JPH09232688A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JPH09232688A
JPH09232688A JP6185696A JP6185696A JPH09232688A JP H09232688 A JPH09232688 A JP H09232688A JP 6185696 A JP6185696 A JP 6185696A JP 6185696 A JP6185696 A JP 6185696A JP H09232688 A JPH09232688 A JP H09232688A
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JP
Japan
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layer
optical waveguide
quantum well
type
light emitting
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JP6185696A
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English (en)
Inventor
Osamu Taniguchi
理 谷口
Tomokimi Hino
智公 日野
Hiroyuki Okuyama
浩之 奥山
Akira Ishibashi
晃 石橋
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 しきい値電流密度が低く、しかも長寿命のI
I−VI族化合物半導体を用いた半導体発光素子を提供
する。 【解決手段】 n型GaAs基板上にバッファ層を介し
てn型ZnMgSSeクラッド層、n型ZnSSe光導
波層、歪補償構造の活性層、p型ZnSSe光導波層、
p型ZnMgSSeクラッド層などを順次積層して構成
される半導体発光素子において、その活性層をZnCd
Seなどからなる単一の量子井戸層をZnSSeなどか
らなる障壁層ではさんだ構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体発光素子
に関し、特に、II−VI族化合物半導体を用いた半導
体発光素子、例えば半導体レーザーや発光ダイオードに
適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクや光磁気ディスクに対
する記録/再生の高密度化または高解像度化のために、
青色ないし緑色で発光可能な半導体発光素子に対する要
求が高まっており、その実用化を目指して研究が活発に
行われている。このような青色ないし緑色で発光可能な
半導体発光素子の製造に用いる材料としては、Zn、M
g、CdなどのII族元素とSe、S、TeなどのVI
族元素とからなるII−VI族化合物半導体が最も一般
的に用いられている。特に、四元系のII−VI族化合
物半導体であるZnMgSSeは、ZnSeやZnSS
eに比べて大きなバンドギャップおよび低い屈折率を有
するので、波長400〜550nm帯の青色ないし緑色
で発光可能な半導体レーザーをGaAs基板を用いて製
造するときのクラッド層の材料に適しており、良好なキ
ャリア閉じ込め特性および光閉じ込め特性を得ることが
できる(Electronics Letters 28(1992)1798)。そし
て、このZnMgSSe層をクラッド層に用いた半導体
レーザーに関して種々の改良がなされた結果、ZnCd
Se層を活性層、ZnSSe層を光導波層、ZnMgS
Se層をクラッド層とするZnCdSe/ZnSSe/
ZnMgSSe SCH(Separate Confinement Heter
ostructure) 構造の半導体レーザーにおいて、室温連続
発振が達成されている(Electronics Letters 29(1993)
1488)。
【0003】しかしながら、このII−VI族化合物半
導体を用いた半導体レーザーには、寿命が短いという欠
点があった。このように寿命が短い原因は、活性層の急
速劣化であった。この活性層の急速劣化は、半導体レー
ザーに対する通電時に、活性層領域において観測される
暗点(dark spots) を源として〈100〉方向に増殖
(伸長)する暗黒領域(dark line)の拡大が原因である
ことがわかっている。さらに、透過型電子顕微鏡(TE
M)による観察結果から、この暗点が基板−成長層界面
付近から発生する積層欠陥に起因することが見い出され
た。このため、その積層欠陥密度を低減する手法、さら
には暗部増殖速度の低減に有効な活性層構造が求められ
ていた。
【0004】この活性層における暗部増殖速度の低減を
図るために、活性層を歪補償多重量子井戸構造とする提
案がなされている。その代表的な二つの例をそれぞれ図
12および図13に示す。図12に示す半導体レーザー
においては、活性層は、量子井戸層(発光層)としての
Zn0.7 Cd0.3 Se層と障壁層としてのZn0.81
0.19Se層とを交互に積層した歪補償多重量子井戸(M
QW)構造を有する。この場合、量子井戸層としてのZ
0.7 Cd0.3 Se層は3層ある。ここで、Zn0.7
0.3 Se層の厚さは4nm、Zn0.810.19Se層の
厚さは9nm、n型ZnSSe光導波層およびp型Zn
SSe光導波層の厚さはそれぞれ90nmである。ま
た、図12において、ΔEc =293meV、ΔEv1
188meV、ΔEv2=110meVである。
【0005】一方、図13に示す半導体レーザーにおい
ては、活性層は、量子井戸層としてのZn0.7 Cd0.3
Se層と障壁層としてのZn0.820.18Se層とを交互
に積層した歪補償MQW構造を有する。この場合、量子
井戸層としてのZn0.7 Cd0.3 Se層は5層ある。こ
こで、Zn0.7 Cd0.3 Se層の厚さは4nm、Zn
0.820.18Se層の厚さは7.5nm、n型ZnSSe
光導波層およびp型ZnSSe光導波層の厚さはそれぞ
れ90nmである。図13において、ΔEc =298m
eV、ΔEv1=167meV、ΔEv2=120meVで
ある。
【0006】上述の図12および図13に示す半導体レ
ーザーにおいては、量子井戸層としてのZn0.7 Cd
