JPH1078398A - 蛍光寿命測定装置および方法 - Google Patents

蛍光寿命測定装置および方法

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JPH1078398A
JPH1078398A JP23222496A JP23222496A JPH1078398A JP H1078398 A JPH1078398 A JP H1078398A JP 23222496 A JP23222496 A JP 23222496A JP 23222496 A JP23222496 A JP 23222496A JP H1078398 A JPH1078398 A JP H1078398A
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excitation light
fluorescence
fluorescent substance
time
light
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JP23222496A
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English (en)
Inventor
Shigetoshi Okazaki
茂俊 岡崎
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度・高時間分解能で操作容易に蛍光寿命
を測定する。 【解決手段】 同期信号生成部4から出力される同期信
号に同期してパルスレーザ光源3から出力されたパルス
励起光は、光ファイバ20に入射し、試料セル2の内部
に充填された蛍光物質1中を導波する。光ファイバ20
を導波するパルス励起光の散乱光により蛍光物質1から
発生した蛍光は、試料セル2の外部に現われ、レンズ6
によって、ゲート7上に結像される。ゲート7は、同期
信号に同期してタイミング信号生成部5で生成されたタ
イミング信号に従って、所定時間の間だけ開き、その所
定時間に亘る蛍光の像の積算値が光検出器9に獲得され
る。演算部10は、その積算値を位置微分し、これに基
づいて蛍光物質1の蛍光寿命を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光物質、特に液
体または気体の蛍光物質の蛍光寿命の測定技術に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光物質の蛍光寿命の測定方法と
して、パルスサンプリング法、時間相関単一光子計数
法、位相変調法、励起プローブ法およびストリークカメ
ラによる測定方法が知られている。
【0003】パルスサンプリング法は、蛍光物質にパル
ス励起光を照射し、発生した蛍光を分光した後に光電子
増倍管で検出し、その光電子増倍管の出力信号を高速オ
シロスコープ等で観測するものであり、構成が簡単であ
るという利点がある。
【0004】時間相関単一光子計数法は、1パルスのパ
ルス励起光の照射により蛍光物質から発生する蛍光の平
均光子数が1以下となるようパルス励起光の光量を調整
し、蛍光物質にパルス励起光を照射してから蛍光光子を
観測するまでの時間を、多数のパルス励起光照射につい
て測定し、その時間に関するヒストグラムを作成し、こ
れに基づいて蛍光寿命を求める方法である。
【0005】位相変調法は、例えば10ないし50MH
zの正弦波に変調した励起光を蛍光物質に照射し、観測
される蛍光と励起光との間の位相差および変調周波数か
ら蛍光寿命を求める方法である。
【0006】励起プローブ法は、例えばカーセル等の光
シャッタを使用するものであり、パルス励起光照射後に
光シャッタを開く時刻を変化させながら光シャッタを通
過した蛍光の光量を測定することにより、蛍光寿命を求
める方法である。
【0007】ストリークカメラは、蛍光を入力し光電変
換により生成された光電子ビームを、パルス励起光発生
に同期した掃引信号が印加された偏向電極によって偏向
させ、これによって蛍光強度の時間変化を空間変化に変
換して、この空間変化から蛍光寿命を求めるものであ
る。高感度で高時間分解能であるという特徴を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法は、そ
