JPH09240526A - 三角クローラ及びクローラ車 - Google Patents

三角クローラ及びクローラ車

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JPH09240526A
JPH09240526A JP5315096A JP5315096A JPH09240526A JP H09240526 A JPH09240526 A JP H09240526A JP 5315096 A JP5315096 A JP 5315096A JP 5315096 A JP5315096 A JP 5315096A JP H09240526 A JPH09240526 A JP H09240526A
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JP
Japan
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crawler
wheel
triangular
rolling
crawler belt
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Application number
JP5315096A
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English (en)
Inventor
Kazumasa Okumura
和雅 奥村
Tooru Bisaka
徹 昆沙賀
Masaaki Kaneko
正明 金子
Tomoji Hashimoto
友次 橋本
Shunichi Shibazaki
俊一 柴崎
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Toyota Industries Corp
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三角クローラにおいて、障害物を乗り越え易
くするとともに、その乗り越え時の衝撃を緩和して走破
性の向上を図る。 【解決手段】 三角クローラ2は、駆動輪3と、第1の
転輪4と、第2の転輪5と、中間転輪22と、これら各
転輪3,4,5,22に外接して略三角形状をなすよう
に巻き掛けられた履帯6とを備える。第2の転輪5は、
アーム13とガイド棒17等を介してフレーム10に対
して前後方向(同図では左右方向)に移動可能に設けら
れており、ガイド棒17に装着されたコイルバネ20に
より第2の転輪5は履帯6を押圧する側に付勢されてい
る。同図左方向に進行する三角クローラ2が段差に当た
って三角クローラ2の後側で履帯6の張力が増加する
と、第2の転輪5が前方に移動して三角クローラ2の前
端側にかかる荷重が減少することにより、三角クローラ
2が頭上げし易くなるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不整地等を走行す
るクローラ車に装着される三角クローラにおいて、段差
等の障害物を乗り越え易くするための機構を備える三角
クローラ及びクローラ車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、泥濘地、積雪地、原野等の不整
地等を走行するクローラ車に装着されるクローラ(無限
軌道輪)は、駆動輪と複数個の転輪とを備え、これら駆
動輪及び転輪に外接するように無端状の履帯が掛装され
てなる。例えば特開平4−8682号公報に開示された
図11に示す三角クローラ91は、駆動輪92と、その
下方前後に配置された転輪93,94と、両転輪93,
94の間に配置された中間転輪95とを備え、各輪92
〜95に外接するように履帯96が略三角形状に巻き掛
けられている。この三角クローラ91では中間転輪95
が上下方向に位置調整可能となっており、中間転輪95
を転輪93,94より下げることにより操舵を容易とす
ることができる。
【0003】三角クローラ91は駆動輪92を支持する
支軸97を車両の車軸に連結固定することにより車両に
装着される。車両の走行中、三角クローラ91は路面の
起伏(凹凸)に応じて支軸97を中心にその姿勢を揺動
させることにより、起伏のある路面に対しても十分な接
地面積を確保できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、走行路面に
段差などの障害があり、その障害を乗り越えるときに
は、まず三角クローラ91の進行方向先端が障害に当た
ることになる。その障害が比較的低ければ一気に乗り越
えられるが、三角クローラ91の駆動力で一気に乗り越
えられない例えば比較的高い段差であると、この段差を
