JPH09241303A - 含フッ素化合物および表面改質剤、これを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

含フッ素化合物および表面改質剤、これを用いた磁気記録媒体

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JPH09241303A
JPH09241303A JP5448496A JP5448496A JPH09241303A JP H09241303 A JPH09241303 A JP H09241303A JP 5448496 A JP5448496 A JP 5448496A JP 5448496 A JP5448496 A JP 5448496A JP H09241303 A JPH09241303 A JP H09241303A
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siz
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och
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Application number
JP5448496A
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English (en)
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Hiroshi Sasaki
佐々木  洋
Saburo Shoji
三良 庄司
Takayuki Nakakawaji
孝行 中川路
Tomoe Takamura
友恵 高村
Mina Ishida
美奈 石田
Yutaka Ito
伊藤  豊
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】表面改質剤として有効なパーフルオロオキシア
ルキル鎖を有する含フッ素化合物の提供。 【解決手段】一般式(A)[式中R1は、−XRf〔R
fはパーフルオロオキシアルキル鎖,パーフルオロアル
キル鎖、XはOCH2CH2,OCO,OCH2,NHC
2CH2,NHCO,NHCOCH2CH2等,R2〜R6
は、OH、OSO2CH3、OSO265、OSO26
4CH3、OSO2107,直鎖または分岐のOCOC
l2l+1,OCl2l+1(lは1〜17の整数),シクロ
アルキル環を含むOCOCm+22m+3,OCm'+22m'+3
(mは1〜8、m’は1〜10の整数),O(CH2)3
iZ123等で表される含フッ素化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分子内にシクロデキ
ストリン骨格を有する含フッ素化合物、これを含む表面
改質剤およびこれを用いた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の記録密度の増加を
図るため、ヘッドとディスクの距離はますます小さくな
る傾向にある。また、高速で読み取りや書き込みを行な
うためにディスクの回転速度も大きくなってきている。
【0003】そのために、ヘッドとディスクとの接触の
機会が増え、しかもより高速で接触するためディスクの
耐摺動性は更に厳しくなることが予想される。この摺動
に対し、磁性層の摩耗を防ぐため、磁気ディスクの最外
層に適用される潤滑剤の改良が求められている。
【0004】このような潤滑剤としては、例えば、パー
フルオロオキシアルキル鎖の末端にピペロニル基を有す
る潤滑剤(特開昭61−4727号公報)、あるいはパ
ーフルオロオキシアルキル鎖の末端がアンモニウム塩構
造の潤滑剤(特開平5−301954号公報)等が提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの潤滑
剤はディスクへの塗布後の熱処理や、装置内での温度の
上昇によって飛散し、ディスク上の潤滑層が薄くなって
しまうと云う問題があった。この飛散は加熱による潤滑
剤の気化と考えられる。
【0006】この傾向は潤滑剤の分子量を大きくするほ
ど低減されるので、これまで分子量2000〜4000
程度のものが用いられている。なお、分子量は末端残基
の分子量が50〜300程度なので、パーフルオロオキ
シアルキル鎖の分子量を大きくすることで全体の分子量
を大きくしている。
【0007】しかし、分子量が約2000〜4000の
ものを用いても、100℃前後で数時間加熱すると20
〜40%程度は飛散してしまい、このことがディスクの
摺動耐久性の向上を図る上で障害となっていた。また、
分子量を大きくした場合、ディスク表面へ吸着する潤滑
剤量が減少する傾向もあった。このように潤滑剤の飛散
は重要な問題となっていた。
【0008】本発明の目的はパーフルオロオキシアルキ
ル鎖を有する低飛散性の含フッ素化合物、これを含む表
面改質剤およびこれを用いた磁気記録媒体を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】パーフルオロオキシアル
キル鎖を有する含フッ素化合物を種々検討した結果、下
記の含フッ素化合物が本発明の課題を解決することを見
出した。
【0010】その第1は一般式(A)
【0011】
【化10】
【0012】[式中R1は、−XRf〔Rfはパーフル
オロオキシアルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、Xは
OCH2CH2,OCO,OCH2,NHCH2CH2,N
HCO,NHCOCH2CH2
【0013】
【化11】
【0014】(q1〜q3は、水素,直鎖または分岐のC
k2k+1(kは1〜17の整数)を示し、互いに異なっ
ていてもよい)〕、R2〜R6は、OH、OSO2CH3
OSO265、OSO264CH3、OSO2
107,直鎖または分岐のOCOCl2l+1,OCl
2l+1(lは1〜17の整数),シクロアルキル環を含む
OCOCm+22m+3,OCm'+22m'+3(mは1〜8、
m'は1〜10の整数),O(CH2)3SiZ123,O
CO−r1−CO−r2〔r1はC24,C22,C
64、r2は−NH(CH2)3SiZ123,−NH(C
2)2NH(CH2)3SiZ123(Z1〜Z3はCH3
25,OCH3,OC25を示す)あるいは−XRf
を示し、互いに異なっていてもよい。〕n+n'は6〜
8の整数]で表される化合物(a)、または、〔式中R
1は、−NH(CH2)3SiZ123,−NHC69(O
3)(CH2)2SiZ123,−NHCH2(CH(O
3))CH2O(CH2)3SiZ123,−NHCH(CH
2(Or2))CH2O(CH2)3SiZ123(r3はOH,
−YRf、Z1〜Z3はCH3,C25,OCH3,OC2
5を示す)、R2〜R6は、OH,−YRf(Rfはパ
ーフルオロオキシアルキル鎖,パーフルオロアルキル
鎖、YはOCH2CH2,OCO,OCH2であり、か
つ、R2〜R6の少なくとも1つが−YRf)、n+n'
は6〜8の整数を示す〕で表される化合物(b)である
ことを特徴とする含フッ素化合物である。
【0015】その第2は、上記一般式(A)で示される
含フッ素化合物を含む表面改質材にある。
【0016】また、その第3は、非磁性支持体上に1層
以上の磁性体層を備えた磁気記録媒体において、前記磁
性体層、または、該磁性体層上に設けた保護層の表面
に、前記一般式(A)で表される含フッ素化合物を含有
する膜を形成したことを特徴とする磁気記録媒体にあ
る。
【0017】上記式(A)において、化合物(a)のn
/(n+n')が0.17〜1未満である含フッ素化合物が
好ましい。
【0018】また、前記式(A)において、化合物
(a)のR2〜R6が直鎖または分岐のOCOC
l2l+1,OCl2l+1(lは1〜7の整数),シクロア
ルキル環を含むOCOCm+22m+3(mは1〜4の整
数)である含フッ素化合物が好ましい。
【0019】前記式(A)において、化合物(a)のR
2〜R6がOHであり、かつ、R1のRfの平均分子量を
Mとしたとき、M・n/(n+n')が200未満である
ことが望ましい。
【0020】また、前記式(A)において、化合物
(a)のR2〜R6がO(CH2)3SiZ123,OCO
−r1−CO−r2〔r1はC24,C22,C64、r2
は−NH(CH2)3SiZ123(Z1〜Z3はCH3,C
25,OCH3,OC25を示す〕)である含フッ素化
合物が好ましい。
【0021】前記磁気記録媒体の磁性体層、または、磁
性体層に設けた保護層の表面に、アミノ基を有するシク
ロデキストリン誘導体と末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロオキシアルキルカルボン酸、あるいはパー
フルオロアルキルカルボン酸を含有する膜を形成した磁
気記録媒体にある。
【0022】上記のアミノ基を有するシクロデキストリ
ン誘導体は、その一部が架橋していてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】前記式(A)で示される本発明の
化合物の基本構造は、シクロデキストリンの水酸基の一
部または全部に、パーフルオロオキシアルキル鎖、ある
いはパーフルオロアルキル鎖を結合したものである。
【0024】このうち化合物(a)はR1が−XRfの
形になっている化合物であり、化合物(b)は−R1
末端にSiZ123の残基を有している化合物であ
る。はじめに化合物(a)について述べる。
【0025】シクロデキストリンは、でん粉に酵素(シ
クロデキストリングルカノトランスフェラーゼ)を作用
させることで得られる環状オリゴ糖であり、この反応で
は主としてグルコースユニットが6〜8個環状につなが
ったもの(グルコースユニットが6個のものはα−シク
ロデキストリン、7個のものはβ−シクロデキストリ
ン、8個のものはδ−シクロデキストリンと云う)が得
られる。
【0026】そのため式(A)のn+n'は6〜8が一
