JPH09218302A - 偏光板用保護フィルム及びその作成方法 - Google Patents

偏光板用保護フィルム及びその作成方法

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JPH09218302A
JPH09218302A JP8023883A JP2388396A JPH09218302A JP H09218302 A JPH09218302 A JP H09218302A JP 8023883 A JP8023883 A JP 8023883A JP 2388396 A JP2388396 A JP 2388396A JP H09218302 A JPH09218302 A JP H09218302A
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JP
Japan
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film
transparent resin
polarizing plate
sample
solvent
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Application number
JP8023883A
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English (en)
Inventor
Isamu Michihashi
勇 道端
Koichi Nagayasu
浩一 永安
Toru Kobayashi
徹 小林
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光板用保護フィルムの片面だけに表面加工
を施した場合や、両面に異なる種類あるいは異なる表面
加工を施した場合などに起こるカール現象を防止する。 【解決手段】 透明樹脂フィルムの少なくとも片面を溶
剤処理する或いは透明樹脂層を有することを特徴とする
偏光板用保護フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏光板用保護フィル
ムに関するものであり、詳しくはカール防止された偏光
板用保護フィルム及びその作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来偏光板用保護フィルムとしてはトリ
アセチルセルロース系樹脂フィルムが用いられてきてい
るが、近年様々な用途、多様な環境で偏光板が使用され
るようになり、従来にない付加価値を持った偏光板や偏
光板用保護フィルムが期待されるようになってきてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の重要な構成要
素として偏光子を保護することを主たる目的とする偏光
板用保護フィルムが挙げられるが、当該保護フィルムの
取扱易さは偏光板の製造効率に大きく影響する。特に、
当該保護フィルムの巻癖や、表面加工などを由来とする
カールを如何にして防止するかは重要な課題である。
【0004】偏光板用保護フィルムの片面だけに表面加
工を施した場合や、両面に異なる種類あるいは異なる程
度の付加価値を付与するために表面加工を施した場合な
どには、フィルムが丸まってしまうというカール現象が
起こり易い。カールしてしまうとこれを用いて偏光板を
作成する際に取扱いにくく不都合である。
【0005】このようなカールを防止することにより、
カールによる不都合を解消し、かつ偏光板用保護フィル
ムとしての機能を損なわないような技術を見い出すこと
が課題であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)透明樹
脂フィルムの少なくとも片面を溶剤で処理することを特
徴とする偏光板用保護フィルムであり、これによって偏
光板用保護フィルムの基本的機能を損なうことなく、ま
た何らかの付加価値を付与した場合であってもこの機能
を損なうことなく、該フィルムのカールを防止すること
ができ、偏光板作成時の有効巾を増加させ、偏光板の生
産収率を向上することができる。
【0007】本発明は、(2)透明樹脂フィルムの少な
くとも片面を溶剤で処理することを特徴とする偏光板用
保護フィルムの作成方法であり、これによってカール防
止された偏光板用保護フィルムを作成でき、偏光板の生
産収率を向上することができる。
【0008】本発明は、(3)透明樹脂フィルムの少な
くとも片面に透明樹脂層を有することを特徴とする偏光
板用保護フィルムであり、これによって偏光板用保護フ
ィルムの基本的機能を損なうことなく、また何らかの付
加価値を付与した場合であっても、この機能を損なうこ
となく、該フィルムのカールを防止することができ、偏
光板作成時の有効巾を増加させ、偏光板の生産効率を向
上することができる。
【0009】(1)で示した本発明の好ましい態様とし
ては、(1a)透明樹脂フィルムの片面に微粒子含有活
性線硬化樹脂層を有し、反対側を溶剤で処理することを
特徴とする偏光板用保護フィルムであり、これにより当
該フィルムの耐久性と防眩性を確保しつつ、カール防止
することができ、ひいては偏光板の生産収率を上げるこ
とができる。
【0010】(2)で示した本発明の好ましい態様とし
ては、(2a)片面に微粒子含有活性線硬化樹脂層を有
する透明樹脂フィルムの反対面を溶剤で処理することを
特徴とする偏光板用保護フィルムの作成方法であり、こ
れにより、耐久性と防眩性を備え、かつカール防止され
た偏光板用保護フィルムを作成することができる。
【0011】(3)で示した本発明の好ましい態様とし
ては、(3a)透明樹脂フィルムの片面に微粒子含有活
性線硬化樹脂層を有し、反対側に透明樹脂層を有するこ
とを特徴とする偏光板用保護フィルムであり、これによ
り当該フィルムの耐久性とギラつき防止を確保しつつ、
カール防止することができ、ひいては偏光板の生産収率
を上げることができる。
【0012】(1)で示した本発明の好ましい態様とし
ては、(1b)ポリカーボネート系透明樹脂フィルムの
少なくとも片面を溶剤で処理することを特徴とする偏光
板用保護フィルムである。ポリカーボネート系透明樹脂
フィルムを用いるとトリアセチルセルロース系樹脂フィ
ルムのような他のフィルムを用いた場合に比べて、偏光
板用保護フィルムとしての機能を保持しつつ、薄膜化を
実現できるという利点があるが、このようなポリカーボ
ネート系透明樹脂フィルムに溶剤層を設けると他のフィ
ルムの場合よりも激しく生ずるカールを顕著に防止する
効果を発揮し、ひいては偏光板の生産収率を上げること
ができる。
【0013】(2)で示した本発明の好ましい態様とし
ては、(2b)ポリカーボネート系透明樹脂フィルムの
少なくとも片面を溶剤で処理することを特徴とする偏光
板用保護フィルムの作成方法である。これにより、偏光
板用保護フィルムとして好ましいポリカーボネート系透
明樹脂フィルムの激しいカールを顕著に防止して、これ
を使いこなすことができるようになるのである。
【0014】(3)で示した発明の好ましい態様として
は、(3b)ポリカーボネート系透明樹脂フィルムの少
なくとも片面に透明樹脂層を有することを特徴とする偏
光板用保護フィルムである。ポリカーボネート系透明樹
脂フィルムに樹脂層を設けると他のフィルムの場合より
激しく生ずるカールを顕著に防止する効果を発揮し、ひ
