JPH09227947A - 極低炭素缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

極低炭素缶用鋼板の製造方法

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JPH09227947A JP3815596A JP3815596A JPH09227947A JP H09227947 A JPH09227947 A JP H09227947A JP 3815596 A JP3815596 A JP 3815596A JP 3815596 A JP3815596 A JP 3815596A JP H09227947 A JPH09227947 A JP H09227947A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高価なNbやTiを添加が不要で、製造しや
すく、かつ缶用としての特性の優れた缶用鋼板を製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 重量%でC:0.0016〜0.0025%、Mn:
0.05〜2.0 %、Al:0.025 〜0.13%、N:0.0030%以
下、B:0.0005〜0.0024%を含有し、残部が実質的にF
eおよび不可避的不純物からなり、かつB/N(重量
比)が0.5 〜0.8 である成分を有する鋼を用いること、
熱間圧延における巻取り温度が400 〜650 ℃であるこ
と、連続焼鈍での焼鈍温度が650 〜690 ℃であること、
及び調質圧延における伸張率が0.8 〜4%であることを
特徴とする極低炭素缶用鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、錫めっき鋼板、T
FSなどの缶用鋼板の原板の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】極低炭素缶用鋼板としては、鋼中の侵入
型固溶元素(C、N)と強い結合力を持ち、炭窒化物を
容易に形成するTiおよびNbのうち少なくとも一種を
含有させた、いわゆるIF鋼(Interstitial Free Stee
l)がよく知られている。この鋼は侵入型固溶元素を含ま
ないので、塗装後でも降伏点伸びが現われない。この結
果、腰折れ、ストレッチャーストレインなど降伏点伸び
の存在に起因する製缶時の外観不良の懸念が全くない。
脱ガス技術の進歩により、極低炭素鋼の溶製が容易にな
った現在、IF鋼は軟質の缶用鋼板として大量に用いら
れている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、IF鋼
は次のような問題点を有する。第一に、TiやNbを添
加するため再結晶温度が高くなる。この結果、750 ℃以
上の高温焼鈍が必須である。缶用鋼板は板厚が薄いの
で、高温焼鈍を行うと、破断、絞りなどの操業トラブル
を招きやすい。第二に、高価なTiやNbを添加するた
め素材コストが高い。第三に、溶接部強度が弱い。これ
は極低炭素鋼では焼入れ効果がないからである。 【0004】缶用IF鋼のこのような問題点を解決する
方法として、例えば、特開平5ー263143号公報に
は、Ti、Nbではなく、微量のBを添加する技術が開
示されている。 【0005】しかし、特開平5ー263143号公報に
記載されている技術においては、前記第一と第二の問題
は解決されるが、C量を極端に低くしなければならない
ため、現在の脱ガス技術では高コストであり、かつその
達成も不確実であるという新たな問題を生じる。また、
前記第三の問題も不十分である。 【0006】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、高価なNbやTiを添加が不要
で、製造しやすく、かつ缶用としての特性の優れた缶用
鋼板を製造する方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題は、重量%で
C:0.0016〜0.0025%、Mn:0.05〜2.0 %、Al:0.
