JPH09234890A - 熱磁気記録方法 - Google Patents

熱磁気記録方法

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JPH09234890A
JPH09234890A JP4176496A JP4176496A JPH09234890A JP H09234890 A JPH09234890 A JP H09234890A JP 4176496 A JP4176496 A JP 4176496A JP 4176496 A JP4176496 A JP 4176496A JP H09234890 A JPH09234890 A JP H09234890A
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magnetic
temperature
magnetic recording
magnetization
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JP4176496A
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Kazuo Ban
和夫 伴
Hitoshi Isono
仁志 磯野
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置を複雑にすることなく、サーマルヘッド
の発熱体の大きさよりも小さな記録ドットを形成するこ
とで、記録画像の高解像度を図ることのできる熱磁気記
録方法を提供すると共に、この熱磁気記録方法を適用す
ることで、回路構成が簡素で、安価な熱磁気印写装置を
提供する。 【解決手段】 記録時に、磁性記録媒体22の温度が、
媒体のキュリー温度以下に設定され、かつ、バイアス磁
界が、熱入力時に上記サーマルヘッドの発熱体1の幅方
向の両端部に対応する磁性記録媒体22の温度T2 での
保磁力と、記録時の磁性記録媒体22の最高到達温度T
max での保磁力との間に相当する大きさで、初期磁化方
向と逆方向に印加するように設定されている。これによ
り、磁性記録媒体22に対して、発熱体1の幅Lよりも
小さな幅L1 の磁化反転領域を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性記録媒体を加
熱してバイアス磁界を印加することにより磁気潜像を形
成する熱磁気記録方法に関し、特に水平磁化型の磁性記
録媒体を用いて、高温磁化方式により熱磁気記録を行う
熱磁気記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体に形成された磁気潜像を、
磁性トナーで現像して、顕在化された可視像を形成し、
この可視像を記録紙に転写し、定着させてハードコピー
を得る磁気印写法は、一般にマグネトグラフィーと呼ば
れている。
【0003】マグネトグラフィーは、以下に示すような
種々の長所を備えている。 磁気記録媒体に磁気潜像が保存されるので、マルチコ
ピーが可能である。 記録された磁気潜像が、静電方式にて記録される場合
よりも温度・湿度等の環境安定性に優れている。 高速コピーが可能である。
【0004】一般に、マグネトグラフィーを用いた磁気
印写装置としての磁気プリンタのうち、磁気記録層を加
熱することにより該磁気記録媒体の保磁力を低減し、さ
らに磁界を印加することにより磁気潜像を形成する熱磁
気記録方式を利用した磁気プリンタが従来より知られて
いる。
【0005】上記磁気潜像を形成する方法には、磁化の
向きという観点から、図15(a)に示すように、磁化
の向き(図中の矢印)が磁気記録媒体表面に平行である
面内記録方式と、図15(b)に示すように、磁化の向
き(図中の矢印)が媒体表面に垂直である垂直記録方式
とに分けられる。
【0006】また、電子写真学会誌(1985年、第4
号、第24巻、14頁)には、面内記録方式と垂直記録
方式との比較が記載されており、面内記録方式の優位性
が説かれている。即ち、一般に磁気記録媒体に記録を行
う場合、記録領域で生じる反磁界のために記録磁界の減
少が見られるが、通常形成される厚さ(1〜5μm)の
記録膜に幅10〜200μmで記録する場合には、面内
記録方式の方が垂直記録方式よりも反磁界が小さいの
で、面内記録方式の方が記録磁界が大きくなり記録効率
の点で有利である。
【0007】また、上記電子写真学会誌には、上述のよ
うに磁気記録媒体の磁化を予め一方向に揃えて初期化
し、この初期の方向と磁化方向とが逆方向の磁化領域を
形成することで磁気潜像を記録する方法において、面内
記録方式の方が磁性トナーに対して大きな磁気吸引力が
発生することから、熱磁気プリンタの記録方式として適
していることが開示されている。
【0008】このように、従来の面内記録方式の熱磁気
記録では、予め磁性記録媒体の磁化を一方向に一様に揃
えて初期化し、初期化磁化と逆方向のバイアス磁界が印
加された状態で上記磁性記録媒体を加熱することで記録
を行う高温磁化型記録方法が一般的である。このとき、
磁性記録媒体のキュリー温度近傍まで磁性記録媒体は加
熱される。
【0009】このような高温磁化型記録方法において、
磁性記録媒体を加熱する方法には、光照射による方法
と、サーマルヘッドによる方法とがある。光照射により
熱入力する場合には、光のビーム径を小さくできるの
で、ドット形状で熱入力することができる。このような
光照射による熱入力では、ドットの大きさ、即ち記録ド
ットの大きさを非常に小さくすることができる。
【0010】一方、サーマルヘッドは、通常、大きなも
ので幅300μm、長さ300μm、小さなもので幅5
0μm、長さ80μmの発熱体が並んで構成されてお
り、この発熱体1つが最小の記録ドットに対応するよう
になっている。このため、記録ドットの大きさは、最小
でも50μm×80μmになり幅方向の解像度は、50
0DPIが最高となり、記録画像の高解像度化が困難と
なっている。
【0011】そこで、例えば特公平2−42227号公
報には、磁気記録体(磁性記録媒体)の移動に伴い、バ
イアス磁界を周期的に反転させて、磁性記録媒体の移動
距離がこの反転周期の奇数倍に相当する毎に、該磁性記
録媒体を加熱する「磁気潜像記録方法」が開示されてい
る。この記録方法によれば、磁性記録媒体の進行方向に
沿った記録ドットの記録領域の長さを発熱体の大きさ以
下に形成することができるので、記録ドットの解像度の
向上を図ることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報の方法では、磁性記録媒体の進行方向に沿ってバイア
ス磁界を周期的に反転させることで、確かに磁性記媒体
の進行方向に沿った記録ドットの記録領域の長さは発熱
体の大きさ以下に形成することができるが、磁性記録媒
体の進行方向と垂直な方向の長さ、即ち記録ドットの記
録領域の幅を発熱体の幅よりも小さくすることができな
いので、記録画像の幅方向の解像度を向上させることが
できず、記録画像全体の解像度を向上させることができ
ないという問題が生じる。
【0013】また、記録においては、常にバイアス磁界
を反転させる必要があるので、通常の初期化のための印
加磁界の方向と逆方向だけにバイアス磁界を印加する方
法におけるバイアス磁界動作回路に比べて、常にバイア
ス磁界を反転させるための反転磁界動作回路では、部品
点数が多くなり、回路構成が複雑になるという問題が生
じる。
【0014】さらに、磁気記録の高速化を図る場合、バ
イアス磁界の反転速度を速める必要があるが、この反転
速度の高速化を図るための回路を別に設ける必要がある