いては偏光板の生産収率を上げることができる。
【0015】(1)、(2)、(3)、(1a)、(2
a)、(3a)で示した本発明に係る透明樹脂フィルム
とは、偏光板用保護フィルムとして用いることのできる
ものであればいずれでもよく、例えばアセチルセルロー
ス系樹脂フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカー
ボネート系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポ
リアリレート系フィルム及びポリスルホン系フィルムな
どが挙げられる。
【0016】例えば、液晶表示装置としての液晶ディス
プレイ用には、通常2枚の偏光板を使用するから、偏光
板用保護フィルムである透明樹脂フィルムは4枚重ね合
わせた状態になるため、各透明樹脂フィルムは薄いほう
が好ましいのである。このとき樹脂の種類によっては薄
膜かつ必要とされる強度を備えたフィルムを形成するこ
とが可能なものもあり、薄膜化をも実現するためには例
えばポリカーボネート系フィルム、ノルボルネン系樹脂
フィルム、ポリアリレート系フィルム及びポリスルホン
系フィルムなどが好ましいものとして挙げられ、特に前
述のごとくポリカーボネート系フィルムであることが好
ましく、ポリカーボネート系フィルムを使いこなす為
に、本発明が極めて有用なのである。
【0017】本発明にかかる溶剤処理とは、当該溶剤で
処理した面を内側にして丸まろうとする性質をもつよう
にすることであり、具体的には偏光板用保護フィルムと
して用いる透明樹脂フィルムを溶解させる溶剤又は膨潤
させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われ
る。用いる溶剤としては、溶解させる溶剤及び/又は膨
潤させる溶剤の混合物の他さらに溶解させない溶剤を含
む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合
や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び
塗布量を用いて行う。
【0018】カール防止機能を強めたい場合は、用いる
溶剤組成を溶解させる溶剤及び/又は膨潤させる溶剤の
混合比率を大きくし、溶解させない溶剤の比率を小さく
するのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶
解させる溶剤及び/又は膨潤させる溶剤):(溶解させ
ない溶剤)=10:0〜1:9で用いられる。このよう
な混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解又は
膨潤させる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケ
トン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢
酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、
エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロ
エタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶剤と
しては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピ
ルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノー
ルなどがある。
【0019】これらの溶剤組成物をグラビアコーター、
ディップコーター、リバースコーター、押し出しコータ
ー等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1
〜100μm塗布するのが好ましいが、特に5〜30μ
mであると良い。
【0020】このようにして塗布した各溶剤は乾燥後は
飛散してしまってもよいし、また微量残存していてもよ
いが、好ましくは塗布面に溶媒が残存していない状態が
良い。
【0021】(3)、(3a)、(3b)で示した発明
に係る透明樹脂層とは、熱可塑性樹脂、放射線硬化性樹
脂、熱硬化性樹脂、その他の反応型樹脂を主たる成分と
する層であって、この内でも特に熱可塑性樹脂であるこ
とが好ましい。
【0022】ここで用いることのできる熱可塑性樹脂と
しては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアル
コールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン
−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、
エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体等のビニル系重合体あるいは共重合体、ニトロ
セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セ
ルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導
体、マレイン酸および/またはアクリル酸の共重合体、
アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチ
レン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル
−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタ
クリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル
樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラー
ル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテル
ポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド
樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジ
エン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコー
ン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
【0023】特に好ましくはジアセチルセルロースのよ
うなセルロース系樹脂層である。
【0024】このように本発明は、透明樹脂フィルムの
片面に何らかの表面加工を施したときに起こるカール現
象を防止するのに役立つが、この表面加工としては例え
ば易接着加工、ブロッキング防止加工、防眩加工、クリ
アハード加工、帯電防止加工等が挙げられる。特にクリ
アハード加工、易接着加工、帯電防止加工等を片面に施
した際に生ずるカールを防止する手段として本発明は有
効である。
【0025】ここでクリアハード加工とは透明樹脂フィ
ルムの表面に耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性を付与する
