JPH0923816A - カルシウム強化乳飲料の製造方法 - Google Patents

カルシウム強化乳飲料の製造方法

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JPH0923816A
JPH0923816A JP8114815A JP11481596A JPH0923816A JP H0923816 A JPH0923816 A JP H0923816A JP 8114815 A JP8114815 A JP 8114815A JP 11481596 A JP11481596 A JP 11481596A JP H0923816 A JPH0923816 A JP H0923816A
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英生 大友
Tamotsu Kuwata
有 桑田
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ミッチェル デイビス マーク
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エドワード デイビス マーティン
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 例えば乳清からタンパク質及び乳糖を除去
し、限外濾過及び/又は精密濾過により濃縮して得られ
る、カルシウム含量が2〜8重量%である乳清ミネラル
を牛乳類に添加することを特徴とする、カルシウム強化
乳飲料の製造方法。 【効果】 カルシウム塩の沈殿がなく、風味が良好で、
又は好ましい風味を付与した、商業的無菌状態にするた
めの殺菌処理に耐え得るカルシウム強化乳飲料が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカルシウム強化乳飲料の
製造方法に関し、特に風味が良好で、カルシウム塩の沈
殿の生じないカルシウム強化乳飲料の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】カルシウムは動物の骨や歯の主成分であ
り、生物に必須の元素である。ヒトに関しては、成人で
1.0g/日、幼児でも0.6g/日のカルシウムの摂取が必
要とされている。近年日本人のカルシウム摂取不足が指
摘されており、骨粗鬆症との関連からも重要な問題とな
っている。
【0003】牛乳は本来栄養学的に優れた食品である
が、更にカルシウムを強化することにより、少ない摂取
量でカルシウム不足分を補充できる。カルシウム強化牛
乳製造における強化方法としては、加熱殺菌後に可溶
性カルシウム塩を添加する方法、及び不溶性かつ乳タ
ンパク質と反応しないリン酸カルシウムや炭酸カルシウ
ムなどのカルシウム塩を添加した後、加熱殺菌する方法
がある。
【0004】しかし、の方法では、塩化カルシウム等
の可溶性カルシウム塩が特有の好ましくない風味を有
し、牛乳の風味に影響を及ぼすため、その添加量には限
界がある。また、イオン化したカルシウムはカゼインや
乳清タンパクと反応し、その耐熱性が著しく低下するた
め、商業的無菌状態にするための殺菌処理を行うことが
できず、ロングライフにすることができない。乳ベース
とカルシウムを各々加熱殺菌した後にこれらを混合する
方法もあるが、操作が煩雑である。さらに、カルシウム
イオンは低温下でもタンパク質の不安定化、沈殿を促進
するため、添加量が制限され、十分にカルシウム強化す
ることができない。
【0005】一方、の方法では、不溶性カルシウム塩
の粒径をかなり小さくしないとザラつきが感じられ、ま
た不溶性のためすぐに沈殿してしまうという問題があ
る。不溶性の問題を解決するために、安定剤としてカラ
ギーナンやグアガムをそれぞれ牛乳に対して0.01〜0.06
重量%加える方法(特開昭62-248450 号公報)、油脂と
水との乳化物において油脂球に不溶性のカルシウム塩の
微粒子を付着あるいは包埋させ、これらの粒子の比重を
液相の比重とほぼ同じにする方法(特開昭57-110167 号
公報)、結晶セルロースを添加することによって液相に
微細な網目構造を構成させ、これによって不溶性のカル
シウム塩の微粒子を支持し、沈殿を防止する方法(特公
