JPH09220096A - コレラトキシン及びその中和活性の新規 高感度測定法及び同キット - Google Patents

コレラトキシン及びその中和活性の新規 高感度測定法及び同キット

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JPH09220096A
JPH09220096A JP5254396A JP5254396A JPH09220096A JP H09220096 A JPH09220096 A JP H09220096A JP 5254396 A JP5254396 A JP 5254396A JP 5254396 A JP5254396 A JP 5254396A JP H09220096 A JPH09220096 A JP H09220096A
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cholera toxin
biotin
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polystyrene beads
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JP5254396A
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Hisatoshi Ito
敞敏 伊藤
Tadao Saito
忠夫 齋藤
Haruo Negishi
晴夫 根岸
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Meiji Dairies Corp
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Meiji Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ビーズ上に結合したGM1と、ビオチン
−コレラトキシン結合物(B−CT−B)と反応させて
結合し、ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(H
RP−SA)を反応させて結合させた後、発色基質(例
えばTMBZ)を加えてHRPが発色基質を分解して生
ずる色を比色定量する。 【効果】 コレラトキシンが高感度で測定できるのみで
なく、その中和活性も高感度で測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンザイムアッセ
イ、更に詳細には、コレラトキシン及びその中和活性の
新規高感度測定法に関するものであり、また、それに用
いる測定用キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】コレラトキシン(以下、CTということ
もある)は、別名コレラ毒素又はコレラゲンとも呼ば
れ、コレラ菌(ビブリオ・コレレ(Vibrio ch
olerae))が産生する毒性タンパク質である。ま
た本分子は、ADPリポシル化活性をもつAサブユニッ
ト1個と、腸管細胞表面上のレセプターであるモノシア
ロガングリオシドGM1と認識・結合する能力を持つ5
−6個のBサブユニットから成る分子量84,000の
タンパク質である。CTの示す毒性の本体は、Aサブユ
ニットが発現し、Bサブユニットは細胞表面にまず始め
にトキシン分子を接着・結合させる重要な働きを有して
いる。
【0003】つまり、コレラ菌が腸管感染し、増殖した
菌体の生産するコレラトキシン(CT)は、腸管に存在
する糖脂質(モノシアロガングリオシドGM1、以下単
にGM1ということもある)を認識・結合して毒性を発
現するのであるが、これは、トキシン分子中のBサブユ
ニットがGM1中の結合糖鎖の非還元末端に位置するシ
アル酸分子を主として認識し結合することに始まり、つ
いで、トキシン中のAサブユニットが細胞内に進入し、
アデニレート・サイクラーゼの継続的な活性化が起こ
り、最終的にサイクリックAMP(cAMP)の濃度上
昇により重篤な症状を呈することが知られている。しか
しながら、完全な毒性発現機構は解明されていない。そ
こで、食品衛生学的視点からのみならず、医学・薬学的
視点からも、トキシン活性の微量高感度検出システムの
構築が切望されている。
【0004】一方、この反応初期におけるCT−GM1
間の認識・結合を競合的に阻害する成分が、反応系に仮
に存在する場合には、この毒性の発現は中和・低減され
ることになる。この成分は、「コレラトキシン中和活性
成分」と呼ばれている。本成分は、基本的にはGM1