0.3 Se層はGaAs基板に対して約2.3%の圧縮歪
を有するのに対し、障壁層としてのZn0.810.19Se
層またはZn0.820.18Se層はGaAs基板に対して
逆に約0.6%または0.56%の引張歪を有すること
により、活性層全体の歪の総量を小さくしているもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
図12および図13に示す従来の半導体レーザーは、活
性層に複数の量子井戸が存在すること、あるいは、活性
層に正孔に対するポテンシャル障壁が存在することによ
り、しきい値電流密度の上昇を招いてしまい、素子特性
に悪影響を与えていた。このため、しきい値電流密度が
低く、しかも通電時の暗部増殖速度が遅い活性層構造を
有する長寿命の半導体レーザーが求められていた。した
がって、この発明の目的は、しきい値電流密度が低く、
しかも長寿命のII−VI族化合物半導体を用いた半導
体発光素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、半導体基板と、半導体基板上の第1導
電型の第1のクラッド層と、第1のクラッド層上の歪補
償構造の活性層と、活性層上の第2導電型の第2のクラ
ッド層とを有し、第1のクラッド層、活性層および第2
のクラッド層は、Zn、Mg、Cd、HgおよびBeか
らなる群より選ばれた少なくとも一種のII族元素とS
e、SおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一
種のVI族元素とにより構成されたII−VI族化合物
半導体からなる半導体発光素子において、活性層が単一
の量子井戸層を障壁層ではさんだ構造を有することを特
徴とするものである。
【0009】この発明において、半導体発光素子は、典
型的には、第1のクラッド層と活性層との間の第1導電
型の第1の光導波層および第2のクラッド層と活性層と
の間の第2導電型の第2の光導波層をさらに有し、第1
の光導波層および第2の光導波層は、Zn、Mg、C
d、HgおよびBeからなる群より選ばれた少なくとも
一種のII族元素とSe、SおよびTeからなる群より
選ばれた少なくとも一種のVI族元素とにより構成され
たII−VI族化合物半導体からなる。
【0010】この発明においては、活性層の劣化を有効
に抑える観点から、好適には、活性層の歪補償量はほぼ
0または負である。ここで、この歪補償量は、活性層の
劣化速度(暗部増殖速度)と相関のあるパラメータであ
り、半導体基板と活性層を構成する量子井戸層および障
壁層との格子不整合Δa/a(i)(ただし、i=量子
井戸層、障壁層)とその歪を有する量子井戸層および障
壁層の積層方向における厚さd(i)(ただし、i=量
子井戸層、障壁層)との積を量子井戸層および障壁層の
それぞれについて求めた量の和として(1)式のように
与えられる。 歪補償量= {Δa/a(量子井戸層)×d(量子井戸層)+Δa/a(障壁層)× d(障壁層)}×{d(量子井戸層)+d(障壁層)}-1 (1)
【0011】この発明において、典型的には、量子井戸
層は圧縮歪を有し、障壁層は引張歪を有する。この場
合、量子井戸層の格子定数は半導体基板の格子定数より
も大きく、障壁層の格子定数は半導体基板の格子定数よ
りも小さい。この発明において、典型的には、量子井戸
層はZnCdSeまたはZnCdSSeからなり、障壁
層はZnSSeまたはZnMgSSeからなる。この発
明の一実施形態においては、障壁層はその厚さ方向に一
定の組成を有する。この発明の他の実施形態において
は、第1の光導波層側の障壁層および第2の光導波層側
の障壁層はそれぞれ第1の光導波層および第2の光導波
層に隣接する部分において量子井戸層に向かって価電子
帯の頂上のエネルギーが徐々に減少するように組成が変
化しており、かつ、第1の光導波層側の障壁層および第
2の光導波層側の障壁層は量子井戸層に関してほぼ対称
な構造を有する。
【0012】この発明の他の実施形態においては、第1
の光導波層側の障壁層は第1の光導波層に隣接する部分
において量子井戸層に向かって価電子帯の頂上のエネル
ギーが徐々に減少するように組成が変化しており、か
つ、第2の光導波層側の障壁層は量子井戸層に隣接する
部分において量子井戸層に向かって価電子帯の頂上のエ
ネルギーが徐々に減少するように組成が変化している。
この発明の他の実施形態においては、第1の光導波層お
よび第2の光導波層は量子井戸層に接しており、第1の
光導波層および第2の光導波層は量子井戸層に向かって
価電子帯の頂上のエネルギーが徐々に増加するように組
成が変化しており、第1の光導波層および第2の光導波
層のうちの量子井戸層に隣接する部分により障壁層が構
成されている。
【0013】この発明の他の実施形態においては、第1
の光導波層および第2の光導波層は量子井戸層に接して
おり、第1の光導波層および第2の光導波層はその厚さ
方向に一定の組成を有し、第1の光導波層および第2の
光導波層により障壁層が構成されている。この発明の他
の実施形態においては、障壁層中に少なくとも一層の薄
膜量子井戸層を有する。この場合、この薄膜量子井戸層
を除いた部分の障壁層の厚さは、この障壁層を、正孔お
よび電子がトンネル効果により容易に透過することがで
きるように十分に小さく選ばれる。この発明において、
半導体基板としては、例えばGaAs基板やZnSe基
板などが用いられる。
【0014】上述のように構成されたこの発明による半
導体発光素子によれば、活性層が単一の量子井戸層を障
壁層ではさんだ構造を有することにより、しきい値電流
密度を低くすることができる。また、半導体発光素子に
対する通電時の活性層における暗部増殖速度を小さくす
ることができることにより、活性層の急速劣化を抑える
ことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1および図2は、こ
の発明の第1の実施形態による半導体レーザーを示す。
ここで、図1はこの半導体レーザーの共振器長方向に垂
直な断面図、図2はこの半導体レーザーの共振器長方向
に平行な断面図である。この半導体レーザーはSCH構
造を有するものである。
【0016】図1および図2に示すように、この第1の
実施形態による半導体レーザーにおいては、ドナー性不
