JP2003013177A - プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2003013177A
JP2003013177A JP2001202067A JP2001202067A JP2003013177A JP 2003013177 A JP2003013177 A JP 2003013177A JP 2001202067 A JP2001202067 A JP 2001202067A JP 2001202067 A JP2001202067 A JP 2001202067A JP 2003013177 A JP2003013177 A JP 2003013177A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
hot
dip galvanized
heat treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001202067A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4608822B2 (ja
Inventor
Saiji Matsuoka
才二 松岡
Takashi Sakata
坂田  敬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP2001202067A priority Critical patent/JP4608822B2/ja
Priority to CA002387322A priority patent/CA2387322C/en
Priority to AU44435/02A priority patent/AU785150B2/en
Priority to CNB021224374A priority patent/CN1206383C/zh
Priority to KR1020020031731A priority patent/KR100720875B1/ko
Priority to DE60214086T priority patent/DE60214086T2/de
Priority to EP02012388A priority patent/EP1264911B1/en
Priority to US10/163,728 priority patent/US6818074B2/en
Priority to ES02012388T priority patent/ES2269558T3/es
Priority to AT02012388T priority patent/ATE337416T1/de
Publication of JP2003013177A publication Critical patent/JP2003013177A/ja
Priority to US10/903,747 priority patent/US20050016644A1/en
Priority to US10/909,049 priority patent/US20050019601A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4608822B2 publication Critical patent/JP4608822B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたプレス成形性と、歪時効硬化特性に優
れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提案す
る。 【解決手段】C:0.20%以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.
0 %以下を含み、P、S、Al、Nを適正量に調整し、さ
らにCu:0.5 〜3.0 %、またはMo、Cr、Wのうちの1種
または2種以上を合計で2.0 %以下含む鋼スラブを素材
とし、熱延板または冷延板とした鋼板に、Ac1変態点以
上の温度に加熱したのち急冷する一次熱処理を施したの
ち、Ac1変態点〜Ac3変態点の温度に加熱する二次熱処
理を施し、ついで溶融亜鉛めっき処理を施す。これによ
り、組織が、フェライト相および焼戻しマルテンサイト
相からなる主相と、体積率で1%以上の残留オーステナ
イト相を含む第2相との複合組織となり、優れたプレス
成形性とΔTS:80MPa 以上になる歪時効硬化特性を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として自動車用
溶融亜鉛めっき鋼板に係り、とくに、曲げ加工性、伸び
フランジ加工性、絞り加工性等のプレス成形性が良好
で、しかもプレス成形後の熱処理により引張強さが顕著
に増加する、極めて大きな歪時効硬化特性を有する高延
性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】なお、本発明でいう高延性鋼板とは、強度
(TS)と延性(El)のバランス(TS×El)が19
000MPa%以上の引張特性を有する鋼板を意味する。ま
た、本発明でいう極めて大きな歪時効硬化特性、すなわ
ち「歪時効硬化特性に優れる」とは、ΔTS:80MPa 以
上になる歪時効硬化特性を有することを意味する。本発
明において、ΔTSとは、塑性歪量5%以上の予変形処
理後、150 〜350 ℃の範囲の温度で保持時間:30s以上
の熱処理を施したときの、熱処理前後の引張強さ増加量
{=(熱処理後の引張強さ)−(予変形処理前の引張強
さ)}を意味する。また、本発明において、ΔYSと
は、この熱処理前後の変形応力増加量{ΔYSと記す;
ΔYS=(熱処理後の降伏応力)−(予変形処理前の降
伏応力))を意味する。
【0003】
【従来の技術】近年、地球環境の保全問題からの排出ガ
ス規制に関連して、自動車の車体重量の軽減が極めて重
要な課題となっている。最近、車体重量の軽減のため
に、自動車用鋼板を高強度化して鋼板板厚を低減するこ
とが検討されている。鋼板を素材とする自動車の車体用
部品の多くがプレス加工により成形されるため、使用さ
れる自動車鋼板には、優れたプレス成形性を有すること
が要求される。優れたプレス成形性を有する鋼板となる
ためには、まず高い延性を確保することが肝要となる。
また、伸びフランジ成形が多用される場合もあり、高い
穴拡げ率を有することも必要となる。しかし、一般に、
鋼板を高強度化すると、延性が低下し、穴拡げ率が低下
して、プレス成形性が低下する傾向となる。このため、
従来から、高い延性を有し、プレス成形性に優れた高強
度鋼板が要望されていた。
【0004】また最近では、衝突時に乗員を保護するた
め、自動車車体の安全性が重視され、そのために衝突時
における安全性の目安となる耐衝撃特性の向上が要求さ
れている。耐衝撃特性の向上には、完成車での強度が高
いほど有利になる。したがって、自動車部品の成形時に
は、強度が低く、高い延性を有してプレス成形性に優
れ、完成品となった時点には、強度が高くて耐衝撃特性
に優れる鋼板が最も強く望まれていた。
【0005】このような要望に対し、プレス成形性と高
強度化とを両立させた鋼板が開発された。この鋼板は、
プレス加工後に 100〜 200℃の高温保持を含む塗装焼付
処理施すと降伏応力が上昇する塗装焼付硬化型鋼板であ
る。この鋼板では、最終的に固溶状態で存在するC量
(固溶C量)を適正範囲に制御し、プレス成形時には軟
質で、形状凍結性、延性を確保し、プレス成形後に行わ
れる塗装焼付処理時に、残存する固溶Cがプレス成形時
に導入された転位に固着して、転位の移動を妨げ、降伏
応力を上昇させる。しかしながら、塗装焼付硬化型自動
車用鋼板では、降伏応力は上昇させることができるもの
の、引張強さまでは上昇させることができなかった。
【0006】また、特公平5-24979号公報には、C:0.
08〜0.20%、Mn:1.5 〜3.5 %を含み、残部Feおよび不
可避的不純物からなる組成を有し、組織がフェライト量
5%以下の均一なベイナイトもしくは一部マルテンサイ
トを含むベイナイトで構成された焼付硬化性高張力冷延
鋼板が開示されている。特公平5-24979号公報に記載さ
れた冷延鋼板は、連続焼鈍後の冷却過程で400 〜200 ℃
の温度範囲を急冷し、その後徐冷とすることにより、組
織を従来のフェライト主体の組織からベイナイト主体の
組織として、従来になかった高い焼付け硬化量を得よう
とするものである。
【0007】しかしながら、特公平5-24979号公報に記
載された鋼板では、塗装焼付け後に降伏応力が上昇し、
従来になかった高い焼付け硬化量が得られるものの、依
然として引張強さまでは上昇させることができず、耐衝
撃特性の向上が期待できないという問題があった。プレ
ス成形後に熱処理を施し、降伏応力のみならず引張強さ
をも上昇させようとする鋼板が、熱延鋼板ではあるが、
いくつか提案されている。
【0008】例えば、特公平8-23048号公報には、C:
0.02〜0.13%、Si:2.0 %以下、Mn:0.6 〜2.5 %、so
l.Al:0.10%以下、N:0.0080〜0.0250%を含む鋼を、
1100℃以上に再加熱し、850 〜950 ℃で仕上圧延を終了
する熱間圧延を施し、ついで15℃/s以上の冷却速度で
150 ℃未満の温度まで冷却し巻取り、フェライトとマル
テンサイトを主体とする複合組織とする、熱延鋼板の製
造方法が提案されている。しかしながら、特公平8-230
48号公報に記載された技術で製造された鋼板は、歪時効
硬化により降伏応力とともに引張強さが増加するもの
の、150 ℃未満という極めて低い巻取温度で巻き取るた
め、機械的特性の変動が大きいという問題があった。ま
た、プレス成形−塗装焼付処理後の降伏応力の増加量の
ばらつきが大きく、さらに、穴拡げ率(λ)が低く、伸
びフランジ加工性が低下しプレス成形性が不足するとい
う問題もあった。
【0009】一方、自動車部品は、適用部位によっては
高い耐食性も要求される。高い耐食性を要求される部位
に適用される素材には、溶融亜鉛めっき鋼板が好適であ
り、成形時にはプレス成形性に優れ、成形後の熱処理に
より著しく硬化する溶融亜鉛めっき鋼板が要望されてい
る。このような要望に対し、例えば、特許第2802513 号
公報には、熱延板をめっき原板とする溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法が提案されている。この方法は、C:0.05
%以下、Mn:0.05〜0.5 %、Al:0.1 %以下、Cu:0.8
〜2.0 %を含む鋼スラブを巻取温度:530 ℃以下の条件
で熱間圧延を行い、続いて530 ℃以下の温度に加熱し鋼
板表面を還元したのち、溶融亜鉛めっきを施すことによ
り、成形後の熱処理による著しい硬化が得られるとして
いる。しかしながら、この方法で製造された鋼板では、
成形後熱処理により著しい硬化を得るためには、熱処理
温度を500 ℃以上とする必要があり、熱処理温度が高
く、実用上問題を残していた。
【0010】また、特開平10-310824 号公報には、熱延
板あるいは冷延板をめっき原板とし、成形後の熱処理に
より強度上昇が期待できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法が提案されている。この方法は、C:0.01〜0.
