JPH09221530A - 眼用レンズ材料 - Google Patents

眼用レンズ材料

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JPH09221530A
JPH09221530A JP8054046A JP5404696A JPH09221530A JP H09221530 A JPH09221530 A JP H09221530A JP 8054046 A JP8054046 A JP 8054046A JP 5404696 A JP5404696 A JP 5404696A JP H09221530 A JPH09221530 A JP H09221530A
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JP
Japan
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monomer
ophthalmic lens
organic
lens material
organosiloxane
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JP8054046A
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English (en)
Inventor
Takumi Fujitani
拓視 藤谷
Ikuo Komura
育男 小村
Yutaka Nagase
裕 長瀬
Takao Aoyanagi
隆夫 青柳
Tomoko Akimoto
倫子 秋元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Sagami Chemical Research Institute
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Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd, Sagami Chemical Research Institute filed Critical Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な酸素透過性、親水性、透明性、機械的
強度及び形状安定性を兼ね備えていて、コンタクトレン
ズをはじめとして種々の眼用レンズとして有効に使用し
得る眼用レンズ材料、およびそれよりなる眼用レンズを
提供すること。 【解決手段】 下記の一般式(I); 【化1】 (式中、R1〜R6は炭素数1〜6のアルキル基、Aは単
結合又は2価の有機基、R7は水素原子又はメチル基、
pは0〜6の整数、nは0〜30の整数、mは1〜3の
整数を示す)で表されるオルガノシロキサンモノマーを
5重量%以上の割合で含有する有機モノマー成分を重合
させて得られる有機重合体からなる本発明の眼用レンズ
材料によって上記の目的が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の有機重合体
からなる眼用レンズ材料、およびそれから形成される眼
用レンズに関する。より詳細には、本発明は、酸素透過
性、親水性、透明性、機械的強度および形状安定性に優
れる眼用レンズ、およびそのための眼用レンズ材料に関
するものであり、本発明の眼用レンズ材料は、コンタク
トレンズ、眼内レンズ、人工硝子体などの眼用レンズの
ための材料として適しており、特にコンタクトレンズ用
の材料として好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】従来より、2−ヒドロキシエチルメタク
リレートまたはビニルピロリドンをを主成分とする共重
合体からなる含水性ソフトコンタクトレンズ、メタクリ
ル酸メチル(MMA)、フッ化アルキルメタクリレート
またはシリコーンメタクリレートを主成分とする共重合
体からなるハードコンタクトレンズが市販されている。
しかし、それらのコンタクトレンズはいずれも酸素透過
性が低いために長時間の装用ができないという欠点があ
る。
【0003】そのため、上記したようなコンタクトレン
ズの酸素透過性を向上させるための改良がなされてきた
が、酸素透過性を向上させると、強度、親水性、脂質等
に対する耐汚染性などが低下するという問題があった。
そこで、そのような問題の解決を目的として、親水性
モノマー、オルガノシロキサニル(メタ)アクリレート
およびフッ素含有モノマーを重合させて得られる共重合
体からなるソフトコンタクトレンズ(特開平3−179
422号公報参照)、ケイ素とフッ素を有するメタク
リル酸エステルを主成分とする共重合体よりなる眼用レ
ンズ材料(特開昭62−209512号公報参照)、
シリコン含有スチレン誘導体およびフッ素化アルキルエ
ーテル含有スチレン誘導体を必須共重合成分とする共重
合体からなる眼用レンズ材料(特開平3−122612
号公報参照)、フルオロアルキル(シリコン含有アル
キル)フマレート、N−ビニルラクタム、(メタ)アク
リル酸および架橋性モノマーの共重合体からなる眼用レ
ンズ材料(特開平5−27206号公報参照)などが提
案されている。
【0004】しかしながら、上記〜による従来技術
では、コンタクトレンズの酸素透過性および親水性はあ
る程度改善されるが、機械的強度、形状安定性、透明性
などが低下してしまい、眼用レンズとしての機能を充分
に果たし得ないことが多く、酸素透過性、親水性、機械
的強度、形状安定性および透明性のすべての性質に優れ
る眼用レンズ、そのための材料が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、良好な酸素透過性、親水性、機械的強度、形状安定
性および透明性を併せもつ眼用レンズ、およびそのため
の眼用レンズ材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが検討を重ねた結果、ピロリドン環を有する
特定のオルガノシロキサンモノマーの重合により得られ
る有機重合体、または該オルガノシロキサンモノマーお
よびそれと共重合可能な他の不飽和モノマーの共重合に
より得られる有機共重合体が眼用レンズ材料として極め
て適していて、その眼用レンズ材料から得られる眼用レ
ンズは、酸素透過性が大きく、しかも親水性、機械的強
度、形状安定性および透明性にも優れていることを見出
して本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、下記の一般式
(I);
【0008】
【化2】 (式中、R1〜R6はそれぞれ独立して炭素数1〜6のア
ルキル基、Aは単結合または2価の有機基、R7は水素
原子またはメチル基、pは0〜6の整数、nは0〜30
の整数、mは1〜3の整数を示す)で表されるオルガノ
シロキサンモノマーを5重量%以上の割合で含有する有
機モノマー成分を重合させて得られる有機重合体からな
ることを特徴とする眼用レンズ材料である。そして、本
発明は、上記の眼用レンズ材料からなる眼用レンズであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。上記したように、本発明の眼用レンズ材料は、上
記の一般式(I)で表されるオルガノシロキサンモノマ
ーを5重量%以上の割合で含有する有機モノマー成分の
重合により得られる有機重合体からなっていることが必
要である。上記の一般式(I)において、R1〜R6はそ
れぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基であり、具体
的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチ
ル基、鎖状または分岐状のペンチル基、鎖状または分岐
状のヘキシル基である。R1〜R6のすべてが同じアルキ