結合する糖鎖構造と近似した糖鎖アナログを持つ糖タン
パク質成分等であり、牛乳中にはκ−カゼインやそのキ
モシン消化に伴い生成するカゼイノグリコペプチド(C
GP)がコレラトキシン中和活性を示すことが既に知ら
れている。従来の本中和成分の示すCT中和活性の測定
法には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の
異形化や、cAMPの亢進を検出する方法、およびGM
1を直接コートしペルオキシダーゼ標識コレラトキシン
Bサブユニット(以下、P−CT−Bということもあ
る)を用いたマイクロプレートによる競合阻害法が既に
報告されている(以下、マイクロプレート法ということ
もある:Kawasaki et al., Biosci. Biotech. Bioche
m., 56(2), 1992)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食品衛生学
的視点のみならず、医学・薬学的視点から、CT活性の
微量高感度検出システムの構築が切望されている当業界
の技術の現状に鑑み、感度の高いすぐれたCT測定シス
テムを新たに開発する目的でなされたものである。
【0006】また、本発明は、正確な数値化によりCT
中和成分間の相対評価が必要であるとの視点から、そし
てまた新規CT中和成分つまり新規CT解毒剤の開発な
いしスクリーニングという視点から、感度の高いすぐれ
たCT中和活性測定システムを新たに開発する目的でな
されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、従来法について検
討したが、先ず、チャイニーズハムスター卵巣(CH
O)細胞の異形化による方法は、現象面の特徴を捉える
方法であって、定量はできないし、また、cAMPの亢
進を検出する方法は、やはり細胞を用いるために実験設
定が煩雑であり、しかも結果が出るまでに長時間を要す
る。
【0008】一方、川崎らにより既に報告されている、
マイクロプレート法は、研究室にマイクロプレートリー
ダーがあれば、比較的短時間に簡便に定量的なデータを
得ることが可能である。彼らの方法では、GM1を直接
コートしたマイクロプレートを用意し、CTを含む試料
を反応させ、発色させたのち、マイクロプレートリーダ
ーで読みとる方法であって、すぐれた方法である。本発
明者らは、このマイクロプレート法の利点に着目し、更
に詳細に検討の結果、後記するようにマイクロプレート
法にも未だ改良すべき点が各種存在することを認め、そ
してこれらの改良に成功し、目的とする高感度測定シス
テムの開発に成功するとともに、このシステムを利用す
ることによって中和活性の高感度測定も可能となること
も発見し、遂に本発明の完成に至ったものである。
【0009】すなわち、本発明におけるCTの測定方法
の基本原理は、CT分子中のBサブユニット(以下、C
T−Bということもある)がレセプターGM1に特異的
に結合する特性を利用するものである。図1にレセプタ
ーGM1糖鎖の化学構造を示したが、コレラトキシンB
サブユニットは、本糖鎖中の点線で示したシアル酸とガ
ラクトースの結合部位(エピトープ部位)を特に良く認
識し、結合するものである。本発明に係る測定法の基本
原理は、上記した特性を利用したものであって、このレ
セプターGM1を特定の担体に結合させておき、そこに
CTが含まれていることが予想される試料を加え、結合
したCT量を量特異的に発色に導き、比色定量すること
により間接的にCT結合量を知ることからなる。
【0010】マイクロプレート法を改良するため、以下
のような検討を行った。すなわち、レセプターGM1
結合させる方法、素材、レセプター以外へのCTの非特
異的結合を防止するためのブロッキング剤と必要時間の
検討、CTの標識方法の検討、最終的な発色基質の選択
等の検討を行った。なお、この際には、実験の安全性を
考慮して、CTとしては、CT分子全体を使用しない
で、Bサブユニット(CT−B)のみを使用することと
した。具体的検討項目は、次のとおりである。
【0011】検討項目 (1)レセプターGM1吸着基材の検討 本発明では、レセプターGM1を吸着・固定化する必要
性があり、川崎らの報告しているマイクロプレートへの
直接塗沫法および免疫化学分野で汎用されているポリス
チレンビーズへのコーティング法の優劣を検討した。こ
の実験結果は、図4に示した。 (2)GM1溶解溶媒の検討 レセプターGM1を完全に溶解させ、定量的に分注させ
るためには、最適な溶解溶媒の選択が不可欠である。溶
解溶媒には、蒸留水、メタノール、エタノール、50%