08%を含み、Si、Mn、P、S、Al、Nを適正量としたう
えで、Cr、W、Moの1種または2種以上を合計で0.05〜
3.0 %含有する鋼を熱間圧延したのち、あるいはさらに
冷間圧延、または調質圧延し焼鈍したのち、溶融亜鉛め
っきを行い、その後、加熱合金化処理を施すというもの
である。この鋼板は、成形後、200 〜450 ℃の温度域で
加熱することにより引張強さ上昇が得られるとされる。
しかしながら、得られた鋼板は、ミクロ組織が、フェラ
イト単相、フェライト+パーライト、またはフェライト
+ベイナイト組織であるため、高い延性が得られず、プ
レス成形性が低下するという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うに、極めて強い要求があるにもかかわらず、これらの
特性を満足する鋼板を工業的に安定して製造する技術が
これまでになかったことに鑑み成されたものであり、上
記した問題を有利に解決し、自動車用鋼板として好適
な、優れたプレス成形性を有し、かつプレス成形後に、
比較的低い温度での熱処理によって引張強さが極めて大
きく上昇する歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛め
っき鋼板およびこの溶融亜鉛めっき鋼板を安定して生産
できる製造方法を提案することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するために、歪時効硬化特性におよぼす鋼板
組織と合金元素の影響について鋭意研究を重ねた。その
結果、鋼板組織をフェライト相および焼戻しマルテンサ
イト相からなる主相と、体積率で1%以上の残留オース
テナイト相を含む第2相との複合組織とし、さらに加え
て、C含有量を低〜中炭素域とし、適正量のCuを、ある
いはMo、Cr、Wのうちから選ばれた1種または2種以上
を含有することにより、予歪量:5%以上とした予変形
処理と150 ℃以上350 ℃以下の比較的低い温度の熱処理
後に、降伏応力の増加に加え、引張強さも顕著に増加す
る高い歪時効硬化特性が得られることを見い出した。ま
た、このような高い歪時効硬化特性に加えて、良好な延
性、高い穴拡げ率を有し、プレス成形性に優れた鋼板と
なることを見いだした。
【0013】まず、本発明者らが行った基礎的な実験結
果について説明する。質量%で、C:0.08%、Si:0.5
%、Mn:2.0 %、P:0.01%、S:0.004 %, Al:0.04
%, N:0.002 %を含有し、Cuを0.3 %と1.3 %と含有
する組成を有するシートバーについて、1250℃に加熱−
均熱後、仕上圧延終了温度が900 ℃となるように3パス
圧延を行って板厚4.0 mmとした。なお、仕上圧延終了
後、コイル巻取り処理として600 ℃×1hの保温相当処
理を施した。引き続き、70%の冷間圧延を施して板厚1.
2 mmの冷延板とした。ついで、これらの冷延板に、900
℃で加熱−均熱した後、30℃/sの冷却速度で冷却する
一次熱処理を施した。この一次熱処理後の鋼板組織は、
ラス状マルテンサイト組織であった。この一次熱処理後
の鋼板に、種々の温度で二次熱処理を施した後、450 〜
500 ℃の温度域まで急冷し、ついで、溶融亜鉛めっき浴
(0.13質量%Al-Zn 浴)に浸漬して、表面に溶融亜鉛め
っき層を形成する溶融亜鉛めっき処理を施した。さら
に、450 〜550℃の温度範囲に再加熱し、溶融亜鉛めっ
き層の合金化処理(めっき層中のFe含有率:約10%)を
実施した。
【0014】得られた溶融亜鉛めっき鋼板について、引
張試験を実施し引張特性を調査した。さらに、これら溶
融亜鉛めっき鋼板の歪時効硬化特性についても調査し
た。まず、これら溶融亜鉛めっき鋼板から試験片を採取
し、試験片に引張予歪量5%の予変形処理を施し、つい
で50〜350 ℃×20min の熱処理を施したのち、引張試験
を実施し引張特性を求めた。歪時効硬化特性は、熱処理
前後の引張強さ増加量ΔTSで評価した。ΔTSは、熱
処理を施した後の引張強さTSHTと、熱処理を施さない場
合の引張強さTSとの差{=(熱処理後の引張強さTSHT
−(予変形処理前の引張強さTS)}とした。なお、引張
試験は、JIS 5号引張試験片を用いて実施した。
【0015】図1に、ΔTSと二次熱処理温度の関係に
およぼすCu含有量の影響を示す。なお、ΔTSは、得ら
れた溶融亜鉛めっき鋼板から採取した試験片に、引張歪
5%の予変形処理を施し、ついで250 ℃×20min の熱処
理を施した後引張試験を実施して求めた。図1から、Cu
含有量が1.3 質量%の場合には、鋼板組織をフェライト
+焼戻しマルテンサイト+残留オーステナイトの複合組
織にすることにより、ΔTS:80MPa 以上という高い歪
時効硬化特性が得られることがわかる。一方、Cu含有量
が0.3 質量%の場合には、いずれの二次熱処理温度で
も、ΔTS:80MPa 未満であり、高い歪時効硬化特性は
得られない。
【0016】図1から、Cu含有量を適正範囲とし、フェ
ライト+焼戻しマルテンサイト+残留オーステナイトを
含む複合組織とすることにより、高い歪時効硬化特性を
有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが可能である
ことがわかる。図2に、ΔTSと予変形処理後の熱処理
温度の関係におよぼすCu含有量の影響を示す。なお、Δ
TSは、二次熱処理温度を800 ℃とした合金化溶融亜鉛
めっき鋼板から採取した試験片に、引張歪量5%の予変
形処理を施し、ついで50〜350℃×20min の熱処理を施
したのち、引張試験を実施して求めた。
【0017】図2から、ΔTSは、予変形処理後の熱処
理温度が上昇するとともに増加するが、その増加量はCu
含有量に大きく依存する。Cu含有量が1.3 質量%の場合
には、熱処理温度が150 ℃以上でΔTS:80MPa 以上と
いう高い歪時効硬化特性が得られることがわかる。一
方、Cu含有量が0.3 質量%の場合には、いずれの熱処理
温度でも、ΔTS:80MPa 未満であり、高い歪時効硬化
特性は得られない。
【0018】本発明の溶融亜鉛めっき鋼板では、通常の
熱処理前後の変形応力増加量測定時の予歪量である2%
よりも多い歪量での予変形と、150 ℃以上350 ℃以下と
いった比較的低温度域での熱処理により、鋼板中に極微
細Cuが析出する。本発明者らの検討によれば、この極微
細Cuの析出により、降伏応力の増加に加え、引張強さが
顕著に増加する高い歪時効硬化特性が得られたと考えら
れる。このような低温域での熱処理による極微細Cuの析
出は、これまで報告されている極低炭素鋼あるいは低炭
素鋼では全く認められなかった。低温域での熱処理によ
って極微細Cuが析出することについては、現在まで、そ
の理由は明確となっていないが、フェライト(α)+オ
ーステナイト(γ)の2相域での熱処理中に、γ相にCu
が多量に分配され、それが冷却後も引き継がれて残留オ
ーステナイト中にCuが過飽和に固溶した状態になり、5
%以上の予歪の付加により、残留オーステナイトがマル
テンサイトに歪誘起変態し、歪誘起変態したマルテンサ
イト中に、その後の低温熱処理により、極微細にCuが析
出したものと考えられる。
【0019】また、組織をフェライト+焼戻しマルテン
サイト+残留オーステナイトの複合組織としたCu含有量
が0.3 質量%と1.3 質量%の溶融亜鉛めっき鋼板につい
て、穴拡げ試験を実施し、穴拡げ率(λ)を求めた。穴
拡げ試験は、採取した試験片に、10mmφのポンチで打ち
抜いてポンチ穴を形成したのち、頂角60°の円錐ポンチ
を用い、ばりが外側になるようにして、板厚を貫通する
割れが発生するまで穴拡げを行い、穴拡げ率λを求め
た。穴拡げ率λは、 λ(%)={(d−d0 )/ d0 }×100 で求めた。なお、d0 :初期穴径(ポンチ径)、d:割
れ発生時の内穴径である。Cu含有量が1.3 %の鋼板の穴
拡げ率λは 120%、Cu含有量が0.3 %の鋼板の穴拡げ率
λは50%であり、Cu含有量が1.3 %の場合には0.3 %の
場合に比べ、穴拡げ率が高くなり、穴拡げ成形性が向上
することが明らかになった。Cu含有による穴拡げ成形性
が高くなる詳細な機構については、現在までに明確とは
なっていないが、Cu添加によりフェライト、焼戻しマル
テンサイト、残留オーステナイトおよび歪誘起変態した
マルテンサイトとの硬度差が小さくなったためではない
かと考えられる。
【0020】以上の新知見に基づき、本発明者らは鋭意
研究を重ねた結果、上記のような現象は、Cuを含まない
組成の鋼板についても起こりうることを明らかにした。
すなわち、Cuに代えて、Mo、Cr、Wのうちの1種または
2種以上を含み、フェライト相および焼戻しマルテンサ
イト相からなる主相と体積率で1%以上の残留オーステ
ナイト相を含む第2相の複合組織とすることにより、予
歪を付加し低温域にて熱処理を施すと、歪誘起変態した
マルテンサイト中に極微細炭化物が歪誘起析出し、引張
強さが上昇することを見出した。この歪誘起低温微細析
出は、Mo、Cr、Wに加え、Nb、Ti、Vを複合添加するこ
とにより、より顕著になることも明らかになった。
【0021】本発明は、上記した知見に基づき、さらに
検討して完成されたものである。すなわち、本発明の要
旨は下記のとおりである。 (1)鋼板表面に溶融亜鉛めっき層または合金化溶融亜
鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、組織
が、フェライト相および焼戻しマルテンサイト相からな
る主相と、体積率で1%以上の残留オーステナイト相を
含む第2相との複合組織を有することを特徴とする、プ
レス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa 以上になる歪時
効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板。 (2)(1)において、前記鋼板が、質量%で、C:0.
