JPH09233994A - 多孔性含水小麦粉食品の製造方法 - Google Patents
多孔性含水小麦粉食品の製造方法Info
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Abstract
ける食感・風味等の品質、並びに復元性の更なる向上を
図る。 【解決手段】 焼成乃至半焼成後の多孔性含水小麦粉食
品の表層部に水を含ませる工程を行い、次いで圧縮によ
り該食品の嵩を減少させた、再加熱により嵩が復元する
特徴を有する多孔性含水小麦粉食品の製造方法。
Description
含水小麦粉食品の製造方法に関する。詳しくは、焼成後
に嵩を減少させ、保存後、再加熱により嵩を復元させる
圧縮多孔性含水小麦粉食品に関する技術であって、その
際の風味、食感、生産性を向上させる技術に関する。
が増加するに従って、一度焼成したパン類を常温、冷蔵
あるいは冷凍状態で保存し、販売店や外食産業店で電子
レンジ等を用いて加熱し、消費者に供給することが増え
てきている。又、本発明者らは、ベーカリー製品等の流
通、保管における経費削減を図ると共に、販売店、外食
産業店、家庭において、何時でも焼き立てに近い味を有
するベーカリー製品等を提供するべく鋭意検討を重ねた
結果、ベーカリー製品等を一旦焼成等の手段により製造
した後、嵩を減少させ、保存後、再加熱により嵩を復元
させる技術に着目し、加熱処理後に嵩を減少させた多孔
性含水小麦粉食品であって、再加熱により嵩が復元する
特徴を有する多孔性含水小麦粉食品に関する発明を完成
し、特許出願するに至った(特願平7−53925
号)。このような圧縮復元パンの場合、食感・風味と共
に、レンジアップ時の復元性が極めて重要である。
縮復元パンの復元性について検討を進めた結果、焼成直
後のパンは、表面が硬く、そのまま圧縮するとひび割れ
を生じ、復元性の低下、外観(圧縮時、復元時)低下の
原因となることがわかった。この問題は、焼成後、半日
から1日程度のエージングを行い、表面が柔らかくなっ
てから圧縮する方法によりある程度解決可能であるが、
この場合には、風味低下、生産効率の低下等の問題が顕
著となった。
パン等の多孔性含水小麦粉食品における食感・風味等の
品質、並びに復元性の更なる向上を目的として鋭意検討
した結果、圧縮時のひび割れが表層部の水分に依存し、
焼成後のパンの表層部に水を含ませる工程を行い、次い
で圧縮することが有効であることを見出し、本発明を完
成したものである。即ち本発明は、焼成乃至半焼成後の
多孔性含水小麦粉食品の表層部に水を含ませる工程を行
い、次いで圧縮により該食品の嵩を減少させた、再加熱
により嵩が復元する特徴を有する多孔性含水小麦粉食品
の製造方法である。
の表層部に水を含ませる工程を行うことにより、焼成多
孔性含水小麦粉食品の特徴である香ばしさを逃さず、
又、短時間のうちに圧縮工程に移行することができるた
め、生産性が良く、ひび割れもなく、復元性も良好であ
る。尚、特開昭54−26346 号公報では、焼成後のパンに
対し、冷凍する前に適量の水分を加えることにより、解
凍時あるいは再焼成時のパン外皮の剥がれ落ちを防止す
ることが提案されているが、この技術は圧縮・復元を伴
わない冷凍パンに関するものであり、単に冷凍パンの外
観向上のための技術に過ぎないものである。
食品の製造方法について詳細に説明する。先ず、本発明
で言う多孔性含水小麦粉食品とは、具体的には、食パ
ン、コッペパン、ロールパン、クロワッサン、アンパン
等の菓子パン等のパン類;スポンジケーキ、パウンドケ
ーキ、ホットケーキ等のケーキ類;中華マン等のマンジ
ュウ類;ドーナツ、パイ、カステラ等の菓子類等が挙げ
られる。この場合に用いられる多孔性含水小麦粉食品
は、小麦粉食品の内、比較的含水率が高く、且つ比較的
内部空間容積の大きな食品である。ここで、比較的含水
率が高いとは、一般的には含水率10%以上、また、比較
的内部空間容積が大きいとは、一般的には空間容積10%
以上のものを指す。クッキー、ビスケット等の比較的含
水率が低く、且つ比較的内部空間容積の少ないものは、
殆ど嵩の復元力がなく、このような圧縮技術の対象から
は除かれる。尚、本発明の多孔性含水小麦粉食品は、小
麦粉を主成分とし、大麦、ライ麦、トウモロコシ粉、澱
粉、卵、油脂、砂糖、乳成分、香料、乳化剤その他を含
有するものであり、組成的には特に限定されるものでは
