JP2505038B2 - 加工用溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

加工用溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、加工用の溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の製造に係り、より詳しくは、特にT
i、Nb等の炭窒化物形成元素を添加しない通常のAlキル
ド熱間圧延鋼板を原板とし、冷間圧延を行うことなく、
プレス加工性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板及び合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を製造する方法に関するものである。
(従来の技術) 近年、自動車等の車体或いはその構造部材には溶融亜
鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板が多く使用さ
れるようになってきた。これらの用途では、形状が複雑
であるため、プレス加工時に鋼板が厳しい加工を受ける
ことから、成形性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板が要求さ
れることになる。
従来、このような用途に供される溶融亜鉛めっき鋼板
の製造法としては、熱延鋼帯を冷間圧延に付した後、そ
のまま或いは再結晶焼鈍を施した後、連続溶融亜鉛めっ
きライン(以下、「亜鉛めっきライン」と称す)に通板
して浸漬めっきを行う、いわゆる冷延鋼板を原板とした
鋼板の製造法が通常の方法である。
とそろで、最近では、需要家側からコストダウンの要
請が強まり、加工性に優れ且つ安価な溶融亜鉛めっき鋼
板が求められている。このため、冷延鋼板を原板とする
ことに代えて、熱延後酸洗するが、冷間圧延やこれに続
く再結晶焼鈍を施すことなく、直接亜鉛めっきラインへ
通板する方法、すなわち、製造工程の一部を省略して製
造コスを低減する方法が検討され、一部で実行化されて
いる。
しかし、従来、熱延鋼板を冷間圧延することなく直接
亜鉛めっきラインへ通板して得られる熱延原板溶融亜鉛
めっき鋼板は、板厚が3.2mm以上の比較的板厚の厚い鋼
とか、或いは加工性がそれ程厳しくない用途に限られて
使用されているにすぎず、板厚が薄く且つ加工性の優れ
た熱延原板溶融亜鉛めっき鋼板はこれまであまり製造さ
れていない。
そこで、このような板厚が薄く且つ加工性の優れた熱
延原板溶融亜鉛めっき鋼板の製造法については種々改善
が試みられているが、未だ有効な方法が見い出されてい
ない。以下に従来法の一例を説明する。
(発明が解決しようとする課題) 一般に、溶融亜鉛めっき鋼板を製造するには、亜鉛め
っきラインにおいて、まず酸化雰囲気中で加熱均熱さ
れ、次いでめっき層の密着性を高めるために溶融亜鉛温
度(460℃)程度に還元雰囲気中で保持した後、溶融亜
鉛めっき浴中に浸漬される。この場合、加熱均熱過程で
は、再結晶焼鈍或いは軟質化を目的として、約700〜850
℃に保持されるのが通例である。更に製品の塗装性等の
改善のために460℃〜600℃でめっき層の合金化処理を行
うことも多い。
一方、熱延鋼板の場合には、通常、熱延後には再結晶
が完了しており、したがって、再結晶焼鈍域まで加熱す
る必要がないため、第1図に一般的な熱サイクルを示す
ように、加熱均熱過程では冷延鋼板に比べやや低温の55
0〜650℃程度に加熱均熱された後、浸漬めっきされる。
更に冷延鋼板と同様にめっき層の合金化処理が行われる
場合がある。
ところが、Cを0.03〜0.05%程度含む通常のAlキルド
熱延鋼板の場合に上記の如く溶融亜鉛めっき処理前に55
0〜650℃程度の温度で均熱を行うと、この均熱処理によ
り引張特性が低下してしまい、所望とする特性が得られ
ないという問題がある。
また、熱延鋼板の加工性を改善するためには、Alキル
ド鋼を高温巻取りし、亜鉛めっきラインでの加熱均熱温
度を高温にする方法が一般的であり、例えば、特開昭54
−71717号には、Al/N(重量比)が10以上を有する通常
のAlキルド鋼を600℃以上温度で巻取る方法が提案され
ている。しかるに、この製造法によって得られた熱延鋼
板を上記の如く亜鉛めっきラインにて通常の均熱−亜鉛
めっきを施した場合、後述するように、降伏点が上昇
し、伸びが低下してしまう。このため、いわゆる高い伸
び(例えば、43%以上、板厚2.0mm)を確保することが
困難となる。
このように、上記のような熱延鋼板の亜鉛めっき処理
時の再加熱処理による降伏点の上昇、伸びの低下という
