JPH09231629A - 磁気相転移材料を用いた光磁気記録媒体及び光磁気記録方法 - Google Patents

磁気相転移材料を用いた光磁気記録媒体及び光磁気記録方法

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JPH09231629A
JPH09231629A JP34371696A JP34371696A JPH09231629A JP H09231629 A JPH09231629 A JP H09231629A JP 34371696 A JP34371696 A JP 34371696A JP 34371696 A JP34371696 A JP 34371696A JP H09231629 A JPH09231629 A JP H09231629A
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magneto
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Makoto Hiramatsu
誠 平松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速、高密度の光磁気記録再生装置の構成
を容易にする光磁気記録媒体および光磁気記録方法を提
供する。 【解決手段】 光の入射側からそれぞれ磁性層であるメ
モリ層10、中間層20及び初期化層30がこの順に積
層された光磁気記録媒体において、メモリ層10はキュ
リー温度TC1の垂直磁化膜とし、中間層11は温度上昇
時には温度T1で反強磁性から強磁性に相転移を起こ
し、温度降下時には温度T2で強磁性から反強磁性に相
転移を起こすヒステリシスを持つ磁気相転移材料からな
る磁性膜とし、初期化層12はそのキュリー温度TC3
十分に高く保磁力も十分に大きい磁性層とする。そして
これら各層が、T2 <TC1<T1 <TC3を満足するよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気相転移材料を
用いた光磁気記録媒体に関するものであり、特に、光変
調オーバーライト可能な光磁気記録媒体及び光磁気記録
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光磁気記録再生装置は、情報記録
時に、(1)前情報の消去、(2)現情報記録、(3)記録情報
の確認という3つのプロセスが必要になっている。この
ため、記録時の転送レートの低下という問題が指摘され
ている。
【0003】この問題に対して、上記の(1)と(2)のプロ
セスを一度に行うオーバーライト機能が提案されてい
る。さらに、オーバーライトの方法として、磁界変調オ
ーバーライトと、光変調オーバーライトと呼ばれる2つ
の方法が考えられている。ここで、磁界変調オーバーラ
イトとは記録情報に同期して印加磁界を変調する記録方
法であり、光変調オーバーライトとは印加磁界を情報記
録時には変調させない記録方法である。
【0004】磁界変調オーバーライト方法を採用した従
来の光磁気記録再生装置の一構成を図6に示す。
【0005】磁性膜101を基板102上に付与し、そ
の磁性膜101に光学ヘッド103からレーザビームを
照射する。レーザビームの光量は、レーザ駆動装置10
4によって制御される。また、レーザの照射と同時に、
磁界印加装置105によって、磁性膜101に磁界を印
加する。印加される磁界は、磁界印加手段駆動装置10
6によって駆動される。
【0006】ここで磁性膜101の構成を図7に示す。
磁界変調オーバーライトの場合、磁性膜は、垂直磁気異
方性を持つ磁性膜を用いる。例えばTbFeのようなフ
ェリ磁性を示す希土類遷移金属のアモルファス合金など
の薄膜である。また、この場合、単層の磁性膜とする。
【0007】このとき図8において最上段に示す記録信
号に対して、磁界印加手段駆動装置によって磁界印加装
置を変調駆動することにより、記録信号に同期して振幅
±H exで磁界を変調し、同時にレーザ駆動装置104に
よって光学ヘッドからの光量を記録光量に制御しておく
ことにより、図8の最下段に示すような記録マークを形
成する。このとき、符号107はレーザのビームスポッ
