JP3194446B2 - 電子伝達体を標識物質とする免疫学的検出方法 - Google Patents

電子伝達体を標識物質とする免疫学的検出方法

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三知夫 浜
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵素以外の電子伝達体
を標識物質として用い、被検試料中の標的物質を免疫学
的に検出する方法に関する。更に、当該電子伝達体を標
識化した物質にも関する。
【0002】
【従来の技術】被検試料中の標的物質、とりわけ生体試
料中の微量成分の測定に免疫学的測定方法が利用されて
久しい。これら成分の大部分の被検試料中の含有量は一
般にはμg/mlのオーダー又はそれ以下であり、例えば
抗原抗体反応により生成する複合体を免疫拡散法やレー
ザーネフェロメトリー等により直接的に測定する手段で
は検出感度に限界があるため、抗原か抗体の一方を何か
の物質で標識し、それに基づく信号を検出する方法、い
わゆる標識免疫測定法が多用されている。その標識物質
として放射性同位元素( 125I、32P等)、蛍光物質
(フルオレセインイソチオシアネート等)、酵素(ペル
オキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラ
クトシダーゼ等)、金属(金コロイド等)、又は発光物
質(アクリジニウムエステル、ルミノール等)などが用
いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の標識物質の内、放射性同位元素は安定性の面で問題が
あるだけでなく、その使用には設備面で制約があった。
また。酵素標識や金属標識も安定性に問題があった。従
って、本発明の目的は、安定で設備的な制約のない標識
物質を提供し、その標識物質を用いる免疫学的検出方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
より、被検試料中の標的物質を免疫学的に検出する方法
において、標的物質又はそれと特異的に結合する物質の
いずれか一方と、酵素以外の電子伝達体とを、前記標的
物質又はそれと特異的に結合する物質が有している官能
基で直接結合させるか、あるいは、官能基2個以上を有
するリンカー剤を介して結合させることにより標識し、
当該標識物質に由来する信号を検出することにより被検
試料中の標的物質を検出することを特徴とする免疫学的
検出方法によって達成することができる。また、本発明
は酵素以外の電子伝達体を、被検試料中の標的物質又は
それと特異的に結合する物質が有するチオール基又は人
為的に導入したチオール基に結合させたことを特徴とす
る標識化物質にも関する。
【0005】本明細書において被検試料とは、標的物質
を含有するおそれのある試料、特に生体試料であり、例
えば、血液、血清、血漿、尿、唾液、髄液等の生体液
や、細胞及び組織抽出物等をいう。標的物質とは、前記
の被検試料中に含まれる検査対象物質であって、免疫学
的反応により検出することのできる任意の生理活性物質
をいう。具体的には、タンパク質、酵素、糖類、脂質、
核酸などであり、例えば、各種抗原、抗体、レセプター
などが挙げられる。更には、フィブリノーゲン、アルブ
ミン、C反応性タンパク質、抗ストレプトリジンO、リ
ウマチ因子、アルファーフェトプロテイン(AFP)、
梅毒トレポネーマ抗体、HBs抗体、HBc抗体、HB
e抗体、HTLV−Iに対する抗体、HIVに対する抗
体等も挙げることができる。また、低分子化合物である
ハプテン、例えばホルモン、抗てんかん薬などの各種薬
剤、並びにハプテンに対する抗体を挙げることもでき
る。従って、前記の標的物質と特異的に結合する物質と
は、前記の各種生理活性物質やウイルス等を抗原とする
抗体、或いは各種抗体に対する抗原などの、標的物質に
対する一方の免疫学的パートナーをいう。
【0006】本発明において標識として用いる電子伝達
体とは、電子供与体から電子を受取って還元され、つい
で電子受容体に電子を渡して酸化されることのできる物
質をいう。換言すれば、酸化還元反応の触媒機能を有す
る物質をいう。広義には、酵素もこの概念に含まれる
が、本発明では、免疫学的検出における標識物質とし
て、酵素以外の電子伝達体を使用する。標識物質として
使用することのできる物質としては、前記の作用を有す
る酵素以外の物質であれば良く、好適にはアジン又はオ
キサジンを含む多環式化合物が挙げられる。
【0007】具体的には、例えば、一般式(1)