プレス加工性の劣化は、主に該再加熱〜冷却過程を通じ
てCが再固溶し、そのまま固溶状態で残存することに起
因するためである。これを防止するためには、例えば、
特公昭54−26974号に示されているように、脱ガス処理
等によってCを低減し、原子当量論的にC量以上のTi、
Nb等の炭窒化物形成元素を添加したような鋼を熱延後高
温で巻取れば、熱延〜巻取り過程において析出したTi
C、NbCは溶融亜鉛めっき前の再加熱工程においても再固
溶することがなく、上記プレス加工性の劣化を抑制する
ことが可能ではある。しかし、脱ガス処理を要し或いは
Ti、Nb等の添加を要することは製造コストの上昇を招く
ので、経済的に好ましくない。
一方、本発明者らは、特願昭62−148683号、同62−14
8684号において、亜鉛めっきラインでの最高再加熱温度
を580℃以下とし、該再加熱〜冷却過程でのCの再固溶
を極力少なくすることにより、上記のような熱延鋼板の
亜鉛めっき処理による降伏点の上昇、伸びの低下が抑え
られることを示した。しかしならが、該発明において
は、亜鉛めっきラインでのめっき前再加熱温度が580℃
以下と低く、前述したように主に冷延鋼板の再結晶焼鈍
或いは軟質化のため700℃以上の高温での通板処理がな
されている亜鉛めっきラインの場合には投入チャンスの
制約が避けられない。すなわち、冷延鋼板の連続高温再
結晶焼鈍中に該発明法による熱延鋼板を通板するには、
めっき前再加熱温度が異なるため、熱延鋼板の処理前後
に加熱炉の降温、昇温が必要であるといった問題があ
り、したがって、該発明法では冷延鋼板の連続処理中の
小ロットの熱延鋼板を処理することは、この温度変更の
問題から困難であった。
以上のように、特にTi、Nb等の炭窒化物形成元素を含
まず、長時間の脱ガス処理を施さずに、通常のAlキルド
鋼を熱延後、冷間圧延することなく、溶融亜鉛めっきを
施す場合、特に亜鉛めっきラインへの投入制約を伴わず
に亜鉛めっきラインでの再加熱処理による材質劣化を積
極的に抑制し得る方法は、未だ見い出されていないのが
現状である。
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたものであっ
て、Ti、Nb等の特別な炭窒化物形成元素を含まない通常
のAlキルド鋼を熱延−巻取り後、冷間圧延を施すことな
く直接連続溶融亜鉛めっき処理に付した場合であって
も、従来の絞り用熱延鋼板並の低い降伏点及び高い伸び
を呈するプレス加工性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板又は
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造し得る方法を提供する
ことを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明者らは、長時間の脱
ガス処理を施さず、Ti、Nb等の高価な炭窒化物形成元素
を含まない通常のAlキルド鋼を用いて、熱延原板溶融亜
鉛めっき鋼板の加工性と亜鉛めっきラインでの加熱、均
熱及び過時効時の温度について、鋭意実験研究を重ねた
ところ、従来よりも高い温度で亜鉛めっき前に再加熱
し、その後、僅かな過時効処理を施すことにより、得ら
れる製品の加工性が向上することを見い出し、ここに本
発明をなしたものである。
すなわち、本発明に係る加工用溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法(第1発明)は、C:0.020〜0.080%、Mn:0.05
〜0.45%及びsolAl:0.005〜0.10%を含み、残部がFe及
び不可避的不純物よりなる鋼を熱間圧延、巻取り後、冷
間圧延を行わずに予め700℃以上800℃以下の鋼帯温度に
予熱した後、350℃以上500℃以下で30秒以上の過時効処
理を施し、該過時効処理中に溶融亜鉛めっきを施すこと
を特徴とするものである。
また、本発明に係る加工用合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法(第2発明)は、上記第1発明における過時
効処理中での溶融亜鉛めっき後、更に460℃以上600℃以
下の鋼帯温度にてめっき層の合金化処理を施すことを特
徴とするものである。
更に他の本発明に係る加工用合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法(第3発明)は、、上記第1発明において
冷間圧延を行わずに予め700℃以上800℃以下の鋼帯温度
に予熱した後、溶融亜鉛めっきを施し、460℃以上600℃
以下の鋼帯温度にてめっき層の合金化処理を施し、更に
