JPH09229859A - 蛍光寿命測定装置および方法 - Google Patents

蛍光寿命測定装置および方法

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JPH09229859A
JPH09229859A JP3384196A JP3384196A JPH09229859A JP H09229859 A JPH09229859 A JP H09229859A JP 3384196 A JP3384196 A JP 3384196A JP 3384196 A JP3384196 A JP 3384196A JP H09229859 A JPH09229859 A JP H09229859A
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fluorescence
fluorescent substance
time
fluorescence lifetime
pulsed
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JP3384196A
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English (en)
Inventor
Shigetoshi Okazaki
茂俊 岡崎
Masahisa Shiroshita
昌久 城下
Masayuki Ishida
雅之 石田
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
Original Assignee
BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度・高時間分解能で操作容易に蛍光寿命
を測定する。 【解決手段】 同期信号生成部4から出力される同期信
号に同期してパルスレーザ光源3から出力されたパルス
レーザ光Aは、試料セル2の内部に充填された蛍光物質
1中を伝搬する。その際に発生した蛍光は、試料セル2
の外部に現われ、レンズ6によって、ゲート7上に結像
される。ゲート7は、同期信号に同期してタイミング信
号生成部5で生成されたタイミング信号に従って、所定
時間の間だけ開き、その所定時間に亘る蛍光の像の積算
値が光検出器9に獲得される。演算部10は、その積算
値を位置微分し、これに基づいて蛍光物質1の蛍光寿命
を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光物質、特に液
体または気体の蛍光物質の蛍光寿命の測定技術に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光物質の蛍光寿命の測定方法と
して、パルスサンプリング法、時間相関単一光子計数
法、位相変調法、励起プローブ法およびストリークカメ
ラによる測定方法が知られている。
【0003】パルスサンプリング法は、蛍光物質にパル
ス励起光を照射し、発生した蛍光を分光した後に光電子
増倍管で検出し、その光電子増倍管の出力信号を高速オ
シロスコープ等で観測するものであり、構成が簡単であ
るという利点がある。
【0004】時間相関単一光子計数法は、1パルスのパ
ルス励起光の照射により蛍光物質から発生する蛍光の平
均光子数が1以下となるようパルス励起光の光量を調整
し、蛍光物質にパルス励起光を照射してから蛍光光子を
観測するまでの時間を、多数のパルス励起光照射につい
て測定し、その時間に関するヒストグラムを作成し、こ
れに基づいて蛍光寿命を求める方法である。
【0005】位相変調法は、例えば10ないし50MH
zの正弦波に変調した励起光を蛍光物質に照射し、観測
される蛍光と励起光との間の位相差および変調周波数か
ら蛍光寿命を求める方法である。
【0006】励起プローブ法は、例えばカーセル等の光
シャッタを使用するものであり、パルス励起光照射後に
光シャッタを開く時刻を変化させながら光シャッタを通
過した蛍光の光量を測定することにより、蛍光寿命を求
める方法である。
【0007】ストリークカメラは、蛍光を入力し光電変
換により生成された光電子ビームを、パルス励起光発生
に同期した掃引信号が印加された偏向電極によって偏向
させ、これによって蛍光強度の時間変化を空間変化に変