【化1】 で表されるフェナジニウム化合物が好ましい。特に、1
−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフェ
ートが好適に使用できる。
【0008】また、一般式(2)
【化2】 で表されるフェナゾキソニウム化合物も好ましい。
【0009】特に、式(3)
【化3】 で表される9−ジメチルアミノベンゾ−α−フナゾキ
ソニウムクロライド(商品名:メルドラブルー)が好適
に使用できる。
【0010】前記の電子伝達体標識物質を、検査対象・
標的物質又はそれと特異的に結合する物質のいずれか一
方に標識して用いることができる。例えば、検査対象・
標的物質が、血清試料中に含まれる可能性のある抗原で
ある場合には、それと同じ抗原又はその抗原に対する抗
体のいずれか一方に前記の電子伝達体標識物質を結合さ
せる。
【0011】電子伝達体標識化物を調製するには、被標
識化物が本来的に有している官能基を利用して直接結合
させることもできるが、好適には、官能基2個以上を有
するリンカー剤を用いて電子伝達体を結合させることが
できる。従来から、酵素を抗原又は抗体に結合するため
の多くの手段が知られている。例えば、酵素のアミノ基
と抗体のアミノ基とを利用するグルタルアルデヒド法、
酵素の糖残基と抗体のアミノ基とを利用する過ヨウ素酸
法、酵素のアミノ基と抗体のチオール基とを利用するマ
レイミド法、酵素のチオール基と抗体のチオール基とを
利用するマレイミド法、酵素のアミノ基と抗体のチオー
ル基とを利用するピリジル・ジスルフィド法等があり、
種々の試薬も開発されている。しかしながら、本発明の
標識物質である酵素以外の電子伝達体を標識として生理
活性物質に結合させることは従来知られておらず、単に
キノン類がチオール基と結合し、S−S結合又はチオー
ル誘導体を形成するという報告〔Chem.Pharm.Bull.,16
(12),2334,1968 〕があるに過ぎない。
【0012】本発明者が見出したところによれば、標的
物質又はそれと特異的に結合する物質の1分子当たりに
結合させることのできる電子伝達体(本発明の標識物
質)の数は、被標識化物質の性質や電子伝達体の性質に
よって0.01〜100個の範囲でかなり変動する。更
に、本発明の電子伝達体と還元型グルタチオンや抗体、
アルブミンなどのタンパク質中に存在するシステイン部
分のチオール(−SH)基との間で、化学量論的に酸素
を伴って、反応が起きることも認められた。従って、本
発明においては、標識物質の結合にチオール基を利用す
るのが好都合である。結合に用いられる官能基がチオー
ル基の場合には、被標識物質において生理学的活性を損
なわない範囲で使うことのできる官能基数には制限があ
るため、リンカー剤を用いて、新たに官能基を導入する
のが好ましい。例えば、被標識物質としてペプチドやタ
ンパク質を用いる場合には、S−アセチルメルカプトサ
クシニックアンヒドライド、N−サクシニミジル−3−
(2’−ピリジルジチオ)プロピオネート、メチル−3
−(4’−ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メ
チル−4−メルカプトブチルイミデート、イミノチオレ
ン等のリンカー剤によりチオール基を導入することがで
きる。特に好適には、2−イミノチオレン塩酸を用いて
弱酸性から弱アルカリ性下でアミノ末端又はリジンなど
の一級アミンと反応させることによりチオール基を導入
し、脱塩により過剰の2−イミノチオレン塩酸を除去し
た後、本発明の標識物質である電子伝達体と混和するこ
とによって目的の電子伝達体標識化物質を得ることがで
きる。
【0013】このように標的物質又はそれと特異的に結
合する物質に酵素以外の電子伝達体を結合させて調製し
た本発明の標識化物質は、従来公知の標識免疫検出方法
に使用することができる。その反応系もB/F分離を必
要としない均一系又はB/F分離を必要とする不均一系
のどちらにも適用することができる。また、反応雰囲気
も液体中だけでなく、濾紙(試験片)上等で免疫反応を
行ういわゆるドライの状態でも実施することができる。
具体的には、標的物質に対する抗体を一次抗体として予
め固定したポリスチレン固相に、標的物質を含む被検試
料を加えて反応させた後、洗浄してB/F分離を行う。
前記の一次抗体に結合し固相化した標的物質は、予め標
的物質に対する抗体に前記の標識物質を結合させて調製
した電子伝達体標識化抗体を二次抗体として用いて反応
させる。未反応物質を除去するために洗浄し、固相化し
た電子伝達体量を測定することにより標的物質の定量を
行うことができるまた、予め作成しておいた電子伝達
体標識化抗体を用いて標的物質との間で反応させ、B/
F分離を行うことなく、その反応系内において続けて電
子伝達体量を測定することによっても、同様に標的物質
の定量が可能である。他方、例えば尿検査のような試験
片での簡易測定の場合では、予め電子伝達体標識化抗体
と該標識物質からの信号測定に必要な成分とを、各々試
験片の別区画に乾燥保持させ、試料塗布の際に両者が混
合するように配置することによって、標的物質を簡便に
測定することができる。また、必要があれば標的物質又
はその類縁体に電子伝達体を結合させた標識化物質と、
標的物質に対する抗体とを同様に乾燥保持させることに
よっても測定が可能である。
【0014】免疫反応が終了した後、標識物質由来の信
号を検出することによって、被検試料中の標的物質を定
性的又は定量的に測定することができる。即ち、本発明
の標識物質は酵素以外の電子伝達体(酸化還元反応を触
媒する物質)であるので、適当な電子供与体と電子受容
体が必要となる。電子供与体とは、他の分子又はイオン
に電子(水素)を与える原子、イオン又は分子をいう。
具体的には、ベンゼン又はナフタリンなどの芳香族炭化
水素及びそれらの種々の置換体、例えば、フェノール
類、アニリン類又は安息香酸等、またFe++や金属など
の還元剤、アミンなどの塩基物質、コハク酸、また還元
型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)
や還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
(NADPH)等の補酵素などの、いわゆる親核的試薬
の中から適宜選択して使用することができる。電子受容
体とは、電子供与体から電子(水素)を受ける原子、イ
オン又は分子をいう。電子受容体は電子供与体から電子
を受け取って電子供与体を酸化し、自らは還元される。
具体的には、キノリン類、チアジン類、アゾール類、ア
クリジン類などの染料系化合物、例えばメチレンブルー
やテトラゾリウム塩などの種々の合成色素、あるいは酸
素、蛍光物質又は発光物質などの、いわゆる親電子試薬
の中から適宜選択して使用することができる。また、こ
れら電子供与体及び電子受容体の添加濃度は、それぞれ
の反応形態や標的物質の濃度等によって当業者であれば
適宜選択・調整して使用することができる。一例として
は、電子供与体としてNAD(P)Hを、電子受容体と
してテトラゾリウム塩を組み合わせて用いることができ
る。あるいは、電極を用いて測定することもできる。
【0015】例えば、血清中のα−フェトプロテインを
本発明方法により測定する場合には、標識物質として1
−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェ
ートを抗α−フェトプロテイン特異抗体に結合し、標識
物質の濃度として10μM程度に調整した試薬50μl
を、血清50μlと混合して免疫反応を行い、その後電
子供与体として5mMのNADH、電子受容体として
3,3’−〔3,3’−ジメトキシ−(1,1’−ビフ
ェニル)−4,4’−ジイル〕−ビス〔2−(p−ニト
ロフェニル)−5−フェニル−2Hテトラゾリウムクロ
ライド(NBT)0.3mMを含む試薬500μlを添
加し、生成する着色物質を比色法で検出することによっ
てα−フェトプロテインを定量的に測定することができ
る。また、血清中のアルブミンを均一系により本発明方
法で測定する場合には、標識物質として9−ジメチルア
ミノベンゾ−α−フェナゾキソニウムクロライドをアル
ブミンに結合し、標識物質の濃度として20μM程度に
調整した試薬50μlを、血清50μl及び抗アルブミ
ン抗体50μlと混合して免疫反応を行い、続いて前記
と同様の操作により、アルブミンを定量的に測定するこ
とができる。
【0016】
【作用】本発明においては、標的物質又はそれと特異的
に結合する物質のいずれか一方、例えば1対の免疫学的
パートナーのいずれか一方に電子伝達体が標識として付
されている。従って、従来から公知の標識免疫検出方法
に本発明を適用した場合に、免疫反応の結果、標的物質
を介して固相化された該電子伝達体は、その固相化量を
一義的に標的物質量に対応させることができるため、適
当な電子供与体と電子受容体の存在下に検出することが
できる。他方、B/F分離を必要としない均一系の場合
には、この1対の免疫学的パートナー相互の免疫反応に
よって複合体が形成されると同時に、前記電子伝達体が
その複合体中に含有されることになり、前記の固相化の
場合と異なり、自由溶液中で電子伝達体の活性は、免疫
反応前に比べて必ず低下する現象が認められることを本
発明者が見出した。すなわち、免疫反応の前後で、電子
伝達体の活性に差異が発生する。しかも、この活性の低
下は免疫複合体中に含有される電子伝達体の量に比例す
る。従って、本発明の測定系では、免疫反応の後で、免
疫反応複合体と未反応物との分離を行う必要がなく、均
一系での検出が可能となる。この理由は現在のところ不
明であるが、免疫複合体の形成に伴って生じた立体障害
に起因する、例えば活性阻害作用を有する巨大分子との
結合(接近)の阻害(特公昭63−1544号公報)や
標識基質と酵素との結合に対する阻害(R.C.Boguslaski
他, Immunoassays Clinical Laboratory Techniques fo
r the 1980s, ed.R.M.Nakamura他,p.45,1980,Alan R.Li
ss,Inc.,New York) といった内容とは、低分子の電子供
与体と電子受容体を用いていること、および標識が免疫
学的パートナーのいずれか一方に付されていることか
ら、明確に区別できるものである。
【0017】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:標識アルブミンの調製 ヒト由来アルブミン7.2mgを、1mMEDTAを含む5
0mMリン酸緩衝液(pH7.0)1.0mlに溶解した。こ
の溶液に対し、0.5Mトリエタノール塩酸緩衝液(pH
8.0)に溶解した120mMの2−イミノチオレン塩酸
塩溶液50μlを添加し、25℃で30分間反応させ
た。反応液を、予め1mMEDTAを含む50mMリン酸緩
衝液(pH7.0)で平衡化したセファデックスG−25
(直径1.5cm×高さ20cm)カラムに注入し、高分子
画分を分取した。この画分の一部を取り、DTNB法
(Clin.Chim.Acta,130,257−2
61,1983)で導入SH基数を計測した結果、アル
ブミン1分子当たりSH基7.5個が導入されているこ
とを確認した。続いて、この画分(SH基濃度0.11
mM)に対し10mMの1−メトキシ−5−メチルフェナジ
ニウムメチルスルフェート(m−PMS)水溶液200
μlを加え、室温で一夜放置した。得られた溶液を、前
記と同様に平衡化したセファデックスG−25カラムに
注入し、高分子画分を分取した。
【0018】実施例2:競合反応によるアルブミンの測
(1)抗原抗体反応 実施例1で調製した標識アルブミンを、1mMEDTAを
含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で100倍に希釈
し、この希釈液を標識アルブミン溶液とした。抗体とし
ては、抗ヒトアルブミンIgG画分(ヤトロン)を、
0.15MNaClを含む10mMリン酸緩衝液(PB
S)(pH7.0)で128倍に希釈し、この希釈液を抗
体溶液とした。また試料は、4.5%牛アルブミンPB
S溶液で各種の濃度に希釈して用いた。標識アルブミン
溶液50μl、試料50μl、PBSに溶解した6%ポ
リエチレングリコール50μl、及び抗体溶液50μl
を混和し、37℃に8分間加温した。 (2)検出方法 0.37%Triton X−100と0.37mMの
3,3’−〔3,3’−ジメトキシ−(1,1’−ビフ
ェニル)−4,4’−ジイル〕−ビス〔2−(p−ニト
ロフェニル)−5−フェニル−2Hテトラゾリウムクロ
ライド〕(NBT)とを含む0.1M酢酸緩衝液(pH
5.0)を(A)液とし、25mMNADH水溶液を
(B)液とし、そして0.1NHClを(C)液とし
た。上記の抗原抗体反応開始から8分経過後に、(A)
液:(B)液を4:1の比率で混和した混合液0.5ml
を添加し、37℃に30分間加温した。この混合液に
(C)液1mlを加えて反応を停止させた後、主波長60
0nm及び副波長750nmで比色定量した。 (3)結果 図1に示すとおり、400ng/mlから良好な標準曲線が
得られた。
【0019】実施例3:標識抗体の調製 ペプシン消化して調製した抗ヒトフィブリノーゲン特異
抗体のF(ab’)2画分12.4mgを50mMリン酸緩
衝液(pH7.8)1.9mlに溶解した溶液に、0.5M
トリエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶解
した60mM2−イミノチオレン塩酸塩溶液95μlを加
え、25℃で110分間加温した。得られた反応液を、
予め1mMEDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.
0)で平衡化しておいたセファデックスG−25(直径
1.5cm×高さ20cm)カラムに注入した。高分子画分
をプール(2ml)し、DTNB法でSH基数を測定した
結果、F(ab’)2 1分子当たりSH基13個が導入
されていることを確認した。このSH基濃度0.11mM
の画分に対して10mMメルドラブルー(MB)水溶液4
4μlを加え、室温で一夜放置した。沈殿物を遠心分離
(3000rpm,10分間)で除去し、得られた上清
の全量を、前記と同様に平衡化したセファデックスG−
25カラムに注入し、高分子画分を分取した。
【0020】実施例4:非競合反応によるフィブリノー
ゲンの測定 (1)抗原抗体反応 実施例3で調製した標識抗体を、1mMEDTAを含む5
0mMリン酸緩衝液(pH7.0)で5倍に希釈し、これを
標識抗体溶液とした。試料としては、ヒトフィブルノー
ゲンを4.5%牛アルブミン含有PBS溶液で各種の濃
度に希釈して用いた。標識抗体50μl、試料50μ
l、及びPBSに溶解した6%ポリエチレングリコール
50μlを混和して37℃に8分間加温した。 (2)検出方法 前記実施例2(2)で用いたNADH含有(B)溶液に
替えて、NADPHを含有する(B)溶液を用いたが、
(A)液及び(C)液は前記実施例2(2)と同じ液を
用いた。抗原抗体反応の開始から8分経過後に、(A)
液:(B)液を4:1の比率で混和した混合液0.5ml
を添加し、37℃に30分間加温した。続いて(C)液
1mlを加えて反応を停止させ、波長560nmで比色測定
した。 (3)結果 図2に示すように、ヒトフィブリノーゲン100ng/ml
から良好な標準曲線が得られた。
【0021】実施例5:非競合反応による抗体の測定 (1)標識ヒトIgG F(ab’)2 の調製 実施例3の標識抗体の調製と同様に予めペプシン消化し
ておいたヒトIgGのF(ab’)2 画分を用いた。た
だし、2−イミノチオレン塩酸塩との反応は25℃で8
0分間行った。導入されたSH基数はF(ab’)2
分子当たり10個であった。このSH基濃度0.12mM
の画分に対して10mMフェナジンメトサルフェート(P
MS)水溶液200μlを加え、室温に一夜放置した。
遠心分離(3000rpm;10分間)で沈殿物を除去
し、その上清を、実施例3と同様のセファデックスG−
25カラムに注入し、高分子画分を分取した。試料とし
ては、抗ヒトIgGウサギ抗体(ヤトロン)を、4.5
%牛アルブミンを含むPBSで各種濃度に希釈した。 (2)抗原抗体反応 1mMEDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で
20倍希釈した標識ヒトIgG F(ab’)2 20μ
l、試料100μl、及びPBSに溶解した6%ポリエ
チレングリコール100μlを混和し37℃に5分間加
温した。 (3)検出方法 0.37%Triton X−100と0.37mMNB
Tとを含む0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)を(A)液
とし、25mMNADH水溶液を(B)液とし、予め
(A)液と(B)液とを4:1の比率で混和しておく。
抗原抗体反応の開始から5分経過後に(A)液と(B)
液の混合液1mlを加え、37℃に5分間加温しながら波
長560nmの吸光度の変化をモニターした。 (4)結果 短時間反応の場合にも図3から明らかなように、抗体濃
度に依存した活性変化が見られた。
【0022】
【発明の効果】本発明の検出方法によれば、安定な標識
物質を用いて、特殊な装置を用いる必要もなく、免疫学
的検出を実施することができ、しかも、B/F分離を行
わずに均一系にて検出操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】競合反応によるアルブミン測定の結果を示すグ
ラフである。
【図2】非競合反応によるフィブリノーゲン測定の結果
を示すグラフである。
【図3】非競合反応による抗体測定の結果を示すグラフ
である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検試料中の標的物質を免疫学的に検出
    する方法において、標的物質又はそれと特異的に結合す
    る物質のいずれか一方と、酵素以外の電子伝達体とを、
    前記標的物質又はそれと特異的に結合する物質が有して
    いる官能基で直接結合させるか、あるいは、官能基2個
    以上を有するリンカー剤を介して結合させることにより
    標識し、当該標識物質に由来する信号を検出することに
    より被検試料中の標的物質を検出することを特徴とする
    免疫学的検出方法。
  2. 【請求項2】 電子伝達体として酵素以外の酸化還元反
    応を触媒する物質を用いる請求項1に記載の免疫学的検
    出方法。
  3. 【請求項3】 酵素以外の電子伝達体を、被検試料中の
    標的物質又はそれと特異的に結合する物質が有するチオ
    ール基又は人為的に導入したチオール基に結合させたこ
    とを特徴とする標識化物質。
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