トであり、符号108は記録マークを示している。
【0008】この場合の記録プロセスを以下に説明す
る。図9(a)は磁性膜101の持つ保磁力と温度の関係
を示す図、図9(b)は磁性膜101の持つ磁化と温度の
関係を示す図である。この図からみて、レーザの照射に
より磁性膜101の温度をTwr以上にして、磁界Hex
印加すると、磁性膜101の磁化の向きの反転が起こる
ことがわかる。
【0009】したがって、図10に示すように、レーザ
の照射により磁性膜の温度をTwr以上に上昇させ、Hex
の磁界を印加することにより、磁性膜の磁化の向きは印
加磁界の向きにそろう。記録信号にしたがって印加する
磁界の向きを反転させることにより、情報の記録がなさ
れるのである。
【0010】磁界変調オーバーライト方法は、以上述べ
たプロセスにしたがって、情報の記録及び消去を行うも
のである。
【0011】次に、光変調オーバーライト方法を採用し
た従来の光磁気記録再生装置の一構成を図11に示す。
磁性膜110を基板102上に付与し、その磁性膜11
0に光学ヘッド103からレーザビームを照射する。レ
ーザビームの光量は、レーザ駆動装置111によって制
御される。また、レーザの照射と同時に、磁界印加装置
112によって、磁性膜に磁界を印加する。印加される
磁界は、磁界印加手段駆動装置113によって駆動され
る。
【0012】ここで磁性膜110の構成を図12に示
す。光変調オーバーライトの場合、磁性膜110には、
垂直磁気異方性を持つ磁性材料の多層膜を用いる。例え
ば、TbFeのようなフェリ磁性を示す希土類遷移金属
のアモルファス合金などの多層膜である。この場合、4
層膜とする。これらの層を、下からメモリ層120、記
録層121、スイッチ層122、初期化層123と呼ぶ
ことにする。
【0013】このとき図13において最上段に示す記録
信号に対して、光学ヘッド103からの光量をレーザ駆
動装置111によって変調し、記録信号に同期して光量
を記録光量と消去光量に変調する。また、同時に磁界印
加手段駆動装置113により磁界印加手段112を駆動
して膜面に対して垂直なある一定の向きの外部磁界H ex
を磁性膜110に与えることにより、図13の最下段に
示すような記録マークを形成する。このとき、符号10
7はレーザのビームスポットであり、符号108は記録
マークを示している。
【0014】この場合の記録プロセスを以下説明する。
図14(a)は磁性膜の持つ保磁力と温度の関係を示す
図、図14(b)は磁性膜の持つ磁化と温度の関係を示す
図である。ここで、TC1、TC2及びTC3は、それぞれ、
スイッチ層122、メモリ層120、記録層121のキ
ュリー温度である。また、初期化層123のキュリー温
度TC4は十分に高く、図の右側にあることにする。さら
に、常温ではメモリ層120と記録層121のあいだに
磁壁が存在するが、温度があがった状態では交換結合力
によってメモリ層と記録層121の磁化の向きはそろ
う。この条件のもとでは、常温においては初期化層12
3、スイッチ層122、記録層121は交換結合力によ
って磁化の向きは常に初期化層123と同じ向きにそろ
っている。磁性膜の温度がTC1をこえると、スイッチ層
122がそのキュリー温度をこえるため、初期化層12
3と記録層121の交換結合が切れる。さらに、磁性膜
110の温度がTer付近の場合、メモリ層120と記録
層121のあいだの交換結合力によってメモリ層120
の磁化の向きは記録層121と同じ向きにそろう。さら
に、磁性膜110の温度がTwr付近で、外部磁界Hex
印加されている場合、メモリ層120、記録層121の
磁化の向きはともに外部磁界の向きにそろう。
【0015】そこで、初期化層123の磁化の向きを一
方向にそろえておき、それと逆方向の外部磁界Hexを磁
性膜110に印加しておく。そして、磁性膜110の温
度をTwr付近に上昇させると(記録光量でのレーザ照
射)、図15(a)の左側部分に示すように、スイッチ層
122及びメモリ層120がキュリー温度を越えて磁化
を失い、初期化層123と記録層121との結合が切
れ、かつ、記録層121の保磁力も低下することによ
り、外部磁界Hexの向きに記録層121の磁化の向きは
そろう。その後、磁性膜110を冷却すると、まず、メ
モリ層120の磁化が発現してくるが、その磁化は、交