昭57-35945号公報)、又はスラリー状の炭酸カルシウム
を親水性乳化剤の水溶液と混合し、この混合液を脱水処
理した後、真空乾燥することにより凝集を防ぐ方法(特
開昭63-173556 号公報)などが提案されているが、いず
れの方法も牛乳そのものの物性を変化させたり、カロリ
ーが上昇して低脂肪乳には不向きとなったり、製造原価
が上昇する等の問題点があった。
【0006】また、通常のカルシウム塩では沈殿の防止
が困難であるとし、チーズ製造時に副産物として生成す
る乳清から微細で沈殿しないリン酸カルシウムやクエン
酸カルシウムを回収し、これを用いて牛乳のカルシウム
を強化するという提案がなされている(特開昭60-24815
2 号公報)。これらのカルシウム塩は網目構造をなし、
このため溶液中でほとんど沈降することなく安定な状態
を保ち、かつ、塩を形成しているため非水溶性であり、
従ってタンパク質と反応し、沈降することはない。しか
も、非結晶性であるために網目構造はそのまま維持さ
れ、結晶化して沈殿することがない。
【0007】しかしながら、カルシウム塩の網状物その
ものが二次的に結合し、重合状態になり、結果的に沈殿
することがあるため、これを防止するために油脂と混合
しておく必要があり、カロリーが上昇して低脂肪乳には
不向きとなったり、製造原価が上昇する等の欠点があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
の欠点のないカルシウム強化乳飲料の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、不溶性カ
ルシウム塩及び可溶性カルシウム塩をバランス良く含む
とともに、カルシウム以外のミネラルもバランス良く含
む乳清ミネラルを乳清から製造し、この乳清ミネラルを
牛乳類に添加することにより、カルシウム塩の沈殿がな
く、牛乳そのものの風味が改善され、ロングライフにす
ることのできるカルシウム強化乳飲料が得られることを
見い出して本発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち、本発明は、カルシウム含量が2
〜8重量%である乳清ミネラルを牛乳類に添加すること
を特徴とする、カルシウム強化乳飲料の製造方法を提供
するものである。以下、本発明を詳細に説明する。本発
明で使用することのできる乳清ミネラルは、カルシウム
含量が2〜8重量%であるものであればいかなるもので
あってもよく、例えば、乳清からタンパク質及び乳糖を
除去し、限外濾過や精密濾過等により濃縮して得られる
ものや、乳清から遠心分離により濃縮して得られるもの
を使用することができる。
【0011】乳清ミネラルは、チーズ乳清、例えばゴー
ダチーズ乳清、チェダーチーズ乳清等や、酸乳清、例え
ば乳酸乳清、塩酸乳清等の乳清から得ることができる。
乳清からのタンパク質の除去(除タンパク)は常法によ
って行うことができ、例えばイオン交換体の使用及び濾
過・濃縮によって行うことができる。具体的には、まず
0.1Nの水酸化ナトリウム等のアルカリ及び脱塩水で十分
に洗浄した陽イオン交換体と乳清とを混合し、攪拌す
る。このとき、6Nの硫酸等の酸を用いてpHを2〜5に調
整するのが好ましい。次いで、陽イオン交換体を濾別
し、濾液をエバポレーター等により固形分40〜60%程度
まで濃縮する。
【0012】また、乳清の除タンパクは限外濾過によっ
ても行うことができる。除タンパクのための限外濾過
は、乳清中のカルシウム塩を可溶化させ、透過液側によ
り多く回収するために、酸性(pH6以下)で行うのが好
ましい。精密濾過によっても除タンパクは可能である
が、除タンパクの効率等を考慮すると限外濾過の方が好
ましい。
【0013】乳清の脱乳糖も常法によって行うことがで
き、例えば乳糖を乳清に添加し、乳糖の結晶化を行い、
結晶化した乳糖を濾別することによって行うことができ
る。乳糖を添加する場合、微細化したものを用いるのが
好ましい。乳糖の結晶化は常法によって行えばよく、例
えば、固形分濃度を40〜60%とした液に、固形分当たり
0.01〜0.1 %の種乳糖を添加してゆるやかに攪拌し、0
〜7℃で10時間以上保持する。
【0014】カルシウムの濃縮は、限外濾過や精密濾過
等によって行うことができるが、このときpHは6.0 〜9.