般的となる。但し、ごく僅かではあるがグルコースが9
〜13個つながったものも存在する(D.French et a
l.,Archives Biochemistry & Biophysics,11
,153(1965))。また、グルコースが5個つ
ながったものは合成によって得られる(中川淑郎 eta
l.,第13回シクロデキストリンシンポジウム講演要
旨集,83(1995))。
【0027】シクロデキストリンにはグルコースユニッ
ト1個当り1つの1級水酸基と2個の2級水酸基が存在
する。このうちパーフルオロオキシアルキル鎖、また
は、パーフルオロアルキル鎖が1級水酸基に結合する際
にはn/(n+n')の値は、α−シクロデキストリンで
は1/6以上、β−シクロデキストリンでは1/7以
上、δ−シクロデキストリンでは1/8以上になる必要
がある。これ未満の場合はパーフルオロオキシアルキル
鎖、または、パーフルオロアルキル鎖の結合していない
ものがかなり混ざっている可能性がある。
【0028】そこでα−、β−、γ−シクロデキストリ
ンの条件を勘案してパーフルオロオキシアルキル鎖、ま
たは、パーフルオロアルキル鎖が1級水酸基に結合する
際にはα−、β−、およびγ−シクロデキストリンのn
/(n+n')の値は、0.17(≒1/6)〜1未満であ
ることが好ましい。
【0029】前記式(A)において、−X−はパーフル
オロオキシアルキル鎖、または、パーフルオロアルキル
鎖(Rf)とシクロデキストリン骨格との結合部位を表
している。この部位は未修飾のシクロデキストリンの場
合は水酸基である。この水酸基はトシル化(パラトルエ
ンスルホニル化)を経てヨウ素化、あるいは、アミノ化
への修飾が容易である。この他にヨウ素基をシアン銅等
のシアン化合物と反応させてシアノ基へ、更にシアノ基
を酸化してカルボキシル基へ、逆に還元してアミノメチ
レン基へ修飾することが可能である。またアミノ基を酸
化することによりニトロ基へ修飾することも可能であ
る。しかし合成の段階が増えるのでよけいに時間とコス
トが必要になる。
【0030】また、化合物(a)の合成の際はパーフル
オロオキシアルキル鎖、または、パーフルオロアルキル
鎖を有する原料を用いるが、この原料の末端残基は主に
カルボキシル基(−CO2H)、ハイドロキシメチレン
基(−CH2OH)、ハイドロキシエチレン基(−CH2
CH2OH)、ヨウ化エチレン基(−CH2CH2I)で
ある。そのためパーフルオロオキシアルキル鎖、また
は、パーフルオロアルキル鎖を有する原料の末端残基
と、ヨウ素基やアミノ基が導入されたシクロデキストリ
ンのヨウ素基やアミノ基を反応させると、−X−はエー
テル結合、エステル結合、アミド結合、アミン結合、ま
たは、アンモニウム塩結合を含むものができる。
【0031】具体的には−OCH2CH2−、−OCO
−、−OCH2−、−NHCH2CH2−、−NHCO
−、−NHCOCH2CH2−、または、
【0032】
【化12】
【0033】(q1〜q3は水素、直鎖か分岐のアルキル
鎖のCk2k+1(kは1〜17の整数))と云ったもの
が挙げられる。
【0034】なお、ヨウ素基を有するシクロデキストリ
ンは、空気中の水分によって加水分解を受け、ヨウ素が
徐々に脱離する傾向がある。また、合成の際には原料や
溶媒からの脱水を十分行わないと反応の収率が極めて低
くなり、場合によっては全く進行しないこともある。
【0035】そのためアミノ基を有するシクロデキスト
リンの方が合成の際には有利である。この場合−X−と
しては−NHCH2CH2−、−NHCO−、−NHCO
CH2CH2−、または、
【0036】
【化13】
【0037】が挙げられる。
【0038】また、一般にエーテル結合やエステル結合
は、アミド結合に比べると加水分解を受け易い。エステ
ル結合は酸、塩基により容易に切断され易い。エーテル
結合は酸性条件で加温されると切断され易い。そのため
−X−としてはアミド結合が望ましい。
【0039】また、アミン結合は塩基性条件下では丈夫
であるが、酸を作用させるとアンモニウム塩構造に変化
する場合がある。しかし、これも結合が切断するわけで
はないので、用途上アンモニウム塩が問題ないならば望
ましい結合と云える。
【0040】ところでq1〜q3は、Hまたは直鎖か分岐
のアルキル鎖であり、炭素数1以上の場合はパーフルオ
ロアルカン系溶剤への溶解性が向上する傾向がある。し
かし、大きすぎるとその溶解性が低下するので、炭素数
としては17以下が望ましい。
【0041】また、水を含有する溶媒への溶解性を向上
させるには、q1〜q3はHであることが好ましい。
【0042】炭素数1以上のq1〜q3は、シクロデキス
トリンにアミノ基を導入した後、ハロゲン化アルキルを
反応させることによって得られる。
【0043】ハロゲン化アルキルとしてはエチルクロラ
イド、プロピルクロライド、ブチルクロライド、ペンチ
ルクロライド、ヘキシルクロライド、ヘプチルクロライ
ド、オクチルクロライド、ノニルクロライド、デシルク
ロライド、ウンデシルクロライド、ドデシルクロライ
ド、トリデシルクロライド、テトラデシルクロライド、
ペンタデシルクロライド、ヘキサデシルクロライド、ヘ
プタデシルクロライド、オクタデシルクロライド等の塩
化アルキルがある。
【0044】また、メチレンブロマイド、エチルブロマ
イド、プロピルブロマイド、ブチルブロマイド、ペンチ
ルブロマイド、ヘキシルブロマイド、ヘプチルブロマイ
ド、オクチルブロマイド、ノニルブロマイド、デシルブ
ロマイド、ウンデシルブロマイド、ドデシルブロマイ
ド、トリデシルブロマイド、テトラデシルブロマイド、
ペンタデシルブロマイド、ヘキサデシルブロマイド、ヘ
プタデシルブロマイド、オクタデシルブロマイド等の臭
化アルキルがある。
【0045】また、メチルイオダイド、エチルイオダイ
ド、プロピルイオダイド、ブチルイオダイド、ペンチル
イオダイド、ヘキシルイオダイド、ヘプチルイオダイ
ド、オクチルイオダイド、ノニルイオダイド、デシルイ
オダイド、ウンデシルイオダイド、ドデシルイオダイ
ド、トリデシルイオダイド、テトラデシルイオダイド、
ペンタデシルイオダイド、ヘキサデシルイオダイド、ヘ
プタデシルイオダイド、オクタデシルイオダイド等のヨ
ウ化アルキルがある。
【0046】なお、上記ハロゲン化アルキルは、アルキ
ル基がプロピル基以上の炭素数を有するものは、分岐の
アルキル鎖を有するものを含む。
【0047】また、シクロプロピルメチルクロライド、
シクロブチルクロライド、シクロペンチルクロライド、
2−シクロペンチルエチレンクロライド、シクロヘキシ
ルメチレンクロライド、2−シクロヘキシルエチレンク
ロライド、3−シクロヘキシルプロピレンクロライド、
4−シクロヘキシルブチルクロライド、シクロヘプチル
クロライド、シクロオクチルクロライド、シクロドデシ
ルクロライド等の環状の塩化アルキルが挙げられる。
【0048】また、シクロプロピルメチレンブロマイ
ド、シクロブチルブロマイド、シクロペンチルブロマイ
ド、2−シクロペンチルエチレンブロマイド、シクロヘ
キシルメチレンブロマイド、2−シクロヘキシルエチレ
ンブロマイド、3−シクロヘキシルプロピレンブロマイ
ド、4−シクロヘキシルブチルブロマイド、シクロヘプ
チルブロマイド、シクロオクチルブロマイド、シクロド
デシルブロマイド等の環状の臭化アルキルが挙げられ
る。
【0049】また、シクロプロピルメチレンイオダイ
ド、シクロブチルイオダイド、シクロペンチルイオダイ
ド、2−シクロペンチルエチレンイオダイド、シクロヘ
キシルメチレンイオダイド、2−シクロヘキシルエチレ
ンイオダイド、3−シクロヘキシルプロピレンイオダイ
ド、4−シクロヘキシルブチルイオダイド、シクロヘプ
チルイオダイド、シクロオクチルイオダイド、シクロド
デシルイオダイド等の環状のヨウ化アルキルが挙げられ
る。
【0050】Rfはパーフルオロオキシアルキル鎖、ま
たは、パーフルオロアルキル鎖である。パーフルオロオ
キシアルキル鎖を導入する際の原料としては、Du P
ont社製のKrytox〔繰り返し単位は−(CF(C
3)CF2O)α−〕、Montefluos社製のFo
mblin〔繰り返し単位は−(CF(CF3)−CF2O)
α−(CF2O)β−、または、−(CF2CF2O)α−(C
2O)β−〕、ダイキン工業社製のDEMNUM〔繰り
返し単位は−(CF2CF2CF2O)α−〕等が挙げられ
る。
【0051】これらの平均分子量は1500前後から1
5000程度までのものがある。分子量が大きいほど摺
動による飛散は少ない。
【0052】本発明の化合物を合成する際は、既述した
ようにカルボキシル基、ハイドロキシメチレン基、ハイ
ドロキシエチレン基、ヨウ化エチレン基等を持ったもの
を用いる。パーフルオロアルキル鎖を導入する際の原料
としては、パーフルオロオキシアルキル鎖の場合と同様
の末端残基を持ったものを用いる。
【0053】具体的にはトリフルオロ酢酸、パーフルオ
ロプロピオン酸、パーフルオロ酪酸、パーフルオロ吉草
酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン
酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、
パーフルオロデカン酸、パーフルオロドデカン酸、パー
フルオロテトラデカン酸、パーフルオロヘキサデカン
酸、パーフルオロオクタデカン酸がある。
【0054】また、2−(パーフルオロブチル)エチルイ
オダイド、2−(パーフルオロヘキシル)エチルイオダイ
ド、2−(パーフルオロオクチル)エチルイオダイド、2
−(パーフルオロデシル)エチルイオダイド、2−(パー
フルオロドデシル)エチルイオダイド、2−(パーフルオ
ロ−5−メチルヘキシル)エチルイオダイド、2−(パー
フルオロ−7−メチルオクチル)エチルイオダイド、2
−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチルイオダイ
ド、1H,1H−パーフルオロ−1−デカノール、1H,
1H−パーフルオロ−1−ドデカノール、1H,1H−
