JP2016203478A - フルオロオキシアルキル基含有ポリマーを含む表面処理剤及び該表面処理剤で処理された物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面に10nm以下のフッ素層を形成することにより表面処理された物品であって、該フッ素層が末端に繰り返し単位数10〜200のパーフルオロオキシアルキル基を2個以上有するポリマーを含む表面処理剤の硬化被膜によって構成され、かつ該表面のオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする表面処理された物品。
【選択図】なし
Description
本発明者らは、かかる要求に応えるべく、片末端に加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有シランカップリング剤(特許文献2、3:特開2007−297589号公報、特開2011−116947号公報)や、ポリフルオロオキシアルキレン−ポリシロキサン共重合体を含む表面処理剤(特許文献4:特開2008−88412号公報)を提案している。しかし、布などの拭き取り操作によりフッ素膜が薄くなると、撥水撥油性は維持するものの、動摩擦係数が上昇してしまう場合があるため、更なる改善が必要であった。
そこで、本発明は、上述した要求に応えるような表面処理が施された物品、更には該物品を表面処理するための表面処理剤を提供することを目的とする。
で示されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマー、その部分加水分解物あるいはその部分加水分解縮合物を含む表面処理剤の硬化被膜によって構成され、かつ該表面のオレイン酸に対する接触角が70°以上である表面処理物品が、薄膜であっても撥水撥油性、離型性、表面の滑り性(低動摩擦性)及びそれらの耐久性に優れ、更に表面処理のコストも低減できることを見出し、本発明をなすに至った。
〔1〕
表面に10nm以下のフッ素層を形成することにより表面処理された物品であって、該フッ素層が末端に繰り返し単位数10〜200のパーフルオロオキシアルキル基を2個以上有するポリマーを含む表面処理剤の硬化被膜によって構成され、かつ該表面のオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする表面処理された物品。
〔2〕
フッ素層を形成する際に、被処理表面が予めSiO2で表面処理されていることを特徴とする〔1〕に記載の物品。
〔3〕
ガラス製であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の物品。
〔4〕
樹脂製であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の物品。
〔5〕
末端に繰り返し単位数10〜200のパーフルオロオキシアルキル基を2個以上有するポリマーが、下記一般式(1)で示されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマー、その部分加水分解物及び/又はその部分加水分解縮合物であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の物品。
〔6〕
Wが、下記式(2a)〜(2о)から選ばれる基であることを特徴とする〔5〕に記載の物品。
〔7〕
式(2a)〜(2о)において、Xが炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜10のアシロキシ基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン基及びシラザン基からなる群より選ばれる加水分解性基を有する1価の基である〔6〕に記載の物品。
〔8〕
式(1)において、Rfが、下記一般式(3)
CF3−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−Q− (3)
(式中、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Qは単結合又は2価の有機基である。)
で示されるパーフルオロオキシアルキル基を含む1価の基であることを特徴とする〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の物品。
〔9〕
式(3)において、p+q+r+s+t=15〜100である〔8〕に記載の物品。
〔10〕
式(3)において、Qが、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、アルキレン結合、アリーレン結合、ジオルガノシリレン結合、及びシロキサン結合の1種又は2種以上を含む2価の基であることを特徴とする〔8〕又は〔9〕に記載の物品。
〔11〕
下記一般式(1)で示されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマー、その部分加水分解物及び/又はその部分加水分解縮合物を含む表面処理剤。
〔12〕
Wが、下記式(2a)〜(2о)から選ばれる基であることを特徴とする〔11〕に記載の表面処理剤。
〔13〕
式(2a)〜(2о)において、Xが炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜10のアシロキシ基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン基及びシラザン基からなる群より選ばれる加水分解性基を有する1価の基である〔12〕に記載の表面処理剤。
