JPH09216151A - 表面加工基板の製造方法 - Google Patents

表面加工基板の製造方法

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JPH09216151A
JPH09216151A JP5093596A JP5093596A JPH09216151A JP H09216151 A JPH09216151 A JP H09216151A JP 5093596 A JP5093596 A JP 5093596A JP 5093596 A JP5093596 A JP 5093596A JP H09216151 A JPH09216151 A JP H09216151A
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JP
Japan
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grinding
wheel
substrate
manufacturing
arc shape
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JP5093596A
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English (en)
Inventor
Yuzo Yamamoto
裕三 山本
Kiyomasa Daito
聖昌 大東
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NISSHIN KIKAI SEISAKUSHO KK
Kao Corp
Nissin Machine Works Ltd
Original Assignee
NISSHIN KIKAI SEISAKUSHO KK
Kao Corp
Nissin Machine Works Ltd
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Publication date
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】延性モード加工により基板の表面を研削し
て表面加工基板を製造する方法において、外周エッジの
片肩又は両肩に円弧形状が付与されたホイール(固定砥
粒)を用いて研削を行うことを特徴とする表面加工基板
の製造方法。 【効果】本発明により、より効率的かつの基板特性の良
好な表面加工基板を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脆性材料の表面加工
基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、セラミックスやカーボンに代表さ
れるような脆性材料からなる基板の精密加工技術、特に
超平滑加工技術が求められている。例えば、ガラス基
板、カーボン基板、セラミックス基板等の基板は、磁気
ディスク用基板としての用途がある。また、シリコンウ
エハー等は半導体の材料として用いられる。上記の磁気
ディスク用基板やシリコンウエハーには超平滑性が要求
されることから、これらの基板については一般的に、遊
離砥粒を用いて平滑化が行われる。
【0003】遊離砥粒を用いて特にガラス基板、カーボ
ン基板、セラミックス基板、シリコンウエハーのような
脆性材料の研摩を行う場合、基板の脆さのために研摩時
にマイクロクラックが発生することがある。このような
クラックには、基板を磁気ディスク化した際に記録再生
エラーを誘発したり、また研摩時等に入り込む汚染物
質、又は放置中に毛管凝縮する水によって磁性層(金属
層)の腐食を誘発する、という危険性が存在する。この
ため従来は、生産性を犠牲にして研摩工程を多段階に分
けることによりマイクロクラックの発生の抑制に努めて
いるのが一般的である。また、遊離砥粒による研摩は極
めてアート的技術要素が多いため、品質安定化には高度
な熟練を必要としていた。
【0004】さらに別の問題として、研摩後の基板中に
砥粒の一部が残留するという問題がある。この残留物は
洗浄を行っても完全な除去は困難である。砥粒が残留し
たまま基板にスパッタ膜を成膜すると、砥粒残留に起因
する膜欠陥が発生し、その結果磁気ヘッドを損傷させる
ことになる。また、遊離砥粒を用いて上記基板を研摩す
る場合は、材料の不均質性に由来する研摩ムラ、即ち研
摩されやすい部分が深く研摩されることによるくぼみ
(シャローピット−記録再生エラーにつながる)、が発
生するという問題がある。
【0005】このような問題を解決するために、遊離砥
粒を使わないで平滑化を行う方法が種々検討されてお
り、そのひとつとして固定砥粒による延性モード加工で
の研削により平滑化を行う方法が提案されている(原
ら、1992年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論
文集第19頁及び第20頁)。延性モード加工でカーボ
ン基板、セラミックス基板のような脆性材料の研削を行
うことは次の様な効果が期待できるため、より好ましい
ものと考えられる。即ち、この方法では、1)個々の砥
粒の基板への食い込み量をその基板の延性−脆性遷移点
以下に設定できれば、基板の加工形態が脆性破壊から延
性(塑性)変形中心にコントロールでき、マイクロクラ
ックの発生が抑制される、2)遊離砥粒を使わなくても
よいため、基板に砥粒が残留する危険性がない、3)平
坦度に優れ、エッジ部での面だれ性が少ない、4)固定
砥粒の消耗が軽微であるため、使い捨ての遊離砥粒の場
合に比べて消耗工具費用が大幅に安くなる、5)アート