0 であるのが好ましい。この限外濾過や精密濾過によっ
て、乳清ミネラルのカルシウム含量が2〜8重量%、好
ましくは4〜6重量%となるまで乳清を濃縮する。2重
量%未満では牛乳類に対する乳清ミネラルの配合比が高
くなり、カルシウム以外のミネラルの影響等によって良
好な耐熱性が保持できないおそれがある。8重量%を超
えると、製品の保存中に短時間でカルシウムが沈殿する
おそれがある。1回の限外濾過又は精密濾過で所望のカ
ルシウム含量を有する乳清ミネラルが得られなければ、
この限外濾過又は精密濾過を繰り返し行えばよい。
【0015】カルシウム含量が2〜8重量%の乳清ミネ
ラルは、遠心分離によっても得ることができる。例え
ば、前述した陽イオン交換脱タンパク質乳清や未処理の
乳清のpHを6〜9に調整し、10,000G、10分程度の遠心
分離を行うことにより、凝集したタンパク質やタンパク
質と脂質との複合体とともにカルシウムを回収すること
ができる。また、乳清のカルシウム濃度及びpHを調節
し、温和に加温した後に遠心分離することによっても同
様のカルシウム画分が得られる(Bulletin of theInter
national Dairy Federation 212, chapter 24, session
VI, p154, 1987)。
【0016】以上のようにして得られた乳清ミネラル
は、不溶性カルシウム塩及び可溶性カルシウム塩をバラ
ンス良く含むとともに、カルシウム以外のミネラル、即
ちカリウム、ナトリウム、マグネシウム等も含む。本発
明では、上記乳清ミネラルを牛乳類に添加する。牛乳類
としては、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、脱脂
粉乳、還元乳、加工乳、乳飲料等が挙げられるが、例え
ば脱脂粉乳の場合には、乳清ミネラル及び脱脂粉乳を水
に添加する形態をとることができる。乳清ミネラルの添
加量は、前記乳清ミネラル由来のカルシウムの含有量
が、カルシウム強化乳飲料中10〜40mg%(カルシウム
強化乳飲料100 g中の含量をmgで表した単位)となる
ような量が好ましく、特に20〜30mg%となるような量
が好ましい。添加量が40mg%を超えると、耐熱性が低
下したり、カルシウムの沈殿が生じるおそれがある。
【0017】乳清ミネラルを牛乳類に添加したら、好ま
しくは常法により均質化する。均質化は、通常用いられ
るホモジナイザーによって行えばよい。この均質化は、
40℃以下で行うのが好ましい。均質化時の温度が高い
と、遊離のカルシウムがカゼインを不安定化させると推
定され、後述する殺菌の前に既にカゼインの凝集が認め
られる。低温、即ち40℃以下で均質化を行えば、カゼイ
ン、乳清ミネラル中の乳清タンパク質やカルシウムが安
定な複合体を形成し、殺菌前や殺菌中のカゼインが比較
的安定な状態になると考えられる。
【0018】以上のようにして得られたカルシウム強化
乳飲料は、pHが6.0 〜7.5 となるように調整するのが好
ましく、特にpHが6.5 〜7.2 となるように調整するのが
好ましい。このようにpHを調整することにより、耐熱性
の低下や加熱時の褐変、あるいはタンパク質の分解を防
止することができる。通常の条件では、製品のpHは上述
した範囲に入り問題はないが、特に必要な場合は、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用してpHの調整を
行えばよい。