乗り越えるためには三角クローラ91の前端が段差の障
壁を登ってその上端まで持ち上がる必要がある。
【0005】三角クローラ91が段差の障壁を登るとき
の障壁との接触面積は、三角クローラ91の先端が円弧
状となっていることから比較的少なく、三角クローラ9
1の前端が障壁に強く押圧された状態で履帯96が回転
しようとしても十分な上向きの力は得られ難い。また、
三角クローラ91の底面にはほぼ均一に車重による荷重
がかかっているため、その荷重に抗して障壁との少ない
接触面を介した程度の上向きの力では三角クローラ91
を頭上げすることはかなり困難であった。
【0006】また、障害物に当たったときには大きな衝
撃が発生する。三角クローラ91は路面の起伏に応じて
その姿勢を変化できるように支軸97を中心に揺動可能
に装着されている。そのため、三角クローラ91が障害
物に当たったときの反力により支軸97を中心に三角ク
ローラ91が反転する恐れがあるため、通常、三角クロ
ーラ91の反転を防止するため、その三角クローラ91
の反転を阻止できる適度の強度を有する反転防止用の規
制部材を設ける必要があった。
【0007】また、障害乗り越え時には三角クローラ9
1の前端部が障壁に押し付けられるが、このとき、その
押圧力により履帯96の回転が妨げられることになる。
そのため、履帯96はその押圧部位より回転方向上流側
で駆動輪92からの送り出し力により撓んでその張力が
低下し、その押圧部位より回転方向下流側で駆動輪92
による引き込み力によりその張力が増加する。そのた
め、障害乗り越え時に履帯96に大きな張力分布ができ
て過大な張力がかかった部位で履帯に大きな負荷がかか
るという問題があった。履帯96に大きな負荷がかかる
と履帯96が早く傷み易くなりその耐用年数が短くなる
という不具合をもたらす。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、段差等の障害物を乗り
越え易くするとともに、その乗り越え時の衝撃を緩和す
ることにより走破性の向上を図ることができる三角クロ
ーラ及びクローラ車を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め請求項1に記載の発明では、車両の車軸に連結される
駆動輪の下方に前後方向に間隔を隔てて2つの転輪を配
置し、該駆動輪及び転輪に外接するように履帯が掛装さ
れた三角クローラにおいて、前記駆動輪が支持されたフ
レームに対して前記転輪の少なくとも一方を、前記駆動
輪の回転軸心に直交する平面内にて変位可能とすべくア
ームを介して支持するとともに、前記転輪を前記アーム
の揺動方向における一方向に付勢する弾性手段を設け
た。
【0010】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の三角クローラにおいて、前記転輪のうち少なくとも
前側転輪が前記アームを介して上下方向に変位可能に設
けられた。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項1に記
載の三角クローラにおいて、前記転輪のうち少なくとも
後側転輪が前記アームを介して変位可能に設けられた。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいず
れか一項に記載の三角クローラにおいて、前記アームと
前記ばね手段は同一部材で構成されている。
【0012】請求項5に記載の発明では、クローラ車
は、前記請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の前
記三角クローラを装着している。従って、請求項1及び
請求項5に記載の発明によれば、車両の走行中に三角ク
ローラが障害物に当たると、障害物から受ける反力によ
り進行方向前側の転輪が弾性手段の付勢力に抗してアー
ムを介して上方に移動する。そのため、障害物から受け
る衝撃が緩和されるとともに、転輪が上方に移動する頭
上げにより障害物を乗り越え易くなる。
【0013】また、障害物に当たって履帯の回転が妨げ
られると、履帯は障害物に当たった部位より回転方向上
流側で駆動輪からの送り出し力により撓んでその張力が
低下し、その回転方向下流側では駆動輪による引き込み
力によりその張力が増加する。この履帯の張力増加によ
り進行方向後側の転輪が弾性手段の付勢力に抗してアー
ムを介して上方もしくは前方に移動する。これにより三
角クローラの重心が進行方向と反対側寄りに変位し、障
害物に当たった進行方向前側の転輪にかかる荷重が低減
されて頭上げし易くなる。そのため、障害物を乗り越え
易くなる。また、このときの転輪の変位は弾性手段の付
勢力に抗して行われるため障害物に当たったときの衝撃