ものであり、具体的には後述する活性線硬化樹脂層を設
けることによる方法が好ましいものとして挙げられる。
【0026】易接着加工とは偏光板用保護フィルムとそ
の隣接層、代表的には偏光膜とを接着させる働きを示す
機能を有する層をいう。
【0027】易接着層とは、例えば、−COOM(Mは
水素原子又はカチオンを表す。)基を有する高分子化合
物を含有する層を含むものであり、特に好ましい態様は
偏光板用保護フィルム側に−COOM基を有する高分子
化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側
に親水性高分子化合物を主たる成分として含む親水性層
を設けたものである。
【0028】ここでいう−COOM基を有する高分子化
合物として好ましいものは−COOM基を有する酢酸ビ
ニル−マレイン酸共重合体であり、これを単独で又は2
種以上併用して用い、好ましい重量平均分子量は500
〜500,000程度のものである。
【0029】また親水性高分子化合物としては好ましく
は、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロー
ス等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビ
ニルアルコール、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、
ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエ
ステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリ
エチレンテレフタレート等)、ポリビニル誘導体(例え
ば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール
等)が挙げられ、単独あるいは2種以上併用して用いら
れる。
【0030】帯電防止加工とは、透明樹脂フィルムの取
扱の際に、この樹脂フィルムが帯電するのを防ぐ機能を
付与するものであり、具体的には、イオン導電性物質や
導電性微粒子を含有する層を設けることによって行う。
【0031】ここでイオン導電性物質とは電気伝導性を
示し、電気を運ぶ担体であるイオンを含有する物質のこ
とであるが、例としてはイオン性高分子化合物を挙げる
ことができる。
【0032】イオン性高分子化合物としては、特公昭4
9−23828号、同49−23827号、同47−2
8937号にみられるようなアニオン性高分子化合物;
特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特
公昭59−14735号、同57−18175号、同5
7−18176号、同57−56059号などにみられ
るような、主鎖中に解離基をもつアイオネン型ポリマ
ー;特公昭53−13223号、同57−15376
号、特公昭53−45231号、同55−145783
号、同55−65950号、同55−67746号、同
57−11342号、同57−19735号、特公昭5
8−56858号、特開昭61−27853号、同62
−9346号にみられるような、側鎖中にカチオン性解
離基をもつカチオン性ペンダント型ポリマー;等を挙げ
ることができる。
【0033】また、導電性微粒子の例としては導電性を
有する金属酸化物が挙げられる。
【0034】金属酸化物の例としては、ZnO、TiO
2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、
BaO、MoO2、V25等、或いはこれらの複合酸化
物が好ましく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ま
しい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対し
てはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、T
a等の添加、又SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロ
ゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添
加量は0.01mol%〜25mol%の範囲が好まし
いが、0.1mol%〜15mol%の範囲が特に好ま
しい。
【0035】また、これらの導電性を有する金属酸化物
粉体の体積抵抗率は107Ωcm特に105Ωcm以下で
あって、1次粒子径が100Å以上0.2μm以下で、
高次構造の長径が300Å以上6μm以下である特定の
構造を有する粉体を導電層に体積分率で0.01%以上
20%以下含んでいることが好ましい。
【0036】(1a)、(2a)、(3a)で示した本
発明に係る微粒子含有活性線硬化樹脂層とは、硬化塗膜
のブロッキング防止及び防眩機能を発揮する微粒子を含
み、紫外線や電子線のような活性線照射によって架橋反
応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をい
う。
【0037】ブロッキング防止及び防眩機能を発揮する
微粒子とは無機微粒子粉末及び有機微粒子粉末が挙げら
れるが、本発明に使用される無機微粒子粉末としては酸
化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化カリウ
ム、酸化ナトリウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム
等、有機微粒子粉末としては、ポリメタアクリル酸メチ
ルアクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリス
チレン樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、アクリル
スチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メ
ラミン系樹脂粉末、更にポリオレフィン系樹脂粉末、ポ
リエステル系樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリイミ
ド系樹脂粉末、ポリ弗化エチレン樹脂粉末等が使用でき
る。防眩効果を付与するには、体積平均粒径0.1〜
1.0μmのものを活性線硬化性樹脂組成物100重量
部に対して1〜15重量部が好適である。
【0038】また更に、ブロッキング防止機能を果たす
ものとして、上述したのと同じ成分で、体積平均粒径
0.005〜0.1μmの粒子を樹脂組成物100重量
部に対して0.1〜5重量部、併せて用いることもでき
る本発明に係る活性線硬化樹脂層とは紫外線や電子線の
ような活性線照射により架橋反応などを経て硬化する樹
脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂として
は紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的な
ものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線
照射によって硬化する樹脂でもよい。
【0039】紫外線硬化性樹脂の例としては紫外線硬化
性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性アク