換して、この空間変化から蛍光寿命を求めるものであ
る。高感度で高時間分解能であるという特徴を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法は、そ
れぞれ以下のような問題点がある。パルスサンプリング
法は、感度が悪く、また、約10ns以下の蛍光寿命の
測定は困難である。時間相関単一光子計数法は、1パル
ス励起当たり単一光子の蛍光しか検出できないので、ヒ
ストグラム作成すなわち蛍光寿命測定に膨大な時間を要
する。位相変調法は、蛍光が多波長である場合にその解
析が困難であり、また、時間分解能が低いため蛍光寿命
の測定精度が悪い。励起プローブ法は、光シャッタを開
く時刻を変化させながら蛍光光量を測定するので、蛍光
寿命測定に時間を要する。ストリークカメラは、測定範
囲が限られ、また、高価である。
【0009】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、高感度・高時間分解能で操作容易な蛍
光寿命測定装置および方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る蛍光寿命測
定装置は、(1) 蛍光物質中に伝搬させるパルス励起光を
出力する励起光源と、(2) パルス励起光の出力タイミン
グに同期して、パルスレーザ光が出力された時刻以後の
時刻からパルスレーザ光が蛍光物質中を伝搬途中である
時刻までの所定時間を指示するタイミング信号を生成す
るタイミング信号生成手段と、(3) タイミング信号に基
づいて、パルス励起光の伝搬経路上の蛍光物質から発生
した蛍光の強度分布の所定時間における積算値を、パル
ス励起光の伝搬方向と略直交する方向から検出する蛍光
検出手段と、(4) 積算値に基づいて蛍光物質の蛍光寿命
を算出する演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】このような構成とすることにより、励起光
源から出力されたパルス励起光が蛍光物質中を伝搬する
際に発生した蛍光は、タイミング信号生成手段から出力
されたタイミング信号が指示する所定時間に亘って蛍光
検出手段によって積算され、演算手段によってこの積算
値に基づいて蛍光物質の蛍光寿命が求められる。
【0012】演算手段は、積算値の位置微分を計算し、
これに基づいて蛍光物質の蛍光寿命を算出する、ことと
してもよい。
【0013】蛍光検出手段は、(1) 蛍光を入力し、結像
平面上に蛍光の像を結像する結像光学系と、(2) 蛍光物
質と結像平面との間に設けられ、パルス励起光の散乱光
を遮断し、蛍光を透過させる濾波手段と、(3) タイミン
グ信号に基づいて所定時間だけ、結像平面に結像された
蛍光の像を受光して、積算値を検出する光像検出手段
と、を備えるものが好適である。
【0014】この蛍光寿命測定装置は、蛍光物質を間に
充填して互いに対向して配置され、パルス励起光を交互
に反射させて蛍光物質中をジグザグに伝搬させる第1お
よび第2の反射鏡を更に備え、蛍光検出手段は、積算値
を2次元像として検出する、こととしてもよく、この場
合には、長い蛍光寿命も測定することができる。
【0015】また、本発明に係る蛍光寿命測定方法は、
(1) 蛍光物質にパルス励起光を入射させる第1のステッ
プと、(2) パルス励起光の伝搬経路上の蛍光物質から発
生した蛍光の強度分布について、パルスレーザ光が出力
された時刻以後の時刻からパルスレーザ光が蛍光物質中
を伝搬途中である時刻までの所定時間に亘って積算した
積算値を、パルス励起光の伝搬方向と略直交する方向か
ら検出する第2のステップと、(3) 積算値に基づいて蛍
光物質の蛍光寿命を算出する第3のステップと、を備え
ることを特徴とする。
【0016】第3のステップは、積算値の位置微分を計
算し、これに基づいて蛍光物質の蛍光寿命を算出する、
こととしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。図1は、本実施形態に係る蛍光寿命測定装置の
構成図である。
【0018】蛍光寿命を測定しようとする蛍光物質1
(あるいは、蛍光物質を含む試料)は試料セル2に充填
され、パルスレーザ光源(励起光源)3から出力された
パルスレーザ光Aは、試料セル2の一方の端から入射し