ル基であっても、R1〜R6のうちの2〜5個が同じアル
キル基であり、残りが異なるアルキル基であっても、ま
たはすべてが異なるアルキル基であってもよい。なかで
も、オルガノシロキサンモノマーの合成の容易性、眼用
レンズ材料用の有機重合体の製造の容易性、眼用レンズ
材料の成形性などの点から、R1〜R6のいずれもが炭素
数1〜3のアルキル基であるのが好ましく、R1〜R6
すべてがメチル基であるのがより好ましい。R1〜R6
炭素数7以上のアルキル基であると、オルガノシロキサ
ンモノマーの重合または共重合により得られる眼用レン
ズ材料の成形性が不良になり、しかも親水性が低下す
る。
【0010】そして、上記の一般式(I)において、R
7は水素原子またはメチル基であり、メチル基であるの
がオルガノシロキサンモノマーの合成の容易さ、得られ
る眼用レンズ材料の機械的強度および成形性などの点か
ら好ましい。また、上記の一般式(I)において、Aは
単結合または2価の有機基であり、Aが2価の有機基で
ある場合の例としては、メチレン基、エチレン基、トリ
メチレン基、トリメチレンオキシカルボニル基、テトラ
メチレンオキシカルボニル基、ヘキサメチレンオキシカ
ルボニル基、フェニレン基、メチレンフェニレン基、エ
チレンフェニレン基などを挙げることができる。そのう
ちでも、オルガノシロキサンモノマーの重合性、それよ
り得られる有機重合体の成形性等の点から、Aがトリメ
チレンオキシカルボニル基、テトラメチレンオキシカル
ボニル基、ヘキサメチレンオキシカルボニル基などのア
ルキレンオキシカルボニル基であるのが好ましい。
【0011】さらに、上記の一般式(I)において、p
は0〜6の整数であることが必要であり、オルガノシロ
キサンモノマーの合成の容易性、オルガノシロキサンモ
ノマーの重合または共重合により得られる有機重合体の
強度などの点からpが1〜3の整数であるのが好まし
い。pが7以上であると、オルガノシロキサンモノマー
の重合または共重合により得られる眼用レンズ材料の成
形性が不良になり、強度も低下する。また、上記の一般
式(I)において、nは0〜30の整数であることが必
要であり、オルガノシロキサンモノマーの合成の容易
性、オルガノシロキサンモノマーの重合または共重合に
より得られる眼用レンズ材料の強度などの点からnが0
〜10の整数であるのが好ましい。nが30を超える
と、オルガノシロキサンモノマーの重合または共重合に
より得られる眼用レンズ材料の成形性が不良になり、強
度も低下する。そして、上記の一般式(I)において、
mは1〜3の整数であり、mが3であるのが、得られる
眼用レンズ材料の酸素透過性の点から好ましい。
【0012】本発明の眼用レンズ材料は、上記の一般式
(I)で表されるオルガノシロキサンモノマー[以下こ
れを「オルガノシロキサンモノマー(I)」ということ
がある]を5重量%以上の割合で含有する有機モノマー
成分の重合により得られ、該眼用レンズ材料は、1種類
のオルガノシロキサンモノマー(I)の単独重合体から
なっていても、2種以上のオルガノシロキサンモノマー
(I)の共重合により得られる共重合体からなっていて
も、または1種または2種以上のオルガノシロキサンモ
ノマー(I)とそれと共重合可能な他の不飽和有機モノ
マーの1種または2種以上の共重合により得られる共重
合体からなっていてもよい。
【0013】眼用レンズ材料がオルガノシロキサンモノ
マー(I)と他の不飽和有機モノマーの共重合体からな
っている場合は、オルガノシロキサンモノマー(I)と
共重合させる他の不飽和有機モノマーの種類は特に制限
されず、オルガノシロキサンモノマー(I)と共重合可
能な不飽和有機モノマーであればいずれでもよく、他の
不飽和有機モノマーは親水性有機モノマーであっても、
疎水性有機モノマーであっても、または親水性有機モノ
マーと疎水性有機モノマーとの併用であってもよい。
【0014】眼用レンズ材料がオルガノシロキサンモノ
マー(I)およびそれと共重合可能な他の不飽和有機モ
ノマーとの共重合体からなっている場合は、その原料と
なるモノマー混合物における他の不飽和有機モノマーの
含有量はモノマー混合物の合計重量に基づいて95重量
%以下である[すなわちオルガノシロキサンモノマー
(I)の含有量が5重量%以上である]ことが必要であ
る。他の不飽和有機モノマーの含有量が95重量%を超
えると[オルガノシロキサンモノマー(I)の含有量が
5重量%未満であると]、酸素透過性に優れる共重合体
が得られなくなり、眼用レンズ材料として劣ったものと
なる。眼用レンズ材料の酸素透過性をより高いものにす
る点から、共重合体はオルガノシロキサンモノマー
(I)の含有量が20重量%以上の有機モノマー成分か
ら形成されているのが好ましい。
【0015】そして、オルガノシロキサンモノマー
(I)と共重合させる他の不飽和有機モノマーとして親
水性有機モノマーのみを用いる場合は、得られる共重合
体の親水性の点から、モノマー混合物の合計重量に基づ
いて親水性有機モノマーの含有量が1〜95重量%の範
囲内であるのが好ましく、10〜80重量%の範囲内で
あるのがより好ましい。
【0016】また、オルガノシロキサンモノマー(I)
と共重合させる他の不飽和有機モノマーとして疎水性有
機モノマーのみを用いる場合は、得られる共重合体の強
度の点から、モノマー混合物の合計重量に基づいて疎水
性有機モノマーの含有量が4〜95重量%の範囲内であ
るのが好ましく、10〜80重量%の範囲内であるのが
より好ましい。
【0017】そして、眼用レンズ材料における酸素透過
性、強度および親水性のバランスを一層良好なものにす
ることができる点から、眼用レンズ材料は、オルガノシ
ロキサンモノマー(I)を5〜95重量%、親水性有機
モノマーを1〜91重量%および疎水性有機モノマーを
4〜94重量%の割合で含有するモノマー混合物の重合
により得られた共重合体からなっているのが好ましい。
【0018】眼用レンズ材料が親水性有機モノマーから
なる共重合単位を有する共重合体からなっている場合
は、親水性有機モノマーの例として、N−ビニル−2−
ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル
−6−ヘキサンラクタム、N−ビニル−3−メチル−2
−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−ピペリドン、
N−ビニル−3−メチル−6−ヘキサンラクタム、N−
ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4
−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−
6−ヘキサンラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−
ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリド
ン、N−ビニル−5−メチル−6−ヘキサンラクタム、
N−ビニル−6−メチル−6−ヘキサンラクタム、N−
ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−
4,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,
5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,
5−トリメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メ
チル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,
4,5−トリメチル−3−エチル−2−ピロリドン、N
−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−