的技術要素が少なく、工程管理、全自動化が容易であ
る、6)材質の不均一性の有無によらず均一な研削面が
得られる、というメリットがある。
【0006】しかしながら、上記の原らの方法ではCU
PE製超精密研削盤にカップホイールを装着して研削を
行っているので、研削痕は図1に示すような多重あやめ
形状となる。このような研削痕ではところどころで研削
痕同士が交差し、重なった点でマイクロクラックが発生
するおそれがあったり、研削痕の密度差が径方向に現
れ、内周側と外周側とでは表面に残留する内部応力又は
加工変質層の分布にムラが生じる。このため、表面の物
理・化学特性が不均一となり、表面のエッチング性、密
着性等に差が生じたり、ソリの原因となったりするおそ
れがある。また、固定砥粒付両面研摩機を用いて研削し
た場合も、研削痕はランダムなクロス状となり、研削痕
同士が交差点を数多くもつことになるためマイクロクラ
ックの発生のおそれがあった。さらに、カップホイール
を用いた平面研削加工の場合、工作物とホイール作業面
とは面接触している。そのため、切り込み送り方向は接
触面と直角となり、切り込み方向の研削抵抗が過大なた
め被加工基板およびホイールが損傷しやすく、脱粒を招
いて被加工基板に深いスクラッチ傷やマイクロクラック
を与えやすい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、上記課題を解決すべく、マイクロクラックが発生
せず、より効率的かつ得られる表面加工基板の基板特性
が良好となるような表面加工基板の製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために鋭意研究した結果、延性モード加工に
より基板の表面を研削して表面加工基板を製造する方法
において、外周エッジの片方の肩又は両方の肩に円弧形
状(以下、円弧形状をRと略記する場合がある。)が付
与されたホイールを用いて研削を行うことにより、設定
切り込み深さを大きくできることも手伝って、研削時間
が短縮されることを見出し、さらには、単に製造の効率
化が達成されるだけでなく、意外にも得られる基板の基
板特性が非常に良好なものであることを見出し、本発明
を完成させた。
【0009】即ち、本発明の要旨は、(1) 延性モ
ード加工により基板の表面を研削して表面加工基板を製
造する方法において、外周エッジの片肩又は両肩に円弧
形状が付与されたホイール(固定砥粒)を用いて研削を
行うことを特徴とする表面加工基板の製造方法、(2)
外周エッジの両肩に円弧形状が付与されたホイール
を用いて、研削方向を往復方向で行う前記(1)記載の
製造方法、(3) 研削痕が扇状になるように研削を
行う前記(1)又は(2)記載の製造方法、(4)
砥石の設定切り込み深さが0.05〜20μmである前
記(1)〜(3)いずれか記載の製造方法、(5)
電解インプロセスドレッシングを用いた延性モード加工
により研削を行う前記(1)〜(4)いずれか記載の製
造方法、(6) ループ剛性が150N/μm以上の
研削装置を用いて研削を行う前記(1)〜(5)いずれ
か記載の製造方法、(7) 基板の材料がカーボンで
ある前記(1)〜(6)いずれか記載の製造方法、
(8) 得られる表面加工基板のRa(表面粗さ)が
1〜100Åであって、Rp(突起高さ)/Raが2〜
10である前記(1)〜(7)いずれか記載の製造方
法、(9) 得られる表面加工基板の平坦度が10μ
m以下である前記(1)〜(8)いずれか記載の製造方
法、(10) 下記の式(1)、式(2)
【0010】
【数5】
【0011】
【数6】
【0012】(式中、dN は被加工基板1回転当たりの
切り込み深さ、fは被加工基板1回転当たりのホイール
横送り量、Δは設定切り込み深さ、Rはホイール外周の
肩の曲率半径、dg は個々の砥粒の切り込み深さ、aは
砥粒の間隔、Vw は被加工基板周速度、Vs はホイール
周速度、及びDはホイール直径をそれぞれ示す。)にお
いて、dg <200(nm)となるように、円弧形状を
設定して研削を行う前記(1)〜(9)いずれか記載の
製造方法、(11) 円弧形状が、下記の式(3)、式
(4)
【0013】
【数7】
【0014】
【数8】
【0015】(式中、Wはホイール幅、ΔWは円弧形状
が付与されているホイール外周の幅、ΔYは円弧形状が
付与されているホイール最表面(水平面)からの深さを
それぞれ示す。)を満たす前記(1)〜(10)いずれ
か記載の製造方法、(12) 円弧形状が指数曲線近似
形状である前記(1)〜(11)いずれか記載の製造方
法、に関するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、延性モード加工により
基板の表面を研削して表面加工基板を製造する方法にお
いて、外周エッジの片肩又は両肩にRが付与されたホイ
ールを用いて研削を行うことを特徴とする。本発明にお
いて研削される基板は、成形直後または焼成直後のもの
であってもよく、Ra(平均表面粗さ)が0.05〜2
0μm、好ましくは0.1〜2μmのもの、いわゆる粗
研削や中間研削を終えたものであってもよい。基板の粗
研削、中間研削については特に限定されるものではな
く、通常行われる公知の方法により行えばよい。即ち、
本発明の表面加工基板は、(1)成形直後または焼成直
後のものを本発明の方法により加工して得たもの、
(2)成形直後または焼成直後のものを従来法により粗
研削し、本発明の方法により中間研削、仕上げ研削して
得たもの、(3)中間研削までを従来法により行い仕上
げ研削を本発明の方法により得たもの、のいずれであっ
てもよい。なお、本明細書においてRa及びRpは触針
式表面粗さ計(Tencor(株)製:型式P2)を用