が緩和される。
【0014】請求項2及び請求項5に記載の発明によれ
ば、車両の前進走行中、三角クローラが障害物に当たる
と、障害物から受ける反力により前側転輪が弾性手段の
付勢力に抗してアームを介して上方に移動する。そのた
め、車両を前進させる通常走行時において、三角クロー
ラが障害物に当たったときの衝撃が、弾性手段の付勢力
に抗する前側転輪の上方変位により吸収されるととも
に、前側転輪の上方変位による頭上げ作用によりその障
害物を乗り越え易くなる。また、前進時には、走行速度
が後進時に比較して相対的に速く、障害物に当たったと
きに大きな衝撃を受け易いが、前側転輪の付勢力に抗し
ての上方変位による衝撃吸収作用により三角クローラが
反転するほどの衝撃を受け難くなる。
【0015】請求項3及び請求項5に記載の発明によれ
ば、車両の前進走行中、三角クローラが障害物に当たる
と、障害物に当たった部位で履帯の回転が妨げられるこ
とにより履帯に張力分布が発生し、その当接部位より回
転方向下流側での履帯の張力が相対的に増大する。そし
て、後側転輪は履帯の増加した張力により押されて弾性
手段の付勢力に抗して駆動輪の回転軸心と直交する平面
内にてアームを介して変位する。
【0016】つまり、後側転輪が前方に変位するときに
は、後側転輪は履帯の接地面積を減少させながら進行方
向側に移動する。その結果、三角クローラの接地面にお
ける荷重分布がその前側寄りが相対的に軽くなるように
変化する。従って、三角クローラの頭上げがし易くなり
障害を乗り越え易くなる。
【0017】また、後側転輪が上方に変位するとき、後
側転輪が履帯の接地面積をほぼ変えずその位置だけを相
対的に上方変位させたときには、三角クローラの後部が
沈み込んで三角クローラの姿勢がその重心を後側へ移動
させるように変化したことになる。その結果、前側転輪
にかかる荷重が相対的に小さくなって三角クローラの頭
上げが容易となり、障害を乗り越え易くなる。
【0018】さらに、後側転輪が上方に変位するとき、
後側転輪が接地しなくなり履帯の後側部位が路面から浮
き上がると、前側転輪が障害物を乗り越えようとする力
が比較的僅かで、その履帯の浮き上がった後方部位を路
面に接する方向への頭上げ姿勢に傾けることが可能とな
る。従って、障害を乗り越え易くなる。
【0019】請求項4に記載の発明によれば、アームと
弾性手段が同一部材で構成されていることから、部品点
数の減少が図られるとともに、簡単な構造で済む。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下、本発明を具体化した第1の実
施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図6に示すよ
うに、四輪駆動であるクローラ車1はタイヤの替わりに
クローラとしての三角クローラ2を装着している。三角
クローラ2は四輪全て同じ構造である。
【0021】図1に示すように,三角クローラ2は、駆
動輪3と、転輪としての第1転輪4と、転輪としての第
2転輪5と、駆動輪3及び両転輪4,5にほぼ三角形状
を成すように巻き掛けられたゴム製の履帯6とを備えて
いる。履帯6の内面には所定ピッチで突部6aが形成さ
れている。駆動輪3は、クローラ車1のハブにアダプタ
(いずれも図示せず)を介して複数個(この実施の形態
では10個)のボルト7a及びナット7bにより一体回
転可能に固定可能となっている。なお、第1転輪4と第
2転輪5は同径である。
【0022】駆動輪3の周縁には係合部3aが駆動輪3
の周方向に所定間隔をおいて突設されている。隣接する
係合部3aの間隔は履帯6の突部6aが遊嵌可能な大き
さに形成され、駆動輪3の駆動力が係合部3aと係合す
る突部6aを介して履帯6に伝達されるようになってい
る。
【0023】駆動輪3の中心部には外側(図1の紙面奥
側)に支持部8が突設され、支持部8に嵌合された軸受
9を介して駆動輪3はフレーム10に相対回転可能に支
持されている。フレーム10はその下側が駆動輪3の係
合部3aを覆うように屈曲形成されている。
【0024】第1転輪4はフレーム10の前側(図1の
左側)に一対配設されており、フレーム10に対して前
後方向に図示しない位置調整手段により位置調整可能に
支持された支軸11の両端に軸受12を介して支持され
ている。支軸11の固定位置を変更して第1転輪4をフ
レーム10に対してスライドさせることにより履帯6の
取付け・取外し及び履帯6の張力調整が可能となってい
る。
【0025】第2転輪5はフレーム10の後側(図1の
右側)に前後方向に移動可能な状態で一対配設されてい
る。フレーム10の後部には一対のアーム13が支軸1
4を中心に回動可能に設けられており、第2転輪5はア