れぞれ以下のような問題点がある。パルスサンプリング
法は、感度が悪く、また、約10ns以下の蛍光寿命の
測定は困難である。時間相関単一光子計数法は、1パル
ス励起当たり単一光子の蛍光しか検出できないので、ヒ
ストグラム作成すなわち蛍光寿命測定に膨大な時間を要
する。位相変調法は、蛍光が多成分である場合にその解
析が困難であり、また、時間分解能が低いため蛍光寿命
の測定精度が悪い。励起プローブ法は、光シャッタを開
く時刻を変化させながら蛍光光量を測定するので、蛍光
寿命測定に時間を要する。ストリークカメラは、測定範
囲が限られ、また、高価である。
【0009】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、高感度・高時間分解能で操作容易な蛍
光寿命測定装置および方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る蛍光寿命測
定装置は、(1) パルス励起光を出力する励起光源と、
(2) 測定対象である蛍光物質が近接して配された導波経
路上にパルス励起光を導波させるとともに、導波経路上
の連続領域または3以上の離散地点から、パルス励起光
の一部を蛍光物質中に放出する光導波手段と、(3) パル
ス励起光の出力タイミングに同期して、パルス励起光が
出力された時刻以後の時刻からパルス励起光が導波経路
中を導波途中である時刻までの所定時間を指示するタイ
ミング信号を生成するタイミング信号生成手段と、(4)
導波経路から放出されたパルス励起光の一部により蛍光
物質から発生した蛍光の強度分布について、タイミング
信号に基づいて所定時間に亘って積算した積算値を、導
波経路と略直交する方向から検出する蛍光検出手段と、
(5) 積算値に基づいて蛍光物質の蛍光寿命を算出する演
算手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】この蛍光寿命測定装置によれば、励起光源
から出力されたパルス励起光は、光導波手段により、測
定対象である蛍光物質が近接して配された導波経路上を
導波するとともに、導波経路上の連続領域または3以上
の離散地点から、その一部が蛍光物質中に放出される。
一方、タイミング信号生成手段により、パルス励起光の
出力タイミングに同期して、パルス励起光が出力された
時刻以後の時刻からパルス励起光が導波経路中を導波途
中である時刻までの所定時間を指示するタイミング信号
が生成される。そして、導波経路から放出されたパルス
励起光の一部により蛍光物質から発生した蛍光の強度分
布について、タイミング信号に基づいて所定時間に亘っ
て積算した積算値が、導波経路と略直交する方向から蛍
光検出手段により検出され、この積算値に基づいて蛍光
物質の蛍光寿命は演算手段により算出される。
【0012】演算手段は、積算値の位置に関する微分ま
たは差分を計算し、これに基づいて蛍光物質の蛍光寿命
を算出することとしてもよい。
【0013】蛍光検出手段は、(1) 蛍光物質から発生し
た蛍光を入力し、結像平面上に蛍光の像を結像する結像
光学系と、(2) 蛍光物質と結像平面との間に設けられ、
パルス励起光の散乱光を遮断し、蛍光を透過させる濾波
手段と、(3) タイミング信号に基づいて所定時間だけ、
結像平面に結像された蛍光の像を受光して、積算値を検
出する光像検出手段と、を備えるものが好適である。こ
の場合、蛍光物質と結像平面との間に設けられた濾波手
段を透過した蛍光は、結像光学系により結像平面上に結
像され、その像は、光像検出手段により、タイミング信
号に基づいて所定時間だけ受光されて、積算値が検出さ
れる。
【0014】光導波手段は、平面光導波路であってもよ
いし、光ファイバであってもよい。何れも好適にパルス
励起光は導波されるとともに、パルス励起光の一部は蛍
光物質中にエバネセント光または散乱光として放出され
る。
【0015】光導波手段は、導波経路が所定平面上にお
いて非直線状であるとともに、蛍光検出手段は、所定平
面に略直交する方向から積算値を2次元像として検出す
ることとしてもよい。この場合には、導波経路を長く設
けることができるので、長い蛍光寿命を測定するのに好
適である。