リルウレタン系樹脂、紫外線硬化性アクリル酸エステル
系樹脂、紫外線硬化性メタクリル酸エステル系樹脂、紫
外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂及び紫外線
硬化性ポリオールアクリレート系樹脂などが挙げられ
る。
【0040】本発明に用いることのできる紫外線硬化性
ポリオールアクリレート系樹脂としてはトリメチロール
プロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパン
テトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ
ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペン
タエリスリトールペンタエリスリトール等の光重合モノ
マーオリゴマーである。これらのポリオールアクリレー
ト系樹脂は高架橋性で硬化性が大きい、硬度が大きい硬
化収縮が小さい、又低臭気性で低毒性であり安全性も比
較的高いのが特徴である。
【0041】上記の紫外線硬化性ポリオールアクリレー
ト系樹脂には、その効果を損なわない範囲で他の紫外線
硬化性樹脂、例えば紫外線硬化性エポキシ系樹脂を含有
して使用してもよい。アクリレート系樹脂は厚膜塗布し
た硬化塗膜は、硬化収縮によりカーリングが強くなり、
取り扱い作業上支障をきたす場合がある。エポキシ系樹
脂はアクリレート系樹脂と比べて一般に硬化収縮が小さ
く硬化塗膜のカーリングも小さい。ここで言う紫外線硬
化性エポキシ系樹脂とはエポキシ基を分子内に2個以上
含む化合物で、カチオン重合開始剤を含有し、紫外線を
照射することにより架橋反応するエポキシ樹脂である。
【0042】本発明に用いることのできる電子線硬化性
樹脂の例としては、好ましくは、アクリレート系の官能
基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステ
ル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール
樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂
などが挙げられる。
【0043】本発明の効果を顕著に、また簡易に発揮す
るためには、紫外線硬化性樹脂を用いることが好まし
い。
【0044】本発明に係る活性線硬化性樹脂の硬化は、
電子線または紫外線のような活性線照射によって硬化す
ることができる。例えば、電子線硬化の場合にはコック
ロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁
コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等
の各種電子線加速器から放出される50〜1000Ke
V、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有
する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧
水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キ
セノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発す
る紫外線等が利用できる。
【0045】(1b)、(2b)、(3b)で示した発
明に係るポリカーボネート系透明樹脂フィルムを作成す
るのに用いられる樹脂としては種々があり、化学的性質
及び物性の点から芳香族ポリカーボネートが好ましく、
特にビスフェノールA系ポリカーボネートが好ましい。
その中でも更に好ましくはビスフェノールAにベンゼン
環、シクロヘキサン環、又は脂肪族炭化水素基などを導
入したビスフェノールA誘導体を用いたものが挙げられ
るが、特に中央炭素に対して非対称にこれらの基が導入
された誘導体を用いて得られた、単位分子内の異方性を
減少させた構造のポリカーボネートが好ましい。例えば
ビスフェノールAの中央炭素の2個のメチル基をベンゼ
ン環に置き換えたもの、ビスフェノールAのそれぞれの
ベンゼン環の一の水素をメチル基やフェニル基などで中
央炭素に対し非対称に置換したものを用いて得られるポ
リカーボネートが好ましい。
【0046】具体的には、4,4′−ジヒドロキシジフ
ェニルアルカンまたはこれらのハロゲン置換体からホス
ゲン法またはエステル交換法によって得られるものであ
り、例えば4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4′−
ジヒドロキシジフェニルブタン等をあげることができ
る。
【0047】本発明に使用されるポリカーボネート樹脂
よりなる保護フィルムはポリスチレン系樹脂あるいはメ
チルメタクリレート系樹脂あるいはセルロースアセテー
ト系樹脂等の透明樹脂と混合して使用してもよいし、ま
たセルロースアセテート系フィルムの少なくとも一方の
面にポリカーボネート樹脂を積層してもよい。本発明に
おいて使用できるポリカーボネート系樹脂フィルムの作
製方法は特に限定されるものではない。すなわち押出法
によるフィルム、溶媒キャスト法によるフィルム、カレ
ンダー法によるフィルムなどのいずれを使用してもよ
い。本発明においては1軸延伸フィルムあるいは2軸延
伸フィルムを使用してもよいが、表面精度が優れ光学的
等方性、異方性が小さいので好ましいのは溶媒キャスト
フィルムである。
【0048】本発明において使用されるポリカーボネー
ト系樹脂フィルムはガラス転移点(Tg)が110℃以
上であって、吸水率(23℃水中、24時間の条件で測
定した値)が0.3%以下のものを使用するのがよい。
より好ましくはTgが120℃以上であって、吸水率が
0.2%以下のものを使用するのがよい。
【0049】本発明に係る偏光板とは、偏光子を含む偏
光膜に偏光板用保護フィルムを張り合わせた部分を含む
ものをいい、また当該部分のほか位相差板を含んでいて
もよい。この張り合わせには通常接着剤を使用し、この
接着剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビ
ニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、
ブチルアルコール等のビニル系ラテックスを用いること
ができる。また本発明に係る偏光板の主たる構成要素で
ある偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子
であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニ
ルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアル
コール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染
料を染色させたものがあるが、ポリビニルアルコール水
溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色
した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐
久性処理を行ったものを用いるのが一般的である。