20%以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.1
%以下、S:0.02%以下、Al:0.3 %以下、N:0.02%
以下、Cu:0.5 〜3.0 %を含み、残部がFeおよび不可避
的不純物からなる組成を有することを特徴とする高延性
溶融亜鉛めっき鋼板。 (3)(2)において、前記組成に加えてさらに、質量
%で、次A群〜C群 A群:Ni:2.0 %以下 B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以
下 C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
0.2 %以下 のうちの1群または2群以上を含有することを特徴とす
る高延性溶融亜鉛めっき鋼板。 (4)(1)において、前記鋼板が、質量%で、C:0.
20%以下、Si:2.0 %以下、Mn:3.0 %以下、P:0.1
%以下、S:0.02%以下、Al:0.3 %以下、N:0.02%
以下を含み、さらに、Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.
0 %、W:0.05〜2.0 %のうちから選ばれた1種または
2種以上を合計で2.0 %以下含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高
延性溶融亜鉛めっき鋼板。 (5)(4)において、前記組成に加えてさらに、質量
%で、Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
0.2 %以下含有することを特徴とする高延性溶融亜鉛め
っき鋼板。 (6)質量%で、C:0.20%以下、Si:2.0 %以下、M
n:3.0 %以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:
0.3 %以下、N:0.02%以下、Cu:0.5 〜3.0 %を含む
組成を有する鋼板に、Ac1変態点以上の温度に加熱した
のち急冷する一次熱処理工程を施したのち、(Ac1変態
点)〜(Ac3変態点)の範囲の温度に加熱する二次熱処
理工程を施し、ついで鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を形
成する溶融亜鉛めっき処理工程を施すことを特徴とす
る、プレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa 以上にな
る歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法。 (7)(6)において、前記一次熱処理工程と前記二次
熱処理工程の間に、鋼板を酸洗する酸洗処理工程を施す
ことを特徴とする高延性溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法。 (8)(6)または(7)において、前記溶融亜鉛めっ
き処理工程についで、前記溶融亜鉛めっき層の合金化処
理を行う合金化処理工程を施すことを特徴とする高延性
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 (9)(6)ないし(8)のいずれかにおいて、前記鋼
板に代えて、質量%で、C:0.20%以下、Si:2.0 %以
下、Mn:3.0 %以下、P:0.1 %以下、S:0.02%以
下、Al:0.3 %以下、N:0.02%以下を含み、さらに、
Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0
%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で2.0
%以下含有する組成を有する鋼板とすることを特徴とす
る高延性溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、
鋼板表面に溶融亜鉛めっき層あるいは合金化溶融亜鉛め
っき層が形成されためっき鋼板である。本発明の溶融亜
鉛めっき鋼板は、引張強さTS:440MPa以上の高張力溶
融亜鉛めっき鋼板であり、プレス成形性に優れ、かつプ
レス成形後の比較的低い温度での熱処理により、引張強
さが顕著に上昇し、ΔTS:80MPa 以上になる歪時効硬
化特性に優れためっき鋼板である。鋼板は熱延板あるい
は冷延板いずれとしてもよい。
【0023】本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、高い延性
(El)を有し, 優れたプレス成形性を有する鋼板とするた
めに、組織を、フェライト相および焼戻しマルテンサイ
ト相からなる主相と、体積率で1%以上の残留オーステ
ナイト相を含む第2相との複合組織とする必要がある。
なお、本発明でいう、焼戻しマルテンサイト相とは、ラ
ス状のマルテンサイトを加熱することにより生成する相
を指す。すなわち、焼戻しマルテンサイト相は、加熱
(焼戻し)前のラス状マルテンサイトのラス形態を引き
継いだ微細な内部構造を有することが特徴である。一
方、焼戻しマルテンサイト相は加熱(焼戻し)によって
軟質化し、マルテンサイトに比べて十分な塑性変形能を
有し、鋼板の延性向上に有効な相である。また、本発明
でいう、主相とは、体積率で50%以上を占める組織をい
うものとする。なお、ラス状マルテンサイトとは、電子
顕微鏡で観察すると、細長い板状のマルテンサイトの束
よりなっているものを指す。
【0024】本発明鋼板では、主相である、フェライト
相および焼戻しマルテンサイト相の組織合計は体積率で
50%以上とすることが好ましい。フェライト相および焼
戻しマルテンサイト相の組織合計が体積率で50%未満で
は、高い延性を確保することが困難となりプレス成形性
が低下する。さらに良好な延性が要求される場合には、
主相であるフェライト相と焼戻しマルテンサイト相の組
織合計は体積率で80%以上とするのが好ましい。なお、
複合組織の利点を利用するため、フェライト相と焼戻し
マルテンサイト相の組織合計は98%以下とするのが好ま
しい。なお、主相を形成するフェライト相は全組織に対
する体積率で30%以上、焼戻マルテンサイト相は全組織
に対する体積率で20%以上とすることが好ましい。フェ
ライト相の体積率が30%未満あるいは焼戻マルテンサイ
ト量が20%未満では、顕著な延性向上効果が期待できな
い。
【0025】また、本発明では、第2相として、残留オ
ーステナイト相を、全組織に対する体積率で1%以上含
有する。残留オーステナイト相が1%未満では、高い延
性(El)を得ることができない。なお、より高い延性
を得るためには、残留オーステナイト相は2%以上含有
することが好ましく、より好ましくは3%以上である。
なお、第2相は、体積率で1%以上の残留オーステナイ
ト相単独としても、あるいは体積率で1%以上の残留オ
ーステナイト相と、副相としてそれ以外のパーライト
相、ベイナイト相、マルテンサイト相のいずれかとの混
合としてもよく、とくに限定されない。
【0026】上記した組織を有する溶融亜鉛めっき鋼板
は、高延性を有し、プレス成形性に優れ、かつ歪時効硬
化特性に優れた鋼板である。本発明でいう、「歪時効硬
化特性に優れた」とは、上記したように、引張塑性歪量
5%以上の予変形処理後、150 〜350 ℃の範囲の温度で
保持時間:30s以上の熱処理を施したとき、この熱処理
前後の引張強さ増加量ΔTS{=(熱処理後の引張強
さ)―(予変形処理前の引張強さ)}が80MPa 以上とな
ることを意味する。なお、望ましくはΔTSは100MPa以
上である。この熱処理により降伏応力も上昇し、ΔYS
{=(熱処理後の降伏応力)―(予変形処理前の降伏応
力)}:80MPa 以上が得られることはいうまでもない。
【0027】歪時効硬化特性を規定する場合、予歪(予
変形)量は重要な因子である。本発明者らは、自動車用
鋼板が適用される変形様式を想定して、予歪量がその後
の歪時効硬化特性に及ぼす影響について調査した。その
結果、極めて深い絞り加工以外はおおむね1軸相当歪
(引張歪)量で整理できること、また、実部品において
は、この1軸相当歪量がおおむね5%を上回っているこ
と、また、部品強度が予歪5%の歪時効処理後に得られ
る強度と良く対応すること、が明らかになった。これら
のことから、本発明では、熱処理の予歪(変形)5%以
上の引張塑性歪とした。
【0028】従来の塗装焼付処理条件は、170 ℃×20 m
inが標準として採用されているが、本発明におけるよう
に、極微細Cuあるいは微細炭化物の析出強化を利用する
場合には、熱処理温度は150 ℃以上が必要となる。一
方、350 ℃を超える条件では、その効果が飽和し、逆に
やや軟化する傾向を示す。また、350 ℃を超える温度に
加熱すると、熱歪やテンパーカラーの発生などが顕著と
なる。このようなことから、本発明では、歪時効硬化の
ための熱処理温度は150 〜350 ℃とした。なお、熱処理
温度における保持時間は30s以上とする。熱処理の保持
時間については、150 〜350 ℃ではおおむね30s程度以
上保持すれば、ほぼ十分な歪時効硬化が達成される。よ
り大きな安定した歪時効硬化を得たい場合は60s以上と
するのが望ましく、より好ましくは300 s以上である。
【0029】予変形後の熱処理における加熱方法は、と
くに限定されないが、通常の塗装焼付処理におけるよう
に、炉による雰囲気加熱以外に、たとえば誘導加熱、無
酸化炎、レーザー、プラズマなどによる加熱などがいず
れも好適である。また、鋼板の温度を高めてプレスす
る、いわゆる温間プレスも、本発明においては極めて有
効な方法である。つぎに、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板
の組成限定理由について説明する。なお、質量%は単に
%と記す。
【0030】C:0.20%以下 Cは、鋼板の強度を増加し、さらにフェライトおよび焼
戻しマルテンサイトからなる主相と残留オーステナイト
を含む第2相との複合組織の形成を促進する元素であ