6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジ
メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチ
ル−2−ピペリドン、N−ビニル−5−エチル−6−ヘ
キサンラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−6−
ヘキサンラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−6
−ヘキサンラクタム、N−ビニル−2,4,6−トリメ
チル−6−ヘキサンラクタムなどのN−ビニルラクタム
類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレートなどの水酸基を有す
る(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノ)エ
チル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)ア
クリレート類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不
飽和カルボン酸およびその塩;N,N−ジメチルアクリ
ルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、(メタ)
アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−
(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アク
リルアミド類などを挙げることができ、これらの親水性
有機モノマーは1種のみを使用しても、または2種以上
を併用してもよい。そのうちでも、親水性有機モノマー
として、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和カ
ルボン酸を用いるのが親水性と成形性のバランスの点か
ら好ましい。
【0019】また、眼用レンズ材料が疎水性有機モノマ
ーからなる共重合単位を有する共重合体からなっている
場合は、疎水性モノマーの例として、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピ
ル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレ
ート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、t−アミル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜12のア
ルキルエステル類;スチレン、メチルスチレン等の芳香
族ビニルモノマー類;酢酸ビニル等の脂肪族カルボン酸
のビニルエステル類;イタコン酸メチル、クロトン酸メ
チル等のイタコン酸またはクロトン酸のアルキルエステ
ル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリ
レート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフ
ルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリ
レート、3,3,4,4−テトラフルオロブチル(メ
タ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、2,2,
3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリ
レート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフル
オロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,5−ヘプタフルオロペンチル(メタ)アクリレ
ート、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフル
オロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,
4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,1
1,11,11−ヘキサデカフルオロ−10−トリフル
オロメチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの(メ
タ)アクリル酸の炭素数1〜12のフッ素置換アルキル
エステルなどを挙げることができ、これらの疎水性有機
モノマーは1種のみを使用しても、または2種以上を併
用してもよい。そのうちでも、耐脂質付着性、酸素透過
性、強度などの点から、疎水性有機モノマーとして、
(メタ)アクリル酸の炭素数1〜12のフッ素置換アル
キルエステル、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のア
ルキルエステルなどを用いるのが好ましい。
【0020】さらに、本発明の眼用レンズ材料では、そ
れから得られる眼用レンズの形状安定性および強度の向
上の点から、有機重合体を製造するための有機モノマー
成分中に、共重合性の不飽和基を2個以上、好ましくは
2個有する架橋性有機モノマーを含有させておいてもよ
い。架橋性有機モノマーの例としては、エチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、
1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,
4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノ
ナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリ
コールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[p−
(γ−メタクリロイルオキシ−β−ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル]プロパンなどを挙げることができ、これ
らの架橋性有機モノマーは単独で使用してもまたは2種
以上を併用してもよい。架橋性有機モノマーを使用する
場合は、有機モノマー成分の全重量に基づいて、0.1
〜30重量%の範囲内であるのが好ましく、0.1〜1
5重量%の範囲内であるのがより好ましい。
【0021】また、着色した眼用レンズ材料を得る目的
で、有機重合体の製造にあたって有機モノマー成分中に
色素を添加しておいてもよい。
【0022】本発明の眼用レンズ材料用の有機重合体
は、オルガノシロキサンモノマー(I)、並びに場合に
より上記した共重合性の他の有機モノマーおよび/また
は架橋性有機モノマーを含有する有機モノマー成分を、
ラジカル重合、エネルギー線重合などの公知の方法で重
合させることによって製造することができる。ラジカル
重合による場合は、重合開始剤として、例えばベンゾイ
ルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネ
ート、ラウロイルパーオキシド、メチルエチルケトンパ
ーオキシド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’
−アゾビスイソ酪酸ジメチルなどの公知の重合開始剤を
用いて常法に従って、通常約30〜120℃の温度で重
合すればよい。その場合に、重合開始剤の使用量が少な
すぎると重合に長時間を要し生産性が低くなり、一方多
すぎると得られる重合体および眼用レンズ材料に亀裂が
入り易くなることから、重合開始剤を有機モノマー成分
の全重量に基づいて0.01〜5重量%の割合で使用す