換結合力により、記録層121の磁化方向に並ぶ。さら
に冷却すると、図15(a)の右側部分に示すように、ス
イッチ層122のキュリー温度TC1以下に磁性膜110
の温度が下がってくると、スイッチ層122を介して初
期化層123と記録層121の交換結合が生じ、記録層
121、スイッチ層122、初期化層123の磁化の向
きはそろう。このとき、メモリ層120は十分な保磁力
を回復しているので、記録層121の磁化方向にはなら
ない。
【0016】また、磁性膜110の温度をTer付近に上
昇させると(消去光量でのレーザ照射)、図15(b)の
左側部分に示すように、スイッチ層122がキュリー温
度を越えて磁化を失い、初期化層123と記録層121
との結合が切れ、かつ、記録層121の保磁力、磁化の
大きさが残っているため、記録層121との交換結合に
より、図15(b)の右側部分に示すように、記録層12
1の磁化の向きに、メモリ層120の磁化の向きはそろ
う。
【0017】光変調オーバーライト方法は、このプロセ
スにしたがって、情報の記録及び消去を行うものであ
る。
【0018】まず、磁界変調オーバーライト方法の長所
は次の点である。 (1) 従来の記録膜構成のまま、オーバーライト機能が付
加される。 (2) 光のビームスポットより小さな記録マークが記録で
きる。
【0019】しかし、磁界変調オーバーライト方法の問
題点としては、次に挙げられることが考えられる。 (1) 磁界の高速変調が困難である。 (2) 光学ヘッドと磁界印加手段を一体駆動しなければな
らないため、光学ヘッドが複雑化すると同時に、重くな
るため、高速シークが困難になる。
【0020】これに対して、光変調オーバーライト方法
の長所としては次の点が考えられる。 (1) 従来の記録再生装置を大幅変更することなく、オー
バーライト機能が付加される。 (2) 磁界に比べ、光の高速変調は容易に達成できる。
【0021】一方、光変調オーバーライト方法の問題点
は次に挙げる点である。 (1) 記録膜構成が複雑になる。 (2) 光のビームスポットより十分に小さな記録マークの
形成は困難である。
【0022】特に、磁界変調オーバーライト方法では、
インダクタンス負荷の磁界印加装置を変調駆動しなけれ
ばならないため、高速変調が困難となる。
【0023】また、光変調オーバーライト方法の場合、
図13に示すように、レーザのビームスポットより小さ
なマークを記録することは困難である。仮に、記録を行
った場合には、記録マーク長が短くなるとともに記録マ
ーク幅も小さくなるため、再生信号のC/N(キャリア
・ノイズ比)及びS/N(信号・ノイズ比)が劣化し、
信号品位の劣化につながる。
【0024】このように、従来のオーバーライト方法で
は、磁界変調オーバーライト方法を採用すると高速性が
損なわれ、光変調オーバーライト方法を採用すると高密
度性が損なわれる。すなわち、高速、かつ、高記録密度
の光磁気記録再生装置の構成は困難であるという問題が
あった。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決しようとするもので、高速かつ高記録密度の光磁
気記録媒体及び磁気記録方法を提供することを目的とす
る。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、光磁気記
録媒体において、キュリー温度TC1の垂直磁気材料から
なるメモリ層と、温度上昇時には温度T1で反強磁性か
ら強磁性に相転移し、温度下降時には温度T2で強磁性
から反強磁性に相転移する、磁気相転移材料からなる中
間層と、キュリー温度TC3の垂直磁気材料からなり磁化
を一方向に初期化された初期化層とを有し、前記各温度
に関し、 T2<TC1<T1<TC3 を満足することによって達成される。
【0027】また、上記光磁気記録媒体を用いた光磁気
記録方法において、前記初期化層の磁化方向と逆方向の
外部磁界を印加するステップと、レーザ光を照射し、前
記各層を前記温度T1よりも高い温度Twrまで昇温させ
るとともに前記中間層を強磁性に相転移させ、前記メモ
リ層の磁化を前記初期化層の磁化に対して安定な方向に
配向させる第1の記録ステップと、レーザ光を照射し、
前記各層を前記温度T1以下でかつ前記キュリー温度T