025 〜0.13%、N:0.0030%以下、B:0.0005〜0.0024
%を含有し、残部が実質的にFeおよび不可避的不純物
からなり、かつB/N(重量比)が0.5 〜0.8 である成
分を有する鋼を用いること、熱間圧延における巻取り温
度が400 〜650 ℃であること、連続焼鈍での焼鈍温度が
650 〜690 ℃であること、及び調質圧延における伸張率
が0.8 〜4%であることを特徴とする極低炭素缶用鋼板
の製造方法により解決される。 【0008】さらに、調質圧延における伸長率を1.8 〜
4%とすれば、極低炭素缶用鋼板の特性が一層向上す
る。 【0009】以下に、本発明の製造条件の限定理由を説
明する。 C:塗装工程では、塗料の焼付け処理(210 ℃×10分)
が行われる。この際、固溶Cが存在するとそれが転位上
に極めて微細な準安定析出物として析出し、転位の運動
を妨げる。その結果、降伏点伸びが発生する。固溶C量
が多いほど降伏点伸びが大きくなる。この値が大きいと
缶成形の際に腰折れやストレッチャストレインを生ず
る。このような外観不良を避けるためには降伏点伸びは
5%以下でなければならない。本願の鋼では、Ti、N
bなど炭化物形成元素を添加しないので、固溶C量は鋼
中の全C量に比例する。C量が0.0025%を超えると塗装
後の降伏点伸びを5%以下にできなくなる。0.0016%未
満では製鋼での製造コストが非常に高くなる。 【0010】Mn:赤熱脆化防止のために0.05%以上の
添加が必要である。硬度調節はMnの添加量調節により
行う。上限は必要硬度の上限より定めたものである。 【0011】Al:Alは脱酸剤として添加されるが、
本発明では固溶N をAlNとして固定する作用もする。
固溶NはまずBによりBNとして固定され、残った分が
AlNとなる。0.025 %未満では、BNの析出後に残る
固溶N量が少ないので焼鈍時のAlNの析出が不安定に
なる。AlNになりきれなっかった固溶Nは、塗装時に
N時効による降伏点伸びの発生に関与する。強力な脱酸
剤であるAlが多くなることはスラブの表面性状にとり
好ましくない。コストアップにもつながる。上限である
0.130 %はこの点を考慮したものである。 【0012】N:Nは不可避的に混入する不純物であ
る。N量が高くなるほどこれを固定するためのBの添加
量を増やさなければならない。Bは非常に高価であるの
で、これはコストアップになる。上限である0.0030%は
この点を配慮して定めたものである。 【0013】B:添加の目的は次ぎの三つである。一つ
目は熱延板組織の細粒化、冷延板組織の細粒化を通じて
の塗装時の降伏点伸びの抑制である。細粒化は焼鈍の冷
却過程での固溶C の偏析箇所となる粒界を増やすことに
なり、粒界に偏析した固溶炭素は降伏点伸びの発生に関
与しないからである。 【0014】二つ目は固溶Nの悪影響の軽減である。N
をBNとして固定し、塗装時のN時効による降伏点の発
生を抑制する。 【0015】三つ目は溶接熱影響部の強化である。極低
C化による溶接熱影響部の焼入れ性の低下を、Bにより
補償する。0.0005%未満ではこの三つの効果が得られな
い。0.0024%を越えると上記N量との関係から、BNと
して析出する量より過剰にBが含有される場合が生じ、
N時効は減少するが、後述のように、固溶C量が増加す
るので好ましくない。多量のBの添加はコスト的にも、
またスラブの表面品質にとっても好ましくない。 【0016】B/N:塗装後の降伏点伸びを5%以下に
するための重要な因子である。B/Nが0.5 未満では前
記B添加の効果が得られない。 【0017】B/Nが0.8 を越えると原子数でBがNよ
り多くなる。余剰なBはCより先に粒界に偏析し、固溶
Cの粒界への偏析を妨害する。即ち余剰なBの存在は、
粒内の固溶Cを増やし、塗装後の降伏点伸びを5%以上
にしてしまう。 【0018】熱延後の巻取温度:400 ℃未満では、安定
した巻取作業ができない。650 ℃を越えると熱延板結晶
粒の粗大化を招く。熱延板の結晶粒が大きくなると、冷
延ー焼鈍後の結晶粒も大きくなり、焼鈍の冷却過程での
固溶Cの偏析箇所が少なくなる。 【0019】連続焼鈍での焼鈍温度:650 ℃未満では未
再結晶部が残る。690 ℃を越えると塗装後の降伏点伸び
が5%を越えるようになる。焼鈍での昇温とともに熱延
板の粒界に析出あるいは偏析しているCが結晶粒内へ再
固溶するが、690 ℃を越えるその量が多くなりすぎるか
らである。さらに焼鈍温度が高くなるほど、結晶粒が大
きくなり、偏析箇所が減少することも降伏点伸びの増加
につながる。 【0020】調質圧延での伸張率:通常の範囲である0.