ので、装置が非常に煩雑なものとなり、コストアップを
招来するという問題が生じる。
【0015】本発明は、上記の各問題点に鑑みなされた
ものであって、その目的は、装置を複雑にすることな
く、サーマルヘッドの発熱体の大きさよりも小さな記録
ドットを形成することで、記録画像の高解像度を図るこ
とのできる熱磁気記録方法を提供すると共に、この熱磁
気記録方法を適用することで、回路構成が簡素で、安価
な熱磁気印写装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の熱磁気記録方
法は、上記の課題を解決するために、水平磁化型の磁性
記録媒体に対して、その磁化方向を1方向に揃えて初期
化した後、記録時に、バイアス磁界を印加しながら、サ
ーマルヘッドに備えられた複数の発熱体によって加熱す
ることで、初期化の磁化方向と逆向きの磁化を有する磁
化反転領域を形成して、磁気潜像を形成する熱磁気記録
方法において、記録時に、磁性記録媒体の温度が、該磁
性記録媒体のキュリー温度以下に設定され、かつ、バイ
アス磁界が、熱入力時に上記サーマルヘッドの発熱体の
幅方向の両端部に対応する上記磁性記録媒体の温度での
該磁性記録媒体の保磁力と、記録時の磁性記録媒体の最
高到達温度での該磁性記録媒体の保磁力との間に相当す
る大きさで、初期磁化方向と逆方向に設定されているこ
とを特徴としている。
【0017】上記の構成によれば、記録時に、磁性記録
媒体は、熱入力時に上記サーマルヘッドの発熱体の幅方
向の両端部に対応する上記磁性記録媒体の温度での該磁
性記録媒体の保磁力と、記録時の磁性記録媒体の最高到
達温度での該磁性記録媒体の保磁力との間に相当する大
きさで、バイアス磁界が印加されると共に、磁性記録媒
体の温度が、該磁性記録媒体のキュリー温度以下でサー
マルヘッドの発熱体により加熱されることで、発熱体の
幅よりも小さな幅の磁化反転領域を磁性記録媒体上に形
成することができる。即ち、磁性記録媒体の進行方向と
垂直な方向の長さを発熱体の幅よりも小さくすることが
できる。
【0018】これにより、磁性記録媒体上に形成される
磁化反転領域による記録画像の解像度を向上させること
ができる。しかも、従来のように、記録時に磁化を反転
しながらバイアス磁界を印加する必要がないので、回路
を簡素なものとすることができ、この結果、安価な熱磁
気印写装置を提供することができる。
【0019】請求項2の熱磁気記録方法は、上記の課題
を解決するために、水平磁化型の磁性記録媒体に対し
て、その磁化方向を1方向に揃えて初期化した後、記録
時に、バイアス磁界を印加しながら、サーマルヘッドに
備えられた複数の発熱体によって加熱することで、初期
化の磁化方向と逆向きの磁化を有する磁化反転領域を形
成して、磁気潜像を形成する熱磁気記録方法において、
記録時の磁性記録媒体の温度が、該磁性記録媒体のキュ
リー温度以下であり、かつ、熱入力時にサーマルヘッド
の発熱体の幅方向の両端部に対応する磁性記録媒体の温
度が、印加するバイアス磁界と同じ大きさの保磁力を与
える温度以下であり、該磁性記録媒体の最高到達温度
が、印加するバイアス磁界と同じ大きさの保磁力を与え
る温度以上であるように該磁性記録媒体を加熱すること
を特徴としている。
【0020】上記の請求項2の構成によれば、磁性記録
媒体に対して、一定の大きさのバイアス磁界のもとで、
サーマルヘッドの発熱体により加熱するときの温度が、
磁性記録媒体のキュリー温度以下であり、かつ、熱入力
時にサーマルヘッドの発熱体の幅方向の両端部に対応す
る磁性記録媒体の温度が、印加するバイアス磁界と同じ
大きさの保磁力を与える温度以下であり、該磁性記録媒
体の最高到達温度が、印加するバイアス磁界と同じ大き
さの保磁力を与える温度以上であることで、発熱体の幅
よりも小さな幅の磁化反転領域を磁性記録媒体上に形成
することができる。即ち、磁性記録媒体の進行方向と垂
直な方向の長さを発熱体の幅よりも小さくすることがで
きる。
【0021】これにより、磁性記録媒体上に形成される
磁化反転領域による記録画像の解像度を向上させること
ができる。しかも、従来のように、記録時に磁化を反転
しながらバイアス磁界を印加する必要がないので、回路
を簡素なものとすることができ、この結果、安価な熱磁
気印写装置を提供することができる。
【0022】請求項3の熱磁気記録方法は、上記の課題
を解決するために、請求項2の構成に加えて、記録時
に、サーマルヘッドの発熱体への熱入力時間を一定にし
て、投入電力を変化させることを特徴としている。
【0023】上記の構成によれば、請求項2の作用に加
えて、記録時に、サーマルヘッドの発熱体への熱入力時
間を一定にして、投入電力を変化させることで、磁性記
録媒体上に形成される磁気潜像の幅を投入電力に応じて
調整することができる。これにより、投入電力を変化さ
せることで、磁気潜像による記録幅を調整することがで
きるので、記録画像の解像度を自由に調整することがで
きる。
【0024】請求項4の熱磁気記録方法は、上記の課題
を解決するために、請求項2の構成に加えて、記録時
に、サーマルヘッドの発熱体への投入電力を一定にし
て、熱入力時間を変化させることを特徴としている。
【0025】上記の構成によれば、請求項2の作用に加
えて、記録時に、サーマルヘッドの発熱体への投入電力
を一定にして、熱入力時間を変化させることで、磁性記
録媒体上に形成される磁気潜像の幅を熱入力時間に応じ
て調整することができる。これにより、熱入力時間を変
化させることで、磁気潜像による記録幅を調整すること
ができるので、記録画像の解像度を自由に調整すること
ができる。
【0026】請求項5の熱磁気記録方法は、上記の課題
を解決するために、請求項1ないし4の何れかの構成に
加えて、磁性記録媒体が、希土類−遷移金属からなるア
モルファス合金であることを特徴としている。
【0027】一般に、磁性記録媒体の保磁力の温度変化
が大きいほど、バイアス磁界の変化または加熱領域内の
磁界分布に対して磁化反転領域の幅の変化を小さくする
ことができる。
【0028】したがって、上記の構成によれば、請求項
1ないし4の何れかの作用に加えて、磁性記録媒体が、
希土類−遷移金属からなるアモルファス合金であること
で、磁性記録媒体の保磁力の温度変化を大きくすること
ができるので、バイアス磁界の変化または加熱領域内の
磁界分布に対して磁化反転領域の幅の変化を小さくする
ことができる。これにより、保磁力の変化にあまり影響
されずに、磁化反転領域幅の安定性を向上させることが
できる。
【0029】請求項6の磁気記録媒体の製造方法は、上
記の課題を解決するために、請求項5の構成に加えて、
記録時に、上記磁性記録媒体に形成される温度勾配が、
サーマルヘッドの発熱体の長手方向の両端位置で1℃/
μm以上となるように熱入力されることを特徴としてい
る。
【0030】上記の構成によれば、請求5の作用に加え
て、磁性記録媒体に形成される温度勾配が、サーマルヘ
ッドの発熱体の長手方向の両端位置で1℃/μm以上と
なるように熱入力されることで、形成される磁化反転領
域において十分な磁気吸引力を得ることができる。これ
により、現像において磁性トナーを磁化反転領域に良好
に付着させることができるので、高コントラストの記録
画像を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0032】本発明の熱磁気記録方法は、水平磁化型の
磁性記録媒体を、その磁化方向を1方向に揃えて初期化
した後、バイアス磁界を印加しながら発熱体を有するサ
ーマルヘッドによって加熱し、初期化の磁化方向と逆向
きの磁化を有する磁化反転領域を形成することによっ
て、該磁性記録媒体に磁気潜像を形成することを前提と