C1以上の温度Terまで昇温させるとともに、前記中間層
を反強磁性の状態で前記メモリ層の磁化を前記外部磁界
の方向に配向させる第2の記録ステップと、を備えるこ
とによって達成される。
【0028】本発明の光磁気記録媒体における上述した
各温度の具体的な範囲を説明するれば、温度T2は10
0℃以上とすることが好ましく、温度T1と温度T2との
差を100℃以上とすることが好ましい。また、温度T
1とメモリ層のキュリー温度TC1との差を50℃以下と
することが好ましく、初期化層のキュリー温度TC3を3
00℃以上とすることが好ましい。この際、初期化層
は、そのキュリー温度T C3まで、上述した一方向の磁化
を保持するものであることが好ましい。
【0029】本発明の光磁気記録方法では、温度Twr
例えば200℃以上300℃以下に設定し、また温度T
erを例えば100℃以上200℃以下に設定することが
好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0031】図1は本発明を実施した光磁気ディスク記
録再生装置の一例を示す概略図を示すものである。磁性
膜1を基板2上に付与し、その磁性膜に光学ヘッド3か
らレーザビームを照射する。レーザビームの光量は、レ
ーザ駆動装置4によって制御される。また、レーザの照
射と同時に、磁界印加装置5によって、磁性膜に磁界を
印加する。印加される磁界は、磁界印加手段駆動装置6
によって駆動される。
【0032】ここで磁性膜1の構成の1例を図2に示
す。
【0033】本発明の光磁気記録媒体は、図2に示すよ
うに、光の入射(透光基板)側から第1の磁性層である
メモリ層10と第2の磁性層である中間層11と第3の
磁性層である初期化層12の順に積層されている。
【0034】メモリ層10及び初期化層12は、垂直磁
気異方性を持つ磁性材料を用いて構成する。例えば、T
bFeCo、DyFeCo、GdTbFeCoなどの希
土類−鉄族非晶質合金、ガーネット、Pt/Co、Pd
/Coなどの白金族−鉄族周期構造膜、PtCo、Pd
Coなどの白金族−鉄族合金である。このうち、初期化
層12はTbFeCoなどを用いて垂直磁気異方性を大
きくし、Coの添加量を増やしキュリー温度TC3の高い
材料としてある。すなわち、メモリ層10のキュリー温
度TC1に対し、初期化層12のキュリー温度TC3は十分
に高く、保磁力も十分に大きくしてある。ここで十分と
は、摂氏で表した温度値がTC1の場合の倍以上であるこ
とを指す。また、初期化層12は、製造過程時に予め一
方向に初期化、すなわち着磁されている。
【0035】メモリ層10の膜厚は200〜600オン
グストロームが望ましく、300〜400オングストロ
ームがより望ましい。また、初期化層12の膜厚は10
0オングストローム以上が望ましく、特に200オング
ストローム以上が望ましい。
【0036】また、中間層11は、温度ヒステリシスを
もつ反強磁性強磁性相転移をおこす磁性材料を用いる。
これは室温で反強磁性を示し、温度上昇時には室温より
高い温度T1で反強磁性から強磁性への相転移を起こ
し、温度下降時には室温より高く温度T1より低い温度
2で強磁性から反強磁性への相転移を起こす。たとえ
ば、FeRh、MnCrSb、HfTaFe、あるいは
MnPtなどを主に含む磁性材料が好ましい。特に、F
eRhは室温以上で磁気相転移を起こす磁性膜を容易に
得ることができるため、最も望ましい。また、中間層1
1の膜厚は、薄すぎると、メモリ層10と初期化層12
の交換結合を遮断するのに不十分である。また、厚すぎ
ると記録時のレーザパワーが大きくなる。そのため、中
間層11の膜厚は50〜800オングストロームが望ま
しく、100〜300オングストロームがより望まし
い。磁性膜全体の膜厚は、厚すぎると記録時のレーザパ
ワーが大きくなるため、1000オングストローム以下
が望ましい。
【0037】ここで、図3はこれらの磁性材料の特性を
示す。図3(a)は温度と保磁力の関係を示し、図3(b)は
温度と磁化の関係を示す。ここで、TC1はメモリ層のキ
ュリー温度であり、T1とT2は中間層が相転移をおこす
温度であり(T1は昇温時の相転移温度であり、T2は降
温時の相転移温度である)、Hexは印加する外部磁界の
大きさである。また、初期化層12のキュリー温度TC3