ーム13の先端に支持された支軸15の両端に軸受16
を介して支持されている。支軸15にはガイド棒17の
ブラケット17aが支軸15に対して回動可能に連結さ
れており、ガイド棒17の前端側は、フレーム10に配
設されたガイド部材18の挿通孔18aに挿通されてい
る。ガイド部材18はピン19を中心としてフレーム1
0に対して回動可能に設けられている。
【0026】ピン19はガイド棒17にその長手方向に
沿って形成された長穴(図示せず)に挿通されており、
ガイド棒17がガイド部材18に対して挿通された状態
で移動可能となっている。ガイド棒17には弾性手段と
してのコイルバネ20が挿通状態で装着されており、コ
イルバネ20の両端はそれぞれブラケット17aとガイ
ド部材18とに当接している。
【0027】履帯6が走行時の適正な張力に合わせられ
た図1の状態では、履帯6の張力によりコイルバネ20
が圧縮した状態、すなわち第2転輪5がコイルバネ20
の復元力により履帯6に押し付けられた状態にある。ま
た、この状態では、履帯6が前後対称な略三角形状を成
すとともに、支軸15が支軸14よりも後方に位置する
傾斜姿勢にアーム13が配置される。履帯6の張力が大
きくなったときには第2転輪5はコイルバネ20の付勢
力に抗してフレーム10に対して前方へ変位可能となっ
ている。
【0028】フレーム10の下部には第1転輪4と第2
転輪5との中間位置に両転輪4,5よりも小さな径を有
する一対の中間転輪21が回転可能に配設されている。
中間転輪21はフレーム10に対して下方に付勢されて
設けられた支軸22(但し、上下変位機構は図示せず)
の両端に軸受23介して支持されている。図1の走行時
の状態では中間転輪21は履帯6に押し付けられた状態
にある。
【0029】また、各転輪4,5,21の互いに対をな
すもの同士の間隔は履帯6の突部6aの基端部の幅とほ
ぼ等しく設定されており、履帯6はそれぞれ一対ずつ設
けられた各転輪4,5,21の間を突部6aが通過する
ように駆動輪3及び各転輪4,5,21に巻き掛けられ
ている。なお、図1は一対の第2転輪5及び中間転輪2
1のうち、内側に配置されるものを省略した側面図であ
る。
【0030】次に、この三角クローラ2及びクローラ車
1の作用を説明する。三角クローラ2はクローラ車1の
車軸にハブ及びアダプタを介して図6に示すように第2
転輪5が後側となるように取付けられる。三角クローラ
2は前後に対称な略三角形状を成すので第1転輪4と第
2転輪5にはほぼ等しい荷重がかかることになる。三角
クローラ2を装着したクローラ車1がエンジン始動され
てクラッチが接続されると、駆動輪3の駆動力が係合部
3aと係合する突部6aを介して履帯6に伝達され、こ
の履帯6の回転によりクローラ車1は走行する。
【0031】図2に示すようなクローラ車1の前進時に
は、三角クローラ2の駆動輪3と履帯6は共に同図にお
ける反時計回り方向に回転する。同図に示すような一般
走行(平坦路走行)時には、履帯6と路面24との接触
抵抗が比較的小さいため、履帯6の張力はほぼ均一とな
る。すなわち、第1転輪4と駆動輪3との間における張
力T1と、第2転輪5と駆動輪3との間における張力T
2とであまり差がなく(T1≒T2)、履帯6に張力分
布は生じない。その結果、第2転輪5は図1に示す初期
状態の位置に保持される。なお、このとき第1転輪4、
第2転輪5にそれぞれかかる荷重はほぼ等しく、それぞ
れが路面24から受ける反力(抗力)N1,N2がほぼ
等しい(N1≒N2)。
【0032】次に、三角クローラ2が段差25を乗り越
える過程について説明する。段差25を乗り越えるとき
には、まず三角クローラ2の前端部が障壁25aに当た
った状態となり、履帯6が障壁25aとの当接部におい
て強く押圧される。その結果、この押圧力により履帯6
の回転が妨げられ、履帯6はその押圧部位より回転方向
上流側で駆動輪3からの送り出し力により撓んでその張
力T1が低下し、その押圧部位より回転方向下流側、特
に第2転輪5と駆動輪3との間における張力T2は駆動
輪3による引き込み力により増大する。そのため、第2
転輪5は大きな張力T2となった履帯6から押されてコ
イルバネ20を圧縮しながら前方へ移動し、図3の位置
状態となる。
【0033】これは、三角クローラ2の重心に対して前
後に対称に位置していた第1転輪4と第2転輪5のうち
第2転輪5が重心側に変位したことになるため、両転輪
4,5にかかる荷重が変わり、第2転輪5にかかる荷重
が相対的に増大し、その分だけ第1転輪4にかかる荷重
が減少する。つまり、第1転輪4、第2転輪5がそれぞ
れ路面24から受ける反力N1,N2がN1<N2とな
って、相対的に第1転輪4にかかる荷重が軽くなって頭
上げを起こし易くなる。
【0034】こうして第1転輪4にかかる荷重が小さく