るのが好ましく、0.05〜1重量%の割合で使用する
のがより好ましい。
【0023】エネルギー線重合によって有機重合体を製
造する場合は、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキ
シ−2−フェニルアセトフェノン、フェノチアジン、ジ
イソプロピルキサントゲンジスルフィド、ベンゾイン、
ベンゾインメチルエーテルなどのような公知のエネルギ
ー線活性化重合開始剤を用いて、紫外線、可視光線、X
線、電子線などのエネルギー線を照射して常法に従って
重合を行うのがよく、その場合にエネルギー線活性化重
合開始剤は、有機モノマー成分の全重量に基づいて0.
01〜5重量%の範囲で用いるのが好ましい。
【0024】有機重合体の製造に用いるオルガノシロキ
サンモノマー(I)の製法は特に制限されず、上記した
一般式(I)で表されるオルガノシロキサンモノマーで
あればいずれも使用可能であるが、オルガノシロキサン
モノマー(I)は、例えば以下に記載する方法で製造す
ることができる。すなわち、上記の一般式(I)におい
て、nが0であるオルガノシロキサンモノマー(I)
は、例えば、下記の一般式(II);
【0025】
【化3】 (式中、R1〜R3はそれぞれ独立して炭素数1〜6のア
ルキル基、pは0〜6の整数を示す)で表されるシラノ
ール化合物と、下記の一般式(III);
【0026】
【化4】 (式中、R6は炭素数1〜6のアルキル基、Aは単結合
または2価の有機基、Xはハロゲン原子、mは1〜3の
整数を示す)で表されるハロシラン化合物とを縮合反応
させることにより製造することができる。
【0027】上記の縮合反応においては、ハロゲン化水
素が発生するので、その捕捉剤としてトリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピ
リジンなどの有機塩基の存在下で縮合反応を行うと反応
が円滑に進行する。また、この縮合反応は、有機溶媒中
で0℃〜室温の温度範囲で行うのが好ましく、その際の
有機溶媒としてはテトラヒドロフラン、ベンゼン、トル
エン、n−ヘキサン、クロロホルム、塩化メチレン、四
塩化炭素などを挙げることができる。また、縮合反応は
アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行
うのが好ましい。
【0028】また、上記の一般式(I)においてnが1
以上であるオルガノシロキサンモノマー(I)は、例え
ば、上記の一般式(II)で表されるシラノール化合物を
強塩基と反応させた後、下記の一般式(IV);
【0029】
【化5】 (式中、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数1〜6
のアルキル基を示す)で表されるシクロトリシロキサン
を加えて開環重合させ、その後に上記の一般式(III)
で表されるハロシラン化合物で反応を停止させることに
よって製造することができる。
【0030】その際に、一般式(II)で表されるシラノ
ール化合物との反応に用いる強塩基としては、メチルリ
チウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウ
ム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、リチウム
ジイソプロピルアミド、ビストリメチルシリルリチウム
アミド等の有機リチウム化合物、水素化ナトリウム、水
素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、ヨウ化メチル
マグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化フェニル
マグネシウム等のグリニヤール化合物等を挙げることが
できる。そのうちでも、副反応が生じにくいなどの点か
ら有機リチウム化合物が好ましい。これらの強塩基は、
一般式(II)で表されるシラノール化合物に対し通常1
当量またはその前後の量で用いるのが好ましい。シラノ
ール化合物と強塩基との反応は−80℃から室温までの
比較的低い温度で行うのが、副反応を抑制できるので好
ましい。また、前記反応は、有機溶媒中で行うのが好ま
しく、その場合の有機溶媒としては、例えばテトラヒド
ロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、
トルエン、ヘキサン等が好ましく用いられる。さらに、
その反応をアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスの
雰囲気下で行うのが好ましい。
【0031】また、シラノール化合物と強塩基との反応
に続いて行われる上記した一般式(IV)で表されるシク
ロトリシロキサン化合物の開環重合では、反応系におけ
るシクロトリシロキサン化合物の量を調整することにっ
て、上記の一般式(I)で表されるオルガノシロキサン
モノマー(I)における重合度nをコントロールするこ
とができ、その重合度nを1以上にするためには、一般
式(IV)で表されるシクロトリシロキサン化合物の量を
上記の一般式(II)で表されるシラノール化合物の使用
量に対して1/3当量以上の割合で使用することが必要
である。その場合に、シクロトリシロキサン化合物の開
環重合、およびその後の一般式(III)で表されるハロ
シラン化合物との反応により得られる一般式(I)で表
されるオルガノシロキサンモノマー(I)はその重合度
nがそれぞれ異なる複数のオルガノシロキサンモノマー
(I)の混合物として得られるので、実測されるオルガ
ノシロキサンモノマー(I)の重合度nはそれらの平均
値である。
【0032】本発明の眼用レンズ材料では、有機重合体
の製造に用いられるオルガノシロキサンモノマー(I)
の重合度nの値が眼用レンズ材料およびそれから形成さ
れる眼用レンズの酸素透過性および親水性(水濡れ性)
に大きく影響する。酸素透過性が高く且つ親水性の大き
い眼用レンズ材料を得るためには、有機重合体の製造に
用いられるオルガノシロキサンモノマー(I)における
重合度nまたは該重合度nの平均値が0〜30の範囲に
あることが必要であり、0〜10の範囲にあるのが好ま
しい。
【0033】また、オルガノシロキサンモノマー(I)
の製造に用いられる上記した一般式(III)で表される
ハロシラン化合物としては、例えば、ビニルジメチルク
ロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリ
クロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルメ
チルジクロロシラン、アリルトリクロロシラン、3−メ
タクリロイルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3
−メタクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラ
ン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリクロロシラ
ン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルクロロシ
ラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジクロロ
シラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリクロロシ
ラン、4−メタクリロイルオキシブチルジメチルクロロ
シラン、4−メタクリロイルオキシブチルメチルジクロ
ロシラン、4−メタクリロイルオキシブチルトリクロロ
シラン、4−ビニルフェニルジメチルクロロシラン、4
−ビニルフェニルメチルジクロロシラン、4−ビニルフ
ェニルトリクロロシラン、4−ビニルベンジルジメチル
クロロシラン、4−ビニルベンジルメチルジクロロシラ