いて下記条件で測定して得た値である。
【0017】測定条件 触針先端半径 :0.6μm(針曲率半径) 触針押し付け圧力:7mg 測定長 :250μm×8箇所 トレース速度 :2.5μm/秒 カットオフ :1.25μm(ローバスフィルタ
ー)
【0018】また、本発明における基板の材料としては
特に限定されるものではなく通常用いられる公知のもの
でよいが、本発明においては、特に脆性材料の研削時に
その効果を充分発揮できるため、脆性材料が好ましい。
その具体例としてはカーボン、ガラス、セラミックス、
シリコン等が挙げられる。中でも、カーボンは研削安定
性に優れ、低いRaが得られるため、本発明の製造方法
はカーボン基板への適用において特に優れた効果が得ら
れる。
【0019】本明細書における扇状の加工痕の「扇状」
とは、図2に模式的に示したような、実質的に同心円状
の形状である。当該同心円の中心は基板上にあってもよ
く、基板外にあってもよい。好ましくは、基板の半径r
1 と加工痕の半径r2 との関係が、r2 ≧r1 を満たす
ものであり、より好ましくは、被加工基板(ワーク)の
取り付け作業性及び装置の加工精度の点から、100r
1 ≧r2 ≧2r1 の関係を満たすものである。研削痕が
扇状になるように研削することにより研削痕同士の交差
を低減できるため、本発明においては、扇状の研削痕が
形成されるように研削を行うことがより好ましい。
【0020】本明細書において「延性モード加工」と
は、脆性材料においてもクラックの発生を伴わない塑性
流動的な除去加工、即ち脆性破壊(破砕)ではなく材料
の無損傷を特徴とする研削加工を意味する。かかる加工
技術は、材料への個々の砥粒の切込み深さを常に延性−
脆性遷移点以下に保つことにより達成される。このこと
を達成する手段としては特に限定されるものではなく、
通常公知の方法を用いることができる。例えば、上記の
脆性材料であるカーボン、ガラス、セラミックス、シリ
コンを含む、一般的に磁気ディスク用基板やシリコンウ
エハー等に用いられる材料の多くは、その延性−脆性遷
移点(dc)が2〜200nmであるため、砥石の設定
切り込み深さを0.05〜20μm、好ましくは0.1
〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmとすればよ
い。ここで、砥石の設定切り込み深さは、装置位置決め
精度の観点から0.05μm以上が好ましく、研削負荷
及びマイクロクラック発生を抑制する観点から20μm
以下とするのが好ましい。
【0021】本発明においては、研削に用いるホイール
(固定砥粒)外周の片肩又は両肩にRを付与し、かかる
ホイールを用いて研削を行うことを特徴とする。かかる
構成により、研削の効率化及び得られる表面加工基板の
基板特性の向上が達成される。Rの付与は、砥石の設定
切り込み深さの自由度を高めるために行われるものであ
る。即ち、ホイール外周の基板に接触する側にRが付与
されていれば、設定切り込み深さを、付与されていない
ホイールを用いる場合よりもさらに大きくすることがで
き、研削の効率化に寄与することができる。また、Rが
付与されていると、基板端面の欠けや基板表面のスクラ
ッチを著しく抑制できるため、品質向上につながる。こ
れは、次の理由による。つまり、図3、図4に示すスト
レートホイールの場合について述べると、欠けやスクラ
ッチの発生は、ホイールが移動してきて基板端面に接触
・衝突して研削を始める際の衝突ダメージの大小に依存
する。即ち、Rが付与されていないと基板・ホイールと
もに衝突時のダメージが大きく基板端面の欠けを誘発す
る。また、ホイール側においては、衝突時のショックが
大きいと砥粒の脱粒を生じ、これが研削面に巻き込まれ
るとスクラッチを生じ、品質低下を招く。Rが付与され
ていると、接触・衝突時のショックが緩和され、上記の
問題が著しく改善される。
【0022】Rの形状等については、個々の砥粒の切り
込み深さが被研削材料のdcより小さくなるよう設定す
ればよい。例えば、下記で表される式において、
【0023】
【数9】
【0024】(ここで、dN は被加工基板1回転当たり
の切り込み深さであり、次式で表される。
【0025】
【数10】
【0026】また、fは被加工基板1回転当たりのホイ
ール横送り量、Δは設定切り込み深さ、Rはホイール外
周の肩の曲率半径、dg は個々の砥粒の切り込み深さ、
aは砥粒の間隔、Vw は被加工基板周速度、Vs はホイ
ール周速度、及びDはホイール直径を示す。) dg <dcとなるように設定すればよい。このようにホ
イール外周形状を設定することにより、より安定して被
加工基板の延性モード加工を行うことができるため、好
ましい。
【0027】また、延性モード加工を維持した状態で生
産性を考慮すると、ホイール形状を式(3)、式(4)
を満足するホイールサイズ、形状にすることが望まし
い。
【0028】
【数11】
【0029】
【数12】
【0030】(式中、Wはホイール幅、ΔWは円弧形状
が付与されているホイール外周の幅、ΔYは円弧形状が
付与されているホイール最表面(水平面)からの深さを
それぞれ示す。なお、W、ΔW、ΔYの位置的関係を図
5に示す。)
【0031】さらに、ホイール外周の円弧形状が指数曲
線形状に近似できる形状が最も好ましい。この形状を持
つことにより、ホイール幅方向で設定切り込み深さを徐
々に小さくする効果が引き出せるからである。つまり一
回の研削で、取代を小さくしながら何回も研削をした場
合と同じ効果が得られるのである。この形状効果によ
り、ダメージ層(マイクロクラック)や残留応力を抑制
しながら効率良く研削を行うことが可能となる。
【0032】円弧形状は片肩に付与しても、その効果は
発揮されるが、両肩に付与する方が生産性、表面品質の