純物として例えばSiがドープされた例えば(100)
面方位のn型GaAs基板1上に、ドナー性不純物とし
て例えばSiがドープされたn型GaAsバッファ層
2、ドナー性不純物として例えばClがドープされたn
型ZnSeバッファ層3、ドナー性不純物として同様に
Clがドープされたn型ZnSSeバッファ層4、ドナ
ー性不純物として同様にClがドープされたn型ZnM
gSSeクラッド層5、ドナー性不純物として同様にC
lがドープされたn型ZnSSe光導波層6、後述する
歪補償単一量子井戸構造の活性層7、アクセプタ性不純
物として例えばNがドープされたp型ZnSSe光導波
層8、アクセプタ性不純物として同様にNがドープされ
たp型ZnMgSSeクラッド層9、アクセプタ性不純
物として同様にNがドープされたp型ZnSSe層1
0、アクセプタ性不純物として同様にNがドープされた
p型ZnSeコンタクト層11、アクセプタ性不純物と
して同様にNがそれぞれドープされたp型ZnSeから
なる障壁層とp型ZnTeからなる井戸層とが交互に積
層されたp型ZnSe/ZnTeMQW層12およびア
クセプタ性不純物として同様にNがドープされたp型Z
nTeコンタクト層13が、順次積層されている。
【0017】ここで、p型ZnSSe層10の上層部、
p型ZnSeコンタクト層11、p型ZnSe/ZnT
eMQW層12およびp型ZnTeコンタクト層13
は、一方向に延びるストライプ形状を有する。このスト
ライプ部の幅は例えば5μmである。このストライプ部
以外の部分のp型ZnSSe層10上には、例えば厚さ
が300nmのアルミナ(Al2 3 )膜からなる絶縁
層14が形成されている。そして、ストライプ形状のp
型ZnTeコンタクト層13および絶縁層14上にp側
電極15が形成されている。このp側電極15がp型Z
nTeコンタクト層13とコンタクトした部分が電流の
通路となる。ここで、このp側電極15としては、例え
ば、厚さが10nmのPd膜と厚さが100nmのPt
膜と厚さが300nmのAu膜とを順次積層した構造の
Pd/Pt/Au電極が用いられる。一方、n型GaA
s基板1の裏面には、例えばIn電極のようなn側電極
16がコンタクトしている。
【0018】この半導体レーザーにおいては、いわゆる
端面コーティングが施されている。すなわち、図2に示
すように、共振器長方向に垂直な一対の共振器端面のう
ちレーザー光が取り出されるフロント側の端面には、A
2 3 膜17とSi膜18とを1周期積層した多層膜
がコーティングされ、共振器長方向に垂直な一対の共振
器端面のうちレーザー光が取り出されないリア側の端面
には、Al2 3 膜17とSi膜18とを2周期積層し
た多層膜がコーティングされている。ここで、Al2
3 膜17とSi膜18とを1周期積層した多層膜の厚さ
は、それに屈折率をかけた光学的距離がレーザー光の発
振波長の1/4になるように選ばれる。このような端面
コーティングが施されていることにより、例えば、フロ
ント側の端面の反射率を70%、リア側の端面の反射率
を例えば95%にすることができる。
【0019】この半導体レーザーを構成する各半導体層
の厚さの一例を挙げると、n型GaAsバッファ層2は
500nm、n型ZnSeバッファ層3は30nm、n
型ZnSSeバッファ層4は300nm、n型ZnMg
SSeクラッド層5およびp型ZnMgSSeクラッド
層9はそれぞれ1000nm、n型ZnSSe光導波層
6およびp型ZnSSe光導波層8はそれぞれ100n
m、p型ZnSSe層10は1500nm、p型ZnS
eコンタクト層11は100nm、p型ZnTeコンタ
クト層13は70nmである。また、各n型半導体層の
有効ドナー濃度ND −NA (ただし、ND :ドナー濃
度、NA :アクセプタ濃度)の一例を挙げると、n型G
aAsバッファ層2は2.0×1018cm-3、n型Zn
Seバッファ層3、n型ZnSSeバッファ層4、n型
ZnMgSSeクラッド層5およびn型ZnSSe光導
波層6はそれぞれ5.0×1017cm-3である。さら
に、各p型半導体層の有効アクセプタ濃度NA −ND
一例を挙げると、p型ZnSSe光導波層8、p型Zn
SSe層10およびp型ZnSeコンタクト層11はそ
れぞれ1.0×1018cm-3、p型ZnMgSSeクラ
ッド層9は2.0×1017cm-3、p型ZnTeコンタ
クト層13は1.0×1019cm-3である。
【0020】p型ZnSSe層10は、場合により、p
型ZnMgSSeクラッド層9に加えた第2のクラッド
層としての機能、p型ZnMgSSeクラッド層9との
格子整合をとる機能、ヒートシンク上へのレーザーチッ
プのマウントの際のチップ端面におけるはんだの這い上
がりによる短絡を防止するためのスペーサ層としての機
能などのうちの一または二以上の機能を有する。また、
p型ZnSe/ZnTeMQW層12は、p型ZnSe
コンタクト層11とp型ZnTeコンタクト層13とを
直接接合したときにはその接合界面において価電子帯に
約0.8eVの大きなバンド不連続が生じ、これが、p
側電極15から注入される正孔がp型ZnTeコンタク
ト層13からp型ZnSeコンタクト層11に移動する
際の障壁となることから、この障壁を実効的になくすた
めのものである。
【0021】この半導体レーザーにおいて、歪補償単一
量子井戸構造の活性層7は、具体的には、図3に示すよ
うな構造を有する。すなわち、図3に示すように、活性
層7は、単一の量子井戸層(発光層)としてのZn0.73
Cd0.27Se層を障壁層としてのZn0.810.19Se層
ではさんだ構造を有する。ここで、量子井戸層としての
Zn0.73Cd0.27Se層の厚さは例えば6nm、障壁層
としてのZn0.73Cd0.27Se層の厚さは例えば9nm
であり、障壁層の合計厚さは18nmである。また、Z
0.73Cd0.27Se層のn型GaAs基板1との格子不
整合はΔa/a=2.04%(圧縮歪)、Zn0.81
0.19Se層のn型GaAs基板1との格子不整合はΔa
/a=−0.61%(引張歪)であり、これによって歪
が補償され、活性層7の全体の総歪量が十分に小さくな
っている。なお、n型ZnSSe光導波層6およびp型
ZnSSe光導波層8のS組成比は、これらのn型Zn
SSe光導波層6およびp型ZnSSe光導波層8がn
型GaAs基板1と格子整合する組成比、すなわち0.
