、ヒト赤血球由来のプロリダーゼIIは
Mn++の存在下で、その活性は阻害されるという特徴が
報告されている。
【0005】更に、豚の腎臓、牛の小腸由来のプロリダ
ーゼ、及び、ヒト赤血球由来のプロリダーゼIはGly
−Proを分解できると報告されている。しかしなが
ら、ストレプトコッカス・クレモリス H61由来のプ
ロリダーゼではGly−Proを分解することができな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、プロリン、ハ
イドロキシプロリンやグリシンを含む低分子ペプチド
(特にジペプチド、トリペプチド)は通常のエキソペプ
チダーゼではほとんど加水分解されない。例えば、醤油
製造の際に生産される麹菌の酸性カルボキシペプチダー
ゼは基質がトリペプチドになると分解しにくくなり、ジ
ペプチドになると更に分解しにくくなる。特にカルボキ
シル末端がプロリンのペプチドを分解しにくいために、
これらのペプチドは醤油中に残存しやすい。更に、(麹
菌が産生する)ロイシンアミノペプチダーゼはアミノ末
端がグリシンのペプチドを分解しにくいため、これらの
ペプチドも醤油中に残存しやすく、醤油の呈味性を低下
させる一因ともなっている(醤研,11,67(198
5))。
【0007】従って、酵素の大量調製が比較的容易な細
菌からGly−Pro等の難分解性ペプチドを分解でき
るプロリダーゼを得ることが強く待ち望まれている。し
かしながら、豚の腎臓、牛の小腸由来のプロリダーゼ、
及び、ヒト赤血球由来のプロリダーゼIはGly−Pr
oを分解できるものの、その大量調製は困難であるとい
う難点を有する。一方、ストレプトコッカス・クレモリ
ス H61由来のプロリダーゼは大量調製が比較的容易
なものの、Gly−Proを分解することができないと
いう欠点を持っている。これ故、本発明の目的は醤油中
に存在するGly−Proを分解することができるプロ
リダーゼを大量に提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはLeu−P
roを効率よく分解する微生物を広く自然界よりスクリ
ーニングしたところ、土壌より分離した細菌の一菌株
に、本菌が従来の細菌(ストレプトコッカス・クレモリ
ス)由来のプロリダーゼと比較して、Gly−Proを
分解することのできるプロリダーゼの活性を有している
ことを見出し、その酵素的諸性質を明らかにすると共
に、製造方法を確立して、本発明を完成するに至らしめ
た。
【0009】即ち、本発明はスクリーニングによって得
られたキサントモナス・マルトフィリアに由来し、下記
の性質を有するプロリダーゼである。 1)作用 pH6.0〜8.5の間においてカルボキシル基側にプ
ロリンを持つジペプチドに特異的に働き、ペプチド結合
を加水分解してアミノ酸を遊離せしめる。 2)基質特異性 Mn++存在下で、L−X−Proに対して加水分解能を
示す。尚、Xは任意のアミノ酸を表す。 3)至適pH 基質としてL−Leu−Proを用い、かつバッファー
として20mMトリス−塩酸バッファーを用いた時の至
適pHは約7〜8である。 4)安定なpH範囲 pH6.0〜8.5の範囲で安定である。 5)作用至適温度 基質としてL−Leu−Proを用いた時の至適温度は
約30〜40℃である。 6)阻害剤 PCMB,Z−L−Pro,O−Phenanthro
line、Phenylacetyl−proline
及びPhenylacetyl−thioprolin
eで活性が阻害される。また、Cu++、Zn++、及びH
++で活性が阻害される。 7)活性化剤 Mn++,Fe+++により活性化される。 8)分子量 ゲル濾過法で測定すると約90、000〜110、00
0である。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
で測定すると約48、000〜55、000である。こ
のことから、本酵素はダイマーであるといえる。また、
本発明のプロリダーゼを生産するキサントモナス・マル
トフィリアは工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託
されており、その寄託番号はFERM P−14986
である。