なると、図4に示すように三角クローラ2は段差25を
乗り越え始める。乗り越え過程では、第2転輪5が前方
に変位して前端にかかる荷重が軽くなっているうえ、三
角クローラ2の頭上げが進むに連れて第2転輪5により
大きな荷重がかかってその前端にかかる荷重が一層軽く
なるため、一度頭上げされれば三角クローラ2は一気に
段差25を乗り越える。
【0035】図5に示すように、段差25を乗り越える
と、履帯6の張力分布がほぼ均一状態に戻り、コイルバ
ネ20の付勢力により第2転輪5は図1に示す初期状態
の位置に復帰する。なお、段差25に限らず、丸太や石
ころ等の障害も容易に乗り越えられる。
【0036】以上詳述したように本実施の形態では、以
下に列記する効果が得られる。 (a)三角クローラ2が段差25等の障害に当たったと
きにできる履帯6の張力分布を利用し、第2転輪5をコ
イルバネ20の付勢力に抗して前方に変位させることに
より、三角クローラ2の後端側により大きな荷重がかか
るようにその前後での荷重分布を変化させた。そのた
め、三角クローラ2の前端側にかかる荷重が相対的に小
さくなって三角クローラ2の頭上げがし易くなり、障害
を乗り越え易くすることができる。
【0037】(b)障害乗り越え時には履帯6の張力増
加を緩和する方向に第2転輪5が変位するので、履帯6
に過大な張力がかかるという問題を解消できる。従っ
て、履帯6が傷み難くなり、その耐用年数を延ばすこと
ができる。
【0038】(c)三角クローラ2をクローラ車1に装
着したときに第2転輪5が後側に位置するようにしたた
め、通常の走行方向であるクローラ車1の前進時に段差
25等の障害を乗り越え易くすることができる。
【0039】(第2の実施形態)以下、本発明を具体化
した第2の実施形態を図7に基づいて説明する。本実施
形態では、障害物に当たったときの反力により転輪が変
位する点が前記第1の実施形態と異なる。
【0040】図7に示すように、三角クローラ31は、
駆動輪32と、その下方前後に配置された第1転輪33
及び第2転輪34と、両転輪33,34間に前後方向に
配列された一組の中間転輪35,36とを備えており、
各輪32〜36を外接するように履帯37が掛装されて
いる。履帯37は前記第1の実施形態と同様に、その内
周面に形成された突部(図示せず)を駆動輪32の係合
部(図示せず)に係合されるとともに、その突部を左右
一対ずつ設けられた各転輪33〜36間に配置するよう
に掛装されており、同図では各転輪33〜36のうち左
側(図7では紙面手前側)の転輪33〜36を外した状
態を示す。
【0041】駆動輪32に一体連結された駆動軸38
は、フレーム39に対して軸受(図示せず)を介して回
転可能に支持されている。各転輪33,34はフレーム
39に対して2本のリンク40,41を介してそれぞれ
支持されている。第1リンク40は、その基端がフレー
ム39に連結されるとともにその先端には長穴42を有
するコ字状のブラケット40aが固定されている。第2
リンク41は、その基端がフレーム39に連結されると
ともにその先端には支軸43が直交して支持されてい
る。転輪33,34は、各支軸43の両端にそれぞれ左
右一対ずつが軸受(図示せず)を介して回転可能に支持
されている。各支軸43はそれぞれ第1リンク40の長
穴42に挿通されている。また、第2リンク41は基端
部とフレーム39との間に緩衝ゴム44が介装されてお
り、緩衝ゴム44の弾性力により第2リンク41は支軸
43を長穴42の内周面下端に当接させた状態に付勢し
ている。
【0042】図7に示すように、例えばクローラ車1の
前進時に三角クローラ31が段差25等の障害物に当た
ると、そのとき受ける反力により第1転輪33が、緩衝
ゴム44の弾性力に抗して第2リンク41を介して支軸
43が長穴42内を上方に移動することにより、同図に
二点鎖線で示すように上方に変位する。そのため、障害
物に当たったときの衝撃が緩和されるとともに、第1転
輪33が上方変位することにより三角クローラ31が頭
上げされてこの障害を乗り越え易くなる。
【0043】また、段差25に当接して履帯37の回転
が妨げられると、駆動輪32の引き込み力により第1転
輪33より履帯37の回転下流側において履帯37の張
力が増加する。その結果、第2転輪34が緩衝ゴム44
の弾性力に抗して上方変位し、履帯37にかかる負荷が
緩和される。
【0044】また、クローラ車1の後進時に障害物に当
たると、障害物に当たったときの反力によって、第2転
輪34が緩衝ゴム44の付勢力に抗して上方変位するこ
とにより、三角クローラ31は頭上げされて後進時でも
障害を乗り越え易くなる。このとき、第1転輪33側で
履帯37の張力が増加しても、第1転輪33が上方変位