07に選ばれている。また、歪の計算においては、Zn
Se、CdSe、ZnSおよびGaAsの格子定数とし
てそれぞれ5.6681Å、6.05Å、5.4093
Åおよび5.6533Åを用い、混晶層の格子定数とし
てはいわゆるベガード則から求めたものを用いた。
【0022】このときの活性層7の歪補償量を求める
と、次のようになる。すなわち、量子井戸層がZnCd
Se層、障壁層がZnSSe層である場合について
(1)式を改めて書くと、(2)式のようになる。 歪補償量= {Δa/a(ZnCdSe)×d(ZnCdSe)+Δa/a(ZnSSe) ×d(ZnSSe)}×{d(ZnCdSe)+d(ZnSSe)}-1 (2) (2)式に、Δa/a(ZnCdSe)、Δa/a(Z
nSSe)、d(ZnCdSe)およびd(ZnSS
e)の値を代入して歪補償量を計算すると、0.000
525となり、実質的に0である。
【0023】図4は、歪補償活性層の井戸数(量子井戸
層の数)としきい値電流密度との関係を示す。図4よ
り、発振波長が同程度の半導体レーザーにおいて歪補償
活性層の井戸数が1、3、5と増加するにつれて、しき
い値電流密度は単調に増加しており、最もしきい値電流
密度が小さいのは井戸数が1、すなわち単一量子井戸の
場合であることがわかる。ただし、図4において、歪補
償活性層の井戸数がそれぞれ1、3、5である場合の量
子井戸層の合計の厚さはそれぞれ6nm、12nmおよ
び20nmである。図5に、歪補償単一量子井戸構造の
活性層における量子井戸層と障壁層とによる歪補償量と
エレクトロルミネッセンス測定により求めた暗部増殖速
度との対応関係を示す。図5から、活性層の総歪量を十
分に小さくすることにより、特に、歪補償量をほぼ0ま
たは負にすることにより、活性層の暗部増殖速度が小さ
くなり、したがって劣化速度が抑えられていることがわ
かる。この単一量子井戸歪補償活性層においては、十分
に歪補償量を小さくして活性層の劣化を抑制することが
できる。
【0024】次に、上述のように構成されたこの第1の
実施形態による半導体レーザーの製造方法について説明
する。図6はこの半導体レーザーの製造に用いられる分
子線エピタキシー(MBE)装置の構成を示す。図6に
示すように、このMBE装置においては、二つの真空容
器30、40が真空搬送路50を介して結合されてい
る。ここで、真空容器30はIII−V族化合物半導体
成長用であり、真空容器40はII−VI族化合物半導
体成長用である。これらの真空容器30、40は、図示
省略した超高真空排気装置により例えば10-8Pa台の
超高真空に排気されている。
【0025】真空容器30内には、ヒータ31によって
加熱可能な試料テーブル32が設置されている。そし
て、この試料テーブル32上に、エピタキシャル成長を
行うべき基板Sが保持される。また、真空容器30に
は、試料テーブル32に対向して複数の分子線源(Kセ
ル)33が取り付けられている。この場合、この分子線
源33としては、Ga、AsおよびSiの各分子線源が
用意されている。符号34は各分子線源33のシャッタ
ーを示す。真空容器30にはさらに、四重極質量分析計
35および表面観察用の反射高速電子線回折(RHEE
D)電子銃36が取り付けられている。真空容器30に
はまた、試料交換室37が取り付けられており、この試
料交換室37により、真空容器30に対する基板Sの出
し入れを行うことができるようになっている。
【0026】一方、真空容器40内には、ヒータ41に
よって加熱可能な試料テーブル42が設置されている。
そして、この試料テーブル42上に、エピタキシャル成
長を行うべき基板Sが保持される。また、真空容器40
には、試料テーブル42に対向して複数の分子線源43
が取り付けられている。この場合、この分子線源43と
しては、Zn、Cd、Mg、Se、ZnS、Teおよび
ZnCl2 の各分子線源が用意されている。なお、例え
ば、ZnSの代わりに、単体Sをバルブクラッカセル
(valve cracker cell) により供給するようにしてもよ
い。符号44は各分子線源43のシャッターを示す。真
空容器40にはさらに、四重極質量分析計45および表
面観察用のRHEED電子銃46が取り付けられてい
る。この真空容器40にはまた、電子サイクロトロン共
鳴(ECR)または高周波(RF)によるプラズマセル
47が取り付けられている。符号48はこのプラズマセ
ル47のシャッターを示す。
【0027】このMBE装置において、真空容器30、
40間の基板Sの搬送は、搬送台51上に基板Sを載
せ、この搬送台51を真空搬送路50内で移動させるこ
とにより、この基板Sを途中で一切大気にさらすことな
く行うことができるようになっている。この第1の実施
形態による半導体レーザーは、図6に示すMBE装置を
用いて次のようにして製造される。まず、図6に示すM
BE装置の試料交換室37からIII−V族化合物半導
体成長用の真空容器30内にn型GaAs基板1を導入
し、このn型GaAs基板1を試料テーブル32上に装
