JP3474391B2 - コレラトキシン及びその中和活性の新規高感度測定法及び同キット - Google Patents

コレラトキシン及びその中和活性の新規高感度測定法及び同キット

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンザイムアッセ
イ、更に詳細には、コレラトキシン及びその中和活性の
新規高感度測定法に関するものであり、また、それに用
いる測定用キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】コレラトキシン(以下、CTということ
もある)は、別名コレラ毒素又はコレラゲンとも呼ば
れ、コレラ菌(ビブリオ・コレレ(Vibrio cholera
e))が産生する毒性タンパク質である。また本分子
は、ADPリボシル化活性をもつAサブユニット1個
と、腸管細胞表面上のレセプターであるモノシアロガン
グリオシドGM1と認識・結合する能力を持つ5個のB
サブユニットから成る分子量84,000のタンパク質
である。CTのサブユニット構造モデルを図1に示し
た。CTの示す毒性の本体は、Aサブユニットが発現
し、Bサブユニットは細胞表面にまず始めにトキシン分
子を接着・結合させる重要な働きを有している。
【0003】つまり、コレラ菌が腸管感染し、増殖した
菌体の生産するコレラトキシン(CT)は、腸管に存在
する糖脂質(モノシアロガングリオシドGM1、以下単
にGM1ということもある)を認識・結合して毒性を発
現するのであるが、これは、トキシン分子中のBサブユ
ニットがGM1中の結合糖鎖の非還元末端に位置するシ
アル酸分子を主として認識し結合することに始まり、つ
いで、トキシン中のAサブユニットが細胞内に進入し、
アデニレート・サイクラーゼの継続的な活性化が起こ
り、最終的にサイクリックAMP(cAMP)の濃度上
昇により重篤な症状を呈することが知られている。しか
しながら、完全な毒性発現機構は解明されていない。そ
こで、食品衛生学的視点からのみならず、医学・薬学的
視点からも、トキシン活性の微量高感度検出システムの
構築が切望されている。
【0004】一方、この反応初期におけるCT−GM1
間の認識・結合を競合的に阻害する成分が、反応系に仮
に存在する場合には、この毒性の発現は中和・低減され
ることになる。この成分は、「コレラトキシン中和活性
成分」と呼ばれている。本成分は、基本的にはGM1
結合する糖鎖構造と近似した糖鎖アナログを持つ糖タン
パク質成分等であり、牛乳中にはκ−カゼインやそのキ
モシン消化に伴い生成するカゼイノグリコペプチド(C
GP)がコレラトキシン中和活性を示すことが既に知ら
れている。従来の本中和成分の示すCT中和活性の測定
法には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の
異形化や、cAMPの亢進を検出する方法、およびGM
1を直接コートしペルオキシダーゼ標識コレラトキシン
Bサブユニット(以下、P−CT−Bということもあ
る)を用いたマイクロプレートによる競合阻害法が既に
報告されている(以下、マイクロプレート法ということ
もある:Kawasaki et al., Biosci. Biotech. Bioche
m., 56, 195-198, (1992))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食品衛生学
的視点のみならず、医学・薬学的視点から、CT活性の
微量高感度検出システムの構築が切望されている当業界
の技術の現状に鑑み、感度の高いすぐれたCT測定シス
テムを新たに開発する目的でなされたものである。
【0006】また、本発明は、正確な数値化によりCT
中和成分間の相対評価が必要であるとの視点から、そし
てまた新規CT中和成分つまり新規CT解毒剤の開発な
いしスクリーニングという視点から、感度の高いすぐれ
たCT中和活性測定システムを新たに開発する目的でな
されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、従来法について検
討したが、先ず、チャイニーズハムスター卵巣(CH
O)細胞の異形化による方法は、現象面の特徴を捉える
方法であって、定量はできないし、また、cAMPの亢
進を検出する方法は、やはり細胞を用いるために実験設
定が煩雑であり、しかも結果が出るまでに長時間を要す