〔14〕
式(1)において、Rfが、下記一般式(3)
CF3−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−Q− (3)
(式中、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Qは単結合又は2価の有機基である。)
で示されるパーフルオロオキシアルキル基を含む1価の基であることを特徴とする〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載の表面処理剤。
〔15〕
式(3)において、p+q+r+s+t=15〜100である〔14〕に記載の表面処理剤。
〔16〕
式(3)において、Qが、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、アルキレン結合、アリーレン結合、ジオルガノシリレン結合、及びシロキサン結合の1種又は2種以上を含む2価の基であることを特徴とする〔14〕又は〔15〕に記載の表面処理剤。
〔17〕
式(1)で示されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの部分加水分解物を、該フルオロオキシアルキル基含有ポリマー100質量部に対し、0.1〜99質量部含むことを特徴とする〔11〕〜〔16〕のいずれかに記載の表面処理剤。
〔18〕
更に、溶剤を含むことを特徴とする〔11〕〜〔17〕のいずれかに記載の表面処理剤。
〔19〕
溶剤が、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、メトキシパーフルオロエプテン、デカフルオロペンタン、ペンタフルオロブタン、パーフルオロヘキサン、及びヘキサフルオロメタキシレンから選ばれるものである〔18〕に記載の表面処理剤。
本発明の表面処理された物品は、表面に10nm以下のフッ素層を形成することにより表面処理された物品であって、該フッ素層が末端に繰り返し単位数10〜200のパーフルオロオキシアルキル基を2個以上有するポリマーを含む表面処理剤の硬化被膜によって構成され、かつ該表面のオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする。
CF3−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−Q− (3)
(式中、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Qは単結合又は2価の有機基である。)
W−Dn (4)
(式中、Dは反応性基又はRfで、少なくとも1つは反応性基である。W、n、Rfは上記の通りである。)
で示される、末端に反応性の基、例えばSiH基、不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を有する化合物(i)と、下記一般式(5)
E−Rf’ (5)
(式中、Eは反応性基であり、Rf’は繰り返し単位数10〜200のパーフルオロオキシアルキル基である。)
で示される、フルオロオキシアルキル基の片末端に反応性の基、例えば不飽和基、SiH基、酸フロライド基、酸クロライド基、カルボキシル基、エステル基を有するフッ素化合物(ii)とを反応させることで製造することができる。
上記式(5)において、Eの反応性基としては、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、アルキレン結合、アリーレン結合、ジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基、シロキサン結合からなる群より選ばれる1種又は2種以上の構造を含んでいてもよい、末端がビニル基、アリル基等の炭素数2〜50のアルケニル基、ヒドロキシル基、酸フロライド基、酸クロライド基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、SiH基である1価の基等が挙げられる。
また、Rf’は、繰り返し単位数10〜200のフルオロオキシアルキル基であり、該フルオロオキシアルキル基としては、下記一般式(6)
CF3−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d− (6)
(式中、d、p、q、r、s、tは上記の通りである。)
で示されるパーフルオロオキシアルキル基であることが好ましい。
更に、上記で得られた分子鎖片末端にアリル基を2つ及び水酸基を1つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを、溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどのフッ素系溶剤に溶解させ、トリメトキシシラン等の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物を、ヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃で、1〜72時間、好ましくは36〜60時間、より好ましくは約48時間熟成させることで、上記DとしてRf基を1つ及びOH基を1つ有し、加水分解性基を有する基を2つ有し、これらが炭素原子に結合するポリマーを得ることができる。