することにより、履帯37には過剰な張力(負荷)がか
からない。
【0045】この実施形態によれば、以下に示す効果が
得られる。 (a)第1転輪33と第2転輪34を、それを支持する
支軸43を長穴42に挿通して上下方向に移動可能に設
けるとともに、支軸43を支持する第2リンク41を下
方に付勢するように緩衝ゴム44を介装した。そのた
め、障害物に当たったときの反力により前進時には第1
転輪33が上方変位することにより、後進時には第2転
輪34が上方変位することにより、そのときの衝撃を吸
収するとともに、頭上げして障害物を乗り越え易くする
ことができる。
【0046】(b)反転させる程の大きな力が作用し難
くなるので、三角クローラ31の反転を阻止するために
クローラ車1に設ける規制部材を従来より相対的に強度
の小さな構造で済ませるか、場合によっては無くすこと
ができる。
【0047】(c)第1転輪33と第2転輪34共に緩
衝ゴム44の弾性力に抗して上方変位するようにしたの
で、前進時には履帯37の張力増加による第2転輪34
の上方変位により、後進時には履帯の張力増加による第
1転輪33の上方変位により、履帯37に過剰な負荷
(張力)がかかることを防止することができる。
【0048】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次
のように構成することもできる。 (1)後側の転輪を上下方向に変位可能とすることによ
り、前進時に障害物に当たったときに頭上げし易くさせ
る構成としてもよい。例えば図8に示すような三角クロ
ーラ51とする。同図に示すように、三角クローラ51
は、駆動輪52と、第1転輪53、第2転輪54、中間
転輪55,56を備え、各輪52〜56に外接するよう
に履帯57が巻き掛けられている。第1転輪53は駆動
輪52が支持されたフレーム58の前側に2本の第1リ
ンク59を介して支持されており、中間転輪55,56
はフレーム58の下部に支持されている。第2転輪54
はフレーム58の後側に第2リンク60を介して上下方
向に移動可能に設けられるとともにコイルバネ61によ
り下方に付勢されている。
【0049】この構成によれば、三角クローラ51が同
図左端で障害に当たったときに後端側にできる履帯57
の張力増加により第2転輪54はコイルバネ61に抗し
て同図に二点鎖線で示すように上方に移動する。その結
果、路面24と接触していた履帯57がその後端側で同
図に二点鎖線で示すように一部路面24から離れ、履帯
57の路面24との接触面にかかる荷重分布が相対的に
前側ほど小さくなるように変化する。従って、障害を乗
り越え易くすることができる。
【0050】(2)図8の構成において中間転輪55,
56を無くした三角クローラとしてもよい。この構成で
は、第2転輪54が駆動輪52に対して相対的に上方変
位したときに第2転輪54が路面24から離間せずに、
駆動輪52が三角クローラの前端を中心として路面24
に近づく側へ回動変位して、三角クローラの重心が後方
へ移動したことになる。このときも、三角クローラの路
面24との接触面における荷重分布が三角クローラの前
側が相対的に軽くなるように変化し、障害を乗り越え易
くすることができる。
【0051】(3)図9に示すように、板ばねをアーム
として用いて弾性手段とアームとを同一部材で構成して
もよい。すなわち、三角クローラ65は駆動輪66、第
1転輪67、第2転輪68及び中間転輪69,70を備
えており、各輪66〜70に外接するように履帯71が
掛装さされている。駆動軸72が回転可能に支持された
フレーム73の下部前後に延びる支持部73aの前後両
端には支軸74,74が支持されており、各支軸74,
74の両端にそれぞれ一対の中間転輪69,70が回転
可能に支持されている。フレーム73に水平に支持され
た支持バー75の前後両端には一対のアーム76が前後
対称に配置された状態で支軸77により回動可能に支持
されている。各アーム76の上端部はフレーム73に螺
着された位置決めボルト78によりゴム部材79を介し
て位置決めされている。アーム76の下部は支持部73
aを挟んで下方へ二叉に延びており、その下端には支持
部73aの下面に当接した状態で前後方向に延びるよう
に板ばね80が固着されている。そして、板ばね80の
先端にそれぞれ支軸81が支持されており、この支軸8
1の左右両端に第1転輪67と第2転輪68がそれぞれ
一対ずつ回転可能に支持されている。
【0052】段差25等の障害に当たると第1転輪67
がその反力により上方変位し、そのときの衝撃が緩和さ
れるとともに、頭上げにより障害を越え易くなる。同様
に後進時には第2転輪68が障害ぶに当たったときに上
方変位して同様の効果が得られる。この構成では転輪を
変位させるアームと弾性手段が同一部材の板ばね80に