る。
【0008】一方、川崎らにより既に報告されている、
マイクロプレート法は、研究室にマイクロプレートリー
ダーがあれば、比較的短時間に簡便に定量的なデータを
得ることが可能である。彼らの方法では、GM1を直接
コートしたマイクロプレートを用意し、CTを含む試料
を反応させ、発色させたのち、マイクロプレートリーダ
ーで読みとる方法であって、すぐれた方法である。本発
明者らは、このマイクロプレート法の利点に着目し、更
に詳細に検討の結果、後記するようにマイクロプレート
法にも未だ改良すべき点が各種存在することを認め、そ
してこれらの改良に成功し、目的とする高感度測定シス
テムの開発に成功するとともに、このシステムを利用す
ることによって中和活性の高感度測定も可能となること
も発見し、遂に本発明の完成に至ったものである。
【0009】すなわち、本発明におけるCTの測定方法
の基本原理は、CT分子中の5量体であるBサブユニッ
ト(以下、CT−Bということもある)のひとつがレセ
プターGM1に特異的に結合する特性を利用するもので
ある。図2にレセプターGM1糖鎖の化学構造を示した
が、コレラトキシンBサブユニットは、本糖鎖中の実線
で囲んだシアル酸とガラクトースの結合部位(エピトー
プ部位)を特に良く認識し、結合するものである。CT
−Bは5量体であるため、シアル酸との結合部位は5ヶ
所存在することになる。
【0010】本発明に係るA法の基本原理は、上記した
特性を利用したものであって、このレセプターGM1
特定の担体に結合させておき、そこにCT又はCT−B
が含まれていることが予想される試料を加え、ここでプ
ローブと反応させ、結合したプローブ量を量特異的に発
色に導き、比色定量することにより間接的にCT結合量
を知ることからなる(図3)。
【0011】一方、本発明に係るB法の基本原理は、G
1を特定の担体に結合させておき、このGM1をCT−
Bを用いて飽和させる。ついで中和活性物質が含まれて
いることが予想される試料を加え、プローブを反応さ
せ、結合したプローブ量を量特異的に発色に導き、比色
定量することにより中和活性値を知ることからなる(図
4)。
【0012】マイクロプレート法を改良するため、以下
のような検討を行った。すなわち、レセプターGM1
結合させる方法、素材、レセプター以外へのCTの非特
異的結合を防止するためのブロッキング剤と必要時間の
検討、CTの標識方法の検討、最終的な発色基質の選択
等の検討を行った。なお、この際には、実験の安全性を
考慮して、CTとしては、CT分子全体を使用しない
で、Bサブユニット(CT−B)のみを使用することと
した。具体的検討項目は、次のとおりである。
【0013】コレラトキシン中和活性の新規高感度検出
法(B法)検討項目
【0014】(1)レセプターGM1吸着基材の検討 本発明では、レセプターGM1を吸着・固定化する必要
性があり、川崎らの報告しているマイクロプレートへの
直接塗抹法および免疫化学分野で汎用されているポリス
チレンビーズへのコーティング法の優劣を検討した。こ
の実験結果は、図5に示した。したがって、以降の基材
にはポリスチレンビーズを使用することとした。
【0015】(2)GM1溶解溶媒の検討 レセプターGM1を完全に溶解させ、定量的に分注させ
るためには、最適な溶解溶媒の選択が不可欠である。溶
解溶媒には、蒸留水、メタノール、エタノール、50%
エタノールの4種の優劣を検討した。
【0016】(3)コレラトキシンBサブユニット(C
T−B)による飽和結合時間の検討 レセプターGM1をコーティングしたビーズに対して、
CT−BのPBS溶液(10μg/ml)を加えて、室
温で3〜7時間保持し、その結合量の推移を検討した。
この実験結果は、図6に示した。
【0017】(4)ブロッキング剤およびブロッキング
時間の検討 レセプターGM1をポリスチレンビーズに吸着・結合さ
せた場合でも、必ず結合していない部位が存在してい
る。この様な部位を、反応に関与しない安全な他の分子
によりマスキングをしておかないと、次の反応におい
て、非特異的な吸着が起こり、CTの定量性は失われ
る。このような際に必要な操作を「ブロッキング」とい
い、用いる試薬を「ブロッキング剤」と呼ぶ。ブロッキ
ング剤には、この分野で汎用されるウシ血清アルブミン
(BSA)、ゼラチン(1、3、5%)、非イオン性界
面活性剤(Tween20、EIAグレード、0.02