【0019】得られたカルシウム強化乳飲料を、実質的
に無菌状態(商業的無菌状態)となるように殺菌し、無
菌充填することにより、カルシウム強化ロングライフ乳
飲料とすることができ、常温でも数カ月の保存が可能と
なる。殺菌は常法によって行えばよく、例えば、130 〜
150 ℃、1〜10秒の条件で連続式超高温加熱処理(UH
T)を行うことができる。本発明の製造方法において、
乳清ミネラルのカルシウム含量を2〜8重量%に調整し
ておけば耐熱性を良好に保つことができるため、上記の
ように殺菌しても凝固するまでの時間が長く、殺菌機等
への焦げつきや、殺菌液の沈殿、凝集体の形成などがな
い。
【0020】以上説明した本発明の方法によって得られ
るカルシウム強化乳飲料は、乳清ミネラルを使用してカ
ルシウムを強化しているため、カルシウム塩の沈殿及び
ザラツキがなく、風味が良好である。このように風味が
良好なのは、乳清が食塩の代替物でもあり、調味料とし
ても使用されることと、さらに乳清ミネラルが乳清中に
残留したリン脂質やその他の脂溶性成分とミネラル成分
の共沈物であることにも由来する。従って、牛乳類、特
に部分脱脂乳、脱脂乳、脱脂粉乳等を主原料とする低脂
肪乳に上記乳清ミネラルを添加することによって、乳脂
肪に起因するコクと同様の、牛乳に近いコクのある良好
な風味を付与することができる。また、高温殺菌処理に
も耐え得るため、カルシウム強化ロングライフ乳飲料と
することもできる。以下、本発明を実施例により具体的
に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されること
はない。
【0021】
【実施例】
〔製造例1〕0.1NNaOHで洗浄し、脱塩水で十分に洗
浄した陽イオン交換体(Indion S3:Life Technology In
c. 社製)4リットルに対し、ゴーダチーズ乳清20リッ
トルを注ぎ、タンク内で攪拌しながら6NH2SO4 でpH
を3.0 とした。その後、陽イオン交換体を濾別し、濾液
をエバポレーターにより固形分40%まで濃縮した(これ
を部分除タンパク液という)。次に、微細化した乳糖1
gを添加し、2℃で18時間攪拌して乳糖の結晶化を行っ
た。結晶化した乳糖を濾別し、濾液を凍結乾燥したとこ
ろ、表1に示す組成からなる組成物(乳清ミネラル1)
が350 g得られた。
【0022】
【表1】
【0023】〔製造例2〕製造例1と同様にして得られ
た部分除タンパク液のpHを、6NNaOHで8.0 とし、分
画分子量20,000の限外濾過膜(DDS 社製,LAB-20.0.72
,GR61PP,膜面積0.36m2 )で10倍に濃縮した。濃縮
液にさらに10倍量の脱塩水を加え、pH8.0 で再度10倍濃
縮し、この濃縮液を凍結乾燥したところ、表2に示す組
成からなる組成物(乳清ミネラル2)が100 g得られ
た。
【0024】
【表2】
【0025】〔製造例3〕ゴーダチーズ乳清1000kgを、
製造例2と同様の限外濾過膜を用いてpH6.0 で20倍に濃
縮し、その透過液をエバポレーターにより濃縮後、製造
例1と同様にして乳糖を結晶分離した。母液を脱塩水で
希釈し、固形分を10%とした後、6NNaOHでpH8.0 と
し、再度限外濾過処理を行った。濃縮倍率を5、6、7
及び10倍で行い、それぞれの濃縮液の一部を凍結乾燥し
たところ、表3に示す組成からなる組成物(乳清ミネラ
ル3−1,3−2,3−3,3−4;濃縮倍率5,6,
7,10に対応)が得られた。