【0016】本発明に係る蛍光寿命測定方法は、(1) 測
定対象である蛍光物質が近接して配された導波経路上に
パルス励起光を導波させるとともに、導波経路上の連続
領域または3以上の離散地点からパルス励起光の一部を
蛍光物質中に放出し、その放出されたパルス励起光の一
部により蛍光物質から発生した蛍光の強度分布につい
て、パルス励起光が出力された時刻以後の時刻からパル
ス励起光が導波経路中を導波途中である時刻までの所定
時間に亘って積算した積算値を、導波経路と略直交する
方向から検出する第1のステップと、(2) 積算値に基づ
いて蛍光物質の蛍光寿命を算出する第2のステップと、
を備えることを特徴とする。
【0017】第2のステップは、積算値の位置に関する
微分または差分を計算し、これに基づいて蛍光物質の蛍
光寿命を算出することとしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。図1は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の構成
図である。
【0019】蛍光寿命を測定しようとする蛍光物質1
(あるいは、蛍光物質を含む試料)は試料セル2に充填
されており、その試料セル2中には、光導波手段の第1
の実施形態として光ファイバ20が張られていて、その
光ファイバ20の少なくとも一端は試料セル2の外部に
出ている。パルスレーザ光源(励起光源)3から出力さ
れたパルス励起光は、光ファイバ20の試料セル2外部
の一端から入射して、試料セル2中の光ファイバ20の
導波経路を導波するとともに、その導波の途中では光フ
ァイバ20から散乱光を放出する。試料セル2は、この
パルス励起光の進行方向に沿って長い形状であり、ガラ
ス等の透明材で形成されている。したがって、光ファイ
バ20を導波するパルス励起光から生じた散乱光は、そ
の近傍の蛍光物質1を励起して蛍光を発生させ、その蛍
光は、試料セル2を透過して外部に現れる。
【0020】そして、試料セル2の外部に現れた蛍光
は、試料セル2中の光ファイバ20の導波経路に略垂直
な方向から蛍光検出手段により検出される。すなわち、
蛍光は、レンズ(結像光学系)6によって結像され、フ
ィルタ(濾波手段)11を透過して、ゲート7、マイク
ロチャンネルプレート(MCP)8および光検出器9か
らなる光像検出手段によって蛍光の像が検出される。こ
こでフィルタ11は、パルス励起光の散乱光を遮断し蛍
光を透過させるものであり、また、これに替えて、入射
した光像をスペクトル分光し、蛍光波長成分の像のみを
選択出力する分光器を用いてもよい。
【0021】この蛍光物質1を励起するパルス励起光
は、同期信号生成部4から出力される同期信号を入力し
たパルスレーザ光源3から、その同期信号に同期して出
力される。また、タイミング信号生成部5も、同期信号
生成部4から出力される同期信号を入力し、この同期信
号に基づいて、この同期信号入力時刻以降の所定時刻t
1およびt2(t1<t2)を示すタイミング信号を生
成する。ここで、時刻t1は、光ファイバ20の蛍光物
質1中の導波経路をパルス励起光が導波途中である時
刻、または、蛍光物質1に入射する以前の時刻であるこ
とが必要であり、パルス励起光の発生と同時刻であって
もよい。時刻t2は、光ファイバ20の蛍光物質1中の
導波経路をパルス励起光が導波途中である時刻であるこ
とが必要であり、パルス励起光が蛍光物質1の終端位置
に到達する直前であることが好ましい。このタイミング
信号生成部5は、例えば所定長さの遅延線であり、一方
の端から入力した同期信号を、その長さに応じた時間の
経過後に、他方の端からタイミング信号として出力する
ことによって、精度のよい時刻t1およびt2を得るこ
とができる。
【0022】このタイミング信号を入力するゲート7
は、そのタイミング信号が示す時刻t1から時刻t2ま
での一定時間だけ、フィルタ11から出力された蛍光の
像を獲得する。ゲート7は、例えば光電変換面を主要な
構成要素として含み、タイミング信号生成部5から出力
されたタイミング信号に応じて、時刻t1から時刻t2
までの一定時間だけ所定の電圧が印加されて、その間の
蛍光の像の強度分布に応じた光電子が放出される。
【0023】この光電子は個数が少ないので、MCP8
によって増倍された後に、その増倍された2次電子が光