上記で得られた分子鎖片末端にアリル基を2つ及び水酸基を1つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを、臭化アリル、硫酸水素テトラブチルアンモニウム及びアルカリ存在下、50〜70℃、より好ましくは約60℃で、1〜24時間、好ましくは3〜5時間熟成した後、塩酸で処理することで、分子鎖片末端にアリル基を3つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを得ることができる。
更に、上記で得られた分子鎖片末端にアリル基を3つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを、溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどのフッ素系溶剤に溶解させ、トリメトキシシラン等の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物をアリル基の0.33モル当量加え、ヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃で、1〜72時間、好ましくは36〜60時間、より好ましくは約48時間熟成させることで、上記DとしてRf基を1つ及びアリル基を2つ有し、加水分解性基を有する基を1つ有し、これらが炭素原子に結合するポリマーを得ることができる。
上記で得られた分子鎖片末端にケイ素原子に結合したハロゲン基を3つ有するパーフルオロオキシアルキル基含有ポリマーに、求核剤としてグリニャール試薬、溶剤として例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、テトラヒドロフランを混合し、0〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは約60℃で、1〜6時間、好ましくは3〜5時間、より好ましくは約4時間熟成することで、分子鎖片末端のケイ素原子にアリル基を3つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを得ることができる。
更に、上記で得られた分子鎖片末端のケイ素原子にアリル基を3つ有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマーを、溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどのフッ素系溶剤に溶解させ、トリメトキシシラン等の分子中にSiH基及び加水分解性末端基を有する有機ケイ素化合物をアリル基の0.33モル当量加え、ヒドロシリル化反応触媒、例えば塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液存在下、40〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは約80℃で、1〜72時間、好ましくは36〜60時間、より好ましくは約48時間熟成させることで、上記DとしてRf基を1つ及びアリル基を2つ有し、加水分解性基を有する基を1つ有し、これらがケイ素原子に結合するポリマーを得ることができる。
上記化合物(i)とフッ素化合物(ii)とを付加反応触媒の存在下に付加反応させる際の反応条件としては、60〜150℃、特に70〜100℃にて、0.5〜240時間、特に1〜72時間とすることが好ましい。
Rf’−CH2CH=CH2 (8)
(式中、Rf’は上記と同じである。)
で示される化合物を用い、下記式(9)
で示される化合物を得る場合の調製方法を更に詳細に説明する。
付加反応は、上記で準備した1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンにビニルトリメトキシシランが1つ付加した化合物(式(7)で示されるオルガノシロキサン)1モルとアリル基を末端に有するフルオロオキシアルキル基含有ポリマー(式(8)で示される化合物)3モルを適量の1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンに溶解させ、90℃まで昇温した後、触媒として、塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体を白金として0.01〜5ppm投入し、90℃で30分〜24時間熟成する。その後、溶媒を留去することで、目的の化合物(式(9)で示される化合物)を得ることができる。
ここで、フルオロオキシアルキル基含有ポリマーの部分加水分解物と部分加水分解縮合物は、上記フルオロオキシアルキル基含有ポリマー100質量部に対し、部分加水分解物は0.1〜99質量部含むことが好ましく、部分加水分解縮合物は0.1〜30質量部含むことが好ましい。部分加水分解縮合物が多すぎると、基材と反応する官能基の割合が少なくなるため、密着性が悪くなる。
加水分解縮合触媒の添加量は触媒量であり、通常、上記フルオロオキシアルキル基含有ポリマー、その部分加水分解物あるいはその部分加水分解縮合物の合計100質量部に対して0.01〜5質量部、特に0.1〜1質量部であることが好ましい。
また、硬化被膜(フッ素層)の膜厚は、10nm以下であり、好ましくは3〜10nmであり、より好ましくは4〜8nmである。上記範囲内の膜厚であると光学特性に影響を与えない。従来の表面処理剤は、10nm以下では耐久性が悪く、厚く塗ることで耐久性を向上していたが、コストが高くなるという問題点があり、また、光学特性への影響も懸念されるものであった。