ない。又、上記多孔性含水小麦粉食品は、焼く、揚げ
る、蒸す等の加熱処理により半製品または製品となるも
のである。ここで、パン類を例にとれば、一般的には、
一旦焼成し、製品としたものについて、後記の如き処理
が施されるが、場合によっては、最初の段階では半焼成
の状態にしておき、嵩の復元のための再加熱の際に同時
に完全に焼成し、製品とする形でもよい。
孔性含水小麦粉食品の表層部に水を含ませる工程を行
う。具体的な水を含ませる手段としては、水の直接塗布
(ハケまたはローラー等による塗布)、水への浸漬、水
の噴霧(スプレー等による噴霧)が挙げられる。
水を含ませることができる。ここで、高湿度下とは、60
%RH以上、好ましくは75%RH以上であり、また、温度条
件は復元に影響がない限り特に限定されないが、表面の
温度が50℃以下となるまで6時間以内の時間で冷却する
ことが好ましい。又、蒸気を用いることも有効であり、
一般的には蒸し器を用い、1〜20分程度、加熱蒸気処理
を行うことが好ましい。上記手段により水を含ませる場
合、含ませる水分の量は、多孔性含水小麦粉食品の表層
部(クラスト)の乾燥重量の1%以上であることが本発
明の効果を得る上で好ましい。この場合、特に上限規定
はないが、当然のことながら、あまりにも多量の水分付
与は外観や食感等の低下を招くので、表層部(クラス
ト)の乾燥重量の2倍量以下、好ましくは25%以下にと
どめておくのが望ましい。又、含ませる水分の量を別の
方法により表現すれば、表層部(クラスト)10cm2 当り
0.005 〜1g程度の水、より好ましくは0.005 〜0.05g
の水を含ませるのが好ましい。更に、上記手段により水
を含ませる場合、転動によって内部に局在する水分を多
孔性含水小麦粉食品全体に均質化することによって、ひ
び割れ抑制等の効果を増幅させることができる。尚、転
動方法は多孔性含水小麦粉食品に遠心力を与えることが
できる手段であれば特に限定されず、例えばドラム型転
動機を用い、該食品をその中で転がせる等の方法があ
る。
み合わせて水を含ませる工程を2回以上に分けて行うと
効果が更に上昇する場合がある。組み合わせや1回に含
ませる水の量は特に限定されないが、含ませる水の量を
全体で多孔性含水小麦粉食品の表層部(クラスト)の乾
燥重量の2倍量以下、好ましくは25%以下にとどめてお
くのが望ましい。また、最初に水を含ませてから、次に
水を含ませるまでの間にエージング(放置、静置等)を
行うほうが、その効果を大きくできる場合がある。エー
ジングの条件は特に限定されないが、2時間以内が好ま
しい。このような水を含ませる工程を2回以上に分けて
行うことは、上記の如き効果の他に、球状等の一度に多
量の水を含ませるのが難しい形状の食品に多量の水を含
ませたい場合にも有効である。
への浸漬、水の噴霧、及び蒸気等の手段を用いて、焼成
乃至半焼成後から、多孔性含水小麦粉食品の表層部に水
を含ませる工程を行うまでの間に、多孔性含水小麦粉食
品を冷却する工程を設けると、圧縮成型が行いやすくな
るので、該工程を設けることが好ましい。その方法及び
条件は特に限定されないが、表面の温度が50℃以下とな
るまで、強制的あるいは半自然的に冷却するのが望まし
い。
理した多孔性含水小麦粉食品の嵩を減少させる工程を行
う。その場合、水を含ませる工程の直後に嵩を減少させ
ても良いが、その間にエージング(放置、静置等)をお
こなってもよい。エージングの条件は特に限定されない
が、2時間以内が好ましい。ここで、嵩の減少率は、上
記多孔性含水小麦粉食品の種類、即ち内部空間容積と復
元力との兼ね合いにより一律には規定できないが、一般
的には加熱処理後の半製品又は製品の1に対して0.1 〜
0.9 (体積比)の範囲であり、本発明の目的(流通、保
管における経費削減)からすれば、減少率が大きいほど
好ましく、0.5 以下が効果的である。要は、後記する再
加熱により嵩が復元する程度まで、圧縮することが肝要
である。この多孔性含水小麦粉食品の嵩を減少させる工
程の具体的手段としては、機械的圧縮等が挙げられ、具
体的には、プレス機による加圧圧縮や、可撓性包材中に
密封しておき中を減圧することによる圧縮(真空パック
方式)が挙げられる。本発明においては、加熱処理した
多孔性含水小麦粉食品の嵩を減少させる工程の前または
後に該食品を包装する工程を含むことができる。この包
装の工程は、常法の技術により行われるが、前記の如き