し、上記発熱体の幅よりも磁性記録媒体上に形成される
磁気潜像に対応する記録ドットの1ドットの幅を小さく
する熱磁気記録方法である。これにより、磁性記録媒体
上に、高密度で磁気潜像を形成することができる。
【0033】このように、発熱体の幅よりも磁性記録媒
体上に形成される磁気潜像の1ドットの幅を小さくする
方法には、以下の2通りの方法がある。
【0034】(I)磁性記録媒体に対して、記録時に、
磁性記録媒体の温度を、該磁性記録媒体のキュリー温度
以下に設定して加熱し、かつ、バイアス磁界を、熱入力
時に上記サーマルヘッドの発熱体の幅方向の両端部に対
応する上記磁性記録媒体の温度での該磁性記録媒体の保
磁力と、記録時の磁性記録媒体の最高到達温度での該磁
性記録媒体の保磁力との間に相当する大きさで、初期磁
化方向と逆方向に設定して印加する方法。
【0035】(II)記録時の磁性記録媒体の温度が、該
磁性記録媒体のキュリー温度以下であり、かつ、熱入力
時にサーマルヘッドの発熱体の幅方向の両端部に対応す
る磁性記録媒体の温度が、印加するバイアス磁界と同じ
大きさの保磁力を与える温度以下であり、該磁性記録媒
体の最高到達温度が、印加するバイアス磁界と同じ大き
さの保磁力を与える温度以上であるように該磁性記録媒
体を加熱する方法。
【0036】先ず、上記(I)の方法によって、発熱体
の幅よりも磁性記録媒体上に形成される磁気潜像の幅を
小さくするための機構について、図1ないし図7を参照
しながら説明する。
【0037】本発明では、高温磁化型の熱磁気プリンタ
による磁性記録媒体への潜像記録は、サーマルヘッドに
より、予め1方向に磁化されている磁性記録媒体の記録
部分の温度を媒体のキュリー温度以下の温度まで上昇さ
せ、初期の磁化方向とは逆向きのバイアス磁界を印加し
ながら冷却し、磁化方向が初期の磁化方向と逆向きの領
域(磁化反転領域)を形成して行われている。
【0038】上記の潜像記録工程では、図1(b)に示
すように、サーマルヘッドの発熱体1は、磁性記録媒体
22の記録面に対向して配置されており、記録時に、磁
性記録媒体22の温度(以下、媒体温度と称する)を上
昇させるようになっている。このとき、発熱体1による
熱入力の時間を適当に調整することで、媒体温度と磁性
記録媒体22の磁化反転領域幅との関係を、図1(a)
に示すような温度分布のグラフとする。
【0039】図1(a)のグラフでは、記録時におい
て、媒体温度が発熱体1の中心部にて最高の温度(最高
到達温度)Tmax となり、発熱体1の中心部から幅方向
の両端部に向かって低下している。このとき、発熱体1
の幅方向の両端部にて加熱される媒体温度をT2 とす
る。
【0040】また、磁性記録媒体22における媒体温度
と保磁力との関係は、図2に示すグラフとなる。このグ
ラフでは、媒体温度がTmax のときの保磁力はHm、媒
体温度がT2 のときの保磁力はH2 に対応するものとす
る。尚、H2 >Hmである。
【0041】したがって、媒体温度がT2 以上に加熱さ
れている磁性記録媒体22の領域は、H2 の大きさのバ
イアス磁界を印加することで、磁化反転される。この磁
化反転領域の幅L2 は、図1(b)に示すように、発熱
体1の幅Lと同じになる。
【0042】このことより、バイアス磁界を、図2に示
すグラフから、最高到達温度Tmaxに対応する保磁力H
mと、発熱体1の両端部の媒体温度T2 に対応する保磁
力H2 との間の、例えば保磁力H1 に設定した場合、記
録時において、H1 の大きさのバイアス磁界を印加する
ことで磁化反転する領域は、媒体温度T1 以上に加熱さ
れている領域となる。この媒体温度T1 以上に加熱され
ている磁性記録媒体22の領域は、図1(b)に示すよ
うに、発熱体1の幅Lよりも小さな幅L1 となる。
【0043】尚、上記の磁性記録媒体22は、図1
(a)のグラフから、最高到達温度Tma x よりも高い媒
体温度となっている領域が存在しないことが分かる。即
ち、磁性記録媒体22には、保磁力がHmよりも小さい
領域が存在しないことになる。つまり、磁性記録媒体2
2には、最高到達温度Tmax に対応する保磁力Hmより
も小さなバイアス磁界を印加しても、磁化反転される領
域が存在しないことになる。それ故、磁化反転させるの
に必要なバイアス磁界の下限値は、最高到達温度Tmax
に対応する保磁力のHmとなる。
【0044】上記の熱磁気記録方法では、発熱体1から
の熱入力の微小な変化を考えた場合、設定するバイアス
磁界の大きさは、Hmに近いほうが好ましい。
【0045】また、バイアス磁界の変化または加熱領域
内の磁界分布に対して、磁化反転されるべき領域の幅の
変化を小さくするためには、媒体の保磁力の温度変化が
大きいほど好ましい。このことについて、図3および図
4を参照しながら以下に説明する。
【0046】図3は、保磁力の温度変化が異なる2つの
媒体A・Bの保磁力と媒体温度との関係を示すグラフで
ある。このグラフは、媒体温度がT1 のときに、各々の
媒体に対して設定したバイアス磁界HA ・HB が微小な
幅ΔHだけ減少する方向へ変化するときの媒体温度変化
を示している。つまり、媒体Aに印加されるバイアス磁
界がHA −ΔHに変化した場合、このHA −ΔHにて磁
化反転できる媒体Aの温度はT1 −ΔTA となり、媒体
Bに印加されるバイアス磁界がHB −ΔHに変化した場
合、このHB −ΔHにて磁化反転できる媒体Bの温度は
1 −ΔTB となる。このとき、図3に示すグラフか
ら、T1 −ΔTA >T1 −ΔTB となっていることが分
かる。
【0047】図4は、発熱体による媒体への温度分布を
示すグラフであり、媒体温度と磁化反転される領域の幅
との関係を示している。つまり、図3に示すような関係
にある媒体A・Bにおいて、媒体温度T1 以上に加熱さ
れていれば、バイアス磁界HA ・HB を印加して形成さ
れる磁化反転領域幅は、L1 となる。そして、バイアス
磁界がΔH分減少したときには、媒体Aではバイアス磁
界HA −ΔHにて磁化反転可能な温度T1 −ΔTA 以上
に加熱されている領域が磁化反転され、この磁化反転領
域幅はL1 +ΔLA となる一方、媒体Bではバイアス磁
界HB −ΔHにて磁化反転可能な温度T1 −ΔTB 以上
に加熱されている領域が磁化反転され、この磁化反転領
域幅はL1 +ΔLB となる。このとき、図4に示すグラ
フから、L1 <L1 +ΔLA <L1 +ΔLB となり、媒
体Aの磁化反転領域幅の変化ΔLA の方が、保磁力の温
度変化の小さい媒体Bの磁化反転領域幅の変化ΔLB
りも小さいことが分かる。この結果は、バイアス磁界が
ΔHだけ減少した場合について得られたものであるが、
バイアス磁界がΔHだけ増加した場合についても同様の
結果が得られる。
【0048】したがって、媒体の磁化反転されるべき領
域の幅の変化量は、保磁力の温度変化が大きな媒体の方
が小さいので、磁化反転領域幅の安定性を図ることがで
きる。それ故、磁化反転されるべき領域の幅の変化を小
さくするためには、保磁力の温度変化が大きい媒体を用
いるのが好ましいことが分かる。
【0049】このような保磁力の温度変化の大きな水平
磁化型の磁性媒体としては、CrO2 、またはTbC
o、DyCo、GdCo、TbNdCo、DyNdC
o、GdNdCo等の希土類−遷移金属からなるアモル
ファス合金がある。しかしながら、CrO2 はCrが有
害であること、入手困難なことことから、希土類−遷移
金属からなるアモルファス合金を使用することが好まし
い。
【0050】以下に、上記(I)の方法によりサーマル
ヘッドの発熱体の幅よりも小さい幅の磁化反転領域を形
成することができることを確認した実施例1を比較例1