は十分に高く、図の右側にある。
【0038】次に、この光磁気記録媒体の記録消去プロ
セスを説明する。図4(a),(b)は、記録消去プロセスを
説明する図である。
【0039】この磁性膜1にレーザを照射し、温度をT
erまで上昇させると、図4(b)に示すように、中間層1
1は相転移を起こらず反強磁性のままである。この場
合、初期化層12とメモリ層10は磁気的に切り離され
ている。その結果、メモリ層10の磁化の向きは、レー
ザ照射前の磁化の方向によらず、外部磁界の方向に従
う。
【0040】このとき、Terは、 RT(室温)<TR<Ter<T1 (ただし、TRは情報読み出し用レーザ照射時の磁性膜
の温度)を満たし、また、温度Terにおいてこの光磁気
記録媒体は、 MS1:Ter・Hex>MS1:ter・HC1:Ter (ただし、MS1:Ter、HC1:Terは、それぞれ温度Ter
時のメモリ層10の飽和磁化及び保磁力、Hexは外部磁
界強度)という関係を満たしている。
【0041】この状態でレーザの光量を下げることによ
り磁性膜1を冷却し、温度をT2以下にすると、メモリ
層10の磁化の向きは外部磁界にしたがったまま保存さ
れる。
【0042】一方、レーザの照射により磁性膜1の温度
をTwrまで上昇させると、図4(a)に示すように中間層
11が相転移を起こし、強磁性を示す。このとき、初期
化層12の磁化の向きは外部磁界によっては反転されな
い。
【0043】このとき、 T1<Twr<TC3, MS3:Twr・HC3:Twr>MS3:twr・Hex (ただし、MS3:Twr、HC:Twrは、それぞれ、温度Twr
の時の初期化層12の飽和磁化及び保磁力)という関係
を満たしている。
【0044】また、中間層11の磁化の向きは、初期化
層12の磁化の向きが転写されることによって付与さ
れ、この中間層11の磁化の向きは、中間層11が強磁
性から反強磁性に相転移するまで保たれる。すなわち、
wrからT2まで温度が下降する間、 MS2・Hex < σW2/(2h2)−MS2・HC2 (ただし、MS2、HC2、h2は、それぞれ、中間層11
の飽和磁化、保磁力及び膜厚であり、σW2は中間層11
と初期化層12の間の界面磁壁エネルギーである。)と
いう関係が成り立っている。
【0045】この状態で、レーザの光量を下げることに
より磁性膜1が冷却される過程において、磁性膜1の温
度がメモリ層10のキュリー温度TC1以下になるとメモ
リ層10に磁化が発生するが、交換結合力によって、中
間層11の磁化の向きがメモリ層12に転写される。さ
らに、磁性膜1の温度がTer付近になっても、中間層1
1はヒステリシスにより、まだ、強磁性の特性を示すた
め、メモリ層10の磁化の向きは保存される。
【0046】すなわち、 MS1・Hex < σW1/(2h1)−MS1・HC1 (ただし、MS1、HC1、h1は、それぞれ、メモリ層1
0の飽和磁化、保磁力及び膜厚であり、σW1はメモリ層
10と中間層11のあいだの界面磁壁エネルギーであ
る。)という関係が成り立っている。
【0047】さらに、磁性膜1の冷却が進み、温度がT
2以下になったとき、メモリ層10の保磁力が大きくな
っており、外部磁界によるメモリ層10の磁化の向きの
反転はおこらない。
【0048】すなわち、 MS1・Hex<MS1・HC1 という関係が成り立っている。したがって、メモリ層1
0の磁化の向きは初期化層12の磁化の向きに従う。
【0049】本発明では、この上述したプロセスにした
がって、情報の記録消去を行うことが可能となる。
【0050】ここで、初期化層12のキュリー温度TC3
は、低すぎると記録時のレーザのパワーマージンがなく
なるため、300℃以上であることが望ましい。また、
温度T1は、低すぎると消去時のレーザパワーマージン
がなくなり、高すぎると記録レーザパワーが大きくなる
ため、150〜350℃が望ましく、200〜250℃
がより望ましい。また、温度T2は、低すぎると情報再
生時に情報を消去する可能性が生じるため、100℃以
上が望ましく、100〜150℃がより望ましい。さら
に、温度T1とT2の差は、小さすぎると消去時のレーザ
のパワーマージンがなくなるため、50℃以上が望まし
く、100℃以上がより望ましい。また、さらに、メモ