【0010】本発明のもう一つ態様は、キサントモナス
・マルトフィリアを培養して、培地中に目的とするプロ
リダーゼを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特
徴とするキサントモナス・マルトフィリア由来のプロリ
ダーゼの製造方法である。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0011】本発明者らは普通ブイヨン培地(極東製薬
工業(株)製)に終濃度2%になるように寒天を加えて
調製したプレートを用いて、種々の微生物から高プロリ
ダーゼ活性菌株を自然界より取得した。その結果、キサ
ントモナス・マルトフィリア(FERM P−1498
6)が目的とするプロリダーゼを生成、蓄積しているこ
とを発見した。
【0012】尚、プロリダーゼ活性はYaronらの変
法(Biochem.Biophys.Res.Com
mun.,32,658−663(1968))により
測定した。キサントモナス・マルトフィリア (FER
M P−14986)の培養に用いられる栄養培地は、
炭素源、窒素源、無機塩類、補助因子などからなる通常
の培地であり、炭素源としてはグルコース、マルトー
ス、フラクトース、シュクロース、乳糖、澱粉などが単
独又は組み合わせて用いられる。窒素源としてはペプト
ン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、カゼイン、不溶性
コラーゲン、大豆蛋白などが、無機塩類としては塩化ナ
トリウム、硫酸マグネシウム七水和物、リン酸水素二ナ
トリウム、リン酸二水素カリウムなどが、また補助因子
としては肉エキス、コーンスティープリカーなどが使用
される。これらの成分のうち、肉エキス1.0%、ポリ
ペプトン1.0%、塩化ナトリウム0.5%(pH7.
5)が好適である。
【0013】 本発明のプロリダーゼを生産するための
微生物の培養条件は、通常の好気的培養条件でよく、p
H6.0〜8.0、好ましくはpH6.5〜7.5、温
度20℃〜40℃、好ましくは27℃〜33℃、培養時
間12〜60時間、好ましくは24〜48時間が適当で
ある。また、本発明のプロリダーゼは、培養物をそのま
まプロリダーゼ源として用いることができるが、本発明
の方法により分離採取する事により、酵素の比活性は著
しく増大し、安定性も高くなる。
【0014】 尚、本発明のプロリダーゼは、上記した
方法により製造されるものに限定されず、発現ベクター
に接続された該酵素の遺伝子が導入された大腸菌、枯草
菌、酵母などによる組換えDNA法によって生産するこ
とも可能である。いずれの方法で生産された酵素も同程
度の効果を期待することができる。また、酵素の精製法
も限定されず、通常行われてイオン交換クロマトグラフ
ィー、ゲル濾過等の手法を適宜組み合わせて行えばよ
い。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明のキサントモナス
・マルトフィリア (FERMPー14986)の分
離、該細菌由来のプロリダーゼの製造方法、及び性質に
ついて示す。
【0016】実施例1:キサントモナス・マルトフィリ
ア (Xanthomonas maltophilia AJ 13127,FERM P
ー14986)の分離 常法に従い、普通ブイヨン培地(極東製薬工業株製)に
終濃度2%になるように寒天を加えて調製したプレート
(pH7.0)上に、土壌を滅菌水にて懸濁した懸濁液
を塗り広げ、30℃においてコロニーを約500個形成
させた。これらのコロニーを96穴プレートに接種培養
し、プロリダーゼ活性の測定を行った。その結果、プロ
リダーゼ活性を示す1株、KS−3株を得た。本菌は工
業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
尚、寄託番号はFERM Pー14986である。
【0017】本菌の菌学的性質を以下に示す。 (a)形態的性質 (1)細胞の大きさ及び形:0.4〜0.5×1.0〜
1.5μmのかん菌(多形性はなし。) (2)グラム染色性:グラム陰性 (3)運動性の有無:30〜37℃で運動性有り。 (4)鞭毛の特徴:極鞭毛、複数(1〜3本)。
【0018】(b)栄養培地上での生育状態 (1)Nutrient寒天平板培地:生育は中等度。コ
ロニー形態は円形、平滑、光沢あり。菌体を生理食塩水
(0.9%)に懸濁の際には、均一に分散しにくい菌体
性状を示した。 (2)Nutrient液体培地:中等度の生育。試験管
の液面上縁に菌の凝集帯(幅〜1mm)を形成した。液
は均一に濁り、粘質性の沈澱が生じた(30℃、2日間
培養)。 (3)McConkey寒天平板:中等度の生育(30、
37℃)。コロニー形態は円形、平滑、光沢あり。色調
は半透明淡黄色であるが、周縁は橙色を呈す。尚、対照
菌のうちキサントモナス・マルトフィリア ATCC1
3637は生育せず。 (4)Tryptic Soy寒天平板:30℃で中等度
の生育。コロニー形態は円形、平滑、光沢あり。色調は
淡黄褐色、集落の周縁部は半透明。尚、対照菌のキサン
トモナス・マルトフィリア AJ2082,2220,
2554はすべて、本菌とコロニー外観がきわめてよく
似ていた。培地中に塩化ナトリウムを3%添加ではこれ
らの菌は生育したが、10%添加では生育は阻害された
(30℃)。
【0019】(c)保存性状 (1)Tryptic Soy寒天斜面培地:8℃にて、
1カ月間保存可能であった。しかし、6カ月以上経過し
た保存スラントでは菌は死滅していた。 (2)真空凍結乾燥法:15℃にて、18年間保存可能で
あった。 (3)−80℃保存法:Tryptic Soy液体培地
中(8%DMSO添加)に凍結状態にて、1カ月間の保
存が可能であった。
【0020】(d)生理学的性質 (1)好気性菌である。従って嫌気的生育無し。 (2)生育温度:30、37℃で生育(+)、41℃で生
育(−)。 (3)オキシダーゼ:陽性(+)。 (4)硝酸塩の利用性:陰性(−)。本菌はKNO3をN源
として利用しない。 (5)ウレアーゼ:陰性(−)。 (6)デカルボキシラーゼ:リジンデカルボキシラーゼ
(+)、アルギニンデカルボキシラーゼ(−)、オルニ
チンデカルボキシラーゼ(−)。 (7)プロテアーゼ:カゼイン加水分解(+)、ゼラチン
加水分解(+)。 (8)リパーゼ活性:陽性(+)。ツゥイーン80に対す
る加水分解活性が認められた。 (9)糖からの酸生成(30℃):糖加アンモニウム培地
で以下の結果を得た。グルコース(−)、セロビオース
(−)、マルトース(+)、フラクトース(−)、アラ
ビノース(−)、グリセロール(−)、ラクトース
(−)、トレハロース(−)、キシロース(−)。 (10)糖の資化性(30℃):糖加アンモニウム培地、及
び最少培地で以下の結果を得た。グルコース(+)、セ
ロビオース(+)、マルトース(+)、ラクトース
(+)、トレハロース(+) (11)澱粉の分解性:陰性(−) (12)ONPGテスト:陽性(+)(30℃の場合)、陰
性(−)(37℃の場合) (13)クエン酸の利用性:陰性(−)(Simmon’s
citrate培地) (14)メチオニン要求性:寒天平板、液体培地のいずれに
ついてもL−Met要求性を認めた。対照としたキサン
トモナス・マルトフィリア (AJ2082,222
0,2554)は、いずれもL−Met要求性を有して
いた(液体培養)。 (15)インドールの生成:陰性(−)(30、37℃)
【0021】(e)黄色色素の産生:菌体中の黄色色素
の存在を確認した。この色素は、キサントモナジンで報
告された波長425〜475nmの2つの吸収極大がな
かった。 (f)キノンタイプ:ユビキノン(+)、メナキノン
(−)。 (g)菌体脂肪酸組成の分析:分岐鎖脂肪酸を検出。特
徴的な脂肪酸として、iso−及びanteiso−型
のC15:0脂肪酸を含んでいた。
【0022】 以上の菌学的性質をBergey’s
manual of Systematic Bact
eriology(1984)及、Internati
onal Journal of Systemati
c Bacteriology(1973)、及びId
entification Methods in A
pplied and Environmental
Microbiology vol29(1992)の
分類基準により検索すると、本菌はキサントモナス・マ
ルトフィリア と同定された。
【0023】実施例2:キサントモナス・マルトフィリ
ア 由来プロリダーゼの製造法及び性質 肉エキス1.0%、ポリペプトン1.0%、塩化ナトリ
ウム0.5%を含む培地(pH7.5)5mlに上記キ
サントモナス・マルトフィリア FERM Pー149
86を接種し、30℃で24時間前培養を行ったものを
種菌として生産培地に植菌し(1%)、30℃で24時
間培養した。その後、得られた培養液12Lを8,00
0rpmで20分間、遠心分離することによりプロリダ
ーゼを含む菌体を得た。
【0024】本菌体を20mM Tris−HClバッ
ファー(pH8.0)600mlに懸濁し、Dyno−
Millによりガラスビーズとともに破砕した。本菌体
破砕液を遠心分離し、粗酵素液を得た。破砕前のウェッ
ト菌体1gあたり9.0mgの硫酸プロタミンを粗酵素
液に添加し、核酸を沈降させ、氷冷下で15分間静置し
た後、遠心分離により沈澱物を除去した。次に、硫酸ア
ンモニウムを40%飽和になるように遠心上清に添加
し、氷冷下で1時間放置後、遠心分離し沈澱物を得た。
この沈澱物に少量の20mM Tris−HClバッフ
ァー(pH8.0)を添加し、沈澱物を溶解した。
【0025】その後、Sephadex G−25カラ
ムで脱塩し、あらかじめ20mMTris−HClバッ
ファー(pH8.0)で平衡化しておいたDEAE−T
oyopearlにアプライ、0〜0.3M NaCl
で段階的に溶出した。プロリダーゼ活性画分に30%飽
和になるように硫酸アンモニウムを添加した。本溶液を
30%飽和硫酸アンモニウムを含む20mM Tris
−HClバッファー(pH8.0)で平衡化したToy
opearl HW65Cカラムにアプライした。吸着
したプロリダーゼは硫酸アンモニウム濃度を徐々に減少
させることにより溶出した。詳細には、グラジエントユ
ニットの一方に20mM Tris−HClバッファー
(pH8.0)中で10%、他方に30%飽和の硫酸ア
ンモニウムを含む。
【0026】更に、得られた活性画分を限外濾過により
濃縮した。濃縮液を0.15M NaClを含む20m
M Tris−HClバッファー(pH8.0)で平衡
化されたHiload Superdex 200 p
g(FPLC system,Pharmacia)に
アプライし、プロリダーゼ活性画分を分取した。得られ
た画分を濃縮し、Hitrap Q(FPLC sys
tem,Pharmacia)にアプライし、0.15
〜0.2M NaClで段階的に溶出した。
【0027】得られた活性画分を濃縮し、20mM T
ris−HClバッファー(pH8.0)で透析後、再
度Hitrap Qにアプライした。吸着されたプロリ
ダーゼは0.15〜0.2MのNaClで溶出し、精製
プロリダーゼを得た。次に、得られた精製プロリダーゼ
を用いて本酵素の諸性質について検討を行った。
【0028】本発明の新規プロリダーゼの性状は次の如
くである。 (1)作用 pH6.0〜8.5の間においてカルボキシル基側にプ
ロリンを持つジペプチドに特異的に働き、ペプチド結合
を加水分解してアミノ酸を遊離せしめる。 (2)基質特異性 低分子合成基質を用いた場合の基質特異性を下記の表1
に示す。用いた基質はすべて4mM Gly−Pro,
Ala−Pro,Val−Pro等である。尚、本酵素
は後述する通りMn++により活性化されるため、基質特
異性の検討は、Mn++添加系、無添加系にて実施した。
下記の表1から分かるように、本酵素はMn++存在下
で、L−X−Proに対して加水分解能を示す。尚、X
は任意のアミノ酸を表す。
【0029】
【表1】
【0030】3)至適pH 本酵素の基質としてL−Leu−Proを用い、かつバ
ッファーとして20mMトリス−塩酸バッファーを用い
た時の至適pHは約7〜8である。 4)pH安定性 本酵素はpH6.0〜8.5の範囲で安定である。 5)作用至適温度 本酵素の基質としてL−Leu−Proを用いた時の至
適温度は約30〜40℃である。 6)温度安定性 pH7.5で各温度に60分間保温した後、Leu−P
roを基質に用いて残存活性を測定したところ、50%
の残存活性を有する温度範囲は約35〜45℃であっ
た。 7)金属イオンの影響 本酵素の基質としてL−Leu−Proを用いた場合の
金属イオンの影響を下記の表2に示した。用いた金属は