検出器9の受光面に到達する。この光検出器9として、
例えば1次元CCDが用いられる。この場合、時刻t1
から時刻t2までの一定時間においてゲート7に結像さ
れた蛍光の像の強度分布に応じた電荷が光検出器(1次
元CCD)9の各画素に蓄積される。
【0024】この光検出器9の各画素に蓄積された電荷
の分布は、時刻t2までにパルス励起光が蛍光物質1中
で到達した地点までの各位置における、時刻t1から時
刻t2までの所定時間に発生した蛍光の光量の総和を示
すものであり、蛍光寿命に応じた分布形状を有する。演
算部10は、この光検出器9の各画素に蓄積された電荷
の分布に基づいて、蛍光物質1の蛍光寿命を算出する。
【0025】次に、本発明に係る蛍光寿命測定装置の作
用とともに、演算部10における蛍光寿命算出方法の詳
細について説明する。図2は、本発明に係る蛍光寿命測
定装置の作用の説明図であり、図2(a)は、光ファイ
バ20中をパルス励起光が導波している試料セル2の説
明図であり、図2(b)は、蛍光物質1の各位置におい
て発生した蛍光の光量の時間変化を示す図であり、図2
(c)は、蛍光物質1の各位置において発生した蛍光の
光量の所定時間内の総和を示す図である。
【0026】以下の説明において、パルス励起光の光フ
ァイバ20中における光速をc、蛍光物質1の蛍光寿命
をτとする。また、図2(a)に示すように、パルス励
起光の導波方向に沿った蛍光物質1における位置変数を
xとし、光ファイバ20を導波するパルス励起光が蛍光
物質1に入射した直後の所定位置を原点(x=0)とす
る。また、時刻変数をtとし、光ファイバ20を導波す
るパルス励起光が位置x=0に到達した時刻をt1と
し、これを原点(t1=0)とする。時刻t2を、光フ
ァイバ20を導波するパルス励起光が蛍光物質1中の位
置x=700に到達する時刻とする。更に、説明を簡便
にするため、光ファイバ20から放出されるパルス励起
光の散乱光は一定強度であるものとする。
【0027】この場合、タイミング信号生成部5は、同
期信号生成部4から出力された同期信号に基づいて、上
記の時刻t1から時刻t2までの間だけゲート7を開く
よう指示するタイミング信号を生成する。蛍光物質1で
発生した蛍光は、レンズ6で結像され、フィルタ11を
透過し、時刻t1から時刻t2までの間だけ開いたゲー
ト7およびMCP8を経て、光検出器9によって像が検
出される。
【0028】理論的には、蛍光物質1の位置xから発生
する蛍光の光量の時間変化は、 exp{−(t−x/c)/τ} … (1) なる指数関数で表される(図2(b))。但し、この式
において、時刻tは、光ファイバ20中を導波するパル
ス励起光がその位置xに到達した時刻x/cから時刻t
2までの範囲の時刻である。したがって、時刻t2まで
に蛍光物質1の位置xにおいて発生した蛍光の光量の総
和I(x) は、パルス励起光が位置xに到達した時刻x/
cから時刻t2まで、(1)式を時刻変数tについて積
分した値となり、 I(x) =1− exp{−(t2−x/c)/τ} … (2) で表される(図2(c))。なお、(1)式および
(2)式は一定係数値を省略して記してある。
【0029】光検出器9に得られる強度分布データ(各
画素に蓄積された電荷量に応じたデータ列)は、(2)
式と同等のものであり、レンズ6により縮小あるいは拡
大され、光検出器9の画素による空間分解能に応じて離
散化されたものである。すなわち、光検出器9に得られ
る強度分布データIは、画素位置nの関数として、 I(n) =1− exp{−(t2−nT)/τ} … (3) と表される。ここで、Tは、1画素当たりの時間分解能
である。
【0030】この(3)式で表される強度分布データI
(n) を入力する演算部10は、この強度分布データI
(n) に基づいて、蛍光物質1の蛍光寿命を以下の要領で
求める。先ず、(3)式を画素位置nに関して微分(差
分)をとり、 ΔI(n) =I(n) −I(n-1) =A・exp(nT/τ) … (4) を得る。ここで、Aは、nおよびTに依存しない負の一
定係数値である。この式で表される関数は、光検出器9
の画素位置nの関数でもあり、また、時刻nTの関数で
もある。
【0031】そこで、1画素当たりの時間分解能Tを別
の方法で求めておけば、実際に光検出器9で得られた強