より構成されるので、部品点数が少なくて済むとともに
簡単な構造で済む。
【0053】(4)第1の実施形態において、ガイド棒
17が前側へ移動するときの突出スペースを確保しなく
て済むような構造としてもよい。例えば、図10に示す
ように内筒82と外筒83を嵌合するとともに、両筒8
2,83の一端に設けられたブラケット84,85に突
設された鍔部84a,85aにてその両端を当接させた
状態でスプリング86を両筒82,83に挿通させた状
態で装着し、このリンク87を介して第2転輪5をフレ
ーム10に連結する。この構成によれば、リンク87の
配設スペースだけで済み、第2転輪5を変位させるため
の余分なスペースを確保しなくて済む分だけ三角クロー
ラの小型化を図ることが可能となる。
【0054】(5)転輪を付勢する弾性手段は、コイル
バネや板ばね等のバネやゴムに限定されない。例えばダ
ンパとしてもよい。特にゴムやダンパとすれば、転輪に
伝わる振動のうち高周波成分がゴムやダンパにより吸収
され、車体に不快な振動が伝達されることを抑えること
ができる。
【0055】(6)前記第1の実施形態において、第1
転輪4も変位可能な転輪としてもよい。前後両側の転輪
を可動転輪とした場合、三角クローラが障壁に当たった
ときの押圧による進行方向前側の転輪の変位が、履帯の
張力増加による後側の可動転輪の変位よりも小さければ
問題はない。また、例えば前後両転輪を上下方に移動す
る構成とすれば、障壁に当たったときに進行方向前側の
転輪をほとんど変位させず、後側の転輪だけを頭上げし
易いように変位させることもできる。これらの構成によ
れば、クローラ車1の前後進時ともに段差などの障害を
乗り越え易くすることができる。
【0056】(7)前記第2の実施形態や図9における
三角クローラにおいて、前側の第1転輪33,67だけ
を変位可能に設け、通常走行時においてのみ障害物によ
る衝撃緩和及び頭上げ作用を発揮して走破性の向上を図
る構成としてもよい。
【0057】(8)アームを介して変位可能に設けられ
た転輪以外のその他の転輪を、前後いずれかの転輪と共
に頭上げし易い荷重分布となるように変位させる構成と
してもい。例えば図8の三角クローラ51において、第
2転輪54と共に中間転輪56を履帯57の張力増加に
より上方変位させる構成としてもよい。この場合、両転
輪54,56が上方変位すると、履帯57が重心より前
方に位置する中間転輪55まで路面24から離間しよう
とし、三角クローラ51が中間転輪55,56と第2転
輪54にて新たな接地面を形成するように後方側へ倒れ
るようにその姿勢を回動させるため、この回動動作によ
り第1転輪が持ち上がって頭上げされる。つまり、三角
クローラ51がバランスを保持するためその姿勢を変更
することでクローラが頭上げされる。よって、頭上げの
ために必要な上向きの力を駆動力以外に付与でき、障害
の乗り越えを一層簡単とすることができる。
【0058】(9)自動車タイプのクローラ車に限定さ
れず、本発明のクローラを産業車両に適用してもよい。
前記実施の形態から把握され、特許請求の範囲に記載さ
れていない発明を、その効果とともに以下に記載する。
【0059】(イ)請求項1に記載の三角クローラにお
いて、前記転輪のうち後側転輪は、前記履帯の張力増加
によって前記弾性手段の付勢手段に抗して前側転輪にか
かる荷重を低減させ得る方向に前記アームを介して移動
するように設けられた。この構成によれば、前進時にお
いて、障害物に当たったときに履帯の回転が妨げられる
ことによる履帯の張力増加により後側転輪が付勢力に抗
して前側転輪にかかる荷重を低減させ得る方向に移動す
ることにより、そのときの衝撃を緩和できるとともに、
頭上げし易くできる。
【0060】(ロ)請求項3に記載の三角クローラにお
いて、前記後側転輪は、前記履帯の張力増加によって前
記弾性手段の付勢手段に抗して前方向に前記アームを介
して移動するように設けられた。この構成によれば、前
進時において、障害物に当たったときに履帯の回転が妨
げられることによる履帯の張力増加により後側転輪が付
勢力に抗して前方向に移動することにより、後側転輪の
接地荷重が相対的に高まり、そのときの衝撃を緩和でき
るとともに、頭上げし易くできる。
【0061】(ハ)請求項3に記載の三角クローラにお
いて、前記後側転輪は、前記履帯の張力増加によって前
記弾性手段の付勢手段に抗して上方向に前記アームを介
して移動するように設けられた。この構成によれば、前
進時において、障害物に当たったときに履帯の回転が妨
げられることによる履帯の張力増加により後側転輪が付
勢力に抗して上方向に移動することにより、後側転輪の
接地荷重が相対的に高まり、そのときの衝撃を緩和でき