パーフルオロ−1−テトラデカノール、1H,1H−パ
ーフルオロ−1−ヘキサデカノール、1H,1H−パー
フルオロ−1−オクタデカノール等の化合物が挙げられ
る。
【0055】なお、パーフルオロアルキル鎖が長い(特
に、パーフルオロアルキル鎖の炭素数が3以上)ほど潤
滑性が向上する。また、摺動による飛散もパーフルオロ
アルキル鎖の分子量が大きいほど抑えられるので、潤滑
剤として用いる場合はパーフルオロ酪酸、または、これ
以上の長さのものを用いる方が好ましい。
【0056】Rfの原料は、パーフルオロオキシアルキ
ル鎖、または、パーフルオロアルキル鎖が長いほどフッ
素系の溶剤には溶解し易い傾向がある。しかし、アセト
ン等の通常の有機溶剤には溶解しにくい傾向も出てく
る。
【0057】一方、無修飾のシクロデキストリン、また
は、ヨウ素基やアミノ基を持ったシクロデキストリン誘
導体は、フッ素系の溶剤には溶解しにくい。そのため本
発明の化合物の溶解性はRfの分子量、n/(n+
n')、および、R2〜R6の種類によって異なってくる。
【0058】例えば、R2〜R6が−OHで、Rfの分子
量(以下Mと称す)が約469のパーフルオロデカン酸
を、アミノ基を有するシクロデキストリン誘導体と反応
させ、n/(n+n')が0.41と0.43の化合物を得
た後、水への溶解性を調べたところ、0.41のものは
約1%溶解したが、0.43のものは0.1%程度しか溶
解しなかった。
【0059】また、Mが約669のパーフルオロテトラ
デカン酸をアミノ基を有するシクロデキストリン誘導体
と反応させ、n/(n+n')が0.29と0.31の化合
物を得た後、水への溶解性を調べたところ、0.29の
ものは約1%溶解したが、0.31のものは0.1%程度
しか溶解しなかった。
【0060】更に、Mが約869のパーフルオロオクタ
デカン酸をアミノ基を有するシクロデキストリン誘導体
と反応させ、n/(n+n')が0.22と0.24の化合
物を得た後、水への溶解性を調べたところ、0.22の
ものは約1%溶解したが、0.31のものは0.1%程度
しか溶解しなかった。
【0061】以上の結果を考慮すると、M・n/(n+
n')が200未満のものがある程度水に溶解することが
分かった。この範囲の化合物は、火気が近くにあった
り、消防法の関係から有機溶剤の使用ができない場所で
使用する場合、溶剤として水が使用できるので有効であ
る。
【0062】R2〜R6は、無修飾のシクロデキストリン
の場合は水酸基(−OH)である。この残基はカルボン
酸ハライドやカルボン酸無水物等を作用させることで、
エステル結合を有する残基に置換したり、水酸基をアル
コラートにした後、あるいは、水素化ナトリウムを作用
させた後に、アルキルハライドを作用させることによっ
てエーテル結合を有する残基に置換することも可能であ
る。
【0063】また、エーテル結合を有する残基は、水酸
基を脱離基として作用するトシル基、または、ヨウ素基
に置換して水素化ナトリウムを作用させた後、アルキル
ハライドを作用させることによっても得られる。その他
スルホン酸ハライドやスルホン酸無水物を作用させるこ
とによって、スルホン酸エステルに置換することも可能
である。
【0064】R2〜R6に上記の置換を行なった化合物
を、表面が樹脂の媒体に塗布するとその表面の耐水性が
向上する。これは親水性の水酸基を疎水性の残基に変換
したことで、疎水性の樹脂に対する吸着性が高まるため
と考えられる。
【0065】また、R2〜R6をエステル、エーテル等の
結合を有する残基に置換することで、本発明の化合物は
有機溶媒に対する溶解性が向上する(水酸基のままだと
水に対する溶解性が向上する)。特に、直鎖,分岐、ま
たは、環状のアルキル鎖を有するエステル、または、エ
ーテル結合を有する残基に置換すると、有機溶剤に対す
る溶解性は向上する。但し、エーテル結合を有する残基
に変換する場合は、エステル結合を有する残基に変換す
る場合よりも反応条件が過酷であるため、エステル結合
を有する残基に変換する方が本発明の化合物を得易い。
【0066】シクロデキストリンの水酸基と反応させて
2〜R6部分を形成する試薬のうち、エステル結合を形
成させる試薬としては無水酢酸、無水プロピオン酸、無
水酪酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水ヘプタン
酸、無水オクタン酸、無水ノナン酸、無水デカン酸、無
水ドデカン酸、無水テトラデカン酸、無水ヘキサデカン
酸、無水オクタデカン酸(但し、無水酪酸以上の炭素数
を有するカルボン酸の無水物は分岐のアルキル鎖を有す
るものを含む)と云ったカルボン酸の無水物がある。
【0067】また、アセチルクロライド、プロピオン酸
クロライド、酪酸クロライド、吉草酸クロライド、ヘキ
サン酸クロライド、ヘプタン酸クロライド、オクタン酸
クロライド、ノナン酸クロライド、デカン酸クロライ
ド、ドデカン酸クロライド、テトラデカン酸クロライ
ド、ヘキサデカン酸クロライド、オクタデカン酸クロラ
イド(但し、酪酸クロライド以上の炭素数を有するカル
ボン酸クロライドは分岐のアルキル鎖を有するものを含
む)と云ったアルキル鎖を有するカルボン酸のクロライ
ドがある。
【0068】また、無水シクロプロパンカルボン酸、無
水シクロブタンカルボン酸、無水シクロペンタンカルボ
ン酸、無水シクロペンチルカルボン酸、無水シクロヘキ
サンカルボン酸、無水シクロヘキシルカルボン酸、無水
シクロヘキシル酢酸、無水3−シクロヘキサンプロピオ
ン酸、無水4−シクロヘキサンブタン酸、無水4−n−
ブチルシクロヘキサンカルボン酸と云った環状アルキル
鎖を有するカルボン酸の無水物や、シクロプロパンカル
ボン酸クロライド、シクロブタンカルボン酸クロライ
ド、シクロペンタンカルボン酸クロライド、シクロペン
チルカルボン酸クロライド、シクロヘキサンカルボン酸
クロライド、シクロヘキシルカルボン酸クロライド、シ
クロヘキシル酢酸クロライド、3−シクロヘキサンプロ
ピオン酸クロライド、4−シクロヘキサンブタン酸クロ
ライド、4−n−ブチルシクロヘキサンカルボン酸クロ
ライドと云った環状アルキル鎖を有するカルボン酸のク
ロライドが挙げられる。
【0069】次にR2〜R6部分を形成する試薬のうち、
エーテル結合を形成させる試薬としてはエチルクロライ
ド、プロピルクロライド、ブチルクロライド、ペンチル
クロライド、ヘキシルクロライド、ヘプチルクロライ
ド、オクチルクロライド、ノニルクロライド、デシルク
ロライド、ウンデシルクロライド、ドデシルクロライ
ド、トリデシルクロライド、テトラデシルクロライド、
ペンタデシルクロライド、ヘキサデシルクロライド、ヘ
プタデシルクロライド、オクタデシルクロライド等の塩
化物が挙げられる。
【0070】また、メチルブロマイド、エチルブロマイ
ド、プロピルブロマイド、ブチルブロマイド、ペンチル
ブロマイド、ヘキシルブロマイド、ヘプチルブロマイ
ド、オクチルブロマイド、ノニルブロマイド、デシルブ
ロマイド、ウンデシルブロマイド、ドデシルブロマイ
ド、トリデシルブロマイド、テトラデシルブロマイド、
ペンタデシルブロマイド、ヘキサデシルブロマイド、ヘ
プタデシルブロマイド、オクタデシルブロマイド等の臭
化物が挙げられる。
【0071】また、メチルイオダイド、エチルイオダイ
ド、プロピルイオダイド、ブチルイオダイド、ペンチル
イオダイド、ヘキシルイオダイド、ヘプチルイオダイ
ド、オクチルイオダイド、ノニルイオダイド、デシルイ
オダイド、ウンデシルイオダイド、ドデシルイオダイ
ド、トリデシルイオダイド、テトラデシルイオダイド、
ペンタデシルイオダイド、ヘキサデシルイオダイド、ヘ
プタデシルイオダイド、オクタデシルイオダイド等のヨ
ウ化物が挙げられる。
【0072】但し、これらのハロゲン化プロピル以上の
炭素数を有するものは、直鎖、または、分岐のハロゲン
化アルキルを含む。
【0073】また、シクロプロピルメチレンクロライ
ド、シクロブチルクロライド、シクロペンチルクロライ
ド、2−シクロペンチルエチレンクロライド、シクロヘ
キシルメチレンクロライド、2−シクロヘキシルエチレ
ンクロライド、3−シクロヘキシルプロピレンクロライ
ド、4−シクロヘキシルブチルクロライド、シクロヘプ
チルクロライド、シクロオクチルクロライド、シクロド
デシルクロライド等の環状の塩化アルキルが挙げられ
る。
【0074】シクロプロピルメチレンブロマイド、シク
ロブチルブロマイド、シクロペンチルブロマイド、2−
シクロペンチルエチレンブロマイド、シクロヘキシルメ
チレンブロマイド、2−シクロヘキシルエチレンブロマ
イド、3−シクロヘキシルプロピレンブロマイド、4−
シクロヘキシルブチルブロマイド、シクロヘプチルブロ
マイド、シクロオクチルブロマイド、シクロドデシルブ
ロマイド等の環状の臭化アルキルが挙げられる。
【0075】シクロプロピルメチレンイオダイド、シク
ロブチルイオダイド、シクロペンチルイオダイド、2−
シクロペンチルエチレンイオダイド、シクロヘキシルメ
チレンイオダイド、2−シクロヘキシルエチレンイオダ
イド、3−シクロヘキシルプロピレンイオダイド、4−
シクロヘキシルブチルイオダイド、シクロヘプチルイオ
ダイド、シクロオクチルイオダイド、シクロドデシルイ
オダイド等の環状のヨウ化アルキルが挙げられる。
【0076】これらの環状のハロゲン化アルキルは、直
鎖、分岐、または、環状のアルキル鎖を長くすると摺動
による飛散性を低減できるが、アルキル鎖が長すぎると
合成の際に用いる溶媒(例えば、ジクロルメタン、クロ
ロホルム等)に溶解しにくくなるので直鎖、または、分
岐の場合はアルキル鎖の炭素数が1〜7程度、環状の場
合はアルキル鎖の炭素数が3〜6程度が好ましい。
【0077】本発明の化合物を媒体、例えば、Si
2、金属、金属酸化物等の無機物、カーボン等の表面
に塗布する際、その表面に対する吸着性を大きく向上さ
せるには、R2〜R6末端を−SiZ123(Z1〜Z3
はCH3、C25、OCH3またはOC25)とした化合
物が有効である。具体的には−O(CH2)3−SiZ12
3、−O−CO−r1−CO−r2(r1はC24,C2
2,C64、r2は−NH(CH2)3SiZ123)等