り、本発明では複合組織形成の観点から0.01%以上含有
するのが好ましい。一方、0.20%を超える含有は、鋼中
の炭化物の分率が増加し、延性、さらにはプレス成形性
を低下させる。さらに、より重要な問題として、C含有
量が0.20%を超えると、スポット溶接性、アーク溶接性
等が顕著に低下する。このため、本発明では、Cは0.20
%以下に限定した。なお、成形性の観点からは0.18%以
下とするのが好ましい。
【0031】Si:2.0 %以下 Siは、鋼板の延性を顕著に低下させることなく、鋼板を
高強度化させることができる有用な強化元素であるとと
もに、残留オーステナイトを得るために必要な元素であ
り、0.1 %以上含有するのが好ましい。一方、その含有
量が2.0 %を超えると、プレス成形性の劣化を招くとと
もに、めっき性を低下させる。このため、Siは2.0 %以
下に限定した。
【0032】Mn:3.0 %以下 Mnは、鋼を強化する作用があり、また、Sによる熱間割
れを防止する有効は元素であり、含有するS量に応じて
含有するのが好ましい。このような効果は、0.5 %以上
の含有で顕著となる。一方、3.0 %を超える含有は、プ
レス成形性および溶接性が劣化する。このため、本発明
ではMnは3.0 %以下に限定した。なお、より好ましくは
1.0 %以上である。
【0033】P:0.10%以下 Pは、鋼を強化する作用があり、本発明では、0.005 %
以上含有することが強度確保するうえで好ましいが、過
剰に含有するとプレス成形性が劣化する。このため、本
発明ではPは0.10%以下に限定した。なお、より優れた
プレス成形性が要求される場合には、0.08%以下とする
のが好ましい。
【0034】S:0.02%以下 Sは、鋼板中では介在物として存在し、鋼板の延性、成
形性、とくに伸びフランジ成形性の劣化をもたらす元素
であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.02%以
下に低減するとさほど悪影響をおよぼさなくなるため、
本発明ではSは0.02%を上限とした。なお、より優れた
伸びフランジ成形性を要求される場合には、Sは0.010
%以下とするのが好ましい。
【0035】Al:0.30%以下 Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上
させるのに有用な元素であるとともに、残留オーステナ
イトの形成にも有効な元素であり、本発明では、0.01%
以上含有することが好ましいが、0.30%を越えて過剰に
含有してもより効果が飽和し含有量に見合う効果が得ら
れず、逆にプレス成形性が劣化する。このため、Alは0.
30%以下に限定した。なお、本発明では、Al脱酸以外の
脱酸方法による溶製方法を排除するものではなく、たと
えばTi脱酸やSi脱酸を行ってもよく、これらの脱酸法に
よる鋼板も本発明の範囲に含まれる。その際、CaやREM
等を溶鋼に添加しても、本発明鋼板の特徴はなんら阻害
されことはない。CaやREM等を含む鋼板も本発明範囲に
含まれるのは、勿論である。
【0036】N:0.02%以下 Nは、固溶強化や歪時効硬化で鋼板の強度を増加させる
元素であり、0.001 %以上含有することが好ましいが、
0.02%を超えて含有すると、鋼板中に窒化物が増加し、
それにより鋼板の延性、さらにはプレス成形性が顕著に
劣化する。このため、Nは0.02%以下に限定した。な
お、よりプレス成形性の向上が要求される場合には0.01
%以下とするのが好適である。
【0037】Cu:0.5 〜3.0 % Cuは、鋼板の歪時効硬化(予変形―熱処理後の強度増
加)を顕著に増加させる元素であり、本発明において最
も重要な元素である。Cu含有量が0.5 %未満では、たと
え予変形―熱処理条件を変化させても、ΔTS:80MPa
以上の引張強さの増加は得られない。このため、本発明
では、Cuは0.5 %以上の含有を必要とする。一方、3.0
%を超える含有は、効果が飽和し、含有量に見合う効果
が期待できず経済的に不利となるうえ、プレス成形性の
劣化を招き、さらに鋼板の表面性状が悪化する。このた
め、Cuは0.5 〜3.0 %に限定した。なお、より大きなΔ
TSと優れたプレス成形性とを両立させるためには、Cu
は1.0 〜2.5 %の範囲にするのが好ましい。
【0038】また、本発明では、上記したCuを含有する
組成に加えてさらに、次A群〜C群 A群:Ni:2.0 %以下 B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以
下 C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
0.2 %以下 のうちの1群または2群以上を含有することが好まし
い。
【0039】A群:Ni:2.0 %以下 A群:Niは、Cu添加時に鋼板表面に発生する表面欠陥の
防止に有効であり、必要に応じ含有できる。含有する場
合には、その含有量は、Cu含有量に依存し、およそCu含
有量の半分程度、具体的にはCu含有量の30〜80%程度と
するのが好ましい。なお、2.0 %を超えて含有しても、
効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなく経済的
に不利となるうえ、逆にプレス成形性が劣化する。この
ようなことから、Niは2.0 %以下に限定するのが好まし
い。
【0040】B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合
計で2.0 %以下 B群:Cr、Moは、いずれもMnと同様に鋼を強化する作用
を有しており、必要に応じ選択して含有できる。しか
し、Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0%を超
えて含有すると、プレス成形性が低下する。このため、
B群:Cr,Moのうちの1種または2種を合計で2.0
%以下に限定するのが好ましい。なお、プレス性の観点
からCrは 0.1%以上、Moは 0.1%以上とすることが好ま
しい。
【0041】C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種
以上を合計で0.2 %以下 C群:Nb、Ti、Vは、いずれも炭化物形成元素であり、
炭化物の微細分散により高強度化に有効に作用し、必要
に応じ選択して含有できる。しかし、Nb、Ti、Vのうち
の1種または2種以上を合計で0.2 %を超えて含有する
と、プレス成形性が劣化する。このため、Nb、Ti、Vの
うちの1種または2種以上を合計で0.2%以下に限定す
ることが好ましい。なお、Nbは0.01%以上、Tiは0.01%
以上、Vは0.01%以上とすることで、上記した効果を有
利に得ることができる。
【0042】また、本発明では、Cuに代えて、Mo:0.05
〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0 %のうち
から選ばれた1種または2種以上を合計で2.0 %以下含
有してもよい。 Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0
%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で2.0
%以下 Mo、Cr、Wはいずれも、鋼板の歪時効硬化(予変形―熱
処理後の強度増加)を顕著に増加させる元素であり、本
発明において最も重要な元素であり選択して含有でき
る。これらMo、Cr、Wの1種または2種以上を含有さ
せ、さらにフェライト相と焼戻しマルテンサイト相から
なる主相と残留オーステナイト相を体積率で1%以上含
む第2相とからなる複合組織とすることにより、5%以
上の予歪の付加と低温熱処理により、残留オーステナイ
トがマルテンサイトに歪誘起変態し、さらに歪誘起変態
したマルテンサイト中に微細炭化物の歪誘起低温微細析
出が起こり、ΔTS:80MPa 以上の引張強さの増加が得
られる。これら元素の含有量がそれぞれ0.05%未満で
は、鋼板組織および予変形―熱処理条件を変化させて
も、ΔTS:80MPa 以上の引張強さの増加は得られな
い。このため、本発明では、Mo、Cr、Wはそれぞれ0.05
%以上含有することが好ましい。一方、Mo、Cr、Wがそ
れぞれ2.0%を超えて含有しても、効果が飽和し含有量
に見合う効果が期待できず経済的に不利となるうえ、プ
レス成形性の劣化を招く。このため、Mo、Cr、Wはそれ
ぞれ0.05〜2.0 %に限定し、さらにそれらの合計含有量
も2.0 %以下に限定することが好ましい。
【0043】また、上記したMo、Cr、Wの1種または2
種以上を含有する組成に加えてさらに、Nb、Ti、Vのう
ちの1種または2種以上を合計で2.0 %以下含有するこ
とが好ましい。 Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で2.0 %
以下 Nb、Ti、Vはいずれも、炭化物形成元素であり、Mo、C
r、Wの1種または2種以上を含有する場合に必要に応
じ選択して含有できる。しかし、Nb、Ti、Vのうちの1
種または2種以上を合計で2.0 %超えて含有すると、プ
レス成形性が劣化する。このため、Nb、Ti、Vは合計で
2.0 %以下に限定するのが好ましい。 Mo、Cr、Wの1
種または2種以上を含有し、さらにこれらNb、Ti、Vの
うちの1種または2種以上を含有したうえ、組織をフェ
ライト相と焼戻しマルテンサイトとからなる主相と残留
オーステナイト相を含む第2相との複合組織とすること
により、予変形ー熱処理時に歪誘起変態したマルテンサ
イト中に微細複合炭化物が形成され、歪誘起低温微細析
出が誘発されて起こり、ΔTS:80MPa以上の引張強さ
の増加が得られる。このような効果を得るためには、そ
れぞれNbは0.01%以上、Tiは0.01%以上、Vは0.01%以
上含有することが好ましく、1種または2種以上を必要
に応じ選択して含有できる。
【0044】なお、上記した成分以外に、とくに限定し
ていないが、B:0.1 %以下、Ca:0.1 %以下、Zr:0.