エタノールの4種の優劣を検討した。 (3)ブロッキング剤およびブロッキング時間の検討 レセプターGM1を吸着・結合させた場合でも、必ず結
合していない部位が存在している。この様な部位を、反
応に関与しない安全な他の分子によりマスキングをして
おかないと、次の反応において、非特異的な吸着が起こ
り、CTの定量性は失われる。このような際に必要な操
作を「ブロッキング」といい、用いる試薬を「ブロッキ
ング剤」と呼ぶ。ブロッキング剤には、この分野で汎用
されるウシ血清アルブミン(BSA)、ゼラチン(1、
3、5%)、非イオン性界面活性剤(Tween20、
EIAグレード、0.025、0.05および0.1%
になるようにリン酸緩衝液(PBS,pH7.2)に溶
解)等を検討した。また、ブロッキング時間は0、1、
3および20時間を検討した。これらの実験結果は、図
5に示した。 (4)ポリスチレンビーズの洗浄回数の検討 PBSを用いて1〜10回洗浄し、比較検討した。 (5)CT−Bの標識方法の検討 本実験には、安全のためCTのBサブユニット(CT−
B)を用いた。すなわち、CT−Bを低分子のビオチン
で標識し、ついでアビジンと反応させる方法(ビオチン
・アビジンシステム)と、CT−Bを直接ペルオキシダ
ーゼ標識する2法について、その安定性、反応性、保存
性等の優劣を検討した。 (6)ポリスチレンビーズとCT−Bとの反応性の検討 ポリスチレンビーズとビオチニル化CT−B(B−CT
−B)を10分、1時間、6、12および20時間反応
させ発色性の優劣を検討した。 (7)西洋わさびペルオキシダーゼ標識−ストレプトア
ビジン(HRP−SA)希釈条件の検討 CT−Bをビオチンで標識させた場合のみ、次の反応と
してアビジンを結合させる。本実験では、ビオチンに卵
白ではなく微生物から調製したストレプトアビジン(S
A)を、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)で標識
した西洋わさびペルオキシダーゼ標識・ストレプトアビ
ジン(HRP−SA)を用いた。本試薬の希釈溶媒に
は、蒸留水またはリン酸緩衝液(PBS)の2種を検討
した。また、HRP−SA原液試薬(市販品)を100
0、2000、4000、6000および8000倍希
釈したのちの、保存性および発色性を検討した。 (8)HRP−SAの反応温度条件の検討 GM1ビーズにB−CT−Bを反応させ、6000倍希
釈のHRP−SAを加え、室温または37℃で30分反
応させて、発色性を検討した。 (9)発色基質の検討 最終的に、ストレプトアビジンの結合量により、CT−
Bの結合量を定量するのが、本発明の測定原理である。
ストレプトアビジンの結合量は、過酸化水素水を添加し
た発色試薬の呈色度をマイクロプレートリーダーで測定
することで、定量データを得る。
【0012】そこで、以下の3種類の発色基質を用い、
安定性および感度等を比較検討した。 基質1;0.05%過酸化水素水:0.08%5−アミ
ノサリチル酸=9:1、NaOHでpH6.0に調整。
波長450nmでの吸光度測定。 基質2;0.1%2,2′アジノビス(3−エチレンベ
ンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、0.
003%過酸化水素を含む0.1Mクエン酸緩衝液(p
H4.0)、波長405nmでの吸光度測定。 基質3;TMBZ(住友ベークライト(株)製、ML−
1120T)、波長450nmでの吸光度測定 基質1は、他の2つと比べて、極めて呈色性が低かった
ので、基質2と3を比較検討した。この実験結果は、図
6に示した。
【0013】上記した各反応条件の詳細な検討により、
以下の条件がCTの測定及び中和活性の測定に適してい
ることが示唆された。
【0014】すなわち、CM1吸着基材にはポリスチレ
ンビーズが、マイクロプレートよりも吸着能が約5倍程
度強く、かつ非特異的結合の極めて少ない点などが優れ
ていた。マイクロプレートに直接GM1をコーティング
する川崎らの方法では、特にこのウエルに対するCT−
BやHRP−SAの非特異的な吸着が防げず、高いバッ
クグラウンドと感度の低さに繋がることが判明し、ポリ
スチレン法が大変優れていると考えられてた。また、G
1溶解溶媒については100%エタノールが、最も安
定した溶解性と定量的なコーティング性を示し、優れて
いた。ブロッキング剤は3%BSAを含むPBSが最も
ブロッキング効果が高く、また3時間のブロッキング時
間が最適であった。ビーズの洗浄剤にはPBSが適して
おり、洗浄回数の検討の結果では、3回洗浄が適当であ
った。CT−Bの標識法としてはビオチン標識が同分子
を直接ペルオキシダーゼ標識する方法よりも感度や保存