5、0.05および0.1%になるようにリン酸緩衝液
(PBS,0.15MのNaClを含む、pH7.3)
に溶解)等を検討した。また、ブロッキング時間は0、
1、3および20時間を検討した。これらの実験結果
は、図7に示した。
【0018】(5)ポリスチレンビーズの洗浄回数の検
討 各反応終了後に、ポリスチレンビーズをPBSを用いて
1〜10回洗浄し、その洗浄効果を比較検討した。
【0019】(6)ビオチン標識シアル酸結合プローブ
濃度の検討 プローブをPBSに0.0001、0.001、0.0
05、0.01および0.1%(w/v)になるように
溶解し、CT−B飽和GM1ビーズに100μlずつ添
加し、室温で30分間反応させた。この実験結果を図8
に示した。
【0020】(7)西洋わさびペルオキシダーゼ標識−
ストレプトアビジン(HRP−SA)希釈条件の検討 CT−Bをビオチンで標識させた場合のみ、次の反応と
してアビジンを結合させる。本実験では、ビオチンに卵
白ではなく微生物から調製したストレプトアビジン(S
A)を、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)で標識
した西洋わさびペルオキシダーゼ標識・ストレプトアビ
ジン(HRP−SA)を用いた。本試薬の希釈溶媒に
は、蒸留水またはリン酸緩衝液(PBS)の2種を検討
した。また、HRP−SA原液試薬(市販品)を1,0
00、2,000、4,000、6,000および8,
000倍希釈したのちの、保存性および発色性を検討し
た。
【0021】(8)HRP−SAの反応温度条件の検討 GM1ビーズにB−CT−Bを反応させ、6,000倍
希釈のHRP−SAを加え、室温または37℃で30分
間反応させて、発色性を検討した。
【0022】(9)発色基質の検討 最終的に、ストレプトアビジンのプローブ上のビオチン
への結合量により、コレラトキシン中和活性物質を定量
するのが、本発明の測定原理である。ストレプトアビジ
ンの結合量は、過酸化水素水を添加した発色試薬の呈色
度をマイクロプレートリーダーで測定することで、定量
データを得る。
【0023】そこで、 以下の3種類の発色基質を用
い、安定性および感度等を比較検討した。 基質1;0.05%過酸化水素水:0.08%5−アミ
ノサリチル酸=9:1、NaOHでpH6.0に調整。
波長450nmでの吸光度測定。 基質2:0.1%2,2′アジノビス(3−エチレンベ
ンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、0.
003%過酸化水素を含む0.1Mクエン酸緩衝液(p
H4.0)、波長405nmでの吸光度測定。 基質3:TMBZ(テトラメチルベンジジン:住友ベー
クライト(株)製、ML−1120T)、波長450n
mでの吸光度測定 基質1は、他の2つと比べて、極めて呈色性が低かった
ので、基質2と3を比較検討した。この実験結果は、図
9に示した。
【0024】上記した各反応条件の詳細な検討により、
以下の条件がCTの測定及び中和活性の測定に適してい
ることが示唆された。
【0025】すなわち、GM1吸着基材にはポリスチレ
ンビーズが、マイクロプレートよりも吸着能が約5倍程
度強く、かつ非特異的結合の極めて少ない点などが優れ
ていた(図5)。マイクロプレートに直接GM1をコー
ティングする川崎らの方法では、特にこのウエル表面に
対するCT−BやHRP−SAの非特異的な吸着が防げ
ず、高いバックグラウンドと感度の低さに繋がることが
判明し、ポリスチレンビーズ法が大変優れていると考え
られた。また、GM1溶解溶媒については100%エタ
ノールが、最も安定した溶解性と定量的な基材へのコー
ティング性を示し、優れていた。CT−Bによるビーズ
上のGM1に対する飽和結合時間としては、6時間が適
当と考えられた(図6)。
【0026】ブロッキング剤は3%BSAを含むPBS
が最もブロッキング効果が高く、また3時間のブロッキ
ング時間が最適であった(図7)。ビーズの洗浄剤には
PBSが適しており、洗浄回数の検討の結果では、3回
洗浄が適当であった。また、プローブ濃度は、0.00
1%(w/v)が吸光度0.3付近を与え、適当であっ
た(図8)。ビオチンと特異的に反応するHRP−SA
の希釈方法では、PBSによる6,000倍希釈、反応
は室温で行うので最適であった。重要な発色基質の選択
については、最近開発されたTMBZが最も安定かつ高
