JPH09241591A - 転写媒体およびその製造方法 - Google Patents

転写媒体およびその製造方法

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JPH09241591A
JPH09241591A JP8088596A JP8088596A JPH09241591A JP H09241591 A JPH09241591 A JP H09241591A JP 8088596 A JP8088596 A JP 8088596A JP 8088596 A JP8088596 A JP 8088596A JP H09241591 A JPH09241591 A JP H09241591A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被転写体に対しては強固に接着でき、被貼付
基材に対しては再剥離可能な粘着層を有する転写媒体を
提供する。 【解決手段】 テープ状フィルムなどの基材1の一方の
面に、非造膜性樹脂を含む塗布剤と、粘着剤とを順次塗
布し、非造膜性層2を介して基材1に粘着層4を形成す
るとともに、基材1の他方の面に離型層5を形成する。
粘着層4の粘着剤は非造膜層2の非造膜部3を通じて基
材1の表面に滲出して接着部を形成する。そのため、前
記粘着層4とともに非造膜層2を被転写体に転写させる
と、粘着剤本来の粘着力により被転写体に接着できると
ともに、転写した剥離層2の表面では粘着力が低減で
き、メモ用紙などを繰返し剥離できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被転写体に粘着層
を転写するための転写媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】被転写体に粘着剤層を感圧又は感熱的に
転写するため、基材フィルムに、粘着剤層を剥離可能に
形成した糊テープが知られている。しかし、この糊テー
プを用いて被転写体に粘着剤層を転写し、粘着剤層に、
メモ用紙などの被貼付基材などを一旦接着すると、粘着
剤層の粘着力が大きいため、粘着剤層から被貼付基材が
剥離不能である。そのため、粘着剤層に対して被貼付基
材を繰り返し粘着させることができない。
【0003】一方、被貼付基材に対して再剥離可能な糊
テープを用いると、粘着剤層を壁などの被転写体に転写
し、粘着層の表面を利用して、「ポストイット」的に同
一又は異なる被貼付基材を繰り返し貼合せて表示できる
という利点がある。特開平5−239413号公報に
は、支持体と、この支持体に対して剥離可能なアクリレ
ートベースの感圧接着剤フィルムとを有する接着剤転写
テープにおいて、感圧性の接着剤フィルムが微細なアル
ギン酸を含む転写テープが開示されている。この転写テ
ープは、アクリレートベースの接着剤の水性分散液に、
アルギン酸塩の水溶液を添加し、水性混合物を撹拌下に
酸性に調整してアルギン酸を微細な分散状態で沈澱させ
た分散液を、支持体に塗布し、水分を蒸発させることに
より得られる。しかし、前記転写テープにおいて、接着
剤フィルム中には微細なアルギン酸が均一に分散してい
るため、被転写体に対する粘着力と、被貼付基材に対す
る粘着力とが同じである。そのため、被転写体に対する
粘着力を大きくすると、被貼付基材を再剥離可能に貼合
せることができず、被貼付基材に対する再剥離性を高め
るため、粘着力を小さくすると、被転写体に対する粘着
力が低下し、長時間に亘り表示できなくなる。また、接
着層の粘着力を小さくすると、メモ用紙などの被貼付基
材を接着層から剥離するとき、接着層が層間剥離し、被
貼付基材に粘性を有する接着剤が残存し、被貼付基材の
取扱い性を損なう。さらに、分散体の接着剤を含む水性
混合物のpHを酸性にしてアルギン酸を析出させるた
め、接着剤粒子の分散安定性や水性混合物の安定性が低
下するだけでなく、接着剤や分散液の種類が限定される
虞がある。
【0004】さらに、前記先行文献には、表示物などの
被貼付基材を再剥離可能とするため、支持体に、粘着力
の小さな第1の接着層と、粘着力が大きな第2の接着層
とを順次形成し、第1の基材に接着剤フィルムを転写す
ると、表面側に位置する第1の接着剤層を利用して第2
の基材を繰り返し再剥離できることも記載されている。
しかし、支持体に粘着力の小さな接着剤を塗布した後、
粘着力の大きな接着剤を塗布すると、表面側に粘着力が
大きな第2の接着層が位置するため、塗工性も含めて生
産効率が低下し、転写テープを連続的に効率よく製造す
ることが困難である。また、粘着力の異なる複数種の接
着剤を用いるため、コスト的にも不利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、被転写体に対しては強固に接着できるにも拘らず、
被貼付基材に対しては再剥離可能な粘着層を有する転写
媒体およびその製造方法を提供することにある。本発明
の他の目的は、汎用の粘着剤を用いても、粘着層の粘着
力を利用して被貼付基材を長期間に亘り繰返し剥離可能
な転写媒体およびその製造法を提供することにある。本
発明のさらに他の目的は、前記の如き優れた特性を有す
る転写媒体を簡便かつ効率よく安価に製造できる方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、非造膜性層を介して基
材に粘着層を形成すると、粘着層の粘着剤が前記非造膜
層の非造膜部を通じて基材の表面に分散した状態で滲出
すること、前記粘着層とともに非造膜層を被転写体に転
写させると、粘着剤本来の大きな粘着力により粘着層を
被転写体に接着できるとともに、転写した剥離層の表面
では粘着力を低減できることを見いだし、本発明を完成
した。
【0007】すなわち、本発明の転写媒体は、基材の一
方の面に、非造膜性の剥離層と粘着層とが順次形成され
ている。この転写媒体において、前記剥離層の非造膜部
を通じて、粘着層の粘着剤は基材面に滲出する。転写媒
体が巻回されたテープ状などである場合、基材の他方の
面には離型層を形成する。本発明の転写媒体は、基材の
一方の面に、非造膜性樹脂を含む塗布剤と、粘着剤とを
順次塗布することにより製造できる。
【0008】前記転写媒体では、粘着層の粘着剤が非造
膜性の剥離層を含浸し、剥離層の非造膜部を通じて粘着
剤が基材面に滲出しているようである。そのため、粘着
層を剥離層とともに非転写体に転写すると、非転写体に
接する粘着層は粘着剤本来の粘着力F1を発現し、剥離
層の表面(すなわち、転写状態で表面側に位置し、被貼
付基材を接着する面)では粘着力F2が低減する(F1>
F2)。従って、被転写体に対しては強固に接着できる
にも拘らず、層間剥離を生じさせることなく、被貼付基
材に対しては再剥離可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、必要に応じて添付図面を
参照しつつ、本発明の形態をより詳細に説明する。図1
は本発明の転写媒体の一例を模式的に示す概略断面図で
あり、図2は被転写体に転写した粘着層の使用状態を示
す概略断面図である。この例の転写媒体は、可撓性基材
1と、この基材の一方の面に形成された非造膜性剥離層
2と、この剥離層の上に形成され、被転写体に転写され
る粘着層4と、前記基材1の他方の面に形成された離型
層5とで構成されている。前記剥離層2には、非造膜性
に起因して多数の非造膜部(クラック、連通孔など)3
が形成され、この非造膜部3を通じて、粘着層4の粘着
剤は基材1の面に至っている。
【0010】前記基材1は、剥離層とともに粘着層が被
転写体に転写可能である限り、特に制限されず、金属、
ガラスなどのセラミックスなどであってもよいが、プラ
スチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
のオレフィン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、スチレン系ポ
リマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレートなどのポリエステル、ナイロン6,ナイロ
ン66,ナイロン610などのポリアミド、ポリカーボ
ネート、セルロースアセテートなどの繊維素系ポリマー
など;紙類、例えば、グラシン紙、ワックスやシリコー
ン化合物などの撥水剤や離型剤により処理された撥水処
理紙などが挙げられる。好ましい基材には、可撓性を有
する基材(例えば、プラスチック基材など)が含まれ、
撥水処理や離型処理が施されていてもよい。前記基材の
形態は、用途に応じて選択でき、フィルム又はシート状
などであってもよいが、巻回して使用する場合にはテー
プ状(特にプラスチックテープ)である場合が多い。基
材の厚みは、被転写体に対する転写効率や可撓性などを
損なわない範囲で選択でき、例えば、5〜100μm、
好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜3
0μm程度である場合が多い。
【0011】非造膜性剥離層2は、種々の非造膜性組成
物、例えば、非造膜性樹脂を含む溶液又は分散液状組成
物などで形成できる。非造膜性樹脂には、例えば、セル
ロース系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリカーボネートなどが含まれる。
【0012】好ましい非造膜性樹脂には、セルロース系
樹脂、アクリル系樹脂及びスチレン系樹脂などが含まれ
る。セルロース系樹脂には、エチルセルロース、メチル
セルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどが含まれ
る。アクリル系樹脂には、メタクリル酸メチル,メタク
リル酸エチルなどのメタクリル酸C1-4 アルキルエステ
ルを主たる成分とする樹脂が含まれ、共重合性モノマー
(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸C
1-10アルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン系モノマ
ーなど)との共重合体であってもよい。好ましいアクリ
ル系樹脂には、例えば、ポリメタクリル酸メチル、メタ
クリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタク
リル酸メチル−アクリル酸C1-10アルキルエステル共重
合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸C1-10アルキル
エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸
メチル−スチレン−アクリル酸C1-10アルキルエステル
共重合体などが含まれる。スチレン系樹脂には、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレ
ン系モノマーを主たる成分とする樹脂が含まれ、共重合
性モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(メ
タ)アクリル酸C1-10アルキルエステル、無水マレイン
酸、フェニルマレイミドなどのマレイミド誘導体、アク
リロニトリルなど)との共重合体であってもよい。好ま
しいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−無水
マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸C
1-10アルキルエステル共重合体、スチレン−(メタ)ア
クリル酸C1-10アルキルエステル−(メタ)アクリル酸
共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸C1-10アルキ
ルエステル−無水マレイン酸共重合体などが含まれる。
【0013】前記非造膜性樹脂は、有機溶媒又は水に溶
解した溶液として使用してもよく、非造膜性樹脂粒子が
分散したエマルジョンなどの分散体としても使用でき
る。非造膜性樹脂は、水性エマルジョンなどの分散体と
して使用する場合が多い。このような非造膜性樹脂を含
む塗布剤を基材に塗布すると、乾燥塗膜にクラック状、
多孔質状などの非造膜部を形成できる。すなわち、非造
膜性樹脂が溶解した組成物を基材に塗布すると、乾燥塗
膜にクラック、ボイドなどの非造膜部(欠陥部)が形成
される。また、非造膜性樹脂粒子を含む分散体(エマル
ジョン)を基材に塗布すると、乾燥塗膜の粒子間には、
非造膜部として空隙部や間隙部が形成される。そのた
め、非造膜部に粘着剤が含浸して滲出するため、粘着剤
が基材面に至り散在した粘着部として露出する。
【0014】前記非造膜性組成物は、前記非造膜性樹脂
に加えて無機粉粒体(シリカ、アルミナ、タルク、炭酸
カルシウムなど)、塗布剤の溶媒に不溶な有機粉粒体
(例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、架橋アクリル
樹脂、架橋スチレン系樹脂、熱硬化性樹脂など)を含ん
でいてもよい。このような組成物では、非造膜性樹脂を
バインダーとして利用できるため、基材に対する塗布性
をさほど低下させることなく円滑に塗布でき、粉粒体の
間に、非造膜性樹脂による非造膜部としての空隙部や間
隙部を形成できる。
【0015】なお、粘着剤の滲出を損なわない限り、非
造膜性組成物は、造膜性のバインダー(例えば、アクリ
ル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重
合体などの低ガラス転移温度の樹脂)を含んでいてもよ
く、造膜性バインダーは、溶媒に可溶であってもよく、
エマルジョンなどの分散体であってもよい。
【0016】剥離層2の厚みは、粘着層の粘着剤が浸透
又は滲出可能であればよく、例えば、0.1〜2μm、
好ましくは0.2〜1.5μm(例えば、0.3〜1μ
m)程度である場合が多い。このような剥離層は、前記
非造膜性材料を含む塗布液を基材に塗布することにより
形成できる。前記塗布液の塗布量は、例えば、乾燥後の
塗布量0.1〜2g/m2 、好ましくは0.2〜1.5
g/m2 、さらに好ましくは0.3〜1g/m2 程度で
ある。
【0017】前記剥離層2上に形成された粘着層4は、
種々の粘着剤、例えば、天然ゴム、合成ゴム(例えば、
スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ブチ
ルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴ
ムなど)、アクリル系重合体、ビニルエーテル系重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系
重合体、ポリウレタン、シリコーン樹脂などで形成でき
る。
【0018】好ましい粘着層は、アクリル系重合体で構
成されたアクリル系粘着剤を含んでいる。アクリル系重
合体としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、アクリル酸オクチルなどのアクリル酸−C1-10
アルキルエステルを主たる成分とする重合体を用いる場
合が多く、アクリル系重合体は、前記アクリル酸アルキ
ルエステルと、共重合性モノマー、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(メチルメタ
クリレート、ブチルメタクリレートなど)、スチレン系
モノマー(スチレン、α−メチルスチレンなど)、塩化
ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどとの共重合
体であってもよい。アクリル酸アルキルエステルとして
は、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルを用いる場合
が多く、共重合性モノマーとしては、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチルなどを用いる場
合が多い。前記粘着剤は、溶液又は分散体として使用で
きるが、塗工作業性などの点から水性エマルジョンなど
の分散体として用いる場合が多い。
【0019】粘着層の厚みは、剥離層を通じて粘着剤が
基材面に滲出可能であればよく、例えば、3〜50μ
m、好ましくは5〜30μm、さらに好ましくは10〜
20μm程度であり、10〜30μm程度である場合が
多い。粘着層は、前記粘着剤を含む塗布剤を前記剥離層
上に塗布することにより形成できる。塗布剤の塗布量
は、乾燥後の塗布量3〜50g/m2 、好ましくは5〜
30g/m2 、さらに好ましくは10〜30g/m2
度である。
【0020】粘着層は、前記粘着剤に加えて、種々の添
加剤、例えば、着色剤(染料、顔料、蛍光染料、蛍光顔
料など)、安定剤(酸化防止剤や紫外線吸収剤など)、
粘着付与剤(ロジンエステル、石油樹脂、ジシクロペン
タジエン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂な
ど)、可塑剤(フタル酸エステルなど)などを含んでい
てもよい。また、粘着層は、粘着性を調整するため、充
填剤などを含んでいてもよい。
【0021】前記のように、粘着層4の粘着剤は、剥離
層2を含浸し、剥離層の非造膜部(連通孔など)3を通
じて基材1の表面に分散した状態で滲出しているようで
ある。すなわち、基材と接する剥離層の面には連通孔を
通じて粘着剤が滲出して、散在した接着部を形成してい
る。そのため、基材と接する剥離層の面は、被転写体に
接する粘着層の表面に比べて、基材と接する剥離層の面
に占める粘着剤の面積が小さくなり、剥離層の面に露呈
する一部の粘着剤でしか接着できない。従って、剥離層
の面に占める粘着剤の面積割合(剥離層に対する非造膜
部の割合)を、例えば、粘着剤の粘着力に応じて、非造
膜性樹脂の種類、非造膜性樹脂粒子のサイズなどにより
調整することにより、基材に対する剥離層の粘着力をコ
ントロールできる。基材1に対する剥離層2の粘着力
は、被貼付基材が剥離可能な範囲で選択でき、例えば、
粘着力150〜400g/cm、好ましくは250〜3
50g/cm程度であり、200〜300g/cmであ
ることが特に好ましい。また、粘着層4の粘着力は20
0〜450g/cmであることが好ましく、250〜3
50g/cmであることが特に好ましい。粘着層4の粘
着力が200g/cm未満である場合、被転写体6への
接着力が十分ではない。また、450g/cmより大き
い場合、被貼着基材7に対する接着力が強すぎ、被貼着
基材7を再剥離することが困難となるためである。
【0022】なお、剥離層2の一方の面は、その前面で
粘着層4に接着している。そして、剥離層の他方の面
は、その一部に浸出した粘着材により基材1に接着され
ている。したがって、被転写材6に接着層4を転写する
際、剥離層2は接着層4と共に転写される。
【0023】前記基材の他方の面に形成された離型層5
は、慣用の離型剤、例えば、シリコーンオイル、シリコ
ーン樹脂、フッ素化合物、ワックス、高級脂肪酸又はそ
の塩、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪
酸アミドなどの低表面張力の面を形成可能な離型剤で形
成できる。基材のうち粘着剤とは反対側の面に離型層を
形成すると、転写媒体を巻回して使用する場合、粘着層
同士の自己接着を防止できる。離型層の厚みは特に制限
されず、例えば、0.1〜2μm程度であってもよく、
離型剤は基材に含浸していてもよい。
【0024】このような転写媒体は、図2に示されるよ
うに、被転写体6(例えば、壁,机,ボード,ファイル
や書類の標識又は識別部位や表示部位,封筒の糊代な
ど)に粘着層4を転写すると、表面側には、粘着剤が粘
着部として分散状態で表面に露呈した剥離層2が位置す
る。そのため、被転写体6に対しては粘着剤本来の粘着
力F1で接着できるのに対して、被貼付基材7(例え
ば、メモ用紙、標識又は識別片など)に対しては、剥離
層表面に露呈した粘着剤の粘着力F2(F1>F2)で接
着できる。そのため、剥離層2の表面で弱められた粘着
剤の粘着力F2を利用して、被貼付基材7を再剥離可能
に貼付できる。また、剥離層2に粘着剤が含浸してお
り、転写に際して剥離層2が層間剥離することもない。
上記F1とF2とは、(F1−F2)≧30g/cmである
ことが好ましい。これは、(F1−F2)≧30g/cm
であれば、被貼付基材7を再剥離することが容易にでき
るためである。また、その際に、粘着層4の層間剥離を
確実に防止できるためである。
【0025】なお、基材のうち粘着層と反対側の面は、
必ずしも離型処理する必要はない。また、剥離層および
粘着層を被転写体に有効に転写するためには、基材と剥
離層との間に離型層を形成するのが有利である。この離
型層は前記と同様に離型剤を塗布したり、基材に含浸さ
せることにより形成できる。基材と剥離層との間の離型
層は、前記剥離層と同様に、粘着層の粘着剤が基材表面
に滲出可能であってもよい。
【0026】好ましい転写媒体は、リールから繰出し可
能なテープ状の転写媒体である。テープ状の転写媒体が
巻き取られた繰出しリールは、通常、転写装置のケーシ
ング内に回転可能に収容されている。すなわち、転写装
置は、テープ状転写媒体が巻き取られた繰出しリールを
回転可能に収容するケーシングと、このケーシングに形
成された開口部と、この開口部から外方に突出し、かつ
粘着層が外面に面した状態で、繰出しリールから繰り出
された転写媒体が掛け渡される突出転写部と、粘着層を
被転写体に転写した後の基材をケーシング内で巻き取る
ため、ケーシング内で回転可能に収容された巻取リール
と、前記繰出しリールからの繰出しに連動して巻取リー
ルで基材を巻き取るため、繰出しリールの回転を巻取リ
ールに伝達する回転伝達手段(ギヤなど)とで構成され
ている。なお、繰出しリールから繰り出された転写媒体
は、緊張状態で、突出転写部を経て巻取リールに掛け渡
されている。また、突出転写部で被転写体に粘着層をシ
ャープに切断して転写するため、突出転写部の先端は、
比較的鋭角である場合が多い。このような転写装置を用
いると、転写装置を被転写体に対して相対的に押圧しな
がら移動させ、転写部の外面に位置する粘着層を剥離層
とともに被転写体に転写可能である。
【0027】本発明の転写媒体は、基材の一方の面に、
必要に応じて離型剤を塗布し、非造膜性樹脂を含む塗布
剤と、粘着剤とを順次塗布することにより製造できる。
また、基材の他方の面にも離型剤を塗布してもよい。粘
着剤の塗布は、非造膜性樹脂を含む塗布剤を塗布して乾
燥させた後で行ってもよいが、通常、塗布剤と粘着剤と
を順次塗布した後、乾燥してもよい。なお、基材の両面
が離型剤により処理されている場合には、基材の一方の
面に塗布剤と粘着剤とを順次塗布し、乾燥することによ
り転写媒体を製造できる。リールから繰出し可能なテー
プ状転写媒体は、粘着剤層を表面側に位置させてリール
に巻き取る場合が多い。この場合は、粘着層が設けられ
た反対側の面に、離型層5を形成することが好ましい。
これは、リールに巻いた状態で、粘着層が基材に接着す
ることを防止するためである。本発明の転写媒体は、写
真、メモ用紙、識別,標識又は表示片などの被貼付基材
を繰返し貼付するのに有用である。
【0028】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み25μm)
の一方の面に、非造膜性樹脂組成物としてのアクリル系
樹脂(水性アクリル系樹脂,大日本印刷(株)製)を乾
燥後の塗布量約1g/cm2 で塗布した後、橙色に着色
したアクリル系粘着剤(水性アクリル系樹脂エマルジョ
ン,東亜合成(株)製)を乾燥後の塗布量約15g/c
2 で塗布した。また、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの他方の面には、シリコーン系離型材(大日本印
刷(株)製)を塗布し、離型層を形成することにより、
フィルム状転写媒体を作成した。
【0029】実施例2 非造膜性樹脂組成物としてのアクリル系樹脂に代えて、
セルロース系樹脂(エチルセルロース(東亜合成(株)
製)を用いる他は、実施例1と同様にしてフィルム状転
写媒体を作成した。
【0030】比較例 ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み25μm)
の両面に、実施例1の離型材を塗布した後、一方の離型
層に、非造膜性樹脂組成物を塗布することなく、実施例
1のアクリル系粘着剤を、実施例1と同様にして塗布
し、フィルム状転写媒体を得た。
【0031】評価試験 上記実施例1〜2と比較例で得られた転写媒体の基材フ
ィルム側の面の接着力(すなわち基材フィルムの塗布面
と粘着層との接着力F1)と反対側の面の接着力(すな
わち基材フィルムの非塗布面と粘着層との接着力F2)
をJIS Z0237の方法により調べた。その結果を
表1に示す。
【0032】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1及び2で得られた転
写媒体は、粘着層による粘着力F1が大きいにも関わら
ず、フィルムと剥離層との粘着力F2は小さい。そのた
め、被貼付部材たる上記普通紙2を再剥離することがで
きる。なお、比較例で得られた転写媒体は粘着力F1と
F2がほぼ同じ値を示し、被貼付部材たる普通紙2を正
常に再剥離することができなかった。
【0033】実施例1〜2及び比較例で得られた転写媒
体をそれぞれ幅6mmにスリットしてリールに巻き取
り、得られた繰出しリールを市販の転写装置(ゼネラル