点で好ましい。両肩に付ける場合、円弧形状が半径90
0mmを越える円弧形状が好ましい。この領域では、生
産性の向上、表面品質向上の効果が充分に引き出せるか
らである。即ち、設定切り込み深さをより大きくとれ
る、ELID電解による酸化被膜の異常成長からくる表
面品質の低下が抑制される等の点で好ましいのである。
【0033】また、円弧形状が半径900mm以下では
ELID電解時にホイール外周に電流が集中しやすく、
酸化被膜が異常成長し、これが基板表面を傷つけ、Ra
やΔRaを大きくする原因となる。しかし、この場合で
も、ELID電解を断続的に行うことにより酸化被膜の
異常成長を抑えることができるため、表面品質の低下を
抑制しながら研削を行うことができる。また、円弧形状
の半径を900mmを越えて大きくとる場合、酸化皮膜
の異常成長の抑制が可能となるのみならず、設定切り込
み深さを大きくすることができ、上述の表面品質の低下
の抑制や、研削時間の効率化が図られるため好ましい。
【0034】研削方向については、図3や図4にあるよ
うにホイール外周の一方の肩のみにRが付与された物
は、研削方向はホイールのRが付与された側がワークに
接触する、特定の一方向となるが、図6や図7のように
ホイール外周の両肩にRが付与された物は、研削方向は
特定の一方向とその方向と180°逆の方向の、計二方
向となる。したがって、ホイール外周の両肩にRを付与
した場合、そのホイールを用いて、研削を往復方向で行
うことが可能となり、研削時間の短縮化が達成される。
従って、研削方向についての好適な態様としては、1)
片肩にRが付与されたホイールを用いて、特定の一方向
で研削する態様、2)両肩にRが付与されたホイールを
用いて、往復方向で研削する態様、が挙げられるが、上
記の理由から2)の態様がより好ましい。また、研削を
往復方向で行う場合、その態様としては、1)基板側を
往復移動させる、2)ホイール側を往復移動させる、
3)基板側及びホイール側の両方を往復移動させる、の
少なくとも三つの態様が考えられるが、本発明において
は、これらのうちのどの態様であってもよい。
【0035】さらに、研削を電解インプロセスドレッシ
ング(以下ELIDと呼ぶ)を用いて延性モード加工で
行うことにより、より高精度で高能率な研削を行うこと
ができる。具体的には、研削装置において、固定砥粒を
メタルボンドホイール(ストレートホイールの外周上に
砥粒をメタルバインダーで固定させたもの)とし、電極
をホイール外周の一部をおおうように設置し、電解質を
含んだ水溶液クーラントをホイール外周表面/被加工基
板間に供給し、ホイール側にプラスの電場を印加し、基
板とホイールの双方を回転させながら研削することによ
りELID型延性加工が達成できる。
【0036】上記のようにして、Raが1〜100Åで
あって、Rp/Raが2〜10の表面加工基板が得られ
る。ここで、Raはより好ましくは1〜50Å、特に好
ましくは1〜30Åである。研削生産性の観点から1Å
以上が好ましく、例えば磁気ディスク用に用いる場合に
はヘッドの浮上特性の観点から100Å以下が好まし
い。また、Rp/Raはより好ましくは2〜8、特に好
ましくは2〜4である。ここで、ホイールのツルーイン
グ(形状修正)工程の管理負担軽減の観点から2以上が
好ましく、表面の摺動耐久性の観点から10以下が好ま
しい。さらに、本発明の表面加工基板は、その平坦度が
10μm以下のものが磁気ヘッドの浮上走行安定性の観
点から好ましい。より好ましい値は6μm以下である。
また、Raの変動幅(ΔRaとする。)はより小さいも
のが好ましい。具体的にはRaの100%以下が好まし
く、50%以下がより好ましい。なお、本明細書におけ
るΔRaとは、被加工基板を連続して多数バッチ加工し
た場合の、バッチ間のRa変動幅(最大Ra−最小R
a)を指すものとする。
【0037】本発明の表面加工基板の製造方法におい
て、砥石の設定切り込み深さが0.05〜20μmでの
延性モード加工を達成するためには、研削装置、砥粒等
は次の条件を満たす必要がある。 1)動剛性が極めて高い砥石スピンドルの設計と製作。
半径方向、軸方向の運動誤差が100nm以下。 2)動剛性の極めて高い工作物支持及び運動系の設計と
製作。経験則から、加工機工具と工作物間のループ剛性
として150N/μm(静剛性)以上の値。 3)ホイールの高精度ツルーイング及び適度な気孔度を
確保するための砥粒結合剤のドレッシング。さらに、ホ
イール上の個々の砥粒の切れ刃高さ分布がdc以下であ
ることが望ましい。
【0038】したがって、本発明に用いられる研削装置
としては、上記の諸条件を満たすものであれば特に限定
されるものではない。具体的には、例えば、(株)日進
機械製作所製超精密平面研削装置(HPG−2A)等が
挙げられる。超精密平面研削装置(HPG−2A)は、
脆性材料の延性モード加工を目的として開発されたもの
であり、次のような特質を有する。 1)半径、軸方向の運動精度が100nm以下 2)加工機工具と工作物間のループ剛性が170N/μ
m(静剛性) 3)ツルーイング精度が100nm したがって、この超精密平面研削装置(HPG−2A)
は上記装置条件のすべてを満たすものである。
【0039】また、扇状の加工痕を形成させるには、例
えば、被加工基板(ワーク)をワークスピンドルの工作
物取り付け面板(ワークテーブル)上で、ワークスピン
ドル回転中心を含まないように、即ちr2 ≧r1 の関係
を満たすように偏心して取り付けてその面板を回転さ
せ、ストレートホイールに微小切り込みを与えた上、ホ
イールを面板にそって横送りすればよい。偏心度が0、
即ち、ワークをワークテーブルの中心に取り付けても、
交差しない加工痕を付与できるが、その場合ワークを1