1 %以下、REM :0.1 %以下等を含有してもなんら問題
はない。上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不
純物である。不可避的不純物としては、Sb:0.01%以
下、Sn:0.1 %以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1 %以下
が許容できる。
【0045】つぎに、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法について説明する。本発明の溶融亜鉛めっき鋼板
は、上記した組成を有する鋼板に、Ac1変態点以上の温
度に加熱したのち急冷する一次熱処理工程を施した後、
連続溶融亜鉛めっきを行うラインで、(Ac1変態点)〜
(Ac3変態点)の範囲の、フェライト+オーステナイト
の二相域の温度に加熱する二次熱処理工程と、ついで鋼
板表面に溶融亜鉛めっき層を形成する溶融亜鉛めっき処
理工程とを順じ施すことにより、製造するのが好まし
い。
【0046】なお、使用する鋼板は、熱延鋼板、冷延鋼
板いずれも好適である。使用する鋼板の好適な製造方法
について、以下に説明するが、本発明ではこれに限定さ
れるものではないことはいうまでもない。まず、熱延鋼
板(熱延板)の好適な製造方法について説明する。使用
する素材(鋼スラブ)は、成分のマクロ偏析を防止する
ために連続鋳造法で製造するのが好ましいが、造塊法、
薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを製
造したのち、いったん室温まで冷却し、その後再度加熱
する従来法に加え、冷却しないで、温片のままで加熱炉
に挿入する、あるいはわずかの保熱をおこなった後に直
ちに圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープ
ロセスも問題なく適用できる。
【0047】まず、素材(鋼スラブ)を加熱し、熱間圧
延を施し熱延板とする熱延工程を施す。熱延工程は所望
の板厚の熱延板が製造できる条件であれば通常公知の条
件でとくに問題はない。なお、好ましい熱延条件は下記
のとおりである。 スラブ加熱温度:900℃以上 スラブ加熱温度は、Cu含有鋼の場合には、Cu起因の表面
欠陥を防止するために低い方が望ましい。しかし、加熱
温度が900 ℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時
のトラブル発生の危険が増大する。なお、酸化重量の増
加にともなうスケールロスの増大などから、スラブ加熱
温度は1300℃以下とすることが望ましい。なお、スラブ
加熱温度を低くし、かつ熱間圧延時のトラブルを防止す
るといった観点から、シートバーを加熱する、いわゆる
シートバーヒーターを活用することは、有効な方法であ
ることは言うまでもない。
【0048】仕上圧延終了温度:700 ℃以上 仕上圧延終了温度FDTを700 ℃以上とすることによ
り、冷延および再結晶焼鈍後に優れた成形性が得られる
均一な熱延母板組織を得ることができる。一方、仕上圧
延終了温度が700 ℃未満では、熱延母板組織が不均一と
なるとともに、熱間圧延時の圧延負荷が高くなり、熱間
圧延時のトラブルが発生する危険性が増大する。このよ
うなことから、熱延工程のFDTは700 ℃以上とするの
が好ましい。
【0049】巻取温度:800 ℃以下 巻取温度CTは、800 ℃以下とするのが好ましく、より
好ましくは200 ℃以上である。CTが800 ℃を超える
と、スケールが増加しスケールロスにより歩留りが低下
する傾向となる。なお、CTが200 ℃未満となると、鋼
板形状が顕著に乱れ、実際の使用にあたり不具合を生じ
る危険性が増大する。
【0050】このように、本発明で好適に使用できる熱
延鋼板は、スラブを900 ℃以上に加熱した後、仕上圧延
終了温度:700 ℃以上とする熱間圧延を施し、800 ℃以
下好ましくは200 ℃以上の巻取温度で巻き取り熱延板と
するのが好ましい。なお、上記した熱延工程では、熱間
圧延時の圧延荷重を低減するために仕上圧延の一部また
は全部を潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うこと
は、鋼板形状の均一化、材質の均一化の観点からも有効
である。なお、潤滑圧延の際の摩擦係数は0.25〜0.10の
範囲とすることが好ましい。また、相前後するシートバ
ー同士を接合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセ
スとすることが好ましい。連続圧延プロセスを適用する
ことは、熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
【0051】また、スケールが付着したままの熱延板に
熱延板焼鈍を施し、鋼板表層に内部酸化層を形成させて
もよい。内部酸化層の形成は、Si、Mn、P等の表面濃化
防止のため溶融亜鉛めっき性を向上させる。上記した方
法で製造された熱延板を、めっき原板としてもよいが、
さらに上記した熱延板に冷延工程を施した冷延板をめっ
き原板として使用してもよい。
【0052】冷延工程では、熱延板に冷間圧延を施す。
冷間圧延条件は、所望の寸法形状の冷延板とすることが
できればよく、とくに限定されないが、冷間圧延時の圧
下率は40%以上とすることが好ましい。圧下率が40%未
満では、後工程である一次熱処理時に、再結晶が均一に
起こりにくくなるからである。本発明では、上記した鋼
板(熱延板または冷延板)に、まず、Ac1変態点以上の
温度に加熱したのち急冷する一次熱処理工程を施す。
【0053】一次熱処理工程における加熱は、Ac1変態
点以上、好ましくは(Ac3変態点−50℃)以上、より好
ましくはAc3変態点以上の温度に保持する加熱とするこ
とが好ましい。加熱後、Ms点以下の温度まで10℃/s以上
の冷却速度で鋼板を急冷することが好ましい。この一次
熱処理工程により、鋼板には、ラス状マルテンサイトが
生成される。本発明では、この一次熱処理工程により、
ラス状マルテンサイトを形成させることが最も重要な点
である。鋼板中にラス状マルテンサイトが形成されなけ
れば、その後の工程において、残留オーステナイト相を
含む第2相を形成させることは難しい。
【0054】なお、メッキ母板として、最終熱間圧延が
(Ar3変態点−50)℃以上の温度で行われた熱延鋼板を
使用する場合には、最終圧延後の冷却時に、Ms点以下の
温度まで10℃/s以上の冷却速度で急冷することにより、
この一次熱処理工程を代替することができる。上記した
一次熱処理工程により、ラス状マルテンサイトを生成さ
せた鋼板は、ついで、連続溶融亜鉛メッキを行うライン
で、さらにAc1変態点〜Ac3変態点の温度域に加熱、保
持する二次熱処理工程を施される。この二次熱処理工程
により、一次熱処理工程で形成されたラス状マルテンサ
イトを焼戻しマルテンサイトとするとともに、残留オー
ステナイトを生成するため組織の一部再オーステナイト
化が図られる。
【0055】二次熱処理工程における, 加熱、保持温度
が、Ac1変態点未満では、残留オーステナイトが得られ
ない。また、加熱、保持温度がAc3変態点を超えると、
鋼板組織全体が再オーステナイト化し、焼戻しマルテン
サイトが消失する。このようなことから、二次熱処理に
おける加熱、保持温度はAc1変態点〜Ac3変態点の温度
範囲の温度とすることが好ましい。
【0056】二次熱処理工程でAc1変態点〜Ac3変態点
の温度範囲に加熱、保持された鋼板は、ついで、残留オ
ーステナイト形成の観点から、該加熱、保持温度から5
℃/s以上の冷却速度で、500 ℃以下の温度まで冷却さ
れるのが好ましい。これにより、鋼板の組織は、フェラ
イト相と焼戻しマルテンサイト相からなる主相と、残留
オーステナイト相を含む第2相との複合組織とすること
ができる。
【0057】二次熱処理を施された鋼板は、続いて、連
続溶融亜鉛めっきを行うラインで、溶融亜鉛めっき処理
工程を施される。溶融亜鉛めっき処理は、通常、連続溶
融亜鉛めっきラインで行われている処理条件(亜鉛浴温
度:450 〜500 ℃)でよく、とくに処理条件は限定する
必要はない。しかし、極端に高温でのめっきは、めっき
特性が劣るため500 ℃以下とすることが好ましい。ま
た、450 ℃未満でのめっきは, めっき特性の劣化という
問題もある。なお、残留オーステナイト形成の観点から
は、溶融亜鉛めっき処理の温度から300 ℃までの冷却速
度を、5℃/s以上とすることが好ましい。
【0058】また、めっき処理後, 必要に応じ目付量調
整のためワイピングを行ってもよい。また、溶融亜鉛メ
ッキ処理後、メッキ層の合金化処理を施してもよい。合
金化処理は、溶融亜鉛メッキ処理後、450 〜550 ℃の温
度域まで再加熱して行うことが好ましい。合金化処理温
度が450 ℃未満では、合金化の進行が遅く生産性が低下
する。一方、550 ℃を超えると、めっき特性が劣化する