基板の表面がハードコート処理や反射防止処理されていてもよい。密着性が悪い場合には、プライマー層として、SiO2層、加水分解性基やSiH基を有するシランカップリング剤層を設けるか、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、アルカリ処理、酸処理等の公知の処理方法で密着性を向上することができる。表面処理剤が加水分解性基を有することから、基板にSiO2層をプライマーとして設け、その上に該表面処理剤を塗工することが好ましい。なお、ガラス基板等の加水分解性基が基板と直接密着できるような場合には、SiO2層を設ける必要はないが、SiO2層を設けた場合に比べて耐久性は劣る。
[撥水撥油性の評価方法]
接触角計(協和界面科学社製DropMaster)を用いて、硬化被膜の水接触角及びオレイン酸に対する接触角を25℃、湿度40%で測定した。なお、水接触角は、2μlの液滴をサンプル表面に着滴させた後、1秒後に測定した。オレイン酸接触角は、4μlの液滴をサンプル表面に着滴させた後、1秒後に測定した。
ベンコット(旭化成社製)に対する動摩擦係数を、表面性試験機(新東科学社製HEIDON 14FW)を用いて下記条件で、測定した。
接触面積:10mm×30mm
荷重:100g
オートグラフ(島津製作所製AG−IS)を用いて下記条件で剥離力を測定した。
粘着剤処理:ニットーNo.31B(幅19mm;日東電工製)
圧着条件:20g/cm2荷重
エージング:25℃/24時間
剥離速度:300mm/分、180度方向
往復摩耗試験機(新東科学社製HEIDON 30S)を用いて、以下の条件で硬化被膜の耐摩耗試験を実施した。
評価環境条件:25℃、湿度40%
擦り材:試料と接触するテスターの先端部(20mm×30mm)に不織布を8枚重ねて包み、輪ゴムで固定した。
荷重:1kg
擦り距離(片道):40mm
擦り速度:4,800mm/min
往復回数:10,000往復
下記式
で示される片末端に不飽和基を有するパーフルオロポリエーテル1,000gと、下記式
下記式
で示される片末端に不飽和基を有するパーフルオロポリエーテル1,000gと、下記式
合成例2で得られた化合物2を10gとm−キシレンヘキサフルオライド1,000gと水0.21gを24時間撹拌した後、溶剤を減圧留去したところ、微白濁のパーフルオロポリエーテル(化合物3)987gを得た。
下記式
で示される両末端に不飽和基を有するパーフルオロポリエーテル1,100gと、下記式
合成例4で得られた化合物4を50gと、下記式
下記式
で示される片末端に不飽和基を有するパーフルオロポリエーテル1,000gと、トリメトキシシラン35gと、m−キシレンヘキサフルオライド500gと、塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.47g(Pt単体として1.2×10-5モルを含有)を入れて90℃に加熱し、5時間撹拌した。その後、溶剤を減圧溜去し、淡黄色透明の液体パーフルオロポリエーテル(化合物6)985gを得た。
下記式
で示される両末端に不飽和結合を有するパーフルオロポリエーテル1,000gと、トリメトキシシラン70gと、m−キシレンヘキサフルオライド500gと、塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.47g(Pt単体として1.2×10-5モルを含有)を入れて90℃に加熱し、5時間撹拌した。その後、溶剤を減圧溜去し、淡黄色透明の液体パーフルオロポリエーテル(化合物7)1,001gを得た。
20gの化合物1をフッ素系溶剤Novec7200(エチルパーフルオロブチルエーテル、3M社製)80gに溶解させた溶液1mgを、直径5mm、高さ3mmの銅製の皿に秤量し、抵抗加熱体であるモリブデンボード上に乗せ、真空蒸着機(アルバック機工社製VPC−250F)に装着した。別途、最表面にSiO2を10nm蒸着処理したガラス(50mm×100mm)(コーニング社製Gorilla2)を前記真空蒸着機内に装着した。真空蒸着機内の圧力が3×10-3Torr以下の真空になるように排気した後、前記モリブデンボードを300℃以上に加熱し、前記ガラス上に化合物1を真空蒸着した。得られた塗工ガラスを、80℃、湿度80%の雰囲気下で1時間放置した直後及び上記摩耗試験を行った後に、上記各評価を行った。更に、摩耗試験前後のフッ素層(硬化被膜)の平均膜厚を蛍光X線装置(リガク社製ZSXminiII)で測定した。
合成された化合物2を用いて、実施例1と同様の方法で評価した。
合成された化合物3を用いて、実施例1と同様の方法で評価した。
合成された化合物4を用いて、実施例1と同様の方法で評価した。
合成された化合物5を用いて、実施例1と同様の方法で評価した。
合成された化合物6を用いて、実施例1と同様の方法で評価した。
合成された化合物7を用いて、実施例1と同様の方法で評価した。
比較例1(化合物4)の硬化被膜は、動摩擦係数は摩耗後においても0.10以下であったが、末端が非フッ素基のため、初期の水接触角が110°未満、初期のオレイン酸接触角が70°未満であった。
比較例2(化合物5)の硬化被膜は、末端はフッ素基で置換されているもののフッ素基が短いために、比較例1と同様に初期の水接触角及びオレイン酸接触角が低かった。
比較例3(化合物6)の硬化被膜は、初期の特性は優れていたが、摩耗後には、動摩擦係数が0.10以上に上昇してしまった。初期の低い動摩擦係数は、基材に結合した成分のフルオロオキシアルキル鎖と結合していない成分との境界潤滑により発揮されるが、摩耗により基材と結合していない成分が取り除かれると、動摩擦係数が上昇すると考えられる。本発明のポリマーは、同一分子内に2つ以上のフルオロオキシアルキル鎖を有することから、分子内で潤滑を引き起こすことができるため、薄膜でも低い動摩擦係数を維持できるものと考えられる。