と共に示す。
【0051】(実施例1)本実施例について、図5ない
し図7に基づいて以下に説明する。本実施例では、ガラ
ス基板上に、TbCo磁性記録媒体を高周波スパッタ法
で形成し、この上に、保護層としてTiNを形成した試
料を用いるものとする。TbCo磁性記録媒体は、膜厚
が約1.5μm、室温での保磁力が600Oe、飽和磁
化が310emu/cc、残留磁化が200emu/c
cという磁気特性を有する水平磁化膜である。
【0052】上記試料を加熱する手段としては、説明の
便宜上、サーマルヘッドの発熱体の代わりに、幅50μ
m、長さ6mmのライン状の熱抵抗体21が用いられ
る。この熱抵抗体21は、図5(b)に示すように、試
料の磁性記録媒体22に対向するようにして配置されて
おり、磁性記録媒体22に対して0.4Wの投入電力よ
る熱入力を10msec行うようになっている。このと
きの磁性記録媒体22の温度分布は、図5(a)に示す
ようなグラフとなる。
【0053】図5(a)(b)から、熱抵抗体21の幅
方向の両端部に対応する磁性記録媒体22の温度T2
約100℃であり、最高到達温度Tmax は約150℃で
あることが分かる。
【0054】また、上記試料における磁性記録媒体22
の保磁力と媒体温度の関係は、図6に示すグラフのよう
になる。よって、図6から、T2 に相当する媒体の保磁
力は、約360Oeであり、Tmax での媒体の保磁力は
約210Oeであることが分かる。
【0055】そこで、上記試料に対して約10kOeの
バイアス磁界を印加し、磁化方向を1方向に揃えて初期
化し、次いで、この試料に対して3種類の磁界、即ち2
50Oe、360Oe、450Oeのバイアス磁界を印
加しながら、上記ライン状の熱抵抗体21により0.4
Wの投入電力による熱入力を10msec行い、熱磁気
記録を行った。
【0056】そして、この試料に形成されたライン状の
磁区をビッター法により顕像化し、その幅を顕微鏡で観
測したところ、図7に示すような結果が得られた。この
結果から、360Oeのバイアス磁界を印加した磁区の
幅は、熱抵抗体21の幅と同じ50μmとなり、450
Oeのバイアス磁界を印加した磁区の幅は、約65μm
となり、250Oeのバイアス磁界を印加した磁区の幅
は、約30μmとなっていることが分かる。尚、この磁
区は、初期磁化の向きとは逆向きの磁化となっているこ
とから磁化反転領域と同じことを意味する。
【0057】つまり、図5および図6に示すグラフを参
照すれば、熱抵抗体21の幅方向の両端部に対応する媒
体温度が100℃であり、この温度での媒体の保磁力が
約360Oeであることから、360Oeのバイアス磁
界を磁性記録媒体22に印加した場合には、熱抵抗体2
1の幅に対応した50μm幅の磁区(磁化反転領域)が
形成され、熱抵抗体21の幅方向の両端部に対応した媒
体温度での保磁力よりも小さい250Oeのバイアス磁
界を磁性記録媒体22に印加した場合には、熱抵抗体2
1の幅よりも小さい30μm幅の磁区が形成されている
ことが分かる。
【0058】したがって、熱抵抗体21の幅50μより
も小さな磁化反転領域を磁性記録媒体22に形成するに
は、360Oeよりも小さなバイアス磁界を印加すれば
良いことが分かる。
【0059】(比較例1)本比較例では、上記実施例1
と同一試料を用いて、試料に印加するバイアス磁化の大
きさを150Oeにする以外は、実施例1と同様にして
上記試料に対して熱入力を行った。この結果、試料の熱
入力された領域をビッター法にて観察しても磁区は形成
されていないことが分かった。これは、試料に印加する
バイアス磁界が最高到達温度である150℃付近の温度
での媒体の保磁力約210Oeよりも小さいので、試料
の加熱領域の磁化が反転できず、磁化反転領域が形成さ
れないため、磁区が形成されていないと思われる。
【0060】以上のように、(I)の熱磁気記録方法に
よれば、記録時に、磁性記録媒体22は、熱入力時に上
記熱抵抗体21の幅方向の両端部に対応する上記磁性記
録媒体22の温度での該磁性記録媒体22の保磁力と、
記録時の磁性記録媒体22の最高到達温度での該磁性記
録媒体22の保磁力との間に相当する大きさで、バイア
ス磁界が印加されると共に、磁性記録媒体22の温度
が、該磁性記録媒体22のキュリー温度以下で熱抵抗体
21により加熱されることで、熱抵抗体21の幅よりも
小さな幅の磁化反転領域を磁性記録媒体22上に形成す
ることができる。即ち、磁性記録媒体22の進行方向と
垂直な方向の長さを熱抵抗体21の幅よりも小さくする
ことができる。
【0061】これにより、磁性記録媒体22上に形成さ
れる磁化反転領域による記録画像の解像度を向上させる
ことができる。しかも、従来のように、記録時に磁化を
反転しながらバイアス磁界を印加する必要がないので、
回路を簡素なものとすることができ、この結果、安価な
熱磁気印写装置を提供することができる。
【0062】次に、上記した(II)の方法によりサーマ
ルヘッドの発熱体の幅よりも小さい幅の磁化反転領域を
形成することができることを確認した実施例2および実
施例3を示す。
【0063】(実施例2)本実施例について、図6、図
8および図9を参照しながら以下に説明する。尚、本実
施例では、前記実施例1と同じ試料、同じ熱抵抗体21
を用いる。それゆえ、試料における保磁力と媒体温度と
の関係は、図6に示すグラフと同じになる。
【0064】本実施例では、先ず、試料に対して予め1
方向に飽和するまで初期化磁界を印加し、その後、初期
化磁化とは逆向きに360Oeのバイアス磁界を印加し
ながら、ライン状の熱抵抗体21への3種類の熱入力、
即ち0.2W、0.4W、0.6Wの各投入電力
による熱入力を10msec行い、熱磁気記録を行っ
た。このときの各熱入力条件による磁性記録媒体22の
温度分布は、図9に示すようなグラフとなる。
【0065】そして、それぞれの熱入力条件にて形成さ
れた試料に形成されたライン状の磁区をビッター法によ
り顕像化し、その幅を顕微鏡で観測したところ、図8に
示すような結果が得られた。この結果から、360Oe
のバイアス磁界が印加された試料に形成される磁化反転
領域幅は、条件で約30μmとなり、条件で約50
μmとなり、条件で約70μmとなっていることが分
かる。したがって、試料に対して0.4Wよりも小さな
熱入力で熱抵抗体21の幅よりも小さな幅の磁化反転領
域を形成することができることが分かる。
【0066】この結果を、図6および図9を参照しなが
ら以下に説明する。図6のグラフから、試料にバイアス
磁界360Oeが印加されている状態では、約100℃
以上に媒体温度が上昇している領域で保磁力が360O
e以下になり磁化反転が生じることが分かる。
【0067】図9のグラフから、バイアス磁界360O
eで磁化反転が生じる媒体温度100℃以上の磁化反転
領域幅は、条件で約30μ、条件で約50μm、条
件で約70μmとなっていることが分かる。この結果
は、図8に示す結果と一致する。
【0068】これらのことから、熱抵抗体21の幅より
も小さな幅の磁化反転領域(記録領域)を形成するに
は、熱抵抗体21の幅方向の両端部における媒体温度
が、試料に印加しているバイアス磁界と同じ大きさの保
磁力になる温度以下であれば良いことが分かる。しかし
ながら、加熱領域で磁化反転を生じさせるためには、記
録時の媒体の最高到達温度が上記の温度以上であること
が必要となる。
【0069】上記の実施例2では、試料への熱入力を、
入力時間一定で、発熱抵抗体21への投入電力を制御す
ることで変化させていたが、試料への熱入力を、発熱抵
抗体21への投入電力一定で、入力時間を制御すること
で変化させた例を、以下の実施例3に示す。
【0070】(実施例3)本実施例について、図6、図
10および図11を参照しながら説明する。尚、本実施
例では、前記実施例1と同じ試料、同じ熱抵抗体21を
用いる。それゆえ、試料における保磁力と媒体温度との
関係は、図6に示すグラフと同じになる。
【0071】本実施例では、先ず、試料に対して予め1
方向に飽和するまで初期化磁界を印加し、その後、初期
化磁化とは逆向きに360Oeのバイアス磁界を印加し
ながら、ライン状の熱抵抗体21への3種類の熱入力
を、投入電力0.6W一定で3つの熱入力時間、即ち、
2msec、6msec、10msec行い、熱
磁気記録を行った。このときの各熱入力条件による磁性
記録媒体22の温度分布は、図11に示すようなグラフ
となる。
【0072】そして、それぞれの熱入力条件にて形成さ
れた試料に形成されたライン状の磁区をビッター法によ
り顕像化し、その幅を顕微鏡で観測したところ、図10
に示すような結果が得られた。この結果から、360O
eのバイアス磁界が印加された試料に形成される磁化反
転領域幅は、条件で約20μmとなり、条件で約4
0μmとなり、条件で約70μmとなっていることが
分かる。そして、図10に示すグラフから、熱抵抗体2
1の幅50μmに対応する熱入力時間は、約7msec
であることが分かる。したがって、試料に対して約7m
secよりも短い時間で熱入力を行えば、熱抵抗体21
の幅よりも小さな幅の磁化反転領域を形成することがで
きることが分かる。
【0073】この結果を、図6および図11を参照しな
がら以下に説明する。図6のグラフから、試料にバイア
ス磁界360Oeが印加されている状態では、約100
℃以上に媒体温度が上昇している領域で保磁力が360
Oe以下になり磁化反転が生じることが分かる。
【0074】図11のグラフから、バイアス磁界360
Oeで磁化反転が生じる媒体温度100℃以上の磁化反
転領域幅は、条件で約20μ、条件で約40μm、
条件で約70μmとなっていることが分かる。この結
果は、図10に示す結果と一致する。
【0075】これらのことから、熱抵抗体21の幅より
も小さな幅の磁化反転領域(記録領域)を形成するに
は、熱抵抗体21の幅方向の両端部における媒体温度
が、試料に印加しているバイアス磁界と同じ大きさの保
磁力になる温度以下であれば良いことが分かる。しかし
ながら、加熱領域で磁化反転を生じさせるためには、記
録時の媒体の最高到達温度が上記の温度以上であること
が必要となる。
【0076】以上の実施例2および実施例3から、(I
I)の熱磁気記録方法は、磁性記録媒体への熱入力量を
変化させることで、サーマルヘッドの発熱体の幅よりも
小さな幅の磁化反転領域を形成する方法である。
【0077】それゆえ、(II)の熱磁気記録方法によれ
ば、磁性記録媒体22に対して、一定の大きさのバイア
ス磁界のもとで、熱抵抗体21により加熱するときの温
度が、磁性記録媒体22のキュリー温度以下であり、か
つ、熱入力時に熱抵抗体21の幅方向の両端部に対応す
る磁性記録媒体22の温度が、印加するバイアス磁界と
同じ大きさの保磁力を与える温度以下であり、該磁性記
録媒体22の最高到達温度が、印加するバイアス磁界と
同じ大きさの保磁力を与える温度以上であることで、発
熱抵抗体の幅よりも小さな幅の磁化反転領域を磁性記録
媒体22上に形成することができる。即ち、磁性記録媒
体22の進行方向と垂直な方向の長さを発熱抵抗体の幅
よりも小さくすることができる。
【0078】これにより、磁性記録媒体22上に形成さ
れる磁化反転領域による記録画像の解像度を向上させる
ことができる。しかも、従来のように、記録時に磁化を
反転しながらバイアス磁界を印加する必要がないので、
回路を簡素なものとすることができ、この結果、安価な
熱磁気印写装置を提供することができる。
【0079】尚、上記(II)の熱磁気記録方法において
も、バイアス磁界の変化または加熱領域内の磁界分布に
対して記録領域の幅の変化を小さくしようとする場合に
は、前記の(I)の熱磁気記録方法の説明で述べたよう
に、媒体の保磁力の温度変化が大きいほど好ましいこと
が分かる。
【0080】また、このように、保磁力の温度変化の大
きな水平磁化型の磁性記録媒体としては、上述した希土
類−遷移金属アモルファス合金を用いるのが好ましい。
【0081】ところで、本発明の上記(I)や(II)の
熱磁気記録方法は、上記実施例1〜3にて説明したよう
に、サーマルヘッドの1発熱体による磁性記録媒体への
熱入力時の媒体の温度分布を利用し、発熱体の幅方向の
両端の媒体温度とバイアス磁界との組み合わせを最適化
することで、発熱体の幅よりも小さい記録ドット(磁化
反転領域)を形成するものである。そして、磁性記録媒
体への熱入力時の媒体の温度分布の形状、特に磁化反転
領域の境界付近での温度勾配は、磁性記録媒体に形成さ
れた磁化反転領域への磁性トナーの付着力に関係してい
る。
【0082】つまり、上記温度勾配が大きいほど磁気吸
引力は大きくなり、このような磁化反転領域を磁性トナ
ーで現像する場合には、磁性トナーが十分に付着するこ
とができる。これは、温度勾配の異なる2つの温度分布
を形成して記録を行った場合、温度勾配の大きな方が磁
化反転領域の幅が小さくなり、この結果、磁気吸引力が
大きくなるからである。このことは、例えば電子写真学
会誌(1990年、第3号、29巻、265−275
頁)から明らかである。
【0083】そして、磁性記録媒体が希土類−遷移金属
アモルファス合金膜であれば、発熱体の境界(幅方向の
両端部)での温度勾配が1℃/μm以上であれば十分な
磁気吸引力が得られる。この結果を、以下の実施例4お
よび5にて確認する。
【0084】(実施例4)本実施例では、実施例1と同
じ試料、同じ熱抵抗体21を用いるものとする。先ず、
試料に対して、予め面内1方向に飽和するまで初期磁界
を印加し、その後初期化磁界とは逆向きの360Oeの
バイアス磁界を印加しながら、ライン状の熱抵抗体21
によって加熱して、熱磁気記録を行う。このときの加熱
は、熱入力量(熱抵抗体21への投入電力量)及び熱入
力時間を調節することで、熱抵抗体21の幅方向の両端
部に対応する媒体の温度勾配が異なる2種類となるよう
に設定し、それぞれの条件で熱磁気記録を行った。この
ときの温度勾配は、1℃/μmを基準に考えて、1℃/
μmよりも小さい温度勾配である0.7℃/μm、1
℃/μmよりも大きい温度勾配である1.2℃/μm
の2種類とした。
【0085】次に、上記の各条件で熱磁気記録によって
形成された潜像に対して、磁性トナー(日立金属株式会
社製、H700、磁粉量70%、平均粒径12.2μ
m)で現像を行った。この結果、条件で記録した試料
では、トナーの付着が見られたものの薄く付着してお
り、条件で記録した試料では、トナーの付着が良好で
あることが分かった。
【0086】(実施例5)本実施例では、上記実施例4
で使用した試料の希土類−遷移金属アモルファス合金の
TbCoの代わりに、他の希土類−遷移金属アモルファ
ス合金であるDyCo、GdCo、TbNdCo、Dy
NdCo、GdNdCoからなる磁性記録媒体膜を、そ
れぞれガラス基板上に、高周波スパッタ法で形成し、そ
の上に保護層としてTiNを形成したものを用いて、上
記実施例4と同じ条件で各試料について熱磁気記録を行
った。このとき、各ガラス基板上に形成される磁性記録
媒体の厚みは何れも約1.5μmであった。
【0087】上記の熱磁気記録後の各試料に対して、前
記実施例4と同様の磁性トナーにて現像を行ったとこ
ろ、各試料とも前記実施例4と同様の結果となった。即
ち、温度勾配が0.7℃/μm、1.2℃/μmの
とき、条件では、トナー付着が良好に行われず、条件
では、トナー付着が良好に行われた。
【0088】以上の実施例4および5から、熱抵抗体2
1の幅方向の両端部に対応する媒体の温度勾配が基準と
考えた1℃/μmよりも小さな条件ではトナーの付着
が良好でなく、1℃/μmよりも大きい条件ではトナ
ーの付着が良好であることが分かった。それ故、熱磁気
記録後において、磁性トナーを良好に付着させるには、
熱抵抗体21の幅方向の両端部に対応する媒体の温度勾
配が1℃/μm以上あれば良いことになる。
【0089】以下の実施例6および7にて、本発明の熱
磁気記録方法を適用した熱磁気プリンタについて説明す
る。
【0090】(実施例6)本実施例について、図12お
よび図13を参照しながら説明する。本実施例に係る熱
磁気プリンタは、図12に示すように、表面に磁気記録
層8が形成された円筒状のドラムベース9aからなる磁
気潜像担持体としての磁気ドラム9、記録紙13に転写
されたトナー像を定着する定着器11を備え、この磁気
ドラム9の外周には、サーマルヘッド2、バイアス磁界
印加装置3、現像器4、転写ローラ5、クリーニング装
置6、一方向磁化磁石7が配設されている。
【0091】磁気記録層8は、温度上昇に伴い保磁力が
低下する特性を有する水平磁化型の磁性記録媒体からな
る。
【0092】現像器4は、内部に磁性トナー10を有し
ており、磁気潜像が形成された磁気ドラム9に磁性トナ
ー10を送り込むものである。転写ローラ5は、記録紙
13を挟んで磁気ドラム9と対向して配置され、記録紙
13に磁性トナー10を転写するものである。
【0093】クリーニング装置6は、転写ローラ5によ
る転写後に、記録紙に転写されずに磁気ドラム9の磁気
記録層8の表面に残留した余分の磁性トナー10を取り
除くものである。一方向磁化磁石7は、上記磁気記録層
8の磁化方向を一方向に揃え初期化するものである。
【0094】サーマルヘッド2は、例えば幅50μ、長
さ80μmの発熱体を複数備え、磁気記録層8を所定温
度まで加熱するための熱入力を行うものである。この発
熱体1つが磁気記録層8における記録ドットに対応する
ようになっている。
【0095】このサーマルヘッド2による熱入力は、例
えば図14(a)に示すような投入電力Pと入力時間t
の矩形波で行われている。より詳細に述べれば、サーマ
ルヘッド2に時間t間に投入される電力は、投入時間
t、1周期(ピッチ)t2 のN個のパルス列(t2 ×N
=t)で形成されるのが通常であるが、図14(a)で
は、簡単のためこのパルス列を記載することを省いてい
る。このとき、Pとtとは熱入力時の一つの発熱体の幅
方向の両端に対応する磁気記録層の温度勾配が1℃/μ
m以上になるように予め設定されている。
【0096】また、サーマルヘッド2を挟んで磁気ドラ
ム9と対向する位置に配されたバイアス磁界印加装置3
は、磁気記録層8に対して、磁性記録媒体の初期磁化方
向とは逆向きに、該磁性記録媒体の室温での保磁力を越
えない大きさで、且つ、磁性記録媒体の上記所定温度で
の保磁力より大きな外部磁界を磁気記録層8に印加する
ものである。
【0097】上記バイアス磁界印加装置3は、印加する
磁界の強度を自在に変えることができるようになってお
り、印加時の磁界は、記録時のサーマルヘッド2の1つ
の発熱体の幅方向の両端位置での媒体の温度に対した保
磁力と、媒体の最高到達温度での保磁力との間になるよ
うに設定されている。
【0098】磁気記録層8は、磁化方向が表面と平行で
あり、保磁力が温度上昇に伴って低下し、キュリー点以
下の所定温度に加熱された状態にて初期状態の磁化方向
とは逆方向のバイアス磁界が印加されることにより磁気
潜像が形成される。
【0099】このような磁気記録層8としては、所定の
組成を持つTbCo膜、DyCo膜、GdCo膜、Tb
FeCo膜、DyFeCo膜あるいはGdFeCo膜等
の希土類金属−遷移金属のアモルファス合金膜が使用さ
れている。上記アモルファス合金膜からなる磁気記録層
8は、スパッタリングあるいは蒸着法等によりドラムベ
ース9a上に形成される。
【0100】磁気記録層8の膜厚は、磁気吸引力を大き
くするには厚いほどよいが、厚くなり過ぎると磁気記録
媒体の作製工程に長時間を要する。従って、上記膜厚は
0.5〜5.0μmの範囲が好ましい。
【0101】そして、このような磁性記録媒体膜は、そ
のまま使用されるのではなく、保護膜として、膜表面に
AlN、TiN等の窒化物、若しくは耐磨耗性及び耐環
境性を考慮して高分子膜が、膜厚0.1〜2μmにスパ
ッタリング、または蒸着により形成されている。
【0102】上記構成に基づき、熱磁気プリンタは以下
のように動作する。 (1)図12において、磁気ドラム9は矢印で示す方向
に回転し、磁気記録層8が一方向磁化磁石7により磁化
方向が一方向に飽和するように初期化される。次に、磁
気記録層8に対してサーマルヘッド2により熱入力が行
われ、磁気記録層8がキュリー点以下の所定温度まで加
熱されると共に、この状態の磁気記録層8にバイアス磁
界印加装置3により所定の強度で、上記初期化の方向と
は逆方向の磁界が印加されることにより、発熱体の幅と
同程度若しくは狭い幅をもつドット上の磁化反転領域
(磁気潜像)が形成される。このときの磁気記録層8へ
の熱入力として、例えば、図14(a)に示すような投
入電力Pと入力時間tの矩形波が入力されると、この入
力信号に対して、図14(b)に示すような磁気潜像2
2a…が形成される。
【0103】(2)次に、磁気潜像が形成された磁気記
録層8に、現像器4により磁性トナー10が振りかけら
れる。これにより、磁気潜像は磁性トナー10により顕
像化された可視像となる。このトナー像は転写ローラ6
により記録紙13に転写される。
【0104】(3)その後、記録紙13は定着器11に
搬送され、この定着器11によりトナー像が記録紙13
上に定着される。一方、磁気ドラム9の磁気記録層8表
面に残留した磁性トナー10は、クリーニング装置6に
より除去される。
【0105】以上が一つの画像を得る場合の動作である
が、続けて別の画像を得る場合には、上記の(1)〜
(3)の動作が繰り返される。また、同一画像を複数得
る場合、即ちマルチコピーの場合には、上記(2)およ
び(3)の動作が繰り返される。
【0106】尚、本実施例では、磁気ドラムを用いた熱
磁気プリンタを使用したが、磁気ベルトを用いた熱磁気
プリンタでもよい。即ち、図13に示すように、熱磁気
プリンタの画像形成部は、磁気ドラム9の代わりに、磁
気潜像担持体としての磁気ベルト12を備えている。
【0107】磁気ベルト12は2つのローラ14…によ
り支持され、ローラ14…の回転に伴い図中矢印方向に
移動する。磁気ベルト12の外周部には、サーマルヘッ
ド2、バイアス磁界印加装置3、現像器4、転写ローラ
5、クリーニング装置6及び一方向磁化磁石7が配設さ
れている。
【0108】磁気ベルト12は、基体としてのフィルム
シート12aの表面に、温度上昇に伴い保磁力が低下す
る特性を有した磁気記録層8が形成されたものである。
この磁気記録層8は、前述のドラムベース9a上に形成
されたものと同じとする。
【0109】また、フィルムシート12aは、ポリイミ
ド、ポリエチレンテレフタレート等の高分子からなるも
のでもよい。
【0110】上記熱磁気プリンタの動作は磁気ドラムの
場合と同様であるので説明は省略する。
【0111】(実施例7)本実施例に係る熱磁気プリン
タは、上記実施例6における図12および図13に示し
た熱磁気プリンタと基本的に同じ構成であるが、若干異
なる。本実施例の熱磁気プリンタにおいて、前記の実施
例6の熱磁気プリンタとは、サーマルヘッド2への熱入
力制御方法、バイアス磁界印加装置における磁界の調整
方法が異なる。尚、バイアス磁界印加装置においては、
磁界強度が予め設定されており、若干の調整は可能であ
るものの、基本的に磁界強度の変更はできないようにな
っている。
【0112】本実施例の熱磁気プリンタにおけるサーマ
ルヘッド2による熱入力は、図14(a)に示すよう
な、投入電力Pと熱入力時間tの矩形波の信号に基づい
て行われる。上記信号は、制御装置から送られる。そし
て、この矩形波の信号作成のための制御方法としては、
以下に示すように、予め投入電力Pを決め、熱入力時間
tを制御してサーマルヘッド2へ入力する信号を作成す
る方法と、予め熱入力時間tを決め、投入電力Pを制御
してサーマルヘッド2へ入力する信号を作成する方法と
がある。
【0113】(1)予め投入電力Pが決められている場
合 この場合には、決められた投入電力Pで、熱入力時のサ
ーマルヘッド2の発熱体の幅方向の両端部に対応する媒
体温度が、予め設定したバイアス磁界と同じ大きさを与
える温度以下であり、且つ媒体の最大到達温度が該温度
以上であり、さらに、熱入力時の発熱体の幅方向の両端
部に対応する媒体の温度勾配が1℃/μm以上になるよ
うに熱入力時間tが制御される。この熱入力時間tと上
記投入電力Pによって形成される矩形波の信号をサーマ
ルヘッド2に入力することで、記録時に、サーマルヘッ
ド2の発熱体への投入電力を一定にして、熱入力時間を
変化させることで、磁性記録媒体22上に形成される磁
気潜像の幅を熱入力時間に応じて調整することができ
る。これにより、熱入力時間を変化させることで、磁気
潜像による記録幅を調整することができるので、記録画
像の解像度を自由に調整することができる。
【0114】(2)予め熱入力時間tが決められている
場合 この場合には、決められた熱入力時間tで、熱入力時の
サーマルヘッド2の発熱体の幅方向の両端部に対応する
媒体温度が、予め設定したバイアス磁界と同じ大きさを
与える温度以下であり、且つ媒体の最大到達温度が該温
度以上であり、さらに、熱入力時の発熱体の幅方向の両
端部に対応する媒体の温度勾配が1℃/μm以上になる
ように投入電力Pが制御される。この投入電力Pと上記
熱入力時間tによって形成される矩形波の信号をサーマ
ルヘッド2に入力することで、記録時に、サーマルヘッ
ド2の発熱体への熱入力時間を一定にして、投入電力を
変化させることで、磁性記録媒体上に形成される磁気潜
像の幅を投入電力に応じて調整することができる。これ
により、投入電力を変化させることで、磁気潜像による
記録幅を調整することができるので、記録画像の解像度
を自由に調整することができる。
【0115】尚、上記の熱磁気プリンタは、前記実施例
6の熱磁気プリンタと同じ動作を行う。
【0116】以上のように、実施例6および7の構成の
熱磁気プリンタは、磁性記録媒体への熱の入力量とバイ
アス磁界の大きさとを変化させるだけで、発熱体の幅よ
りも小さな幅の記録ドットを形成することができるの
で、このために、記録時にバイアス磁界を反転させた
り、反転速度を速めたりするための回路を必要とせず、
回路構成を簡素なものとすることができるので、装置の
部品点数も少なくて済み、この結果、装置の低コスト化
を図ることができる。
【0117】
【発明の効果】請求項1の発明の熱磁気記録方法は、以
上のように、水平磁化型の磁性記録媒体に対して、その
磁化方向を1方向に揃えて初期化した後、記録時に、バ
イアス磁界を印加しながら、サーマルヘッドに備えられ
た複数の発熱体によって加熱することで、初期化の磁化
方向と逆向きの磁化を有する磁化反転領域を形成して、
磁気潜像を形成する熱磁気記録方法において、記録時
に、磁性記録媒体の温度が、該磁性記録媒体のキュリー
温度以下に設定され、かつ、バイアス磁界が、熱入力時
に上記サーマルヘッドの発熱体の幅方向の両端部に対応
する上記磁性記録媒体の温度での該磁性記録媒体の保磁
力と、記録時の磁性記録媒体の最高到達温度での該磁性
記録媒体の保磁力との間に相当する大きさで、初期磁化
方向と逆方向に設定されている構成である。
【0118】それゆえ、発熱体の幅よりも小さな幅の磁
化反転領域を磁性記録媒体上に形成することができる。
即ち、磁性記録媒体の進行方向と垂直な方向の長さを発
熱体の幅よりも小さくすることができる。
【0119】これにより、磁性記録媒体上に形成される
磁化反転領域による記録画像の解像度を向上させること
ができる。しかも、従来のように、記録時に磁化を反転
しながらバイアス磁界を印加する必要がないので、回路
を簡素なものとすることができ、この結果、安価な熱磁
気印写装置を提供することができるという効果を奏す
る。
【0120】請求項2の発明の熱磁気記録方法は、以上
のように、水平磁化型の磁性記録媒体に対して、その磁
化方向を1方向に揃えて初期化した後、記録時に、バイ
アス磁界を印加しながら、サーマルヘッドに備えられた
複数の発熱体によって加熱することで、初期化の磁化方
向と逆向きの磁化を有する磁化反転領域を形成して、磁
気潜像を形成する熱磁気記録方法において、記録時の磁
性記録媒体の温度が、該磁性記録媒体のキュリー温度以
下であり、かつ、熱入力時にサーマルヘッドの発熱体の
幅方向の両端部に対応する磁性記録媒体の温度が、印加
するバイアス磁界と同じ大きさの保磁力を与える温度以
下であり、該磁性記録媒体の最高到達温度が、印加する
バイアス磁界と同じ大きさの保磁力を与える温度以上で
あるように該磁性記録媒体を加熱する構成である。
【0121】それゆえ、発熱体の幅よりも小さな幅の磁
化反転領域を磁性記録媒体上に形成することができる。
即ち、磁性記録媒体の進行方向と垂直な方向の長さを発
熱体の幅よりも小さくすることができる。
【0122】これにより、磁性記録媒体上に形成される
磁化反転領域による記録画像の解像度を向上させること
ができる。しかも、従来のように、記録時に磁化を反転
しながらバイアス磁界を印加する必要がないので、回路
を簡素なものとすることができ、この結果、安価な熱磁
気印写装置を提供することができるという効果を奏す
る。
【0123】請求項3の発明の熱磁気記録方法は、以上
のように、請求項2の構成に加えて、記録時に、サーマ
ルヘッドの発熱体への熱入力時間を一定にして、投入電
力を変化させる構成である。
【0124】それゆえ、請求項2の効果に加えて、記録
時に、サーマルヘッドの発熱体への熱入力時間を一定に
して、投入電力を変化させることで、磁性記録媒体上に
形成される磁気潜像の幅を投入電力に応じて調整するこ
とができる。これにより、投入電力を変化させること
で、磁気潜像による記録幅を調整することができるの
で、記録画像の解像度を自由に調整することができると
いう効果を奏する。
【0125】請求項4の発明の熱磁気記録方法は、以上
のように、請求項2の構成に加えて、記録時に、サーマ
ルヘッドの発熱体への投入電力を一定にして、熱入力時
間を変化させることを特徴としている。
【0126】それゆえ、請求項2の効果に加えて、記録
時に、サーマルヘッドの発熱体への投入電力を一定にし
て、熱入力時間を変化させることで、磁性記録媒体上に
形成される磁気潜像の幅を熱入力時間に応じて調整する
ことができる。これにより、熱入力時間を変化させるこ
とで、磁気潜像による記録幅を調整することができるの
で、記録画像の解像度を自由に調整することができると
いう効果を奏する。
【0127】請求項5の発明の熱磁気記録方法は、以上
のように、請求項1ないし4の構成に加えて、磁性記録
媒体が、希土類−遷移金属からなるアモルファス合金で
ある構成である。
【0128】それゆえ、請求項1ないし4の何れかの効
果に加えて、バイアス磁界の変化または加熱領域内の磁
界分布に対して磁化反転領域の幅の変化を小さくするこ
とができるので、保磁力の変化にあまり影響されずに、
磁化反転領域幅の安定性を向上させることができるとい
う効果を奏する。
【0129】請求項6の発明の磁気記録媒体の製造方法
は、以上のように、請求項5の構成に加えて、記録時
に、上記磁性記録媒体に形成される温度勾配が、サーマ
ルヘッドの発熱体の長手方向の両端位置で1℃/μm以
上となるように熱入力される構成である。
【0130】それゆえ、請求項5の効果に加えて、形成
される磁化反転領域において十分な磁気吸引力を得るこ
とができるので、現像において磁性トナーを磁化反転領
域に良好に付着させることができるので、高コントラス
トの記録画像を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱磁気記録方法において、磁性記録媒
体を加熱したときに形成される温度分布と、2種類のバ
イアス磁界を上記磁性記録媒体に印加して熱磁気記録を
行った時に、磁性記録媒体に形成される磁化反転領域を
模式的に示す説明図である。
【図2】図1で使用した磁性記録媒体における保磁力と
媒体温度との関係を示すグラフである。
【図3】異なる2種類の磁性記録媒体における保磁力と
媒体温度との関係を示すグラフである。
【図4】図3に示す2種類の磁性記録媒体における媒体
温度と、熱磁気記録した時の媒体に形成される磁化反転
領域との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係る1実施例の熱磁気記
録方法において、磁性記録媒体としてTbCo磁性記録
媒体を加熱したときに形成される温度分布と、3種類の
バイアス磁界を上記磁性記録媒体に印加して熱磁気記録
を行った時に、磁性記録媒体に形成される磁化反転領域
を模式的に示す説明図である。
【図6】本実施の形態で使用したTbCo磁性記録媒体
における保磁力と媒体温度との関係を示すグラフであ
る。
【図7】本発明の実施の形態に係る1実施例の熱磁気記
録方法において、TbCo磁性記録媒体に熱磁気記録を
行ったときに形成される磁化反転領域と、該磁記録媒体
に印加するバイアス磁界の大きさとの関係を示すグラフ
である。
【図8】本発明の実施の形態に係る1実施例の熱磁気記
録方法において、TbCo磁性記録媒体に熱磁気記録を
行ったときに形成される磁化反転領域と、該磁記録媒体
への投入電力との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態に係る1実施例の熱磁気記
録方法において、TbCo磁性記録媒体に3種類の投入
電力で熱磁気記録を行ったときに該磁性記録媒体に形成
される温度分布を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態に係る1実施例の熱磁気
記録方法において、TbCo磁性記録媒体に熱磁気記録
を行ったときに形成される磁化反転領域と、該磁記録媒
体への熱入力時間との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態に係る1実施例の熱磁気
記録方法において、TbCo磁性記録媒体に3種類の熱
入力時間で熱磁気記録を行ったときに該磁性記録媒体に
形成される温度分布を示すグラフである。
【図12】本発明の熱磁気記録方法を適用した熱磁気プ
リンタの概略構成図である。
【図13】本発明の熱磁気記録方法を適用した他の熱磁
気プリンタの概略構成図である。
【図14】本発明の熱磁気記録方法を適用した熱磁気プ
リンタに備えられたサーマルヘッドに入力する信号と、
この信号に対応して形成される磁気潜像とを模式的に示
した説明図である。
【図15】磁気記録媒体の磁化方向を示すものであっ
て、(a)は、磁化の方向が面内磁化方式の場合を示
し、(b)は、垂直磁化方式の場合を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 発熱体 2 サーマルヘッド 3 バイアス磁界印加装置 7 一方向磁化磁石 8 磁気記録層 9 磁気ドラム 10 磁性トナー 21 熱抵抗体 22 磁性記録媒体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平磁化型の磁性記録媒体に対して、その
    磁化方向を1方向に揃えて初期化した後、記録時に、バ
    イアス磁界を印加しながら、サーマルヘッドに備えられ
    た複数の発熱体によって加熱することで、初期化の磁化
    方向と逆向きの磁化を有する磁化反転領域を形成して、
    磁気潜像を形成する熱磁気記録方法において、 記録時に、磁性記録媒体の温度が、該磁性記録媒体のキ
    ュリー温度以下に設定され、かつ、バイアス磁界が、熱
    入力時に上記サーマルヘッドの発熱体の幅方向の両端部
    に対応する上記磁性記録媒体の温度での該磁性記録媒体
    の保磁力と、記録時の磁性記録媒体の最高到達温度での
    該磁性記録媒体の保磁力との間に相当する大きさで、初
    期磁化方向と逆方向に設定されていることを特徴とする
    熱磁気記録方法。
  2. 【請求項2】水平磁化型の磁性記録媒体に対して、その
    磁化方向を1方向に揃えて初期化した後、記録時に、バ
    イアス磁界を印加しながら、サーマルヘッドに備えられ
    た複数の発熱体によって加熱することで、初期化の磁化
    方向と逆向きの磁化を有する磁化反転領域を形成して、
    磁気潜像を形成する熱磁気記録方法において、 記録時の磁性記録媒体の温度が、該磁性記録媒体のキュ
    リー温度以下であり、かつ、熱入力時にサーマルヘッド
    の発熱体の幅方向の両端部に対応する磁性記録媒体の温
    度が、印加するバイアス磁界と同じ大きさの保磁力を与
    える温度以下であり、該磁性記録媒体の最高到達温度
    が、印加するバイアス磁界と同じ大きさの保磁力を与え
    る温度以上であるように該磁性記録媒体を加熱すること
    を特徴とする熱磁気記録方法。
  3. 【請求項3】記録時に、サーマルヘッドの発熱体への熱
    入力時間を一定にして、投入電力を変化させることを特
    徴とする請求項2記載の熱磁気記録方法。
  4. 【請求項4】記録時に、サーマルヘッドの発熱体への投
    入電力を一定にして、熱入力時間を変化させることを特
    徴とする請求項2記載の熱磁気記録方法。
  5. 【請求項5】上記磁性記録媒体が、希土類−遷移金属か
    らなるアモルファス合金であることを特徴とする請求項
    1ないし4の何れかに記載の熱磁気記録方法。
  6. 【請求項6】記録時に、上記磁性記録媒体に形成される
    温度分布の温度勾配が、サーマルヘッドの発熱体の幅方
    向に対応する両端部で1℃/μm以上となるように該磁
    性記録媒体を加熱することを特徴とする請求項5に記載
    の熱磁気記録方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100422287B1 (ko) * 1999-12-28 2004-03-10 가부시끼가이샤 도시바 열 지원형 자기 기록 방법 및 열 지원형 자기 기록 장치

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100422287B1 (ko) * 1999-12-28 2004-03-10 가부시끼가이샤 도시바 열 지원형 자기 기록 방법 및 열 지원형 자기 기록 장치

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