内部を通過して他方の端から出射する。試料セル2は、
このパルスレーザ光Aの進行方向に沿って長い形状であ
り、ガラス等の透明材で形成されている。したがって、
パルスレーザ光Aが蛍光物質1内を通過する際に発生し
た蛍光は、試料セル2を透過して外部に現れる。そし
て、その蛍光は、レンズ(結像光学系)6によって結像
され、フィルタ(濾波手段)11を透過して、ゲート
7、マイクロチャンネルプレート8および光検出器9か
らなる光像検出手段によって蛍光の像が検出される。こ
こでフィルタ11は、パルスレーザ光Aの散乱光を遮断
し蛍光を透過させるものであり、また、これに替えて、
入射した光像をスペクトル分光し、蛍光波長成分の像の
みを選択出力する分光器を用いてもよい。
【0019】この蛍光物質1を励起するパルスレーザ光
Aは、同期信号生成部4から出力される同期信号を入力
したパルスレーザ光源3から、その同期信号に同期して
出力される。
【0020】また、タイミング信号生成部5も、同期信
号生成部4から出力される同期信号を入力し、この同期
信号に基づいて、この同期信号入力時刻以降の所定時刻
t1およびt2(t1<t2)を示すタイミング信号を
生成する。ここで、時刻t1は、パルスレーザ光Aが蛍
光物質1中を伝搬途中である時刻、または、蛍光物質1
に入射する以前の時刻であることが必要であり、パルス
レーザ光Aの発生と同時刻であってもよい。時刻t2
は、パルスレーザ光Aが蛍光物質1中を伝搬途中である
時刻であることが必要であり、パルスレーザ光Aが蛍光
物質1の終端に到達する直前であることが好ましい。こ
のタイミング信号生成部5は、例えば所定長さの遅延線
であり、一方の端から入力した同期信号を、その長さに
応じた時間の経過後に、他方の端からタイミング信号と
して出力することによって、精度のよい時刻t1および
t2を得ることができる。
【0021】このタイミング信号を入力するゲート7
は、そのタイミング信号が示す時刻t1から時刻t2ま
での一定時間だけ、フィルタ11から出力された蛍光の
像を獲得する。ゲート7は、例えば光電変換面を主要な
構成要素として含み、タイミング信号生成部5から出力
されたタイミング信号に応じて、時刻t1から時刻t2
までの一定時間だけ所定の電圧が印加されて、その間の
蛍光の像の強度分布に応じた光電子が放出される。
【0022】この光電子は個数が少ないので、マイクロ
チャネルプレート(MCP)8によって増倍された後
に、その増倍された2次電子が光検出器9の受光面に到
達する。この光検出器9として、例えば1次元CCDが
用いられる。この場合、時刻t1から時刻t2までの一
定時間においてゲート7に結像された蛍光の像の強度分
布に応じた電荷が光検出器(1次元CCD)9の各画素
に蓄積される。
【0023】この光検出器9の各画素に蓄積された電荷
の分布は、時刻t2までにパルスレーザ光Aが蛍光物質
1中で到達した地点までの各位置における、時刻t1か
ら時刻t2までの所定時間に発生した蛍光の光量の総和
を示すものであり、蛍光寿命に応じた分布形状を有す
る。演算部10は、この光検出器9の各画素に蓄積され
た電荷の分布に基づいて、蛍光物質1の蛍光寿命を算出
する。
【0024】次に、本実施形態に係る蛍光寿命測定装置
の作用とともに、演算部10における蛍光寿命算出方法
の詳細について説明する。図2は、本実施形態に係る蛍
光寿命測定装置の作用の説明図であり、図2(a)は、
パルスレーザ光Aが伝搬している試料セル2の説明図で
あり、図2(b)は、蛍光物質1の各位置において発生
した蛍光の光量の時間変化を示す図であり、図2(c)
は、蛍光物質1の各位置において発生した蛍光の光量の
所定時間内の総和を示す図である。
【0025】以下の説明において、パルスレーザ光Aの
蛍光物質1中における光速をc、蛍光物質1の蛍光寿命
をτとする。また、図2(a)に示すように、パルスレ
ーザ光Aの伝搬方向に沿った蛍光物質1における位置変
数をxとし、パルスレーザ光Aが蛍光物質1に入射した
直後の所定位置を原点とする。また、時刻変数をtと
し、パルスレーザ光Aが位置x=0に到達した時刻をt
1とし、これを原点(t1=0)とする。時刻t2を、
パルスレーザ光Aが蛍光物質1中の位置x=700に到
達する時刻とする。更に、説明を簡便にするため、パル
スレーザ光Aは蛍光物質1中を伝搬する際に減衰しない