【0050】本発明に係るカール防止機能とは作成した
偏光板用保護フィルムを巻取って保存したような場合に
起こり得る巻癖を防止する機能や、当該フィルムの片面
に付加価値付与のために表面加工層を設けたり、両面に
異なる表面加工層を設けたりした場合に起こる丸まりを
防止する機能をいう。カール防止機能の評価は偏光板用
フィルムを一定環境下に保存した後の丸まり度合を測定
する。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0052】まず、実施例で用いる各組成物等を説明す
る。溶剤層及び透明樹脂層については、その塗布組成物
及び膜厚を表1に示した。
【0053】 (ドープ組成物(イ)) ポリカーボネート樹脂 (粘度平均分子量4万、ビスフェノールA型) 100重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ− t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール 1.0重量部 メチレンクロライド 430重量部 メタノール 90重量部 上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温
し撹拌しながら完全に溶解して、ドープ組成物(イ)を
得た。
【0054】次にこのドープ組成物(イ)を濾過し、冷
却して33℃に保ち、ステンレスバンド上に均一に流延
し、33℃で5分間乾燥した。次に65℃でレタデーシ
ョン5nmになるように乾燥時間を調整し、ステンレス
バンド上から剥離後、多数のロールで搬送させながら乾
燥を終了させ膜厚50μmのポリカーボネートフィルム
を得た。このとき、ステンレスバンドに接していた側を
b面とし、その反対面をa面とする。
【0055】 (ドープ組成物(ロ)) セルローストリアセテート(酸化度61.0%) 100重量部 トリフェニルホスフェート 9重量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル) ベンゾトリアゾール 8重量部 メチレンクロライド 430重量部 メタノール 90重量部 上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温
し撹伴しながら完全に溶解した。
【0056】次にこのドープを濾過し、冷却して33℃
に保ちステンレスバンド上に均一に流延し、剥離が可能
になるまで溶媒を蒸発させたところで、ステンレスバン
ド上から剥離後、多数のロールで搬送させながら乾燥を
終了させ膜厚80μmのフィルムを得た。
【0057】ステンレスバンドに接している面をb面と
し、もう一方の面をa面とする。
【0058】 (親水性層(イ)用塗布組成物) (1)液 下記高分子化合物(m) 0.5g アセトン 60ml 酢酸エチル 30ml トルエン 10ml (2)液 ポリビニルアルコール 0.5g (日本合成化学工業(株)社製ゴーセノールNH−26) サポニン 0.03g (メルク社製界面活性剤) 純水 50ml メタノール 50ml (帯電防止層(イ)用塗布液) 下記帯電防止剤(a) 0.5重量部 セルロースジアセテートの5%アセトン溶液 10重量部 メタノール 45重量部 アセトン 45重量部
【0059】
【化1】
【0060】 (紫外線硬化樹脂層(イ)用塗布組成物) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 50部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部 1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 10部 ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2部 芳香族スルホニウム塩系UV開始剤 0.5部 フッ素系界面活性剤 1部 アエロジルR−972(日本アエロジル(株)社製) 1部 メチルエチルケトン 50部 酢酸エチル 50部 イソプロピルアルコール 50部 以上を撹拌しながら、超音波分散した。
【0061】 (紫外線硬化樹脂層(ロ)用塗布組成物) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20部 ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2部 シリコーン系界面活性剤 1部 アエロジルR−972(日本アエロジル(株)社製) 1部 メチルエチルケトン 50部 酢酸エチル 50部 イソプロピルアルコール 50部 以上を撹拌しながら、超音波分散した。
【0062】溶剤層及び透明樹脂層については、その塗
布液組成及び膜厚を下記表1、2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】実施例1 下記に従って、比較試料A〜Dと偏光板用保護フィルム
である本発明試料1〜8を作成した。
【0066】〈比較試料Aの作成〉ドープ組成物(イ)
を用いてポリカーボネートフィルムを作成した。
【0067】このようにして作成したポリカーボネート
フィルムの片面(b面)に親水性層(イ)用塗布組成物
を(1)液及び(2)液の順にそれぞれ20ml/m2
塗布し、100℃にて10分間乾燥して親水性層(イ)
を設けて、比較試料Aを作成した。
【0068】〈比較試料Bの作成〉ドープ組成物(ロ)
を用いてトリアセチルセルロースフィルムを作成した。
このようにして作成したトリアセチルセルロースフィル
ムの片面(b面)に親水性層(イ)用塗布組成物を
(1)液及び(2)液の順にそれぞれ20ml/m2
布し、100℃にて10分間乾燥して親水性層(イ)を
設けて、比較試料Bを作成した。
【0069】〈本発明試料1の作成〉比較試料Aにおけ
る親水性層の反対側(a面)に溶剤処理(イ)用塗布液
をウェット膜厚10μmになるように塗布し、100℃
で乾燥して本発明試料1を作成した。
【0070】〈本発明試料2の作成〉比較試料Bにおけ
る親水性層の反対側(a面)に溶剤処理(ロ)用塗布液
をウェット膜厚10μmになるように塗布し、100℃
で乾燥して本発明試料2を作成した。
【0071】〈本発明試料3の作成〉比較試料Aにおけ
る親水性層の反対側(a面)に透明樹脂層(イ)用塗布
液を乾燥膜厚5μmになるように塗布し、90℃にて5
分乾燥して透明樹脂層(イ)を設けて、本発明試料3を
作成した。
【0072】〈本発明試料4の作成〉比較試料Bにおけ
る親水性層の反対側(a面)に透明樹脂層(ロ)用塗布
液を乾燥膜厚5μmになるように塗布し、90℃にて5
分乾燥して透明樹脂層(ロ)を設けて、本発明試料4を
作成した。
【0073】〈比較試料Cの作成〉ドープ組成物(イ)
を用いて膜厚50μmのポリカーボネートフィルムを作
成した。作成したポリカーボネートフィルムの片面(b
面)に帯電防止層(イ)用塗布組成物を20ml/m2
塗布し、90℃にて1分間乾燥して帯電防止層(イ)を
設けて、比較試料Cを作成した。
【0074】〈比較試料Dの作成〉膜厚80μmのセル
ローストリアセテートフィルムの片面(b面)に帯電防
止層(イ)用塗布組成物を20ml/m2塗布し、90
℃にて1分間乾燥して帯電防止層(イ)を設けて、比較
試料Dを作成した。
【0075】〈本発明試料5の作成〉比較試料Cの帯電