リ層10のキュリー温度TC1は、消去時の中間層11の
磁化が小さくなる過程でメモリ層10の磁化の向きを安
定させるため、温度T1に近いほうがよい。したがっ
て、TC1とT1の差は50℃以下が望ましく、30℃以
下が望ましい。
【0051】図5は、この光磁気記録媒体に情報をする
ときの状況を模式的に示す図である。最上段に示される
ような記録信号に対して、図示するように外部磁界Hex
を印加する。さらに、レーザの光量は、記録信号に応じ
て、記録光量と消去光量とに変調する。このとき、記録
光量とは、磁性膜1の温度をTwrまで上昇させるレーザ
光量であり、消去光量とは、磁性膜1の温度をTerまで
上昇させるレーザ光量である。このような外部磁界とレ
ーザ光量とを用いて磁性膜1に情報を記録すると、図5
の記録マーク欄に示すような記録マーク20が形成され
る。また、この図において符号21はレーザのビームス
ポットである。この図より、記録マーク長をレーザのビ
ームスポットより小さくすることが可能であり、かつ、
記録マークの幅は記録マーク長に関係なく大きくとるこ
とが可能であることが分かる。
【0052】
【実施例】次に、本発明の光磁気記録媒体の実験例につ
いて説明する。
【0053】基板2としてトラック溝が形成されたポリ
カーボネート基板を使用し、この基板2上に、スパッタ
リング装置を用いて、SiN膜を厚さ80nm、メモリ
層10(TC1:220℃)としてTb21(Fe80Co20)
79を厚さ35nm、中間層11(T1:240℃、T2
120℃)としてFe48Rh52を厚さ20nm、初期化
層12(TC3:350℃)としてTb20Co80を厚さ3
0nm、この順で成膜し、さらに厚さ80nmのSiN
膜を設け、光磁気記録媒体とした。初期化層12の初期
化後、この媒体を2600rpmで回転させ、半径37
mmの位置(線速度10m/sec)に、対物レンズの
開口比(NA)が0.55の光学ヘッドを用いて、波長7
80nmのレーザ光により、記録(光量9.8mW)と
消去(光量5.3mW)を行った。このとき、マーク長
0.78μmの記録マーク(変調周波数:6.4MHz)
を初期記録し、再生したところ、46dBと良好なC/
Nが得られた。また、マーク長0.40μmの初期マー
ク(変調周波数:12.5MHz)をマーク長0.78μ
mの記録マークによってオーバーライトしたところ、3
5dBと良好な消去比が得られた。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、キュリー
温度が高くかつ保磁力の大きな初期化層と、情報の記録
再生を行うメモリ層との間に、ヒステリシスを有する反
強磁性−強磁性相転移をおこす磁性材料からなる中間層
を設け、初期化層の磁化の向きを磁性膜と垂直なある方
向にそろえ、かつ、外部磁界として、初期化層と逆の向
き磁界を印加する。そして、レーザの照射によって磁性
膜の温度を中間層の相転移のおこる温度まで昇温し交換
結合によりメモリ層の磁化の向きをそろえた状態と、中
間層が相転移おこさない温度で外部磁界によりメモリ層
の磁化の向きをそろえた状態とで2値の情報記録を行う
ことにより、高速性を有する光変調オーバーライト方法
において、簡単な膜構成で、光のビームスポットよりも
小さな記録マークを形成でき、すなわち、高速、高密度
での光磁気記録が可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される光磁気記録再生装置の模式
図である。
【図2】本発明による光磁気記録媒体の一例を示す断面
図である。
【図3】(a),(b)は本発明に使用される磁性膜の特性の
一例を示すグラフであって、(a)は温度と保磁力の関係
を示すグラフであり、(b)は温度と磁化の関係を示すグ
ラフである。
【図4】(a),(b)は本発明の光磁気記録媒体における記
録消去のプロセスを示す模式図である。
【図5】本発明の光磁気記録媒体における情報記録時の
状況を示す模式図である。
【図6】従来の磁界変調オーバーライト方法を採用した
光磁気記録再生装置の模式図である。
【図7】磁界変調オーバーライト方法による光磁気記録
媒体の磁性膜の断面図である。
【図8】従来の磁界変調オーバーライト方法における情
報記録時の状況を示す模式図である。
【図9】(a),(b)は従来の磁界変調オーバーライト方法