性において優れていた。ビオチンと特異的に反応するH
RP−SAの希釈方法では、PBSによる6000倍希
釈、反応は室温で行うので最適であった。重要な発色基
質の選択については、最近開発されたTMBZが最も安
定かつ高感度に検出できることが確認された。これらの
結果は、下記表1にまとめて示した。
【0015】
【表1】
【0016】すなわち本発明は、これらの検討結果を基
礎とし、更に研究の結果完成されたものであって、GM
1吸着素材にマイクロプレートではなくポリスチレンビ
ーズを使用し、CT−Bの標識方法としてビオチン標識
を新たに採用し、より高度なアビジン−ビオチンシステ
ムの導入、及び最近開発された高感度基質を、それぞれ
新たに採用しただけでなく、これらを有機的に組み合わ
せたことを特徴とするものである。
【0017】本発明は、上記した基本的特徴を有するも
のであり、本発明に係るコレラトキシン測定法の基本的
ステップは次のとおりである(図2)。
【0018】(1)コレラトキシンと結合するレセプタ
ー分子であるガングリオシドGM1をポリスチレンビー
ズ上にコーディングする。 (2)ビーズ上に結合したGM1と、事前にビオチンを
結合させたコレラトキシン(ビオチン標識コレラトキシ
ンBサブユニット)を反応させて結合させる。 (3)ビオチンにアビジンが結合する性質を利用して、
前もってペルオキシダーゼ(HRP)を結合させたスト
レプトアビジンをビーズ上のビオチン−コレラトキシン
結合物と反応させて結合させる。 (4)最終的には、ここで結合したペルオキシダーゼが
発色基質を分解して生ずる色を比色定量することによっ
て、コレラトキシンの量が測定できることになる。
【0019】本発明に係るコレラトキシン中和活性測定
法の基本的ステップは、図3に示したように、上記ステ
ップ(2)の反応を行う前に、コレラトキシンと結合す
る性質を持つと思われる試験成分(この場合カゼイノグ
リコペプチド)を混合して反応させる。その後、ステッ
プ(3)以下の反応を行わせる。すると、前もって試験
成分を結合したコレラトキシンはポリスチレンビーズ上
のGM1と結合できなくなるため、最終的なコレラトキ
シン測定値が低下する。この低下分が試験成分のコレラ
トキシン中和活性値となる。
【0020】
【発明の実施の形態】GM1を吸着する担体としては、
従来法のようにマイクロプレートではなく、ポリスチレ
ンビーズを用いる。ポリスチレンビーズとしては、市販
品を含め各種のポリスチレンビーズが適宜使用される。
【0021】該ビーズ上のビオチン−コレラトキシン結
合物と反応、結合せしめるアビジンとしては、卵白由来
のアビジンのほか、微生物由来のストレプトアビジン
(以下、SAということもある)等各種のアビジンが適
宜使用される。
【0022】アビジンには酵素を結合する。酵素として
は、エンザイムアッセイに常用される酵素が広く使用さ
れ、例えば(西洋ワサビ)ペルオキシダーゼ、(大腸
菌)β−ガラクトシダーゼ、(ウシ小腸)アルカリホス
ファターゼ等が広く使用できる。これら酵素の発色基質
としては、β−ガラクトシダーゼの場合は、O−ニトロ
フェニル−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフ
ェリル−ガラクトピラノシド等が使用され、アルカリホ
スファターゼの場合は、p−ニトロフェニルホスフェー
ト、4−メチルウンベリフェリル−ホスフェート等が使
用される。
【0023】ペルオキシダーゼの発色基質としては、O
−フェニレンジアミン、p−ヒドロキシフェニル酢酸、
2,2′−アジノビス(3−エチレンベンゾチアゾリン
−6−スルホン酸)(ABTS)、等既知の物質が使用
できるほか、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジ
ジン(TMBZ)、同、ジハイドロクロライド、ジハイ
ドレート(TMBZ・HCl)、N−(3−スルホプロ
ピル)−3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジ
ン、ナトリウム塩(TMBZ・PS)が使用できる。本
発明においては、特に酵素として西洋のワサビペルオキ
シダーゼ(以下、HRPということもある)を用い、発
色基質として特にTMBZ原物質及び同誘導体を用いた
場合に、すぐれた高感度測定が達成された。
【0024】以下、本発明の実施例について述べる。
【0025】
【実施例1】コレラトキシンが含まれるモデル試料とし
てCT−Bを用い、これをビオチン標識した結合物(B
−CT−B)とし、B−CT−Bについて、以下により
測定を行った。