が挙げられる。
【0078】この化合物の−SiZ123の部分は、
若干の加温で媒体表面の金属やSi等とオキサン結合を
形成し固定化される。R2〜R6のなるべく多くがこうし
た残基を有しているほど、媒体表面に対する吸着性が大
きい傾向がある。この固定化により摺動に伴う飛散を大
幅に抑制することができる。
【0079】なお、反応性を考慮するとZ1〜Z3のうち
2つ以上がOCH3、または、OC25であることが望
ましい。但し、R2〜R6に−SiZ123を有する置
換基を導入する際には、加熱操作を行うと−SiZ12
3が分解し、反応容器面等に結合することがあるので
注意を要する。
【0080】次に、化合物(b)の実施の形態について
述べる。化合物(b)は、R2〜R6のうち最低1個所が
パーフルオロオキシアルキル鎖、または、パーフルオロ
アルキル鎖を有する残基であり、かつ、R1の末端が−
SiZ123(Z1〜Z3はCH3,C25,OCH3
OC25)になっている化合物である。この化合物の−
SiZ123の部分は、媒体表面の金属やSi等とオ
キサン結合を形成して固定化される。
【0081】化合物(b)を合成する際は、1級水酸基
の幾つかにアミノ基を有するシクロデキストリン誘導体
と、末端が−SiZ123になっている化合物を反応
させる。この際、末端が−SiZ123になっている
化合物は、もう一方の末端がCl基、または、エポキシ
基の場合常温で反応が進行するので、−SiZ123
の分解が少なくてすむ点で前記の化合物(a)より有利
である。
【0082】−Y−はアミノ基を用いた結合も可能であ
る。但し、シクロデキストリンの2級水酸基にアミノ基
を導入する際に、必要な中間体である2級水酸基にトシ
ル基を有するシクロデキストリン誘導体は、非常に不安
定で加水分解し易い。そのためパーフルオロオキシアル
キル鎖、または、パーフルオロアルキル鎖を導入する
際、−Y−はエステルまたはエーテル結合の方が合成は
容易である。
【0083】本発明の化合物(a),(b)は、種々の
媒体の表面を改質する表面改質剤として使用することが
できる。
【0084】改質としては潤滑性、撥水性、防水性の向
上、塵埃の付着防止等がある。具体的な用途としては、
磁気ディスク表面、ベアリング、各種ギア等の潤滑剤、
また、空調機の放熱用フィン、テレビのVHF,UHF
用アンテナやパラボラアンテナ等の種々の室内外アンテ
ナ、送電線や電話線等の種々のケーブル、スキー、スノ
ーボードの滑走面、潜水服やスキーウェア等の表面、航
空機、船舶、建造物の外壁等の撥水剤、防水剤がある。
また、図表、絵画、写真、ポスター等の表面の塵埃付着
防止剤等がある。
【0085】本発明の化合物の適用法は、溶剤に溶解ま
たは懸濁させた液を目的の媒体に塗布する方法が挙げら
れる。用いた溶剤が蒸発することによって、表面改質層
が形成される。その際には、使用する溶媒としては媒体
表面を溶解,膨潤させないものを選択することが好まし
い。
【0086】また、本発明の化合物のうちシクロデキス
トリン残基へのパーフルオロオキシアルキル鎖、また
は、パーフルオロアルキル鎖の導入の割合が低い場合、
またはシクロデキストリンに導入したパーフルオロオキ
シアルキル鎖、または、パーフルオロアルキル鎖が短い
ものは固体状のものがある。これは媒体表面に擦り付け
ることによって表面改質層を形成させることも可能であ
る。
【0087】次に、本発明の代表的な実施形態の一例と
して磁気記録媒体について述べる。磁気記録媒体は電子
計算機、ワードプロセッサ等の外部メモリーとして用い
られ、ハードディスク装置やフロッピーディスク等が挙
げられる。
【0088】ディスクの大きさとしては、その用途によ
り1〜14インチのものがある。ハードディスク装置の
場合は、1枚または数枚のディスクを重ねることで大き
な記録容量を確保している。
【0089】こうしたディスクは、支持体である基板
(Al、Cu等の金属の合金、ガラス等のセラミック
ス、または、ポリカーボネート、ポリスチレン等の有機
高分子材料)、磁性体層(Fe,Co,Ni等を中心と
した合金、または、その酸化物)、保護層(カーボン、
SiC、SiO2等)、そして、本発明のフッ素化合物
を含有した膜で構成されている。必要に応じて基板と磁
性体層との間、または、磁性体層と保護層との間に、こ
れらの密着性等を改善する目的で新たな層(例えばN
i、Cr、およびZn系の錯体、酸化物、リン系の金属
錯体等)を設ける場合がある。
【0090】磁気記録媒体の保護層の上に形成される本
発明の膜は、膜厚30nm以下が望ましい。これは厚す
ぎるとヘッドとディスクの間に働く静止摩擦係数が大き
くなる恐れがあるからである。また、1nm未満では十
分な効果が得られない。
【0091】このような薄膜を形成するには、膜形成材
料を直接塗布するのではなく、適当な溶剤に溶解し、そ
れを浸漬塗布などによって形成する方法が、膜の厚さを
制御し易いので好ましい。
【0092】また、用いた溶剤の沸点や気化熱により後
処理の方法は異なるが常温、または、若干の加温、ある
いは常圧、減圧下で乾燥し、溶剤を除去する必要がな
る。この時、気化熱の大きな溶剤を用いると、空気中の
水分を当該膜中に取り込む恐れがあるので、溶剤として
は気化熱の小さなものが望ましい。
【0093】本発明の磁気記録媒体の保護層上に形成さ
れる膜は、シクロデキストリン誘導体を塗布した後、パ
ーフルオロオキシアルキル鎖、または、パーフルオロア
ルキル鎖を有する化合物を塗布することによっても得る
ことができる。
【0094】例えばアミノ基を有するシクロデキストリ
ン誘導体を水とメタノールが1:1(重量比)の溶液に
溶解し、磁気記録媒体の保護層上にスピンコートし、5
0℃,8時間乾燥して水とメタノールを揮発させる。次
に、パーフルオロオキシアルキルカルボン酸、または、
パーフルオロアルキルカルボン酸をフッ素系の溶剤に溶
解したものを塗布する。
【0095】フッ素系の溶剤を揮発後、赤外分光法(以
後IRと云う)でカルボニルの伸縮振動を調べたとこ
ろ、パーフルオロオキシアルキルカルボン酸、または、
パーフルオロアルキルカルボン酸のカルボキシル基がカ
ルボン酸アンモニウム塩に変わっており、上記カルボン
酸がシクロデキストリンのアミノ基と塩を形成して結合
していることが分かった。このようにして磁気記録媒体
の保護層上に膜を形成することも可能である。
【0096】シクロデキストリン誘導体として、シクロ
デキストリン環内の水酸基の一部がアミノ基に置換され
たマルトシルシクロデキストリン(シクロデキストリン
環にマルトースの枝が付いた化合物)の誘導体を用いた
場合、この化合物とパーフルオロオキシアルキルカルボ
ン酸、または、パーフルオロアルキルカルボン酸を磁気
記録媒体の保護層上に塗布した後にシランカップリング
剤を作用させると、マルトース部位の水酸基が膜内の別
のマルトシルシクロデキストリン誘導体と架橋して、更
に、分子量が大きくなり摺動による飛散を抑える効果を
高めることができる。
【0097】本発明の化合物は、分子中に分子量が10
00〜4000のシクロデキストリン残基を有してお
り、この残基にパーフルオロオキシアルキル鎖、また
は、パーフルオロアルキル鎖を導入することによって、
トータルでは数千から数万の分子量を有するものとな
る。このように分子量が大きいため、摺動による発生熱
による飛散が低減されるものと考える。
【0098】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明する。
【0099】〔実施例 1〕R1の−X−が−NHCO
−、−Rfが分子量約4000のパーフルオロトリメチ
レンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、R
2〜R6が−OCOCH3、n+n'が7、そして、n/
(n+n')が0.80である化合物1の合成方法を示す。
【0100】
【化14】
【0101】化合物1は5段階の反応によって合成され
る。1段階目はシクロデキストリンの水酸基のトシル
化、2段階目はそのトシル基のアジド化、3段階目はア
ミノ化である。4段階目は末端がカルボキシル基のパー
フルオロポリエーテルとのアミド化、最後の5段階目は
シクロデキストリンユニット内に残った水酸基のアセチ
ル化である。
【0102】始めに、トシル基を有するシクロデキスト
リンの誘導体の合成方法を記述する。β−シクロデキス
トリン(25重量部)をピリジン(150重量部)に溶
解し、容器の周りを氷水で冷し、容器の内容物の温度が
5℃以下になったら、p−トルエンスルホニルクロライ
ド:TsCl(30重量部)を加え、室温で2時間撹拌
し、その後50℃で2時間撹拌する。反応液を10%塩
酸の氷水溶液に注ぐと白色の固体が析出する。反応液を
注いだ後の氷水溶液が酸性でないときは、酸性になるま
で10%塩酸を加える。
【0103】白色固体をろ別し、5%塩酸でよく洗う。
その後洗液が中性になるまで水洗する。この白色固体を
乾燥後、なるべく少量のアセトンに溶解し、この溶液を
水に滴下すると再び白色固体が析出する。この固体をろ
別し、減圧下50℃で乾燥してトシル基を有するシクロ
デキストリンの誘導体(45重量部)を得る。
【0104】1H−NMRではシクロデキストリン部分
のシグナルは3.1〜5.7ppmにあり、トシル基の芳
香環のシグナルは7.0〜8.0ppmの間にあった。そ
こでこれらシグナルの積分値より、シクロデキストリン
の1級水酸基が平均で80%トシル化されていることが
分かった。
【0105】β−シクロデキストリンの代わりにα−、
または、γ−シクロデキストリンをトシル化する際も同
様の合成条件で行い、α−シクロデキストリンの場合は
平均で81%トシル化されたものが45重量部、γ−シ
クロデキストリンの場合は平均で83%トシル化された
ものが46重量部得られた。
【0106】上記反応で導入されたトシル基が、以後、
アジド化、アミノ化、そしてアミド化されるので、シク
ロデキストリンへのトシル基の導入割合でn/(n+
n')の値が決まってくる。トシル基の導入割合は、反応
の際に加えるTsCl量で決まる。表1にTsClの添