枚しか取り付けられないため、生産性が低く、好ましく
ない。本発明の方法では、複数枚のワークの取り付けが
可能であるため、生産性、研削コスト低減の点でも有利
である。
【0040】本発明における研削工程について、図8を
参照して説明する。ここで図8は、超精密平面研削装置
(HPG−2A)の概略構成図である。本装置はストレ
ートホイールの外周を用いてトラバース研削を行うロー
タリー平面加工機である。NCは2軸の制御を行う。す
なわち、X軸(ワークテーブルのトラバース送り)とZ
軸(ホイールの切り込み送り)の位置決めである。な
お、本装置において、片方の肩のみにRを付与したホイ
ールを用いる場合、常にRを付与した側で研削が行われ
ることが好ましいため、ワークテーブルをトラバース送
りして研削した後、ワークテーブルを研削前の位置に戻
す必要がある。しかしながら、両肩にRが付与されたホ
イールを用いる場合、研削後にワークテーブルを戻す必
要がなく、そのまま次の研削を行えるため、効率的に研
削が行える。また、本装置を用いる場合、往復移動はワ
ークテーブル、即ち基板側の移動により行われる。
【0041】この機械の設計上の特徴は、 X軸、Z軸のT字形平面配置、ねじを用いないクロ
ーズドループ位置決め方式、10nmのレーザスケー
ル、 V−Vすべり案内面、低熱膨張鋳鉄、 基準真直ゲージによる真直度インプロセス補正、で
ある。
【0042】また性能としては、 指令分解能10nmでの輪郭加工、を特徴としてい
る。研削ホイールの母線形状は修正ホイールの位置をX
Zで制御することにより創成され、目的とする正確な形
状を得ることが可能である。また、本装置を用いて研削
痕が扇状となるように研削するには、例えば図9に示す
ように、被加工基板をワークテーブル上に取り付ければ
よい。
【0043】脆性材料をクラックなしに研削する(延性
モード研削)ためには、個々の砥粒の切り込み深さを延
性−脆性遷移点(dc値)以下に保つことが必要であ
る。そのためには高剛性かつ高精度の加工機が要求され
る。本装置は研削ホイール軸単体では1300N/μm
以上、ワークテーブル軸単体では1000N/μm以
上、ループ剛性として150N/μm以上で、上記条件
を満たすものである。ワークテーブルのスラスト方向の
振れ、研削ホイール軸のラジアル方向の振れ、ツルーイ
ング後の研削ホイールの外周振れは、共に100nm以
下である。X軸、Z軸の位置決めは、分解能10nmの
レーザスケールによって制御され、100nm以下の微
小切り込みを与えることができる。
【0044】また、研削に用いられるホイール(固定砥
粒)は特に限定されるものではなく、通常用いられる公
知のものが用いられるが、基板材料、中間研削の程度、
加工しろ(砥石の設定切り込み深さ)により、砥粒の種
類、および形、粒度、ボンド剤、ホイール形状が違って
くるため一概には言えない。例えば上記研削装置(HP
G−2A)を用い、基板がカーボン基板、中間研削の程
度がRa100nm、加工しろ20μm/片面の場合、
砥粒には工業用ダイヤモンド砥粒を用い(砥粒の平均粒
径は1〜5μm、より好ましくは1〜2.5μm)、ボ
ンド剤はメタル等が用いられる。ELID法を用いる場
合には、ボンド剤は、Fe(鋳鉄など)、Cu、Ni等
の単体もしくはこれらの一種以上を含む合金を用いるこ
とが好ましい。さらに、ボンド剤中には樹脂を含んでい
ても良い。また、この場合の他の条件、例えば砥石周速
度、送り速度、ワークテーブル回転数等、については特
に限定されるものではなく、通常用いられる公知の程度
でよい。
【0045】このように研削することで、マイクロクラ
ックの発生が抑えられた表面加工基板がより効率的に得
られる。また、得られる表面加工基板は意外にもその基
板特性が良好なものとなる。さらに、特にELIDを併
用して研削を行った場合には表面品質の向上が顕著に見
られる。これは両肩にRを付与することにより、ホイー
ル端面部の酸化被膜の異常成長(この突出した酸化皮膜
が基板表面を傷つけ、表面品質を落とす。)が抑制され
ることによるものと考えられる。特に連続加工する際、
この効果が顕著で、加工基板表面の粗さRaのバッチご
との変動ΔRaが低く抑えられ、安定した表面粗さの表
面加工基板が得られる。また、1)ホイールの両肩が研
削に用いられるため、ホイールに対する負荷が減少する
こと、2)ホイールの形状調整(ツルーイング)の頻度
が減少すること、の二つの理由から、ホイールの寿命が
長くなることも本発明の効果である。
【0046】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例により本発明をさらに
詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりな
んら限定されるものではない。 製造例1 フルフリルアルコール樹脂を公知の方法である成形、予
備焼成処理によりカーボン基板を製造した。より具体的
には、次のようにして製造した。フルフリルアルコール
500重量部、92%ホルムアルデヒド400重量部お
よび水30重量部を80℃で攪拌して溶解した。次い
で、攪拌下でフェノール520重量部、水酸化カルシウ
ム9.5重量部および水45重量部の混合液を滴下し、
80℃で3時間反応させた。その後フェノール80重量
部、上記のフェノール/水酸化カルシウム/水混合液を
さらに滴下し、80℃で2時間反応させた。30℃に冷
却後、30%パラトルエンスルホン酸水溶液で中和し
た。この中和物を減圧化で脱水し、170重量部の水を
除去し、フルフリルアルコール500重量部を添加混合
し、樹脂中の不溶分をメンブランフィルターで濾過し
た。この樹脂が含むことのできる水の量を測定したとこ