感度に検出できることが確認された(図9)。これらの
結果は、下記表1にまとめて示した。
【0027】
【表1】
【0028】すなわち本発明は、これらの検討結果を基
礎とし、更に研究の結果完成されたものであって、GM
1吸着素材にマイクロプレートではなくポリスチレンビ
ーズを使用し、新たにプローブを導入し、より高感度ア
ビジン−ビオチンシステムの導入、及び最近開発された
高感度基質を、それぞれ新たに採用しただけでなく、こ
れらを有機的に組み合わせたことを特徴とするものであ
る。
【0029】本発明は、上記した基本的特徴を有するも
のであり、本発明に係るコレラトキシン測定法(A法)
の基本的ステップは次のとおりである(図3)。
【0030】(1)コレラトキシンと結合するレセプタ
ー分子であるガングリオシドGM1をポリスチレンビー
ズ上にコーティングする。 (2)ビーズに結合したGM1と、コレラトキシン(C
T)が含まれることが予想される試料(培養液など)を
反応させて結合させる。 (3)ビオチン標識シアル酸結合プローブを反応させ
る。 (4)ビオチンにアビジンが結合する性質を利用して、
前もってペルオキシダーゼ(HRP)を結合させたスト
レプトアビジン(SA)をビーズ上のプローブ−コレラ
トキシン結合物と反応させて結合させる。 (5)最終的には、ここで結合したペルオキシダーゼが
発色基質を分解して生ずる色を比色定量することによっ
て、試料に含まれていたコレラトキシンの量が測定でき
ることになる。
【0031】本発明に係るコレラトキシン中和活性測定
法(B法)の基本的ステップは、図4に示した。基本的
な反応ステップは次のとおりである。
【0032】(1)コレラトキシンレセプター分子であ
るGM1をポリスチレンビーズにコーティングする。 (2)ビーズ上のGM1にコレラトキシンBサブユニッ
ト(CT−B)を飽和状態に結合させる。 (3)試料とビーズを反応させる。 (4)以下、上記したA法のステップ3以降の反応を順
次行う。 (5)試料中にコレラトキシン中和活性物質が存在する
場合は、プローブの結合量は対照より減少する。この吸
光度の低下分がコレラトキシン中和活性値を示す。
【0033】
【発明の実施の形態】GM1を吸着する担体としては、
従来法のようにマイクロプレートではなく、ポリスチレ
ンビーズを用いる。ポリスチレンビーズとしては、市販
品を含め各種のポリスチレンビーズが適宜使用される。
【0034】該ビーズ上のビオチン標識シアル酸結合プ
ローブ−コレラトキシン結合物と反応、結合せしめるア
ビジンとしては、卵白由来のアビジンのほか、微生物由
来のストレプトアビジン(以下、SAということもあ
る)等各種のアビジンが適宜使用される。
【0035】アビジンには酵素を結合する。酵素として
は、エンザイムアッセイに常用される酵素が広く使用さ
れ、例えば(西洋ワサビ)ペルオキシダーゼ、(大腸
菌)β−ガラクトシダーゼ、(ウシ小腸)アルカリホス
ファターゼ等が広く使用できる。これら酵素の発色基質
としては、β−ガラクトシダーゼの場合は、ο−ニトロ
フェニル−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフ
ェリル−ガラクトピラノシド等が使用され、アルカリホ
スファターゼの場合は、p−ニトロフェニルホスフェー
ト、4−メチルウンベリフェリル−ホスフェート等が使
用される。
【0036】ペルオキシダーゼの発色基質としては、ο
−フェニレンジアミン、p−ヒドロキシフェニル酢酸、
2,2′−アジノビス(3−エチレンベンゾチアゾリン
−6−スルホン酸)(ABTS)、等既知の物質が使用
できるほか、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジ
ジン(TMBZ)、同、ジハイドロクロライド、ジハイ
ドレート(TMBZ・HCl)、N−(3−スルホプロ
ピル)−3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジ
ン、ナトリウム塩(TMBZ・PS)が使用できる。本
発明においては、特に酵素として西洋のワサビペルオキ
シダーゼ(以下、HRPということもある)を用い、発
色基質として特にTMBZ原物質及び同誘導体を用いた
場合に、すぐれた高感度測定が達成された。
【0037】以下、本発明の実施例について述べる。
【0038】