【0026】
【表3】
【0027】〔製造例4〕ゴーダチーズ乳清500 kgのpH
を7.2 に調整し、55℃で10分間保持した後、遠心分離機
(α−ラバル社製:LAPX202 )を用いて、80,000rpm 、
50kg/hの供給量で処理した。1時間毎に沈殿物を排出さ
せ、それを凍結乾燥したところ、表4に示す組成からな
る組成物(乳清ミネラル4)1.8 kgが得られた。
【0028】
【表4】
【0029】〔実施例1〕 耐熱性試験 脱脂粉乳(明治乳業社製)10.3gを少量の脱塩水に溶解
し、製造例1〜4で得られた乳清ミネラル(乳清ミネラ
ル1,2,3−1,3−2,3−3,3−4,4)をカ
ルシウム換算で20〜50mgとなるように添加し、更に脱塩
水を加えて全量を100 gとした。この混合液をエクセル
オートホモジナイザー(日本精機社製)によって10,000
rpm 、3分間攪拌・混合し、耐熱性試験の試料とした。
耐熱性試験には、振とう式耐熱性試験機(石山科学器械
製作所社製)を用い、オイルバス温度135 ℃(140 ℃)
で行った。耐熱性は、試料液中に凝集が認められるまで
の時間(CT;単位min )で示した。試料のpHはいずれ
も6.6 ±0.1 の範囲であった。結果を表5に示す。
【0030】
【表5】
【0031】殺菌機へ通液した際に、タンパク質のプレ
ートへの焦げつき、殺菌液の沈殿、凝集体の形成等が認
められないCTは、135 ℃で4.00min 、140 ℃で2.00mi
n である。従って、乳清ミネラル2,3−1,3−2,
3−3,3−4,4が、耐熱性のある乳清ミネラルであ
った。
【0032】〔実施例2〕 カルシウムの沈殿試験 次いで、実施例1で耐熱性が良好であった試料(乳清ミ
ネラル2,3−1,3−2,3−3,3−4,4由来)
を、1600Gで10分間遠心分離し、上清のCa濃度を測定
した。また、対照として塩化カルシウム(可溶性カルシ
ウム塩)を添加した試料についても同様にして測定し
た。結果を表6に示す。
【0033】
【表6】
【0034】表6から明らかなように、本製造例で得ら
れた、カルシウム含量が2〜8重量%である乳清ミネラ
ル2,3−1,3−2,3−3,4を使用した試料は、
遠心分離した上清においても可溶性カルシウム塩とほぼ
同様の濃度のカルシウムを含有しており、カルシウム塩
の沈殿はほとんどないと考えられる。乳清ミネラル2,
3−1,3−2,3−3,4は、実施例1に示したよう
に耐熱性も具備しているので、カルシウム強化源として
好ましい乳清ミネラルであるということができる。
【0035】〔実施例3〕455 gの乳清ミネラル3−2
及び10.3kgの脱脂粉乳を89kgの水(23℃)に溶解し、2
段階で均質化した(1段目:100 kg/cm2、2段目:50kg
/cm2)。均質化した溶液を、岩井機械社製UHTにより
140 ℃、4秒の条件で殺菌した。このとき、殺菌機への
焦げつきが原因と考えられる圧力低下等は認められなか
った。得られた殺菌液を無菌状態で室温下に3カ月放置
したところ、ザラツキや異味、異臭は認められなかっ
た。
【0036】このカルシウム強化乳飲料について、殺菌
直後に1600Gで10分間遠心分離し、上清のCa濃度及び
沈殿重量(%)を測定した。また、室温3カ月放置後に
おいても同様の測定を行った。対照としては、乳清ミネ
ラルの代わりに塩化カルシウムを使用した(但し、殺菌
処理なし)。結果を表7に示す。
【0037】〔実施例4〕71gの乳清ミネラル2及び1.