ろ、35重量%であった。
【0047】この熱硬化性樹脂100重量部に対し、パ
ラトルエンスルホン酸70重量%、水20重量%、セル
ソルブ10重量%の混合液0.5重量部を添加し、充分
攪拌後、厚さ2mmの円盤状の型に注入し、減圧脱泡し
た。次いで、50℃で3時間、80℃で2日間加熱硬化
した。この熱硬化物を所定のドーナツ形状に加工し、こ
のあと有機物焼成炉で窒素雰囲気下で2〜5℃/時の昇
温速度で700℃まで加熱し、次いで5〜20℃/時の
昇温速度で1200℃まで加熱焼成し、この温度で2時
間保持した後、冷却し、直径1.8インチのカーボン基
板を得た。このようにして得られたカーボン基板は、R
a0.2μm、密度1.5g/cm3 、ビッカース硬度
650、構造はアモルファス状であった。
【0048】得られたカーボン基板を、スピードファー
ム社製9B5L型両面研磨機を使用し、粉砕炭化ケイ素
砥粒のひとつであるGC(緑色炭化ケイ素研磨材)#6
00を用い、濃度4重量%の遊離砥粒方式によるラッピ
ング加工を行った。定盤には鋳鉄定盤を用いた。研磨し
ろは、片面当たり300μmとした。得られたカーボン
基板のRaは0.6μmであった。この後、芝技研製チ
ャンファー加工機SG−Tにより、内・外径を所定の寸
法に切揃え、面取り加工(45°)を行った。次いで、
このカーボン基板を、下記条件でさらにラップ研磨を行
った。上記と同じ両面研摩機を使用し、GC#4000
砥粒を用い、濃度20重量%の遊離砥粒方式により研磨
した。定盤には鋳鉄定盤を用い、研磨しろは、片面当た
り50μmとした。得られたカーボン基板のRaは0.
1μmであった。
【0049】実施例1 製造例1で得たカーボン基板を延性モード加工により仕
上げ研削を行い、表面加工基板を得た。主な加工条件は
次の通りである。 研削装置:超精密横型平面研削装置 ((株)日進機械製作所製HPG−2A) ワークテーブルの直径:200mm ワークテーブルの回転数:530rpm 砥石周速:1260m/min 砥石送り速度:30mm/min
【0050】砥粒種類/番手:#4000ダイヤモンド
(平均粒径約3μm) (冨士ダイス(株)製、鋳鉄4000ボンド砥石:SD
4000N100M) クーラント:ノリタケクールCEM((株)ノリタケカ
ンパニー リミテッド製)の2%水溶液 ELID電源:新東ブレータ(株)製、パルス電源ED
P−10A 初期ツルーイング:#200ダイヤモンド(平均粒径約
75μm) ((株)オリエンタルダイヤ工具研究所製:SD200
Q75M) 初期ドレッシング:3A×15分 パルス(矩形波)サイクル:4マイクロ秒
【0051】研削ホイールの肩は、精密ツルーイングに
より図6に示すような母線形状に整え、個々の砥粒の切
り込み深さがカーボン基板の延性−脆性遷移点(約50
nm)以下となるように設定した。なお、かかる円弧形
状(母線形状)の測定は、電気マイクロメーター
((株)東京精密製:ミニコムE-M5P )を用い、検出器
はE-DT-LJ-M30(検出器の測定力は7gf)を用いて行っ
た。基板はワークテーブルに多数存在する真空吸引孔に
より、基板9枚を同時に真空チャックした。研削は、砥
石の設定切り込み深さを8μmとして1パス(往方
向)、2μmとして1パス(復方向)で行い、これを両
面について行った。実際の除去量を測定したところ、設
定値とおりの除去量であった。測定はワークテーブル上
の基板9枚から120度おきの3枚を選び、研削前後で
それぞれ60度おきに半径位置15mm上の6ヶ所を測
定し、その差から個々の基板の平均除去量を求め、これ
ら3枚の値の平均値を本実施例での実際の除去量とし
た。なお、ここで往方向、復方向の基準の方向は、図8
におけるX方向であり、ホイール2をワークテーブル1
に対してX方向に動かすことによって達成される。ま
た、図10にELID電極の取り付け構成を示す。得ら
れた表面加工基板を光学顕微鏡で観察したところ、扇形
の延性モード加工痕を有するものであった。また加工痕
の交差は見られなかった。
【0052】実施例2 製造例1で得たカーボン基板を延性モード加工により仕
上げ研削を行い、表面加工基板を得た。主な加工条件
は、下記の条件以外は実施例1と同じである。 砥粒種類/番手:#8000ダイヤモンド(平均粒径約
1.7μm) (冨士ダイス(株)製、鋳鉄ボンド砥石:SD8000
N100M) 研削ホイールの肩は、精密ツルーイングにより図6に示
すような母線形状に整え、個々の砥粒の切り込み深さが
カーボン基板の延性−脆性遷移点(約50nm)以下と
なるように設定した。研削は、砥石の設定切り込み深さ
を8μmとして1パス(往方向)、2μmとして1パス
(復方向)で行い、これを両面について行った。実際の
除去量を実施例1と同様に測定したところ、設定値の9
8%であった。得られた表面加工基板を光学顕微鏡で観
察したところ、扇形の延性モード加工痕を有するもので
あった。また加工痕の交差は見られなかった。
【0053】実施例3 製造例1で得たカーボン基板を延性モード加工により仕
上げ研削を行い、表面加工基板を得た。主な加工条件
は、下記の条件以外は実施例1と同じである。 砥粒種類/番手:#12000ダイヤモンド(平均粒径
約1.2μm) (新東ブレータ(株)製鉄系ボンド砥石、SD1200
0N100FX3) 研削ホイールの肩は、精密ツルーイングにより図6に示
すような母線形状に整え、個々の砥粒の切り込み深さが
カーボン基板の延性−脆性遷移点(約50nm)以下と
なるように設定した。研削は、砥石の設定切り込み深さ
を6μmとして1パス(往方向)、2μmとして1パス
(復方向)で行い、これを両面について行った。実際の
除去量を実施例1と同様に測定したところ、設定値の9