【実施例1】 コレラトキシンの新規高感度測定法(A法) コレラトキシンが含まれるモデル試料として毒性のない
コレラトキシンBサブユニット(CT−B)を用い、ビ
オチン標識シアル酸結合プローブ(以下、プローブ)を
用いて、以下により測定を行った。
【0039】(1)先ずはじめに、使用する市販のポリ
スチレンビーズ(直径3.2mm、和光純薬工業(株)
製、No.163−1129)をメタノール中で60
℃、30分間振とうし、事前洗浄した。 (2)ビーズへの均質かつ定量的なレセプターGM1
吸着方法は、試験管に50個のビーズを入れ、これに3
mlのエタノールと1.25μgのGM1を加え、37
℃で3時間振とうすることにより行った。 (3)GM1吸着ビーズを、マイクロプレート(住友ベ
ークライト、平底96穴、MS−8096F)の各ウエ
ルに1個ずつ入れ、各ウエルに3%BSAを含むブロッ
キング剤を330μl加えビーズおよびプレートウエル
におけるGM1の非吸着部位をブロッキングした。 (4)各ウエル中のビーズに、0.1〜10μg/ml
濃度のCT−B溶液(100μl)を加え、室温で1時
間反応させた。 (5)0.25% BSAおよび0.15M NaCl
を含むPBSにプローブを溶解し(0.001%(w/
v))、各ウエルに100μlずつ加え、振とうしなが
ら室温で30分間反応させた。 (6)ビーズをPBSで洗浄後、HRP−SA(ZYM
ED社製、No.43−4323)をPBSで6,00
0倍希釈した溶液を100μl加え、30分間反応させ
た。 (7)ビーズをPBSで洗浄後、新たなマイクロプレー
トウエルに移し替えてからTMBZ基質溶液を100μ
l加え、室温で1時間振とうして発色させ、マイクロプ
レートリーダーを用いて吸光度(450nm)を測定し
た。
【0040】本法は、従来のマイクロプレート法と比較
して、主として以下の点において相違しており、優れて
いる。 (1)レセプターGM1を、マイクロプレートに直接塗
抹せず、ポリスチレンビーズの表面にコーティングする
ことで、GM1結合量が約5倍に増加した。また、最後
の発色時に、ビーズを新たなウエルに移動させること
で、ウエル表層へのHRP−SAの非特異的な吸着によ
るバックグラウンドの高まりを抑えることが出来た。 (2)プローブは、直接HRPで標識せず、ビオチンに
より標識した。これにより、反応ステップは、一段階多
くなるが、検出感度は向上した。すなわち、ビオチン−
アビジン反応により、より高感度に極微量に試料中に存
在するCTも検出することが可能となった。 (3)発色基質に、より高感度のTMBZを用いたこと
で、CTの検出感度を向上させることが出来た。
【0041】
【実施例2】 コレラトキシン中和活性の新規高感度測定法(B法) CT中和活性を有する物質として既知の「カゼイノグリ
コペプチド(CGP)」をモデル中和活性物質として用
い、CTの毒性を中和・低減化する現象が、本発明で開
発されたB法により正当に評価できることを、以下によ
り確認した。
【0042】(1)市販のポリスチレンビーズをメタノ
ールを用いて加温洗浄した。 (2)ビーズにレセプターGM1を吸着させた。 (3)ビーズに10μg/ml濃度のCT−B溶液10
0μlを加え、室温で6時間反応させ、GM1を飽和さ
せた。 (4)CGPを含む試料(1mg/ml)100μlを
加え、室温で1時間反応させた。 (5)3% BSAを含むPBSで3時間ブロッキング
した。 (6)0.001%(w/v)濃度のプローブ100μ
lを加え、30分間反応させた。 (7)PBSで6,000倍希釈したHRP−SAを1
00μl加え、30分間静置した。 (8)TMBZを100μl加え、室温で15分間振と
うし、マイクロプレートリーダーを用いて450nmに
おける吸光度を測定した。各反応ステップでは、ビーズ
をPBSで3回くり返して洗浄した。
【0043】中和活性は、次のようにして評価した。 中和活性(%)=(1−A/B)×100 A:吸光度(試料測定時) B:吸光度(対照、試料未添加)
【0044】実験結果を図10に示した。ロットの異な
る4種のCGP(1〜4)では、25〜30%のコレラ
トキシン中和活性を示した。一方、シアル酸を除去した
アシアロCGP(a−CGP)では、5%以下の中和活
性値しか示さず、シアル酸の量依存的な中和活性が認め
られた。
【0045】本検出法では、1μg/ml以下のCGP
濃度の場合でも、CTを中和する能力を有することを確