度分布データの微分関数を、(4)式で表される理論上
の関数にあてはめ、例えば非線形最小二乗法等の数値計
算によって、蛍光寿命τを求めることができる。また、
実際に光検出器9で得られた強度分布データそのもの
を、(3)式で表される理論上の関数にあてはめて、数
値計算によって蛍光寿命τを求めることもできる。
【0032】なお、以上においては蛍光物質が単一成分
であるとして説明した。しかし、単一成分に限られず、
多成分系(互いに異なる蛍光寿命を有する複数の蛍光物
質が混在している系)であっても、多成分の蛍光物質そ
れぞれの蛍光寿命を測定することができる。多成分系の
場合には、蛍光寿命τi(i=1,2,3,…)それぞれについ
ての(1)式を加重平均した式に基づいて上記と同様に
式の展開がなされ、また、数値計算によって蛍光寿命τ
i(i=1,2,3,…)それぞれの値を求めることができる。
【0033】また、ゲート7の開閉動作を指示するタイ
ミング信号が矩形波でない場合には、そのタイミング信
号を別の方法で求めて、(3)式で表せる理論上の関数
をタイミング信号の波形でコンボリューション計算し
て、光検出器9で得られた強度分布データに数値計算に
よりあてはめることにより蛍光寿命τを求めることがで
きる。
【0034】この1画素当たりの時間分解能Tは、例え
ば以下の方法で求められる。図3は、1画素当たりの時
間分解能Tの算出方法の説明図である。先ず、タイミン
グ信号生成部5から出力されたタイミング信号により、
ゲート7を、光ファイバ20中を導波するパルス励起光
が蛍光物質1に入射する時刻前から、タイミング信号生
成部5により設定された時刻t1まで開いて、光検出器
9によって蛍光の像を得る(図3(a))。同様にし
て、ゲート7を、光ファイバ20中を導波するパルス励
起光が蛍光物質1に入射する時刻前から、タイミング信
号生成部5により設定された時刻t2(=t1+Δt)
まで開いて、光検出器9によって蛍光の像を得る(図3
(b))。或いは、フィルタ11を取り去って、光ファ
イバ20からのパルス励起光の散乱光の像を獲得しても
よい。このようにして得られた2つの像(図3(a)と
(b))の距離を、光検出器9の画素位置の差Δnとし
て求める。この画素位置の差Δnが、時刻t1と時刻t
2との時間差Δtに相当するので、1画素当たりの時間
分解能Tは、 T=Δt/Δn … (5) で得られる。
【0035】また、実際には、パルス励起光が光ファイ
バ20中を導波する際の減衰が無視できず、さらに、光
ファイバ20を導波するパルス励起光の強度に対する散
乱光強度の割合が一定であるとは限らないので、その減
衰等について補正する必要がある。この補正は、具体的
には例えば以下の要領で行なう。先ず、光ファイバ20
を導波するパルス励起光が蛍光物質1に入射する以前の
時刻から、そのパルス励起光が試料セル2の終端から抜
けて更に蛍光発生が殆ど無視できるほどに小さくなる時
刻(蛍光寿命の5倍程度の時間が経過した時刻)まで、
ゲート7を開き、この間に発生する蛍光の像の分布を光
検出器9で検出する。或いは、フィルタ11を取り去っ
て、光ファイバ20からのパルス励起光の散乱光の像の
分布を光検出器9で検出してもよい。ここで求めた蛍光
または散乱光の分布が、パルス励起光の光ファイバ20
中における減衰等を表しているので、これを用いて補正
する。
【0036】なお、以上の実施形態の説明においては、
パルス励起光を導波させる光導波手段として光ファイバ
を挙げたが、光導波手段は光ファイバに限られるもので
はなく、例えば、平面光導波路であっても構わない。
【0037】図4は、光導波手段の第2の実施形態の構
成図である。この実施形態においては、容器21とその
蓋となる透明平板22とにより試料セルが構成され、そ
の試料セル中に蛍光物質1が充填される。そして、その
透明平板22をコアとし、その下の蛍光物質1および上
の空気層をクラッドとして、光導波路が構成されてい
る。したがって、コアである透明平板22の屈折率は、
クラッドである蛍光物質1の屈折率より大きな値である
必要があり、例えば、サファイアやダイヤを材料とする
ものが好適である。直角プリズム23は、外部空間から
パルス励起光を透明平板22に導波させるためのもので
あり、直角プリズム24は、透明平板22を導波してき