の光磁気記録媒体に使用される磁性膜の特性の一例を示
すグラフである。
【図10】(a),(b)は従来の磁界変調オーバーライト方
法における記録消去のプロセスを示す模式図である。
【図11】従来の光変調オーバーライト方法を採用した
光磁気記録再生装置の模式図である。
【図12】従来の光変調オーバーライト方法による光磁
気記録媒体の磁性膜の断面図である。
【図13】従来の光変調オーバーライト方法における情
報記録時の状況を示す模式図である。
【図14】(a),(b)は従来の光変調オーバーライト方法
の光磁気記録媒体に使用される磁性膜の一例の特性を示
すグラフである。
【図15】(a),(b)は従来の光変調オーバーライト方法
における記録消去のプロセスを示す模式図である。
【符号の説明】 1 磁性膜 2 基板 3 光学ヘッド 4 レーザ駆動装置 5 磁界印加装置 6 磁界印加手段駆動装置 10 メモリ層 11 中間層 12 初期化層 20 記録マーク 21 ビームスポット

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光磁気記録媒体において、 キュリー温度TC1の垂直磁気材料からなるメモリ層と、 温度上昇時には温度T1で反強磁性から強磁性に相転移
    し、温度下降時には温度T2で強磁性から反強磁性に相
    転移する、磁気相転移材料からなる中間層と、 キュリー温度TC3の垂直磁気材料からなり磁化を一方向
    に初期化された初期化層とを有し、 前記各温度に関し、 T2<TC1<T1<TC3 を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記中間層がFeRhを主成分とする請
    求項1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記メモリ層及び前記初期化層がTbF
    eを主成分とする請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記温度T2が100℃以上である請求
    項1に記載の光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記温度T1と前記温度T2との差が10
    0℃以上である請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記温度T1と前記キュリー温度TC1
    の差が50℃以下である請求項1に記載の光磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 前記キュリー温度TC3が300℃以上で
    ある請求項1に記載の光磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記初期化層は、前記キュリー温度TC3
    まで、前記一方向の磁化を保持する請求項1に記載の光
    磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の光磁気記録媒体を用い
    た光磁気記録方法において、 前記初期化層の磁化方向と逆方向の外部磁界を印加する
    ステップと、 レーザ光を照射し、前記各層を前記温度T1よりも高い
    温度Twrまで昇温させるとともに前記中間層を強磁性に
    相転移させ、前記メモリ層の磁化を前記初期化層の磁化
    に対して安定な方向に配向させる第1の記録ステップ
    と、 レーザ光を照射し、前記各層を前記温度T1以下でかつ
    前記キュリー温度TC1以上の温度Terまで昇温させると
    ともに、前記中間層を反強磁性の状態で前記メモリ層の
    磁化を前記外部磁界の方向に配向させる第2の記録ステ
    ップと、を有することを特徴とする光磁気記録方法。
  10. 【請求項10】 前記温度Twrが200℃以上、300
    ℃以下である請求項9に記載の光磁気記録方法。
  11. 【請求項11】 前記温度Terが100℃以上、200
    ℃以下である請求項9に記載の光磁気記録方法。
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