認することができ、本検出法が中和活性測定法としてき
わめてすぐれていることが立証された。
【0046】本測定法によれば、このように中和活性成
分の中和活性が効率よくしかも正確に測定できるだけで
なく、未知の中和活性成分を本測定法によってスクリー
ニングすることも可能となり、本測定法を利用すること
によって新規CT解毒剤の開発も大いに可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明によって、コレラトキシン及びそ
の中和活性を測定するための高感度測定法がはじめて確
立され、コレラトキシン及びその中和活性を迅速且つ正
確に測定することが可能となり、また、本発明によれば
新規な中和活性物質のマススクリーニングも可能とな
る。
【0048】更に本発明によれば、GM1、ポリスチレ
ンビーズ、ビオチン標識シアル酸結合プローブ、酵素結
合(ストレプト)アビジン、発色基質及び他の必要成分
をセットにしたコレラトキシンまたはその中和活性測定
キットを組むことができ、上記した測定法の確立と相ま
って、すぐれた測定システムを確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コレラトキシンのサブユニット構造モデルを示
す。分子は毒性の本体であるAサブユニットと、GM1
結合性を有する5つのBサブユニットから成る。
【図2】モノシアロガングリオシドGM1(コレラトキ
シンレセプター)における結合糖鎖の化学構造を示し、
実線部分は、コレラトキシンBサブユニットの認識・結
合するエピトープ部位を示す。
【図3】コレラトキシンの新規高感度測定法(A法)の
模式図である。
【図4】モデル中和活性物質CGPを用いてのコレラト
キシン中和活性測定法(B法)の模式図である。
【図5】吸着基材の検討図である。
【図6】コレラトキシンBサブユニットによるビーズ上
のGM1に対する飽和結合時間の検討図である。
【図7】ブロッキング剤の検討図である。
【図8】ビオチン標識シアル酸結合プローブの濃度検討
図である。
【図9】発色基質の検討図である。
【図10】モデル中和活性物質CGP(4種)およびア
シアロCGPを用いてのコレラトキシン中和活性の測定
結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 C12Q 1/28 G01N 33/566

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程からなることを特徴とするコレ
    ラトキシン中和活性の測定方法。 (a)モノシアロガングリオシドGM1をポリスチレン
    ビーズに結合させる; (b)モノシアロガングリオシドGM1を5量体である
    コレラトキシンBサブユニットで飽和結合させる; (c)コレラトキシン中和活性物質を含む可能性のある
    試料を反応させる; (d)ビオチン標識シアル酸結合プローブ(以下、プロ
    ーブ)を反応させる; (e)前もって酵素を結合したアビジンまたはストレプ
    トアビジンを、該ビーズ上のプローブ−コレラトキシン
    結合物と反応させる; (f)発色基質を加えて、酵素分解によって生じる色を
    比色する。
  2. 【請求項2】 酵素としてペルオキシダーゼを用い、発
    色基質として3,3’、5,5’−テトラメチルベンチ
    ジン(TMBZ)、同塩酸塩(TMBZ・HCl)又は
    同スルホプロピル誘導体(TMBZ・PS)を使用する
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 プローブの添加量をコレラトキシンまた
    はそのBサブユニット量よりも過剰量に用い、測定値の
    低下分をコレラトキシン中和活性値とすること、を特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 モノシアロガングリオシドGM1、ポリ
    スチレンビーズ、5量体であるコレラトキシンBサブユ
    ニット、ビオチン標識シアル酸結合プローブ、酵素結合
    アビジン(またはストレプトアビジン)及び発色基質を
    含有することを特徴とするコレラトキシン中和活性測定
    用キット。
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