着する。次に、試料テーブル32をヒータ31で加熱す
ることにより、n型GaAs基板1を所定の成長温度に
加熱する。次に、このn型GaAs基板1上に、Ga、
AsおよびSiの各分子線源33を用いて、図1および
図2に示すように、n型GaAsバッファ層2をMBE
法によりエピタキシャル成長させる。なお、このn型G
aAsバッファ層2のエピタキシャル成長は、n型Ga
As基板1を例えば580℃付近の温度に加熱してその
表面をサーマルエッチングすることにより表面酸化膜な
どを除去して表面清浄化を行った後に行ってもよい。さ
らに、n型GaAsバッファ層2の表面は、(2×4)
As安定化面とするのが好ましい。
【0028】次に、このn型GaAsバッファ層2がエ
ピタキシャル成長されたn型GaAs基板1を、真空搬
送路50を介して、III−V族化合物半導体成長用の
真空容器30からII−VI族化合物半導体成長用の真
空容器40内に搬送し、試料テーブル42上に装着す
る。次に、試料テーブル42をヒータ41で加熱するこ
とにより、n型GaAs基板1を所定の成長温度に加熱
する。そして、図1および図2に示すように、n型Ga
Asバッファ層2上に、MBE法により、n型ZnSe
バッファ層3、n型ZnSSeバッファ層4、n型Zn
MgSSeクラッド層5、n型ZnSSe光導波層6、
活性層7、p型ZnSSe光導波層8、p型ZnMgS
Seクラッド層9、p型ZnSSe層10、p型ZnS
eコンタクト層11、p型ZnSe/ZnTeMQW層
12およびp型ZnTeコンタクト層13を順次エピタ
キシャル成長させる。
【0029】次に、p型ZnTeコンタクト層13上に
一方向に延びる所定幅のストライプ形状のレジストパタ
ーン(図示せず)をリソグラフィーにより形成した後、
このレジストパターンをマスクとしてp型ZnSSe層
10の厚さ方向の途中の深さまでウエットエッチング法
によりエッチングする。これによって、p型ZnSSe
層10の上層部、p型ZnSeコンタクト層11、p型
ZnSe/ZnTeMQW層12およびp型ZnTeコ
ンタクト層13がストライプ形状にパターニングされ
る。次に、上述のエッチングに用いたレジストパターン
を残したまま全面にAl23 膜を真空蒸着した後、こ
のレジストパターンを、その上に形成されたAl23
膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、ス
トライプ部以外の部分のp型ZnSSe層10上にのみ
Al2 3 膜からなる絶縁層14が形成される。
【0030】次に、ストライプ形状のp型ZnTeコン
タクト層13および絶縁層14の全面にPd膜、Pt膜
およびAu膜を順次真空蒸着してPd/Pt/Au電極
からなるp側電極15を形成し、その後熱処理を行っ
て、このp側電極15をp型ZnTeコンタクト層13
とオーミックコンタクトさせる。一方、n型GaAs基
板1の裏面には、In電極のようなn側電極16を形成
する。この後、以上のようにしてレーザー構造が形成さ
れたn型GaAs基板1をバー状に劈開して両共振器端
面を形成した後、例えば真空蒸着法により、フロント側
の端面にAl2 3 膜17とSi膜18とを1周期積層
した多層膜を形成するとともに、リア側の端面にAl2
3 膜17とSi膜18とを2周期積層した多層膜を形
成する。このように端面コーティングを施した後、この
バーを劈開してチップ化し、パッケージングを行う。
【0031】以上のように、この第1の実施形態による
半導体レーザーによれば、歪補償構造の活性層7が、Z
0.73Cd0.27Se層からなる単一の量子井戸層をZn
0.810.19Se層からなる障壁層ではさんだ構造を有す
るので、しきい値電流密度を低減することができ、しか
も活性層7における暗部増殖速度を小さくし、急速劣化
を有効に抑えることができる。これによって、しきい値
電流密度が小さく、しかも長寿命の青色ないし緑色で発
光可能な半導体レーザーを実現することができる。
【0032】次に、この発明の第2の実施形態による半
導体レーザーについて説明する。図7はこの第2の実施
形態による半導体レーザーの要部のエネルギーバンド図
を示す。図7に示すように、この第2の実施形態による
半導体レーザーにおいては、活性層7は、Zn0.73Cd
0.27Se層からなる単一の量子井戸層をn型ZnSSe
光導波層6およびp型ZnSSe光導波層8ではさんだ
構造を有する。言い換えれば、この場合、n型ZnSS
e光導波層6およびp型ZnSSe光導波層8の全体が
障壁層を構成している。ここで、n型ZnSSe光導波
層6およびp型ZnSSe光導波層8のS組成比はその
厚さ方向において一定であり、この場合には0.07で
ある。その他の構成は、第1の実施形態による半導体レ
ーザーと同様であるので、説明を省略する。
【0033】また、この第2の実施形態による半導体レ
ーザーの製造方法は、第1の実施形態による半導体レー
ザーの製造方法と同様であるので、説明を省略する。こ