ものとする。
【0026】この場合、タイミング信号生成部5は、同
期信号生成部4から出力された同期信号に基づいて、上
記の時刻t1から時刻t2までの間だけゲート7を開く
よう指示するタイミング信号を生成する。蛍光物質1で
発生した蛍光は、レンズ6で結像され、フィルタ11を
透過し、時刻t1から時刻t2までの間だけ開いたゲー
ト7およびMCP8を経て、光検出器9によって像が検
出される。
【0027】理論的には、蛍光物質1の位置xから発生
する蛍光の光量の時間変化は、 exp{−(t−x/c)/τ} … (1) なる指数関数で表される(図2(b))。但し、この式
において、時刻tは、パルスレーザ光Aがその位置xに
到達した時刻x/cから時刻t2までの範囲の時刻であ
る。したがって、時刻t2までに蛍光物質1の位置xに
おいて発生した蛍光の光量の総和I(x) は、パルスレー
ザ光Aが位置xに到達した時刻x/cから時刻t2ま
で、(1)式を時刻変数tについて積分した値となり、 I(x) =1− exp{−(t2−x/c)/τ} … (2) で表される(図2(c))。なお、(1)式および
(2)式は一定係数値を省略して記してある。
【0028】光検出器9に得られる強度分布データ(各
画素に蓄積された電荷量に応じたデータ列)は、(2)
式と同等のものであり、レンズ6により縮小あるいは拡
大され、光検出器9の画素による空間分解能に応じて離
散化されたものである。すなわち、光検出器9に得られ
る強度分布データIは、画素位置nの関数として、 I(n) =1− exp{−(t2−nT)/τ} … (3) と表される。ここで、Tは、1画素当たりの時間分解能
である。
【0029】この(3)式で表される強度分布データI
(n) を入力する演算部10は、この強度分布データI
(n) に基づいて、蛍光物質1の蛍光寿命を以下の要領で
求める。先ず、(3)式を画素位置nに関して微分(差
分)をとり、 ΔI(n) =I(n) −I(n-1) =A・exp(nT/τ) … (4) を得る。ここで、Aは、nおよびTに依存しない負の一
定係数値である。この式で表される関数は、光検出器9
の画素位置nの関数でもあり、また、時間nTの関数で
もある。
【0030】そこで、1画素当たりの時間分解能Tを別
の方法で求めておけば、実際に光検出器9で得られた強
度分布データの微分関数を、(4)式で表される理論上
の関数にあてはめ、例えば非線形最小二乗法等の数値計
算によって、蛍光寿命τを求めることができる。また、
実際に光検出器9で得られた強度分布データそのもの
を、(3)式で表される理論上の関数にあてはめて、数
値計算によって蛍光寿命τを求めることもできる。
【0031】なお、以上においては蛍光物質が単一成分
であるとして説明した。しかし、単一成分に限られず、
多成分系(互いに異なる蛍光寿命を有する複数の蛍光物
質が混在)であっても、多成分の蛍光物質それぞれの蛍
光寿命を測定することができる。多成分系の場合には、
蛍光寿命τi (i=1,2,3,…)それぞれについての(1)
式を加重平均した式に基づいて上記と同様に式の展開が
なされ、また、数値計算によって蛍光寿命τi (i=1,2,
3,…)それぞれの値を求めることができる。
【0032】また、ゲート7の開閉動作を指示するタイ
ミング信号が矩形波でない場合には、そのタイミング信
号を別の方法で求めて、(3)式で表せる理論上の関数
をタイミング信号の波形でコンボリューション計算し
て、光検出器9で得られた強度分布データに数値計算に
よりあてはめることにより蛍光寿命τを求めることがで
きる。
【0033】この1画素当たりの時間分解能Tは、例え
ば以下の方法で求められる。図3は、1画素当たりの時
間分解能Tの算出方法の説明図である。先ず、タイミン
グ信号生成部5から出力されたタイミング信号により、
ゲート7を、パルスレーザ光Aが蛍光物質1に入射する
時刻前から、タイミング信号生成部5により設定された
時刻t1まで開いて、光検出器9によって蛍光の像を得
る(図3(a))。同様にして、ゲート7を、パルスレ
ーザ光Aが蛍光物質1に入射する時刻前から、タイミン
グ信号生成部5により設定された時刻t2(=t1+Δ
t)まで開いて、光検出器9によって蛍光の像を得る
(図3(b))。或いは、フィルタ11を取り去って、