8%であった。得られた表面加工基板を光学顕微鏡で観
察したところ、扇形の延性モード加工痕を有するもので
あった。また加工痕の交差は見られなかった。
【0054】実施例4 製造例1で得たカーボン基板を延性モード加工により仕
上げ研削を行い、表面加工基板を得た。主な加工条件
は、下記の条件以外は実施例1と同じである。 砥粒種類/番手:#20000ダイヤモンド(平均粒径
約1.2μm) (新東ブレータ(株)製鉄系ボンド砥石、SD2000
0N100FX3) 研削ホイールの肩は、精密ツルーイングにより図6に示
すような母線形状に整え、個々の砥粒の切り込み深さが
カーボン基板の延性−脆性遷移点(約50nm)以下と
なるように設定した。研削は、砥石の設定切り込み深さ
を6μmとして1パス(往方向)、2μmとして1パス
(復方向)で行い、これを両面について行った。実際の
除去量を実施例1と同様に測定したところ、設定値の9
6%であった。得られた表面加工基板を光学顕微鏡で観
察したところ、扇形の延性モード加工痕を有するもので
あった。また加工痕の交差は見られなかった。
【0055】実施例5 製造例1で得たカーボン基板を延性モード加工により仕
上げ研削を行い、表面加工基板を得た。主な加工条件
は、下記の条件以外は実施例1と同じである。研削ホイ
ールの肩は、精密ツルーイングにより図3に示すような
母線形状に整え、個々の砥粒の切り込み深さがカーボン
基板の延性−脆性遷移点(約50nm)以下となるよう
に設定した。研削は、砥石の設定切り込み深さを8μm
として1パス、2μmとして1パス、いずれも往方向で
行い、これを両面について行った。実際の除去量を実施
例1と同様に測定したところ、設定値通りであった。得
られた表面加工基板を光学顕微鏡で観察したところ、扇
形の延性モード加工痕を有するものであった。また加工
痕の交差は見られなかった。
【0056】実施例6 製造例1で得たカーボン基板を延性モード加工により仕
上げ研削を行い、表面加工基板を得た。主な加工条件
は、下記の条件以外は実施例2と同じである。研削ホイ
ールの肩は、精密ツルーイングにより図4に示すような
母線形状に整え、個々の砥粒の切り込み深さがカーボン
基板の延性−脆性遷移点(約50nm)以下となるよう
に設定した。研削は、砥石の設定切り込み深さを5μm
として1パス、2μmとして1パス、いずれも往方向で
行い、これを両面について行った。実際の除去量を実施
例1と同様に測定したところ、設定値の98%であっ
た。得られた表面加工基板を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、扇形の延性モード加工痕を有するものであった。ま
たスクラッチ部以外の加工痕の交差は見られなかった。
【0057】実施例7 製造例1で得たカーボン基板を延性モード加工により仕
上げ研削を行い、表面加工基板を得た。主な加工条件
は、下記の条件以外は実施例4と同じである。研削ホイ
ールの肩は、精密ツルーイングにより図4に示すような
母線形状に整え、個々の砥粒の切り込み深さがカーボン
基板の延性−脆性遷移点(約50nm)以下となるよう
に設定した。研削は、砥石の設定切り込み深さを5μm
として1パス、2μmとして1パス、いずれも往方向で
行い、これを両面について行った。実際の除去量を実施
例1と同様に測定したところ、設定値の96%であっ
た。得られた表面加工基板を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、扇形の延性モード加工痕を有するものであった。ま
たスクラッチ部以外の加工痕の交差は見られなかった。
【0058】比較例1 下記以外は実施例2と同様に研削を行った。ホイールを
その外周にRを付与することなく、研削に供した。研削
は5μm(Rが付与されていないため、設定切り込み深
さを大きくすることはできない。)として、1パス(往
方向)とし、2μmとして1パス(復方向)で行い、こ
れを両面について行った。実際の除去量を実施例1と同
様に測定したところ、設定値の60%であった。
【0059】上記の実施例、比較例で得られた表面加工
基板の基板特性等を表1に示す。研削速度とは、基板9
枚を1バッチとして加工した場合の、基板1枚の片面あ
たりの研削時間(片面の研削時間の合計/9)をさす。
ΔRa、Rv(谷深さ)は触針式表面粗さ計(Tenc
or(株)製、型式P2)を用いて、前述のRa等と同
じ条件で測定した。表面特性としての端面欠けは、光学
顕微鏡で観察(50倍)し、基板外周端面の50μm以
上の欠けの個数をカウントした。また、表面特性として
のスクラッチは、光学顕微鏡により基板表面(平面)を
観察(50倍)し、片面あたりのスクラッチ本数をカウ
ントした。平坦度は、ZYGO社製(型式:Mark−
4)により測定した。なお、本明細書において、Ra、
Rp、Rv及び平坦度は、加工痕形状を直交する方向
(粗さ等が最大となる方向)に触針をスキャンして測定
した。また、表面加工基板の表面を光学顕微鏡とSEM
(走査型電顕)とにより観察し、研削が延性モードで進
行してスムーズな研削痕が残っているか、脆性モードで
進行して、スムーズでなく荒れた表面やマイクロクラッ
クを残存した表面になっているか確認した。
【0060】
【表1】
【0061】表1より以下のことがわかった。本発明の
方法によって得られた表面加工基板は、いずれも基板特
性の優れたものであった。さらに、ホイールの外周エッ
ジの両肩に円弧形状を付与して往復方向で研削を行った
実施例(実施例1〜4)は、片肩に円弧形状を付与して
往方向(特定の一方向)で研削を行った対応する実施例
(実施例5〜7)に比較して、基板特性、研削速度の点
でより優れたものであることが分かった。一方、円弧形