の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の利
点を得ることができる。この場合、特に、n型ZnSS
e光導波層6およびp型ZnSSe光導波層8の全体が
障壁層を構成しているので、活性層7の歪補償を十分に
行って歪補償量を十分に小さくすることができ、したが
って活性層7の急速劣化をより有効に抑えることができ
る。
【0034】次に、この発明の第3の実施形態による半
導体レーザーについて説明する。図8はこの第3の実施
形態による半導体レーザーの要部のエネルギーバンド図
を示す。図8に示すように、この第3の実施形態による
半導体レーザーにおいては、活性層7は、Zn0.73Cd
0.27Se層からなる単一の量子井戸層をn型ZnSSe
光導波層6およびp型ZnSSe光導波層8ではさんだ
構造を有する。言い換えれば、この場合、n型ZnSS
e光導波層6およびp型ZnSSe光導波層8の全体が
障壁層を構成している。ただし、第2の実施形態と異な
り、この場合、n型ZnSSe光導波層6およびp型Z
nSSe光導波層8とも、活性層7の量子井戸層に向か
ってその厚さ方向にS組成比が直線的に減少している。
このような構造は、いわゆるGRIN−SCH(Graded
Index SCH)構造と呼ばれる構造である。ここで、Zn
0.73Cd0.27Se層からなる量子井戸層との界面におけ
るn型ZnSSe光導波層6およびp型ZnSSe光導
波層8のS組成比は、0.07となっている。また、n
型ZnMgSSeクラッド層5との界面におけるn型Z
nSSe光導波層6およびp型ZnMgSSeクラッド
層9との界面におけるp型ZnSSe光導波層8のS組
成比は、n型ZnSSe光導波層6とn型ZnMgSS
eクラッド層5との価電子帯が連続し、かつ、p型Zn
SSe光導波層8とp型ZnMgSSeクラッド層9と
の価電子帯が連続するように選ばれている。
【0035】この第3の実施形態においては、障壁層と
してのn型ZnSSe光導波層6およびp型ZnSSe
光導波層8の歪は、Zn0.73Cd0.27Se層からなる量
子井戸層に近づくほど小さくなっている。この第3の実
施形態による半導体レーザーのその他の構成は、第1の
実施形態による半導体レーザーと同様であるので、説明
を省略する。この第3の実施形態による半導体レーザー
の製造方法は、第1の実施形態による半導体レーザーと
同様であるので、説明を省略する。この第3の実施形態
によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることがで
きる。また、この場合、障壁層としてのn型ZnSSe
光導波層6とn型ZnMgSSeクラッド層5との価電
子帯が連続し、かつ、障壁層としてのp型ZnSSe光
導波層8とp型ZnMgSSeクラッド層9との価電子
帯が連続していることから、正孔に対して障壁となる価
電子帯の凹みがなく、したがって正孔の移動が妨げられ
ないという利点もある。
【0036】次に、この発明の第4の実施形態による半
導体レーザーについて説明する。図9はこの第4の実施
形態による半導体レーザーの要部のエネルギーバンド図
を示す。図9に示すように、この第4の実施形態による
半導体レーザーにおいては、活性層7は、Zn0.73Cd
0.27Se層からなる単一の量子井戸層をZnSSe層か
らなる障壁層ではさんだ構造を有する。この場合、この
障壁層としてのZnSSe層のS組成比は、n型ZnS
Se光導波層6およびp型ZnSSe光導波層8との界
面における0.07から量子井戸層に向かって徐々に増
大して例えば0.17になり、残りの部分においては一
定になっている。なお、このようなS組成比の傾斜をつ
けるには、ZnSSe層の成長中にSの分子線源の温度
を徐々に変化させてSの分子線の強度を変化させればよ
い。その他のことは、第1の実施形態による半導体レー
ザーと同様であるので、説明を省略する。この第4の実
施形態による半導体レーザーの製造方法は、第1の実施
形態による半導体レーザーの製造方法と同様であるの
で、説明を省略する。この第4の実施形態によれば、第
1の実施形態と同様の利点を得ることができるほか、活
性層7の障壁層とn型ZnSSe光導波層6およびp型
ZnSSe光導波層8との価電子帯が連続しているの
で、正孔の移動がより容易であるという利点も得ること
ができる。
【0037】次に、この発明の第5の実施形態による半
導体レーザーについて説明する。図10はこの第5の実
施形態による半導体レーザーの要部のエネルギーバンド
図を示す。図10に示すように、この第5の実施形態に
よる半導体レーザーにおいては、活性層7は、Zn0.73
Cd0.27Se層からなる単一の量子井戸層をZnSSe
層からなる障壁層ではさんだ構造を有する。この場合、
n型ZnSSe光導波層6側の障壁層としてのZnSS
e層のS組成比は、n型ZnSSe光導波層6との界面
における0.07から量子井戸層に向かって徐々に増大
して例えば0.17になり、残りの部分においては0.