防止層(イ)の反対側(a面)に溶剤処理(ハ)用塗布
液をウェット膜厚10μmになるように塗布し、100
℃で乾燥して本発明試料5を作成した。
【0076】〈本発明試料6の作成〉比較試料Dにおけ
る帯電防止層(イ)の反対側(a面)に溶剤処理(ニ)
用塗布液をウェット膜厚15μmになるように塗布し、
100℃で乾燥して本発明試料6を作成した。
【0077】〈本発明試料7の作成〉比較試料Cにおけ
る帯電防止層(イ)の反対側(a面)に透明樹脂層
(ハ)用塗布液を乾燥膜厚5μmになるように塗布し、
90℃にて5分間乾燥して透明樹脂層(ハ)を設けて、
本発明試料7を作成した。
【0078】〈本発明試料8の作成〉比較試料Dにおけ
る帯電防止層(イ)の反対側(a面)に透明樹脂層
(ニ)用塗布液を乾燥膜厚5μmになるように塗布し、
90℃にて5分間で乾燥して透明樹脂層(ニ)を設け
て、本発明試料8を作成した。
【0079】〈偏光板用保護フィルム;本発明試料1〜
8と比較試料A〜Dのカール度評価〉試料を巾手方向3
5mm、長手方向1mmに切り取ってカール測定用サン
プルを作成する。これを25℃、55%RH雰囲気下で
3日間放置した後カール度測定を行う。カールは曲率半
径の逆数を表すが、具体的にはJIS−K7619−1
988のA法に準じて測定した。
【0080】比較試料B及び本発明試料1〜4について
は比較試料Aに対して、比較試料D及び本発明試料5〜
8については比較試料Cに対しての相対値を算出し、結
果を表3に示した。
【0081】
【表3】
【0082】〈偏光板としての接着性評価〉本発明試料
1〜4、比較試料A及びBを偏光板用保護フィルムとし
て下記の方法に従って偏光板を作成し、各々についてそ
の接着性を評価した。
【0083】厚さ120μmのポリビニルアルコールフ
ィルムをヨウ素1部、ヨウ化カリウム2部、ホウ酸4部
を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光膜を得
た。
【0084】下記〜の工程で、偏光膜と偏光板用保
護フィルムとをはり合わせて偏光板を作成した。
【0085】〈偏光板の作成方法〉 (比較試料A,B巾及び本発明試料1〜4を用いた場
合) 長手方向30cm、巾手方向18cmに切り取った
保護フィルム試料をb面を上にしてガラス板上に配置す
る 保護フィルム試料と同サイズの上記偏光膜を固形分
2wt%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒
間浸漬する 上記の偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り
除き、上記の保護フィルム試料上にのせて、さらに上
記と同一の試料フィルムのb面と接着剤とが接する様
に積層し配置する ハンドローラで上記で積層された偏光膜と保護フ
ィルムとの積層物の端部から過剰の接着剤及び気泡を取
り除きはり合わせる。ハンドローラの圧力は約2〜3k
g/cm2、ローラスピードは約2m/minとした 80℃の乾燥器中にで得た試料を2分間放置す
る。
【0086】このようにして作成した偏光板について、
偏光膜と保護フィルムとの接着性を評価したところ、い
ずれも同じように接着性は良好であった。
【0087】〈有効巾の評価〉偏光板を作成した時の巾
手方向の偏光膜と保護フィルムが剥がれている部分を除
き、接着されている長さを測定し、同様に長手方向に1
0cm毎に2m分(21ヶ所)測定した平均値を有効巾
とする。比較試料B及び本発明試料1〜4については、
比較試料Aに対する偏光板有効巾を相対値で示し、ま
た、比較試料D及び本発明試料5〜8については、比較
試料Cに対する偏光板有効巾を相対値で示した(表
3)。
【0088】(偏光板の作成方法)比較試料C及び本発
明試料5、7を用いて偏光板を作成する場合には、前述
〜のうちにおいて、長手方向30cm、巾手方向
18cmに切り取った保護フィルム試料のa面にコロナ
放電処理を施したものを用いるようにして、それ以外は
〜と同じ方法で偏光板を作成した。
【0089】また、比較試料D及び本発明試料6、8を
用いて偏光板を作成する場合には、前述の〜のうち
において、長手方向30cm、巾手方向18cmに切
り取った保護フィルム試料を2Nの水酸化ナトリウム溶
液に60℃で3分間浸漬し、さらに水洗、乾燥させたも
のを用いるようにして、それ以外は〜と同じ方法で
偏光板を作成した。
【0090】〈偏光板用保護フィルム;本発明試料5〜
8と比較試料C及びDの帯電防止性評価〉 (1)偏光板用保護フィルム試料を23℃、30%RH
の条件のもとで、6時間放置した後、硬化皮膜の表面の
表面比抵抗を絶縁抵抗測定器(川口電気社製VE−30
型)で測定した。
【0091】(2)高温多湿処理後の表面比抵抗値の変
化:80℃、80%RHの条件で、6時間曝した後、2
3℃、30%RHの条件に24時間調湿し、(1)と同
様に表面比抵抗を測定した。
【0092】いずれも同じように帯電防止性は良好であ
った。
【0093】〈実施例における本発明の効果〉本発明試
料1〜8と比較試料A〜Dとを比べた結果から、透明樹
脂フィルムのa面を溶剤処理したり又は透明樹脂層を有
する場合は、b面に付与した機能を損なうことなく、該
フィルムのカールを防止することができ、偏光板作成有
効巾を増加させることができた。
【0094】本発明試料1、2と比較試料A、Bとを比
べた結果から、透明樹脂フィルムのa面を溶剤処理した
場合は、b面の親水性層による接着性を損なうことな
く、該フィルムのカールを防止することができ、有効巾
を増加させることができた。
【0095】本発明試料3、4と比較試料A、Bとを比
べた結果から、透明樹脂フィルムのa面に透明樹脂層を
有する場合は、b面の親水性層による接着性を損なうこ
となく、該フィルムのカールを防止することができ、有
効巾を増加させることができた。
【0096】本発明試料5、6と比較試料C、Dとを比
べた結果から、透明樹脂フィルムのa面を溶剤処理した
場合は、b面の帯電防止層による帯電防止性を損なうこ
となく、該フィルムのカールを防止することができ、有
効巾を増加させることができた。
【0097】本発明試料7、8と比較試料C、Dとを比
べた結果から、透明樹脂フィルムのa面に透明樹脂層を
有する場合は、b面の帯電防止層による帯電防止性を損
なうことなく、該フィルムのカールを防止することがで
き有効巾を増加させることができた。
【0098】比較試料Aと比較試料B、及び比較試料C
と比較試料Dとを比べると偏光板用保護フィルムとして
の基本的性能を備えるポリカーボネートフィルムはトリ
アセチルセルロースフィルムよりも、片面(b面)に易
接着層や帯電防止層を設けた場合に激しくカールする傾
向があり、偏光板作成時の有効巾も小さいということが
わかるが、このような場合であっても、本発明試料1〜
8のカール度を見るとわかるようにa面を溶剤処理した
り透明樹脂層を設けるとポリカーボネートフィルムでも
接着性や帯電防止性に影響を与えずにカールを顕著に抑
え、ひいては有効巾を顕著に増加させていることがわか
る。
【0099】実施例2 下記に従って、比較試料A〜Eと偏光板用保護フィルム
である本発明試料1〜10を作成した。
【0100】〈比較試料Aの作成〉ドープ組成物(イ)
を用いて膜厚50μmのポリカーボネートフィルムを作
成した。当該ポリカーボネートフィルムの片面(b面)
に紫外線硬化樹脂層(イ)用塗布組成物を乾燥膜厚3.