ン、4−ビニルベンジルトリクロロシラン、2−(4−
ビニルフェニル)エチルジメチルクロロシラン、2−
(4−ビニルフェニル)エチルメチルジクロロシラン、
2−(4−ビニルフェニル)エチルトリクロロシランな
どを挙げることができる。そのうちでも、一般式(II
I)で表されるハロシラン化合物としては、3−メタク
リロイルオキシプロピルトリクロロシラン、3−メタク
リロイルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−メ
タクリロイルオキシプロピルメチルジクロロシラン、4
−メタクリロイルオキシブチルトリクロロシラン、4−
メタクリロイルオキシブチルジメチルクロロシラン、4
−メタクリロイルオキシブチルメチルジクロロシランな
どが好ましく用いられる。
【0034】そして、オルガノシロキサンモノマー
(I)の製造に用いられる上記の一般式(IV)で表され
るシクロトリシロキサン化合物としては、例えばヘキサ
メチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルシクロトリ
シロキサン、ヘキサプロピルシクロトリシロキサン、ヘ
キサイソプロピルシクロトリシロキサン、ヘキサブチル
シクロトリシロキサン、ヘキサペンチルシクロトリシロ
キサン、ヘキサヘキシルシクロトリシロキサン、1,
3,5−トリメチル−1,3,5−トリエチルシクロト
リシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−
トリ−t−ブチルシクロトリシロキサン、1,3,5−
トリメチル−1,3,5−トリプロピルシクロトリシロ
キサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシ
クロヘキシルシクロトリシロキサンなどを挙げることが
でき、その開環重合に当たってはこれらのシクロトリシ
ロキサン化合物は単独で使用しても、または2種以上を
併用してもよい。
【0035】また、オルガノシロキサンモノマー(I)
の製造に用いられる上記した一般式(II)で表されるシ
ラノール化合物の製法は何ら制限されないが、該シラノ
ール化合物は、例えば、下記の一般式(V);
【0036】
【化6】 (式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表
されるピロリドン化合物と強塩基と反応させた後、下記
の一般式(VI);
【0037】
【化7】 (式中、R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1〜6
のアルキル基、Xはハロゲン原子、pは0〜6の整数を
示す)で表されるシラン化合物と反応させて、下記の一
般式(VII);
【0038】
【化8】 (式中、R1〜R6はそれぞれ独立して炭素数1〜6のア
ルキル基、pは0〜6の整数を示す)で表されるヒドロ
シラン化合物を合成し、次に該ヒドロシラン化合物を、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、リン酸水素ナトリウムなどの無機塩基を
含む水溶液と反応させることによって製造することがで
きる。
【0039】なお、この合成反応において上記の一般式
(V)で表されるピロリドン化合物との反応で用いられ
る強塩基としては、上記の一般式(II)で表されるシラ
ノール化合物と強塩基との反応で用いるのと同様の強塩
基を用いることができ、またその際の反応条件(反応温
度、使用する有機溶媒の種類など)も該シラノール化合
物と強塩基との反応と同様にすればよく、この場合も不
活性ガス雰囲気下での反応が好ましい。
【0040】そして、一般式(II)で表されるシラノー
ル化合物の製造に用いられる上記の一般式(V)で表さ
れるピロリドン化合物としては、例えば、1−メチル−
2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−プ
ロピル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリド
ン、1−ペンチル−2−ピロリドン、1−ヘキシル−2
−ピロリドン、1−イソプロピル−2−ピロリドン、1
−t−ブチル−2−ピロリドンなどを挙げることができ
る。
【0041】また、一般式(II)で表されるシラノール
化合物の製造に用いられる上記の一般式(VI)で表され
るシラン化合物としては、例えば、クロロジメチルシラ
ン、クロロメチルジメチルシラン、2−クロロエチルジ
メチルシラン、3−クロロプロピルジメチルシラン、3
−ブロモプロピルジメチルシラン、3−ヨードプロピル
ジメチルシラン、4−クロロブチルジメチルシラン、5
−クロロヘキシルジメチルシラン、6−クロロヘキシル
ジメチルシランなどを挙げることができる。
【0042】本発明の眼用レンズ材料に用いられる、上
記したオルガノシロキサンモノマー(I)の重合体およ
び共重合体は、一般に、その重合度が1000〜100
00であるのが、成形性、強度などの点から好ましい。
【0043】本発明の眼用レンズ材料は、眼用レンズ用
の素材として切削加工や研磨加工などを施さずにそのま
ま流通、販売しても、眼用レンズの形成して流通、販売
してもよい。本発明の眼用レンズ材料から眼用レンズを
製造するに際しては、上記した有機重合体からなる所定
形状の成形品(例えばシート状物、板状物、ブロック状
成形品など)を切削、研磨するレースカット法、重合す
る前のモノマー成分を眼用レンズに相当する形状および
寸法の型キャビティーに入れて型内で重合させるモール
ド法、スピンキャスト法などの公知の方法を用いて行う
ことができ、眼用レンズの製造法は特に制限されない。
そして、本発明によって、ハードコンタクトレンズ、含
水性ソフトコンタクトレンズ、非含水ソフトコンタクト
レンズなどの各種コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工
硝子体などの眼用レンズを製造することができる。
【0044】
【実施例】以下に本発明について実施例などにより具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例においては、「部」はすべて重量部を表
し、各物性は次のようにして測定または評価した。
【0045】酸素透過係数(DK):理化精機工業
(株)製の製科研式フイルム酸素透過率計を使用して、
電極法にてフイルムの試験片(直径13mm、厚さ0.
2mm)について35℃での酸素透過係数(単位;×1
-11cc・cm/cm2・sec・mmHg)を測定し
た。
【0046】接触角:エルマ光学(株)製のゴニオメー
ター式接触角測定装置(G−1型)を使用し、気泡法に
より円柱状の試験片(直径13mm、厚さ4mm)の接
触角を5回測定し、その平均値を採った。接触角の数値
は水濡れ性(親水性)の尺度であり、数値が小さいほど
水濡れ性が良好であることを示す。
【0047】含水率:下記の実施例および比較例におい
て得られた共重合体(眼用レンズ材料)を直径15mm
および厚さ0.2mmになるように切断して円形フイル
ム状の試験片を製作した。この試験片を25℃の生理食
塩水中に一晩以上浸漬して飽和状態になるまで水和膨潤
させた後、生理食塩水より取り出して表面に付着してい
る余分の水を吸水紙を用いてすばやく吸い取って、試験
片の重量(Wa)を測定した。次いで、水和膨潤させた
試験片をその重量が一定になるまで100℃の温度で脱
水乾燥して、そのときの重量(Wb)を測定し、下記の
式により、含水率を算出した。
【0048】
【数1】 含水率(重量%)={(Wa−Wb)/Wa}×100
【0049】引張強度:下記の実施例および比較例にお
いて得られた共重合体(眼用レンズ材料)を長さ10m
m、厚さ0.3mmおよび幅2mmの短冊状の平板に切
断して試験片を作製した。この試験片の両端を試験機