とともに、必要な残留オーステナイト量の確保が困難と
なり、鋼板の延性が低下する。
【0059】なお、合金化処理後は、5℃/s以上の冷
却速度で300 ℃まで冷却するのが好ましい。合金化処理
後の冷却速度が極端に小さい場合には必要な残留オース
テナイトの確保が困難になる。なお、本発明では、一次
熱処理工程と溶融亜鉛めっき工程の間に、一次熱処理工
程で、鋼板表面に形成された鋼中成分の表面濃化層を除
去する酸洗処理を行うことが、めっき性改善のために好
ましい。一次熱処理により、鋼板表面には、鋼中成分の
Pが濃化し、また、Si、Mn、Cr等が酸化物として濃化す
る、表面濃化層が形成される。この表面濃化層を酸洗処
理により除去し、その後の連続溶融亜鉛めっきラインで
還元雰囲気中で焼鈍を行うことが、めっき性の改善に有
利となる。
【0060】また、溶融亜鉛めっき処理工程後、あるい
は合金化処理工程後に、形状矯正、表面粗度等の調整の
ために、10%以下の調質圧延工程を加えてもよい。ま
た、本発明鋼板には、溶融亜鉛めっき後、Fe-Pめっきな
どの特殊な処理を施して、化成処理性、溶接性、プレス
成形性および耐食性等の改善を行ってもよい。
【0061】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成の溶鋼を転炉で
溶製し、連続鋳造法でスラブとした。ついで、これらス
ラブを、表2に示す条件の熱間圧延により熱延鋼帯(熱
延板)にした。これら熱延鋼帯(熱延板)を酸洗した
後、連続焼鈍ライン(CAL )で、表2に示す条件で一次
熱処理工程を施し、引き続き連続溶融亜鉛めっきライン
(CGL )で、表2に示す条件で二次熱処理工程を行った
のち、鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を形成する溶融亜鉛
めっき処理を行う溶融亜鉛めっき処理工程を施した。つ
いで、表2に示す条件で溶融亜鉛めっき層の合金化処理
を行う合金化処理工程を施した。なお、一部の鋼板は溶
融亜鉛めっき処理のままとした。
【0062】また、熱延鋼帯(熱延板)を、さらに酸洗
したのち、表2に示す条件で冷延工程により冷延鋼帯
(冷延板)とした。これら冷延鋼帯(冷延板)を、連続
焼鈍ライン(CAL )で、表2に示す条件で一次熱処理工
程を施し、引き続き、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL
)で、表2に示す条件で二次熱処理工程を施したの
ち、溶融亜鉛めっき処理工程を施した。ついで、表2に
示す条件で合金化処理工程を施した。なお、一部の鋼板
は溶融亜鉛めっき処理のままとした。
【0063】なお、一次熱処理工程を経た一部の鋼板に
は、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL )での二次熱処理
工程に先立ち、表2に示す酸洗処理を施した。酸洗処理
は、CGL入側の酸洗槽にて行った。なお、亜鉛めっき
浴温は460 〜480 ℃の範囲とし、浸漬する鋼板の温度
は、めっき浴温以上、(浴温+10 ℃)以下とした。ま
た、合金化処理は、480 〜540 ℃の温度範囲に再加熱
し、その温度に15〜28s間保持した。なお、合金化処理
後の冷却速度は10℃/sとした。これらめっき鋼板に
は、さらに1.0 %の調質圧延を施した。
【0064】上記した工程より得られた溶融亜鉛めっき
鋼板(鋼帯)について、微視組織、引張特性、歪時効硬
化特性、穴拡げ率を求めた。なお、プレス成形性は、伸
びEl(延性)および穴拡げ率から評価した。 (1)微視組織 鋼板の微視組織は、鋼板の圧延方向断面(L断面)を光
学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
フェライト、ラス状マルテンサイト、焼戻しマルテンサ
イトおよびマルテンサイトの組織分率については、倍率
1000倍の断面組織写真を用いて、画像解析により各組織
の組織分率を求め、該当相の体積率とした。また、残留
オーステナイト量は、鋼板を板厚方向の中心面まで研磨
し、板厚中心面での回折X線強度測定により求めた。入
射X線にはMoK α線を使用し、フェライト相の{111
}、{200 }、{221 }の各面の回折X線強度に対す
る残留オーステナイト相の{200 }、{220 }、{311
}各面の回折X線強度比を求め、これらの平均値を残
留オーステナイト相の体積率とした。 (2)引張特性 得られた鋼帯から、JIS 5号引張試験片を圧延方向に直
行する方向に採取し、JIS Z2241の規定に準拠して引張
試験を行い、降伏強さYS、引張強さTS、伸びElを
求めた。 (3)歪時効硬化特性 得られた鋼帯から、JIS 5号引張試験片を圧延方向に直
行する方向に採取し、予変形(引張予歪)として5%の
塑性変形を与えて、ついで250 ℃×20 minの熱処理を施
したのち、引張試験を実施し、熱処理後の引張特性(降
伏応力YSTH,引張強さTSHT)を求め、ΔYS=YS
TH−YS、ΔTS=TSHT−TSを算出した。なお、Y
TH、TSHTは予変形―熱処理後の降伏応力、引張強さ
であり、YS、TSは鋼帯の降伏応力、引張強さであ
る。 (4)穴拡げ率 得られた鋼帯から採取した試験片に、日本鉄鋼連盟の規
定JFS T 1001-1996 に準拠して10mmφのポンチで打ち抜
いてポンチ穴を形成したのち、頂角60°の円錐ポンチを
用い、ばりが外側になるようにして、板厚を貫通する割
れが発生するまで穴拡げ試験を行い、穴拡げ率λを求め
た。穴拡げ率λは、λ(%)={(d−d0 )/ d0
×100 で求めた。なお、d0 :初期穴径(ポンチ径)、
d:割れ発生時の内穴径である。
【0065】これらの結果を表3に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】本発明例は、いずれも、高い伸びElと大
きな穴拡げ率λを示して、伸びフランジ成形性に優れる
とともに、極めて大きなΔTSを示し、歪時効硬化特性
に優れた鋼板となっている。これに対し、本発明の範囲
を外れる比較例では、伸びElが低いか、あるいは穴拡
げ率λが小さいか、ΔTSが小さく、プレス成形性、歪
時効硬化特性が低下した鋼板となっている。 (実施例2)表4に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連
続鋳造法でスラブとした。ついで、これらスラブを1250
℃に加熱したのち、仕上圧延終了温度:900 ℃、巻取温
度:600 ℃とする熱間圧延を施す熱延工程により、板厚
4.0mm の熱延鋼帯(熱延板)とした。引き続き、これら
熱延鋼帯(熱延板)に酸洗、冷間圧延を施す冷延工程に
より、板厚1.2mm の冷延鋼帯(冷延板)とした。つい
で、これら冷延鋼帯(冷延板)に、連続焼鈍ライン(CAL
)で、表5に示す条件で一次熱処理工程を施した。引き
続き、連続溶融亜鉛めっきライン(CGL )で、表5に示
す条件で二次熱処理工程を施し、ついで溶融亜鉛めっき
処理工程を施し、鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を形成し
た。また、表5に示す条件で合金化処理工程を施した。
なお、合金化処理後の冷却速度を10℃/sとした。な
お、一部の鋼板は溶融亜鉛めっき処理のままとした。
【0070】これらの結果を表6に示す。
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】本発明例は、いずれも、高い伸びElと高
い穴拡げ率λを示し、プレス成形性に優れるとともに、
極めて大きなΔTSを示し、歪時効硬化特性に優れた鋼
板となっている。これに対し、本発明の範囲を外れる比
較例では、伸びElが低いか、λが低いか、あるいはΔ
TSが小さく、プレス成形性、歪時効硬化特性が低下し
た鋼板となっている。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、優れたプレス成形性を
維持しつつ、プレス成形後の熱処理により引張強さが顕
著に上昇する溶融亜鉛めっき鋼板を、安定して製造する
ことが可能となり、産業上格段の効果を奏する。本発明
の冷延鋼板を自動車部品に適用した場合、プレス成形が
容易で、かつ完成後の部品特性を安定して高くでき、自
動車車体の軽量化に十分に寄与できるという効果もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】予変形−熱処理後のΔTSと焼鈍温度の関係に
およぼすCu含有量の影響を示すグラフである。
【図2】予変形−熱処理後のΔTSと熱処理温度の関係