8 〜4%で,降伏点伸びを5%以下にするという本願の
目的は達せられるが、この範囲内でも1.8 〜4%が特に
望ましい。塗装後の降伏点伸びは伸張率の増大とともに
小さくなり、1.8%以上で降伏点伸びを3.5%以下とする
ことができるようになる。4%越えの伸張率は調質圧延
機の能力上できない。 【0021】 【発明の実施の形態】スラブは、連続鋳造後再加熱され
ることなく直接熱延されても、加熱炉で再加熱後熱延さ
れてもよい。加熱炉で加熱されるときの加熱温度は通常
の1000〜1250℃の温度範囲でよい。 【0022】熱延での仕上温度は通常の条件であるAr3
点以上でよい。冷延率は通常の範囲である80〜95%でよ
い。 【0023】連続焼鈍は加熱・均熱・冷却型のいわゆる
缶用鋼板専用型の設備を用いて行っても、加熱・均熱・
急冷・過時効処理・冷却型の絞り用冷延鋼板用の設備を
用いて行ってもよい。加熱保持時間、冷却速度等は任意
に選んでも、本発明の目的を達成することができる。 【0024】 【実施例】 (実施例1 )表1に示す化学成分の鋼A〜Jを脱ガス装
置により溶製した。ついで連続鋳造によりスラブを製造
し、スラブを1200℃に加熱後、仕上温度870 ℃、巻取温
度560 ℃の条件で熱間圧延し、仕上板厚2.3mm の熱延鋼
板とした。その後、この熱延鋼板を、冷間冷延して仕上
板厚0.23mmの冷延鋼板を製造した。この冷延鋼板を、ラ
ジアントチューブ加熱・クーリングチューブおよびガス
ジェット冷却型連続焼鈍炉にて、加熱温度670 ℃で連続
焼鈍した。その後、伸張率1.5 %の調質圧延を行い、表
面に錫めっきを行った。 【0025】降伏点伸び、溶接強度は塗装での焼付け条
件と同等の熱処理(210 ℃×10分)を行った後測定し
た。降伏点伸び測定のための引張試験はJIS2241 に基づ
いて行った。スポット溶接条件は、チップ;6mm φのCF
型、荷重;50kgf 、ナゲット径;2.8mm 、電流;3.7kA
、10サイクルで、強度試験は、JIS Z3137 に基づく十
字引張試験である。 【0026】結果を表2に示す。なお、表2の鋼板A〜
Jは、それぞれ表1の鋼A〜Jから製造したものであ
る。 【0027】鋼板A、B、C、D、EはB/Nの影響を
みたものである。B/Nが上限外れである鋼板A、B
は、塗装後の降伏点伸びが許容限度である5 %を越えて
いる。B/Nが下限外れである鋼板Eは、降伏点伸びが
許容限度を越えるとともに、溶接強度も低すぎる。 【0028】鋼板F、G、HはC量の影響をみたもので
ある。C量が高いほど、降伏点伸びが大きい。C量が上
限外れである鋼板Hの降伏点伸びは許容限度を越えてい
る。 【0029】鋼板I、Jは硬質化するため本発明の限定
範囲内においてMn量を高めたものである。Mn量を高
めても本願の効果が発揮されている。 【0030】 【表1】【0031】 【表2】 【0032】(実施例2 )表1の鋼Cを用いて、熱延で
の巻取温度を450 ℃〜680 ℃の範囲で4段階に変え、巻
取り温度の影響を調べた。その他の製造条件は、スラブ
加熱温度;1240℃、熱延;仕上板厚2.3mm 、仕上温度87
0 ℃、冷延;仕上板厚0.23mm、連続焼鈍;ラジアントチ
ューブ加熱・過時効処理型連続焼鈍炉、加熱温度670
℃、調質圧延;伸張率2.0 %、表面処理;TFS処理、
であった。 【0033】表3 に結果を示す。巻取温度の影響は主に
塗装後の降伏点伸びに現われている。巻取温度が低いほ
ど降伏点伸びが小さい。それが本願の上限外れである鋼
板C−4では、降伏点伸びが6.1 %と許容限度である5
%を越えている。 【0034】 【表3】 【0035】(実施例3 )表1の鋼Gを用いて、焼鈍温
度を640 〜700 ℃の範囲で4段階に変化させ、焼鈍温度
への影響を調べた。その他の製造条件は、スラブ加熱温
度;1180℃、熱延;仕上板厚2.3mm 、仕上温度890 ℃、
巻取温度540 ℃、冷延;仕上板厚0.23mm、連続焼鈍;ラ
ジアントチューブ加熱ガスジェット冷却型連続焼鈍炉、
加熱温度640 〜700 ℃、調質圧延;伸張率1.8 %、表面
処理;TFS処理、であった。 【0036】表4に結果を示す。焼鈍温度の影響は硬度
と降伏点伸びに現われている。焼鈍温度が本願の下限外
れである鋼板G−1は、硬度が異常に高い。これは再結
晶が完了していないためである。上限外れである鋼板G
−4は降伏点伸びが6.4 %と許容限度である5%を越え
ている。これは再溶解した固溶Cが多く、かつ結晶粒が
大きくなり過ぎたからである。 【0037】 【表4】 【0038】(実施例4 )表1の鋼Iを用いて、調質圧
延での伸張率を0.6 〜3.0 %の範囲で4段階に変化さ
せ、伸張率の影響を調べた。その他の製造条件は、スラ
ブ加熱温度;1200℃、熱延;仕上板厚2.3mm 、仕上温度
900 ℃、巻取温度590 ℃、冷延;仕上板厚0.23mm、連続
焼鈍;ラジアントチューブ加熱・ガスジェット冷却型連
続焼鈍炉、加熱温度670 ℃、表面処理;錫めっき、であ
った。 【0039】表5 に結果を示す。Mn量が高い分、硬度
が高くなっている。伸張率の影響は主に降伏点伸びに現
われている。それが高いほど、降伏点伸びは小さい。伸
張率が本発明の下限である0.8 %より低い0.6 %である
鋼板I−1では、降伏点伸びが許容限度である5%を越
えている。伸張率の範囲が、請求項2の範囲にあるI−
3、I−4では、降伏点伸びが3.5 %以下であり、より
好ましい範囲に入っている。 【0040】 【表5】 【0041】 【発明の効果】本願は以上説明したように構成されてい
るので、高価なNbやTiを添加することなく、製造し
やすくて、かつ缶用としての特性の優れた缶用鋼板を製
造する方法を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎 久範 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小島 克己 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1 】 重量%でC:0.0016〜0.0025%、Mn:
    0.05〜2.0 %、Al:0.025 〜0.13%、N:0.0030%以
    下、B:0.0005〜0.0024%を含有し、残部が実質的にF
    eおよび不可避的不純物からなり、かつB/N(重量
    比)が0.5 〜0.8である成分を有する鋼を用いること、
    熱間圧延における巻取り温度が400 〜650℃であるこ
    と、連続焼鈍での焼鈍温度が650 〜690 ℃であること、
    及び調質圧延における伸張率が0.8 〜4%であることを
    特徴とする極低炭素缶用鋼板の製造方法。 【請求項2 】 調質圧延における伸張率が1.8 〜4.0 %
    であることを特徴とする請求項1 に記載の極低炭素缶用
    鋼板の製造方法。
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