17になっている。一方、p型ZnSSe光導波層8側
の障壁層としてのZnSSe層のS組成比は、p型Zn
SSe光導波層8との界面における0.07から量子井
戸層に向かって徐々に増大し、量子井戸層との界面にお
いては0.07と0.17との中間の値になっている。
その他のことは、第1の実施形態による半導体レーザー
と同様であるので、説明を省略する。
【0038】この第5の実施形態による半導体レーザー
の製造方法は、第1の実施形態による半導体レーザーの
製造方法と同様であるので、説明を省略する。この第5
の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の利点を得
ることができるほか、次のような利点をも得ることがで
きる。すなわち、活性層7におけるp型ZnSSe光導
波層8側の障壁層と量子井戸層との界面の価電子帯の凹
みが小さいので、量子井戸層への正孔の落ち込みが容易
になる。また、n型ZnSSe光導波層6側の障壁層と
量子井戸層との界面における価電子帯の凹みは大きいた
め、n型ZnSSe光導波層6側への正孔のオーバーフ
ローを有効に抑制することができる。これによって、量
子井戸層において電子と電子との再結合が容易に起き、
したがってしきい値電流密度を低減することができる。
【0039】次に、この発明の第6の実施形態による半
導体レーザーについて説明する。図11はこの第6の実
施形態による半導体レーザーの要部のエネルギーバンド
図を示す。図11に示すように、この第6の実施形態に
よる半導体レーザーにおいては、活性層7は、Zn0.73
Cd0.27Se層からなる単一の量子井戸層をZn0.81
0.19Se層からなる障壁層ではさんだ構造を有する。さ
らに、この場合、この障壁層としてのZn0.810.19
e層中には、Zn0.73Cd0.27Se薄膜からなる薄膜量
子井戸層が挿入されている。ここで、このZn0.73Cd
0.27Se薄膜を除いた残りの部分の障壁層の厚さは、こ
の障壁層を正孔および電子がトンネル効果により容易に
透過することができる程度に十分に小さく選ばれてお
り、具体的には例えば2〜3原子層の厚さに選ばれてい
る。その他の構成は、第1の実施形態による半導体レー
ザーと同様であるので、説明を省略する。
【0040】この第6の実施形態による半導体レーザー
の製造方法は、第1の実施形態による半導体レーザーの
製造方法と同様であるので、説明を省略する。この第6
の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得
ることができるほか、次のような利点をも得ることがで
きる。すなわち、活性層7の障壁層を正孔がトンネル効
果により容易に透過することができる。また、障壁層中
に薄膜量子井戸層が挿入されていることにより、活性層
7におけるヘテロ界面の数が増えるため、活性層7にお
ける暗部増殖速度を小さくすることができ、活性層7の
急速劣化をより有効に抑えることができる。
【0041】以上、この発明の実施形態について具体的
に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定され
るものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の
変形が可能である。例えば、上述の第1〜第6の実施形
態においては、活性層7の量子井戸層としてZnCdS
e層を用いているが、例えばZnCdSSe層(特に、
n型GaAs基板1とほぼ格子整合する、S組成比が
0.07のもの)を用いてもよい。また、上述の第1〜
第6の実施形態において、必要に応じて、活性層7の全
体あるいは部分的に、アクセプタ性不純物またはドナー
性不純物をドーピングしてp型またはn型としてもよ
い。
【0042】また、例えば、上述の第2の実施形態にお
けるn型ZnSSe光導波層6およびp型ZnSSe光
導波層8の代わりにn型ZnMgSSe光導波層および
p型ZnMgSSe光導波層を用い、これらのn型Zn
MgSSe光導波層およびp型ZnMgSSe光導波層
のうちのZn0.73Cd0.27Se層からなる量子井戸層に
隣接する部分のMg組成比をこの量子井戸層に向かって
厚さ方向に徐々に増加させることにより、これらの部分
において価電子帯の上端は量子井戸層に向かって下降
し、伝導帯の下端は量子井戸層に向かって上昇するよう
な変化をもたせてもよい。ここで、単にこれらのn型Z
nMgSSe光導波層およびp型ZnMgSSe光導波
層のMg組成比を増加させると、それらの格子定数が大
きくなり、歪補償層とならなくなるので、Mg組成比の
増加に伴ってS組成比も増加させ、それらの格子定数の
増加を抑える必要がある。同様なことは、第4の実施形
態および第5の実施形態における活性層7のZnSSe
層からなる障壁層の代わりにZnMgSSe層を用いる
場合にも言える。さらに、上述の第1〜第6の実施形態
においては、この発明をSCH構造の半導体レーザーに
適用した場合について説明したが、この発明は、DH
(Double Heterostructure)構造の半導体レーザーはも
ちろん、発光ダイオードに適用することも可能である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による半
導体発光素子によれば、活性層が単一の量子井戸層を障
壁層ではさんだ構造を有することから、しきい値電流密
度が低く、しかも長寿命のII−VI族化合物半導体を
用いた半導体発光素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による半導体レーザ
ーの共振器長方向に垂直な断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態による半導体レーザ
ーの共振器長方向に平行な断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態による半導体レーザ
ーの要部のエネルギーバンド図である。
【図4】この発明の第1の実施形態による半導体レーザ
ーにおける歪補償活性層の井戸数としきい値電流密度と
の関係を示すグラフである。
【図5】この発明の第1の実施形態による半導体レーザ
ーにおける歪補償量と暗部増殖速度との関係を示すグラ
フである。
【図6】この発明の実施形態による半導体レーザーの製
造に用いられるMBE装置を示す略線図である。
【図7】この発明の第2の実施形態による半導体レーザ
ーの要部のエネルギーバンド図である。
【図8】この発明の第3の実施形態による半導体レーザ
ーの要部のエネルギーバンド図である。
【図9】この発明の第4の実施形態による半導体レーザ
ーの要部のエネルギーバンド図である。