【0026】(1)先ずはじめに、使用する市販のポリ
スチレンビーズ(直径3.2mm、和光純薬工業(株)
製、No.163−1129)をメタノール中で60
℃、30分間振とうし、事前洗浄した。 (2)ビーズへの均質かつ定量的なレセプターGM1
吸着方法は、試験管に50個のビーズを入れ、これに3
mlのエタノールと1.25μgのGM1を加え、37
℃で3時間振とうすることにより行った。 (3)GM1吸着ビーズを、マイクロプレート(住友ベ
ークライト、平底96穴、MS−8096F)の各ウエ
ルに1個ずつ入れ、各ウエルに3%BSAを含むブロッ
キング剤を330μl加えビーズおよびプレートウエル
におけるGM1の非吸着部位をブロッキングした。 (4)0.25%BSAおよび0.175M NaCl
を含むPBSにビオチニル化CT−B(B−CT−B)
を溶解し、各ウエルに100μlずつ加え、振とうして
ビーズに吸着させた。 (5)ビーズをPBSで洗浄後、HRP−SA(ZYM
ED社製、No.43−4323)をPBSで6000
倍希釈した溶液を100μl加え、30分間反応させ
た。 (6)ビーズをPBSで洗浄後、TMBZ基質溶液を1
00μl加え、室温で1時間振とうして発色させ、マイ
クロプレートリーダーを用いて吸光度(450nm)を
測定した。
【0027】本法は、従来のマイクロプレート法と比較
して、主として以下の点において相違しており、すぐれ
ている。 (1)レセプターGM1を、マイクロプレートに直接塗
沫せず、ポリスチレンビーズの表面にコーティングし
た。これにより、非特異的な吸着によるバックグラウン
ドの高まりを抑えることが出来た。 (2)CT試料は、直接HRPで標識せず、ビオチンに
より標識した。これにより、反応ステップは、一段階多
くなるが、感度は向上した。すなわち、ビオチン−アビ
ジン反応により、より高感度にCTを検出することが出
来た。 (3)発色基質に、より高感度のTMBZを用いたこと
で、感度を向上させることが出来た。
【0028】
【実施例2】CT中和活性を有する物質として既知の
「カゼイノグリコペプチド(CGP)」をモデル中和活
性物質として用い、CTの毒性を中和・低減化する現象
が、本発明で開発された新コレラトキシン測定法により
正当に評価できることを、以下により確認した。
【0029】(1)3%BSAで3時間ブロッキングし
たウエルに0.25%BSA、0.175M NaCl
を含むPBSに各種濃度に溶解したCGP溶液、同Bu
fferにCGP溶液と同濃度に溶解したB−CT−B
溶液を50μlずつ加え室温で6時間振とうし反応させ
た。B−CT−B濃度は0.1、0.5、1及び5μg
/mlで行った。 (2)ブロッキング済みのGM1吸着ビーズを各ウエル
に1個ずつ加え、さらに6時間振とうさせた。 (3)PBSで3回洗浄した後、PBSで6000倍希
釈したHRP−SAを100μl加え30分静置した。 (4)3回洗浄後、TMBZを100μl加え室温で1
5分振とうし、マイクロプレートリーダーを用いて45
0nmにおける吸光度を測定した。
【0030】中和活性は、次のようにして評価した。 中和活性(%)=(1−A/B)×100 A:試料+(B−CT−B)+ビーズの吸光度 B:(B−CT−B)+ビーズの吸光度
【0031】実験結果を図7に示した。この結果から明
らかなように、本検出法では、1μg/ml以下のCG
P濃度の場合でも、CTを中和する能力を有することを
確認することができ、本検出法が中和活性測定法として
きわめてすぐれていることが立証された。本測定法によ
れば、このように中和活性成分の中和活性が効率よくし
かも正確に測定できるだけでなく、未知の中和活性成分
を本測定法によってスクリーニングすることも可能とな
り、本測定法を利用することによって新規CT解毒剤の
開発も大いに可能である。なお、本測定法においては、
中和活性成分量よりも多量にB−CT−Bを使用するこ
とが必要である。
【0032】
【発明の効果】本発明によって、コレラトキシン及びそ
の中和活性を測定するための高感度測定法がはじめて確
立され、コレラトキシン及びその中和活性を迅速且つ正
確に測定することが可能となり、また、本発明によれば
新規な中和活性のスクリーニングも可能となる。
【0033】更に本発明によれば、GM1、ポリスチレ
ンビーズ、ビオチン、酵素結合(ストレプト)アビジ
ン、発色基質及び他の必要成分をセットにしたコレラト
キシンまたはその中和活性測定キットを組むことがで
き、上記した測定法の確立と相まって、すぐれた測定シ
ステムを確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モノシアロガングリオシドGM1(コレラトキ