(島津製作所製「オートグラフ IM−100型」)の
つかみ具に固定し、50mm/分の引張速度で試験片が
破断するまで引っ張って、破断時の応力を読み取って、
引張強度とした。
【0050】透明性:下記の実施例および比較例におい
て得られた共重合体(眼用レンズ材料)を目視で観察
し、透明性が高く濁りが認められないものを◎、白濁し
ているものを×として評価した。
【0051】《参考例1》 (1) この参考例1では、下記の反応式にしたがっ
て、下記の化学式(ii)で表される1−メチル−3−ジ
メチルヒドロキシシリルメチル−2−ピロリドンを製造
した。
【0052】
【化9】
【0053】(2) 無水ジイソプロピルアミン50.
0ml(0.356モル)を含む無水テトラヒドロフラ
ン溶液400mlを−78℃に冷却し、n−ブチルリチ
ウムのヘキサン溶液(1.61モル/リットル)222
ml(0.357モル)を加え、アルゴンガス雰囲気下
に1時間撹拌してリチウムジイソプロピルアミド溶液
(LDA)を調製した。この溶液に、無水1−メチル−
2−ピロリドン34.2ml(0.356モル)を加
え、−78℃でさらに2時間撹拌した後、クロロメチル
ジメチルシラン38.6g(0.356モル)を加え、
さらに室温にて一晩撹拌した。溶媒を留去した後、ジエ
チルエーテルを加えて、析出した塩を濾別し、減圧蒸留
により精製して、上記の化学式(i)で表される1−メ
チル−3−(ジメチルヒドロシリルメチル)−2−ピロ
リドン[以下「ヒドロシリルピロリドン(i)」とい
う]の45.4gを無色透明な液体として得た(収率7
4.3%、沸点80〜82℃/3mmHg)。得られた
ヒドロシリルピロリドン(i)の1H−NMRスペクトル
およびIR吸収は以下のとおりであった。1 H−NMR δ(CDCl3,ppm);0.05(6
H,d)、0.58(1H,m)、1.22(1H,
m)、1.56(1H,m)、2.20(2H,m)、
2.80(3H,s)、3.25(2H,m)、3.9
1(1H,m) IR ν (neat,cm−1);2960,290
0,2120(Si−H),1690,1500,14
30,1400,1300,1250(Si−C),1
075,890,840
【0054】(3) 上記(2)で得られたヒドロシリ
ルピロリドン(i)20.0g(0.106モル)をメ
タノール200mlに溶解させ、4ミリモル/リットル
の炭酸ナトリウムを含む水溶液80mlをゆっくりと滴
下した。50℃で3時間撹拌した後、メタノールを留去
し、ジエチルエーテルで抽出した。硫酸ナトリウムで乾
燥後、ジエチルエーテルを留去し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー[展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=
1/2(容量)]により精製し、上記の化学式(ii)で
表される1−メチル−3−ジメチルヒドロキシシリルメ
チル−2−ピロリドン[以下これを「ヒドロキシシリル
ピロリドン(ii)」という]。得られたヒドロキシシリ
ルピロリドン(ii)の1H−NMRスペクトルおよびI
R吸収は以下のとおりであった。1 H−NMR δ(CDCl3,ppm);0.05(6
H,s)、0.70(2H,m)、1.60(1H,
m)、2.32(2H,m)、2.57(3H,s)、
3.28(2H,m)、5.32(1H,s) IR ν (neat,cm−1);3400(−O
H),2960,2900,1670,1500,14
30,1400,1300,1250(Si−C),9
00,830
【0055】《参考例2》 (1) この参考例2では、下記の反応式にしたがっ
て、下記の化学式(iii)で表されるオルガノシロキサ
ンモノマーを製造した。
【0056】
【化10】
【0057】(2) 上記の参考例1の(3)で得られ
たヒドロキシシリルピロリドン(ii)5.00g(2
6.7ミリモル)をアルゴンガス雰囲気下に0℃にて無
水テトラヒドロフラン50mlに溶解し、無水トリエチ
ルアミン(Et3N)3.76ml(26.7ミリモ
ル)を加えた。この溶液に、3−メタクリロイルオキシ
プロピルトリクロロシラン1.77g(6.65ミリモ
ル)をゆっくりと滴下し、さらに室温で12時間撹拌し
た。析出した塩を濾別した後、溶媒を留去し、シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー[展開溶液;ヘキサン/ア
セトン=1/1(容量)]により精製し、上記の化学式
(iii)で表されるオルガノシロキサンモノマー[以下
これを「オルガノシロキサンモノマー(iii)」とい
う]4.55gを淡黄色液体として得た(収率70.8
%)。得られたオルガノシロキサンモノマー(iii)の1
H−NMRスペクトルおよびIR吸収は以下のとおりで
あった。1 H−NMR δ(CDCl3,ppm);0.05(1
8H,s)、0.45(6H,m)、1.20(2H,
dd)、1.62(3H,m)、1.82(3H,
s)、2.18(8H,m)、2.65(9H,s)、
3.15(6H,q)、3.90(2H,t)、5.3
5(1H,m)、5.92(1H,m). IR ν (neat,cm−1);2980,290
0,1720(C=O),1430,1400,130
0,1260(Si−C)、1160,1050(Si
OSi),840.
【0058】《参考例3》 (1) この参考例3では、下記の反応式にしたがっ
て、下記の化学式(iv)で表されるオルガノシロキサン
モノマーを製造した。
【0059】
【化11】
【0060】(2) 無水ジイソプロピルアミン2.5
ml(22.0ミリモル)を含む無水テトラヒドロフラ
ン溶液60mlに、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液
(1.6モル/リットル)10ml(16ミリモル)を加
え、アルゴンガス雰囲気下に−30℃で2時間反応させ
てリチウムジイソプロピルアミド(LDA)溶液を調製し
た。この溶液に、参考例1の(3)で得られたヒドロキ
シシリルピロリドン(ii)3.0g(16.0ミリモル)
をテトラヒドロフラン5mlに溶解した溶液を加え、同
温度でさらに2時間撹拌した。次に、ヘキサメチルシク
ロトリシロキサン(D3)33.6g(16.0ミリモ
ル)を含むテトラヒドロフラン溶液10mlを加え、室
温で12時間撹拌した。その後、3−メタクリロイルオ
キシプロピルジメチルクロロシラン4.24g(19.
2ミリモル)を加え、さらに室温で1時間撹拌した。溶
媒を留去した後、ジエチルエーテルを加えて析出した塩
を濾別し、濾液を蒸留水で洗浄した。ジエチルエーテル
の留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[展開
溶液;ヘキサン/ジエチルエーテル=1/2(容量)]
により精製し、上記の化学式(iv)で表されるオルガノ
シロキサンモノマー[以下これを「オルガノシロキサン
モノマー(iv)」という]5.66gを淡黄色液体とし
て得た(収率59.3%)。得られたオルガノシロキサ
ンモノマー(iv)におけるジメチルシロキシ単位の重合
度nの平均値は、1H−NMRスペクトルのピーク強度
比により2.4と算出された。得られたオルガノシロキ
サンモノマー(iv)の1H−NMRスペクトルおよびI
R吸収は以下のとおりであった。1 H−NMR δ(CDCl3,ppm);0.05
((12+6n)H,s)、0.48(4H,m)、
1.20(1H,dd)、1.59(2H,m)、1.
87(3H,s)、2.22(2H,m)、2.79
(3H,s)、3.19(2H,q)、4.07(2
H,t)、5.51(1H,m)、6.08(1H,
m). IR ν (neat,cm−1);2980,290
0,1720(C=O),1430,1400,130
0,1260(Si−C)、1165,1050(Si
OSi),840.
【0061】《実施例1》 (1) 参考例2の(2)で得られたオルガノシロキサ
ンモノマー(iii)35部、2,2,2−トリフルオロ
エチルメタクリレート40部、メチルメタクリレート2
0部およびエチレングリコールジメタクリレート5部を
混合し、これに重合触媒として2,2−アゾビスメチル
イソブチレート0.15部を加え、これらの混合物を試
験管にとり、気相部を窒素置換した後、密栓した。 (2) 次いで、上記の密栓した試験管を循環式恒温水
槽に入れ、50℃で18時間、さらに60℃で6時間重
合を行い、さらにこの試験管を循環式乾燥器に移して1
00℃で2時間、120℃で1時間加熱した。その結果
無色透明の重合体が得られたので、これを試験管から取
り出した。 (3) 上記(2)で得られた重合体からそれぞれの試
験片を作製して、その酸素透過係数(DK)および接触
角を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。また、得られた重合体を切断し、切削
研磨による機械的加工を施して、直径13mmの円柱状
の試験片を作製したところ、この試験片は透明であり、
光学歪みもなく、好ましいレンズ材料であった。この試
験片を更に切削研磨加工し、ハードコンタクトレンズを
作製したところ、その結果得られたハードコンタクトレ
ンズは切削面および研磨面はともに良好であり、装用し
たときに曇りのない良好な装用感を与えた。
【0062】《実施例2〜3》実施例1で用いた各有機
モノマーの量を下記の表1のように変えた以外は実施例
1と同様にして重合を行って、得られた重合体から試験
片を作製してその酸素透過係数(DK)および接触角を
上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとお
りであった。また、得られた重合体を切断し、切削研磨
による機械的加工を施して、直径13mmの円柱状の試
験片を作製したところ、その試験片は透明であり、光学
歪みもなく、好ましいレンズ材料であった。この試験片
を更に切削研磨加工し、ハードコンタクトレンズを作製
したところ、その結果得られたハードコンタクトレンズ
は切削面および研磨面はともに良好であり、装用したと
きに曇りのない良好な装用感を与えた。
【0063】《実施例4〜6》実施例1で用いた有機モ
ノマーのうち、オルガノシロキサンモノマー(iii)の
代わりに、参考例3の(2)で得られたオルガノシロキ
サンモノマー(iv)を用い、各モノマーの使用量を下記
の表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして
重合を行って、得られた重合体から試験片を作製してそ
の酸素透過係数(DK)および接触角を上記した方法で
測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。ま
た、得られた重合体を切断し、切削研磨による機械的加
工を施して、直径13mmの円柱状の試験片を作製した
ところ、その試験片は透明であり、光学歪みもなく、好
ましいレンズ材料であった。この試験片を更に切削研磨
加工し、ハードコンタクトレンズを作製したところ、そ
の結果得られたハードコンタクトレンズは切削面および
研磨面はともに良好であり、装用したときに曇りのない
良好な装用感を与えた。
【0064】《比較例1〜3》実施例1で用いた有機モ
ノマーのうち、オルガノシロキサンモノマー(iii)の
代わりに、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス
(トリメチルシロキシ)シランを用い、各モノマーの使
用量を下記の表1に示すように変えた以外は実施例1と
同様にして重合を行って、得られた重合体から試験片を
作製してその酸素透過係数(DK)および接触角を上記
した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりで
あった。また、得られた重合体を切断し、切削研磨によ
る機械的加工を施して、直径13mmの円柱状の試験片
を作製したところ、その試験片は透明性の点では一応優
れていた。この試験片を更に切削研磨加工し、ハードコ
ンタクトレンズを作製したところ、その結果得られたハ
ードコンタクトレンズは装用したときに曇りを生じ、不
良な装用感を与えた。
【0065】
【表1】
【0066】上記の表1の結果から、オルガノシロキサ
ンモノマー(I)の1種である、ピロリドン環を有する
オルガノシロキサンモノマー(iii)またはオルガノシ
ロキサンモノマー(iv)を他の共重合性不飽和有機モノ
マーと共重合して得られる重合体からなる実施例1〜6
の眼用レンズ材料は、コンタクトレンズに必要とされる
高い酸素透過係数(DK)を有しており、しかも接触角
が小さくて水濡れ性(親水性)が良好であり、その上透
明性にも優れていることがわかる。これに対して、オル
ガノシロキサンモノマー(I)を含まないモノマー成分
の重合により得られた重合体からなる比較例1〜3の眼
用レンズ材料は、透明性は優れているものの接触角が大
きくて水濡れ性(親水性)が低く、コンタクトレンズと
してあまり適していないこと、その上比較例1のものは
酸素透過係数が小さいことがわかる。
【0067】《実施例7》 (1) 参考例2の(2)で得られたオルガノシロキサ
ンモノマー(iii)35部、n−ブチルアクリレート4
0部、メチルメタクリレート20部およびエチレングリ
コールジメタクリレート5部を混合し、これに重合触媒
として2,2−アゾビスメチルイソブチレート0.15
部を加え、これらの混合物を窒素ガスでバブルした後、
型に流し込んだ。なお、その際に前記の型として、フッ
素樹脂のガスケットをポリエチレンテレフタレート/ナ
イロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体の積層
フイルムで両側から挟み更にその外側から金属板で挟ん
だものを用いた。 (2) 上記(1)の型内に流し込んだモノマー成分を
型ごと循環式恒温水槽に入れ、50℃で18時間、さら
に60℃で6時間重合を行い、さらにそれを循環式乾燥
器に移して100℃で2時間、120℃で1時間加熱し
た。その結果無色透明の重合体が得られたので、これを
型から取り出した。 (3) 上記得られた重合体をポンチで打ち抜いて、直
径15mmの円柱状試験片を作製した。この試験片は透
明性に優れるものであった。また、前記の試験片から更
にそれぞれの試験片を作製して、その酸素透過係数(D
K)および接触角を上記した方法で測定したところ、下
記の表2に示すとおりであった。
【0068】《実施例8〜9》実施例7で用いた各モノ
マーの使用量を下記の表2に示すように変えた以外は実
施例2と同様にして重合を行ったところ、透明性に優れ
る眼用レンズ材料用の重合体が得られた。得られた重合
体から試験片を作製してその酸素透過係数(DK)およ
び接触角を上記した方法で測定したところ、下記の表2
に示すとおりであった。
【0069】《実施例10〜12》実施例7で用いた有
機モノマーのうち、オルガノシロキサンモノマー(ii
i)の代わりに、参考例3の(2)で得られたオルガノ
シロキサンモノマー(iv)を用い、各モノマーの使用量
を下記の表2に示すように変えた以外は実施例2と同様
にして重合を行ったところ、透明性に優れる眼用レンズ
材料用の重合体が得られた。得られた重合体から試験片
を作製してその酸素透過係数(DK)および接触角を上
記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおり
であった。
【0070】《比較例4〜6》実施例7で用いた有機モ
ノマーのうち、オルガノシロキサンモノマー(iii)の
代わりに、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス
(トリメチルシロキシ)シランを用い、各モノマーの使
用量を下記の表2に示すように変えた以外は実施例7と
同様にして重合を行ったところ、得られた重合体は透明
であった。得られた重合体から試験片を作製してその酸
素透過係数(DK)および接触角を上記した方法で測定
したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0071】
【表2】
【0072】上記の表2の結果から、オルガノシロキサ
ンモノマー(I)の1種である、ピロリドン環を有する
オルガノシロキサンモノマー(iii)またはオルガノシ
ロキサンモノマー(iv)を他の共重合性不飽和有機モノ
マーと共重合して得られる重合体からなる実施例7〜1
2の眼用レンズ材料は、コンタクトレンズに必要とされ
る高い酸素透過係数(DK)を有しており、しかも接触
角が小さくて水濡れ性(親水性)が良好であり、且つ透
明性にも優れていることがわかる。これに対して、オル
ガノシロキサンモノマー(I)を含まないモノマー成分
の重合により得られた重合体からなる比較例4〜6の眼
用レンズ材料は、透明性は優れているものの、接触角が
大きくて水濡れ性(親水性)が低く、コンタクトレンズ
として適していないこと、その上比較例4のものは酸素
透過係数が小さいことがわかる。
【0073】《実施例13》 (1) 参考例2の(2)で得られたオルガノシロキサ
ンモノマー(iii)35部、2−ヒドロシキエチルメタ
クリレート64.9部およびエチレングリコールジメタ
クリレート0.1部を混合し、これに重合触媒として
2,2−アゾビスメチルイソブチレート0.15部を加
え、これらの混合物を試験管にとり、気相部を窒素置換
した後、密栓した。 (2) 次いで、上記の密栓した試験管を循環式恒温水
槽に入れ、50℃で18時間、さらに60℃で6時間重
合を行い、さらにこの試験管を循環式乾燥器に移して1
00℃で2時間、120℃で1時間加熱した。その結果
無色透明の重合体が得られたので、これを試験管から取
り出した。 (3) 上記得られた重合体からそれぞれの試験片を作
製して、その酸素透過係数(DK)、含水率および引張
強度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示
すとおりであった。また、得られた重合体を切断し、切
削研磨による機械的加工を施して、直径13mmの円柱
状の試験片を作製したところ、この試験片は透明であ
り、光学歪みもなく、好ましいレンズ材料であった。こ
の試験片を更に切削研磨加工し、コンタクトレンズ形状
としたところ、得られたコンタクトレンズは切削面およ
び研磨面はともに良好であった。このコンタクトレンズ
を水に浸漬し、含水させたソフトコンタクトレンズを装
用したところ、曇りもなく良好な装用感を得た。
【0074】《実施例14》実施例13で用いた各有機
モノマーの量を下記の表3に示すように変えた以外は実
施例13と同様にして重合を行って、得られた重合体か
ら試験片を作製してその酸素透過係数(DK)、含水率
および引張強度を上記した方法で測定したところ、下記
の表3に示すとおりであった。また、得られた重合体を
実施例13におけるのと同様にして切断、切削研磨して
コンタクトレンズを作製したところ、切削面および研磨
面はともに良好であった。このコンタクトレンズを水に
浸漬し、含水させたソフトコンタクトレンズを装用した
ところ、曇りもなく良好な装用感を得た。
【0075】《実施例15〜16》実施例13で用いた
有機モノマーのうち、オルガノシロキサンモノマー(ii
i)の代わりに、参考例3の(2)で得られたオルガノ
シロキサンモノマー(iv)を用い、各モノマーの使用量
を下記の表3に示すように変えた以外は実施例13と同
様にして重合を行って、得られた重合体から試験片を作
製してその酸素透過係数(DK)、含水率および引張強
度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示す
とおりであった。また、得られた重合体を実施例13に
おけるのと同様にして切断、切削研磨してコンタクトレ
ンズを作製したところ、切削面および研磨面はともに良
好であった。このコンタクトレンズを水に浸漬し、含水
させたソフトコンタクトレンズを装用したところ、曇り
もなく良好な装用感を得た。
【0076】《比較例7〜8》実施例13で用いた有機
モノマーのうち、オルガノシロキサンモノマー(iii)
の代わりに、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス
(トリメチルシロキシ)シランを用い、各モノマーの使
用量を下記の表3に示すように変えた以外は実施例13
と同様にして重合を行って、得られた重合体から試験片
を作製してその酸素透過係数(DK)、含水率および引
張強度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に
示すとおりであった。また、得られた重合体を実施例1
3におけるのと同様にして切断、切削研磨してコンタク
トレンズを作製し、そのコンタクトレンズを水に浸漬
し、含水させたソフトコンタクトレンズとした。
【0077】《比較例9》実施例13で用いた有機モノ
マーの使用量を下記の表3に示すように変えた以外は実
施例13と同様にして重合を行って、得られた重合体か
ら試験片を作製してその酸素透過係数(DK)、含水率
および引張強度を上記した方法で測定したところ、下記
の表3に示すとおりであった。また、得られた重合体を
実施例13におけるのと同様にして切断、切削研磨して
コンタクトレンズを作製し、そのコンタクトレンズを水
に浸漬し、含水させたソフトコンタクトレンズとした。
【0078】
【表3】
【0079】上記の表3の結果から、オルガノシロキサ
ンモノマー(I)の1種である、ピロリドン環を有する
オルガノシロキサンモノマー(iii)またはオルガノシ
ロキサンモノマー(iv)を他の共重合性不飽和有機モノ
マーと共重合して得られる重合体からなる実施例13〜
16の眼用レンズ材料はソフトコンタクトレンズに必要
とされる高い酸素透過係数(DK)および含水率を有し
ており、しかも引張強度が大きくて機械的特性にも優
れ、その上透明性にも優れていることがわかる。 これに対して、オルガノシロキサンモノマー(I)を含
まないモノマー成分の重合により得られた重合体からな
る比較例7〜9の眼用レンズ材料は、酸素透過係数が極
めて低く、しかも引張強度が小さくて機械的特性にも劣
っておりコンタクトレンズ用材料として適していないこ
と、その上比較例7および8のものは含水率も低く、透
明性にも劣っており、コンタクトレンズとして極めて不
良であることがわかる。
【0080】
【発明の効果】本発明による場合は、良好な酸素透過
性、親水性(水濡れ性)、透明性、機械的強度および形
状安定性を兼ね備えた眼用レンズ材料および眼用レンズ
が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02C 7/04 G02C 7/04 (72)発明者 長瀬 裕 神奈川県相模原市南台1−9−2 (72)発明者 青柳 隆夫 千葉県流山市こうのす台910−48 (72)発明者 秋元 倫子 神奈川県座間市相模が丘5−15−51−201

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I); 【化1】 (式中、R1〜R6はそれぞれ独立して炭素数1〜6のア
    ルキル基、Aは単結合または2価の有機基、R7は水素
    原子またはメチル基、pは0〜6の整数、nは0〜30
    の整数、mは1〜3の整数を示す)で表されるオルガノ
    シロキサンモノマーを5重量%以上の割合で含有する有
    機モノマー成分を重合させて得られる有機重合体からな
    ることを特徴とする眼用レンズ材料。
  2. 【請求項2】 上記の一般式(I)で表されるオルガノ
    シロキサンモノマーおよびそれと共重合可能な他の不飽
    和有機モノマーを100:0〜5:95(重量比)の割
    合で含む有機モノマー成分を重合させて得られる有機重
    合体からなる請求項1の眼用レンズ材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の眼用レンズ材料から
    なる眼用レンズ。
  4. 【請求項4】 コンタクトレンズである請求項3の眼用
    レンズ。
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