【図10】この発明の第5の実施形態による半導体レー
ザーの要部のエネルギーバンド図である。
【図11】この発明の第6の実施形態による半導体レー
ザーの要部のエネルギーバンド図である。
【図12】従来の歪補償多重量子井戸構造の活性層を有
する半導体レーザーの一例の要部のエネルギーバンド図
である。
【図13】従来の歪補償多重量子井戸構造の活性層を有
する半導体レーザーの他の例の要部のエネルギーバンド
図である。
【符号の説明】
1・・・n型GaAs基板、3・・・n型ZnSeバッ
ファ層、4・・・n型ZnSSeバッファ層、5・・・
n型ZnMgSSeクラッド層、6・・・n型ZnSS
e光導波層、7・・・活性層、8・・・p型ZnSSe
光導波層、9・・・p型ZnMgSSeクラッド層、1
0・・・p型ZnSSe層、11・・・p型ZnSeコ
ンタクト層、12・・・p型ZnSe/ZnTeMQW
層、13・・・p型ZnTeコンタクト層、14・・・
絶縁膜、15・・・p側電極、16・・・n側電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石橋 晃 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板と、 上記半導体基板上の第1導電型の第1のクラッド層と、 上記第1のクラッド層上の歪補償構造の活性層と、 上記活性層上の第2導電型の第2のクラッド層とを有
    し、 上記第1のクラッド層、上記活性層および上記第2のク
    ラッド層は、Zn、Mg、Cd、HgおよびBeからな
    る群より選ばれた少なくとも一種のII族元素とSe、
    SおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種の
    VI族元素とにより構成されたII−VI族化合物半導
    体からなる半導体発光素子において、 上記活性層が単一の量子井戸層を障壁層ではさんだ構造
    を有することを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 上記第1のクラッド層と上記活性層との
    間の第1導電型の第1の光導波層および上記第2のクラ
    ッド層と上記活性層との間の第2導電型の第2の光導波
    層をさらに有し、上記第1の光導波層および上記第2の
    光導波層は、Zn、Mg、Cd、HgおよびBeからな
    る群より選ばれた少なくとも一種のII族元素とSe、
    SおよびTeからなる群より選ばれた少なくとも一種の
    VI族元素とにより構成されたII−VI族化合物半導
    体からなることを特徴とする請求項1記載の半導体発光
    素子。
  3. 【請求項3】 上記活性層の歪補償量はほぼ0または負
    であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素
    子。
  4. 【請求項4】 上記量子井戸層は圧縮歪を有し、上記障
    壁層は引張歪を有することを特徴とする請求項1記載の
    半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 上記量子井戸層はZnCdSeからな
    り、上記障壁層はZnSSeからなることを特徴とする
    請求項1記載の半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 上記量子井戸層はZnCdSeからな
    り、上記障壁層はZnMgSSeからなることを特徴と
    する請求項1記載の半導体発光素子。
  7. 【請求項7】 上記量子井戸層はZnCdSSeからな
    り、上記障壁層はZnSSeからなることを特徴とする
    請求項1記載の半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 上記量子井戸層はZnCdSSeからな
    り、上記障壁層はZnMgSSeからなることを特徴と
    する請求項1記載の半導体発光素子。
  9. 【請求項9】 上記歪障壁層はその厚さ方向に一定の組
    成を有することを特徴とする請求項1記載の半導体発光
    素子。
  10. 【請求項10】 上記第1の光導波層側の上記障壁層お
    よび上記第2の光導波層側の上記障壁層はそれぞれ上記
    第1の光導波層および上記第2の光導波層に隣接する部
    分において上記量子井戸層に向かって価電子帯の頂上の
    エネルギーが徐々に減少するように組成が変化してお
    り、かつ、上記第1の光導波層側の上記障壁層および上
    記第2の光導波層側の上記障壁層は上記量子井戸層に関
    してほぼ対称な構造を有することを特徴とする請求項2
    記載の半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 上記第1の光導波層側の上記障壁層は
    上記第1の光導波層に隣接する部分において上記量子井
    戸層に向かって価電子帯の頂上のエネルギーが徐々に減
    少するように組成が変化しており、かつ、上記第2の光
    導波層側の上記障壁層は上記量子井戸層に隣接する部分
    において上記量子井戸層に向かって価電子帯の頂上のエ
    ネルギーが徐々に減少するように組成が変化しているこ
    とを特徴とする請求項2記載の半導体発光素子。
  12. 【請求項12】 上記第1の光導波層および上記第2の
    光導波層は上記量子井戸層に接しており、上記第1の光
    導波層および上記第2の光導波層は上記量子井戸層に向
    かって価電子帯の頂上のエネルギーが徐々に増加するよ
    うに組成が変化しており、上記第1の光導波層および上
    記第2の光導波層のうちの上記量子井戸層に隣接する部
    分により上記障壁層が構成されていることを特徴とする
    請求項2記載の半導体発光素子。
  13. 【請求項13】 上記第1の光導波層および上記第2の
    光導波層は上記量子井戸層に接しており、上記第1の光
    導波層および上記第2の光導波層はその厚さ方向に一定
    の組成を有し、上記第1の光導波層および上記第2の光
    導波層により上記障壁層が構成されていることを特徴と
    する請求項2記載の半導体発光素子。
  14. 【請求項14】 上記障壁層中に薄膜量子井戸層を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
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