におよぼすCu含有量の影響を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 2/40 C23C 2/40 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA05 AA23 AB02 AB42 AC12 AC73 AC82 AC87 4K037 EA01 EA05 EA06 EA11 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA23 EA25 EA27 EA28 EA33 FJ06 FK03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に溶融亜鉛めっき層または合金
    化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板であっ
    て、組織が、フェライト相および焼戻しマルテンサイト
    相からなる主相と、体積率で1%以上の残留オーステナ
    イト相を含む第2相との複合組織を有することを特徴と
    する、プレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa 以上に
    なる歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼
    板。
  2. 【請求項2】 前記鋼板が、質量%で、 C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下、 Cu:0.5 〜3.0 %を
    含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有
    することを特徴とする請求項1に記載の高延性溶融亜鉛
    めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 前記組成に加えてさらに、質量%で、下
    記A群〜C群のうちの1群または2群以上を含有するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の高延性溶融亜鉛めっき
    鋼板。 記 A群:Ni:2.0 %以下 B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以
    下 C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で
    0.2 %以下
  4. 【請求項4】 前記鋼板が、質量%で C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下を含み、さらに、Mo:0.05〜2.0 %、C
    r:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0 %のうちから選ばれ
    た1種または2種以上を合計で2.0 %以下含有し、残部
    がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有することを
    特徴とする請求項1に記載の高延性溶融亜鉛めっき鋼
    板。
  5. 【請求項5】 前記組成に加えてさらに、質量%で、N
    b、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で0.2 %
    以下含有することを特徴とする請求項4に記載の高延性
    溶融亜鉛めっき鋼板。
  6. 【請求項6】 質量%で、 C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下、 Cu:0.5 〜3.0 %を
    含む組成を有する鋼板に、Ac1変態点以上の温度に加熱
    したのち急冷する一次熱処理工程を施したのち、(Ac1
    変態点)〜(Ac3変態点)の範囲の温度に加熱する二次
    熱処理工程を施し、ついで鋼板表面に溶融亜鉛めっき層
    を形成する溶融亜鉛めっき処理工程を施すことを特徴と
    する、プレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa 以上に
    なる歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記一次熱処理工程と前記二次熱処理工
    程の間に、鋼板を酸洗する酸洗処理工程を施すことを特
    徴とする請求項6に記載の高延性溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記溶融亜鉛めっき処理工程についで、
    前記溶融亜鉛めっき層の合金化処理を行う合金化処理工
    程を施すことを特徴とする請求項6または7に記載の高
    延性溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記鋼板に代えて、質量%で、 C:0.20%以下、 Si:2.0 %以下、 Mn:3.0 %以下、 P:0.1 %以下、 S:0.02%以下、 Al:0.3 %以下、 N:0.02%以下を含み、さらに、Mo:0.05〜2.0 %、C
    r:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0 %のうちから選ばれ
    た1種または2種以上を合計で2.0 %以下含有する組成
    を有する鋼板とすることを特徴とする請求項6ないし8
    に記載の高延性溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP2001202067A 2001-06-06 2001-07-03 プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4608822B2 (ja)

Priority Applications (12)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001202067A JP4608822B2 (ja) 2001-07-03 2001-07-03 プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
CA002387322A CA2387322C (en) 2001-06-06 2002-05-24 High-ductility steel sheet excellent in press formability and strain age hardenability, and method for manufacturing the same
AU44435/02A AU785150B2 (en) 2001-06-06 2002-05-29 High-ductility steel sheet excellent in press formability and strain age hardenability, and method for manufacturing the same
KR1020020031731A KR100720875B1 (ko) 2001-06-06 2002-06-05 프레스 성형성과 변형 시효경화 특성이 우수한 고연성강판 및 그 제조방법
CNB021224374A CN1206383C (zh) 2001-06-06 2002-06-05 冲压成形性和应变时效硬化特性出色的高延展性钢板及其制造方法
EP02012388A EP1264911B1 (en) 2001-06-06 2002-06-06 High-ductility steel sheet excellent in press formability and strain age hardenability, and method for manufacturing the same
DE60214086T DE60214086T2 (de) 2001-06-06 2002-06-06 Hochduktiles Stahlblech mit exzellenter Pressbarkeit und Härtbarkeit durch Verformungsalterung sowie Verfahren zu dessen Herstellung
US10/163,728 US6818074B2 (en) 2001-06-06 2002-06-06 High-ductility steel sheet excellent in press formability and strain age hardenability, and method for manufacturing the same
ES02012388T ES2269558T3 (es) 2001-06-06 2002-06-06 Hoja de acero de alta ductibilidad, excelente formabilidad en prensa y alta templabilidad por deformacion plastica y su procedimiento de fabricacion.