加量とn/(n+n')との関係を示す。そのため化合物
1〜化合物12においてn/(n+n')値の異なる化合
物が必要な場合は、TsClの添加量を制御することで
合成を行う。
【0107】
【表1】
【0108】次に、トシル基を有するシクロデキストリ
ンの誘導体のトシル基をアジド基に置換する方法を記述
する。
【0109】上記で得たトシル基を有するβ−シクロデ
キストリンの誘導体(20重量部)を80℃の水(20
0重量部)と1−プロパノールとの4:1(重量比)混
合液に懸濁し、アジ化ナトリウム(20重量部)を加え
還流下20時間撹拌する。更に、アジ化ナトリウム(5
重量部)を加え還流下20時間撹拌する。反応液を減圧
で50重量部まで濃縮後ろ過し、薄褐色の固体を得る。
これを水、引続き少量のアセトンで洗った後、常温・減
圧下で乾燥し、アジド基を有するシクロデキストリンの
誘導体(12重量部)が得られた。
【0110】次に、アジド基を有するシクロデキストリ
ンの誘導体のアジド基をアミノ基に置換する方法を記述
する。上記反応で得られたアジド基を有するシクロデキ
ストリンの誘導体(12重量部)をN,N−ジメチルホ
ルムアミド:DMF(200重量部)に溶解し、トリフ
ェニルホスフィン(6重量部)、25%アンモニア水
(40重量部)を加え、室温で8時間撹拌する。これを
水(2000重量部)に注ぐと薄褐色の固体が析出す
る。水:アセトンが1:1(重量比)の混合液で洗った
後、常温・減圧下で乾燥し、アミノ基を有するシクロデ
キストリンの誘導体(10重量部)が得られた。
【0111】次に、アミノ基を有するシクロデキストリ
ンの誘導体のアミノ基と、末端がカルボキシル基のパー
フルオロポリエーテルをアミド結合によって結合させる
方法を記述する。
【0112】パーフルオロポリエーテル(ダイキン工業
社製のDEMNUMのSH−2、分子量約4000)
(180重量部)をパーフルオロアルカンの一種である
FC−72(3M社製)(1000重量部)に溶解す
る。この溶液を0〜5℃に冷却し、これにジシクロヘキ
シルカルボジイミド:DCC(11重量部)とDMF
(50重量部)を加え、10分間撹拌する。
【0113】次に、上記反応で得られたアミノ基を有す
るシクロデキストリンの誘導体(10重量部)をDMF
(200重量部)に溶解し、この溶液を先のSH−2、
DCC、そしてDMFを有するFC−72液に加える。
0〜5℃で2時間、その後室温で50時間撹拌する。
【0114】12時間静置して上層のDMFを除いた
後、新たにDMF(200重量部)を加え、室温で1時
間撹拌した後12時間静置する。上層のDMFを除き、
下層のFC−72をG4のグラスフィルタでろ過した
後、FC−72をロータリーエバポレータで揮発させ、
アミド結合でパーフルオロポリエーテルを結合したシク
ロデキストリンの誘導体(180重量部)が得られた。
【0115】最後にアミド結合でパーフルオロポリエー
テルを結合したシクロデキストリンの誘導体の分子内の
水酸基をアセチル化する方法を記述する。
【0116】アミド結合でパーフルオロポリエーテルを
結合したシクロデキストリンの誘導体(180重量部)
をFC−72(1000重量部)に溶解する。これにピ
リジン(200重量部)と無水酢酸(30重量部)を加
え室温で2時間、その後50℃で3時間撹拌する。36
時間静置して上層のピリジンを除き、新たにDMF(2
00重量部)を加え、室温で1時間撹拌した後12時間
静置する。上層のDMFを除いた後、下層のFC−72
をロータリーエバポレータで揮発させることで化合物1
(180重量部)が得られた。図1に化合物1のIRス
ペクトルを示す。
【0117】〔実施例 2〕R1の−X−が−NHCO
−、−Rfが分子量約2000のパーフルオロトリメチ
レンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、R
2〜R6が−OCOCH3、n+n'が7、そしてn/(n
+n')が0.80である化合物2の合成は、実施例1に
おけるSH−2をSH−1(ダイキン工業社製のDEM
NUM、分子量約2000)(100重量部)に代える
以外は化合物1と同様の方法で行った。この結果、化合
物2(100重量部)が得られた。
【0118】なお、化合物2のIRスペクトルは130
0〜1000cm~1のCF伸縮の吸収が若干小さい以外
は化合物1と同様であった。
【0119】
【化15】
【0120】〔実施例 3〕R1の−X−が−NHCO
CH2CH2−、−Rfが分子量約519のパーフルオロ
アルキル鎖(−(CF2)10F)、R2〜R6が−OCOC
3、n+n'が7、そしてn/(n+n')が0.80であ
る化合物3の合成は、用いる材料をSH−2から3−
(パーフルオロデシル)プロピオン酸(28重量部)に代
える以外は化合物1と同様の方法で行った。
【0121】
【化16】
【0122】なお、3−(パーフルオロデシル)プロピオ
ン酸は以下のようにして合成した。2−(パーフルオロ
デシル)エチルイオダイド(40重量部)をN,N−ジメ
チルアセトアミド(200重量部)に懸濁し、これにシ
アン化銅(6重量部)を加え、還流下8時間撹拌する。
反応液が熱いうちに激しく撹拌した水(2000重量
部)に注ぐと、固体と水に不溶の液体が析出する。析出
した固体をろ紙で除去後、残液にパーフルオロアルカン
を主成分とするFC−77(3M社製)(500重量
部)を加えて撹拌した後12時間静置する。上層の水を
除去し、下層のFC−77をロータリーエバポレータで
揮発させ、3−(パーフルオロデシル)プロピオニトリル
(30重量部)を得る。
【0123】これに濃硫酸(300重量部)を加え2時
間撹拌した後、水(3000重量部)に注ぐ。ジエチル
エーテル(1000重量部)で抽出後、そのジエチルエ
ーテルを無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバ
ポレータでジエチルエーテルを揮発させて3−(パーフ
ルオロデシル)プロピオン酸(28重量部)を得た。こ
れを用い化合物3(30重量部)が得られた。図2に化
合物3のIRスペクトルを示す。
【0124】〔実施例 4〕R1の−X−が
【0125】
【化17】
【0126】−Rfが分子量約4000のパーフルオロ
トリメチレンオキシドの繰り返し単位を有するポリエー
テル、R2〜R6が−OH、n+n'が7、n/(n+n')
が0.80である化合物4の合成は、アミノ基を有する
シクロデキストリンの誘導体を得るまでは化合物1と同
様の方法で行った。
【0127】その後の方法は次の通りである。アミノ基
を有するシクロデキストリンの誘導体(10重量部)を
DMF(300重量部)に懸濁し、加温しながら撹拌し
て溶解させる。これにSH−2(180重量部)をFC
−72(500重量部)に溶解したものを加え、室温で
3時間撹拌後36時間静置する。上層のDMFを除去
し、下層のFC−72をロータリーエバポレータで揮発
させることで化合物4(180重量部)が得られた。図
3に化合物4のIRスペクトルを示す。
【0128】
【化18】
【0129】〔実施例 5〕R1の−X−が−NHCH2
CH2−、−Rfが分子量約519のパーフルオロアル
キル鎖(−(CF2)10F)、R2〜R6が−OCOCH3
n+n'が7、そしてn/(n+n')が0.80である化
合物5の合成は、アミノ基を有するシクロデキストリン
の誘導体を得るまでは化合物1と同様の方法で行った。
【0130】
【化19】
【0131】その後の方法は次の通りである。アミノ基
を有するシクロデキストリンの誘導体(10重量部)と
2−(パーフルオロデシル)エチルイオダイド(34重量
部)をDMF(300重量部)に懸濁し、100℃で8
時間撹拌する。室温まで冷却し、FC−77(300重
量部)を加え3時間撹拌後、12時間静置する。上層の
DMFを除去し、下層のFC−77をロータリーエバポ
レータで揮発させることでR1の−X−が−NHCH2
2−、−Rfが−(CF2)10F、R2〜R6が−OHのシ
クロデキストリンの誘導体(40重量部)が得られた。
【0132】これをFC−77(500重量部)に溶解
し、これにピリジン(200重量部)と無水酢酸(30
重量部)を加え室温で2時間、その後50℃で3時間撹
拌する。36時間静置して上層のピリジンを除き、新た
にDMF(200重量部)を加え、室温で1時間撹拌し
た後12時間静置する。上層のDMFを除いた後、下層
のFC−77をロータリーエバポレータで揮発させるこ
とで化合物5(40重量部)が得られた。
【0133】化合物5のIRスペクトルは,3400c
m~1近傍のNH伸縮の吸収が若干大きい以外は化合物1
のものと同様であった。
【0134】〔実施例 6〕R1の−X−が−OCH
2−、−Rfが分子量約469のパーフルオロアルキル
鎖(−(CF2)11F)、R2〜R6が−OCOCH3、n+
n'が7、n/(n+n')が0.80である化合物6の合
成は、トシル基を有するシクロデキストリンの誘導体を
得るところまでは化合物1と同様の方法で行った。
【0135】
【化20】
【0136】その後の方法は次の通りである。化合物1
の合成の際に合成したトシル基を有するシクロデキスト
リン誘導体(10重量部)をアセトン(50重量部)に
溶解し、これにヨウ化ナトリウム(6重量部)を加え、
8時間還流する。反応液を室温まで冷却し、水(500
重量部)に注ぐと白色固体が析出する。この固体をろ別
し、水洗後、なるべく少量のアセトンに溶解し水(50
0重量部)に注ぐと白色固体が析出する。この固体をろ
別し、水で洗った後減圧下50℃で乾燥した。こうして
トシル基を有するシクロデキストリン誘導体のトシル基
をヨウ素基に置換した化合物(9重量部)を得た。
【0137】次に、1H,1H−パーフルオロ−1−ド
デカノール(17重量部)をテトラヒドロフラン:TH
F(100重量部)に溶解し、更に水素化ナトリウム
(0.7重量部)を加え撹拌する。これに上記反応で得
たヨウ素基を有するシクロデキストリンの誘導体(9重
量部)をTHF(100重量部)に溶解したものを3時
間かけて加える。更に8時間撹拌した後、反応液を細か
く砕いた氷(1000重量部)に注ぐ。氷が溶解した
後、FC−77(100重量部)で3回抽出する。ロー
タリーエバポレータでFC−77を揮発させ、ヨウ素基
を有するシクロデキストリンの誘導体のヨウ素基を−O
CH2(CF2)11Fに置換した化合物(20重量部)を得
た。
【0138】これを全量FC−77(200重量部)に
溶解し、これにピリジン(60重量部)と無水酢酸(1
0重量部)を加え室温で2時間、その後50℃で3時間
撹拌する。36時間静置して上層のピリジンを除き、新
たにDMF(100重量部)を加え、室温で1時間撹拌
した後12時間静置する。上層のDMFを除いた後、下
層のFC−77をロータリーエバポレータで揮発させる
ことで化合物6(20重量部)が得られた。
【0139】なお、化合物6はエーテル結合を有してい
るので、それに由来する吸収が1200〜1000cm
~1近傍に観測されるはずであるが、吸収強度の大きなC
F伸縮由来の吸収と重なっているため、化合物1のIR
スペクトルと類似したものであった。
【0140】〔実施例 7〕R1の−X−が−NHCO
−、−Rfが分子量約4000のパーフルオロトリメチ
レンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、R
2〜R6が−OCO(CH2)7H、n+n'が7、n/(n+
n')が0.80である化合物7の合成は、無水酢酸(3
0重量部)の代わりに無水オクタン酸(80重量部)を
用いる以外は化合物1と同様の方法で行った。その結
果、化合物7(185重量部)が得られた。
【0141】
【化21】
【0142】なお,無水オクタン酸は次の方法で得た。
オクタン酸(79重量部)とDCC(103重量部)を
ジクロルメタン(300重量部)に溶解し3時間撹拌す
る。析出する固体を除去後、ロータリーエバポレータで
ジクロルメタンを揮発させ無水オクタン酸(74重量
部)を得た。
【0143】なお化合物7のIRスペクトルは1700
cm~1近傍のエステルのCO伸縮の吸収が若干大きい以
外は化合物1のものと同様であった。
【0144】〔実施例 8〕R1の−X−が−NHCO
−、−Rfが分子量約4000のパーフルオロトリメチ
レンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、R
2〜R6が−OCO(CH2)17H、n+n'が7、n/(n+
n')が0.80である化合物8の合成は、無水酢酸(3
0重量部)の代わりに無水オクタデカン酸(170重量
部)を用いる以外は化合物1と同様の方法で行った。そ
の結果、化合物8(190重量部)が得られた。
【0145】
【化22】
【0146】なお、無水オクタデカン酸はオクタン酸の
代わりにオクタデカン酸(142重量部)を用いる以外
は実施例7と同様の方法で行った。化合物8のIRスペ
クトルは1700cm~1近傍のエステルのCO伸縮の吸
収が若干大きい以外は、化合物1のものと同様であっ
た。
【0147】〔実施例 9〕R1の−X−が−NHCO
−、−Rfが分子量約4000のパーフルオロトリメチ
レンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、R
2〜R6が−OCOC611、n+n'が7、n/(n+
n')が0.80である化合物9の合成は、無水酢酸(3
0重量部)の代わりに無水シクロヘキサンカルボン酸
(70重量部)を用いる以外は、化合物1と同様の方法
で行い、化合物9(180重量部)が得られた。
【0148】
【化23】
【0149】なお、無水シクロヘキサンカルボン酸は、
オクタン酸の代わりにシクロヘキサンカルボン酸(64
重量部)を用いる以外は実施例7と同様の方法で行っ
た。化合物9のIRスペクトルは1700cm~1近傍の
エステルのCO伸縮の吸収が若干大きい以外は化合物1
のものと同様であった。
【0150】〔実施例 10〕R1の−X−が−NHC
O−、−Rfが分子量約4000のパーフルオロトリメ
チレンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、
2〜R6が−OCO(CH2)3611、n+n'が7、n
/(n+n')が0.80である化合物10の合成は、無水
酢酸(30重量部)の代わりに無水4−シクロヘキサン
ブタン酸(100重量部)を用いる以外は化合物1と同
様の方法で行い、化合物10(185重量部)が得られ
た。
【0151】
【化24】
【0152】なお、無水4−シクロヘキサンブタン酸
は、オクタン酸の代わりに4−シクロヘキサンブタン酸
(85重量部)を用いる以外は、実施例7と同様の方法
で行った。化合物10のIRスペクトルは1700cm
~1近傍のエステルのCO伸縮の吸収が若干大きい以外は
化合物1のものと同様であった。
【0153】〔実施例 11〕R1の−X−が−NHC
O−、−Rfが分子量約4000のパーフルオロトリメ
チレンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、
2〜R6が−O(CH2)3Si(OCH3)3、n+n'が
7、n/(n+n')が0.80である化合物11の合成
は、パーフルオロトリメチレンオキシドの繰り返し単位
を有するポリエーテル基を有するシクロデキストリンの
誘導体を得るところまでは化合物1と同様の方法で行っ
た。
【0154】
【化25】
【0155】その後の方法は次の通りである。化合物1
を合成する際に合成したパーフルオロトリメチレンオキ
シドの繰り返し単位を有するポリエーテル基を有するシ
クロデキストリンの誘導体(10重量部)を、FC−7
2(100重量部)に溶解する。これに1%サイラエー
スS620(チッソ(株)製)のエタノール溶液(30
0重量部)を加え、1時間攪拌後0℃で12時間静置す
る。上層のエタノールを除き、下層のFC−72をロー
タリーエバポレータで揮発(この時の加熱温度は30℃
以下)させることで化合物11(10重量部)が得られ
た。図4に化合物11のIRスペクトルを示す。
【0156】〔実施例 12〕R1の−X−が−NHC
O−、−Rfが分子量約4000のパーフルオロトリメ
チレンオキシドの繰り返し単位を有するポリエーテル、
2〜R6が−OCOC22CONH(CH2)3Si(OC2
5)3、n+n'が7、n/(n+n')が0.80である化
合物12の合成は、パーフルオロトリメチレンオキシド
の繰り返し単位を有するポリエーテル基を有するシクロ
デキストリンの誘導体を得るところまでは化合物1と同
様の方法で行った。
【0157】
【化26】
【0158】その後の方法は次の通りである。化合物1
の合成の際に合成したパーフルオロトリメチレンオキシ
ドの繰り返し単位を有するポリエーテル基を有するシク
ロデキストリンの誘導体(10重量部)を、FC−72
(100重量部)に溶解する。これにピリジン(100
重量部)と無水マレイン酸(10重量部)を加え室温で
2時間、その後50℃で3時間撹拌する。36時間静置
して上層のピリジンを除き、新たにDMF(100重量
部)を加え、室温で1時間撹拌した後12時間静置す
る。上層のDMFを除いた後、下層のFC−72をロー
タリーエバポレータで揮発させる。こうしてR2〜R6
末端をカルボキシル基に変換した。
【0159】次に、上記反応で得られた化合物の全量を
FC−72(100重量部)に溶解する。これに1%サ
イラエースS330(チッソ(株)製)のエタノール溶
液(300重量部)を加え、1時間攪拌後0℃で12時
間静置する。上層のエタノールを除き、下層のFC−7
2をロータリーエバポレータで揮発(この時の加熱温度
は30℃以下)させることで化合物12(10重量部)
が得られた。化合物12のIRスペクトルは3000〜
2800cm~1近傍のCH伸縮の吸収が若干大きい以外
は化合物11のものと同様であった。
【0160】〔実施例 13〕R1〜R6が−X−Rfで
あり、−X−が−OCO−、−Rfが分子量約469の
パーフルオロアルキル鎖(−(CF2)9F)、そしてnが
7である化合物13の合成を示す。
【0161】
【化27】
【0162】パーフルオロデカン酸(15重量部)をピ
リジンとトルエンが1:3(重量比)の混合液(100
重量部)に入れ、塩化チオニル(10重量部)を加えた
後8時間還流する。還流後、反応液をロータリーエバポ
レータで乾固させる。次に、β−シクロデキストリン
(1重量部)をピリジン(30重量部)に溶解し、これ
に先ほどロータリーエバポレータで乾固させた固体の全
量を加え室温で2時間、引き続き50℃で8時間攪拌す
る。反応液を10%塩酸氷水溶液(100重量部)に注
ぎ、析出する白色固体を濾取する。
【0163】この固体を5%塩酸で洗った後、更に洗液
が中性になるまで水で洗う。固体を減圧下50℃で乾燥
後FC−77(100重量部)に溶解し、ジエチルエー
テル(100重量部)を加え1時間攪拌後、12時間静
置する。上層のジエチルエーテルを除き、下層のFC−
77をロータリーエバポレータで揮発させることで化合
物13(10重量部)が得られた。化合物13のIRス
ペクトルは1700cm~1近傍のCO伸縮の吸収が若干
シャープになった以外は化合物1のものと同様であっ
た。
【0164】〔実施例 14〕磁気記録媒体の保護層表
面にアミノ基を有するシクロデキストリン誘導体と末端
にカルボキシル基を有するパーフルオロオキシアルキル
カルボン酸からなる塩を有する膜を持った磁気記録媒体
の構成を図5に示す。この磁気記録媒体の形成方法を示
す。
【0165】直径5.25インチ(厚さ約1mm)のA
l合金ディスク1の表面に、厚さ約15μmのNi−P
層2と、その上に厚さ約250nmのCr層3を設け、
この上にNi−Coの磁性層4を50nmの厚さにスパ
ッタ蒸着し、更に、カーボンからなる保護層5を150
nmの厚さに製膜したディスクを用意する。
【0166】次に実施例1と同様の方法でトシル基を有
するシクロデキストリンの誘導体(1重量部)をアセト
ン(1000重量部)に溶解し、この溶液に上記の磁気
ディスクを1時間浸漬する。ディスクを取り出した後、
50℃で3時間乾燥する。