(株)、「ピタタ」)に装着した。ついで、各転写媒体
の粘着層を普通紙1(三菱製紙(株)製、「スピードダ
イヤ」)に転写した。転写された粘着層を別の普通紙2
(同上)に押圧して2枚の普通紙を接着した後、両者を
剥離させ、剥離後の状態を目視で確認した。その結果、
実施例1〜2で得られた転写媒体を用いて粘着層を転写
させると、普通紙1と普通紙2は容易に剥離し、転写媒
体の転写層は、普通紙1のみに残り、普通紙2には全く
残っていなかった。また、普通紙2のうち粘着層が接着
されていた接着部では、紙の剥がれ、破れ等は認められ
なかった。一方、比較例で得られた転写媒体の粘着層を
転写させると、普通紙1及び普通紙2は容易に剥離でき
ず、両者を無理矢理剥離させたところ、普通紙2は粘着
層が接着されていた接着部から破れた。
【0034】
【発明の効果】本発明の転写媒体は、非造膜性剥離層と
粘着層とを組み合わせているため、被転写体に対しては
強固に接着できるにも拘らず、被貼付基材に対しては低
減した粘着力により再剥離可能である。また、添加剤な
どで粘着力を調整することなく、汎用の粘着剤を用いて
も、粘着層の粘着力を利用して被貼付基材を長期間に亘
り繰返し剥離可能である。本発明の方法では、非造膜性
塗布剤と粘着剤とを基材に順次塗布するという簡単な操
作で、前記の如き優れた特性を有する転写媒体を簡便か
つ効率よく安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の転写媒体の一例を模式的に示す
概略断面図である。
【図2】図2は被転写体に転写した粘着層の使用状態を
示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…基材 2…非造膜性剥離層 3…非造膜部 4…粘着層 5…離型層 6…被転写体 7…被貼付基材
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 7/02 JKZ C09J 7/02 JKZ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の一方の面に、非造膜性の剥離層と
    粘着層とが順次形成されている転写媒体。
  2. 【請求項2】 剥離層の非造膜部を通じて、粘着層の粘
    着剤が基材面に滲出している請求項1記載の転写媒体。
  3. 【請求項3】 基材に対する剥離層の粘着力が150〜
    400g/cm である請求項1記載の転写媒体。
  4. 【請求項4】 基材の他方の面に離型層が形成されてい
    る請求項1記載の転写媒体。
  5. 【請求項5】 基材と剥離層との間に離型層が形成され
    ている請求項1記載の転写媒体。
  6. 【請求項6】 プラスチックテープの一方の面に、セル
    ロース系樹脂、アクリル系樹脂及びスチレン系樹脂から
    選ばれた少くとも一種の樹脂を含み、かつ乾燥後の塗布
    量が0.1〜2g/m2 の非造膜性剥離層と、アクリル
    系粘着剤を含み、かつ乾燥後の塗布量が5〜30g/m
    2 の粘着層とが順次形成され、前記テープの他方の面に
    離型層が形成されているとともに、繰出し可能にリール
    に巻き取られている請求項1記載の転写媒体。
  7. 【請求項7】 基材の一方の面に、(1)非造膜性樹脂
    で構成された非造膜製剥離層と、(2)粘着剤で構成さ
    れ、かつ前記剥離層の非造膜部を通じて前記基材面に滲
    出している粘着層とが順次形成され、前記基材の他方の
    面に離型層が形成されているとともに、前記基材に対す
    る剥離層の粘着力が30〜100g/cmである転写媒
    体。
  8. 【請求項8】 基材の一方の面に、非造膜性樹脂を含む
    塗布剤と、粘着剤とを順次塗布する転写媒体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 剥離層面の接着力(F2)と剥離層が形
    成されていない面の接着力(F1)との差(F1−F
    2)が30g/cm以上である請求項1記載の転写媒
    体。
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