て到達したパルス励起光を外部空間に取り出すためのも
のである。この実施形態では、透明平板22をコアとす
る光導波路をパルス励起光が導波するときに、クラッド
である蛍光物質1に浸み出したエバネセント光および散
乱光によって蛍光物質1が励起され蛍光が発生し、その
蛍光は、例えば透明平板22の上方に設けられた蛍光検
出手段により検出される。
【0038】図5は、光導波手段の第3の実施形態の構
成図である。この実施形態においては、透明基板25A
およびその上に蒸着等により形成された透明コア層25
Bならびに容器26から試料セルが構成され、その試料
セル中に蛍光物質1が入れられる。そして、透明基板2
5A、透明コア層25Bおよび蛍光物質1から光導波路
25が構成されている。したがって、透明コア層25B
の屈折率は、透明基板25Aおよび蛍光物質1それぞれ
の屈折率より大きな値である必要がある。この実施形態
では、光導波路25をパルス励起光が導波するときに、
クラッドである蛍光物質1に浸み出したエバネセント光
および散乱光によって蛍光物質1が励起され蛍光が発生
し、その蛍光は、例えば透明基板25Aの下方に設けら
れた蛍光検出手段により検出される。
【0039】これら図4および図5それぞれには、光導
波手段としての光導波路のみを示したが、図1に示した
実施形態と同様に、パルスレーザ光源3、同期信号生成
部4、タイミング信号生成部5、レンズ6、フィルタ1
1、ゲート7、MCP8、光検出器9および演算部10
それぞれを設けて、図2および図3で説明したのと同様
の作用が得られる。
【0040】以上に説明した実施形態においては、光導
波手段(図1における光ファイバ20、図4における透
明平板22をコアとする光導波路、図5における光導波
路25)は何れも直線状のものであった。しかし、蛍光
物質1の蛍光寿命が長い場合にその蛍光寿命を測定する
には、その蛍光寿命の長さに応じて、パルス励起光の導
波方向に沿った試料セルの長さは、(3)式および
(4)式の指数関数の形状を特定するために充分なだけ
の長さである必要がある。例えば、蛍光物質1の蛍光寿
命が10ns以上である場合、試料セルの長さは数m以
上であることが要求され、装置が大規模になる。そこ
で、このように長い蛍光寿命を測定するには、例えば図
6に示す光導波手段と試料セルとを用いて、光導波手段
の蛍光物質中での導波経路を長くする。
【0041】図6は、光導波手段の第4の実施形態の構
成図である。この図に示す試料セル27の内部には蛍光
物質1が充填されており、試料セル27内の所定平面上
に光ファイバ28の導波経路が非直線状に配されてい
る。すなわち、そのファイバ28の導波経路は、その所
定平面に垂直な方向から見たときに重なる部分がないよ
うに折り返して配されている。また、その光ファイバ2
8の少なくとも一端は試料セル27の外部に出ている。
パルス励起光は、試料セル27外部の光ファイバ28の
一端から入射して光ファイバ28を導波し、その光ファ
イバ28を導波するパルス励起光は、試料セル27内部
に進み、蛍光物質1中の導波経路を非直線状に導波す
る。
【0042】このような試料セル27および光ファイバ
28を用いることにより、試料セル27内の所定平面上
における光ファイバ28の長さに応じて、導波経路を長
くすることができる。そして、光検出器(例えば2次元
CCD)は、光ファイバ28を導波するパルス励起光の
散乱光がその近傍の蛍光物質1を励起して発生した蛍光
を、試料セル27中の導波経路が存在する所定平面に垂
直な方向から2次元像として検出し、演算部は、この2
次元像に基づいて、(1)式乃至(5)式と同じ要領で
蛍光物質1の蛍光寿命τを求める。このようにすること
によって、蛍光寿命が長い場合であっても、(3)式お
よび(4)式の指数関数の形状を充分に精度良く特定す
ることができ、したがって、蛍光物質1の蛍光寿命を精
度良く測定することができる。
【0043】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく種々の変形が可能である。例えば、光導波手段
として光導波路を用い、かつ、その光導波路をパルス励
起光が導波する経路を非直線的なものとして、その光導
波路中をパルス励起光が導波する導波経路を長くしても