状が付与されていないホイールを用いた比較例1におい
ては、得られた表面加工基板は表面特性、平坦度が共に
悪いものであった。また同じ砥粒径で両肩にR形状のつ
いた実施例に比べて材料除去速度の点でも劣るものであ
った。尚、光顕/SEM観察によると実施例及び比較例
で得られた表面加工基板のいずれも研削面はスムーズ
で、マイクロクラックも含まず、極めてスムーズな研削
痕を残していることから、延性加工モードで研削されて
いることが分かった。
【0062】
【発明の効果】本発明により、より効率的かつの基板特
性の良好な表面加工基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、多重あやめ形状の加工痕を示す模式図
である。
【図2】図2は、扇状を示す模式図である。
【図3】図3は、研削ホイールの肩部分の母線形状を示
す模式図である。
【図4】図4は、研削ホイールの肩部分の母線形状を示
す模式図である。
【図5】図5は、研削ホイールのホイール幅、円弧形状
が付与されているホイール外周の幅、及び円弧形状が付
与されているホイール最表面(水平面)からの深さの位
置的関係を示す模式図である。
【図6】図6は、研削ホイールの肩部分の母線形状を示
す模式図である。
【図7】図7は、研削ホイールの肩部分の母線形状を示
す模式図である。
【図8】図8は本発明の製造方法の一例を実施するため
の装置の概略構成図である。
【図9】図9は、図8の研削装置における、被加工基板
のワークテーブルへのセット状態を示した模式図であ
る。
【図10】図10は、ELID電極の取り付け構成を示
す模式図である。
【符号の説明】
1 ワークテーブル 2 研削ホイール 3 修正ホイール 4 チャック 5 スライドベース 6 スピンドル/油静圧軸受け 7 低膨張材料 8 クーラント供給ユニット 9 ワーク(被加工基板) 11 すき間調製ネジ 12 絶縁体 13 電極 14 砥石 21 砥粒コーティング層 NC 数値制御装置 PI 比例・積分制御装置 a 圧力制御サーボ弁 b 圧油源 c 油圧アクチュエータ d レーザスケール(分解能10nm)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延性モード加工により基板の表面を研削
    して表面加工基板を製造する方法において、外周エッジ
    の片肩又は両肩に円弧形状が付与されたホイール(固定
    砥粒)を用いて研削を行うことを特徴とする表面加工基
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】 外周エッジの両肩に円弧形状が付与され
    たホイールを用いて、研削方向を往復方向で行う請求項
    1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 研削痕が扇状になるように研削を行う請
    求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 砥石の設定切り込み深さが0.05〜2
    0μmである請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 電解インプロセスドレッシングを用いた
    延性モード加工により研削を行う請求項1〜4いずれか
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 ループ剛性が150N/μm以上の研削
    装置を用いて研削を行う請求項1〜5いずれか記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 基板の材料がカーボンである請求項1〜
    6いずれか記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 得られる表面加工基板のRa(表面粗
    さ)が1〜100Åであって、Rp(突起高さ)/Ra
    が2〜10である請求項1〜7いずれか記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 得られる表面加工基板の平坦度が10μ
    m以下である請求項1〜8いずれか記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 下記の式(1)、式(2) 【数1】 【数2】 (式中、dN は被加工基板1回転当たりの切り込み深
    さ、fは被加工基板1回転当たりのホイール横送り量、
    Δは設定切り込み深さ、Rはホイール外周の肩の曲率半
    径、dg は個々の砥粒の切り込み深さ、aは砥粒の間
    隔、Vw は被加工基板周速度、Vs はホイール周速度、
    及びDはホイール直径をそれぞれ示す。)において、d
    g <200(nm)となるように、円弧形状を設定して
    研削を行う請求項1〜9いずれか記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 円弧形状が、下記の式(3)、式
    (4) 【数3】 【数4】 (式中、Wはホイール幅、ΔWは円弧形状が付与されて
    いるホイール外周の幅、ΔYは円弧形状が付与されてい
    るホイール最表面(水平面)からの深さをそれぞれ示
    す。)を満たす請求項1〜10いずれか記載の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 円弧形状が指数曲線近似形状である請
    求項1〜11いずれか記載の製造方法。
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