るとともに、頭上げし易くできる。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1及び請求項
5に記載の発明によれば、三角クローラにおいて、前後
の転輪のうち少なくとも一方を駆動輪の回転軸心と直交
する平面内にて変位可能とすべくアームを介してフレー
ムに支持するとともに、転輪をアームの揺動方向におけ
る一方向に付勢する弾性手段を設けたので、障害物に当
たったときの衝撃を転輪の弾性的な変位により緩和でき
るとともに、障害物を乗り越え易く三角クローラを頭上
げし易くすることができ、走破性の向上を図ることがで
きる。
【0063】請求項2及び請求項5に記載の発明によれ
ば、前後の転輪のうち少なくとも前側転輪をアームを介
して上下方向に変位可能に設けたので、障害物に当たっ
たときに受ける反力により前側転輪を弾性手段の付勢力
に抗してアームを介して上方に移動することにより、車
両を前進させる通常走行時において、三角クローラが障
害物に当たったときの衝撃を緩和できるとともに、その
障害物を乗り越え易く三角クローラを頭上げし易くする
ことができる。
【0064】請求項3及び請求項5に記載の発明によれ
ば、前後の転輪のうち少なくとも後側転輪をアームを介
して変位可能に設けたので、車両前進時に障害物に当た
って履帯の回転が妨げられたときにその反対端側で発生
する履帯の張力増加により、後側転輪が弾性的に変位し
て履帯の接地面積を小さくさせ、そのときに障害物に当
たったときの衝撃を緩和できるとともに、三角クローラ
を頭上げし易くすることができる。
【0065】請求項4及び請求項5に記載の発明によれ
ば、アームと弾性手段が同一部材で構成されていること
から、部品点数の減少を図ることができるとともに、簡
単な構造で済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における三角クローラの側面
図。
【図2】三角クローラの障害乗り越え時の作用を示す模
式側面図。
【図3】同じく模式側面図。
【図4】同じく模式側面図。
【図5】同じく模式側面図。
【図6】クローラ車の側面図。
【図7】第2の実施形態における三角クローラの側面
図。
【図8】別例の三角クローラの側面図。
【図9】別例の三角クローラの側面図。
【図10】別例のリンクを示す一部破断側面図。
【図11】従来技術における三角クローラの側面図。
【符号の説明】
1…クローラ車、2,31,51,65…三角クロー
ラ、3,32,42,52…駆動輪、4,33,53,
67…転輪としての第1転輪、5,34,54,68…
転輪としての第2転輪、6,37,57,71…履帯、
10,39,58,73…フレーム、13…アーム、4
1,60…アームとしての第2リンク、20,61…弾
性手段としてのコイルバネ、44…弾性手段としての緩
衝ゴム、80…アーム及び弾性手段としての板ばね。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 正明 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 橋本 友次 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 柴崎 俊一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車軸に連結される駆動輪の下方に
    前後方向に間隔を隔てて2つの転輪を配置し、該駆動輪
    及び転輪に外接するように履帯が掛装された三角クロー
    ラにおいて、 前記駆動輪が支持されたフレームに対して前記転輪の少
    なくとも一方を、前記駆動輪の回転軸心に直交する平面
    内にて変位可能とすべくアームを介して支持するととも
    に、前記転輪を前記アームの揺動方向における一方向に
    付勢する弾性手段を設けた三角クローラ。
  2. 【請求項2】 前記転輪のうち少なくとも前側転輪が前
    記アームを介して上下方向に変位可能に設けられた請求
    項1に記載の三角クローラ。
  3. 【請求項3】 前記転輪のうち少なくとも後側転輪が前
    記アームを介して変位可能に設けられた請求項1に記載
    の三角クローラ。
  4. 【請求項4】 前記アームと前記ばね手段は同一部材で
    構成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記
    載の三角クローラ。
  5. 【請求項5】 前記請求項1〜請求項4のいずれか一項
    に記載の前記三角クローラを装着したクローラ車。
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