5μmになるように塗布し、80℃にて5分間乾燥した
後60W/cmの高圧水銀燈を10cmの距離から4秒
間照射して紫外線硬化樹脂層(イ)を設けて、比較試料
Aを作成した。
【0101】〈比較試料Bの作成〉ドープ組成物(ロ)
を用いて膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィル
ムを作成した。当該トリアセチルセルロースフィルムの
片面(b面)に紫外線硬化樹脂層(イ)用塗布組成物を
乾燥膜厚3.5μmになるように塗布し、80℃にて5
分間乾燥した後60W/cmの高圧水銀燈を10cmの
距離から4秒間照射して紫外線硬化樹脂層(イ)を設け
て、比較試料Bを作成した。
【0102】〈比較試料Cの作成〉膜厚80μmのセル
ローストリアセテートフィルムの片面(b面)に紫外線
硬化樹脂層(ロ)用塗布組成物を乾燥膜厚3.5μmに
なるように塗布し、80℃にて5分間乾燥した後60W
/cmの高圧水銀燈を10cmの距離から4秒間照射し
て紫外線硬化樹脂層(ロ)を設けて、比較試料Cを作成
した。
【0103】〈本発明試料1の作成〉比較試料Aにおけ
る紫外線硬化層の反対側(a面)に溶剤処理(ホ)用塗
布液をウェット膜厚15μmになるように塗布し、10
0℃で乾燥して本発明試料1を作成した。
【0104】〈本発明試料2の作成〉比較試料Aにおけ
る紫外線硬化樹脂層(イ)用塗布組成物を乾燥膜厚7.
0μmになるように塗布し、80℃にて5分間乾燥した
後60W/cmの高圧水銀燈を10cmの距離から4秒
間照射して紫外線硬化樹脂層(イ′)を設けた。その反
対側(a面)に溶剤処理(ヘ)用塗布液をウェット膜厚
10μmになるように塗布し、100℃で乾燥して本発
明試料2を作成した。
【0105】〈本発明試料3の作成〉比較試料Bにおけ
る紫外線硬化樹脂層の反対側(a面)に溶剤処理(ト)
用塗布液をウェット膜厚10μmになるように塗布し、
100℃で乾燥して本発明試料3を作成した。
【0106】〈本発明試料4の作成〉比較試料Cにおけ
る紫外線硬化樹脂層の反対側(a面)に溶剤処理(チ)
用塗布液をウェット膜厚10μmになるように塗布し、
100℃で乾燥して本発明試料4を作成した。
【0107】〈本発明試料5の作成〉比較試料Aにおけ
る紫外線硬化樹脂層の反対側(a面)に透明樹脂層
(ホ)用塗布液を乾燥膜厚5μmになるように塗布し、
乾燥して透明樹脂層(ホ)を設けて、本発明試料5を作
成した。
【0108】〈本発明試料6の作成〉比較試料Bにおけ
る紫外線硬化樹脂層の反対側(a面)に透明樹脂層
(ヘ)用塗布液を乾燥膜厚5μmになるよに塗布し、乾
燥して透明樹脂層(ヘ)を設けて、本発明試料6を作成
した。
【0109】〈比較試料Dの作成〉ドープ組成物(イ)
を用いて膜厚50μmのポリカーボネートフィルムを作
成した。このようにして作成したポリカーボネートフィ
ルムの片面(b面)に帯電防止層(イ)用塗布組成物を
20ml/m2塗布し、90℃にて1分間乾燥し、次に
紫外線硬化樹脂層(イ)用塗布組成物を乾燥膜厚3.5
μmになるように塗布し、80℃にて5分間乾燥した後
60W/cmの高圧水銀燈を10cmの距離から4秒間
照射して紫外線硬化樹脂層(イ)を設けて、比較試料D
を作成した。
【0110】〈比較試料Eの作成〉膜厚80μmのセル
ローストリアセテートフィルムの片面(b面)に帯電防
止層(イ)用塗布組成物を20ml/m2塗布し、90
℃にて1分間乾燥し、次に紫外線硬化樹脂層(イ)用塗
布組成物を乾燥膜厚3.5μmになるように塗布し、8
0℃にて5分間乾燥した後60W/cmの高圧水銀燈を
10cmの距離から4秒間照射して紫外線硬化樹脂層
(イ)を設けて、比較試料Eを作成した。
【0111】〈本発明試料7の作成〉比較試料Dにおけ
るa面に溶剤処理(リ)用塗布液をウェット膜厚10μ
mになるように塗布し、100℃で乾燥して本発明試料
7を作成した。
【0112】〈本発明試料8の作成〉比較試料Eにおけ
るa面に溶剤処理(ヌ)用塗布液をウェット膜厚10μ
mになるように塗布し、100℃で乾燥して本発明試料
8を作成した。
【0113】〈本発明試料9の作成〉比較試料Dにおけ
るa面に透明樹脂層(ト)用塗布液を乾燥膜厚10μm
になるように塗布し、90℃にて5分間乾燥して透明樹
脂層(ト)を設けて、本発明試料9を作成した。
【0114】〈本発明試料10の作成〉比較試料Eにお
けるa面に透明樹脂層(チ)用塗布液を乾燥膜厚10μ
mになるように塗布し、90℃にて5分間乾燥して透明
樹脂層(チ)を設けて、本発明試料10を作成した。
【0115】〈偏光板用保護フィルムとしての本発明試
料1〜10、比較試料A〜Eの評価〉 カール度の測定と評価 実施例1での方法と同じにして各試料のカール度を測定
した。
【0116】比較試料B、C及び本発明試料1〜6は比
較試料Aに対して、比較試料E及び本発明試料7〜10
は比較試料Dに対するカール度の相対値を算出し、結果
を表4に示した。
【0117】
【表4】
【0118】耐傷性の評価 鉛筆硬度:JISK5401を準用し、荷重100gに
て測定した。
【0119】スチールウール硬度:スチールウール(#
0000)で荷重1kgをかけて5往復摩擦する。
【0120】本発明試料1〜10及び比較試料A〜Eと
もに傷付きなく、良好な耐傷性を示した。