【0167】次に、このディスクを1%サイラエースS
510(チッソ(株)製)のエタノール溶液(100重
量部)に10分間浸漬後取り出し、120℃下に1時間
放置する。このディスクを1%アジ化ナトリウム水溶液
(100重量部)に浸漬したまま水溶液を80℃に加熱
し、3時間攪拌する。
【0168】ディスクを取り出し、表面を水でよく洗浄
後、DMF(100重量部)と25%アンモニア水(1
0重量部)の混合液に浸す。トリフェニルホスフィン
(1重量部)を加え、8時間攪拌後ディスクを取り出
し、アセトン、引続き水で洗浄した後乾燥する。
【0169】このディスクをSH−2(1重量部)をF
C−72(1000重量部)に溶解した溶液中に1時間
浸漬する。浸漬中、溶液はよく攪拌しておく。浸漬後デ
ィスクをFC−72でよく洗浄し、乾燥することでアミ
ノ基を有するシクロデキストリン誘導体とパーフルオロ
オキシアルキルカルボン酸からなる塩を有する本発明の
化合物を含む層6からなる膜(厚さ約1〜30nm)
を、保護層5の表面に有する磁気記録媒体を得た。
【0170】〔実施例 15〕実施例14で用いた磁気
記録媒体の保護層表面の本発明の化合物を含む層6とし
て、シクロデキストリン誘導体が架橋されているものを
含む膜の形成方法は、SH−2の代わりにMontef
luos社製のFomblin Z−DIAC4000
(1重量部)を用いる以外は実施例14と同様にして形
成した。
【0171】〔実施例 16〕2.5インチのシリコー
ンウエハを、前記化合物1〜13の0.1重量%の溶液
に1分間浸漬し、引上げ速度1mm/sで引上げた後、
室温に2時間放置して溶剤を揮発させ、ウエハ表面に本
発明の化合物1〜13の膜を形成した。なお、溶媒は化
合物4の場合はメタノ−ル、それ以外はFC−72を用
いた。
【0172】次に、シリコーンウエハを用いる以外は実
施例14,15と同様にして、ウエハ表面にアミノ基を
有するシクロデキストリン誘導体とパーフルオロオキシ
アルキルカルボン酸からなる塩を有する膜を形成した。
次に、これらウエハ表面の、水との接触角を調べた結果
を表2に示す。
【0173】また、表2中の塗布した化合物14と15
は、実施例14,15と同様の方法で形成した膜であ
る。なお、化合物の塗布がないウエハ表面の水との接触
角は、26°であった。
【0174】この結果より本発明の化合物が撥水性を高
める表面改質剤として優れた効果を有することが分かっ
た。
【0175】
【表2】
【0176】〔実施例 17〕次に、本発明の化合物の
飛散性を調べた。実施例16で作成したシリコーンウエ
ハを120℃の恒温槽に10時間放置した後、シリコー
ンウエハ上の化合物の残量を、IRによる化合物のCF
伸縮の吸収の強度変化より見積もった値(残量割合%)
を表3に示す。なお、残量割合は120℃の恒温槽に1
0時間放置した後の吸収極大を、恒温槽に入れる前の吸
収極大で割った値である。
【0177】この値が大きいほど飛散性が低いことを意
味する。なお塗布した化合物14,15は、実施例1
4,15と同様の方法で製膜したシリコーンウエハの結
果である。
【0178】また、これらの比較例としてAM2001
(表3では化合物16と表示)を評価した。AM200
1はモンテフロス社製の含フッ素化合物であり、その分
子量は約2000である。上記の結果より本発明の化合
物の飛散性が低いことが分かった。
【0179】
【表3】
【0180】〔実施例 18〕実施例14で用いた最外
層にカーボン保護層を有するディスクを、化合物1〜1
3の0.1重量%の溶液に1分間浸漬し、引上げ速度1
mm/sで引上げた後、室温に2時間放置して溶剤を揮
発させ、化合物1〜13の膜を表面に形成した。
【0181】これらと実施例14,15で作成したディ
スクの摺動特性を、CSS法(コンタクトスタートスト
ップ法:試験機は小野田セメント(株)製)で評価し
た。条件は、回転数:3600rpm、1サイクル:3
0秒、最終サイクル数1000サイクル、ヘッド荷重:
10gで、最終サイクルのスティクション時の摩擦力で
評価した。なお、比較例としてステアリン酸アンモニウ
ム(表4では化合物17と表示)も評価した。結果を表
4に示す。
【0182】この結果より、本発明による磁気記録媒体
の表面の摺動特性が、非常に優れていることが分かっ
た。また、このことから本発明の化合物は潤滑性を向上
する表面改質剤として作用することが明らかとなった。
【0183】
【表4】
【0184】
【発明の効果】本発明によるパーフルオロオキシアルキ
ル鎖を有する低飛散性の含フッ素化合物を含む表面改質
剤は、撥水性に優れ、これを磁気記録媒体の表面に適用
することにより摺動特性の優れた磁気記録媒体を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物1のIRスペクトル図である。
【図2】化合物3のIRスペクトル図である。
【図3】化合物4のIRスペクトル図である。
【図4】化合物11のIRスペクトル図である。
【図5】実施例18で用いた磁気記録媒体の構成を示す
模式断面図である。
【符号の説明】
1…Al合金ディスク、2…Ni−P層、3…Cr層、
4…磁性層、5…保護層、6…本発明の化合物を含む
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 107/44 C10M 107/44 G11B 5/72 G11B 5/72 // C10N 40:18 (72)発明者 高村 友恵 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 石田 美奈 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 伊藤 豊 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(A) 【化1】 [式中R1は、−XRf〔Rfはパーフルオロオキシア
    ルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、XはOCH2
    2,OCO,OCH2,NHCH2CH2,NHCO,N
    HCOCH2CH2, 【化2】 (q1〜q3は、水素,直鎖または分岐のCk2k+1(k
    は1〜17の整数)を示し、互いに異なっていてもよ
    い)〕、 R2〜R6は、OH、OSO2CH3、OSO265、O
    SO264CH3、OSO2107,直鎖または分岐の
    OCOCl2l+1,OCl2l+1(lは1〜17の整
    数),シクロアルキル環を含むOCOCm+22m+3,O
    m'+22m'+3(mは1〜8、m’は1〜10の整
    数),O(CH2)3SiZ123,OCO−r1−CO−
    2〔r1はC24,C22,C64、r2は−NH(CH
    2)3SiZ123,−NH(CH2)2NH(CH2)3SiZ
    123(Z1〜Z3はCH3,C25,OCH 3,OC2
    5を示す)あるいは−XRfを示し、互いに異なってい
    てもよい。〕n+n'は6〜8の整数]で表される化合
    物(a)、または、〔式中R1は、−NH(CH2)3Si
    123,−NHC69(Or3)(CH2)2SiZ12
    3,−NHCH2(CH(Or3))CH2O(CH2)3SiZ1
    23,−NHCH(CH2(Or2))CH2O(CH2)3
    iZ123(r3はOH,−YRf、Z1〜Z3はC
    3,C25,OCH3,OC25を示す)、 R2〜R6は、OH,−YRf(Rfはパーフルオロオキ
    シアルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、YはOCH2
    CH2,OCO,OCH2であり、かつ、R2〜R6の少な
    くとも1つが−YRf)、n+n'は6〜8の整数を示
    す〕で表される化合物(b)であることを特徴とする含
    フッ素化合物。
  2. 【請求項2】 前記式(A)において、化合物(a)の
    n/(n+n')が0.17〜1未満である請求項1に記載
    の含フッ素化合物。
  3. 【請求項3】 前記式(A)において、化合物(a)の
    1が−XRf〔Rfはパーフルオロオキシアルキル
    鎖,パーフルオロアルキル鎖、XはNHCH2CH2,N
    HCO,NHCOCH2CH2, 【化3】 (q1〜q3は水素,直鎖または分岐のCk2k+1(kは
    1〜17の整数)で、互いに異なっていてもよい)〕で
    あることを特徴とする含フッ素化合物。
  4. 【請求項4】 前記式(A)において、化合物(a)の
    2〜R6が直鎖または分岐のOCOCl2l+1,OCl
    2l+1(lは1〜7の整数),シクロアルキル環を含むO
    COCm+22m+3(mは1〜4の整数)であることを特
    徴とする含フッ素化合物。
  5. 【請求項5】 前記式(A)において、化合物(a)の
    2〜R6がOHであり、R1が−XRfで、Rfの平均
    分子量をMとしたとき、M・n/(n+n')が200未
    満であることを特徴とする含フッ素化合物。
  6. 【請求項6】 前記式(A)において、化合物(a)の
    2〜R6が、O(CH2)3SiZ123,OCO−r1
    CO−r2〔r1はC24,C22,C64、r2は−N
    H(CH2)3SiZ123(Z1〜Z3はCH3,C25
    OCH3,OC25)を示す〕であることを特徴とする
    含フッ素化合物。
  7. 【請求項7】 一般式(A) 【化4】 [式中R1は、−XRf〔Rfはパーフルオロオキシア
    ルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、XはOCH2
    2,OCO,OCH2,NHCH2CH2,NHCO,N
    HCOCH2CH2, 【化5】 (q1〜q3は、水素,直鎖または分岐のCk2k+1(k
    は1〜17の整数)を示し、互いに異なっていてもよ