真空圧縮包装によれば、圧縮と同時に包装も可能であ
る。尚、当然のことながら、これに限らず包装は圧縮の
後でも可能である。又、品質維持のために、窒素、炭酸
ガス等の単一または混合ガスを充填しながら包装しても
良い。又、凍結工程を含む場合には、解凍しないうちに
包装するのが望ましい。本発明では、加熱処理した多孔
性含水小麦粉食品の嵩を減少させる工程の後あるいは同
時に多孔性含水小麦粉食品を冷凍または冷蔵処理する工
程を設けるのが好ましい。これにより、嵩を減少させた
多孔性含水小麦粉食品をそのままの形態で保存すること
が可能であると共に保存性も優れたものとなる。
食品を、必要により保存、運搬等の流通過程におき、販
売店、外食産業店または家庭にて、再加熱し、嵩を復元
させる。この再加熱の手段としては、乾式手段である電
子レンジやオーブンレンジによるものが好ましいが、蒸
し器等を使った湿式手段でもよい。又、その他の加熱に
よるものでもよいが、電子レンジによることが、利便性
等の点から好ましい。ここで、再加熱処理による嵩の復
元率は、加熱処理後の1に対して0.5 〜2.0(体積比)
程度である。
ば、焼成後、表層部に水を含ませることにより、焼成多
孔性含水小麦粉食品の特徴である香ばしさを逃さず、
又、短時間のうちに圧縮工程に移行することができるた
め、生産性が良く、復元性も良好であり、販売店、外食
産業店、家庭において、何時でも焼き立てに近い味を有
するパン類等を提供することができる。
明する。 実施例1 下記するように各成分を配合し、混捏後、28℃で40分醗
酵、40gに分割、ベンチタイムを15分とった後、成型
し、37℃、湿度85%で30分ホイロ後焼成し、比容積5.10
(cm3/g)、高さ5(cm)のロールパンを製造した。 ロールパンの配合 強力粉 100.0 重量部 イースト 2.0 〃 イーストフード 0.1 〃 砂糖 8.0 〃 食塩 1.8 〃 脱脂粉乳 3.0 〃 ショートニング 5.0 〃 モノグリセリド 0.3 〃 水 60.0 〃 得られたロールパン(36g)を−5℃の条件で15分間冷
却した後、ハケにより水を0.7 g塗布し、ロールパンの
表面に、クラストの乾燥重量当り10%の水分を付与し
た。次に、室温条件下でロールパンを圧縮プレス板には
さんで、ロールパンの高さが1.25(cm)(初期の高さの
1/4)となるまで5秒(圧縮速度 7.5(mm/秒))で
圧縮し、その状態で(圧縮後3分以内に)−40℃の冷凍
庫に入れ1時間保持した。次に、圧縮成型されたロール
パンをプレス板から開放し、包装フィルムに導入し、窒
素ガス置換後、密封包装した。この圧縮成型されたロー
ルパンを1ヵ月、−20℃の冷凍庫に保存した後取り出
し、電子レンジで40秒加熱したところ、ロールパンの高
さは 4.7(cm)まで膨張した。再加熱したロールパンは
製造時と同様のふっくらした状態で、風味・食感も優れ
たものであった。
の条件で15分間冷却した後、ハケにより水を0.5 g塗布
し、室温条件下で10分間放置した後、再びハケにより水
を0.5 g塗布し、ロールパンの表面に、クラストの乾燥
重量当り15%の水分を付与した。次に、同様の圧縮、冷
凍、包装工程を行った。この圧縮成型されたロールパン
を1ヵ月、−20℃の冷凍庫に保存した後取り出し、電子
レンジで40秒加熱したところ、ロールパンの高さは 4.7
(cm)まで膨張した。再加熱したロールパンは製造時と
同様のふっくらした状態で、風味・食感も優れたもので
あった。
の条件で15分間冷却した後、20℃、85%RHの条件で1時
間冷却し、ロールパンの表面に、クラストの乾燥重量当
り18%の水分を付与した。次に、同様の圧縮、冷凍、包
装工程を行った。この圧縮成型されたロールパンを1ヵ
月、−20℃の冷凍庫に保存した後取り出し、電子レンジ
で40秒加熱したところ、ロールパンの高さは 4.7(cm)
まで膨張した。再加熱したロールパンは製造時と同様の
ふっくらした状態で、風味・食感も優れたものであっ
た。
の条件で15分間冷却した後、90℃の蒸し器で5分間蒸し
てロールパンの表面に、クラストの乾燥重量当り23%の
水分を付与した。次に、同様の圧縮、冷凍、包装工程を
行った。この圧縮成型されたロールパンを1ヵ月、−20
℃の冷凍庫に保存した後取り出し、電子レンジで40秒加
熱したところ、ロールパンの高さは 4.7(cm)まで膨張