パルスレーザ光Aの散乱光の像を獲得してもよい。この
ようにして得られた2つの像(図3(a)と(b))の
距離を、光検出器9の画素位置の差Δnとして求める。
この画素位置の差Δnが、時刻t1と時刻t2との時間
差Δtに相当するので、1画素当たりの時間分解能T
は、 T=Δt/Δn … (5) で得られる。
【0034】なお、実際には、パルスレーザ光Aが蛍光
物質1中を伝搬する際の減衰が無視できないので、その
減衰について補正する必要がある。この補正は、具体的
には例えば以下の要領で行なう。先ず、パルスレーザ光
Aが蛍光物質1に入射する以前の時刻から、パルスレー
ザ光Aが試料セル2の終端から抜けて更に蛍光発生が殆
ど無視できるほどに小さくなる時刻(蛍光寿命の5倍程
度の時間が経過した時刻)まで、ゲート7を開き、この
間に発生する蛍光の像の分布を光検出器9で検出する。
或いは、フィルタ11を取り去ってパルスレーザ光Aの
散乱光の像の分布を光検出器9で検出してもよい。ここ
で求めた蛍光または散乱光の分布が、パルスレーザ光A
の蛍光物質1中における減衰を表しているので、これを
用いて補正する。
【0035】以上に説明した実施形態において、蛍光物
質1の蛍光寿命が長い場合にその蛍光寿命を測定するに
は、その蛍光寿命の長さに応じて、パルスレーザ光Aの
伝搬方向に沿った試料セル2の長さは、(3)式および
(4)式の指数関数の形状を特定するために充分なだけ
の長さである必要がある。例えば、蛍光物質1の蛍光寿
命が10ns以上である場合、試料セル2の長さは数m
以上であることが要求され、装置が大規模になる。そこ
で、このように長い蛍光寿命を測定するには、例えば図
4に示す断面構成の試料セルを用いて、パルスレーザ光
の蛍光物質中での伝搬経路長を長くする。
【0036】この図に示す試料セル20の内部には、2
枚の反射鏡21および22が互いに対向して配置され、
蛍光物質1が充填される。パルスレーザ光源3から出力
されたパルスレーザ光Aは、試料セル20の入射窓23
に垂直に入射して試料セル20内部に進み、2枚の反射
鏡21および22それぞれで交互に繰り返し反射されな
がら蛍光物質1中をジグザグに伝搬する。この時、パル
スレーザ光Aは、入射窓23に垂直に入射するので、パ
ルスレーザ光Aの蛍光物質1中の伝搬経路は、蛍光物質
1の屈折率に依らず一定経路となる。このような試料セ
ル20を用いることにより、2枚の反射鏡21および2
2の間のパルスレーザ光Aの往復回数に応じて、パルス
レーザ光Aの伝搬経路長を長くすることができる。そし
て、光検出器(例えば2次元CCD)は、蛍光物質1か
ら発生した蛍光を2次元像として検出し、演算部は、こ
の2次元像に基づいて、(1)式ないし(5)式と同じ
要領で蛍光物質1の蛍光寿命τを求める。このようにす
ることによって、蛍光寿命が長い場合であっても、
(3)式および(4)式の指数関数の形状を充分に精度
良く特定することができ、したがって、蛍光物質1の蛍
光寿命を精度良く測定することができる。
【0037】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく種々の変形が可能である。例えば、蛍光物質中
にパルスレーザ光が伝搬する際に発生する蛍光が光検出
器で検出するには弱い場合には、パルスレーザ光を繰り
返し蛍光物質中を伝搬させて、蛍光の像を光検出器で繰
り返し受光して、光検出器の各画素に入射した光量に応
じた電荷を累積的に蓄積し、その累積的に蓄積された電
荷を読み出してもよい。
【0038】また、蛍光物質は、液体や気体に限られる
ものではなく、固体であっても、その蛍光寿命を測定す
ることができる。この場合、試料セルを用いることな
く、蛍光物質中にパルスレーザ光を直接入射すればよ
い。
【0039】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり本発明によ
れば、励起光源から出力されたパルス励起光が蛍光物質
中を伝搬する際に発生した蛍光を、タイミング信号生成
手段から出力されたタイミング信号が指示する所定時間
に亘って蛍光検出手段によって積算し、演算手段によっ
てこの積算値または積算値の微分値に基づいて蛍光物質
の蛍光寿命を求める。
【0040】このような構成としたので、装置に可動部
分がなく容易な操作で蛍光寿命を測定することができ