すべて1mMのMgCl2,CaCl2,MnCl2等で
ある。
【0031】
【表2】
【0032】本酵素はCu++,Zn++,Hg++でほぼ完
全に阻害され、Mn++,Fe+++により活性化される。
【0033】8)阻害剤 本酵素を各プロテアーゼ阻害剤存在下において、Leu
−Proを基質に用いて相対活性を測定した。その結果
を下記の表3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】本酵素はPCMB,Z−L−Prolin
e,o−Phenanthroline,Phenyl
acetyl−proline、Phenylacet
yl−thioprolineにより完全に活性が阻害
され、2−mercaptoethanolで若干阻害
される。
【0036】9)分子量 本酵素の分子量はゲル濾過法で測定すると約90、00
〜110、000であり、SDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動法で測定すると約48、000〜55、0
00であった。 このことから、本酵素はダイマーであ
ることが分かった。 10)力価測定法 前述のLeu−Proを基質とし、酵素作用によって遊
離するアミノ酸のアミノ基を酸ニンヒドリン法を用いて
測定を行った。すなわち、酵素溶液10μl、20mM
Tris−HClバッファー(pH7.5)440μ
lに、5mMLeu−Pro50μlを加え、37℃で
15分間反応させ、氷酢酸500μlを加えて酵素反応
を停止させ、さらにニンヒドリン試薬を加え、100℃
で10分間煮沸、冷却後、515nmの吸収を測定す
る。
【0037】
【発明の効果】本発明により得られる新規プロリダーゼ
は従来報告されていない、キサントモナス属細菌から効
率よく得られ、細菌由来の既知のプロリダーゼにはない
Gly−Proの分解活性を有する。そのため、この酵
素は醤油中の残存ペプチドを分解できる等、その用途は
極めて広いものと考えられる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キサントモナス・マルトフィリア由来の
    下記の性質を有するプロリダーゼ。 1)作用 pH6.0〜8.5の間においてカルボキシル基側にプ
    ロリンを持つジペプチドに特異的に働き、ペプチド結合
    を加水分解してアミノ酸を遊離せしめる。 2)基質特異性 Mn++存在下で、L−X−Proに対して加水分解能を
    示す。尚、Xは任意のアミノ酸を表す。 3)至適pH 基質としてL−Leu−Proを用い、かつバッファー
    として20mMトリス−塩酸バッファーを用いた時の至
    適pHは約7〜8である。 4)安定pH範囲 pH6.0〜8.5の範囲で安定である。 5)作用至適温度 基質としてL−Leu−Proを用いた時の至適温度は
    約30〜40℃である。 6)阻害剤 PCMB,Z−L−Pro,O−Phenanthro
    line、Phenylacetyl−proline
    及びPhenylacetyl−thioprolin
    eで活性が阻害される。また、Cu++、Zn++ 及びH
    ++で活性が阻害される。 7)活性化剤 Mn++,Fe+++により活性化される。 8)分子量 ゲル濾過法で測定すると約90、000〜110、00
    0である。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
    で測定すると約48、000〜55、000である。
  2. 【請求項2】 キサントモナス・マルトフィリアを培養
    して、培地中に目的とするプロリダーゼを生成、蓄積せ
    しめ、これを採取することを特徴とするキサントモナス
    ・マルトフィリア由来のプロリダーゼの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114732121B (zh) * 2022-03-23 2023-07-18 江苏大学 利用脯氨酸内切蛋白酶减少酱油二次沉淀及提高其总氮和氨基酸含量的方法

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