【0121】帯電防止性 実施例1での方法と同じにして本発明試料7〜10と比
較試料D及びEについて測定したところ、いずれも良好
な帯電防止性を示した。
【0122】有効巾の評価 偏光板を作成した時の巾手方向の偏光膜と保護フィルム
が剥がれている部分を除き、接着されている長さを測定
し、同様に長手方向に10cm毎に2m分(21ヶ所)
測定した平均値を有効巾とする。
【0123】比較試料B、C及び本発明試料1〜6につ
いては比較試料Aに対する偏光板有効巾を相対値で示
し、また、比較試料E及び本発明試料7〜10について
は比較試料Dに対する偏光板の有効巾を相対値で示した
(表4)。
【0124】〈偏光板の作成方法〉比較試料A、D及び
本発明試料1、2、5、7、9を用いた場合の偏光板の
作成方法について述べる。実施例1で示した偏光板作成
方法〜のうちにおいて、長手方向30cm、巾手
方向18cmに切り取った保護フィルム試料のa面にコ
ロナ放電処理を施したものを用いるようにして、それ以
外は〜と同じ方法で偏光板を作成した。
【0125】次に比較試料B、C、E及び本発明試料
3、4、6、8、10を用いた場合の偏光板の作成方法
について述べる。実施例1で示した偏光板作成方法〜
のうちにおいて、長手方向30cm、巾手方向18
cmに切り取った保護フィルム試料を2Nの水酸化ナト
リウム溶液に60℃で3分間浸漬し、さらに水洗、乾燥
させたものを用いるようにして、それ以外は〜と同
じ方法で偏光板を作成した。
【0126】〈実施例における本発明の効果〉本発明試
料1〜10と比較試料A〜Eとを比べた結果から、透明
樹脂フィルムのa面を溶剤処理する又は透明樹脂層を有
する場合は、b面に付与した機能を損なうことなく、該
フィルムのカールを防止することができ、偏光板作成時
の有効巾を増加させることができた。
【0127】本発明試料1、2、3、4と比較試料A、
B、Cとを比べた結果から、透明樹脂フィルムのa面を
溶剤処理する場合は、b面の紫外線硬化樹脂層による耐
傷性を損なうことなく、該フィルムのカールを防止する
ことができ、有効巾を増加させることができた。
【0128】本発明試料5、6と比較試料A、Bとを比
べた結果から、透明樹脂フィルムのa面に透明樹脂層を
有する場合は、b面の紫外線硬化樹脂層による耐傷性を
損なうことなく、該フィルムのカールを防止することが
でき、有効巾を増加させることができた。
【0129】本発明試料7、8と比較試料C、Dとを比
べた結果から、透明樹脂フィルムのa面を溶剤処理する
場合は、b面の紫外線硬化樹脂層及び帯電防止層による
機能を損なうことなく、該フィルムのカールを防止する
ことができ、有効巾を増加させることができた。
【0130】本発明試料9、10と比較試料C、Dとを
比べた結果から、透明樹脂フィルムのa面に透明樹脂層
を有する場合は、b面の紫外線硬化樹脂層及び帯電防止
層による機能を損なうことなく、該フィルムのカールを
防止することができ、有効巾を増加させることができ
た。
【0131】本発明試料1、3と比較試料Aに対するカ
ール度改良性と、本発明試料2、4の比較試料Bに対す
るカール度改良性とを比べた結果から、ポリカーボネー
ト系透明樹脂フィルムを用いると他のものの場合より
も、接着性を損なう事なく、顕著にカール防止すること
ができ、偏光板作成時の有効巾を顕著に増加させること
ができた。
【0132】比較試料Aと比較試料B、及び比較試料D
と比較試料Eとを比べると偏光板用保護フィルムとして
の基本的性能を備えるポリカーボネートフィルムはトリ
アセチルセルロースフィルムよりも、片面(b面)に紫
外線硬化樹脂層や帯電防止層を設けた場合に激しくカー
ルする傾向があることがわかるが、このような場合であ
っても、本発明試料1〜10のカール度を見るとわかる
ようにa面を溶剤処理したり透明樹脂層を設けるとポリ
カーボネートフィルムでも耐擦傷性や帯電防止性に影響
を与えずに顕著にカールを抑え、有効巾を顕著に増加さ
せていることがわかる。
【0133】
【発明の効果】偏光板用保護フィルムの片面(b面)に
紫外線硬化樹脂層や帯電防止層などを設けた場合に激し
くカールする傾向があるが、a面を溶剤層処理したり透
明樹脂層を設けると、a面の耐擦傷性や帯電防止性に影
響を与える事なく顕著にカールを抑え、偏光板作成時の
有効巾を増加させることができる。
【0134】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明樹脂フィルムの少なくとも片面を溶
    剤で処理することを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  2. 【請求項2】 透明樹脂フィルムの少なくとも片面を溶
    剤で処理することを特徴とする偏光板用保護フィルムの
    作成方法。
  3. 【請求項3】 透明樹脂フィルムの少なくとも片面に透
    明樹脂層を有することを特徴とする偏光板用保護フィル
    ム。
JP8023883A 1996-02-09 1996-02-09 偏光板用保護フィルム及びその作成方法 Pending JPH09218302A (ja)

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