る。また、単一光子事象を扱うものではないので、測定
は高感度であり且つ短時間に行なうことができる。ま
た、蛍光寿命測定の時間分解能は、蛍光検出手段の位置
分解能のみに依存するので、蛍光検出手段として位置分
解能の高いものを用いることにより、蛍光寿命測定の時
間分解能を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る蛍光寿命測定装置の構成図で
ある。
【図2】本実施形態に係る蛍光寿命測定装置の作用の説
明図である。
【図3】1画素当たりの時間分解能Tの算出方法の説明
図である。
【図4】本実施形態に係る屈折率測定装置に用いられる
他のタイプの試料セルの断面構成図である。
【符号の説明】
1…蛍光物質、2…試料セル、3…パルスレーザ光源、
4…同期信号生成部、5…タイミング信号生成部、6…
レンズ、7…ゲート、8…マイクロチャンネルプレート
(MCP)、9…光検出器、10…演算部、11…フィ
ルタ、20…試料セル、21,22…反射鏡、23…入
射窓、A…パルスレーザ光。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光物質中に伝搬させるパルス励起光を
    出力する励起光源と、 前記パルス励起光の出力タイミングに同期して、前記パ
    ルスレーザ光が出力された時刻以後の時刻から前記パル
    スレーザ光が前記蛍光物質中を伝搬途中である時刻まで
    の所定時間を指示するタイミング信号を生成するタイミ
    ング信号生成手段と、 前記タイミング信号に基づいて、前記パルス励起光の伝
    搬経路上の前記蛍光物質から発生した蛍光の強度分布の
    前記所定時間における積算値を、前記パルス励起光の伝
    搬方向と略直交する方向から検出する蛍光検出手段と、 前記積算値に基づいて前記蛍光物質の蛍光寿命を算出す
    る演算手段と、 を備えることを特徴とする蛍光寿命測定装置。
  2. 【請求項2】 前記演算手段は、前記積算値の位置微分
    を計算し、これに基づいて前記蛍光物質の蛍光寿命を算
    出する、ことを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定
    装置。
  3. 【請求項3】 前記蛍光検出手段は、 前記蛍光を入力し、結像平面上に前記蛍光の像を結像す
    る結像光学系と、 前記蛍光物質と前記結像平面との間に設けられ、前記パ
    ルス励起光の散乱光を遮断し、前記蛍光を透過させる濾
    波手段と、 前記タイミング信号に基づいて前記所定時間だけ、前記
    結像平面に結像された前記蛍光の像を受光して、前記積
    算値を検出する光像検出手段と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定
    装置。
  4. 【請求項4】 前記蛍光物質を間に充填して互いに対向
    して配置され、前記パルス励起光を交互に反射させて前
    記蛍光物質中をジグザグに伝搬させる第1および第2の
    反射鏡を更に備え、 前記蛍光検出手段は、前記積算値を2次元像として検出
    する、 ことを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定装置。
  5. 【請求項5】 蛍光物質にパルス励起光を入射させる第
    1のステップと、 前記パルス励起光の伝搬経路上の前記蛍光物質から発生
    した蛍光の強度分布について、前記パルスレーザ光が出
    力された時刻以後の時刻から前記パルスレーザ光が前記
    蛍光物質中を伝搬途中である時刻までの所定時間に亘っ
    て積算した積算値を、前記パルス励起光の伝搬方向と略
    直交する方向から検出する第2のステップと、 前記積算値に基づいて前記蛍光物質の蛍光寿命を算出す
    る第3のステップと、 を備えることを特徴とする蛍光寿命測定方法。
  6. 【請求項6】 前記第3のステップは、前記積算値の位
    置微分を計算し、これに基づいて前記蛍光物質の蛍光寿
    命を算出する、ことを特徴とする請求項5記載の蛍光寿
    命測定方法。
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