AT02012388T ATE337416T1 (de) 2001-06-06 2002-06-06 Hochduktiles stahlblech mit exzellenter pressbarkeit und härtbarkeit durch verformungsalterung sowie verfahren zur dessen herstellung
US10/903,747 US20050016644A1 (en) 2001-06-06 2004-07-30 High-ductility steel sheet excellent in press formability and strain age hardenability, and method for manufacturing the same
US10/909,049 US20050019601A1 (en) 2001-06-06 2004-07-30 High-ductility steel sheet excellent in press formability and strain age hardenability, and method for manufacturing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001202067A JP4608822B2 (ja) 2001-07-03 2001-07-03 プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003013177A true JP2003013177A (ja) 2003-01-15
JP4608822B2 JP4608822B2 (ja) 2011-01-12

Family

ID=19038934

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001202067A Expired - Fee Related JP4608822B2 (ja) 2001-06-06 2001-07-03 プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4608822B2 (ja)

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005179703A (ja) * 2003-12-16 2005-07-07 Kobe Steel Ltd 伸び、及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板
WO2005068676A1 (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Nippon Steel Corporation めっき密着性および穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき高強度鋼板とその製造方法
WO2005068677A1 (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Jfe Steel Corporation 耐二次加工脆性およびめっき密着性に優れた高成形性燃料タンク用めっき鋼板およびその製造方法
JP2005256089A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Nippon Steel Corp 成形性および穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき複合高強度鋼板およびその製造方法
US7041181B2 (en) * 2003-01-06 2006-05-09 Benteler Automobil Technik Gmbh Coated steel part with regions of different ductility
JP2006336074A (ja) * 2005-06-02 2006-12-14 Kobe Steel Ltd 化成処理性に優れた高強度高延性鋼板
JP2009019258A (ja) * 2007-07-13 2009-01-29 Nippon Steel Corp 引張強度が700MPa以上で耐食性、穴拡げ性および延性に優れた合金化溶融亜鉛めっき高強度鋼板及びその製造方法
EP1826287A3 (en) * 2006-02-23 2010-12-01 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho High strength steel sheet having excellent formability
JP2010275627A (ja) * 2009-04-27 2010-12-09 Jfe Steel Corp 加工性に優れた高強度鋼板および高強度溶融亜鉛めっき鋼板並びにそれらの製造方法
JP2011032543A (ja) * 2009-08-03 2011-02-17 Nippon Steel Corp 加工性に優れた高強度鋼板及びその製造方法
JP2011168861A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Jfe Steel Corp 高強度熱延鋼板およびその製造方法
WO2012120020A1 (en) * 2011-03-07 2012-09-13 Tata Steel Nederland Technology Bv Process for producing high strength formable steel and high strength formable steel produced therewith
WO2016113788A1 (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
WO2016113789A1 (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
US10995383B2 (en) 2014-07-03 2021-05-04 Arcelormittal Method for producing a high strength coated steel sheet having improved strength and ductility and obtained sheet
CN114008234A (zh) * 2019-07-30 2022-02-01 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板及其制造方法
US11492676B2 (en) 2014-07-03 2022-11-08 Arcelormittal Method for producing a high strength coated steel sheet having improved strength, ductility and formability
US11555226B2 (en) 2014-07-03 2023-01-17 Arcelormittal Method for producing a high strength steel sheet having improved strength and formability and obtained sheet
US11618931B2 (en) 2014-07-03 2023-04-04 Arcelormittal Method for producing a high strength steel sheet having improved strength, ductility and formability

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02290919A (ja) * 1989-04-28 1990-11-30 Sumitomo Metal Ind Ltd 加工用熱延鋼板の製造方法
JPH0474824A (ja) * 1990-07-18 1992-03-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 焼付硬化性と加工性に優れた熱延鋼板の製造方法
JPH10310824A (ja) * 1997-05-07 1998-11-24 Nippon Steel Corp 成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH10310847A (ja) * 1997-05-07 1998-11-24 Nippon Steel Corp 合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
JP2001003150A (ja) * 1999-04-21 2001-01-09 Kawasaki Steel Corp 延性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP2003171735A (ja) * 2001-02-28 2003-06-20 Kobe Steel Ltd 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02290919A (ja) * 1989-04-28 1990-11-30 Sumitomo Metal Ind Ltd 加工用熱延鋼板の製造方法
JPH0474824A (ja) * 1990-07-18 1992-03-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 焼付硬化性と加工性に優れた熱延鋼板の製造方法
JPH10310824A (ja) * 1997-05-07 1998-11-24 Nippon Steel Corp 成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH10310847A (ja) * 1997-05-07 1998-11-24 Nippon Steel Corp 合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
JP2001003150A (ja) * 1999-04-21 2001-01-09 Kawasaki Steel Corp 延性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP2003171735A (ja) * 2001-02-28 2003-06-20 Kobe Steel Ltd 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法

Cited By (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7041181B2 (en) * 2003-01-06 2006-05-09 Benteler Automobil Technik Gmbh Coated steel part with regions of different ductility
JP2005179703A (ja) * 2003-12-16 2005-07-07 Kobe Steel Ltd 伸び、及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板
US9150946B2 (en) 2004-01-14 2015-10-06 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Hot dip galvanized high strength steel sheet excellent in plating adhesion and hole expandability and method of production of same
WO2005068676A1 (ja) * 2004-01-14 2005-07-28 Nippon Steel Corporation めっき密着性および穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき高強度鋼板とその製造方法
WO2005068677A1 (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Jfe Steel Corporation 耐二次加工脆性およびめっき密着性に優れた高成形性燃料タンク用めっき鋼板およびその製造方法
JP2005256089A (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Nippon Steel Corp 成形性および穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき複合高強度鋼板およびその製造方法
JP4510488B2 (ja) * 2004-03-11 2010-07-21 新日本製鐵株式会社 成形性および穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき複合高強度鋼板およびその製造方法
JP2006336074A (ja) * 2005-06-02 2006-12-14 Kobe Steel Ltd 化成処理性に優れた高強度高延性鋼板
JP4502886B2 (ja) * 2005-06-02 2010-07-14 株式会社神戸製鋼所 化成処理性に優れた高強度高延性鋼板
EP1826287A3 (en) * 2006-02-23 2010-12-01 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho High strength steel sheet having excellent formability
JP2009019258A (ja) * 2007-07-13 2009-01-29 Nippon Steel Corp 引張強度が700MPa以上で耐食性、穴拡げ性および延性に優れた合金化溶融亜鉛めっき高強度鋼板及びその製造方法
JP2010275627A (ja) * 2009-04-27 2010-12-09 Jfe Steel Corp 加工性に優れた高強度鋼板および高強度溶融亜鉛めっき鋼板並びにそれらの製造方法
JP2011032543A (ja) * 2009-08-03 2011-02-17 Nippon Steel Corp 加工性に優れた高強度鋼板及びその製造方法
JP2011168861A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Jfe Steel Corp 高強度熱延鋼板およびその製造方法
WO2012120020A1 (en) * 2011-03-07 2012-09-13 Tata Steel Nederland Technology Bv Process for producing high strength formable steel and high strength formable steel produced therewith
US11618931B2 (en) 2014-07-03 2023-04-04 Arcelormittal Method for producing a high strength steel sheet having improved strength, ductility and formability
US11555226B2 (en) 2014-07-03 2023-01-17 Arcelormittal Method for producing a high strength steel sheet having improved strength and formability and obtained sheet
US11492676B2 (en) 2014-07-03 2022-11-08 Arcelormittal Method for producing a high strength coated steel sheet having improved strength, ductility and formability
US10995383B2 (en) 2014-07-03 2021-05-04 Arcelormittal Method for producing a high strength coated steel sheet having improved strength and ductility and obtained sheet
JPWO2016113788A1 (ja) * 2015-01-15 2017-04-27 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JPWO2016113789A1 (ja) * 2015-01-15 2017-04-27 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
US10370737B2 (en) 2015-01-15 2019-08-06 Jfe Steel Corporation High-strength galvanized steel sheet
JP6052471B2 (ja) * 2015-01-15 2016-12-27 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP6052472B2 (ja) * 2015-01-15 2016-12-27 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
WO2016113789A1 (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
WO2016113788A1 (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 Jfeスチール株式会社 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
CN114008234A (zh) * 2019-07-30 2022-02-01 杰富意钢铁株式会社 高强度钢板及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4608822B2 (ja) 2011-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100664433B1 (ko) 변형 시효 경화 특성이 우수한 열연 강판, 냉연 강판 및용융 아연 도금 강판, 그리고 이들의 제조 방법
KR100720875B1 (ko) 프레스 성형성과 변형 시효경화 특성이 우수한 고연성강판 및 그 제조방법
JP4730056B2 (ja) 伸びフランジ成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法
JP5042232B2 (ja) 成形性及びメッキ特性に優れた高強度冷延鋼板、これを用いた亜鉛系メッキ鋼板及びその製造方法
JP5493986B2 (ja) 加工性に優れた高強度鋼板および高強度溶融亜鉛めっき鋼板並びにそれらの製造方法
EP2371979A1 (en) High-strength cold-rolled steel sheet having excellent workability, molten galvanized high-strength steel sheet, and method for producing the same
JP4608822B2 (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
WO2000065119A1 (fr) Tole d'acier recouverte de zinc par immersion a chaud, a haute resistance ayant une excellente ductilite, et procede de production correspondant
JP3587126B2 (ja) 延性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP4752522B2 (ja) 深絞り用高強度複合組織型冷延鋼板の製造方法
JP2002129241A (ja) 延性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2003129172A (ja) 加工性と形状凍結性に優れた鋼板とその製造方法
JP3263143B2 (ja) 加工性に優れた焼付硬化型高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP3870868B2 (ja) 伸びフランジ性、強度−延性バランスおよび歪時効硬化特性に優れた複合組織型高張力冷延鋼板およびその製造方法
JP4320913B2 (ja) 成形性に優れた高張力溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP4826694B2 (ja) 薄鋼板の耐疲労特性改善方法
JP4367205B2 (ja) 鋼板の歪時効処理方法および高強度構造部材の製造方法
JP4670135B2 (ja) 歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板の製造方法
JP3925064B2 (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP4599768B2 (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性冷延鋼板およびその製造方法
JP3587114B2 (ja) 高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP5017751B2 (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法
JP3925063B2 (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた冷延鋼板およびその製造方法
JP7193044B1 (ja) 高強度鋼板およびその製造方法、ならびに、部材
JP4385777B2 (ja) 歪時効硬化特性に優れた冷延鋼板およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080423

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100629

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100914

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100927

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131022

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees