JPH0921889A

JPH0921889A - ワンピース構造腕時計側の製造方法

Info

Publication number: JPH0921889A
Application number: JP17252095A
Authority: JP
Inventors: Katsuo Museki; 勝男無関
Original assignee: Seiko Instruments Inc
Current assignee: Seiko Instruments Inc
Priority date: 1995-07-07
Filing date: 1995-07-07
Publication date: 1997-01-21

Abstract

(57)【要約】【構成】母材にマスキングし、貴金属のエレクトロフ
ォ−ミング法で析出膜を作り母材を強酸で溶解して薄く
高強度の裏蓋部を有するワンピース構造時計側の製造方
法。【効果】本発明によれば、必要量の貴金属を有効に析
出させるので所謂材料ロスが極端に少なく加工する事が
出来る。また、析出金の特徴ともいうべき硬度が高いの
で、比較的膜厚が薄くても強度が保持される。さらに、
エレクトロフォ−ミング加工は通常母材を強酸で溶かす
場合に敢えて開口部を設けるため穴明け等の工程が必要
になり、しかも、小穴のため、溶解時間が/₆M ₆₆時間を
要する。そして、溶解終了後小穴を塞ぐロ−付け工程ま
で必要になる。本発明ではこれらの工程が全く省かれ、
工程短縮が図られるばかりか、マスキング部全体が母材
を強酸で溶かす開口部（裏蓋内面部）となるため、非常
に広い面積で母材を溶かすことになり、溶解時間は通常
の１／１０程度に短縮される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は主に貴金属材料を用いた
腕時計側に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、貴金属等の素材で腕時計側を製造
する場合、多くは⁰¹造による成形加工が施される。この
場合は金の付け目を気にせず、重量感のある腕時計側が
得られるが、材料ロスも多くコストが高い製造法であ
る。近年薄板（４０／１００mm厚み等）を用いた所謂絞
り加工による成形を施し、材料ロスも少ない合理的な製
造法に移りつつある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、薄板絞り成形
は、⁰¹造式よりは材料ロスが少ないことは間違いない
が、ブランク抜きかす等の回収ロスは避けられない。ま
た、加工技術上および強度機能上、最低厚みで４０／１
００mmは必要であり、さらに厚みを薄くすることは不可
能であった。省資源の見地から、またユーザーに廉い商
品を提供する立場から、付け目低減が課題となってい
た。また、裏蓋厚みが時計側の総厚みに効いてくるの
で、総厚みをより薄くするために、裏蓋厚みをおさえな
ければならない。そこで、本発明の目的は、かかる課題
を解決するために材料ロスが極端に少なく、厚みが４０
／１００mm以下でも強度が保持可能な貴金属腕時計の側
を実現するものである。また、裏蓋高さの画期的改善に
より、総厚みを薄く即ち薄型の時計を提供することであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係わる腕時計側において、貴金属素材など
で構成される処理液を用いてエレクトロフォーミング成
形を施す。この時使用される母材の裏蓋内面部にあらか
じめマスキングして、電気的に不活性処理をしておく。
しかるのち、厚みが１５０〜３００μになるように条件
設定してエレクトロフォーミング成形を施す。裏蓋内面
部はマスキング効果により析出膜がないのでこの部分が
酸処理などによる母材の溶解時に開口部になる。このよ
うな工程を経て得た腕時計側は胴の外側と内側に各々、
膜厚１５０〜３００μの貴金属膜が形成され、中間には
母材の厚み相当分の中空層ができる。裏蓋部も本来なら
内側膜と外側膜が形成され、その膜間に中空層となる筈
だが、裏蓋内面部に前述のマスキングをしたため貴金属
膜が形成されず、中空層も存在しない。

【０００５】

【実施例】以下に本発明の実施例を図に従って説明す
る。図１は本発明の製造方法をもちいたワンピース構造
の腕時計側の要部断面図である。図１のワンピース構造
の腕時計側において、洋白材等比較的加工性の良い銅合
金等を用い、母材を⁰¹造、切削、研磨等により製造す
る。この時、想定完成寸法から、目的とするエレクトロ
フォーミングの厚み、例えば 250μを差し引いた寸法に
仕上げておく。また、表面の磨き等はそのまま転写させ
るのでことさら丁寧に磨いておくことが肝要である。こ
うして得られた母材の裏蓋１の内面部に塗料型のマスキ
ング剤２を丁寧に塗布し、電気的に不活性処理をしてお
く。しかるのち、厚みが１５０〜３００μになるように
条件設定してエレクトロフォーミング成形を施すのであ
る。本実施例で使用したメッキ浴の一例(Degussa製) を
表１に示す。

【０００６】

【表１】

【０００７】表１で示すメッキ浴を用いて、コンピュー
タ制御によるメッキ装置で膜厚み等を管理しながら所定
の寸法になるように金合金（１８Ｋ）を析出させる。裏
蓋内面部はマスキング効果により析出膜がないのでこの
部分が酸処理などによる母材の溶解時に開口部になる。
次に母材に析出させた金合金（１８Ｋ）の腕時計側のま
ま、硝酸等の強酸に浸漬して、洋白等銅合金で造られて
いる母材のみを溶解する。金合金（１８Ｋ）は溶かされ
ずにそのまま残って中空の１８Ｋ腕時計側を得る事がで
きる。ただし、あらかじめ仕込んだ裏蓋内面部のマスキ
ング効果により、裏蓋部は中空ではなく一枚板の状態で
得ることが出来る。このような工程を経て得た腕時計側
を図２に示す。図２の腕時計側は、胴の外側３と内側４
に各々、膜厚１５０〜３００μの貴金属膜１０が形成さ
れ、中間には母材の厚み相当分の中空層ができる。裏蓋
部分の貴金属膜１０も本来なら内側膜と外側膜が形成さ
れ、その膜間に中空層となる筈だが、裏蓋内面部に前述
のマスキングをしたため貴金属膜が形成されず、中空層
も存在しない。このように腕時計側の横幅等は中間が中
空のため、ボリュウム感があり、軽い付け目のエレクト
ロフォーミングのメリットを享受しながら、縦方向、即
ち総厚みでは裏蓋高さが中空層がないため、一枚板の状
態となりその分時計の薄型化に対応できる。また、この
ようにして形成された析出金属相である時計側は、表２
に示されるように硬度も⁰¹造式で加工した場合よりも高
い状態が得られる。

【０００８】

【表２】

【０００９】しかし、色調は白っぽいので最終的には色
上げメッキを施し、完成させる。また、腕時計としての
基本品質である代表的な特性の評価結果は表３に示した
通り、落下衝撃、防水性等が維持でき、強度的にも問題
ない。表３に本発明の実施例で得た腕時計側の特性テス
ト評価表を示す。

【００１０】

【表３】

【００１１】

【発明の効果】以上のべたように、本発明によれば、必
要量の貴金属を有効に析出させるので所謂材料ロスが極
端に少なく加工する事が出来る。また、析出金の特徴と
もいうべき硬度が高いので、比較的膜厚が薄くても強度
が保持される。さらに、エレクトロフォーミング加工は
通常母材を強酸で溶かす場合に敢えて開口部を設けるた
め穴明け等の工程が必要になり、しかも、小穴のため、
溶解時間が/₆M ₆₆時間を要する。そして、溶解終了後小
穴を塞ぐロー付け工程まで必要になる。本発明ではこれ
らの工程が全く省かれ、工程短縮が図られるばかりか、
マスキング部全体が母材を強酸で溶かす開口部（裏蓋内
面部）となるため、非常に広い面積で母材を溶かすこと
になり、溶解時間は通常の１／１０程度に短縮される。
このように、本発明で得た貴金属腕時計側は省資源型の
廉価でしかも薄型の時計を市場に提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の腕時計側（母材）の要部断面図であ
る。

【図２】本実施例の腕時計側をエレクトロフォーミング
法で得た NO 腕時計側の要部断面図である。

【符号の説明】

１裏蓋母材２マスキング剤３胴の外側４胴の内側１０貴金属膜

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】貴金属素材で構成されるメッキ液を用い
エレクトロフォーミング法で得る腕時計側において、側の側面部に中空を有し裏蓋部は一枚板の析出金合金で
あることを特徴とするワンピース構造腕時計側。
【請求項２】貴金属素材で構成されるメッキ液を用い
エレクトロフォーミング法で得る腕時計側の製造方法に
おいて、使用される母材の裏蓋内面部にあらかじめマス
キングして電気的に不活性処理を施し、メッキ浴を行
い、平均析出厚みが３００μ以下の金合金を析出させ、
強酸に浸漬して母材のみを溶解し、全体が中空構造を有
しながら裏蓋部のみが中空にならない胴と裏蓋が一体の
ワンピース構造腕時計側の製造方法。