350℃以上500℃以下で30秒以上の過時効処理を施すこと
を特徴とするものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
(作用) 本発明は、熱延鋼板を原板とする溶融亜鉛めっき鋼板
において、通常のAlキルド鋼を用い、亜鉛めっきライ
ンで適正条件で加熱、均熱後に過時効処理と溶融亜鉛め
っきを行うことにより、或いは過時効処理後に合金化
処理を行うことにより、或いはまた前記加熱、均熱後
に溶融亜鉛めっき処理−合金化処理し過時効処理するこ
とにより、プレス加工性に優れ、特に低降伏点で高延性
の鋼板を得ることにある。
まず、本発明を見い出すに至った基礎実験の詳細につ
いて説明する。
第1表に示す化学成分を有する鋼を溶製し、連続鋳造
によりスラブとし、これに熱間圧延を施して、同表に示
す熱延後の巻取り温度でコイル状に巻取った。得られた
熱延鋼板のコイル長手方向中央部よりサンプルを採取し
た。まず、めっき前の均熱温度の影響を調査するため、
実験室内にめっき前均熱温度を変えて浸漬めっきを施し
た。なお、均熱時間は20秒とし、過時効処理条件は450
℃×1.5分とした。
得られた鋼板より、圧延方向にJIS5号引張り試験片を
採取し、引張試験を行った。
各試験片のめっき前均熱温度と降伏点、伸びとの関係
を第2図に示す。
第2図より、巻取温度によらず、700℃以上の均熱に
よりめっき処理前、すなわち、熱延ままの特性とほぼ同
等の特性が得られることがわかる。
更に、合金化処理の影響を調査するため、前述の720
℃熱延巻取材を用いて、第2表及び第3図に示す条件で
浸漬めっきと、めっき層の合金化処理を施した。なお、
めっき前均熱は20秒、合金化時間は10秒、過時効処理は
460℃×1分とした。
各試験片の合金化温度と降伏点、伸びとの関係を第4
図に示す。
第4図より、めっき前均熱温度が700℃の場合には、
過時効処理前及び過時効処理後の合金化処理のいずれに
おいても合金化温度の降伏点、伸びに及ぼす影響は小さ
く、更に合金化処理を行わない場合とほぼ同等の特性を
示すことがわかる。一方、めっき前均熱温度が550℃と
低い場合には、過時効処理後合金処理を行うと、合金化
温度の上昇と共に降伏点が上昇し、伸びが低下するが、
特に合金化温度が600℃の場合にその程度が大きい。
第2図及び第4図に示しためっき熱サイクルによる引
張特性の変化は、その詳細な機構は明らかではないが、
以下のように考えられる。
まず、めっき熱サイクルによる引張特性の変化の原因
としては、めっき熱サイクル中のセメンタイトの再固溶
及び析出によるものと考えられ、引張特性の向上のため
には、めっき熱サイクル後の固溶C量を如何に低くする
かがポイントとなる。したがって、第2図の結果は、め
っき前均熱温度が550℃と低い場合には、特願昭62−148
683号、同62−148684号に示されるように、めっき前再
加熱時のCの再固溶が抑えられることにより、低い降伏
点、高い伸びが得られるためと考えられる。一方、めっ
き前均熱温度が600℃以上の場合、ほぼ該温度の上昇と
共にめっき前均熱時のCの再固溶は進むと考えられる
が、この後の過時効処理時のセメンタイトの析出が問題
となり、すなわち、めっき前均熱温度が700℃以上の場
合、過時効前のCの固溶量が多く、過飽和度が増すた
め、過時効時のセメントの析出が促進され、低い降伏
点、高い伸びを得ることができる。ところが、めっき前
均熱温度が600〜650℃の場合には、該均熱によるCの再
固溶が少ないため、過時効前のCの過飽和度が低く、過
時効時のセメンタイト析出が充分でなく、引張特性が劣
っているものと考えられる。
更に、合金化処理の影響については、過時効前に合金
化処理を行う場合には、めっき前の700℃での均熱で充
分に再固溶したCが特に合金化処理温度によらず、その
後の過時効処理時に、ほぼ合金化処理がない場合と同様
に析出する。また、過時効後に合金化処理を行う場合
は、過時効処理により析出したセメンタイトは500〜600
℃の合金化処理では殆ど変化せず、安定であると考えら
れる。したがって、合金化処理が過時効処理の前後いず
れにあっても、合金化処理を行わない場合とほぼ同様の
引張特性が得られるものと考えられる。
また、第4図(b)には、めっき前均熱が550℃の場
合の過時効後合金化処理の影響を併せて示すが、この場
合には、めっき前均熱時のCの再固溶は引張特性が劣化
しない程度に抑えられているものの、この後の合金化処
理温度が600℃と高い場合には、合金化時のCの再固溶
が進み、引張特性が劣化するものと考えられる。
したがって、めっき前均熱温度を700℃と従来より高
くし、過時効処理を行うことにより、700〜800℃の高い
温度で再結晶処理を行う冷延鋼板と同様の条件で処理を
行うことができ、更に、特に合金化処理条件の影響を受
けず、安定して良好な引張特性が得られる。
以上の基礎実験の結果に基づいて更に詳細に研究を重
ね、本発明に至ったのである。
本発明における化学成分の限定理由は以下のとおりで
ある。
C: Cは本発明において、最も重要な元素であり、最終製
品での鋼中のCの固溶量が少ないほど引張特性が向上す
る。しかし、Cが0.020%未満であると、如何にめっき
前均熱温度が700℃以上であっても全体でのC量が少な
いため、過時効前の過飽和度が低く、過飽和処理による
引張特性の向上効果が小さい。したがって、本効果を得
るためには、Cは0.02%以上が必要である。
一方、、Cが多すぎる場合には鋼が軟質化し、本発明
法をもってしても加工用途として必要な優れた引張特性
が得られないため、0.080%以下が好ましい。したがっ
て、C量は0.020〜0.080%の範囲とする。
Mn: Mnは鋼中の遊離硫黄を固定し、鋼の強度を向上させる
効果がある。しかし、Mn量が0.05%未満では熱間脆性を
生じる恐れがあり、一方、0.45%を超えると延性が劣化
し、目標とする伸びを確保することが困難となる。した
がって、Mn量は0.05〜0.45%の範囲とする。
Al: Alは鋼の製錬時に脱酸剤として作用し、そのためには
少なくとも0.005%以上が必要である。しかし、0.100%
を超えるとスリバー疵と称される鋼板の表面疵が発生し
易くなる。したがって、sol Al量は0.005〜0.100%の範
囲とする。
次に本発明の製造条件について説明する。
溶融亜鉛めっき条件は、めっき前均熱で充分にCを再
固溶させ、過時効前のCの過飽和度を上げることによ
り、過時効時のセメンタイトの析出を促進し、引張特性
を向上させるような条件とすることが必要である。この
ためには、めっき前均熱温度が700℃以上であることが
必要であることが本発明者らの実験により判明した。但
し、この温度が800℃を超える場合には、均熱時のフェ
ライト→オーステナイト変態が進み、結晶粒が粗大化
し、プレス加工時の肌荒れが懸念されると共に、エネル
ギーコスト上不利になるので、800℃以下が好ましい。
また、過時効処理条件については、過飽和状態にある
固溶Cをセメンタイトとして、短時間に析出させる条件
である必要があり、その処理温度が500℃を超える場合
にはフェライト中のCの溶解度積が大きいため、或いは
350℃未満の場合には、Cの拡散速度が小さく、所望の
引張特性を得るのに必要なセメンタイトの析出に長い時
間を要するため、過時効処理温度は350℃以上500℃以下
が好ましい。また、この温度範囲であれば、過時効処理
の時間は少なくとも30秒あれば充分である。
更に、製品の塗装性等の向上を目的として合金化処理
を行う場合には、前述の如く、460〜600℃での温度範囲
であれば、合金化処理を過時効処理の前後のいずれで行
っても本発明の効果は得られることが本発明者らの実験
により確認された。しかしながら、合金化処理温度が46
0℃未満の場合には、所望のめっき層中の鉄濃度(例え
ば10%)を得るのに長い時間を要し、更に600℃を超え
る場合には逆に鉄濃度が高くなりすぎてめっき層の加工
性に劣る。したがって、合金化処理温度は460℃以上600
℃以下が好ましい。
なお、熱延条件については特に規制するものではない
が、仕上温度はAr3変態点以上であればよく、たとえ仕
上温度が多少Ar3変態点を下廻ったときでも巻取時或い
はめっき再加熱処理時に再結晶化すればよい。したがっ
て、仕上温度は現行の熱間圧延機で圧延可能な650℃以
上であればよい。巻取温度についても、第2図に示した
如く本発明の効果を特に左右するものではないが、より
軟質な特性を得たい場合には600℃以上が好ましい。
また、熱延後、亜鉛めっき前の酸洗処理については、
本発明により得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の機械
的性質に対して特に作用乃至影響を及ぼさないので、特
に条件は限定されない。
更に、亜鉛めっきライン内又はオフラインにてストレ
ッチャーストレインの防止或いは形状修正を目的として
調質圧延を施すかどうかは任意であり、実施する場合に
は、伸び率0.5〜2.0%の範囲で行うのが好ましい。
次に本発明の一実施例を示す。なお、本発明はこの実
施例のみに限定されるものでないことは云うまでもな
く、既述の各種基礎実験のほか他の態様も可能である。
(実施例) 第3表に示す化学成分を有する鋼を常法により溶製
し、転炉出鋼後、連続鋳造によりスラブとした。次いで
板厚2mmまで熱間圧延を施し、コイル状に巻取った。な
お、仕上げ温度は885〜910℃、巻取温度は650〜700℃と
した。
次いで熱延コイルを酸洗した後、コイル長手方向中央
部よりサンプルを採取した。これらのサンプルに第4表
に示すめっき熱サイクル条件で浸漬めっきを施した。な
お、めっき前均熱時間は20秒、合金化処理時間は10秒と
した。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板の諸特性を第4表に併記
する。同表中、引張特性は該鋼板から圧延方向にJIS5号
試験片を採取し、引張試験を行った結果である。
第4表より明らかなとおり、本発明例である鋼No.A−
1〜No.A−3は、いずれも軟質で延性に優れている。
これに対して、比較例の鋼No.A−4及びNo.A−5は、
めっき前均熱温度が低すぎるため、いずれも所望の高い
伸びが得られていない。
更に比較例の鋼No.A−6〜No.A−8は過時効処理条件
が適当でなく、すなわち、No.A−6は過時効時間が短
く、No.A−7は過時効温度が低すぎ、No.A−8は過時効
温度が高すぎるため、それぞれ引張特性が劣っている。
また、比較例の鋼No.BはC量が低すぎ、No.C、No.Dは
それぞれC、Mn量が大すぎるため、いずれも強度が高
く、これに伴い、降伏点が高く、伸びが低い。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、Ti、Nb等の高
価な炭窒化物形成元素を添加することなく、長時間の脱
ガス処理を必要としない通常のAlキルド鋼を熱延後、冷
延を施すことなく溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、亜
鉛めっきラインでのめっき前均熱温度を従来よりも高く
して、過時効処理を施すことにより、再加熱処理による
材質劣化を有効に抑制でき、従来の絞り用熱延鋼板並み
の低い降伏点及び高い伸びを呈する優れたプレス成形性
の溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。また、
合金化処理を施す場合には過時効処理前又は後に行うこ
とにより、同様の優れた特性の合金化溶融亜鉛めっき鋼
板を製造することができる。しかも、Ti、Nb等の炭窒化
物形成元素の添加或いは溶製時の長時間の脱ガス処理等
を要せず、更に冷延鋼板と同様の条件で処理しても優れ
た引張特性が得られるため、経済的で生産性向上の効果
が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は亜鉛めっきラインにおける一般的な熱サイクル
を示す図、 第2図は溶融亜鉛めっき鋼板のめっき前均熱温度と降伏
点及び伸びの関係を熱延ままの特性と比較して示す図、 第3図は亜鉛めっきラインの熱サイクル条件を示す図
で、(a)は過時効処理前に合金化処理を行う場合を示
し、(b)は過時効処理後に合金化処理を行う場合を示
し、 第4図(a)、(b)は合金化溶融亜鉛めっき鋼板の合
金化処理温度と降伏点及び伸びの関係を、合金化処理を
行わない溶融亜鉛めっき鋼板の特性と比較して示す図で
ある。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で(以下、同じ)、C:0.020〜0.080
    %、Mn:0.05〜0.45%及びsolAl:0.005〜0.10%を含み、
    残部がFe及び不可避的不純物よりなる鋼を熱間圧延、巻
    取り後、冷間圧延を行わずに予め700℃以上800℃以下の
    鋼帯温度に予熱した後、350℃以上500℃以下で30秒以上
    の過時効処理を施し、該過時効処理中に溶融亜鉛めっき
    を施すことを特徴とする加工用溶融亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】請求項1における過時効処理中での溶融亜
    鉛めっき後、更に460℃以上600℃以下の鋼帯温度にてめ
    っき層の合金化処理を施すことを特徴とする加工用合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1において冷間圧延を行わずに予め
    700℃以上800℃以下の鋼帯温度に予熱した後、溶融亜鉛
    めっきを施し、460℃以上600℃以下の鋼帯温度にてめっ
    き層の合金化処理を施し、更に350℃以上500℃以下で30
    秒以上の過時効処理を施すことを特徴とする加工用合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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