した。再加熱したロールパンは製造時と同様のふっくら
した状態で、風味・食感も優れたものであった。
の条件で15分間冷却した後、水分付与を行わず、すぐに
同様の圧縮、冷凍、包装工程を行った。この圧縮成型さ
れたロールパンを1ヵ月、−20℃の冷凍庫に保存した後
取り出し、電子レンジで40秒加熱したところ、ロールパ
ンの高さは 2.2(cm)までしか膨張しなかった。また、
圧縮時にロールパンの表面に多数の亀裂が発生し、外観
上も好ましくないものとなった。
Claims (8)
- 【請求項1】 焼成乃至半焼成後の多孔性含水小麦粉食
品の表層部に水を含ませる工程を行い、次いで圧縮によ
り該食品の嵩を減少させた、再加熱により嵩が復元する
特徴を有する多孔性含水小麦粉食品の製造方法。 - 【請求項2】 圧縮後に冷凍工程を有する請求項1記載
の多孔性含水小麦粉食品の製造方法。 - 【請求項3】 水を含ませる工程が、水の直接塗布、水
への浸漬および水の噴霧より選ばれる手段を有するもの
である請求項1又は2記載の多孔性含水小麦粉食品の製
造方法。 - 【請求項4】 水を含ませる工程が、高湿度下で冷却を
行う手段を有するものである請求項1又は2記載の多孔
性含水小麦粉食品の製造方法。 - 【請求項5】 水を含ませる工程が、蒸気を用いる手段
を有するものである請求項1又は2記載の多孔性含水小
麦粉食品の製造方法。 - 【請求項6】 水を含ませる工程が、請求項3〜5記載
の同一または別の手段を組み合わせて2回以上行うもの
である請求項1又は2記載の多孔性含水小麦粉食品の製
造方法。 - 【請求項7】 含ませる水分の量が、多孔性含水小麦粉
食品の表層部(クラスト)の乾燥重量の1%以上である
請求項1〜6の何れか1項記載の多孔性含水小麦粉食品
の製造方法。 - 【請求項8】 多孔性含水小麦粉食品がパン類である請
求項1〜7の何れか1項記載の多孔性含水小麦粉食品の
製造方法。
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JP33659095 | 1995-12-25 | ||
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP3583549B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005107480A1 (ja) * | 2004-05-07 | 2005-11-17 | Mayekawa Mfg. Co., Ltd | 焼成食品の冷凍保存方法及び装置 |
JP2007521839A (ja) * | 2004-02-17 | 2007-08-09 | ワヘニンヘン センター フォー フード サイエンシーズ | パン生地又は半焼成パンの調製方法 |
WO2008149626A1 (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Mayekawa Mfg. Co., Ltd. | 加熱調理済み食品の冷却体、凍結体、保存方法及び保存装置 |
-
1996
- 1996-06-10 JP JP14692496A patent/JP3583549B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7771766B2 (en) | 2004-05-07 | 2010-08-10 | Mayekawa Mfg. Co., Ltd. | Apparatus and method for freeze-storing baked food |
WO2008149626A1 (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Mayekawa Mfg. Co., Ltd. | 加熱調理済み食品の冷却体、凍結体、保存方法及び保存装置 |
JP5470622B2 (ja) * | 2007-06-04 | 2014-04-16 | 株式会社タカキベーカリー | 加熱調理済み食品の保存方法及び保存装置 |
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---|---|
JP3583549B2 (ja) | 2004-11-04 |
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