03kgの脱脂粉乳を8.9 kgの水(24℃)に溶解し、実施例
3と同様に処理した。殺菌機への焦げつきが原因と考え
られる圧力低下等は認められず、また室温3カ月放置後
にもザラツキや異味、異臭は認められなかった。殺菌直
後及び室温3カ月放置後において、実施例3と同様に遠
心分離し、上清のCa濃度及び沈殿重量(%)を測定し
た。結果を併せて表7に示す。
【0038】
【表7】
【0039】表7から明らかなように、本製造例で得ら
れた乳清ミネラルを使用した試料は、カルシウム塩の沈
殿が非常に少なく、長期間放置した後でもカルシウム濃
度がほとんど変わらない。また、熟練したパネラー5名
により、実施例3及び4の本発明のカルシウム強化乳飲
料と塩化カルシウムを使用した対照品について風味検査
を実施した結果、すべてのパネラーが本発明品の方が対
照品に比してコクがあり、風味良好であると判定した。
【0040】〔実施例5〕市販の乳清ミネラルを用い
て、実施例3及び4と同様の試験を行った。市販の乳清
ミネラルとしては、明治ホエイパウダー(明治乳業社
製,Ca含量:1.2 重量%)、Suval(Valio 社製,Ca含
量:1.6 重量%)、Versapro E(Davisco FoodsInterna
tional 社製,Ca含量:5.0 重量%)、Capolac(MD
Foods Ingredients社製,Ca含量:
18.0重量%)及びMini flow 34 Plus(FDA 社製,Ca含
量:30.0重量%)を使用した。各々の乳清ミネラルは脱
脂粉乳とともに水に溶解したが、そのとき、乳清ミネラ
ル由来のCa濃度及び脱脂粉乳由来のCa濃度がそれぞ
れ30mg%及び130 mg%(計160 mg%)となるよう
に溶解した。
【0041】得られたカルシウム強化乳飲料について、
実施例1と同様にして135 ℃における凝集時間を測定す
るとともに、実施例3と同様にして遠心分離し、上清の
Ca濃度(mg%)を測定した。結果を表8に示す。
【0042】
【表8】
【0043】表8から明らかなように、Ca含量が5重
量%である「Versapro E」を添加したカルシウム強化乳
飲料は、他の乳清ミネラルを添加したカルシウム強化乳
飲料と比較して耐熱性に優れ、カルシウムの沈殿もわず
かであった。また、「Versapro E」を添加したカルシウ
ム強化乳飲料では、使用した殺菌機には異常がなく、殺
菌後の異味異臭も認めらず、保存中におけるザラツキや
カルシウムの沈殿もほとんどなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明により、カルシウム塩の沈殿がな
く、風味が良好で、又は好ましい風味を付与した、商業
的無菌状態にするための殺菌処理に耐え得るカルシウム
強化乳飲料が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 2/38 A23L 2/00 F (72)発明者 中坪 正 東京都東村山市栄町1−21−3 明治乳業 株式会社中央研究所内 (72)発明者 大友 英生 東京都東村山市栄町1−21−3 明治乳業 株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 桑田 有 東京都東村山市栄町1−21−3 明治乳業 株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 マーク ミッチェル デイビス アメリカ合衆国 56058 ミネソタ州 ル シュール ノース メイン ストリート 719番地 (72)発明者 マーティン エドワード デイビス アメリカ合衆国 56058 ミネソタ州 ル シュール ノース メイン ストリート 620番地

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム含量が2〜8重量%である乳
    清ミネラルを牛乳類に添加することを特徴とする、カル
    シウム強化乳飲料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記乳清ミネラルが、乳清からタンパク
    質及び乳糖を除去し、限外濾過及び/又は精密濾過によ
    り濃縮して得られるものであることを特徴とする、請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記乳清ミネラルが、乳清から遠心分離
    により濃縮して得られるものであることを特徴とする、
    請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記牛乳類が低脂肪乳であることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 牛乳類のカルシウムを40mg%まで強化
    することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 前記乳清ミネラル及び前記牛乳類の混合
    物を40℃以下で均質化し、その後殺菌することを特徴と
    する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 カルシウム強化乳飲料が実質的に無菌状
    態となるように殺菌することを特徴とする、請求項1〜
    6のいずれかに記載の方法。
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