よい。この光導波路は、導波するパルス励起光を反射さ
せる反射手段が設けられた二次元導波路であってもよい
し、チャンネル型のコアが非直線状に形成された三次元
導波路であってもよい。
【0044】また、図4および図5において、光導波手
段としての光導波路は、蛍光物質1をその一方のクラッ
ドとするものであったが、蛍光物質1をクラッドとしな
い光導波路を用いて、その光導波路を導波するパルス励
起光の散乱光により蛍光物質1を励起してもよい。ま
た、光導波手段におけるパルス励起光の導波経路上に例
えばグレーティングあるいはビームスプリッタを設け
て、導波経路を導波するパルス励起光の一部をそのグレ
ーティングあるいはビームスプリッタから取り出し、取
り出したパルス励起光により蛍光物質1を励起してもよ
い。
【0045】また、光導波手段は、光ファイバや平面光
導波路に限られるものではない。例えば、図4において
透明平板22の厚みが大きく透明平板22と蛍光物質1
と空気層とから光導波路が構成されない場合であって
も、パルス励起光は、蛍光物質1との境界面および空気
層との境界面で全反射しながら透明平板22中を導波す
ればよい。この場合、透明平板22を導波するパルス励
起光からのエバネセント光および散乱光は、その導波経
路上の一定間隔の離散的な地点に現れ、その離散地点が
3点以上であれば、蛍光物質1の蛍光寿命τは同様にし
て測定することができる。
【0046】また、光導波手段を導波するパルス励起光
からのエバネセント光や散乱光が弱い場合や、そのエバ
ネセント光や散乱光により励起された発生する蛍光が弱
い場合には、パルス励起光を繰り返し光導波手段中を導
波させて、蛍光の像を光検出器で繰り返し受光して、光
検出器の各画素に入射した光量に応じた電荷を累積的に
蓄積し、その累積的に蓄積された電荷を読み出してもよ
い。
【0047】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり本発明によ
れば、励起光源から出力されたパルス励起光は、光導波
手段により、測定対象である蛍光物質が近接して配され
た導波経路上を導波するとともに、導波経路上の連続領
域または3以上の離散地点から、その一部が蛍光物質中
に放出される。一方、タイミング信号生成手段により、
パルス励起光の出力タイミングに同期して、パルス励起
光が出力された時刻以後の時刻からパルス励起光が導波
経路中を導波途中である時刻までの所定時間を指示する
タイミング信号が生成される。そして、導波経路から放
出されたパルス励起光の一部により蛍光物質から発生し
た蛍光の強度分布について、タイミング信号に基づいて
所定時間に亘って積算した積算値が、導波経路と略直交
する方向から蛍光検出手段により検出され、この積算値
に基づいて蛍光物質の蛍光寿命は演算手段により算出さ
れる。
【0048】このような構成としたので、装置に可動部
分がなく容易な操作で蛍光寿命を測定することができ
る。また、単一光子事象を扱うものではないので、測定
は高感度であり且つ短時間に行なうことができる。ま
た、蛍光寿命測定の時間分解能は、蛍光検出手段の位置
分解能のみに依存するので、蛍光検出手段として位置分
解能の高いものを用いることにより、蛍光寿命測定の時
間分解能を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛍光寿命測定装置の構成図であ
る。
【図2】本発明に係る蛍光寿命測定装置の作用の説明図
である。
【図3】1画素当たりの時間分解能Tの算出方法の説明
図である。
【図4】本発明に係る屈折率測定装置における光導波手
段の第2の実施形態の構成図である。
【図5】本発明に係る屈折率測定装置における光導波手
段の第3の実施形態の構成図である。
【図6】本発明に係る屈折率測定装置における光導波手
段の第4の実施形態の構成図である。
【符号の説明】
1…蛍光物質、2…試料セル、3…パルスレーザ光源、
4…同期信号生成部、5…タイミング信号生成部、6…
レンズ、7…ゲート、8…マイクロチャンネルプレート
(MCP)、9…光検出器、10…演算部、11…フィ
ルタ、20…光ファイバ。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス励起光を出力する励起光源と、 測定対象である蛍光物質が近接して配された導波経路上