比較例4(化合物7)の硬化被膜は、両末端に加水分解性基を有する化合物であるため、初期及び摩耗後のいずれにおいても接触角が低く、動摩擦係数が高く、離型性が高かった。
Claims (19)
- 表面に10nm以下のフッ素層を形成することにより表面処理された物品であって、該フッ素層が末端に繰り返し単位数10〜200のパーフルオロオキシアルキル基を2個以上有するポリマーを含む表面処理剤の硬化被膜によって構成され、かつ該表面のオレイン酸に対する接触角が70°以上であることを特徴とする表面処理された物品。
- フッ素層を形成する際に、被処理表面が予めSiO2で表面処理されていることを特徴とする請求項1に記載の物品。
- ガラス製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品。
- 樹脂製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品。
- 式(2a)〜(2о)において、Xが炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜10のアシロキシ基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン基及びシラザン基からなる群より選ばれる加水分解性基を有する1価の基である請求項6に記載の物品。
- 式(1)において、Rfが、下記一般式(3)
CF3−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−Q− (3)
(式中、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Qは単結合又は2価の有機基である。)
で示されるパーフルオロオキシアルキル基を含む1価の基であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の物品。 - 式(3)において、p+q+r+s+t=15〜100である請求項8に記載の物品。
- 式(3)において、Qが、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、アルキレン結合、アリーレン結合、ジオルガノシリレン結合、及びシロキサン結合の1種又は2種以上を含む2価の基であることを特徴とする請求項8又は9に記載の物品。
- 式(2a)〜(2о)において、Xが炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜10のアシロキシ基、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン基及びシラザン基からなる群より選ばれる加水分解性基を有する1価の基である請求項12に記載の表面処理剤。
- 式(1)において、Rfが、下記一般式(3)
CF3−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−Q− (3)
(式中、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Qは単結合又は2価の有機基である。)
で示されるパーフルオロオキシアルキル基を含む1価の基であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の表面処理剤。 - 式(3)において、p+q+r+s+t=15〜100である請求項14に記載の表面処理剤。
- 式(3)において、Qが、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、アルキレン結合、アリーレン結合、ジオルガノシリレン結合、及びシロキサン結合の1種又は2種以上を含む2価の基であることを特徴とする請求項14又は15に記載の表面処理剤。
- 式(1)で示されるフルオロオキシアルキル基含有ポリマーの部分加水分解物を、該フルオロオキシアルキル基含有ポリマー100質量部に対し、0.1〜99質量部含むことを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の表面処理剤。
- 更に、溶剤を含むことを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の表面処理剤。
- 溶剤が、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、メトキシパーフルオロエプテン、デカフルオロペンタン、ペンタフルオロブタン、パーフルオロヘキサン、及びヘキサフルオロメタキシレンから選ばれるものである請求項18に記載の表面処理剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015087369A JP6384394B2 (ja) | 2015-04-22 | 2015-04-22 | フルオロオキシアルキル基含有ポリマーを含む表面処理剤及び該表面処理剤で処理された物品 |
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- 2015-04-22 JP JP2015087369A patent/JP6384394B2/ja active Active
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