    い)〕、 R2〜R6は、OH、OSO2CH3、OSO265、O
    SO264CH3、OSO2107,直鎖または分岐の
    OCOCl2l+1,OCl2l+1(lは1〜17の整
    数),シクロアルキル環を含むOCOCm+22m+3,O
    m'+22m'+3(mは1〜8、m'は1〜10の整数),
    O(CH2)3SiZ123,OCO−r1−CO−r
    2〔r1はC24,C22,C64、r2は−NH(CH2)
    3SiZ123,−NH(CH2)2NH(CH2)3SiZ1
    23(Z1〜Z3はCH3,C25,OCH3,OC25
    を示す)あるいは−XRfを示し、互いに異なっていて
    もよい。〕n+n'は6〜8の整数]で表される化合物
    (a)、または、〔式中R1は、−NH(CH2)3SiZ1
    23,−NHC69(Or3)(CH2)2SiZ123
    −NHCH2(CH(Or3))CH2O(CH2)3SiZ12
    3,−NHCH(CH2(Or2))CH2O(CH2)3SiZ
    123(r3はOH,−YRf、Z1〜Z3はCH3,C2
    5,OCH3,OC25を示す)、 R2〜R6は、OH,−YRf(Rfはパーフルオロオキ
    シアルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、YはOCH2
    CH2,OCO,OCH2であり、かつ、R2〜R6の少な
    くとも1つが−YRf)、n+n'は6〜8の整数を示
    す〕で表される化合物(b)を含有することを特徴とす
    る表面改質剤。
  8. 【請求項8】 前記式(A)において、化合物(a)の
    n/(n+n')が0.17〜1未満である請求項1に記載
    の表面改質剤。
  9. 【請求項9】 前記式(A)において、化合物(a)の
    1が−XRf〔Rfはパーフルオロオキシアルキル
    鎖,パーフルオロアルキル鎖、XはNHCH2CH2,N
    HCO,NHCOCH2CH2, 【化6】 (q1〜q3は水素,直鎖または分岐のCk2k+1(kは
    1〜17の整数)で、互いに異なっていてもよい)〕で
    ある化合物を含有することを特徴とする表面改質剤。
  10. 【請求項10】 前記式(A)において、化合物(a)
    のR2〜R6が直鎖または分岐のOCOCl2l+1,OCl
    2l+1(lは1〜7の整数),シクロアルキル環を含む
    OCOCm+22m+3(mは1〜4の整数)である化合物
    を含有することを特徴とする表面改質剤。
  11. 【請求項11】 前記式(A)において、化合物(a)
    のR2〜R6がOHであり、R1が−XRfで、Rfの平
    均分子量をMとしたとき、M・n/(n+n’)が20
    0未満である化合物を含有することを特徴とする表面改
    質剤。
  12. 【請求項12】 前記式(A)において、化合物(a)
    のR〜R6が、O(CH2)3SiZ123,OCO−r
    1−CO−r2〔r1はC24,C22,C64、r2は−
    NH(CH2)3SiZ123(Z1〜Z3はCH3,C
    25,OCH3,OC25)を示す〕である化合物を含
    有することを特徴とする表面改質剤。
  13. 【請求項13】 アミノ基を有するシクロデキストリン
    誘導体と末端にカルボキシル基を有するパーフルオロオ
    キシアルキルカルボン酸、あるいはパーフルオロアルキ
    ルカルボン酸を含有することを特徴とする表面改質剤。
  14. 【請求項14】 非磁性支持体上に1層以上の磁性体層
    を備えた磁気記録媒体において、前記磁性体層、また
    は、該磁性体層上に設けた保護層の表面に一般式(A) 【化7】 [式中R1は、−XRf〔Rfはパーフルオロオキシア
    ルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、XはOCH2
    2,OCO,OCH2,NHCH2CH2,NHCO,N
    HCOCH2CH2, 【化8】 (q1〜q3は、水素,直鎖または分岐のCk2k+1(k
    は1〜17の整数)を示し、互いに異なっていてもよ
    い)〕、 R2〜R6は、OH、OSO2CH3、OSO265、O
    SO264CH3、OSO2107,直鎖または分岐の
    OCOCl2l+1,OCl2l+1(lは1〜17の整
    数),シクロアルキル環を含むOCOCm+22m+3,O
    m'+22m'+3(mは1〜8、m'は1〜10の整数),
    O(CH2)3SiZ123,OCO−r1−CO−r
    2〔r1はC24,C22,C64、r2は−NH(CH2)
    3SiZ123,−NH(CH2)2NH(CH2)3SiZ1
    23(Z1〜Z3はCH3,C25,OCH3,OC25
    を示す)あるいは−XRfを示し、互いに異なっていて
    もよい。〕n+n'は6〜8の整数]で表される化合物
    (a)、または、〔式中R1は、−NH(CH2)3SiZ1
    23,−NHC69(Or3)(CH2)2SiZ123
    −NHCH2(CH(Or3))CH2O(CH2)3SiZ12
    3,−NHCH(CH2(Or2))CH2O(CH2)3SiZ
    123(r3はOH,−YRf、Z1〜Z3はCH3,C2
    5,OCH3,OC25を示す)、 R2〜R6は、OH,−YRf(Rfはパーフルオロオキ
    シアルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、YはOCH2
    CH2,OCO,OCH2であり、かつ、R2〜R6の少な
    くとも1つが−YRf)、n+n'は6〜8の整数を示
    す〕で表される化合物(b)で表される含フッ素化合物
    を含有する膜を形成したことを特徴とする磁気記録媒
    体。
  15. 【請求項15】 前記式(A)において、化合物(a)
    のn/(n+n')が0.17〜1未満である請求項14に
    記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 非磁性支持体上に1層以上の磁性体層
    を備えた磁気記録媒体において、前記磁性体層、また
    は、該磁性体層上に設けた保護層の表面に前記式(A)
    で示す化合物(a)のR1が−XRf〔Rfはパーフル
    オロオキシアルキル鎖,パーフルオロアルキル鎖、Xは
    NHCH2CH2,NHCO,NHCOCH2CH2, 【化9】 (q1〜q3は水素,直鎖または分岐のCk2k+1(kは
    1〜17の整数)で、互いに異なっていてもよい)〕で
    表される含フッ素化合物を含有する膜を形成したことを
    特徴とする磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 非磁性支持体上に1層以上の磁性体層
    を備えた磁気記録媒体において、前記磁性体層、また
    は、該磁性体層上に設けた保護層の表面に前記式(A)
    で示す化合物(a)のR2〜R6が直鎖または分岐のOC
    OCl2l+1,OCl2l+1(lは1〜7の整数),シク
    ロアルキル環を含むOCOCm+22m+3(mは1〜4の
    整数)で表される含フッ素化合物を含有する膜を形成し
    たことを特徴とする磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 非磁性支持体上に1層以上の磁性体層
    を備えた磁気記録媒体において、前記磁性体層、また
    は、該磁性体層上に設けた保護層の表面に前記式(A)
    で示す化合物(a)のR2〜R6がOHであり、R1が−
    XRfで、Rfの平均分子量をMとしたとき、M・n/
    (n+n')が200未満である含フッ素化合物を含有す
    る膜を形成したことを特徴とする磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 非磁性支持体上に1層以上の磁性体層
    を備えた磁気記録媒体において、前記磁性体層、また
    は、該磁性体層上に設けた保護層の表面に前記式(A)
    で示す化合物(a)のR2〜R6がO(CH2)3SiZ12
    3,OCO−r1−CO−r2〔r1はC24,C22
    64、r2は−NH(CH2)3SiZ123(Z1〜Z3
    はCH3,C25,OCH3,OC25)を示す〕で表さ
    れる含フッ素化合物を含有する膜を形成したことを特徴
    とする磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 非磁性支持体上に1層以上の磁性体層
    を備えた磁気記録媒体において、前記磁性体層、また
    は、該磁性体層上に設けた保護層の表面にアミノ基を有
    するシクロデキストリン誘導体と末端にカルボキシル基
    を有するパーフルオロオキシアルキルカルボン酸、ある
    いはパーフルオロアルキルカルボン酸を含有する膜を形
    成したことを特徴とする磁気記録媒体。
  21. 【請求項21】 前記アミノ基を有するシクロデキスト
    リンが一部架橋している請求項20に記載の磁気記録媒
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2796955A1 (fr) * 1999-07-29 2001-02-02 Univ Rouen Cyclodextrines monosubstitues a persubstitues par des groupements fluoroalkyles, leur preparation et leur utilisation
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