シンレセプター)における結合糖鎖の化学構造を示し、
破線部分は、コレラトキシンBサブユニットの認識・結
合するエピトープ部位を示す。
【図2】コレラトキシンの新高感度測定法の模式図であ
る。
【図3】モデル中和活性物質CGPを用いてのコレラト
キシン中和活性測定法の模式図である。
【図4】吸着基材の検討図である。
【図5】ブロッキング剤の検討図である。
【図6】発色基質の検討図である。
【図7】モデル中和活性物質CGPを用いてのコレラト
キシン中和活性の測定図であって、B−CT−B濃度の
反応に及ぼす影響を示した図面である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程からなることを特徴とするコレ
    ラトキシンの測定方法: (a)モノシアロガングリオシドGM1をポリスチレン
    ビーズに結合する; (b)ポリスチレンビーズ上に結合したモノシアロガン
    グリオシドGM1と、あらかじめビオチンを結合させた
    コレラトキシンとを反応させて両者を結合する; (c)前もって酵素を結合したアビジンまたはストレプ
    トアビジンを、該ビーズ上のビオチン−コレラトキシン
    結合物と反応させて結合する; (d)発色基質を加えて、酵素分解によって生じる色を
    比色する。
  2. 【請求項2】 酵素としてペルオキシダーゼを用い、発
    色基質として3,3′,5,5′−テトラメチルベンチ
    ジン(TMBZ)、同塩酸塩(TMBZ・HCl)又は
    同スルホプロピル誘導体(TMBZ・PS)を使用する
    ことを特徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、(b)工程を行う前
    に、中和活性物質をあらかじめ加えて、ビオチン結合コ
    レラトキシンと反応させて両者を結合させておく工程を
    更に包含すること、を特徴とするコレラトキシンの中和
    活性測定方法。
  4. 【請求項4】 コレラトキシンとしてコレラトキシンま
    たはそのBサブユニットを中和活性成分よりも過剰量用
    い、測定値の低下分をコレラトキシン中和活性値とする
    ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 モノシアロガングリオシドGM1、ポリ
    スチレンビーズ、ビオチン、酵素結合アビジン(または
    ストレプトアビジン)及び発色基質を含有することを特
    徴とするコレラトキシンまたはその中和活性測定用キッ
    ト。
  6. 【請求項6】 更に、中和活性測定の場合には、ビオチ
    ン結合したコレラトキシンBサブユニットを含有するこ
    と、を特徴とする請求項5に記載のキット。
JP5254396A 1996-02-16 1996-02-16 コレラトキシン及びその中和活性の新規 高感度測定法及び同キット Pending JPH09220096A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006284330A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Gunma Univ アシアロgm1の免疫学的測定キット並びに抗アシアロgm1抗体の免疫学的測定キット
JP2007534951A (ja) * 2004-04-29 2007-11-29 ファーマ ディヴェロップメント ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ タンパク質ptx3測定用の単クローン抗体、ハイブリドーマ、改良方法、及び前記測定用キット

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JP2007534951A (ja) * 2004-04-29 2007-11-29 ファーマ ディヴェロップメント ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ タンパク質ptx3測定用の単クローン抗体、ハイブリドーマ、改良方法、及び前記測定用キット
JP2006284330A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Gunma Univ アシアロgm1の免疫学的測定キット並びに抗アシアロgm1抗体の免疫学的測定キット

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