    に前記パルス励起光を導波させるとともに、前記導波経
    路上の連続領域または3以上の離散地点から、前記パル
    ス励起光の一部を前記蛍光物質中に放出する光導波手段
    と、 前記パルス励起光の出力タイミングに同期して、前記パ
    ルス励起光が出力された時刻以後の時刻から前記パルス
    励起光が前記導波経路中を導波途中である時刻までの所
    定時間を指示するタイミング信号を生成するタイミング
    信号生成手段と、 前記導波経路から放出された前記パルス励起光の一部に
    より前記蛍光物質から発生した蛍光の強度分布につい
    て、前記タイミング信号に基づいて前記所定時間に亘っ
    て積算した積算値を、前記導波経路と略直交する方向か
    ら検出する蛍光検出手段と、 前記積算値に基づいて前記蛍光物質の蛍光寿命を算出す
    る演算手段と、 を備えることを特徴とする蛍光寿命測定装置。
  2. 【請求項2】 前記演算手段は、前記積算値の位置に関
    する微分または差分を計算し、これに基づいて前記蛍光
    物質の蛍光寿命を算出する、ことを特徴とする請求項1
    記載の蛍光寿命測定装置。
  3. 【請求項3】 前記蛍光検出手段は、 前記蛍光物質から発生した蛍光を入力し、結像平面上に
    前記蛍光の像を結像する結像光学系と、 前記蛍光物質と前記結像平面との間に設けられ、前記パ
    ルス励起光の散乱光を遮断し、前記蛍光を透過させる濾
    波手段と、 前記タイミング信号に基づいて前記所定時間だけ、前記
    結像平面に結像された前記蛍光の像を受光して、前記積
    算値を検出する光像検出手段と、 を備えることを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定
    装置。
  4. 【請求項4】 前記光導波手段は平面光導波路である、
    ことを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定装置。
  5. 【請求項5】 前記光導波手段は光ファイバである、こ
    とを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定装置。
  6. 【請求項6】 前記光導波手段は、前記導波経路が所定
    平面上において非直線状であるとともに、前記蛍光検出
    手段は、前記所定平面に略直交する方向から前記積算値
    を2次元像として検出する、ことを特徴とする請求項1
    記載の蛍光寿命測定装置。
  7. 【請求項7】 測定対象である蛍光物質が近接して配さ
    れた導波経路上にパルス励起光を導波させるとともに、
    前記導波経路上の連続領域または3以上の離散地点から
    前記パルス励起光の一部を前記蛍光物質中に放出し、そ
    の放出された前記パルス励起光の一部により前記蛍光物
    質から発生した蛍光の強度分布について、前記パルス励
    起光が出力された時刻以後の時刻から前記パルス励起光
    が前記導波経路中を導波途中である時刻までの所定時間
    に亘って積算した積算値を、前記導波経路と略直交する
    方向から検出する第1のステップと、 前記積算値に基づいて前記蛍光物質の蛍光寿命を算出す
    る第2のステップと、 を備えることを特徴とする蛍光寿命測定方法。
  8. 【請求項8】 前記第2のステップは、前記積算値の位
    置に関する微分または差分を計算し、これに基づいて前
    記蛍光物質の蛍光寿命を算出する、ことを特徴とする請
    求項7記載の蛍光寿命測定方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007516411A (ja) * 2003-06-27 2007-06-21 コミツサリア タ レネルジー アトミーク 生物学的試料または化学的試料を定量分析するための方法
KR101147487B1 (ko) * 2010-07-13 2012-05-21 광주과학기술원 형광 수명 계산 시스템 및 그 방법

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